JP2009242339A - 芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法 - Google Patents

芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009242339A
JP2009242339A JP2008093328A JP2008093328A JP2009242339A JP 2009242339 A JP2009242339 A JP 2009242339A JP 2008093328 A JP2008093328 A JP 2008093328A JP 2008093328 A JP2008093328 A JP 2008093328A JP 2009242339 A JP2009242339 A JP 2009242339A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrocarbon group
group
organic semiconductor
organic
ring compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008093328A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Takimiya
和男 瀧宮
Eigo Miyazaki
栄吾 宮碕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima University NUC
Original Assignee
Hiroshima University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima University NUC filed Critical Hiroshima University NUC
Priority to JP2008093328A priority Critical patent/JP2009242339A/ja
Publication of JP2009242339A publication Critical patent/JP2009242339A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Abstract

【課題】溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
Figure 2009242339

(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基からなる群より選ばれる原子または官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)で表される芳香族縮合環化合物。
【選択図】図1

Description

本発明は、芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、芳香族縮合環化合物および有機半導体デバイスの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、溶接法を利用することができ、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、芳香族縮合環化合物および有機半導体デバイスの製造方法に関するものである。
近年、有機半導体材料を用いた有機ELデバイス、有機FET(電界効果トランジスタ)デバイス、有機薄膜光電変換デバイス等の薄膜デバイスが注目されており、実用化が始まっている。
これらの薄膜デバイスに用いる有機半導体材料の基本的物性の中では、キャリアの移動度が重要である。例えば、有機ELデバイスにおいて、キャリアの移動度は、電荷の輸送効率に影響するので、高効率での発光や低電圧での駆動のために重要である。また、有機FETデバイスにおいて、キャリアの移動度は、スイッチング速度や駆動する装置の性能に直接影響するので、有機FETデバイスの実用化のために重要である。
また、これらの薄膜デバイスに用いる有機半導体材料の特徴を活かすためには、有機半導体材料を種々の有機溶媒に溶かし、塗布法、スピンコート法、インクジェット法等により薄膜デバイスを作製する溶接法の利用が重要である。溶接法を用いれば、基板に紙やプラスチック等を用いることができるようになるため、有機半導体デバイスの軽量化、柔軟化が可能になり、従来から用いられている真空蒸着法を用いた場合と比べて、製造工程の簡便化や製造に要する装置類の大幅なコストダウンを行うことが可能となり、かつ、大面積の有機半導体デバイスの製造が可能となる。ただし、溶接法を利用するためには、溶媒に可溶で、かつ、大気中で安定に存在する有機半導体材料が必要となる。
従来、有機半導体材料においては、無機半導体材料と同様に、p型(ホール輸送)トランジスタに用いる有機半導体材料(以下、「p型材料」という)とn型(電子輸送)トランジスタに用いる有機半導体材料(以下、「n型材料」という)とが知られている。例えば、CMOS(相補形金属酸化膜半導体)等の論理回路を作製するためには、p型材料およびn型材料が必要となる。
これまでに、p型材料については多くの研究がなされ、溶媒に可溶で、かつ、大気中で安定に駆動する材料(溶接法を利用することができる材料)の報告がなされている。一方、n型材料については、蒸着法を利用している場合にはp型材料と大差ないキャリア移動度が得られるため、蒸着法を利用しているn型材料については多くの研究がなされている。つまり、溶接法を利用しているn型材料については、研究がほとんどなされていないのが現状である。
例えば、特許文献1には、大きな縮合多環芳香族化合物であるオバレン、ヘキサベンゾコロネン、サーカムアントラセン等を含む有機半導体材料を半導体層に用いたp型電界効果素子が示されている。
特許文献2には、ペンタセンを有機溶媒に分散後、100℃に加熱したシリコン基板にペンタセンの分散液を塗布することにより、ペンタセンの薄膜およびp型トランジスタを形成することが示されている。
特許文献3には、ポルフィリン系の化合物を用い、上記化合物を有機溶媒に分散後、シリコン基板に上記化合物の分散液を塗布することにより、p型トランジスタを作製する方法が示されている。
特許文献4には、ベンゾセレノフェンおよびベンゾチオフェンのアリール誘導体を用いたp型電界効果トランジスタが示されている。
また、非特許文献1には、次に示す一般式(11)
Figure 2009242339
で表される構造を有し、有機FETデバイスに用いることができる有機半導体材料が示されている。この有機半導体材料は、蒸着法を利用しており、p型とn型両方の性質を有する有機半導体材料である。非特許文献2にも、蒸着法を利用しており、p型とn型両方の性質を有する有機半導体材料が示されている。
非特許文献3には、次に示す一般式(12)
Figure 2009242339
で表される構造を有する有機半導体材料が示されている。この有機半導体材料は、可溶性を有し、p型とn型両方の性質を有する有機半導体材料である。
非特許文献4には、次に示す一般式(13)
Figure 2009242339
で表される構造を有し、有機FETデバイスに用いることができる芳香族縮合環化合物が示されている。この芳香族縮合環化合物は、上記一般式(1)で表される化合物中の炭化水素基R,R,R,Rを水素原子に置換した化合物である。
非特許文献5には、5個のベンゼン環が直線状に縮合した多環芳香族化合物であるペンタセンが、アモルファスシリコンに匹敵する高移動度(0.1〜1.0cm/Vs)で、p型トランジスタ動作を行うことが示されている。
非特許文献6には、ベンゾジチオフェンモノマーを二量体化したベンゾジチオフェンダイマーが、高移動度(0.04cm/Vs)で、p型トランジスタ動作を行うことが示されている。
非特許文献7には、チオフェンとフルオレンとを組み合わせることによって、p型トランジスタ動作を行う際の移動度が、高移動度(0.14cm/Vs)に達することが示されている。
非特許文献8には、アントラセンのダイマーまたはトリマーが、高移動度(0.1cm/Vs)で、p型トランジスタ動作を行うことが示されている。
非特許文献9には、特定の置換基を導入し、有機溶媒に可溶なペンタセン誘導体等を用いたp型有機電界効果トランジスタが示されている。
非特許文献10には、ベンゾセレノフェンのアリール誘導体を用いたp型電界効果トランジスタが示されている。
非特許文献11,12には、ベンゾチオフェンのアルキル誘導体の合成方法が示されている。ただし、非特許文献11,12には、上記アルキル誘導体を電界効果トランジスタに用いることは示されていない。
特開2004−158709号公報(平成16年6月3日公開) 特開2005−281180号公報(平成17年10月13日公開) 特開2005−322895号公報(平成17年11月17日公開) 国際公開第2006/077888号パンフレット(2006年7月27日公開) Pappenfus,T.M.;Chesterfield,R.J.;Friesbie,C.D.;Mann,K.R.;Casado,J.;Raff,J.D.;Miller,L.L.;J.Am.Chem.Soc.,2002,124,p.4184−4185 Chesterfield,R.J.;Newman,C.R.;Pappenfus,T.M.;Ewbank,P.C.;Haukaas,M.H.;Mann,K.R.;Miller,L.L.;Frisbie,C.D;Adv.Mater.,2003,15,p.1278−1282 Extensive Quinoidal Oligothiophenes with Dicyanomethylene Groups at Terminal Positions as Highly Amphoteric Redox Molecules,T.Takahashi,K.Matsuoka,K.Takimiya,T.Otsubo,Y.Aso;J.Am.Chem.Soc.,2005,127(25),p.8928−8929 S.Yoshida,et al;J.Org.Chem.,1994,59(11),p.3077 IEEE;Electron Dev.Lett.,1997,18,p.87 Joyce G.Laquindanum,et al;Adv.Mater.,1997,9,p.36 Z.Bao,et al;J.Am.Chem.Soc.,2001,123,p.9214 Suzuki,et al;Angew.Chem.Int.Ed.,2003,42,p.1159 Payne, M. M.; Parkin, S. R.; Anthony, J. E.; Kuo, C. C.; Jackson, T. N.;J.Am.Chem.Soc.,2005,127,p.4986−4987 Takimiya, K.; Kunugi, Y.; Konda, Y.; Ebata, H.; Toyoshima, Y.; Otsubo, T;J.Am.Chem.Soc.,2006,128,p.3044−3050 Kosata, B.; Kozmik, V.; Svoboda, J.; Novotana, V.; Vanak, P.; Glogarva, M.;Liquid Crystals,2003,30(5),p.603−610 Kosata, B.; Kozmik, V.; Svoboda, J.;Collect.Czech.Chem.Commun.,2002,67(5)p.645−664
しかしながら、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料は極めて希少であり、材料開発の難易度が非常に高いため、ほとんど提供されていないのが実情である。
例えば、特許文献1に示される有機半導体材料は、蒸気圧が低いため、高純度化や薄膜形成を行うためには超高真空が必要である等という問題点を有している。また、特許文献1に示される芳香族縮合環化合物は、極めて多数の芳香族環が縮合しており、このような構造を有する化合物では一般的に酸素との親和性が高くなるので、大気中で素子を駆動することは困難である。また、特許文献1に示される有機半導体材料は、n型トランジスタ動作が可能な有機半導体材料とはなり得ない。また、特許文献2〜4に示される有機半導体材料も、n型トランジスタ動作が可能な有機半導体材料とはなり得ない。
また、非特許文献1,2に示される有機半導体材料は、キノイド構造であるため、共役拡張に伴い溶解性の低下が見られる。そのため、化合物の精製、加工が困難であるという問題が生じる。それゆえ、溶接法を利用可能で大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な有機半導体材料とはなり得ない。
非特許文献3に示される有機半導体材料は、ヘテロ環の6量体であり、非特許文献1に示されるヘテロ環の3量体に比べて溶解性の向上は見られたものの、FET特性(電界効果トランジスタ特性)の低下および伝導性の低下が見られる。それゆえ、溶接法を利用可能な材料とはなり得るが、有機半導体材料としての特性を十分に備えたものとはいえない。
非特許文献4に示される芳香族縮合環化合物は、炭化水素基を有していないため、有機溶媒に対して極めて溶解性が低く、塗布法、スピンコート法、インクジェット法等により薄膜デバイスを作製する溶接法を利用することができない。それゆえ、溶接法を利用可能で大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な有機半導体材料とはなり得ない。また、非特許文献4に示される芳香族縮合環化合物は、有機溶媒に対して極めて溶解性が低いため、精製して単離することが困難である。
非特許文献5〜8に示される芳香族縮合環化合物では、高移動度を発現するための有機半導体材料としての分子設計方針は確立されていない。例えば、非特許文献5に示されるペンタセンは、純化の点で問題がある。また、非特許文献6〜8に示される芳香族縮合環化合物は、その製造において多段階の反応を必要とする上に低収率の段階も含まれているので、大量合成に不適切である。さらに、非特許文献5〜8に示される有機半導体材料は、n型トランジスタ動作が可能な有機半導体材料とはなり得ない。また、非特許文献9〜12に示される有機半導体材料も、n型トランジスタ動作が可能な有機半導体材料とはなり得ない。
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的は、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法を提供するために、溶解性置換基の導入および電子親和力の調整により、一般式(1)で表される化合物を独自に見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記課題を解決するために、一般式(1)
Figure 2009242339
(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、R,R,R,Rのうちの少なくとも2個は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基でありかつ当該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基からなる群より選ばれる原子または官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)で表されることを特徴としている。
上記構成によれば、本発明の芳香族縮合環化合物は、電子を吸引するシアノ基により極性構造を有するため、電子がキャリアとして働くn型トランジスタ動作が可能となる。さらに、本発明の芳香族縮合環化合物は、可溶性部分である溶解性置換基(上記R,R,R,R)を有するため、溶接法を利用することができるので、薄膜における密な充填が可能となり大気中でも安定に存在する。
つまり、上記構成によれば、可溶性部分である溶解性置換基と、極性を有するシアノ基とを組み合わせた構造を備えているため、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物を提供することができる。
また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基であるときの、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基を表すことが好ましい。
これにより、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換されているので、可溶性部分である芳香族炭化水素基を1個又はそれ以上有しており、溶接法を利用した場合の薄膜における密な充填がより一層可能となり、大気中でもより一層安定に存在する。
また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基であるときの、該炭化水素基または該官能基の炭素数は、1以上、20以下の範囲内であることが好ましい。また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基であるときの、該炭化水素基または該官能基の炭素数は、6以上、12以下の範囲内であることが好ましい。
本発明の芳香族縮合環化合物の炭素数が1以上20以下、特に6以上12以下である場合、比較的炭素数が小さいため、上記芳香族縮合環化合物が上記溶解性置換基を有する場合であっても、分子全体のかさ高さを低くすることができる。これにより、本発明の芳香族縮合環化合物は、かさ高い官能基が原因となる分子間力低下による伝導性の低下を防ぐことができる。
また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基であるときの、該炭化水素基または該官能基は、同一のものであることが好ましい。また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記RとRとが、同一の原子であることが好ましい。
これにより、本発明の芳香族縮合環化合物は、薄膜中で分子配向の乱れを起こす確率が低くなり、高移動度を発現するには望ましい構造となる。特に、上記Rと上記Rとが同一のものであり、上記Rと上記Rとが同一のものであり、かつ、上記Rと上記Rとが同一のものである場合には、本発明の芳香族縮合環化合物は一種類の構造となるため、薄膜中で分子配向の乱れを起こす確率がより一層低くなる。
また、本発明の芳香族縮合環化合物は、一般式(1)中、RおよびRはブトキシメチル基を表すことが好ましい。
これにより、本発明の芳香族縮合環化合物は、ブトキシメチル基が有機溶媒に溶解しやすいので、上記芳香族縮合環化合物の溶解性をより一層向上させることができる。
また、本発明の芳香族縮合環化合物は、一般式(2)
Figure 2009242339
(式中、R,Rはそれぞれ独立して炭化水素基でありかつ当該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、アリール基、炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がアリール基に置換された炭化水素基からなる群より選ばれる官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)で表されることが好ましい。
これにより、本発明の芳香族縮合環化合物は、一般式(1)中のRとRとが水素原子であるため、分子全体のかさ高さを低くすることができる。その結果、本発明の芳香族縮合環化合物は、上述した分子間力低下による伝導性の低下をより一層防ぐことができ、薄膜をより均一化することができる。
また、本発明の有機半導体材料は、上記芳香族縮合環化合物を含むことが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体材料は、可溶性部分である溶解性置換基と、極性を有するシアノ基とを組み合わせた構造を備えていることになるため、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作を可能とする。
また、本発明の有機半導体材料は、電子移動度が、10−3cm/Vs以上であることが好ましい。
本発明の有機半導体材料に含まれる上記芳香族縮合環化合物は電子親和力が大きく、大気中の酸素等による電子のトラップを受け難い。これにより、本発明の有機半導体材料は、溶接法を利用することができるn型材料としては、従来技術にはないような高い移動度となり、半導体デバイスへの応用が可能となる。
従来、溶接法を利用した有機半導体デバイスは、蒸着法を利用した有機半導体デバイスと比較して電子移動度が低く、10−5cm/Vs以上10−4cm/Vs以下程度のものが多かった。これに対して、本発明の有機半導体材料を利用した有機半導体デバイスは、電子移動度が10−3cm/Vs以上であるので、大気中で動作可能なn型有機半導体デバイスとしては、移動度が相当に高いことになる。
また、本発明の有機半導体材料は、n型トランジスタ材料であることが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体材料は、キャリアとしての電子が輸送層内を自由に動くので、半導体デバイスを製造する際に、電極等を形成しやすくなる。
また、本発明の有機半導体材料は、n型トランジスタ材料とp型トランジスタ材料とを含む両性トランジスタ材料であることが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体材料は、塗布法(溶接法)によりCMOS等の論理回路を作製することが可能となり、半導体デバイスへの応用範囲を広げることができる。
また、本発明の有機半導体材料は、大気中で駆動可能であることが好ましい。また、本発明の有機半導体材料は、常温で駆動可能であることが好ましい。また、本発明の有機半導体材料は、常圧で駆動可能であることが好ましい。
従来、溶接法を利用することができるn型材料は、大気中で駆動することができなかった。しかし、本発明のn型材料(有機半導体材料)は、上記芳香族縮合環化合物が電子を吸引するシアノ基により極性構造を有するため、シアノ基の方に電子が移動しやすくなる。これにより、電子移動度が高くなり、大気中でも駆動することができる。さらに、本発明のn型材料(有機半導体材料)は、標準的な環境状態である常温および/または常圧でも駆動することができ、有機トランジスタの実用化に向けて重要な材料とすることができる。
また、本発明の有機半導体材料は、アニール処理されていることが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体材料は、電子移動度等のFET特性を向上させることができ、半導体デバイスへの応用範囲を広げることができる。
また、本発明の有機半導体形成用組成物は、上記芳香族縮合環化合物と有機溶媒とを含むことが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体形成用組成物は、溶接法に利用することができる。
また、本発明の有機半導体形成用組成物は、上記芳香族縮合環化合物の含有量が、上記有機半導体形成用組成物の全量に対して、0.01重量%以上、10重量%以下の範囲内であることが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体形成用組成物は、より効果的に溶接法に利用することができる。
また、本発明の有機半導体形成用インクは、上記有機半導体形成用組成物を含むことが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体形成用インクは、溶接法に利用することができる。
また、本発明の有機半導体デバイスは、上記芳香族縮合環化合物を含むことが好ましい。さらに、本発明の有機半導体デバイスは、上記有機半導体材料を含むことが好ましい。
上記芳香族縮合環化合物および上記有機半導体材料は有機溶媒への溶解性に優れるので、溶接法を用いて有機半導体デバイスを製造することが可能である。これにより、本発明の有機半導体デバイスは、薄膜が密な充填となり、大気中でも安定に存在する。また、上記芳香族縮合環化合物および上記有機半導体材料は、伝導性等の特性に優れている。これにより、本発明の有機半導体デバイスは、伝導性等の特性が良好になる。
また、本発明の有機半導体デバイスは、有機キャリア輸送層および/または発光層を有する発光デバイスであることが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体デバイスは、有機キャリア輸送層を有することにより、キャリアが輸送層内を自由に動くので、発光デバイスを製造する際に、電極等を形成しやすくなる。また、本発明の有機半導体デバイスは、発光層を有することにより、電圧印加時に陽極側から注入された正孔と陰極側から注入された電子とが再結合する場を提供することができる。また、本発明の有機半導体デバイスは、有機キャリア輸送層および発光層を有することにより、キャリアが輸送層内を自由に動き、電圧印加時に陽極側から注入された正孔と陰極側から注入された電子とを発光層まで輸送することができる。その結果、有機半導体デバイスを発光させることができる。
また、本発明の有機半導体デバイスは、有機半導体層を有する薄膜トランジスタであることが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体デバイスは、膜が薄くなり、有機半導体デバイス全体の小型化、軽量化を図ることができる。さらに、本発明の有機半導体デバイスは、製造工程の簡便化や製造に要する装置類の大幅なコストダウンを行うこともできる。
また、本発明の有機半導体デバイスの製造方法は、上記芳香族縮合環化合物を溶接法により基板に配置する工程を含むことが好ましい。さらに、本発明の有機半導体デバイスの製造方法は、上記有機半導体材料を溶接法により基板に配置する工程を含むことが好ましい。
これにより、本発明の有機半導体デバイスの製造方法は、蒸着法を利用する場合と比べて、製膜プロセスの簡便化、および、芳香族縮合環化合物または有機半導体材料の使用量の低減を図ることができる。また、本発明の有機半導体デバイスの製造方法は、上記芳香族縮合環化合物または上記有機半導体材料を用いるため、低コストで、軽量、柔軟および大面積である有機半導体デバイスを製造することができる。
本発明の芳香族縮合環化合物は、以上のように、一般式(1)
Figure 2009242339
(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、R,R,R,Rのうちの少なくとも2個は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基でありかつ当該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基からなる群より選ばれる原子または官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)で表されるものである。
それゆえ、本発明は、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施し得るものである。具体的には、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
<芳香族縮合環化合物>
本発明の芳香族縮合環化合物は、一般式(1)
Figure 2009242339
(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、R,R,R,Rのうちの少なくとも2個は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基でありかつ当該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基からなる群より選ばれる原子または官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)で表されるものである。
また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基である場合に、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基を表すことが好ましい。また、本発明の芳香族縮合環化合物は、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基である場合に、該炭化水素基または該官能基の炭素数は、1以上、20以下の範囲内であることが好ましく、6以上、12以下の範囲内であることがより好ましい。
本発明の芳香族縮合環化合物は、可溶性部分である溶解性置換基(上記R,R,R,R)と、極性を有するシアノ基とを組み合わせた構造を備えているため、溶接法を利用可能で、大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能であるという特性を有する。
また、一般式(1)で表される化合物は、シクロペンタン縮環型でないチオフェン、セレノフェンまたはテルロフェン、すなわち、かさの低いチオフェン、セレノフェンまたはテルロフェンがベンゼン環に導入されているため、ベンゼン環中のかさ高い官能基が原因で不均一となる膜を均一にすることができ、FET(電界効果トランジスタ)特性の低下を防ぐことができる。その結果、一般式(1)で表される化合物は、可溶性部分である溶解性置換基と、シクロペンタン縮環型でないチオフェン、セレノフェンまたはテルロフェンとを有することにより、溶解性の低下を防ぐことができ、かつ伝導性の低下を防ぐことができる。
シアノ基とは、炭素原子と窒素原子とが三重結合により結合している置換基であり、電子を吸引し、分子上のマイナスの電荷を安定化できる。シアノ基を有する化合物としては、ニトリル等が挙げられる。
また、上記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、高い電気陰性度と小さな原子半径を有するという理由から、フッ素、塩素が好ましく用いられる。
また、炭素原子数1〜30の炭化水素基は、R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が置換基を有していてもよく、かつ該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい。
炭化水素基としては、直鎖型、分岐型、環状型の炭化水素基であれば特に制限はなく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、有機溶媒に溶解しやすいという理由から、n−ペンチル基が好ましく用いられる。
炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するとは、該炭化水素基中の少なくとも1個の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていないことを意味する。
炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換された炭化水素基には、炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子に置換された炭化水素基、炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が硫黄原子に置換された炭化水素基、並びに、炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および硫黄原子に置換された炭化水素基が含まれる。例えば、n−ブトキシメチル基、n−ブトキシエチル基、n−ブトキシプロピル基、n−ブチルチオメチル基、n−ブチルチオエチル基、n−ブチルチオプロピル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、有機溶媒に溶解しやすいという理由から、n−ブトキシメチル基が好ましく用いられる。
炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換された炭化水素基としては、塩化メチル基、塩化エチル基、n−塩化プロピル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、合成・精製が容易であるという理由から、塩化エチル基が好ましく用いられる。
また、上記炭化水素オキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、合成・精製が容易であるという理由から、n−ブトキシ基が好ましく用いられる。
また、上記炭化水素チオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、適度な溶解性を有するという理由から、n−ブチルチオ基が好ましく用いられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、合成・精製が容易であるという理由から、フェニル基が好ましく用いられる。
また、上記脂肪族炭化水素基としては、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、かつ溶解性改善の効果が高いという理由から、n−ドデシル基が好ましく用いられる。
また、上記脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、かつ溶解性改善の効果が高いという理由から、シクロヘキシル基が好ましく用いられる。
また、上記炭化水素基でありかつ該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基としては、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、フェネチル基等が挙げられるがこれらに限定されない。その中でも、試薬の入手が容易で、合成・精製が容易であるという理由から、ベンジル基が好ましく用いられる。
上記R〜Rは、それぞれ別々の原子または官能基であってもよい。また、上記R〜Rのうち、2つまたは3つの原子または官能基が同じものであってもよく、上記R〜Rの全ての原子または官能基が同じものであってもよい。その中でも、薄膜中で分子配向の乱れを起こす確率が低くなり、高移動度を発現するには望ましいという理由から、上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基である場合に、該炭化水素基または該官能基は、同一のものであることが好ましい。特に、上記Rと上記Rとが同一のものであり、上記Rと上記Rとが同一のものであり、かつ、上記Rと上記Rとが同一のものである場合には、本発明の芳香族縮合環化合物は一種類の構造となるため、薄膜中で分子配向の乱れを起こす確率がより一層低くなる。
また、上記R,Rは、有機溶媒に溶解しやすいという理由から、ブトキシメチル基またはペンチル基であることが好ましく、ブトキシメチル基であることが特に好ましい。
また、上記R,Rは、分子全体のかさ高さを低くすることができるという理由から、水素原子であることが好ましい。
また、上記R,Rは、FETにした場合に特性が優れているという理由から、硫黄原子であることが好ましい。
<芳香族縮合環化合物の製造方法>
本発明の芳香族縮合環化合物を製造する方法は、従来公知の方法を複数組み合わせたものである。本発明者らは、実施例として後述する従来公知の方法を複数組み合わせるという新規な発想により、一般式(1)で表される化合物を見出した。
<有機半導体材料>
本発明の有機半導体材料は、上記芳香族縮合環化合物を含むものである。上記有機半導体材料は、一般式(1)で表される化合物のみからなっていてもよいし、一般式(1)で表される化合物の特性を阻害しない限り、他の物質を含んでいてもよい。他の物質を含める方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、一般式(1)で表される化合物と他の物質とを加熱攪拌することにより有機半導体材料を合成する方法を挙げることができる。
従来公知の物質として、例えば、アンモニア、有機アミン等の塩基;ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等の無機塩;ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを挙げることができる。
上記ドーパントを加えることで有機半導体材料の導電性を調整することができる。ドープの方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、気相ドーピング、液相ドーピング、固相ドーピング等を挙げることができるがこれらに限られるものではない。
本発明の有機半導体材料は、電子移動度が10−3cm/Vs以上であることが好ましい。これにより、溶接法を利用することができるn型材料としては、従来技術にはないような高い移動度となり、半導体デバイスへの応用が可能となる。
電子移動度は、ゲート誘電体としてのSiOにゲート電界を印加した結果、有機半導体層中に生じるキャリア種の電気的特性を表現する式(a)から求めることができる。
Id=ZμCi(Vg−Vt)/2L ・・・(a)
ここで、Idは飽和したソース・ドレイン電流値、Zはチャネル幅、Ciは絶縁体の電気容量、Vgはゲート電位、Vtはしきい電位、Lはチャネル長であり、μが決定する移動度(cm/Vs)である。Ciは用いたSiO絶縁膜の誘電率、Z、LはFET素子の素子構造よりに決まり、Id、VgはFET素子の電流値の測定時に決まり、VtはId、Vgから求めることができる。式(a)に各値を代入することで、それぞれのゲート電位での移動度を算出することができる。ここで、低電界において、キャリア(電子または正孔)の平均走行速度は電界に比例して増加し、その比例係数のことを移動度という。
本発明の有機半導体材料は、n型トランジスタ材料として作用することができる。これにより、キャリアとしての電子が輸送層内を自由に動くので、半導体デバイスを製造する際に、電極等を形成しやすくなる。また、n型トランジスタ材料とp型トランジスタ材料とを組み合わせることによって、両性トランジスタ材料として作用することもできる。これにより、塗布法によりCMOS等の論理回路を作製することが可能となり、半導体デバイスへの応用範囲を広げることができる。
上記p型半導体材料としては、従来公知の材料を用いることができる。例えば、GaAs,MnAs,ZnTe,MnTe等を挙げることができる。
n型トランジスタ材料とp型トランジスタ材料との組み合わせは、例えば、両方の材料を非対称に接合することによって行うことができる。具体的には、n型半導体材料とp型半導体材料とを接触させると、n型半導体材料からp型半導体材料に向かって電子が移動し、p型半導体材料からn型半導体材料に向かって正孔が移動し、電子と正孔とが互いにぶつかることにより接合が起こる。これにより、n型半導体材料とp型半導体材料との組み合わせが行われる。
なお、n型トランジスタ材料とは、n型(電子輸送)トランジスタに用いる有機半導体材料のことをいい、p型トランジスタ材料とは、p型(ホール輸送)トランジスタに用いる有機半導体材料のことをいう。また、電子輸送とは、電子をキャリアとする輸送のことをいい、ホール輸送とは、ホール(正孔)をキャリアとする輸送のことをいう。また、キャリアとは、輸送物質を運び、膜内を自由に動くことのできる担体のことをいう。
本発明の有機半導体材料は、大気中で駆動可能であることが好ましく、常温および/または常圧で駆動可能であることが特に好ましい。本発明の有機半導体材料は、上記化合物が電子を吸引するシアノ基により電子受容能が高くなる。これにより、電子移動度が高くなり、大気中でも駆動することができ、さらに、標準的な環境状態である常温および/または常圧でも駆動することができる。
トランジスタの駆動とは、キャリア(電子または正孔)の移動をゲート電圧によりスイッチング(on/off)することをいい、大気中で駆動可能であるとは、大気中で封止材を必要とせずにキャリア移動をスイッチングできることをいう。さらに、キャリア移動度が大きい場合には、トランジスタのon時の電流が大きいといえる。
また、常温とは、標準環境温度のことをいい、25℃(298.15K)の状態である。また、常圧とは、標準環境圧力のことをいい、1bar(10Pa)の状態である。常温で駆動可能であるとは、25℃(298.15K)の状態でキャリアの移動をゲート電圧によりスイッチング(on/off)できることをいい、常圧で駆動可能であるとは、1bar(10Pa)の状態でキャリアの移動をゲート電圧によりスイッチング(on/off)できることをいう。また、常温および常圧で駆動可能であるとは、25℃(298.15K)および1bar(10Pa)の標準環境状態でキャリアの移動をゲート電圧によりスイッチング(on/off)できることをいう。
また、本発明の有機半導体材料は、アニール処理されていることが好ましい。これにより、溶接法を利用することができるn型材料としての電子移動度の向上を図ることができる。
アニール処理とは、材料の融点(または分解点)以下まで温度を上げ、その後、時間をかけて徐々に冷却する処理のことをいう。アニール処理は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記有機半導体材料を、ガス、石油または電気を熱源としたバッチ式のアニール炉を用いて、80℃以上200℃以下で1時間処理する方法が好ましい。
<有機半導体材料の合成方法>
上記化合物を合成する方法としては従来公知の方法を用いることができ、例えば、以下に示す合成方法によって合成することができる。なお、以下に具体的に記載しない合成方法については、従来公知の有機合成反応を用いることが可能である。
<有機半導体形成用組成物>
本発明の有機半導体形成用組成物は、上記芳香族縮合環化合物と有機溶媒とを含むものである。上記有機半導体形成用組成物は、一般式(1)で表される化合物および有機溶媒のみからなっていてもよいし、一般式(1)で表される化合物の特性を阻害しない限り、他の物質を含んでいてもよい。他の物質を含める方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、一般式(1)で表される化合物と他の物質とを加熱攪拌することにより有機半導体形成用組成物を合成する方法を挙げることができる。
有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、n−へプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−オクタン等の炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよびトリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、メチルセルソルブ等のエーテル類;メタノール、エタノール、メトキシプロパノール等のアルコール類;などが挙げられる。
上記芳香族縮合環化合物の含有量は、上記有機半導体形成用組成物の全量に対して、0.01重量%以上10重量%以下の範囲内であることが好ましく、0.05重量%以上5重量%以下の範囲内であることがより好ましく、0.1重量%以上1重量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
<有機半導体形成用インク>
本発明の有機半導体形成用インクは、上記有機半導体形成用組成物を含むものである。上記有機半導体形成用インクは、上記有機半導体形成用組成物のみからなっていてもよいし、上記有機半導体形成用組成物の特性を阻害しない限り、他の物質を含んでいてもよい。他の物質を含める方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記有機半導体形成用組成物と他の物質とを加熱攪拌することにより有機半導体形成用インクを合成する方法を挙げることができる。
従来公知の物質として、例えば、高沸点溶媒、エチレングリコール等を挙げることができる。
<有機半導体デバイス>
本発明の有機半導体デバイスは、上記芳香族縮合環化合物を含むものである。さらに、本発明の有機半導体デバイスは、上記有機半導体材料を含んでいてもよい。上記半導体デバイスの製造方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の製造方法を用いることができる。その中で、上記芳香族縮合環化合物または上記有機半導体材料を基板に配置する方法として、真空蒸着法または溶接法を用いることができる。ここで、溶接法とは、上記芳香族縮合環化合物または上記有機半導体材料を種々の有機溶媒に溶かし、塗布法、スピンコート法、インクジェット法等により半導体デバイスを作製する方法をいう。
よって、溶接法を利用するには、上記芳香族縮合環化合物または上記有機半導体材料は、種々の有機溶媒に溶解することが必要とされる。ここで、一般式(1)で表される化合物は、可溶性部分である溶解性置換基(上記R,R,R,R)を有しているので、上記芳香族縮合環化合物または上記有機半導体材料は、種々の有機溶媒に溶解しやすい。
上記有機半導体デバイスは、具体的には、基板上に配置された上記芳香族縮合環化合物または上記有機半導体材料を含む半導体層と、それに接する2以上の電極とを備える。
上記有機半導体デバイスとしては、例えば、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、薄膜光電変換素子、色素増感太陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)、有機キャリア輸送層および/または発光層を有する発光デバイス等を挙げることができる。なお、上記トランジスタは、ユニポーラトランジスタ(電界効果トランジスタ)であってもバイポーラトランジスタであってもよい。ユニポーラトランジスタ(電界効果トランジスタ)とは、キャリアが一種類のトランジスタをいい、バイポーラトランジスタとは、キャリアが二種類のトランジスタをいう。
本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料は、シクロペンタン縮環型でないチオフェン、セレノフェンまたはテルロフェン、すなわち、かさの低いチオフェン、セレノフェンまたはテルロフェンをベンゼン環に導入しているので、ベンゼン環中のかさ高い官能基が原因で不均一となる膜を均一にすることができ、FET(電界効果トランジスタ)特性の低下を防ぐことができる。したがって、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料は、電界効果トランジスタにより好適に利用される。そこで、以下では、電界効果トランジスタの態様と製造方法について説明する。
上記電界効果トランジスタの態様や製造方法は、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いることを除けば、例えば、特開2006−28055、または、特開2006−114701に開示されているものを例示することができる。
電界効果トランジスタとしては、例えば、基板上に配置された半導体層に接するソース電極およびドレイン電極と、該ソース電極とドレイン電極との間にゲート絶縁体層を介して該半導体層上に接するゲート電極と、から構成される電界効果トランジスタを挙げることができる。
上記の構成によれば、上記ドレイン電極に一定の電圧を印加した状態で、上記ゲート電極に印加する電圧を変化させることで、ソース電極とドレイン電極との間に流れる電流を制御することができる。以下に、上記の構成の電界効果トランジスタについてさらに詳細に説明する。
上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記ゲート電極の材料は、導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アルミニウム、チタン、マグネシウム等の金属;これらの金属を含む合金;酸化スズ、酸化インジウム、スズ(ITO)等の導電性の酸化物;シリコン、ゲルマニウム等の半導体;などを用いることができるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ITOを用いることが好ましい。
また、上記ソース電極、上記ドレイン電極および上記ゲート電極の材料は、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。その中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
電極の配置方法としては、上記材料を原料として、例えば、真空蒸着やスパッタリング等の方法を用いて配置した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて配置する方法、アルミニウムや銅等の金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法等がある。
また、導電性ポリマーの溶液もしくは分散液、または、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により配置してもよい。さらに、導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト等を凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等の印刷法でパターニングする方法を用いてもよい。
また、上記電極の厚さは、作製する電界効果トランジスタの種類、構造等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。例えば、上記電界効果トランジスタの場合、電極の厚さは、0.01μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.02μm以上、0.1μm以下であることがより好ましい。0.01μm以上であることにより、電極として機能することができ、また、0.1μm以下であることにより、平滑性が維持できる。ただし、好ましい電極の厚さは種々の要素に影響されるため、これに限定されるものではない。
上記ゲート絶縁体層の材料としては絶縁体性を有する種々の化合物を用いることができる。例えば、無機化合物、無機酸化化合物、有機化合物等を挙げることができる。上記無機化合物として、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等を挙げることができる。また、上記無機酸化化合物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ等が挙げられる。また、上記有機化合物としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ樹脂等のポリマー;これらを組み合わせた共有重合体;等が挙げられる。
ゲート絶縁体層の配置方法としては、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、印刷、インクジェット等のパターニングによる方法等のウェットプロセスを挙げることができる。特に、有機化合物を用いてゲート絶縁体層を配置する方法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。また、これら絶縁体膜の膜厚としては、50nm以上、3μm以下であることが好ましく、100nm以上、1μm以下であることがより好ましい。
本発明の有機半導体材料は移動度に優れているので、上述のように、電界効果トランジスタの半導体層により好適に用いることができる。本発明の有機半導体材料を含む半導体層を上記基板に配置するには、真空蒸着法により基板上に配置することもできるが、可溶性部分である溶解性置換基(上記R,R,R,R)を有しているので、溶接法を用いる場合でも、容易に基板上に配置することができる。
それゆえ、上記溶接法を用いることで、軽量、柔軟性および大面積である電界効果トランジスタを低コストで簡便に製造することができる。
本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を含む電界効果トランジスタの製造方法は、特に限定されることなく、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外は、従来公知の電界効果トランジスタの製造方法を用いることができる。
例えば、まず、真空蒸着法によって、酸化ケイ素のゲート絶縁体層をガラス製の基板上に配置する。次に、溶接法を用いて該ゲート絶縁体層に芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を含む半導体層を配置する。その後、基板に真空蒸着法を用いて金を材料とするソース電極、ドレイン電極およびゲート電極を配置する。このような手順で電界効果トランジスタを製造することができる。
また、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外の上記バイポーラトランジスタの態様および製造方法は、例えば、特開平10−214044に記載されている公知のものを例示することができる。具体的には、バイポーラトランジスタの画素は、透明絶縁基板、陽極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、p型有機半導体層、n型有機半導体層、ベース電極、陰極から構成され、n型有機半導体からなる電子輸送層とp型有機半導体層、p型有機半導体層とn型有機半導体層、とはそれぞれpn接合を形成していることが示されている。
また、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外の上記ダイオードの態様や製造方法は、例えば、特開2002−289878に記載されている公知のものを例示することができる。具体的には、ダイオードは、互いに積層された、陽極側の正孔輸送能力を有する有機化合物からなる正孔輸送層と、陰極側の電子輸送能力を有する有機化合物からなる電子輸送層とからなり、接する正孔輸送層および電子輸送層間への電圧印加時に非線形電流電圧特性を有することが示されている。
また、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外の上記のコンデンサの態様や製造方法は、例えば、特開2005−150705に記載されている公知のものを例示することができる。具体的には、表面に誘電体層を形成した細孔を有する導電体を一方の電極(陽極)とし、電解液中で通電手法によって導電体上に形成した半導体層を他方の電極(陰極)とするコンデンサの製造方法において、通電前に細孔内に半導体層形成用前駆体を含浸し、細孔内の半導体層形成用前駆体濃度を電解液中の半導体層形成用前駆体より高濃度にすることが示されている。
また、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外の薄膜光電変換素子の態様や製造方法は、例えば、特開2006−060104に記載されている公知のものを例示することができる。具体的には、薄膜光電変換素子は、第1基体と、第1基体上に形成された第1電極と、第1基体に略平行な仮想面上で、間隔を置いて第1電極と隣接するように配置された第2電極と、少なくとも第1電極と第2電極との間に配置された光電変換層と、第1電極と第2電極と光電変換層とを間に挟んで、第1基体と対向するように配置された第2基体(透明保護膜)とを備えたものであることが示されている。
また、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外の上記の色素増感太陽電池の態様や製造方法は、例えば、特開2004−047752に記載されている公知のものを例示することができる。具体的には、色素増感太陽電池は、側面形状がほぼ直角三角形をなす透光部材の、相互に直交する一方の面を太陽光線の入射面とするとともに、他方の面に太陽電池を縦姿勢で取付け、その透光部材の傾斜面を、入射した太陽光線の反射面としてなることが示されている。
また、本発明の有機半導体デバイスは、薄膜トランジスタ(TFT)であることが好ましい。薄膜トランジスタであることにより、膜が薄いため、有機半導体デバイスの小型化、軽量化を図ることができる。薄膜トランジスタの製造方法は特に限定されないが、芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を種々の有機溶媒に溶かし、塗布法、スピンコート法、インクジェット法等により薄膜トランジスタを作製する溶接法の利用が好ましい。溶接法を用いれば、基板に紙やプラスチック等を用いることができるようになるため、有機半導体デバイスの軽量化、柔軟化が可能になる。本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料は、溶接法を用いる場合でも容易に基板上に配置することができるので、薄膜トランジスタの軽量化、柔軟化等を図る上で非常に有用である。
薄膜トランジスタの膜厚は、デバイスの構造、大きさ等に応じて適宜選択すればよい。例えば、20nm以上、1000nm以下の膜厚が一般的に用いられているが、これに限定されるものではない。「薄膜」は、可能な限り薄い膜であることが好ましく、有機半導体デバイスに用いるのに好ましい薄膜は、1nm以上、1μm以下、より好ましくは5nm以上、500nm以下、特に好ましくは10nm以上、500nm以下の範囲内である。
また、本発明の有機半導体デバイスは、有機キャリア輸送層および/または発光層を有する発光デバイスであることが好ましい。例えば、有機キャリア輸送層のみを有する発光デバイスであってもよいし、発光層のみを有する発光デバイスであってもよいし、有機キャリア輸送層および発光層を有する発光デバイスであってもよい。
有機キャリア輸送層を有することにより、キャリアが輸送層内を自由に動くので、半導体デバイスを製造する際に、電極等を形成しやすくなる。また、発光層を有することにより、電圧印加時に陽極側から注入された正孔と陰極側から注入された電子とが再結合する場を提供することができる。さらに、有機キャリア輸送層および発光層を有することにより、キャリアが輸送層内を自由に動き、電圧印加時に陽極側から注入された正孔と陰極側から注入された電子とを発光層まで輸送することができ、有機半導体デバイスを発光させることができる。
上記有機キャリア輸送層とは、キャリアを発光層まで輸送する層である。有機キャリア輸送層としては、正孔輸送層と電子輸送層の2種類を挙げることができる。上記正孔輸送層は、陽極から注入された正孔を発光層まで輸送する機能を有するものであり、上記電子輸送層は、陰極から注入された電子を発光層まで輸送する機能を有するものである。
また、上記発光層とは、発光材料を含む半導体層であって、電圧印加時に陽極側から正孔を、陰極側から電子を注入することができ、正孔と電子が再結合する場を提供することができるものである。上記発光材料には、以下に示すような、各種低分子の発光材料、各種高分子の発光材料があり、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
上記低分子の発光材料としては、例えば、ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物、フェナントレンのようなフェナントレン系化合物等の従来公知の化合物を挙げることができる。
また、上記高分子の発光材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキルフェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)(PPV)等の従来公知の化合物を挙げることができる。
また、有機キャリア輸送層に上記発光材料を包含させることで、発光層がなく有機キャリア輸送層を有する発光デバイスを製造することができる。
すなわち、正孔輸送層に発光材料を包含させた場合には、正孔輸送性発光層と電子輸送層とを含む発光デバイスとなる。また、電子輸送層に発光材料を包含させた場合には、電子輸送性発光層と正孔輸送層とを含む発光デバイスなる。この場合、正孔輸送性発光層と電子輸送層との界面付近、および、電子輸送性発光層と正孔輸送層との界面付近が、それぞれ発光層として機能する。
また、有機キャリア輸送層および/または発光層を有する発光デバイスの具体例として、有機EL素子を例示することができる。なお、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いること以外の上記の有機EL素子の態様や製造方法としては、例えば、特開2006−199909に記載されている公知のものを例示することができる。具体的には、上記有機EL素子は、基板と、基板上に設けられた陽極層と、陽極上に設けられた本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を含む半導体層と、該半導体層上に設けられた陰極層と、各層を覆うように設けられた保護層とから構成することができる。
上記半導体層は、有機キャリア輸送層および/または発光層を有している。さらに、上記有機キャリア輸送層は、正孔輸送層と電子輸送層との2層を含んでいる。上記半導体層に有機キャリア輸送層および発光層を有している場合、該半導体層は、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順で陽極上に配置されている。上記正孔輸送層は、陽極から注入された正孔を発光層まで輸送する機能を有するものであり、上記電子輸送層は、陰極から注入された電子を発光層まで輸送する機能を有するものである。
上記の構成によれば、陽極と陰極との間に通電(電圧を印加)すると、正孔輸送層中を正孔が移動し、かつ電子輸送層中を電子が移動し、発光層において正孔と電子とが再結合する。そして、発光層では、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、このエキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出することで発光する。
また、上記半導体層は、発光層がなく有機キャリア輸送層を有するものであってもよい。上記の構成によれば、該有機キャリア輸送層に、上記正孔輸送性発光層、電子輸送性発光層を用いることができる。この場合、正孔輸送性発光層と電子輸送層との界面付近、および、電子輸送性発光層と正孔輸送層との界面付近が、それぞれ発光層として機能する。正孔輸送性発光層を用いた場合には、陽極から正孔輸送性発光層に注入された正孔が電子輸送層によって閉じこめられ、また、電子輸送性発光層を用いた場合には、陰極から電子輸送性発光層に注入された電子が電子輸送性発光層に閉じこめられるため、いずれも正孔と電子との再結合効率を向上させることができるという利点がある。
また、上記半導体層は、有機キャリア輸送層がなく発光層を有するものであってもよい。上記の構成によれば、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料と上記発光材料とを含む発光層を用いることができる。
ここで、上記基板は、有機EL素子の支持体となるものであり、この基板上に上述した各層が配置されている。上記基板の構成材料としては、透光性を有し、光学特性が良好な材料を用いることができる。
このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂材料、各種ガラス材料などが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
上記基板の厚さは、特に限定されないが、0.1mm以上、30mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上、10mm以下であるのがより好ましい。
上記陽極は、上記正孔輸送層に正孔を注入する電極である。また、上記陽極は、上記発光層からの発光を視認し得るように、実質的に透明(無色透明、有色透明、半透明)とされている。このような陽極材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物;Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金;などが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
上記陽極の厚さは、特に限定されないが、10nm以上、200nm以下であるのが好ましく、50nm以上、150nm以下であるのがより好ましい。陽極の厚さが薄すぎると、陽極としての機能が充分に発揮されなくなるおそれがあり、一方、陽極が厚過ぎると、陽極材料の種類等によっては、光の透過率が著しく低下し、実用に適さなくなるおそれがある。
一方、上記陰極は、上記電子輸送層に電子を注入する電極である。このような陰極材料としては、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を用いることができる。
上記陰極の厚さは、1nm以上、1μm以下であるのが好ましく、100nm以上、400nm以下であるのがより好ましい。陰極の厚さが薄すぎると、陰極としての機能が充分に発揮されなくなるおそれがあり、一方、陰極が厚過ぎると、有機EL素子の発光効率が低下するおそれがある。
本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料は、上記半導体層の正孔輸送層、発光層および電子輸送層の各層に用いることができる。したがって、本発明の有機半導体デバイスは、上記半導体層のどれか1つの層に上記芳香族縮合環化合物または有機半導体材料が配置されているもの、複数の層に配置されているもの、または、全ての層に配置されているものを含む。
本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を上記半導体層の各層へ配置するには、真空蒸着法により配置することもできるが、上述したような溶接法を用いて半導体層の各層へ配置することが好ましい。上記溶接法を用いることで、軽量、柔軟性および大面積である有機EL素子を低コストで簡便に製造することができる。
なお、各層同士の間には、任意の目的の層が設けられていてもよい。例えば、正孔輸送層と陽極との間には、陽極からの正孔の注入効率を向上させる正孔注入層を設けることができる。また、電子輸送層と陰極との間には、陰極からの電子の注入効率を向上させる電子注入層等を設けることができる。このように、有機EL素子に正孔注入層および電子注入層を設ける場合には、この正孔注入層および電子注入層の構成材料として、本発明の芳香族縮合環化合物または有機半導体材料を用いることができる。
有機EL素子を構成する各層は保護層によって覆われていることが好ましい。この保護層は、有機EL素子を構成する各層を気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。保護層を設けることにより、有機EL素子の信頼性の向上や、変質・劣化の防止等の効果が得られる。
上記保護層の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金;酸化シリコン、各種樹脂材料;などを挙げることができる。なお、保護層の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、保護層と各層との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、本発明の有機半導体デバイスの製造方法においては、上記有機半導体材料をアニール処理しておくことが好ましい。これにより、溶接法を利用することができるn型材料の電子移動度の向上を図ることができる。
本発明の有機半導体デバイスの用途としては、ダイオード、薄膜トランジスタ、メモリ、フォトダイオード、発光ダイオード、発光トランジスタ、ガスセンサー、バイオセンサー、血液センサー、免疫センサー、人工網膜、味覚センサー等が挙げられ、薄膜トランジスタまたは発光デバイスとして機能することが好ましい。薄膜トランジスタは、ディスプレイを構成する画素のスイッチング用トランジスタ、信号ドライバー回路素子、メモリ回路素子、信号処理回路素子等として好適に使用できる。ディスプレイの例としては、液晶ディスプレイ、分散型液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ、粒子回転型表示素子、エレクトロクロミックディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられる。
一般式(1)で表される芳香族縮合環化合物を合成した実施例を以下に示す。
<(I)一般式(1)中、RおよびRがn−ヘキシル基、n−オクチル基またはn−ドデシル基、RおよびRが水素原子、RおよびRが硫黄原子で表される芳香族縮合環化合物の合成>
Figure 2009242339
・・・(A)
一般式(1)で表される芳香族縮合環化合物の合成法は、上記スキーム(A)の方法である。つまり、従来公知の方法に従い、チオフェンカルボン酸から化合物1〜3を経て化合物4を合成した後、最後の工程でジシアノメチレン基の導入および酸化によるキノイド化を行う。なお、上記スキーム(A)における化合物1の合成は、Beimling, P.; Koamehl, G. Chem. Ber. 1986, 119, 3198-3203.に記載されている。また、化合物2〜4の合成は、Pan, H.; Li, Y.; Wu, Y.; Liu, P.; Ong, B. S.; Zhu, S.; Xu, G. Chem. Mater. 2006, 18, 3237-3241.に記載されている。また、化合物5の合成については、無置換体の化合物の合成が、上記非特許文献4に記載されている。
<(II)一般式(1)で表される芳香族縮合環化合物の物性>
<電子吸収スペクトル(UV−Vis)の測定>
溶媒にクロロホルムを用い、電子吸収スペクトル測定を行った。図3は、化合物5a〜5cにおける電子吸収スペクトル(ε/M−1cm−1)と吸収波長(λ/nm)との関係を示すものである。化合物5a〜5cのいずれの化合物も、類似の電子吸収スペクトルを有することが分かった。
<CV(サイクリックボルタモグラム)の測定>
溶媒にベンゾニトリル、支持塩にテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート(n−BuNPF、0.1M)、作用電極および対電極に白金線、参照電極に銀/塩化銀電極を用い、100mV/secの速度で電位を掃引し、CV測定を行った。化合物5a〜5cのすべての化合物において、2組の酸化還元波が見られ、第1半波還元電位はいずれも0.06V、第2半波還元電位は−0.23Vであり、高い電子受容能を有することが分かった。
<FET特性の評価>
上記芳香族縮合環化合物におけるFET特性の評価について、以下の方法でFET素子を作製した。まず、SiO基板を面積1×1cm程度の大きさに切り出し、裏面(下側の面)をフッ化水素酸で処理し、空気中で酸化されているシリカを取り除いた後、Auを真空蒸着することでゲート電極を作製した。次に、SiO基板表面上に0.2wt%に調製した上記化合物のクロロホルム溶液を用いてスピンコート法(回転しているSiO基板上に調整した上記化合物を、パスツールを用いて滴下する方法)により有機薄膜を作製した(有機薄膜作製条件:4000rpm、30sec)。最後に、有機薄膜上にシャドウマスクを用いてAuを真空蒸着することでソース・ドレイン電極を作製した。今回作製したFET素子の設定はチャネル長50μm、チャネル幅1.5mmである。このようにして作製したFET素子はトップコンタクト型であり、図1は、その構造を示すものである。また、図2は、そのボトムコンタクト型のOTFT素子を示すものである。
FET素子の性能は、ゲートに電位をかけた状態でソース・ドレイン間に電位をかけた時に流れた電流量に依存する。この電流値を測定することでFETの特性である移動度を決めることができる。移動度は、絶縁体としてのSiOにゲート電界を印加した結果、有機半導体層中に生じるキャリア種の電気的特性を表現する式(a)から求めることができる。
Id=ZμCi(Vg−Vt)2/2L・・・(a)
ここで、Idは飽和したソース・ドレイン電流値、Zはチャネル幅、Ciは絶縁体の電気容量、Vgはゲート電位、Vtはしきい電位、Lはチャネル長であり、μが決定する移動度(cm/Vs)である。Ciは用いたSiO絶縁膜の誘電率、Z,LはFET素子の素子構造よりに決まり、Id,VgはFET素子の電流値の測定時に決まり、VtはId,Vgから求めることができる。式(a)に各値を代入することで、それぞれのゲート電位での移動度を算出することができる。
以上のことを用いて、大気中における上記芳香族縮合環化合物である化合物5(後述する化合物5a・5b・5c)のFET特性についての評価を行った。表1は、FET特性の結果を示すものである。
Figure 2009242339
<(III)芳香族縮合環化合物2〜5(以下、「化合物2〜5」という)の具体的な合成方法>
化合物2〜5の合成は、具体的には以下のような操作で行うことができた。以下の操作において、不活性ガス下の反応や測定には無水蒸留した溶媒を用い、その他の反応や操作においては市販一級または特級の溶媒を用いた。また、試薬は必要に応じて無水蒸留等で精製し、その他は市販一級または特級の試薬を用いた。カラムクロマトグラフィーによる精製にはダイソーゲルIR−60(シリカゲル、活性)、MERCK Art 1097 Aluminiumoxide 90(アルミナ、活性)、TLCにはSilicagel 60F254(MERCK)を用いた。溶媒の留去にはロータリーエバポレーターを用いた。以下に、使用した分析機器および測定機器を示す。
核磁気共鳴分光(以下、「1H-NMR」という)は、日立 RS-1200核磁気共鳴装置(60MHz,σ値,ppm,内部基準 TMS)、日本電子 LAMBDA-NMR(395.75MHz,σ値,ppm,内部基準 TMS)を用いて行った。質量分析(以下、「MS」という)は、MALDI-MS KRATOS ANALYYTICAL KOMPACT MALDI、島津 GCMS-QP5050型質量分析装置を用いて行った。元素分析(以下、「Anal.」という)は、Parkin Elmer 2400CHN型元素分析計(依頼分析)を用いて行った。分解点(decomposition temperature、以下「d.p.」という)は、柳本微量融点測定器MP-03Sを用いて行った。
<化合物2>
化合物2は、下記一般式(4)で表される。
Figure 2009242339
窒素雰囲気下、100mlの三口フラスコに1−アルキン(54.55mmol)と無水THF(20mL)とを加え、−78℃に冷却した。続いて、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M,54.6mmol)をゆっくり滴下し、その温度で30分間攪拌した。さらに、−50℃に昇温し、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン−4,8−ジオン(2.0g,9.09mmol)を加え、室温まで昇温した。続いて、塩化スズ(II)(13.4g,32mmol)の4N塩酸溶液(32mL)を滴下し、50℃で1時間加熱した。反応終了後、クロロホルムで抽出し、かつ飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下で留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン,Rf=0.4)で精製した。得られた固体を加熱ヘキサンに溶解し、エタノールで再沈殿することにより、化合物2を淡黄色結晶として得た。
ここで、上記化合物2において、n=4の場合を化合物2a,n=6の場合を化合物2b,n=10の場合を化合物2cとした。
<化合物2a>
化合物2aは、収率75%,H-NMR(270MHz,CDCl3
δ7.59(d,J=5.7Hz,2H),7.50(d,J=5.6Hz,2H),2.65(t,J=6.8Hz,4H),
1.76-1.59(m,9H),1.05(t,J=7.3Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=350(M)という測定結果であった。
<化合物2b>
化合物2bは、収率81%,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.57(d,J=5.6Hz,2H),7.50(d,J=5.6Hz,2H),2.63(t,J=7.0Hz,4H),
1.75-1.35(m,16H),0.928(d,J=7.2Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=406(M)という測定結果であった。
<化合物2c>
化合物2cは、H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.57(d,J=5.6Hz,2H),7.50(d,J=5.6Hz,2H),2.63(t,J=7.0Hz,4H),
1.77-1.23(m,32H),0.88(d,J=7.0Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=518(M)という測定結果であった。
<化合物3>
化合物3は、下記一般式(5)で表される。
Figure 2009242339
アルゴン置換を行った100mlの丸底フラスコに4,8−ジアルキン−1−イルベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン(6.86mmol)、Pd/C(698mg)、無水THF(110mL)を加えた。その後、アスピレーターで2,3回水素置換を行い、水素雰囲気下、室温で4.5時間攪拌した。反応終了後、吸引濾過によって、Pd/Cを取り除き、減圧下で溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン,Rf=0.5)によって精製した。得られた固体を加熱エタノール・ヘキサン混合溶媒に溶解させ、メタノールで再沈殿することにより、化合物3を白色針状晶として得た。
ここで、上記化合物3において、n=6の場合を化合物3a,n=8の場合を化合物3b,n=12の場合を化合物3cとした。
<化合物3a>
化合物3aは、収率69%,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.47(d,J=5.7Hz,2H),7.44(d,J=5.4Hz,2H),3.17(t,J=7.9Hz,4H),
1.83-1.30(m,16H),0.88(t,J=7.0Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=358(M)という測定結果であった。
<化合物3b>
化合物3bは、収率69%,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.46(d,J=5.6Hz,2H),7.44(d,J=5.6Hz,2H),3.17(t,J=7.8Hz,4H),
1.84-1.24(m,24H),0.87(d,J=6.8Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=414(M)という測定結果であった。
<化合物3c>
化合物3cは、収率79%,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.47(d,J=5.2Hz,2H),7.45(d,J=5.6Hz,2H),3.18(d,J=8.0Hz,4H),
1.82-1.20(m,40H),0.88(t,J=7.0Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=526(M)という測定結果であった。
<化合物4>
化合物4は、下記一般式(6)で表される。
Figure 2009242339
窒素雰囲気下、100mlの三口フラスコに4,8−ジアルキルベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン(4.5mmol)、無水塩化メチレン(30mL)、酢酸(7.5mL)を加え、N−ブロモコハク酸イミド(1.75g,9.83mmol)を10分間かけて少しずつ加えた。続いて、反応溶液を室温で24時間攪拌した後、水(50mL)を加えて反応を止めた。反応溶液を塩化メチレン(50mL×2)で抽出し、かつ水(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン,Rf=0.7)で精製し、加熱ヘキサンに溶解しエタノールで再沈殿することにより、化合物4を黄色針状晶として得た。
ここで、上記化合物4において、n=6の場合を化合物4a,n=8の場合を化合物4b,n=12の場合を化合物4cとした。
<化合物4a>
化合物4aは、収率72%,H-NMR(270MHz,CDCl3
δ7.42(s,2H),2.99(t,J=7.7Hz,4H),
1.76-1.29(m,16H),0.89(t,J=7.0Hz,6H)という測定結果であった。
<化合物4b>
化合物4bは、収率47%,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.41(s,2H),2.65(t,J=8.0Hz,4H),
1.75-1.20(m,24H),0.88(t,J=7.0Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=572(M)という測定結果であった。
<化合物4c>
化合物4cは、収率60%,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.41(s,2H),2.99(t,J=8.0Hz,4H),
1.73-1.26(m,40H),0.88(t,J=6.8Hz,6H),
M.S.(70eV,EI)m/z=684(M)という測定結果であった。
<化合物5>
化合物5は、下記一般式(7)で表される。
Figure 2009242339
窒素雰囲気下、20mlの二口フラスコにマロノニトリル(57.9mg,0.876mmol)、無水THF(10mL)を加えた後、室温で水素化ナトリウム(60wt%oil,81.6mg,2.0mmol)を加え、30分間攪拌した。続いて、2,6−ジブロモ−4,8−ジアルキルベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン(0.292mmol)、Pd(PPh(84.4mg,73μmol)加え、3時間還流した。反応終了後、室温になるまで放冷し、4N塩酸を少量加え、THFをアルゴン下で留去した。そして、再び4N塩酸を強酸性になるまで加え、析出した固体を濾取し、水および/またはエタノールで洗浄した後、乾燥した。続いて、得られた固体をクロロホルム(100mL)に溶解し、分液漏斗を用いて飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。その溶液から減圧下で溶媒を留去した。得られた固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,ヘキサン:塩化メチレン=1:1)で、まずRf=0.4の成分を取り除き、続いて移動層を塩化メチレンに変えて、Rf=0.8の成分を分取した。その後、加熱クロロホルムに溶解し、エタノールで再沈殿することにより、化合物5を深紫固体として得た。
なお、各測定には、GPCにより生成したものを用いた。
ここで、上記化合物5において、n=6の場合を化合物5a,n=8の場合を化合物5b,n=12の場合を化合物5cとした。
<化合物5a>
化合物5aは、収率57%,d.p.257-258℃,H-NMR(270MHz,CDCl3
δ7.38(s,2H),2.71(t,J=7.7Hz,4H),
1.57-1.32(m,16H),0.91(t,J=7.0Hz,6H),
13C-NMR(100MHz,CDCl3),
MS(MALDI-TOF,1,8,9-trihydroxyantracene matrix)
m/z=483.87,IR(KBr) νCN=2213.35cm-1,
Anal.Calcd for C28H28N4S2:C,69.39;H,5.82;N,11.56;S,13.23%;
Found:C,69.28;H,5.77;N,11.39;S,13.34%という測定結果であった。
<化合物5b>
化合物5bは、収率59%,d.p.252-253℃,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.38(s,2H),2.71(t,J=7.8Hz,4H),
1.68-1.25(m,24H),0.89(t,J=6.8Hz,6H),
13C-NMR(100MHz,CDCl3),
δ169.417,147.308,142.963,134.287,128.811,113.367,112.650,74.626,33.104,31.907,
29.903,29.778,29.521,29.438,29.246,22.674,14.229,
MS(MALDI-TOF,1,8,9-trihydroxyantracene matrix)
m/z=539.72,IR(KBr) νCN=2215.18cm-1,
Anal.Calcd for C40H52N4S2:C,73.57;H,8.03;N,8.58;S,9.82%;
Found:C,73.35;H,8.12;N,8.62;S,9.76%という測定結果であった。
<化合物5c>
化合物5cは、収率59%,d.p.215-216℃,H-NMR(400MHz,CDCl3
δ7.38(s,2H),2.71(t,J=7.9Hz,4H),
1.66-1.26(m,40H),0.88(t,J=6.8Hz,6H),
13C-NMR(100MHz,CDCl3),
δ169.271,147.152,142.797,134.125,128.657,113.205,112.490,74.453,32.958,31.893,
29.770,29.584×3,29.451,29.348×2,29.321,22.683,14.133,
MS(MALDI-TOF,1,8,9-trihydroxyantracene matrix)
m/z=651.89,IR(KBr) νCN=2216.21cm-1,
Anal.Calcd for C32H36N4S2:C,71.07;H,6.71;N,10.36;S,11.86%;
Found:C,71.07;H,6.81;N,10.40;S,11.78%という測定結果であった。
以上のように、本発明では、芳香族縮合環化合物および有機半導体材料の溶解性、伝導性、および電子移動度を向上させることができるため、溶接法を利用可能で大気中でも安定にn型トランジスタ動作が可能な芳香族縮合環化合物および有機半導体材料を提供することが可能となる。そのため、本発明は、トランジスタ、有機FETデバイス、ダイオード、コンデンサ、薄膜光電変換素子、色素増感太陽電池、薄膜トランジスタ(TFT)、有機キャリア輸送層および/または発光層を有する発光デバイス、有機ELデバイス等の分野に利用することが可能である。
本発明の一実施形態にかかる有機半導体材料のFET特性を評価するために作製したFET素子を表す側面図および上面図である。 本発明の一実施形態にかかる有機半導体材料のFET特性を評価するために作製したOTFT素子を表す斜視図である。 本発明の一実施形態にかかる有機半導体材料の電子吸収スペクトルと吸収波長との関係を表すグラフである。

Claims (25)

  1. 一般式(1)
    Figure 2009242339
    (式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基であり、R,R,R,Rのうちの少なくとも2個は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基でありかつ当該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基からなる群より選ばれる原子または官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)
    で表されることを特徴とする芳香族縮合環化合物。
  2. 上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の炭化水素基であるときの、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子が芳香族炭化水素基に置換された炭化水素基を表すことを特徴とする請求項1に記載の芳香族縮合環化合物。
  3. 上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基であるときの、該炭化水素基または該官能基の炭素数は、1以上、20以下の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の芳香族縮合環化合物。
  4. 上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基であるときの、該炭化水素基または該官能基の炭素数は、6以上、12以下の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物。
  5. 上記R,R,R,Rのうちの少なくとも2個が、炭化水素基または該炭化水素基中の炭素原子若しくは水素原子が置換された官能基であるときの、該炭化水素基または該官能基は、同一のものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物。
  6. 一般式(1)中、RおよびRはブトキシメチル基を表すことを特徴とする請求項5に記載の芳香族縮合環化合物。
  7. 上記RとRとが、同一の原子であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物。
  8. 一般式(2)
    Figure 2009242339
    (式中、R,Rはそれぞれ独立して炭化水素基でありかつ当該炭化水素基が少なくとも1個の炭素原子を有するように当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の炭素原子が酸素原子および/または硫黄原子に置換されていてもよく、当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい炭化水素基、炭化水素オキシ基、炭化水素チオ基、アリール基、炭化水素基でありかつ当該炭化水素基中の1個又はそれ以上の水素原子がアリール基に置換された炭化水素基からなる群より選ばれる官能基を表し、R,Rはそれぞれ独立して硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す)
    で表されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物を含むことを特徴とする有機半導体材料。
  10. 電子移動度が、10−3cm/Vs以上であることを特徴とする請求項9に記載の有機半導体材料。
  11. 上記有機半導体材料が、n型トランジスタ材料であることを特徴とする請求項9または10に記載の有機半導体材料。
  12. 請求項11に記載の有機半導体材料とp型トランジスタ材料とを含む両性トランジスタ材料であることを特徴とする有機半導体材料。
  13. 大気中で駆動可能であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
  14. 常温で駆動可能であることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
  15. 常圧で駆動可能であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
  16. アニール処理されていることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
  17. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物と有機溶媒とを含むことを特徴とする有機半導体形成用組成物。
  18. 上記芳香族縮合環化合物の含有量が、上記有機半導体形成用組成物の全量に対して、0.01重量%以上、10重量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項17に記載の有機半導体形成用組成物。
  19. 請求項17または18に記載の有機半導体形成用組成物を含むことを特徴とする有機半導体形成用インク。
  20. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物を含むことを特徴とする有機半導体デバイス。
  21. 請求項9〜16のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含むことを特徴とする有機半導体デバイス。
  22. 有機キャリア輸送層および/または発光層を有する発光デバイスであることを特徴とする請求項20または21に記載の有機半導体デバイス。
  23. 有機半導体層を有する薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項20〜22のいずれか1項に記載の有機半導体デバイス。
  24. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の芳香族縮合環化合物を、溶接法により基板に配置する工程を含むことを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法。
  25. 請求項9〜16のいずれか1項に記載の有機半導体材料を、溶接法により基板に配置する工程を含むことを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法。
JP2008093328A 2008-03-31 2008-03-31 芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法 Pending JP2009242339A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008093328A JP2009242339A (ja) 2008-03-31 2008-03-31 芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008093328A JP2009242339A (ja) 2008-03-31 2008-03-31 芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009242339A true JP2009242339A (ja) 2009-10-22

Family

ID=41304686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008093328A Pending JP2009242339A (ja) 2008-03-31 2008-03-31 芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009242339A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101798310A (zh) * 2010-03-05 2010-08-11 中国科学院长春应用化学研究所 一种有机半导体材料及使用该材料的有机薄膜晶体管
US8480926B2 (en) 2010-07-06 2013-07-09 Jnc Corporation Liquid-crystalline compound and organic semiconductor device containing the compound
WO2014061745A1 (ja) 2012-10-18 2014-04-24 日本化薬株式会社 新規縮合多環芳香族化合物及びその用途
KR101419923B1 (ko) 2011-05-09 2014-07-15 한국화학연구원 신규한 벤조디티오펜 유도체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 유기태양전지
WO2014133100A1 (ja) 2013-02-28 2014-09-04 日本化薬株式会社 新規縮合多環芳香族化合物及びその用途
CN109912619A (zh) * 2017-12-13 2019-06-21 北京夏禾科技有限公司 有机电致发光材料和器件
CN113321620A (zh) * 2020-02-28 2021-08-31 北京夏禾科技有限公司 有机电致发光材料和器件
US11466026B2 (en) 2017-12-13 2022-10-11 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
US11466009B2 (en) * 2017-12-13 2022-10-11 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
US11897896B2 (en) 2017-12-13 2024-02-13 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
US11950507B2 (en) 2019-12-03 2024-04-02 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescence device

Cited By (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101798310A (zh) * 2010-03-05 2010-08-11 中国科学院长春应用化学研究所 一种有机半导体材料及使用该材料的有机薄膜晶体管
US8480926B2 (en) 2010-07-06 2013-07-09 Jnc Corporation Liquid-crystalline compound and organic semiconductor device containing the compound
KR101419923B1 (ko) 2011-05-09 2014-07-15 한국화학연구원 신규한 벤조디티오펜 유도체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 유기태양전지
JPWO2014061745A1 (ja) * 2012-10-18 2016-09-05 日本化薬株式会社 新規縮合多環芳香族化合物及びその用途
WO2014061745A1 (ja) 2012-10-18 2014-04-24 日本化薬株式会社 新規縮合多環芳香族化合物及びその用途
CN104903330A (zh) * 2012-10-18 2015-09-09 日本化药株式会社 新的稠合多环芳香族化合物及其用途
US9564604B2 (en) 2012-10-18 2017-02-07 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Fused polycyclic aromatic compounds, organic semiconductor material and thin film including the same, and method for producing an organic semiconductor device
US9859508B2 (en) 2013-02-28 2018-01-02 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Condensed polycyclic aromatic compound and use thereof
JPWO2014133100A1 (ja) * 2013-02-28 2017-02-02 日本化薬株式会社 新規縮合多環芳香族化合物及びその用途
CN105008374A (zh) * 2013-02-28 2015-10-28 日本化药株式会社 新型稠合多环芳族化合物及其用途
WO2014133100A1 (ja) 2013-02-28 2014-09-04 日本化薬株式会社 新規縮合多環芳香族化合物及びその用途
TWI614254B (zh) * 2013-02-28 2018-02-11 日本化藥股份有限公司 新穎之縮合多環芳香族化合物及其用途
CN109912619A (zh) * 2017-12-13 2019-06-21 北京夏禾科技有限公司 有机电致发光材料和器件
US11349080B2 (en) 2017-12-13 2022-05-31 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
CN114920757A (zh) * 2017-12-13 2022-08-19 北京夏禾科技有限公司 有机电致发光材料和器件
US11466026B2 (en) 2017-12-13 2022-10-11 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
US11466009B2 (en) * 2017-12-13 2022-10-11 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
US11897896B2 (en) 2017-12-13 2024-02-13 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent materials and devices
US11950507B2 (en) 2019-12-03 2024-04-02 Beijing Summer Sprout Technology Co., Ltd. Organic electroluminescence device
CN113321620A (zh) * 2020-02-28 2021-08-31 北京夏禾科技有限公司 有机电致发光材料和器件

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009242339A (ja) 芳香族縮合環化合物およびこれを含む有機半導体材料、有機半導体デバイス、並びに、それらの製造方法
Zhang et al. Recent advances in n-type and ambipolar organic semiconductors and their multi-functional applications
TWI588150B (zh) 雜環化合物及其利用
JP5622585B2 (ja) 新規な複素環式化合物及びその利用
KR101902496B1 (ko) 칼코겐 함유 방향족 화합물, 유기 반도체 재료 및 유기 전자 디바이스
TW201217378A (en) Nitrogenated aromatic compound, organic semiconductor material, and organic electronic device
Ahmed et al. Novel n-type conjugated ladder heteroarenes: Synthesis, self-assembly of nanowires, electron transport, and electroluminescence of bisindenoanthrazolines
TW201231459A (en) Electroactive compositions for electronic applications
JP5131701B2 (ja) 有機半導体材料およびこれを用いた有機半導体デバイス並びにそれらの製造方法
TW201229052A (en) Heteroacene compound, organic semiconductor material, and organic electronic device
JP5344441B2 (ja) 新規化合物及びその製造方法、並びに有機半導体材料及び有機半導体デバイス
Anjali et al. Ester-Flanked π-Extended Quinolines for Solution-Processable Ambipolar Organic Field-Effect Transistors
WO2012115218A1 (ja) ジアントラ[2,3-b:2',3'-f]チエノ[3,2-b]チオフェンの製造方法並びにその用途
TWI614254B (zh) 新穎之縮合多環芳香族化合物及其用途
WO2013031468A1 (ja) 複素環式化合物及びその利用
JP6478278B2 (ja) 有機多環芳香族化合物、およびその利用
JP5600267B2 (ja) 新規な化合物及びその利用
WO2012165612A1 (ja) 有機半導体材料及び有機エレクトロニクスデバイス
JP6478279B2 (ja) 有機多環芳香族化合物、およびその利用
JP6478277B2 (ja) 有機多環芳香族化合物、およびその利用
VARZEGHANI SYNTHESIS OF DERIVATIVES OF 3-(4-CYANOPHENYL) THIENO [3, 2-b] THIOPHENE AND THEIR ELECTRONIC AND OPTOELECTRONIC APPLICATIONS
JP5596364B2 (ja) 含窒素有機化合物及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子