次に、本発明の第1実施形態に係る遊技機について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では本発明を弾球遊技機の一例であるパチンコ機の遊技制御基板収容ケースに適用した構成を説明するが、スロットマシンの遊技制御基板を収容するための遊技制御基板収容ケースに対しても容易に適用することができる。
図1に示すように、第1実施形態に係るパチンコ機(遊技機)10の前面部には、主として、外枠12と、内枠14と、前面枠16と、上皿部18と、下皿部20と、施錠装置22と、発射ハンドル24などが設けられている。
外枠12は、木製の板状体を略長方形の額縁状に組立て固着したものである。内枠14は、全体がブラスチック製で、外枠12に対して開閉可能に軸支されている。また、内枠14の右端中央からやや下方には、施錠装置22が設けられている。
前面枠16は、本発明の前面扉の一具体例を示すもので、パチンコ機10の前面部全体の約2/3のサイズを占め、内枠14の左端に開閉可能となるように軸支されている。また、前面枠16は、全体がプラスチック製であり、遊技盤26(図3参照)を前方から視認するべく、遊技盤26に形成された遊技領域28(図3参照)の形状に対応して略円形に形成された開口部30を有している。また、前面枠16の裏面には、ガラス板32がガラス枠(図示省略)によって取り付けられている。そして、遊技者を基準とすれば、遊技盤26に形成された遊技領域28はガラス板32の後方に位置するようになっている。
また、前面枠16の下方側には、上皿部18が設けられている。この上皿部18には、演出ボタン40と、球貸操作部155と、がそれぞれ設けられている。
また、上皿部18の下方側には、下皿部20が設けられている。また、下皿部20の右下方側には、遊技球を発射させるための発射ハンドル24が設けられている。この発射ハンドル24には、発射レバー44と、発射停止ボタン46がそれぞれ設けられている。
また、下皿部20の左右下方側には、所定の効果音を出力するための各サブスピーカ48がそれぞれ設けられている。
また、内枠14には、遊技領域28の形状に合致した開口部(図示省略)が形成されている。この内枠14の内側面には、遊技盤26が取り付けられる。これにより、遊技者は、遊技盤26の遊技領域28を内枠14の開口部及び前面枠16の開口部30を通して視認することができる。
さらに、パチンコ機10の正面左側には、球貸装置(遊技媒体貸出部)154が設けられている。本実施形態では、球貸装置154として、CRユニットが適用されている。この球貸装置154には、プリペイドカードを挿入するカード挿入口157が形成されている。なお、球貸装置154として、現金ユニットを設けた構成でもよい。この現金ユニットには、カード挿入口157に替えて、現金を入れるための現金投入口(図示省略)が形成されている。
また、球貸操作部155には、球貸しを要求するための球貸スイッチ(貸出操作手段)156、カード挿入口157に挿入されたプリペイドカードの返却を要求するための返却スイッチ158と、がそれぞれ設けられている。
例えば、球貸装置154のカード挿入口157にプリペイドカードを挿入すると、プリペイドカードの記憶情報が球貸装置154内部のカードリードライタにより読み取られる。プリペイドカードの残り度数が「0」である場合には、カード挿入口157から自動的にプリペイドカードが返却される。一方、プリペイドカードの残り度数が「0」でない場合には、球貸スイッチ156を押圧操作すると、カードリードライタによりプリペイドカードの残り度数が減算されてプリペイドカードの記憶情報が書き換えられると共に、その減算された度数(貸出金額)に対応する遊技球(貸球)が払出装置(遊技媒体払出手段)161から上皿部18に案内される。このとき、例えば、プリペイドカードの残り度数が減算されて「0」となった場合には、カード挿入口157から自動的にプリペイドカードが返却される。
なお、球貸装置154として現金ユニットを用いる構成では、球貸装置の現金投入口に現金を投入すると、現金が球貸装置内部のキャッシュカウンタによりカウントされる。投入金額が所定の額に到達した後、球貸スイッチを押圧操作すると、キャッシュカウンタにより投入金額が減額されていくとともに、その減額された金額(貸出金額)に対応する個数の遊技球(貸球)が払出装置161から上皿部18に案内される。
図2に示すように、パチンコ機10の内枠14には、遊技盤26の背面側を覆うように裏機構盤200が取り付けられている。この裏機構盤200には、主として、払出制御基板104を収容した払出制御基板ケースセット202と、発射制御基板108を収容した発射制御基板ケースセット204と、パチンコ機10に対して電源を供給する電源基板206を収容した電源基板ケースセット208と、がそれぞれ取り付けられている。これらの各基板ケースセット202、204、208は、組み付け後に、外枠12を通してパチンコ機10の背面側に突出するように構成されている。
次に、遊技盤26の表面構造について説明する。
図3に示すように、遊技盤26は、内枠14に保持されるとともに、裏機構盤200によりその背面側が覆われている。遊技盤26には、遊技盤26の表面に設けられた外レール50と内レール52とにより略円形状の遊技領域28が形成されている。遊技領域28の内部には、中央装置54と、始動口56Bと、ワープ入球口58と、多数の障害釘60等と、がそれぞれ配設されている。
中央装置54は、遊技領域28の略中央部に配置されており、演出図柄表示装置62と、センター役物64と、ランプ装置66と、を備えている。
演出図柄表示装置62は、主制御基板(遊技制御基板)102(図5参照)やサブ制御基板106(図5参照)からの制御信号に基づいて表示制御されており、略長方形状の表示面(表示領域)を有している。この表示面上には、特別図柄の演出図柄が表示される。具体的には、演出図柄表示装置62の表示面上には、1又は複数の演出図柄を所定の方向に次々と変動させながら表示した後、停止表示する演出図柄表示領域が形成されている。すなわち、左演出図柄を表示する左演出図柄表示領域、中央演出図柄を表示する中央演出図柄表示領域、及び右演出図柄を表示する右演出図柄表示領域が、略横一列となる配置方向に沿って並んで形成されている(それぞれ図示省略)。各演出図柄表示領域は、これらの表示領域の配置方向と略直交する方向(上下方向)に図柄変動方向が設定されており、その方向に複数の演出図柄が順次表示されていく。
演出図柄表示装置62は、遊技球が始動口56Bに入球することにより、その表示面の表示領域に表示される各演出図柄をそれぞれ変動させて停止表示させるものである。そして、例えば、演出図柄が「7、7、7」の3桁同一図柄で揃って停止表示(確定表示)すると、変動入賞装置80に配設された大入賞装置84の大入賞口86が開放される。本実施形態のパチンコ機10では始動口56Bに遊技球が入球すると、各演出図柄がそれぞれ変動され、演出図柄が3桁同一図柄で揃うことにより、「大当り」という特定価値を付与するものである。
ここで、本実施形態のパチンコ機10では、例えば、大当りとして2種類のものが予め設定されている。具体的には、「7、7、7」などの同一の奇数数字の演出図柄が3桁揃うことにより成立する確変大当りがある。また、「8、8、8」などの同一の偶数数字の演出図柄が3桁揃うことにより成立する通常大当りがある。
確変大当り及び通常大当りは、比較的多くのラウンド数(例えば、15ラウンド)を有し、大入賞口86の開放時間が約26秒間である大当りである。このため、賞球数が比較的多くなる。なお、各大当りでは、大入賞口86に所定数(例えば、10個)の遊技球が入球するか、あるいは所定数(例えば、10個)の遊技球が入球しなくても所定時間(例えば、26秒間)が経過したときに大入賞口86が閉じられて1ラウンドが終了する。
また、確率変動状態は、大当り(確変大当り及び通常大当りの2種類の大当りを意味する)に移行する確率が予め定められた高確率となる状態である。また、開放時間延長状態は、始動口56Bの開放時間が通常よりも延長される状態である。例えば、通常の開放時間は、約0.1秒間であるのに対して、開放時間延長状態では、約4秒間に延長される。なお、始動口56Bは、普通図柄の抽選に当選することにより開放するもので、普通電動役物として機能する。
また、確変大当りの後は、大当りに移行する確率が、通常遊技状態と比べ予め定められた高確率となる、特別図柄の確率変動状態になる。そして、次回大当りが発生するまでの間か、あるいは規定回数(例えば、10000回)の特別図柄の変動表示が行われるまでの間、特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ始動口56Bの開放延長機能が作動する。また、通常大当りの後は、大当りに移行する確率が通常遊技状態と同一の予め定められた低確率状態となるとともに、規定回数(例えば、100回)だけ特別図柄及び普通図柄の変動時間が短縮され、かつ始動口56Bの開放延長機能が作動する時短遊技状態となる。
センター役物64は、演出図柄表示装置62の前面周辺部に突設して装着されている。センター役物64は、可動する一対の翼片部64Aを有している。この翼片部64Aの可動によりワープ入球口58の開口面積が変化する。
また、遊技領域の左下方側には、主制御基板102からの制御信号に基づいて識別図柄(特別図柄の識別図柄及び普通図柄の識別図柄を意味する)を表示制御する7セグ表示基板(図柄表示装置)68が配置されている。この7セグ表示基板68は、特別図柄の識別図柄を表示する7セグメント表示器70と、4個の普通図柄保留表示LED72と、4個の特別図柄保留表示LED74と、普通図柄の識別図柄を表示する2個の普通図柄表示LED76と、を有している。
ここで、確変大当りした場合では、7セグメント表示器70には、予め定められた識別図柄(例えば、奇数の数字からなる確変大当り図柄)が停止表示される。また、通常大当りした場合では、7セグメント表示器70には、予め定められた別の識別図柄(例えば、偶数の数字からなる通常大当り図柄)が停止表示される。
また、演出図柄表示装置62の左側には、普通図柄作動ゲート78が配置されている。この普通図柄作動ゲート78の内部には、ゲートスイッチ124(図5参照)が配設されている。これにより、遊技球が普通図柄作動ゲート78を通過すると、ゲートスイッチ124が作動して、7セグ表示基板68の普通図柄表示LED76が変動表示される。
各普通図柄保留表示LED72及び各特別図柄保留表示LED74は、4個の丸形の赤色LEDで構成されており、7セグメント表示器70の左右両側に近接して配置されている。これは、普通図柄作動ゲート78を通過した遊技球の数を4個まで普通図柄の保留とし、通過ごとに順次点灯しシフト表示するものである。また、始動口56Bに入球した遊技球の数も4個まで特別図柄の保留とし、入球ごとに順次点灯しシフト表示するものである。7セグメント表示器70の変動表示が開始する度に、未始動回数が消化され、1個の特別図柄保留表示LED74は消灯される。また、普通図柄も普通図柄表示LED76の変動表示が開始するたびに、未始動回数が消化され、1個の普通図柄保留表示LED72が消灯される。そして、7セグメント表示器70に予め定められた大当り図柄が停止表示されると大当りが発生し、大入賞口86が開放状態となる。また、2個の普通図柄表示LED76が予め定められた表示態様(当り図柄)で停止表示されると、普通図柄当りが発生し、始動口56Bが開放状態となる。なお、7セグメント表示器70にて表示される特別図柄の識別図柄と、演出図柄表示装置62にて表示される特別図柄の演出図柄とは、同一の遊技結果(抽選結果)を示すものである。
始動口56Bは、演出図柄表示装置62の下方に離れて配置されているものであり、いわゆるチューリップ式で一対の翼片部材56Aが開閉するように形成されている。その内部には、遊技球の通過を検知する始動口スイッチ120(図5参照)と、翼片部材56Aを作動させるための始動口ソレノイド130(図5参照)と、がそれぞれ備えられている。この一対の翼片部材56Aが左右に開くと始動口56Bの開放面積が大きくなって遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部材56Aが閉じその離間距離が小さくなると始動口56Bの開放面積が小さくなって遊技球の入球の可能性が小さくなる通常状態となる。
変動入賞装置80は、始動口56Bの下方に配置されており、基板82と、大入賞装置84と、を備えている。ここで、大入賞装置84は、略中央に配置されており、帯状に開口された大入賞口86と、この大入賞口86を開放又は閉鎖する開閉板88と、この開閉板88を開閉するための大入賞口ソレノイド132(図5参照)と、入賞球を検知するカウントスイッチ126(図5参照)と、を備えている。
また、中央装置54の左側下方部には、風車63が配置されている。さらに、遊技領域の左側下方部及び右側下方部には、一対のサイドランプ90がそれぞれ配置されている。
また、遊技盤26の下方にはアウト口92が設けられており、このアウト口92の下部にはバック球防止部材94が設けられている。このバック球防止部材94は、遊技領域28に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。また、内レール52の先端部には、ファール球防止部材96が取り付けられている。
ここで、図4に示すように、遊技盤26の裏面には、主制御基板102を収容した主制御基板ケースセット(遊技制御基板収容部材)210と、サブ制御基板106を収容したサブ制御基板収容セット212と、がそれぞれ取り付けられている。主制御基板ケースセット210の詳細な構成については、後述する。
次に、パチンコ機10を構成する電子制御装置について説明する。
図5及び図6に示すように、電子制御装置は、主制御基板102と、払出制御基板104と、サブ制御基板106と、発射制御基板108と、を備えている。
図5に示すように、主制御基板102は、CPU102Aと、ROM102Bと、を備えている。
また、主制御基板102のCPU102Aは、ROM102Bに記憶されたデータに基づいて、始動口ソレノイド130、大入賞口ソレノイド132、図柄表示装置134及びサブ制御基板106をそれぞれ制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、遊技全体を司り主として当否判定などの遊技状態を判断するものである。
特に、CPU102Aは、始動口56Bへの遊技球の入球を契機として、大当り抽選処理(特別遊技抽選処理)を実行し、任意の乱数(特別図柄当否判定乱数)を用いて当否を判定する機能を備えている。また、特別図柄の当否判定の実行に伴って、CPU102Aは、特別図柄(識別図柄)の変動パターン(変動時間)を決定する機能も備えている。
この識別図柄の変動パターンは、演出図柄表示装置62に表示される各演出図柄の演出パターン(遊技演出)に対応するもので、CPU102Aが行う「識別図柄の変動パターンの決定」は、「演出図柄の演出パターン(遊技演出)の決定」に相当する。そして、特別図柄(識別図柄)の変動パターン(演出図柄の演出パターン)が決定されると、7セグメント表示器70で特別図柄(識別図柄)の変動表示が開始されるとともに、演出図柄表示装置62で演出図柄の変動表示が開始され、決定された変動パターンにより特定される変動時間が経過すると、特別図柄および演出図柄が停止表示され、その停止表示された演出図柄の図柄組み合わせ態様により、特別図柄の当否判定結果(大当り抽選結果)が遊技者に報知される。なお、演出図柄表示装置62は、遊技盤26の表面(盤面)略中央に、遊技者の視野に入り易い状態で配置される。一方、7セグメント表示器70は、遊技盤26の表面(盤面)の端部(本実施形態では盤面左側端部)に、遊技者の視野に入り難い状態で配置される。このことから、遊技者は演出図柄表示装置62の表示内容に注目して遊技を行うのが一般的である。
そして、CPU102Aは、上述した演出図柄の変動表示及び停止表示の制御を行うサブ制御基板106や、盤面に設けられた各種入賞口に遊技球が入球することで発生する賞球の払い出し制御を行う払出制御基板104を直接的に制御する。また、主制御基板102のCPU102Aは、演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114及び演出ボタン基板116をサブ制御基板106を介して間接的に制御する。
主制御基板102のROM102Bには、CPU102Aにより実行される遊技全体の制御を実現するためのプログラムが記憶されている。
また、主制御基板102は、中継端子板118を介して、始動口スイッチ120と、大入賞口スイッチ122と、ゲートスイッチ124と、カウントスイッチ126と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、主制御基板102は、中継端子板128を介して、始動口ソレノイド130と、大入賞口ソレノイド132と、図柄表示装置134と、にそれぞれ電気的に接続されている。なお、7セグ表示基板68は、図柄表示装置134の一実施形態である。
払出制御基板104は、中継端子板136を介して、ガラス枠スイッチ138と、外部タンクスイッチ140と、タンクスイッチ142と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板144を介して、エラーLED146に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、下皿満タンスイッチ148に電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板150を介して、球貸表示基板152と、球貸装置(CRユニット)154と、にそれぞれ電気的に接続されている。
なお、球貸表示基板152には、球貸スイッチ156と、返却スイッチ158と、がそれぞれ電気的に接続されている。また、払出制御基板104は、中継端子板160を介して、払出モータ162を備えた払出装置161と払出スイッチ164とにそれぞれ電気的に接続されている。さらに、払出制御基板104は、主制御基板102と発射制御基板108とにそれぞれ電気的に接続されている。
図5及び図6に示すように、サブ制御基板106は、演出表示基板110と、アンプ基板112と、装飾駆動基板114と、演出ボタン基板116と、にそれぞれ電気的に接続されている。
また、サブ制御基板106は、主制御基板102からの制御信号に基づいて遊技の演出の制御を司るものである。また、サブ制御基板106は、CPU106Aと、ROM106Bと、を備えている。
サブ制御基板106のCPU106Aは、主制御基板102からの制御信号を受けて演出表示基板110、アンプ基板112、装飾駆動基板114及び演出ボタン基板116などの各基板を制御する。
ROM106Bには、各基板の制御に必要なデータ(特に遊技の装飾に関する情報)が記憶されている。
図6に示すように、演出表示基板110には、演出表示装置166(62)と、演出表示ROM168と、がそれぞれ電気的に接続されている。この演出表示ROM168には、演出図柄表示装置62に変動表示及び停止表示される演出図柄のデータ(画像データ)が記憶されている。なお、演出図柄表示装置62は、演出表示装置166の一実施形態である。
また、アンプ基板112には、所定の効果音を出力する各種スピーカ170(48)が電気的に接続されている。なお、サブスピーカ48は、各種スピーカ170の一実施形態である。
また、装飾駆動基板114には、各種LED・ランプ172(66)が電気的に接続されている。また、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からの制御信号を受けて遊技の装飾に関する制御を行うものである。特に、装飾駆動基板114は、サブ制御基板106からの制御信号に基づいて、各ランプ装置66の発光を制御する。また、演出ボタン基板116には、操作スイッチ174(40)が電気的に接続されている。なお、ランプ装置66は、各種LED・ランプ172の一実施形態である。また、演出ボタン40は、操作スイッチ174の一実施形態である。
次に、主制御基板ケースセット210の詳細な構成について説明する。
なお、払出制御基板ケースセット202の構成については、主制御基板ケースセット210の構成と同様であるため、説明を省略する。また、サブ制御基板ケースセット212、発射制御基板ケースセット204及び電源基板ケースセット208については、不正対策の必要性が低く、単に係合させるだけの簡略な構成が採用されているため、説明を省略する。
図7及び図8に示すように、主制御基板ケースセット210は、基板ケース(収容部材本体)214と、ケースカバー(収容部材蓋体)216と、基板ケース214とケースカバー216との接合状態を維持させるピン部材(固着具)218と、充填部材234と、キャップ部材236と、で構成されている。
基板ケース214は、内部で主制御基板102を保持するためのケースであり、無色透明の樹脂で構成されている。基板ケース214の外側表面には、無色透明の樹脂製の第1フランジ部220が一体形成されている。この第1フランジ部220には、ピン部材218が挿入される第1挿入孔(第1孔部)222が第1フランジ部220(基板ケース214)の厚み方向に延びるように形成されている。第1挿入孔222の径(直径)は、ピン部材218を構成する軸部218Aの径(直径)よりも若干大きく設定されている。第1挿入孔222の内周面には、ピン部材218の軸部218Aの雄ネジ部228と螺合する雌ネジ部230が形成されている。
図9乃至図11に示すように、ケースカバー216は、基板ケース214に接合して基板ケース214との間で主制御基板102を囲むように覆う樹脂製で無色透明のカバーである。ケースカバー216の外側表面には、無色透明の樹脂製の第2フランジ部224が一体形成されている。この第2フランジ部224には、ピン部材218が挿入される第2挿入孔226が第2フランジ部224(ケースカバー216)の厚み方向に貫通するように形成されている。この第2挿入孔226は、容積が比較的大きく設定された第1空間部226Aと、第1空間部226Aと連通し第1空間部226Aの容積よりも小さな容積の第2空間部226Bと、を備えている。換言すれば、第1空間部226Aは、第2空間部226Bをさらに拡径したような広い空間部になっている。第1空間部226Aの直径は、第2空間部226Bの直径よりも大きくなるように設定されている。また、第2フランジ部224には、第1空間部226Aと連通するとともに、ケースカバー216が基板ケース214に適切に接合した状態で第1挿入孔222と連通する貫通孔226Cが形成されている。
ここで、第1空間部226Aの直径は、ピン部材218のヘッド部218Bの直径よりも遥かに大きくなるように設定されている。また、第2空間部226Bの直径は、ピン部材218のヘッド部218Bの直径と同じか若干大きくなるように設定されている。特に、第2空間部226Bの直径を、ピン部材218のヘッド部218Bの直径と同じに設定することにより、ピン部材218の第2空間部226Bに対する位置決めができ、ひいてはピン部材218の中心を貫通孔226C及び第1挿入孔222の中心に対して容易かつ的確に一致させることができる。これにより、ピン部材218を第2空間部226Bに挿入するだけで、ピン部材218の軸部218Aの雄ネジ部228と第1挿入孔222の雌ネジ部230とを容易に螺合させることができる。
第1空間部226Aの底面227には、貫通孔226C及び第1挿入孔222に挿通されたピン部材218のヘッド部218Bが係合する。また、貫通孔216Cの直径は、ピン部材218のヘッド部218Bの直径よりも小さく、かつ軸部218Aの直径と同じか若干大きくなるように設定されている。このため、ピン部材218のヘッド部218Bは、貫通孔226Cの内部を進入することができず、ヘッド部218Bの第1空間部226Aの底面227に対する係合が可能になる。さらに、第2空間部226Bを構成する第2挿入孔226の内周面には、係合溝232が形成されている。この係合溝232には、後述のキャップ部材236の係合フランジ240が係合する。
なお、ピン部材218は、上述した通り、軸状の軸部218Aと、軸部218Aの軸方向一方側端部に形成されたヘッド部218Bと、で構成されている。軸部218Aの外周面には、雄ネジ部228が形成されており、第1挿入孔222の内周面に形成された雌ネジ部230と螺合する。
次に、第1空間部226A及び第2空間部226Bを充填する充填部材234について説明する。充填部材234は、形状記憶部材である形状記憶ポリマーで構成されている。充填部材234は、樹脂の流動性を防ぐための固定相と、温度変化に伴い軟化と硬化が可逆的におこる軟化/硬化可逆相の二相構造より構成されている。固定相の溶融温度(TF)は、可逆相の溶融温度(ガラス転移温度:TR)よりも高く、可逆相・固定相ともに溶融する温度条件にすると、成形加工が可能になる。成形加工後に放冷すると、固定相が固化して成形品の形状を保つようになり、さらに冷却すると、可逆相も固化して完全にリジットなものになる。この状態の成形品形状が原形(1次賦形)として記憶される。次に固定相は溶融せず可逆相のみが溶融する温度(TR<T<TF)に加熱し、この状態で外力を加えると任意の形状に変形できる(2次賦形)。2次賦形した後に冷却すると、その状態に保たれる。次に、2次賦形された成形品を加熱により可逆相のみが溶融する温度(ガラス転移温度:TR)以上に加熱すると、ポリマーはゴム状特性を示して安定状態となり、原形(1次賦形)を回復する。充填部材234は、このようなプロセスによって、形状記憶/回復現象を発現する。
これにより、1次賦形の状態である形状記憶ポリマーで構成される充填部材234を所定の温度(TR<T<TF)に加熱し、これに外力を加えて圧縮して2次賦形の状態に成形し、その後冷却して硬化させる。この結果、充填部材234は、予め圧縮されて硬化された状態になる。さらに、2次賦形された充填部材234を温度(ガラス転移温度:TR)以上に加熱すると、充填部材234はゴム状特性を示して安定状態となり、圧縮された分だけ膨張して原形(1次賦形)を回復する。その後、原形(1次賦形)となった充填部材234をガラス転移温度以下に冷却することにより、原形が維持される。なお、2次賦形された充填部材234を温度(ガラス転移温度:TR)以上に加熱すると、充填部材234は最終的には原形に戻ることになるが、原形に戻る途中で加熱処理を停止して冷却すると、原形に戻る途中の膨張過程で膨張が停止し、その状態で硬化することになる。
ここで、充填部材234を構成する形状記憶ポリマーの具体例として、ノルボルネン系ポリマー、トランスポリイソプレン系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、ウレタン系ポリマー、などが挙げられる。
(ノルボルネン系ポリマー)
ポリノルボルネンは、100〜150℃で成形すめと高分子の鎖が絡み合って一定の形が決まるが、それ以下の温度では、ゴム、さらに、35℃以下になると樹脂の性質を示す。よって、ゴムの性質を示す温度域で自由に変形した後に冷却するとその形状が保たれ、35℃以上に温めると再び成形した形状に戻るという形状記憶特性を示す。
(トランスポリイソプレン系ポリマー)
クラレの開発したトランス型ポリイソプレン(TPI)を加硫架橋したポリマーは、67℃を境にゴムと樹脂の性質が入れ替わり、形状記憶特性を発揮する。
(スチレン−ブタジエン系ポリマー)
旭化成が開発したスチレン−ブタジエン系ポリマー「アスマー」は、ポリスチレンユニットの高融点結晶部を固定相とし、ポリブタジエンユニットの低融点結晶部を可逆相とした構造を持ち、ポリブタジエンの融点(60℃)以上、ポリスチレンの軟化点(80℃)以下の温度領域ではポリスチレンが架橋点のように振る舞いゴム弾性を示す。よって、60〜80℃に加熱した状態で外力を加え変形させた成形品を、40℃以下に冷却するとその形状が保たれ、再度加熱すると原形に回復する。
(ウレタン系ポリマー)
三菱重工業が開発した「ディアプレックス」は、ジイソシアネート、ポリオール、鎖延長剤からなるポリウレタンで、各成分の分子構造やその混合比率を変化させることにより、形状回復温度を−30℃から40℃まで広範囲にわたって自由に変えることができる。また、通常のプラスチックと同様の射出成形方式で加工できるため量産が可能で、コストも低減できる。
ここで、形状記憶ポリマーである充填部材234の形状記憶及び回復機能は、高分子材料のガラス転移現象に基づくものである。図24に示すように、高分子材料の弾性率はガラス転移温度(Tg)を境として変化し、低温では硬いガラス状態、高温では柔軟なゴム状態として振舞う。形状記憶ポリマーである充填部材234は、Tg以上の温度ではゴムのように自由に変形させることが可能であり、その変形(負荷応力)を保ったままTg以下の温度に冷却することによって、そのままの形状で固定させることができる。その後、Tg以上に加熱すると、材料は柔軟性を取り戻し、本来の弾性力によって元の形状に回復する。これが形状記憶ポリマーの動作原理であり、Tgは形状回復温度として重要な特性となる。このため、形状記憶ポリマーで構成される充填部材234は、予め圧縮され、ガラス転移温度よりも低い温度で硬化されている成形状態(2次賦形状態)のものを、ガラス転移温度よりも高い温度になるように加熱すると、圧縮された分だけ膨張して元の形状に戻る。そして、充填部材234が元の形状に戻ったときに、第1空間部226A及び第2空間部226Bを充填部材234で充填するように設定しておけば、充填部材234を予め圧縮して硬化された状態で第1空間部226Aに収容し、その後、充填部材234をガラス転移以上の温度で加熱することにより、第1空間部226A及び第2空間部226Bのほとんどの容積が充填部材234で充填されることになる。さらに、充填部材234の膨張後、冷却した硬化させることにより、第1空間部226A及び第2空間部226Bの容積を充填した充填部材234の状態が維持される。
図9乃至図11に示すように、上述した形状記憶ポリマーで構成される充填部材234は、第1空間部226A及び第2空間部226Bに充填される。第1空間部226A及び第2空間部226Bが充填部材234により充填された状態では、第1空間部226A及び第2空間部226Bのほとんどの容積を充填部材234が占め、ピン部材218のヘッド部218Bを覆う形になる。このため、ピン部材218のヘッド部218Bは、第2挿入孔226の第2空間部226Bの入口から視認することができず、当然ながら接触することもできない。
次に、キャップ部材236について説明する。
図12及び図13に示すように、キャップ部材236は、カップ状に形成されたキャップ部材本体238のキャップ部材本体238の開口部縁に形成された係合フランジ240と、で構成されている。このキャップ部材236は、樹脂、ゴム、アルミニウムなどの軽金属で構成されている。キャップ部材236は、第1空間部226Aの底面227にピン部材218のヘッド部218Bが係合して状態で、第1空間部226Aに充填部材234が挿入され、その後、係合フランジ240が係合溝232の近傍に配置される。そして、充填部材234がガラス転移温度以上に加熱され膨張することにより第1空間部226A及び第2空間部226Bに充填され、その膨張した充填部材234の一部がキャップ部材本体238の内部に入り込み、キャップ部材236の内側から外側に向かって所定の圧力を作用させる。これにより、キャップ部材本体238が充填部材234の一部により内側から外側に向かって押し広げられ、これに伴い係合フランジ240が係合溝232に入り込み、両者が係合することになる。すなわち、充填部材234が膨張して第1空間部226A及び第2空間部226Bを充填すると同時に、キャップ部材236の係合フランジ240と係合溝232との係合状態が成立(完成)する。
次に、基板ケース214とケースカバー216との固着方法について説明する。
先ず、図9に示すように、基板ケース214の第1フランジ部220とケースカバー216の第2フランジ部224とを面接して、第1挿入孔222と第2挿入孔226とが相互に連通した状態にする。換言すれば、基板ケース214とケースカバー216とが接合する。第1挿入孔222と第2挿入孔226とが相互に連通した状態になると、ケースカバー216の第2挿入孔226の開口部229側からピン部材218を挿入(圧入)する。ピン部材218は、ケースカバー216の第2空間部226Bの開口部229から挿入された第1空間部226Aに到達する。このとき、ピン部材218の軸部218Aは貫通孔226Cを挿通して、軸部218Aの雄ネジ部228が基板ケース214の第1挿入孔222に形成された雌ネジ部230と螺合する。そして、ピン部材218のヘッド部218Bが第1空間部226Aの底面227に係合する。これにより、基板ケース214とケースカバー216との接合状態で維持されて両者が固定される。
次に、充填部材234を第2挿入孔226の第2空間部226Bから第1空間部226Aに向かって挿入する。ここで、第1空間部226A及び第2空間部226Bに挿入される充填部材234は、第2空間部226Bを挿通可能な程度に予め圧縮されて硬化された2次賦形の状態になっている。このように、第1空間部226Aに、充填部材234を収容する。
図10に示すように、第1空間部226Aに充填部材234を収容した後、キャップ部材236を第2空間部226Bに挿入する。このとき、キャップ部材236の係合フランジ240が、第2空間部226Bを形成する第2挿入孔226の内周面の係合溝232に軽く引っ掛けるようにすることが好ましい。
次に、充填部材234を加熱手段(図示省略)により加熱する。例えば、加熱手段として、ドライヤなどを用い、温風を第2空間部226Bから第1空間部226Aに吹き付けるようにして加熱する。このとき、キャップ部材236により温風が遮断されるが、第1空間部226A及び第2空間部226Bの雰囲気が徐々に加熱されていく。
図11に示すように、充填部材234が加熱され、ガラス転移温度以上に達すると、充填部材234は、ゴム状の特性になり、1次賦形として記憶した状態に戻ろうと膨張する。充填部材234が膨張していくと、充填部材234が第1空間部226A及び第2空間部226Bの容積を充填していく。なお、充填部材234のガラス転移温度は、基板ケース214及びケースカバー216が設置される設置環境温度よりも高くなるように、充填部材234の材質や、基板ケース214及びケースカバー216が設置される設置環境温度などが調整されている。
なお、充填部材234としてABS樹脂を適用した場合では、ABS樹脂のガラス転移温度は120℃近辺になり、充填部材234にポリウレタン系を用いれば、ガラス転移温度を40〜120℃の間に設定することができる。このため、ガラス転移温度を上記設置環境温度以上であって120℃以下に設定することが可能になる。また、市販のドライヤの温風噴出口から10cm離間した位置の温風温度が70〜90℃程度になるため、充填部材234のガラス転移温度を90℃以下に設定すれば、ドライヤの温風により充填部材234をガラス転移温度以上の温度に加熱することが可能になる。
そして、充填部材234が第1空間部226A及び第2空間部226Bの容積を充填したときに、ドライヤによる加熱処理を中止し、その後、充填部材234がガラス転移温度以下の温度となるように充填部材234を冷却する。なお、充填部材234の冷却は、放置しておいて自然に冷却するようにしてもよいし、冷却手段(図示省略)などにより強制的に冷却するようにしてもよい。充填部材234を冷却すると、充填部材234が硬化し、その状態が維持される。これにより、第1空間部226A及び第2空間部226Bの容積を充填部材234で隙間無く充填することができる。ピン部材218のヘッド部218Bは、この充填部材234により覆われた状態になっており、第2挿入孔226の開口部229から接触(アクセス)することができない。
ここで、図13に示すように、充填部材234が膨張していくと、膨張する充填部材234の一部がキャップ部材236のキャップ部材本体238の内部に進入する。そして、キャップ部材本体238を内側から外側に向かって押し広げるような圧力を作用させる。これにより、キャップ部材236は、外側に向かって押し広げられて、係合フランジ240が係合溝232に入り込んで係合する。このように、充填部材234による第1空間部226A及び第2空間部226Bの充填工程と、キャップ部材236の係合工程と、が同時に完成する。そして、充填部材234は、キャップ部材236により覆われた状態になり、第2挿入孔226から充填部材234に接触(アクセス)することができない。
以上のように、基板ケース214とケースカバー216との接合状態がピン部材218により固定維持され、かつ第1空間部226A及び第2空間部226Bが充填部材234で隙間無く充填された上に、キャップ部材236により充填部材234が覆われた状態になる。このため、不正行為者が不正行為をしようとしてピン部材218を外そうとした場合でも、充填部材234及びキャップ部材236が介在しているため、ピン部材218を引き抜くことはできない。また、キャップ部材236及び充填部材234を有色(例えば、黒色)にすることにより、外部からピン部材218を視認することができず、ピン部材218の存在にも気付き難くなる。このため、不正行為の未然防止を実現することができる。
ここで、不正行為者がキャップ部材236を取り外そうとしても、キャップ部材236の係合フランジ240と係合溝232とが係合しているため、キャップ部材236を引き抜くことが困難になる。さらに、キャップ部材236のキャップ部材本体238の内部に充填部材234が入り込み、この充填部材234によりキャップ部材236の係合フランジ240と係合溝232との係合状態が維持されているため、係合溝232を内側に変形させて係合状態を解除しようとしても充填部材234が干渉して不可能になる。このため、キャップ部材236を取り外すことは不可能に近くなる。
仮に、キャップ部材236を破壊した場合でも、第1空間部226A及び第2空間部226Bは充填部材234で充填された状態になっている。そして、第1空間部226Aの容積が第2空間部226Bの容積よりも大きく設定されているため、第1空間部226Aを占める充填部材234の体積が第2空間部226Bを占める充填部材234の容積よりも大きくなる。これにより、第2空間部226B側の充填部材234を引き抜こうとしても、第1空間部226A側の充填部材234が抜止め防止部材として作用するため、充填部材234の引き抜きを阻止することができる。
また、キャップ部材236を設けたことにより充填部材234が膨張し過ぎて第2挿入孔226から溢れ出してしまうことを防止できる。このように、キャップ部材236は、充填部材234を覆い隠す機能の他に、充填部材234の過度な膨張を制限する機能も備えている。この結果、充填部材234の膨張を調整することができる。
なお、キャップ部材236や充填部材234を破損させるなどにより強引に引き抜いた場合には、不正行為の痕跡が必ず残るため、不正行為を早期にかつ確実に判別することができる。この結果、遊技を開始する前に、新しい正規の遊技制御基板に交換するなど、早期対応が可能になる。
特に、図14に示すように、不正行為者が何らかの手段によりキャップ部材236を取り外し、充填部材234を取り出そうとして充填部材234を加熱した場合には、充填部材234が膨張して第2挿入孔226から溢れ出す。このため、不正行為の痕跡が確実に残り、不正行為を容易に発見することができる。また、充填部材234を加熱してゴム状にしても、充填部材234が有色であるため、ピン部材218の位置を確認することができない。さらに、ピン部材218の位置を確認しようとすると、充填部材234を大量にかき出さなければならず、不正行為が困難になる。
次に、本発明の第2実施形態に係るパチンコ機について説明する。
なお、第1実施形態に係るパチンコ機10と同様の構成については、同符号を付すとともに、その説明を省略する。
図15乃至図17に示すように、第2実施形態は、キャップ部材250が形状記憶ポリマー(形状記憶部材)で構成されているものである。換言すれば、第1実施形態の充填部材がキャップ部材状に形成されキャップ部材250の機能を兼ねている構成である。この形状記憶ポリマーの特性については、第1実施形態で詳細に説明したので省略する。
また、ケースカバー216の第2挿入孔226は、第1実施形態と同様にして、第1空間部226Aと、第2空間部226Bと、を備えている。そして、ケースカバー216の底面には、第1空間部226Aと連通した貫通孔226Cが形成されている。
なお、第2実施形態では、第2空間部226Bの内周面に係合溝232(図9参照)は形成されていない。また、キャップ部材250は、カップ状(中空状)のキャップ部材本体252で構成されており、第1実施形態のように、キャップ部材250に係合フランジ240(図12参照)は形成されてない。
第2実施形態によれば、キャップ部材本体252の開口端の直径が第2空間部226Bの直径と同じか若干小さくなる程度で硬化して安定したキャップ部材250の2次賦形を成形する。2次賦形となったキャップ部材250を第2空間部226Bに挿入する。
キャップ部材250の挿入後、ドライヤなどの加熱手段を用いてキャップ部材250を加熱する。キャップ部材250をガラス転移温度以上の温度に加熱すると、キャップ部材250は、ゴム状となって1次賦形の状態に戻ろうとして膨張する。これにより、キャップ部材250は、内側から外側に膨張(拡径)してキャップ部材本体252が第2空間部226Bの内周面を押圧して突っ張った状態になる。そして、キャップ部材本体252が第2空間部226Bの内周面を押圧して突っ張った状態で、キャップ部材に対する加熱を中止し、その後、ガラス転移温度以下に冷却する。これにより、キャップ部材250は、第2空間部226Bの内周面を押圧して突っ張った状態で硬化する。
以上のように、第2実施形態によっても、ピン部材218をキャップ部材250で覆って保護することができる。特に、キャップ部材250自体を形状記憶部材で構成することにより、他の部材を用いることなく、キャップ部材250とケースカバー216の第2空間部226Bに対する装着力を強固にすることができる。この結果、部品点数を削減するとともに、ピン部材218に対する接触を回避させることができる。
なお、不正行為としてキャップ部材250をガラス転移温度以上に加熱することも考えられるが、この場合には、キャップ部材250がゴム状となって変形するため、不正行為を一瞬で判別することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係るパチンコ機について説明する。
なお、第1実施形態に係るパチンコ機10と同様の構成については、同符号を付すとともに、その説明を省略する。
図18乃至図20に示すように、第3実施形態は、第2実施形態をベースにしたものであり、形状記憶ポリマー(形状記憶部材)で構成されたキャップ部材260は、1次賦形時にはキャップ部材本体262から係合突出片264が発現するとともに、2次賦形時にはキャップ部材本体262から係合突出片264が消滅するように、構成されている。すなわち、キャップ部材260は、環境条件によって、1次賦形状態と2次賦形状態になるが、2次賦形状態のキャップ部材本体262には、係合突出片264が存在せず、加熱されて膨張し1次賦形状態に戻ると係合突出片264が発現するように、設定されている。換言すれば、第1実施形態の充填部材がキャップ部材状に形成されキャップ部材250の機能を兼ねている構成である。また、第2空間部226Bの内周面には、係合突出片264と係合する係合溝232が形成されている。
第3実施形態によれば、2次賦形状態のキャップ部材260のキャップ部材本体262を第2空間部226Bに挿入し、その後、キャップ部材260を加熱手段によりガラス転移温度以上の温度で加熱する。これにより、キャップ部材260は、膨張して1次賦形状態になる。このとき、キャップ部材本体262から係合突出片264が発現し、これが係合溝232に入り込んで係合する。そして、キャップ部材260は、係合突出片264が係合溝232と係合した状態で、冷却されて硬化する。
次に、本発明の第4実施形態に係るパチンコ機について説明する。
なお、第1実施形態に係るパチンコ機10と同様の構成については、同符号を付すとともに、その説明を省略する。
図21乃至図23に示すように、第4実施形態は、第3実施形態をベースに構成したものであり、そのキャップ部材236は、第1実施形態と同様にして、形状記憶ポリマーなどの形状記憶部材以外の材質(樹脂、ゴム、アルミニウムなどの軽金属)で構成し、中空状のキャップ部材本体238と、キャップ部材本体238の開口端に形成された係合フランジ240と、を有するものである。キャップ部材236は、円孔である第2挿入孔226の厚み方向中間部に設けられていることが好ましい。
また、円孔である第2挿入孔226の内周面には、係合溝232が形成されている。また、ピン部材218のヘッド部218Bとキャップ部材236との間を形状記憶ポリマーで構成された第1充填部材270で充填し、キャップ部材236とカバー部材274との間を形状記憶ポリマーで構成された第2充填部材272で充填したものである。
なお、ケースカバー216の第2挿入孔226の開口部229近傍には、開口部229を閉塞するカバー部材274が設けられている。このカバー部材274は、無色透明な樹脂で構成されており、外部から第2挿入孔226の内部を視認することができるようになっている。
第4実施形態によれば、ピン部材218の挿入後に、2次賦形状態の第1充填部材270を第2挿入孔226に挿入し、キャップ部材236を第2挿入孔226に挿入する。そして、キャップ部材236の上方から2次賦形状態の第2充填部材272を第2挿入孔226に挿入する。
次に、加熱手段により第1充填部材270と第2充填部材272をガラス転移温度以上の温度となるように加熱すると、第1充填部材270と第2充填部材272がゴム状になって膨張する。第1充填部材270が膨張すると、キャップ部材本体238の内部に第1充填部材270の一部が入り込み、係合フランジ240と係合溝232とが係合する。これにより、キャップ部材236がケースカバー216に対して強固に装着される。また、それと同時に、第2充填部材272が膨張する。このため、キャップ部材236は、第1充填部材270と第2充填部材272とで挟まれる形で第2挿入孔226の内部に対して位置決めされる。さらに、第2充填部材272は膨張するが、カバー部材274で第2挿入孔226が閉塞されているため、第2充填部材272が第2挿入孔226の開口部229から外部に溢れ出てしまうことを防止できる。このようにして、第1充填部材270及び第2充填部材272は、1次賦形状態になり、第2挿入孔226の内部に充填することになる。その後、加熱処理を中止して、第1充填部材270及び第2充填部材272がガラス転移温度以下に冷却されて、硬化し、その状態が維持される。第1充填部材270及び第2充填部材272が1次賦形状態になると、カバー部材274をケースカバー216から取り外す。なお、第1充填部材270及び第2充填部材272の加熱・冷却処理時には、カバー部材274が無色透明の樹脂で構成されており、カバー部材274を通して内部を視認することができるため、カバー部材274が死角となって第1充填部材270及び第2充填部材272の加熱・冷却処理に悪影響を及ぼすことはない。
なお、上記実施形態では、第1空間部226Aの容積が第2空間部226Bの容積よりも大きくなる形態を例に挙げて説明したが、容積の大小にかかわらず、第1空間部226Aのピン部材218の挿入方向と直交する方向の寸法が、第2空間部226Bのピン部材218の挿入方向と直交する方向の寸法よりも大きく設定されていればよい。この構成では、必ず、第1空間部226Aに充填された充填部材234の部分が第2空間部226Bに充填された充填部材234の部分よりもピン部材218の径方向外側に突出するため、充填部材234を取り外し(引き出し)難くすることができる。
また、上記各実施形態では、本発明を、主制御基板102を収容する主制御基板ケースセット210に適用した構成を例に挙げて説明したが、この構成に限られるものではなく、サブ制御基板ケースセット212、払出制御基板ケースセット202、発射制御基板ケースセット204及び電源基板ケースセット208など、他の遊技に関連する基板を収容するケースの固定(固着)方法に対しても、容易に適用することができる。
また、上記各実施形態では、ケースカバー216の第2挿入孔226に充填部材を充填させる構成を説明したが、これに限られるものではなく、ピン部材218を基板ケース214側からケースカバー216側に挿入し、かつ基板ケース214の第1挿入孔222に充填部材を充填させるように構成してもよい。