JP2009240970A - 超微粒子分散体の分散媒置換方法及びそれによって製造された超微粒子分散液 - Google Patents

超微粒子分散体の分散媒置換方法及びそれによって製造された超微粒子分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散された分散体から分散媒を除去し、所望の別の分散媒、とりわけ極性溶媒に任意の濃度で、分散性や分散安定性を保持しつつ置換できる分散媒置換方法を提供すること。
【解決手段】金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が、界面活性剤の存在下に分散媒(A)中に体積分布メジアン径(D50)100nm以下で分散されている超微粒子分散体の分散媒(A)を分散媒(C)に置換する分散媒置換方法であって、液体(B)を上記超微粒子分散体に加えることによって該超微粒子を沈降させて上澄み液中の分散媒(A)を実質的に除いた後、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と分散媒(C)を加えることを特徴とする分散媒置換方法、及び、その分散媒置換方法を用いて得られた、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子分散液。
【選択図】図4

Description

本発明は、超微粒子分散体の分散媒置換方法に関し、更に詳しくは、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散されている超微粒子分散体において、その分散媒を別の分散媒に置換する分散媒置換方法に関するものである。
金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子分散液は、IC基板、半導体素子等の配線、半導体モジュールの層間接続、透明導電膜の形成、金属と非金属との接合、液のコロイド色を利用した色フィルター等に広く用いられている。
しかし、一旦、分散性等を考慮して得られた超微粒子分散体における分散媒を、上記した用途等に適応した別の好ましい分散媒に置換する方法は殆ど知られていなかった。一方、「溶質が溶解している溶液」における溶媒を、別の溶媒に置換する方法は、昔から一般によく知られている。しかしながら、超微粒子分散液の場合、分散媒を別の分散媒に置換するために分散媒を加熱減圧留去しようとすると、超微粒子同士が会合してしまったり、また、一旦沈殿させてから別の分散媒を加えようとしても、沈殿させたときに超微粒子同士が会合してしまったりして、分散媒置換は難しいものであり、また検討もあまり行なわれていなかった。
その理由として、上記した種々の用途に用いようとした場合、最初からそれぞれの用途に適した分散媒に分散させて超微粒子分散液を調製すれば事足りるため、分散媒置換の必要性があまりなかったことも挙げられる。しかしながら、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が好適に分散した分散液を得ようとすると、分散性・分散安定性を先ず優先した分散媒を用いて超微粒子分散体を調製しておき、その後、その分散媒を別の分散媒に置換する必要性が生じる場合がある。
一方、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子分散液の製造方法としては、酸化状態の金属化合物の水溶液を、還元剤で還元して金属超微粒子の分散液を得る化学的方法が知られている。また、スパークエロージョン法、ガス中蒸発法、液相真空蒸着法等の物理的方法が知られている。スパークエロージョン法は、分散させたい金属等を電極として用い、分散媒中で電極間に放電を発生させることによって、超微粒子分散液を製造する方法であり、ガス中蒸発法は、減圧した不活性気体の存在下に、分散させたい金属又は金属化合物の蒸気を発生させ、気相中で超微粒子を生成させ、生成した直後に、それを溶媒に捕集して超微粒子分散液を製造する方法である(特許文献1参照)。
液相真空蒸着法は、界面活性剤で表面が覆われた高沸点分散媒の表面に金属等を蒸着させ、金属原子等が凝集して超微粒子が形成されると同時に、その超微粒子を界面活性剤で保護して超微粒子同士の会合を防止し、超微粒子が高沸点液体中に分散された分散体を得る方法である(特許文献2参照)。この方法では、超微粒子が直接液体である高沸点分散媒中に生成するので、気体と気体との接触に起因する超微粒子同士の会合等は生じ難く、優れた超微粒子分散体が得られるものであった。
しかしながら、優れた超微粒子分散体は得られるものの、分散媒が高沸点、低蒸気圧のものに限定されるため、上記した種々の分散液の用途には適応できないことが多く、分散媒置換が必須となる場合があった。
このように、特に液相真空蒸着法では分散媒置換は必須のものとなる場合が多いが、上記したような他の製造方法によって製造された超微粒子分散液においても、分散媒を置換する必要性は極めて高い。前記した例のように超微粒子の用途が拡大し、超微粒子分散体の分散媒置換方法は重要性が増してきてはいるが、分散状態を良好に保ったままで、分散媒だけを別の分散媒に置換する方法については、未だ優れた方法がなかった。
そこで本発明者は、金属等の超微粒子が分散された分散体から分散媒を除去し、所望の別の分散媒に置換できる分散媒置換方法を、既に出願しているが(特願2007−142497)、この分散媒置換方法において、別の分散媒としてとりわけ極性溶媒を使用する場合には、分散性や分散安定性の面で更なる改良が必要であった。
近年、分散性・分散安定性に優れた「金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子分散液」がより強く望まれるようになってきているが、それを実現させるためにも、優れた分散媒置換方法が求められていた。
特開2002−121606号公報 国際公開WO2005/099941号公報
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散された分散体から分散媒を除去し、所望の別の分散媒、とりわけ極性溶媒に、分散性や分散安定性を保持しつつ置換できる分散媒置換方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、置換しようとする超微粒子分散体に対して、液体(B)を加えることによって該超微粒子を一旦沈降させ、その後にポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)を加えることによって、分散性や分散安定性を保持しつつ、分散媒置換された超微粒子分散液が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
更に、該超微粒子を一旦沈降させるために加える液体(B)として、「置換しようとする超微粒子分散体の分散媒(A)」及び「超微粒子の分散に用いられている界面活性剤」に対して特定の関係にある液体(B)を用いて該超微粒子を一旦沈降させれば、分散性や分散安定性により優れた「分散媒置換された超微粒子分散液」が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が、界面活性剤の存在下に分散媒(A)中に、体積分布メジアン径(D50)100nm以下で分散されている超微粒子分散体の分散媒置換方法であって、液体(B)を上記超微粒子分散体に加えることによって、該超微粒子を沈降させて上澄み液中の分散媒(A)を実質的に除いた後、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と分散媒(C)を加える過程を有することを特徴とする超微粒子分散体の分散媒置換方法を提供するものである。
また、本発明は、分散媒(C)が、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)を溶解できるものであることを特徴とする超微粒子分散体の上記分散媒置換方法を提供するものである。更に、本発明は、分散媒(C)が極性溶媒であることを特徴とする超微粒子分散体の上記分散媒置換方法を提供するものである。
更に、本発明は、上記の分散媒置換方法によって製造され、分散媒(C)中に、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散されている超微粒子分散液を提供するものである。
本発明によれば、超微粒子分散体の分散性、分散安定性、高濃度分散性等を良好に保ったままで、所望の分散媒、とりわけ極性溶媒に置換することができるので(すなわち、分散維持性が良好なため)、分散媒置換されて得られた超微粒子分散液は、種々の用途への適用が可能になる。すなわち、置換した新たな分散媒は、用途に応じた種々の樹脂や添加剤(とりわけ極性溶媒に可溶な樹脂や添加剤)に溶解性等が適応しているので、分散液として汎用性が広いものとなる。また、分散性向上だけに特化した分散媒を、汎用性の広い分散媒に置換できる道を開き、分散媒を限定せざるを得ない「超微粒子分散体の種々の製造方法」に現実性を帯びさせることができる。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で任意に変形できるものである。
本発明は、「金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子」が、界面活性剤の存在下に分散媒(A)中に分散されている超微粒子分散体について、最終的にその分散媒(A)を別の分散媒(C)に置換する分散媒置換方法に適用される。すなわち、最終的に「分散媒(C)中に、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散されている超微粒子分散液」を調製するに際し、実質的に分散媒(A)を系から除く方法に関するものである。
<超微粒子>
本発明の分散媒置換方法において、分散媒置換の対象となる超微粒子分散体に分散されている「金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子」(以下、単に「超微粒子」と略記する場合がある)としては特に限定はなく、全ての金属含有の超微粒子が対象となる。
超微粒子の種類としては、具体的には、例えば、Ag、Cu、Sn、Pd、In、Au、Zn、Fe等の金属若しくはそれらを含む金属合金、又は、それらの酸化物、窒化物、炭化物、硫化物等の金属化合物、更には、これら金属化合物と金属との複合化合物等が好ましいものとして挙げられる。
超微粒子の結晶性については特に限定はないが、超微粒子状態で非結晶粒子であるものが、分散媒に分散した場合に光散乱が低いため透明性が高くなる点、良好な分散性を達成できる点、分散媒置換に際して良好な分散性を維持できる点(「分散維持性」と略記することがある)等から好ましい。
超微粒子の体積分布メジアン径(D50)は100nm以下であれば特に限定はないが、体積分布メジアン径(D50)10nm以下でも安定に分散媒置換ができ、更には、体積分布メジアン径(D50)2nm以下でも分散媒置換ができる。従って、本発明の分散媒置換方法を用いて得られる超微粒子分散液中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)は、通常1nm〜100nm、好ましくは2nm〜50nm、より好ましくは3nm〜20nm、特に好ましくは4nm〜15nm、更に好ましくは5nm〜10nmである。体積分布メジアン径(D50)は小さいほど本発明の前記効果を発揮し易いので好ましい。超微粒子の形状は特に限定されず、球状、棒状、繊維状、板状、不定形等、何れでもよい。
本発明における「体積分布メジアン径(D50)」は、(株)日立ハイテクノロジーズ社製、電界放射型走査電子顕微鏡(S−4800)に、専用の明視野STEM試料台とオプション検出器を取り付けることで、走査透過電子顕微鏡(以下、「STEM」と略記する)として使用できるようにし、20万倍のSTEM写真を撮り、下記のソフトウェアに取り込み、写真上で任意に数百個から2千個程度の超微粒子を選び、それぞれの直径を測定し、体積基準の分布から体積で50%累積粒子径として求めた。
STEMに供する測定試料は、超微粒子分散液を、トルエンで適宜希釈調製し、コロジオン膜貼付メッシュに滴下して調製した。また、STEM写真から体積基準の粒度分布や体積分布メジアン径(D50)を求めるときには、(株)マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View Ver.4」を用いた。
<超微粒子分散体の調製方法>
本発明における超微粒子分散体は、その調製方法については特に限定されず、如何なる方法で調製された超微粒子分散体に対しても、本発明の分散媒置換方法は好適である。本発明における超微粒子分散体の調製方法としては、
(1)界面活性剤で表面が覆われた低蒸気圧液体の表面に金属等を蒸着させ、金属原子等が凝集して超微粒子が形成されると同時に、その超微粒子を界面活性剤で保護して超微粒子同士の会合を防止し、超微粒子が低蒸気圧液体中に分散された分散体を得る液相真空蒸着法;
(2)金属塩等の酸化状態の金属化合物を、液中で還元剤によって還元しながら超微粒子化する化学的方法;
(3)分散させたい金属等を電極として用い、分散媒中で電極間に放電を発生させることによって、超微粒子分散液を製造するスパークエロージョン法;
(4)0.1〜30Torr(mmHg)(1.3×10Pa〜4×10Pa)の不活性気体の存在下に、分散させたい金属又は金属化合物の蒸気を発生させ、気相中で超微粒子を生成させ、生成した直後にそれを溶媒に捕集して超微粒子分散液を製造するガス中蒸発法;
(5)不活性気体中に常温で液体である有機物の気体を共存させておくことによって、その有機物中に分散された超微粒子を得て、その後溶媒交換等をして超微粒子分散液を製造する有機物ガス中蒸発法;
等が挙げられる。
このうち、(2)化学的方法は、還元されずに残留した物質や還元反応による不純物が含有された超微粒子分散液しか調製できない場合があり、(3)スパークエロージョン法は、分散媒中に電気良導体である界面活性剤を含有させておくことが難しいため、超微粒子の凝集を抑制することができない場合があり、(4)ガス中蒸発法や(5)有機物ガス中蒸発法は、発生した金属又は金属化合物の蒸気は、不活性気体原子との衝突によって冷却されて超微粒子を形成するが、発生した超微粒子は再び不活性気体中で会合しクラスターを形成し易い等の「気体と気体との接触」に起因する問題点があり、平均粒径が均一にならない場合があるため、(1)液相真空蒸着法が特に好ましい。
(1)液相真空蒸着法は、超微粒子が直接低蒸気圧液体中に生成するので、上記(4)ガス中蒸発法や(5)有機物ガス中蒸発法で問題となる「気体と気体との接触に起因する問題点」、「超微粒子同士の会合」等は生じ難いため、超微粒子化の点では特に好ましい。
しかしながら、(1)液相真空蒸着法で得られた超微粒子分散体の分散媒は、低蒸気圧液体に限られるため、超微粒子の種々の用途に適用できない場合があり、そのために分散媒置換の必要性が極めて高い。従って、本発明の分散媒置換方法は、超微粒子化の点で優れ、分散媒置換の必要性が極めて高い「(1)液相真空蒸着法で得られた超微粒子分散体」に対して適用されることが特に好ましい。
<分散媒(A)>
本発明の分散媒置換方法の対象となる超微粒子分散体は、分散媒(A)に超微粒子が分散されているものである。すなわち、分散媒(A)が置換の対象となる。分散媒(A)は超微粒子を分散できるものであれば、化学構造、沸点、蒸気圧等について特に限定はなく、加熱して液体になるものであれば室温で固体のものも含まれる。本発明の分散媒置換方法は、分散媒の減圧留去に代わるものでもあるから、分散媒(A)は高沸点溶媒であることが、本発明の効果を奏し易い点で好ましい。
分散媒(A)の1気圧における沸点は特に限定はないが、40℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。また、該分散媒(A)の蒸気圧も特に限定はないが、25℃における蒸気圧が10−3Pa以下であることが好ましく、10−4Pa以下であることがより好ましく、10−5Pa以下であることが特に好ましい。特に、液相真空蒸着法によって超微粒子分散体が調製された場合には、その分散媒(A)については、高沸点、低蒸気圧に限定されるので、本発明の分散媒置換方法を、液相真空蒸着法で得られた超微粒子分散体に適用させるときには、分散媒(A)については、上記のように、沸点は高く、蒸気圧は低いことが特に好ましい。
分散媒(A)は、超微粒子の分散に一般に用いられているものであれば何れでも用いることができる。具体的には、例えば、
ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素類;
トルエン、キシレン、ナフタレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類;
アルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル、ポリアルキルフェニルエーテル等の沸点が150℃以上の高沸点エーテル類;
プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール系分散媒類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール等の1価アルコール類;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン等の多価アルコール類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;シリコーン油、ポリアルキルシロキサン等のシロキサン化合物;
フルオロカーボン油等のフッ素含有化合物;
酢酸エチル等のエステル類;
2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノイソプロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−プロパノール、2−メチルアミノエタノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール等のアミノ基含有アルコール類;
等を挙げることができる。これらは単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
特に、本発明の分散媒置換方法を、液相真空蒸着法で得られた超微粒子分散体に適用させる場合には、特に好ましい分散媒(A)として、アルキルナフタレン、エチレンオレフィン共重合体等の脂肪族及び/又は芳香族炭化水素類;アルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル、ポリアルキルフェニルエーテル等の芳香族エーテル類;シリコーン油、ポリアルキルシロキサン等のシロキサン化合物類;フルオロカーボン油類;多価アルコール類等が挙げられる。ここで、上記アルキル基としては特に限定はないが、炭素数4〜24個のものが好ましく、8〜22個のものがより好ましく、12〜20個のものが特に好ましい。また、「脂肪族及び/又は芳香族炭化水素類」である場合には、炭素数の合計が14以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、25以上であることが特に好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。また、低蒸気圧液体として、市販の拡散ポンプ油も好ましく用いられる。
また、分散媒(A)が脂肪族及び/又は芳香族炭化水素である場合には、炭素数の合計が14個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましく、25個以上であることが特に好ましい。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
<界面活性剤>
本発明の分散媒置換方法の対象となる超微粒子分散体は、超微粒子が好ましくは界面活性剤の存在下に、分散媒(A)中に分散されているものである。ここで、「界面活性剤」は、超微粒子を良好に分散媒(A)中に分散できるものであれば特に限定はないが、更に、分散媒(A)との関係で、後述する要件を満たす好適な液体(B)が存在するような「界面活性剤」である必要がある。
具体的には、カルボン酸塩系、スルホン酸塩系、硫酸エステル塩系、リン酸エステル塩系等の陰イオン界面活性剤;陽イオン界面活性剤;両性界面活性剤;エーテル系、エステルエーテル系、エステル系、含窒素系等の非イオン界面活性剤;フッ素系界面活性剤;反応性界面活性剤等が挙げられる。このうち、非イオン界面活性剤が、良好な分散性を与えること、分散媒置換に際して、本発明における要件を満たした「分散媒(A)、界面活性剤及び液体(B)」の組み合わせが存在しやすい点で好ましい。
このうち、エステル系の非イオン界面活性剤が、上記した理由と同様の理由でより好ましい。エステル系界面活性剤は、エステル基を有し界面活性能を有する化合物であれば特に限定はないが、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであることが、親油性が高く、分散媒(A)として好ましい低蒸気圧液体への溶解性が高い点、反応性が低く安定性が高い点等から特に好ましい。また、後述する「相溶性の要件を満たした液体(B)」が存在する点からも特に好ましい。
上記カルボン酸としては、炭素数8〜28個のカルボン酸が好ましく、炭素数12〜24個のカルボン酸がより好ましく、炭素数15〜22個のカルボン酸が特に好ましい。
上記多価アルコールとしては特に限定はないが、具体的には、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール;グリセリン、ポリグリセリン;ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン;ショ糖、グルコース等の糖類;ソルビット等の糖アルコール類(糖類を還元したもの);ソルビタン等の糖アルコールの脱水による環化物類等が好ましいものとして挙げられる。このうち、多価アルコールとしては、糖アルコール又は糖アルコールの脱水による環化物が、分散性、分散安定性、高濃度分散性に優れるので特に好ましい。
多価アルコールの水酸基は実質的に全て酸でエステル化されていても、全てエステル化されず水酸基が残存していてもよいが、水酸基が1個以上残存しているものが好ましい。
エステル系界面活性剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル等の(ポリ)エチレングリコール脂肪酸エステル類;プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコールジ脂肪酸エステル等の(ポリ)プロピレングリコール脂肪酸エステル類;グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル類;ショ糖脂肪酸エステル、グルコース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル類;ソルビット(グルコースの糖アルコール)脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル類;ソルビタン(ソルビットの脱水による環化物)脂肪酸エステル等の「糖アルコールの脱水による環化物」の脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル等のポリオキシエチレン糖アルコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の「ポリオキシエチレン鎖含有『糖アルコールの脱水による環化物』の脂肪酸エステル類」等が好ましいものとして挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いられる。
本発明の分散媒置換方法の対象となる超微粒子分散体中の、界面活性剤の濃度は特に限定はなく適宜調節可能であるが、分散媒(A)100質量部に対して、界面活性剤0.3〜50質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、3〜10質量部が特に好ましい。界面活性剤が少なすぎると、分散性が不足し、良好に分散できない場合があり、一方、多すぎると分散体の粘度が高くなりすぎる場合がある。
本発明の分散媒置換方法の対象となる超微粒子分散体中の超微粒子の濃度は特に限定はないが、超微粒子分散体100質量部に対して、超微粒子1〜90質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。本発明を使用すれば、高濃度の超微粒子分散体の分散媒置換が可能である。
<液体(B)>
本発明の分散媒置換方法は、超微粒子分散体中の分散媒(A)を分散媒(C)に置換する際、液体(B)を上記超微粒子分散体に加えることによって該超微粒子を沈降させて、実質的に上澄みの「分散媒(A)と液体(B)の混合物」だけを、デカンテーション等で除く過程を有する。
ここで、液体(B)としては、上記超微粒子分散体に加えることによって該超微粒子を沈降させることができ、分散媒(A)と共にデカンテーション等ができるものであれば特に限定はないが、以下の(1)と(2)の要件を満足する液体であることが好ましい。
(1)分散媒置換の対象となる超微粒子分散体中の界面活性剤と、任意の割合では相溶しない。
(2)分散媒置換の対象となる超微粒子分散体中の分散媒(A)と、ある割合では相溶する。
要件(1)及び要件(2)を満たす液体(B)を用いると、前記分散媒(A)から後述する分散媒(C)に、好適に分散媒置換ができ、分散媒置換前後で分散維持性に優れた分散媒置換方法を提供できる。
要件(1)について、液体(B)は、界面活性剤と任意の割合では相溶しないことが必須である。液体(B)と超微粒子分散体中の界面活性剤の相溶性が大きすぎると、すなわち、液体(B)と界面活性剤とが任意の割合で相溶する場合には、液体(B)を超微粒子分散体に加えても、そこに分散されている超微粒子が沈降しない場合がある。
液体(B)又は界面活性剤のうち、一方の量がもう一方の量よりかなり多い場合には、互いに相溶してもかまわない。すなわち、相溶し合う濃度が存在しても、相溶しない濃度が存在すれば本発明における、液体(B)の要件(1)は満たされ、かかる液体(B)の使用は本発明に含まれる。
液体(B)は、超微粒子分散体中の界面活性剤と、質量比で、液体(B):界面活性剤=1:1の割合では相溶しないものであることが好ましい。また、1:(0.8〜1.2)の範囲の全ての割合で相溶しないものであることがより好ましく、1:(0.6〜1.4)の範囲の全ての割合で相溶しないものであることが特に好ましい。
相溶性は25℃での結果で定義される。また、何れかが25℃で固体の場合でも相溶性は同様に定義される。また、上記質量比は、相溶性の程度をモニターするためのものであり、実際に分散媒置換で使用される質量比とは関係がない。
要件(2)について、液体(B)は、分散媒置換の対象となる超微粒子分散体中の分散媒(A)に対して、ある割合では相溶することが必須である。如何なる割合でも相溶しないものであれば、液体(B)を超微粒子分散体に加えた際、分散媒(A)と液体(B)は相分離するので、超微粒子は分散媒(A)の方だけに依然として分散したままとなり、沈降しない場合がある。なお、分散媒(A)1質量部に対し、液体(B)が0.1質量部以下でしか相溶せず、かつ、10質量部以上でしか相溶しない場合は、要件(2)において「相溶する」とはいわない。相溶性は25℃での結果で定義される。また、上記質量比は、相溶性の程度をモニターするためのものであり、実際に分散媒置換で使用される質量比とは関係がない。
相溶する割合が少なくとも1点は存在することが必須であるが、実際に分散媒置換で使用される質量比で相溶することが好ましい。具体的には、分散媒(A)1質量部に対し、液体(B)が、0.2質量部以下のすべての濃度で相溶することが好ましく、5質量部以上のすべての濃度で相溶することが好ましく;0.3質量部以下のすべての濃度で相溶することがより好ましく、3質量部以上のすべての濃度で相溶することがより好ましく;0.5質量部以下のすべての濃度で相溶することが特に好ましく、2質量部以上のすべての濃度で相溶することが特に好ましく;任意の濃度で互いに相溶することが更に好ましい。相溶する濃度割合の範囲が広ければ、任意の量の液体(B)を使用することが可能であり、操作性が容易となり、超微粒子を沈降させ易い。
液体(B)の種類は特に限定はないが、アルコール系、ケトン系、エーテル系、エステル系等の酸素原子を含む化合物、又は、ハロゲン化炭化水素系等の液体が挙げられる。このうち、アルコール系としては炭素数が3〜6のアルコールが好ましく、炭素数が3〜5のアルコールが特に好ましい。ケトン系としては炭素数が2〜8のケトンが好ましく、炭素数が2〜6のケトンが特に好ましい。エーテル系としては炭素数が4〜8のエーテルが好ましく、炭素数が4〜6のエーテルが特に好ましい。エステル系としては炭素数が3〜8のエステルが好ましく、炭素数が3〜6のエステルが特に好ましい。ハロゲン化炭化水素系としては炭素数が1〜8のハロゲン化炭化水素が好ましく、炭素数が1〜3のハロゲン化炭化水素が特に好ましい。この場合、ハロゲンとしては、塩素又は臭素が好ましい。
炭素数が少なすぎても、また多すぎても、上記要件(1)と要件(2)を同時に満たす液体(B)が存在しなくなる場合がある。また、特に、少なすぎる場合は、分散媒(A)と相溶しなくなる場合があり、分散媒(A)を除去(置換)できなくなる場合がある。一方、多すぎる場合は、後述する沸点が高くなりすぎる場合がある。
液体(B)の沸点や蒸気圧は特に限定はないが、分散媒(A)より低沸点、高蒸気圧であることが好ましい。液体(B)を加えた後、沈降した超微粒子を容器中に残し、分散媒(A)と液体(B)の混合液体をデカンテーションで取り除き、再度液体(B)を加えてデカンテーションを繰り返すことが好ましいが、最後のデカンテーションでも残存した液体(B)を、要すれば、加熱せずに減圧留去し易いからである。
該液体(B)の1気圧における沸点は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。
具体的には、液体(B)は、界面活性剤や分散媒(A)との相溶性の関係等で主に決められるので、具体的には特に限定はないが、例えば、
n−プロパノール、iso−プロパノール(以下、「IPA」と略記する)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール系;
アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と略記する)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系;
エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、フラン、テトラヒドロフラン等のエーテル系;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下、「BDGAc」と略記する)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート系;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン等のラクトン系;
クロロホルム、ジクロロエタン、1,1−ジブロモエタン、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系;
等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上の混合溶媒で用いられる。
<ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)>
本発明においては、前記した「液体(B)を上記超微粒子分散体に加えることによって該超微粒子を沈降させ上澄みの分散媒(A)を除く過程」の後に、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」を加える過程を有することを特徴とする。
ここで、「ポリエチレンイミン骨格」とは、下記式(1)で表わされる骨格をいい、エチレンイミンが重合して生成し得る骨格を意味し、必ずしも実際にエチレンイミンが重合して得られた骨格には限定されない。
ポリエチレンイミン骨格としては、第一アミン(NHの水素原子が1個、炭化水素基で置換されたもの)、第二アミン(NHの水素原子が2個置換)及び/又は第三アミン(NHの水素原子が3個置換)を含むが、分散媒(C)が極性溶媒の場合に、超微粒子の分散媒(C)への分散性の点から、少なくとも第二アミン及び/又は第三アミンを含むものが好ましく、少なくとも第三アミンを含むものがより好ましい。更に、第三アミンを含み分岐構造を有するものが特に好ましい。
すなわち、下記式(2)で表わされる骨格を有するものが好ましい。式(2)において、それぞれの重合単位は、ブロックになっているものには限定されずランダムに重合しているものを含むものとする。
[式(2)中、Rは重合単位毎に異なっていてもよい有機基を表し、x、y、zは0以上の整数を示す。]
このうち、分散媒(C)が極性溶媒の場合に、超微粒子の分散媒(C)への分散性と分散安定性が良い点から、1≦y又は1≦zであるものがより好ましく、1≦zであるもの(分岐構造を有するもの)が特に好ましく、1≦yかつ1≦zであるものが更に好ましい。
「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」の末端については、特に限定はなく、−NH、−NHR、−NR、−CH等が挙げられる。ここで、R、R、Rは、後記する構造を有する有機基を表す。
限定されるわけではないが、一例を挙げれば、例えば、下記式(3)で表わされるものが挙げられる。
[式(3)中、Rは水素原子又は有機基を表す。]
上記化学式において、R、R、R、R、Rは、炭素数1〜24のアルキル基又は−CO−R(Rはアルキル基、アルケニル基又は重合体残基を示す)を表す。ただし、Rについては水素原子でもよい。Rのアルキル基又はアルケニル基の炭素数としては特に限定はないが、9〜23が好ましく、11〜21がより好ましく、13〜19が特に好ましく、15〜17が更に好ましい。また、重合体残基としては、ポリエステル残基等が挙げられる。
上記ポリエステル残基としては特に限定はないが、環状エステルが開環して鎖状となった残基が好ましい。重合度(繰り返し単位)は1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜6が特に好ましい。中でも特に好ましいものとして、カプロラクトンユニットを有する構造が挙げられる。「カプロラクトンユニットを有する構造」とは、カプロラクトンの環状エステルが開環して鎖状となった構造をいう。カプロラクトンは、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンの何れでもよい。「カプロラクトンユニットを有する構造」のうち、ポリエチレンイミン骨格に結合していない側には、アルキルカルボニル基又はアルケニルカルボニル基が結合していることが好ましい。アルキルカルボニル基又はアルケニルカルボニル基の炭素数としては特に限定はないが、10〜24が好ましく、12〜22がより好ましく、14〜20が特に好ましく、16〜18が更に好ましい。アルケニルカルボニル基としては、リノール酸、オレイン酸等から水酸基がとれたものが最も好ましい。
限定されるわけではないが、上記ポリエステル残基として、下記式(4)で表わされるものが一例として挙げられる。
[式(4)中、nは1以上の整数を示し、*の点でNに結合している。]
式(4)において、nは、R、R、R、R、Rのそれぞれの基の中で異なっていてもよく、1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
次に、上記−CO−R(Rはアルキル基、アルケニル基又は重合体残基を示す)については限定されるわけではないが、下記式(5)で表わされるものが一例として挙げられる。
「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」の平均分子量としては、個数平均分子量(Mn)として、1000〜10000の範囲が好ましく、1500〜7000の範囲がより好ましく、2000〜4000の範囲が特に好ましい。
「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」として、上記条件を満たすものであれば特に限定はなく市販品でもよい。市販品としては、「ソルスパース」(ルーブリゾール社製)の商品名で市販されているものが挙げられる。具体的には、「ソルスパース28000」、「ソルスパース32000」、「ソルスパース39000」、「ソルスパース71000」、「ソルスパース9000」、「ソルスパース16000」、「ソルスパース21000」、「ソルスパース24000」、「ソルスパース33000」、「ソルスパース33500」等が好適に用いられる。
<分散媒(C)>
本発明においては、前記した「液体(B)を上記超微粒子分散体に加えることによって該超微粒子を沈降させ上澄みの分散媒(A)を除く過程」の後に、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と分散媒(C)を加えて「超微粒子分散液」を得る。ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と分散媒(C)との添加順序は特に限定はなく、また同時に添加してもよいが、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)を加え、更にその後に、分散媒(C)を加えて「超微粒子分散液」を得ることが、分散性や分散安定性を保持しつつ、分散媒置換された超微粒子分散液が得られるため好ましい。
「超微粒子分散液」は、主に分散媒(C)中に、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散されているものである。「超微粒子分散液」には、少量の分散媒(A)や液体(B)、又はポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)が残存していてもよい。なお、本発明では、分散媒置換前のものを「超微粒子分散体」といい、分散媒置換後のものを「超微粒子分散液」という。
分散媒(C)は、超微粒子分散液の種々の用途に適応したものから適宜選択することができる。従って、分散媒(C)としては、IC、半導体、導電膜、フィルター等の製造用の溶媒又は分散媒を始め、一般に、インキ、塗料、触媒材料、医療用等に用いられる汎用の溶媒又は分散媒が挙げられる。
分散媒(C)としては、前記界面活性剤と少なくともある割合では相溶するものが好ましいが、任意の割合で相溶するものであることが、超微粒子分散液の、分散性、分散安定性、高濃度分散性、分散維持性等の点から特に好ましい。
分散媒(C)は、液体(B)をある割合では相溶させるものであることが好ましい。液体(B)を少量でも相溶させない場合には、デカンテーションによっても液体(B)が少量は残存する場合もあるので、超微粒子分散液が2層に分離する場合がある。
また、分散媒(C)は、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)を溶解できるものであることが好ましい。如何なる割合でも相溶しないものであれば、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)を加えた後に分散媒(C)を加えた際、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と分散媒(C)は相分離するので、沈降した超微粒子はポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)の方だけに依然として分散したままとなり、超微粒子が分散媒(C)に分散しない場合がある。
分散媒(C)は用途に応じて選択できるが、具体的には、例えば、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、ナフタレン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類;プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール系分散媒類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、シクロヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の2価のアルコール類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノイソプロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−プロパノール、2−メチルアミノエタノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール等のアミノ基含有アルコール類;
等を挙げることができる。これらは単独でも、2種以上混合して使用してもよい。
本発明の分散媒置換方法において、分散媒(C)が、特に極性溶媒であることが、本発明の効果をより効果的に発揮させることができるために好ましい。すなわち、分散媒(C)が極性溶媒でない場合には、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)の使用がなくても分散する場合があるが、極性溶媒の場合には、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)の使用が、分散性や分散安定性を保持する上で必須となる場合が多い。
本発明で「極性溶媒」とは、水1質量部に対し、0.1質量部以下のすべての濃度で相溶し、かつ、水1質量部に対し、20質量部以上のすべての濃度で相溶するような溶媒をいう。相溶性は25℃で測定される。
例えば、「メチルエチルケトン」について、水1質量部に対し、メチルエチルケトンは0.226質量部以下のすべての濃度で相溶し、かつ、水1質量部に対し、メチルエチルケトンは10.1質量部以上のすべての濃度で相溶するので、「メチルエチルケトン」は「極性溶媒」である。
一方、「トルエン」について、水1質量部に対し、トルエンは0.1質量部以下のすべての濃度では相溶しないか、又は、水1質量部に対し20質量部以上のすべての濃度では相溶しないので、「トルエン」は「極性溶媒」ではない。
「極性溶媒」としては、上記相溶性の条件を満たしていれば、特に限定はないが、具体的には、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール類;プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒等が挙げられる。これらは、1種で又は2種以上混合して用いられる。このうち、本発明では、メチルエチルケトン、酢酸エチル、IPA、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を用いることが本発明の効果をより効果的に発揮させることができるために好ましい。
<超微粒子分散体>
本発明の分散媒置換方法が適用される超微粒子分散体の調製方法は特に限定はなく、如何なる方法で調製された超微粒子分散体であってもその分散媒(A)の置換が可能であるが、前記した通り、液相真空蒸着法によって調製された超微粒子分散体に対して適用されることが好ましい。すなわち、金属単体、金属合金又は金属化合物の気体を、該界面活性剤が溶解された分散媒(A)に接触させることによって製造された超微粒子分散体に対して使用されることが好ましい。
液相真空蒸着法によって調製された超微粒子分散体の「低蒸気圧液体である分散媒(A)」に対し、前記液体(B)を加えて該超微粒子を沈降させ、上澄み液中の分散媒(A)を除いた後、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と上記分散媒(C)を加えて、超微粒子分散体の分散媒(A)を分散媒(C)に分散媒置換することが好ましい。液相真空蒸着法に用いられる分散媒(A)は、高沸点、低蒸気圧のものに限られ、分散媒がそのままでは、種々の用途への適応ができない場合が多いので、本発明の分散媒置換方法がより効果的となる。また、液相真空蒸着法に好適に用いられる界面活性剤と、本発明における液体(B)との関係において、前記要件(1)及び(2)を満たす組み合わせが実際に種々存在するので、本発明の分散媒置換方法は、液相真空蒸着法によって調製された超微粒子分散体に適用させることが好ましい。
以下、本発明の分散媒置換方法が好適に適用できる「液相真空蒸着法によって調製された超微粒子分散体」について説明する。
液相真空蒸着法で分散される「金属単体、金属合金又は金属化合物」(以下、「金属等」と略記する場合がある)については、加熱等によって気体になるものであれば特に限定はない。気体にする方法は特に限定はされず、公知の加熱方法によってなされる。加熱温度も特に限定はなく、また、金属等の種類によっても異なるが、400〜2000℃が好ましく、600〜1700℃がより好ましく、800〜1600℃が特に好ましく、1000〜1400℃が更に好ましい。
液相真空蒸着法においては、金属等の気体を分散媒(A)に接触させて超微粒子分散体を得るが、その際、金属等の気体中に、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性気体;分散媒、分散助剤等の有機物気体等を共存させることを排除するものではないが、分子を液体に接触させて、液相界面で分散状態を作ることから、それらを共存させる必要性はなく、共存されていないことが好ましい。
「金属又は金属化合物」の気体を、後述する分散媒(A)に接触させて分散体を形成させる際の圧力は特に限定はないが、10−1Pa以下であることが好ましい。10−2Pa以下であることが特に好ましい。また、10−4Pa以上であることが好ましく、10−3Pa以上であることが特に好ましい。圧力が大きすぎる、すなわち真空度が悪いと、加熱温度を高くする必要がある点、そこに介在する気体の影響がでて超微粒子が変質する点等の問題が生じる場合がある。圧力が小さすぎる、すなわち真空度を不必要に高くすると、分散媒(A)が揮発したり、生産性が落ちたり、真空ポンプに負荷がかかりすぎたりする場合がある。
液相真空蒸着法における分散媒(A)は低蒸気圧のものでないと、蒸発して「金属の気体又は金属化合物の気体」と気体同士で相互作用をして分散性に悪影響を与える場合がある。本発明においては、分散媒(A)の蒸気圧は、25℃で、10−3Pa以下が好ましいが、液相真空蒸着法においては、より好ましくは25℃で10−10Pa〜10−5Pa、特に好ましくは25℃で10−8Pa〜10−6Paである。かかる分散媒(A)の1気圧での沸点は特に限定はないが、上記と同じ理由で、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、220℃以上が特に好ましく、240℃以上が更に好ましい。
液相真空蒸着法においては、気体を分散媒(A)に接触させることによって、その気体が固体の超微粒子になって分散媒(A)中に分散されるが、その際、該分散媒(A)中に、前記エステル系界面活性剤を溶解させておくことが好ましい。エステル系界面活性剤を溶解させておくことによって、平均粒径の小さい分散粒子を形成させることができ、また、小粒径でも分散性、分散安定性、高濃度分散性等が優れた分散体を得ることができる。
液相真空蒸着法によって製造された超微粒子分散体中の超微粒子の濃度は特に限定はないが、超微粒子分散体100質量部に対して、1〜90質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましく、20〜70質量部が特に好ましい。液相真空蒸着法を使用すれば、高濃度の超微粒子分散体が得られ、本発明の分散媒置換方法の特徴である「高濃度分散性の維持」が好適に適用できる。
液相真空蒸着法について、図1に示す製造装置を例に更に詳しく説明する。ただし、図1は、具体的装置の一例であり、それには限定されない。
図1において、チャンバー(1)は、固定軸(2)の回りに回転するドラム状であり、固定軸(2)を通してチャンバー(1)の内部が高真空に排気される構造になっている。チャンバー(1)には、界面活性剤が溶解された分散媒(A)(3)が入れてあり、ドラム状のチャンバー(1)の回転によって、チャンバー(1)の内壁に、界面活性剤が溶解された分散媒(A)(3)の膜(4)が形成される。チャンバー(1)の内部には、金属等(5)を入れる容器(6)が固定されている。金属等(5)は、抵抗線に電流を流す等して所定温度まで加熱され、気体となってチャンバー(1)の中に放出される。
チャンバー(1)の外壁は、水流(8)で全体が冷却されている。加熱された金属等(5)から真空中に放出された原子(9)は、界面活性剤が溶解された分散媒(A)(3)の膜(4)の表面から取り込まれ、金属等の超微粒子(10)が形成される。次いで、かかる金属等の超微粒子(10)が分散された分散媒(A)(3)は、チャンバー(1)の回転に伴ってチャンバー(1)の底部にある分散媒(A)(3)の中に輸送され、同時に、新しい「分散媒(A)(3)の膜(4)」がチャンバー(1)の上部に供給される。
この過程を継続することによって、チャンバー(1)の底部にある分散媒(A)(3)は、金属等(5)の超微粒子が高濃度に分散した分散体になっていく。
液相真空蒸着法の作用・原理は明らかではないが、金属等の気体は、気相で凝集せずに直接界面活性剤で液面が覆われた分散媒(A)中に取り込まれ、分散媒(A)中で凝集が起こり、ある程度の平均粒径を有するようになった時点で、その凝集粒子は界面活性剤によって取り囲まれ、超微粒子として安定化するものと考えられる。
<超微粒子分散液>
本発明の超微粒子分散体の分散媒置換方法を使用することによって、分散媒(C)に金属等の超微粒子が分散された超微粒子分散液が得られる。本発明の分散媒置換方法によれば、分散媒置換後の超微粒子分散液中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)が、分散媒置換前の上記超微粒子分散体中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)に対して2倍以下とすることができる。本発明の好ましい態様は、分散媒置換後の上記超微粒子分散液中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)が、分散媒置換前の上記超微粒子分散体中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)に対して2倍以下である超微粒子分散液である。また、1.2倍以下にすることも可能である。更に、1.1倍以下にすることも可能である。本発明の超微粒子分散体の分散媒置換方法は分散維持性に優れている。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<銀(Ag)の超微粒子分散体の調製>
分散媒(A)として、低蒸気圧液体であるライオン拡散ポンプ油(A)(ライオン社製)380gを用い、それに、ソルビタンモノオレートを20g添加し攪拌した。ライオン拡散ポンプ油(A)は、炭素数12〜16個のアルキル基を有するアルキルナフタレンである。
図1に示す装置を用いて分散液を製造した。容器(6)内に、銀(Ag)粒を入れ、回転ドラム式のチャンバー(1)内に上記分散媒(A)を入れた。真空ポンプで吸引することによって、チャンバー(1)内の圧力を、10−3Paに到達させた。次いで、チャンバー(1)を水流(7)で冷却させながら回転させ、銀(Ag)が溶解・蒸発するまで加熱した。
銀(Ag)粒は溶解し、銀(Ag)の気体は、界面活性剤が溶解された分散媒(A)の表面に蒸着され、界面活性剤に取り込まれることで、銀(Ag)の超微粒子が分散された超微粒子分散体が形成された。透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、直径5nm〜15nm程度の超微粒子が凝集することなく分散されていることが確認できた(図2の透過型電子顕微鏡(TEM)写真参照)。また、体積分布メジアン径(D50)の測定値は8.7nmであった。
<銀(Ag)の超微粒子分散体の分散媒置換方法>
上記で調製した、銀(Ag)の超微粒子分散体50gに、液体(B)としてIPAを加え、全体で500mLになるように調製し、攪拌後、25℃で1日間、静置したところ、銀(Ag)の超微粒子は沈降した。沈降した銀(Ag)の超微粒子は、分散媒(A)であるアルキルナフタレンが溶解したIPAと完全に相分離した。
上澄みの「分散媒(A)が溶解したIPA」をデカンテーションで捨て、再びIPAを添加し、10時間静置した。再度、デカンテーションをすることで、分散媒(A)をほぼ完全に除去した。
次いで、銀(Ag)の超微粒子に、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」としてソルスパース28000(ルーブリゾール社製)を10g加えてよく攪拌し、分散媒(C)としてMEKを50g加えた。銀(Ag)の超微粒子は、MEK中に良好に再分散した。これによって、アルキルナフタレン(分散媒(A))を、汎用の分散媒(極性溶媒)であるMEK(分散媒(C))に置換することができ、最終的に、銀(Ag)の超微粒子がMEKに分散した超微粒子分散液が調製できた。
STEM観察により、銀(Ag)の超微粒子は、分散媒置換前後で体積分布メジアン径(D50)をほぼ変えることなく(体積分布メジアン径(D50)で、1.2倍以下で)、安定した超微粒子分散液が得られたことを確認した。すなわち、分散媒置換後でも体積分布メジアン径(D50)5nm〜15nm程度の超微粒子が凝集することなく分散されていることが確認できた(図3のSTEM写真、及び、図4の粒度分布を参照)。体積分布メジアン径(D50)の測定値は6.99nmであった。
分散媒置換前の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図2)と分散媒置換後の走査透過型電子顕微鏡(STEM)写真(図3)、及び、分散媒置換前後の粒度分布によれば、分散媒置換前後で、銀(Ag)の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)は殆ど変化しておらず、分散媒をMEKに置換しても凝集することなく分散されていることが確認できた。
実施例2
実施例1において、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」としてソルスパース28000に代えて、ソルスパース71000(ルーブリゾール社製)を加えた以外、実施例1と同様の操作を行った。銀(Ag)の超微粒子は、MEK中に良好に再分散した。これによって、アルキルナフタレン(分散媒(A))を、汎用の分散媒(極性溶媒)であるMEK(分散媒(C))に置換することができ、最終的に、銀(Ag)の超微粒子がMEKに分散した超微粒子分散液が調製できた。すなわち、分散媒置換後でも直径5nm〜18nm程度の超微粒子が凝集することなく分散されていることが確認できた(図5の走査透過型電子顕微鏡(STEM)写真、及び、図6の体積粒位径の粒度分布を参照)。体積分布メジアン径(D50)は、8.243nmであった。
分散媒置換前の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図2)と分散媒置換後の走査透過型電子顕微鏡(STEM)写真(図5)、及び、分散媒置換前後の粒度分布によれば、分散媒置換前後で、銀(Ag)の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)は殆ど変化しておらず、分散媒をMEKに置換しても凝集することなく分散されていることが確認できた。
STEM観察により、銀(Ag)の超微粒子は、分散媒置換前後で体積分布メジアン径(D50)をほぼ変えることなく(体積分布メジアン径(D50)で、1.2倍以下で)、安定した超微粒子分散液が得られたことを確認した。すなわち、分散媒置換後でも直径5nm〜18nm程度の超微粒子が凝集することなく分散されていることが確認できた。
比較例1
実施例1において、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」を加えない以外は実施例1と同様にして、分散媒(C)としてMEKを用いて分散媒置換をして銀の超微粒子分散液を調製しようとしたが、銀の超微粒子が凝集して沈降してしまった。
実施例3
実施例1において、分散媒(C)として、MEKに代えてトルエンを用いた以外は実施例1と同様にして超微粒子分散液を調製した。
透過型電子顕微鏡観察により、銀(Ag)の超微粒子は、分散媒置換前後で体積分布メジアン径(D50)をほぼ変えることなく(体積分布メジアン径(D50)で、1.1倍以下で)、安定した超微粒子分散液が得られたことを確認した。すなわち、直径5nm〜15nm程度の超微粒子が、トルエン中に凝集することなく分散されており、元の超微粒子分散体と分散性がほぼ同じものができた。分散維持性が良好であることが確認できた。
参考例1
実施例1において、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」を加えず、更に、分散媒(C)として、MEKに代えてトルエンを用いた以外は実施例1と同様にして超微粒子分散液を調製した。
透過型電子顕微鏡観察により、銀(Ag)の超微粒子は、分散媒置換前後で体積分布メジアン径(D50)をほぼ変えることなく(体積分布メジアン径(D50)で、1.2倍以下で)、安定した超微粒子分散液が得られたことを確認した。すなわち、直径5nm〜15nm程度の超微粒子が、トルエン中に凝集することなく分散されており、元の超微粒子分散体とほぼ同じものができた。分散維持性が良好であることが確認できた。
<実施例1〜3、比較例1、参考例1のまとめ>
分散媒(C)が、例えばトルエンのように極性溶媒でなければ、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」を用いなくても、分散媒(A)(例えば、低蒸気圧液体であるライオン拡散ポンプ油(A))から、分散媒(C)(例えばトルエン)への分散媒置換が可能であるが(参考例1)、分散媒(C)が、例えばMEKのように極性溶媒であると、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」を用いないと、分散媒(A)(例えば、低蒸気圧液体であるライオン拡散ポンプ油(A))から、分散媒(C)(例えばMEK)への分散媒置換が不可能である(比較例1)。
分散媒(C)が、例えばMEKのように極性溶媒であっても、「ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)」を用いると、分散媒(A)(例えば、低蒸気圧液体であるライオン拡散ポンプ油(A))から、分散媒(C)(例えばMEK)への分散媒置換が極めて良好に行われる(実施例1、2)。
実施例4
実施例1において、分散媒(C)として、MEKに代えて酢酸エチルを用いた以外は実施例1と同様にして超微粒子分散液を調製した。
STEM観察により、銀(Ag)の超微粒子は、分散媒置換前後で体積分布メジアン径(D50)をほぼ変えることなく(体積分布メジアン径(D50)で、1.2倍以下で)、安定した超微粒子分散液が得られたことを確認した。すなわち、直径5nm〜15nm程度の超微粒子が、酢酸エチル中に凝集することなく分散されており、元の超微粒子分散体と分散性がほぼ同じものができた。分散維持性が良好であることが確認できた。
実施例5
実施例1において、分散媒(C)として、MEKに代えてIPAを用いた以外は実施例1と同様にして超微粒子分散液を調製した。
STEM観察により、銀(Ag)の超微粒子は、分散媒置換前後で体積分布メジアン径(D50)をほぼ変えることなく(体積分布メジアン径(D50)で、1.2倍以下で)、安定した超微粒子分散液が得られたことを確認した。すなわち、直径5nm〜15nm程度の超微粒子が、IPA中に凝集することなく分散されており、元の超微粒子分散体と分散性がほぼ同じものができた。分散維持性が良好であることが確認できた。
本発明の「超微粒子分散体の分散媒置換方法」を使用して得られた超微粒子分散液は、IC基板、半導体素子等の配線、半導体モジュールの層間接続、透明導電膜の形成、金属と非金属との接合、液のコロイド色を利用した色フィルター等を始め、塗料、インク、触媒、医療等の汎用分野にも広く利用されるものである。特に、極性溶媒に可溶な樹脂や添加剤の使用が可能になり又はそれにより各種基材への適用が可能となることで、汎用性が更に広がるものである。
本発明の分散媒置換方法が適用できる超微粒子分散体の製造方法の一例に使用される装置の概略断面図である。 実施例1で用いた、分散媒置換前の超微粒子分散体中の銀(Ag)超微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 実施例1において、本発明の分散媒置換方法を用いて得られた、分散媒置換後の超微粒子分散液中の銀(Ag)超微粒子の走査透過型電子顕微鏡(STEM)写真である。 実施例1において、本発明の分散媒置換方法を用いて得られた、分散媒置換後の超微粒子分散液中の銀(Ag)超微粒子の体積粒位径の粒度分布図である。 実施例2において、本発明の分散媒置換方法を用いて得られた、分散媒置換後の超微粒子分散液中の銀(Ag)超微粒子の走査透過型電子顕微鏡(STEM)写真である。 実施例2において、本発明の分散媒置換方法を用いて得られた、分散媒置換後の超微粒子分散液中の銀(Ag)超微粒子の体積粒位径の粒度分布図である。
符号の説明
1 チャンバー
2 固定軸
3 界面活性剤が溶解された分散媒(A)
4 界面活性剤が溶解された分散媒(A)の膜
5 金属等
6 容器
7 水流
8 回転方向
9 金属等の原子又は分子
10 金属等の超微粒子

Claims (9)

  1. 金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が、界面活性剤の存在下に分散媒(A)中に体積分布メジアン径(D50)100nm以下で分散されている超微粒子分散体の分散媒(A)を分散媒(C)に置換する分散媒置換方法であって、液体(B)を上記超微粒子分散体に加えることによって該超微粒子を沈降させて上澄み液中の分散媒(A)を実質的に除いた後、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)と分散媒(C)を加えることを特徴とする分散媒置換方法。
  2. 上記液体(B)が、上記界面活性剤とは任意の割合では相溶せず、かつ上記分散媒(A)とはある割合では相溶するものである請求項1記載の分散媒置換方法。
  3. 上記液体(B)が、上記界面活性剤と体積比で1:1の割合で相溶しないものである請求項2記載の分散媒置換方法。
  4. 分散媒(C)が、ポリエチレンイミン骨格を有する化合物(D)を溶解できるものである請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載の分散媒置換方法。
  5. 分散媒(C)が極性溶媒である請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載の分散媒置換方法。
  6. 分散媒置換前の上記超微粒子分散体が、金属単体、金属合金又は金属化合物の気体を、上記界面活性剤が溶解された分散媒(A)に接触させることによって製造されたものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載の分散媒置換方法。
  7. 該分散媒(A)が、25℃における蒸気圧が10−3Pa以下の脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載の分散媒置換方法。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載の分散媒置換方法によって製造され、分散媒(C)中に、金属単体、金属合金又は金属化合物の超微粒子が分散されている超微粒子分散液。
  9. 分散媒置換後の上記超微粒子分散液中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)が、分散媒置換前の上記超微粒子分散体中の超微粒子の体積分布メジアン径(D50)に対して2倍以下である請求項8記載の超微粒子分散液。
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