JP2009232205A - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents

信号処理装置、信号処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009232205A
JP2009232205A JP2008075772A JP2008075772A JP2009232205A JP 2009232205 A JP2009232205 A JP 2009232205A JP 2008075772 A JP2008075772 A JP 2008075772A JP 2008075772 A JP2008075772 A JP 2008075772A JP 2009232205 A JP2009232205 A JP 2009232205A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
information
headphone
signal processing
characteristic
sound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008075772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5320784B2 (ja
Inventor
Kohei Asada
宏平 浅田
Kazuatsu Oguri
一敦 大栗
Toru Sasaki
徹 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2008075772A priority Critical patent/JP5320784B2/ja
Publication of JP2009232205A publication Critical patent/JP2009232205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5320784B2 publication Critical patent/JP5320784B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】ヘッドフォンによる音響再生を行うシステムにおいて、使用するヘッドフォンの種別に応じた適切な信号処理特性が自動的に設定されるようにする。
【解決手段】ヘッドフォン側に記憶手段を備え、該記憶手段に対し、ヘッドフォンの所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶させておく。信号処理装置側では、上記記憶手段から上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取り、該読み取ったヘッドフォン側記憶情報に基づき、上記ヘッドフォンに供給される音声信号に所要の信号特性を与える信号処理手段の信号処理特性を設定する。これにより、使用するヘッドフォンの種別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。
【選択図】図9

Description

本発明は、ヘッドフォン装置に供給される音声信号に対する信号処理を行う信号処理装置と、信号処理方法とに関する。
特開平3−214892号公報 特開平3−96199号公報
ヘッドフォン装置により楽曲などのコンテンツの音声を再生しているときに聴こえてくる外部のノイズをアクティブにキャンセルするようにされた、ヘッドフォン装置対応のいわゆるノイズキャンセリングシステムが知られ、また、実用化されている。このようなノイズキャンセリングシステムとしては、大別してフィードバック方式とフィードフォワード方式との2つの方式が知られている。
例えば、上記特許文献1には、ユーザの耳に装着される音響管内においてイヤホン(ヘッドフォン)ユニットの近傍に設けたマイクロフォンユニットにより収音した音響管内部の騒音(ノイズ)を位相反転させた音声信号を生成し、これをイヤホンユニットから音として出力させることにより、外部ノイズを低減させるようにした構成、つまり、フィードバック方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
また、上記特許文献2には、その基本構成として、ヘッドフォン装置外筐に取り付けたマイクロフォンにより収音して得た音声信号について所定の伝達関数による特性を与えてヘッドフォン装置から出力させるようにした構成、つまりフィードフォワード方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
これらフィードフォワード方式、フィードバック方式の何れを採用する場合にも、ノイズキャンセリングのために設定されるフィルタ特性は、例えば外部のノイズ源からの音声がユーザの耳位置(ノイズキャンセル点)に到達するまでの空間伝達関数や、マイクアンプ・ヘッドフォンアンプの特性などの各種の伝達関数に基づき、ユーザ耳位置でノイズがキャンセルされるようにして設定されるものとなる。
このとき、上記空間伝達関数としては、ヘッドフォン装置の音響管(ハウジング部)の構造などにより大きく左右されるものとなることから、ノイズキャンセリングのためのフィルタ特性は、同一構造を有する1種類のヘッドフォン装置を想定して設定するものとなる。換言すれば、ノイズキャンセリングシステムにおいて、フィルタ特性は、ヘッドフォン装置に対して1対1の関係で設定されるべきものとなっている。
現状において、ノイズキャンセリングのためのフィルタはアナログ回路により構成されている。このため、現状のノイズキャンセリングシステムにおいては、フィルタ(信号処理装置)とヘッドフォン装置とは予め想定される1対1の組み合わせでしか使用することができず、例えばノイズキャンセリング機能を有さない音響再生システムで行われているように、ヘッドフォン装置を任意のものに変更するといったことができないものとされている。
確認のために述べておくと、フィルタをアナログ回路で構成する場合には、フィルタ特性の変更にあたりそれぞれ別々のフィルタ特性を有するフィルタ回路を複数設けておき、それらをスイッチングしてフィルタ特性の変更を行うことになる。しかしながら、そのような構成は回路実装面積の点などから非現実的であり、結果として現状においては、信号処理装置とヘッドフォン装置は想定される1対1の組み合わせでしか使用できないものとなっている。
上記のような現状に対し、ノイズキャンセリングシステムにおいても、ヘッドフォンを他の構造を有する別機種に変更したいという要望が強くある。例えば、インナータイプのヘッドフォン装置から耳覆いタイプのヘッドフォン装置に変更するなどといったことが挙げられる。或いは、FF方式対応ヘッドフォンとFB方式対応ヘッドフォンとの間で変更を行うといったことも想定され得る。
フィルタ特性を可変的に設定するための構成として、先に本出願人は、ノイズキャンセリングフィルタをデジタル回路で実現する構成を提案している。すなわち、ノイズキャンセリングフィルタを例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタなどのデジタルフィルタで実現するものである。このようなデジタルフィルタを用いたノイズキャンセリングシステムとすることで、フィルタ特性の変更はフィルタ構成やフィルタ係数の変更を行うことで実現することができ、アナログ回路で構成する場合よりも簡易な構成とすることができる。
ここで、使用するヘッドフォンに応じてフィルタ特性を可変的に設定するとしたときには、当然のことながら実際に使用されるヘッドフォンの機種(種類)が何れに該当するかを識別する必要がある。
このような識別にあたっては、例えば使用するヘッドフォンの別の情報をユーザ操作に基づき取得することが考えられる。しかしながら、ユーザの入力情報に基づく識別を行う場合には、必然的にユーザに操作負担を強いるものとなり、利便性に欠けるシステムとなってしまう。
また、このようにユーザの操作入力に基づく識別を行う場合には、ユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォンとは別のヘッドフォンが選択されてしまう可能性もあり、その場合、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった問題が生じる。
また、ノイズキャンセリングを行わない、いわば通常の音響再生システムであっても、使用するヘッドフォンを変更するとした場合は、そのヘッドフォンの構造等に応じた信号処理特性を設定する必要性はある。例えば、使用するヘッドフォンの機種が異なれば、ドライバ(振動板ユニット)の周波数特性や感度が異なるものとなるので、このような周波数特性の差、感度差を補償するようにしてイコライジング処理、ゲイン調整を行うといったことが考えられる。
しかしながら、この場合も使用するヘッドフォンの別をユーザの入力情報に基づき識別するとした場合には、同様にユーザの操作負担を強いるものとなり利便性に欠けるシステムとなってしまう。また、この場合としてもユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォンとは別のヘッドフォンが選択されてしまう可能性もあり、使用するヘッドフォンに応じた適正な特性補正を行うことができなくなってしまう虞がある。
また、これまでは、使用するヘッドフォンの機種の別を問題としたが、同一機種のヘッドフォンであっても、その個体ごとに信号処理特性を変更する必要性があることも考えられる。
ここで、ヘッドフォンやマイクロフォンなどのいわゆるトランスデューサを構成する音響部品は、そのメカ機構自体が機能・性能に直接関わるものであり、電気部品と比較した場合には、そのばらつきによる影響が大きなものとなる。従って、ヘッドフォンの個体ごとに音響部品のばらつきが生じる場合には、同一機種のヘッドフォンであっても、聴感上の差が相応に生じてしまうものとなる。
また、このような音響部品のばらつきに伴う聴感上の変化としては、左右のチャンネル間の変化も挙げることができる。左右チャンネル間で聴感上の変化が生じた場合には、音像の定位感が悪化するなどの問題が生じてしまう。
このような問題から、現状においては、左右両チャンネルのペアリングも含めて、ヘッドフォンの個体ごとに音響特性の測定を行い、その測定結果に基づく選別を行うものとしている。すなわち、この選別によって基準を満たすとされた製品のみを出荷するというものである。
しかしながら、このような選別による手法を採る場合において、選別から外れたものは廃棄処分することになる。この点で現状の手法は、装置製造コストが嵩んでしまうことが問題となる。
そこで、本発明では上記した問題点を考慮して、信号処理装置として以下のように構成することとした。
つまり、振動板を備えて音響再生を行うヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段を備える。
また、上記ヘッドフォン装置に設けられ上記ヘッドフォン装置の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶するヘッドフォン側記憶手段から、上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取る情報読取手段を備える。
また、上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段を備えるものである。
上記本発明によれば、上記ヘッドフォン装置に記憶されたヘッドフォン側記憶情報を、信号処理装置側が自動的に取得することができる。すなわち、ユーザ操作によらず、上記ヘッドフォン側記憶情報としての、所定の種別ごとに区分されたヘッドフォン装置ごとに異なる内容となるようにされた情報を取得することができる。
そして、上記本発明によれば、このように取得したヘッドフォン側記憶情報に基づき、信号処理手段の信号処理特性が設定(変更)されるものとなる。これにより、使用するヘッドフォン装置の別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。
ここで、ヘッドフォン装置の種別としては、例えばヘッドフォン装置の機種の別や、具備される音響部品の特性の別などを挙げることができる。従って、上記本発明によれば、ヘッドフォン装置の機種の別に応じた信号処理特性の設定や、例えば同一機種についてもその音響部品の特性の別に応じた信号処理特性の設定を行うことができる。
本発明によれば、ヘッドフォン装置ごとの記憶情報をユーザ操作によらず装置側で自動的に取得することができる。そして、このように取得したヘッドフォン側記憶情報に基づき信号処理手段の信号処理特性が設定されるようにしていることで、該信号処理手段の信号処理特性を、使用するヘッドフォン装置に対応する特性に設定(変更)することができる。
つまり、上記本発明によれば、使用するヘッドフォン装置の別に応じた適切な信号処理特性を信号処理装置側で自動的に設定することができ、これによってユーザに操作負担を負わせることのない優れたシステムの実現が図られる。また、これと共に、ユーザの操作入力ミスなどにより誤った信号処理特性が設定されてしまい、適正な音響再生を行うことができなくなってしまうといった事態の発生も効果的に防止することができる。
また、上記本発明によれば、ヘッドフォン装置を構成する音響部品の特性ばらつきは補償することができるので、従来のように選別から外れた製品を廃棄する必要はないものとできる。この点で本発明によれば、ヘッドフォン装置の製造コストの削減を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明していく。
実施の形態では、信号処理装置とヘッドフォン装置とを備えて構成される音響再生システムとして、ノイズキャンセリング機能を有するシステムを例に挙げる。そこで、以下では先ず、本実施の形態としてのシステムの構成を説明するのに先立ち、ノイズキャンセリングシステムの基本概念について説明を行っておく。
<ノイズキャンセリングシステムの基本概念>

ノイズキャンセリングシステムの基本的な方式としては、フィードバック(FeedBack:FB)方式によりサーボ制御を行うようにされたものとフィードフォワード(FeedForward:FF)方式がそれぞれ知られている。先ず、図1により、FB方式について説明する。
図1(a)には、ヘッドフォン装着者(ユーザ)の右耳(L(左),R(右)による2チャンネルステレオにおけるRチャンネル)側における、FB方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例を模式的に示している。
ここでのヘッドフォン装置のRチャンネル側の構造としては、先ず、右耳に対応するハウジング部201内において、ヘッドフォン装置を装着したユーザ500の右耳に対応する位置にドライバ202を設けるようにされる。ドライバ202は振動板を備えたいわゆるスピーカと同義のものであり、音声信号の増幅出力により駆動(ドライブ)されることで音声を空間に放出するようにして出力するものである。
そのうえで、FB方式としては、ハウジング部201内においてユーザ500の右耳に近いとされる位置に対してマイクロフォン203を設けるようにされる。このようにして設けられるマイクロフォン203によっては、ドライバ202から出力される音声と、外部のノイズ音源301からハウジング部201内に侵入して右耳に到達しようとする音声、つまり右耳にて聴き取られる外部音声であるハウジング内ノイズ302とが収音されることになる。なお、ハウジング内ノイズ302が発生する原因としては、ノイズ音源301が例えばハウジング部のイヤーパッドなどの隙間から音圧として漏れてきたり、ヘッドフォン装置の筐体がノイズ音源301の音圧を受けて振動し、これがハウジング部内に伝達されてくることなどを挙げることができる。
そして、マイクロフォン203によって収音して得られた音声信号から、例えば外部音声の音声信号成分に対して逆特性となる信号など、ハウジング内ノイズ302がキャンセル(減衰、低減)されるようにするための信号(キャンセル用オーディオ信号)を生成し、この信号について、ドライバ202を駆動する必要音の音声信号(オーディオ音源)に合成させるようにして帰還させる。これによりハウジング部201内における右耳に対応するとされる位置に設定されたノイズキャンセル点400においては、ドライバ201からの出力音声と外部音声の成分とが合成されることによって外部音声がキャンセルされた音が得られ、ユーザの右耳では、この音を聴き取ることになる。そして、このような構成を、Lチャンネル(左耳)側においても与えることで、通常のL,R2チャンネルステレオに対応するヘッドフォン装置としてのノイズキャンセリングシステムが得られることになる。
図1(b)のブロック図は、FB方式によるノイズキャンセリングシステムの基本的なモデル構成例を示している。なお、この図1(b)にあっては、図1(a)と同様にして、Rチャンネル(右耳)側のみに対応した構成が示されているものであり、また、Lチャンネル(左耳)側に対応しても同様のシステム構成が備えられるものである。また、この図において示されるブロックは、FB方式によるノイズキャンセリングシステムの系における特定の回路部位、回路系などに対応する1つの特定の伝達関数を示すもので、ここでは伝達関数ブロックと呼ぶことにする。各伝達関数ブロックにおいて示されている文字が、その伝達関数ブロックの伝達関数を表しているものであり、音声信号(若しくは音声)は、伝達関数ブロックを経由するごとに、そこに示される伝達関数が与えられることになる。
先ず、ハウジング部201内に設けられるマイクロフォン203により収音される音声は、このマイクロフォン203と、マイクロフォン203にて得られた電気信号を増幅して音声信号を出力するマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101(伝達関数M)を介した音声信号として得られることになる。この伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FB(FeedBack)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−β)を介して合成器103に入力される。FBフィルタ回路は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上述のキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−βとして表されているものである。
また、楽曲などのコンテンツとされるオーディオ音源の音声信号Sは、ここでは、イコライザによるイコライジングが施されるものとしており、このイコライザに対応する伝達関数ブロック107(伝達関数E)を介して合成器13に入力される。
なお、このように音声信号Sにイコライジングを施すのは、FB方式では、ノイズ収音用のマイクロフォン203がハウジング部201内に設けられ、ノイズ音のみでなくドライバ202からの出力音声も収音されることに由来する。すなわち、このようにマイクロフォン203が音声信号Sの成分も収音することで、FB方式では音声信号Sに対しても伝達関数−βが与えられるものとなっており、このことで音声信号Sの音質劣化を招くこと虞がある。そこで、予め伝達関数−βによる音質劣化を抑制するために、イコライジングにより音声信号Sに所要の信号特性を与えるようにしているものである。
合成器103では、上記の2つの信号を加算により合成する。このようにして合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力される。つまり、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。なお、ドライバ202の伝達関数Dは、例えばドライバ202の構造などにより決まる。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由するようにしてノイズキャンセル点400に到達し、その空間にてハウジング内ノイズ302と合成されることになる。そして、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
ここで、この図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムのモデルの系にあって、上記出力音の音圧Pは、ハウジング内ノイズ302をN、オーディオ音源の音声信号をSとしたうえで、各伝達関数ブロックにおいて示される伝達関数「M、−β、E、A、D、H」を利用して、次の[式1]のようにして表されるものとなる。

Figure 2009232205
この[式1]において、ハウジング内ノイズ302であるNに着目すると、Nは、1 /(1+ADHMβ)で表される係数により減衰されることがわかる。
ただし、[式1]の系がノイズ低減対象の周波数帯域にて発振することなく、安定して動作するためには、次の[式2]が成立していることが必要となる。

Figure 2009232205
一般的なこととして、FB方式によるノイズキャンセリングシステムにおける各伝達関数の積の絶対値が、

1<<|ADHMβ|

で表されることとと、古典制御理論におけるNyquistの安定性判別と合わせると、[式2]については下記のように解釈できる。
ここでは、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムの系において、ハウジング内ノイズ302であるNに関わるループ部分を一箇所切断して得られる、(−ADHMβ)で表される系を考える。この系を、ここでは「オープンループ」ということにする。一例として、マイクロフォン及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101と、FBフィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102との間を切断すべき箇所とすれば、上記のオープンループを形成できる。
上記のオープンループは、例えば図2のボード線図により示される特性を持つものとされる。このボード線図においては、横軸に周波数が示され、縦軸においては、下半分にゲインが示され、上半分に位相が示される。
このオープンループを対象とした場合、Nyquistの安定性判別に基づき、[式2]を満足するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:位相0deg.(0 度)の点を通過するとき、ゲインは0dBより小さくなくてはならない。
条件2:ゲインが0dB以上であるとき、位相0deg.の点を含んではいけない。
上記2つの条件1、2を満たさない場合、ループには正帰還がかかることとなって、発振(ハウリング)を生じさせる。図2においては、上記の条件1に対応する位相余裕Pa、Pbと、条件2に対応するゲイン余裕Ga、Gbが示されている。これらの余裕が小さいと、ノイズキャンセリングシステムを適用したヘッドフォン装置を使用するユーザの各種の個人差やヘッドフォン装置を装着したときの状態のばらつきなどにより、発振の可能性が増加することになる。
例えば図2にあっては、位相0deg.の点を通過するときのゲインとしては0dBより小さくなっており、これに応じてゲイン余裕Ga 、Gbが得られている。しかしながら、例えば仮に位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB以上となってゲイン余裕Ga 、Gbが無くなる、あるいは位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB未満であるものの、0dBに近く、ゲイン余裕Ga 、Gbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
同様にして、図2にあっては、ゲインが0dB以上であるときには位相0deg.の点を通過しないようにされており、位相余裕Pa、Pbが得られている。しかしながら、例えばゲインが0dB以上であるときに位相0deg.の点を通過してしまっている。或いは、位相0deg.に近くなり位相余裕Pa、Pbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
次に、図1(b)に示したFB方式のノイズキャンセリングシステムの構成において、上述の外部音声(ノイズ)のキャンセル(低減)機能に加えて、必要な音(必要音)をヘッドフォン装置により再生出力する場合について説明する。
ここでは、必要音として、例えば楽曲などのコンテンツとしてのオーディオ音源の音声信号Sが示されている。
なお、この音声信号Sとしては、音楽的、又はこれに準ずる内容のもののほかにも考えられる。例えば、ノイズキャンセリングシステムを補聴器などに適用することとした場合には、周囲の必要音を収音するために筐体外部に設けられるマイクロフォン(ノイズキャンセルの系に備えられるマイクロフォン203とは異なる)により収音して得られた音声信号となる。また、いわゆるヘッドセットといわれるものに適用する場合には、電話通信などの通信により受信した相手方の話し声などの音声信号となる。つまり、音声信号Sとは、ヘッドフォン装置の用途などに応じて再生出力すべきことが必要となる音声一般に対応したものである。
先ず、先の[式1]において、オーディオ音源の音声信号Sに着目する。そして、イコライザに対応する伝達関数Eとして、次の[式3]により表される特性を有するものとして設定したこととする。

Figure 2009232205
なお、この伝達特性Eは、周波数軸でみた場合に、上記オープンループに対してほぼ逆特性(1+オープンループ特性)となっている。そして、この[式3]により示される伝達関数Eの式を、[式1]に代入すると、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムのモデルにおける出力音の音圧Pについては、次の[式4]のようにして表すことができる。

Figure 2009232205
[式4]におけるADHSの項において示される伝達関数A、D、Hのうち、伝達関数Aはパワーアンプに対応し、伝達関数Dはドライバ202に対応し、伝達関数Hはドライバ202からノイズキャンセル点400までの経路の空間伝達関数に対応するので、ハウジング部201内のマイクロフォン203の位置が耳に対して近接した位置にあるとすれば、音声信号Sについては、ノイズキャンセル機能を有さないようにした通常のヘッドフォンと同等の特性が得られることがわかる。
次に、FF方式によるノイズキャンセリングシステムについて説明する。
図3(a)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例として、先の図1(a)と同様にRチャンネルに対応する側の構成を示している。
FF方式では、ハウジング部201の外側に対して、ノイズ音源301から到達してくるとされる音声が収音できるようにしてマイクロフォン203を設けるようにされる。そして、このマイクロフォン203により収音した外部音声、つまりノイズ音源301から到達してきたとされる音声を収音して音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用オーディオ信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用オーディオ信号を、必要音の音声信号と合成する。つまり、マイクロフォン203の位置からドライバ202の位置までの音響特性を電気的に模擬したキャンセル用オーディオ信号を必要音の音声信号に対して合成するものである。
そして、このようにしてキャンセル用オーディオ信号と必要音の音声信号とが合成された音声信号をドライバ202から出力させることで、ノイズキャンセル点400において得られる音としては、ノイズ音源301からハウジング部201内に侵入してきた音がキャンセルされたものが聴こえるようになる。
図3(b)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムの基本的なモデル構成例として、一方のチャンネル(Rチャンネル)に対応した側の構成を示している。
先ず、ハウジング部201の外側に設けられるマイクロフォン203により収音される音は、マイクロフォン203及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数Mを有する伝達関数ブロック101を介した音声信号として得られる。
次に、上記伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FF(FeedForward)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−α)を介して合成器103に入力される。FFフィルタ回路102は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上記したキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−αとして表されているものである。
また、ここでのオーディオ音源の音声信号Sは、直接、合成器103に入力するものとしている。
合成器103により合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力されることになる。つまり、この場合にも、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由してノイズキャンセル点400に到達し、ここでハウジング内ノイズ302と空間で合成されることになる。
また、ノイズ音源301から発せられた音がハウジング部201内に侵入してノイズキャンセル点400に到達するまでには、伝達関数ブロック110として示すように、ノイズ音源301からノイズキャンセル点400までの経路に対応する伝達関数(空間伝達関数F)が与えられる。その一方で、マイクロフォン203では、外部音声であるノイズ音源301から到達してくるとされる音声を収音することになるが、このとき、ノイズ音源301から発せられた音(ノイズ)がマイクロフォン203に到達するまでには、伝達関数ブロック111として示すように、ノイズ音源301からマイクロフォン203までの経路に対応する伝達関数(空間伝達関数G)が与えられることになる。伝達関数ブロック102に対応するFFフィルタ回路としては、上記の空間伝達関数F,Gも考慮した上での伝達関数−αが設定されるものである。
これにより、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
図3(b)に示したFF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデルの系にあって、上記出力音の音圧Pは、ノイズ音源301において発せられるノイズをN、オーディオ音源の音声信号をSとしたうえで、各伝達関数ブロックにおいて示される伝達関数「M、−α、E、A、D、H」を利用して、次の[式5]で表されるものとなる。

Figure 2009232205
また、理想的には、ノイズ音源301からキャンセルポイント400までの経路の伝達関数Fは、次の[式6]のようにして表すことができる。

Figure 2009232205
次に、[式6]を[式5]に代入すると、右辺の第1項と第2項とが相殺されることとなる。この結果から、出力音の音圧Pは、以下の[式7]のようにして表すことができる。

Figure 2009232205
このようにして、ノイズ音源301から到達してくるとされる音はキャンセルされ、オーディオ音源の音声信号だけが音声として得られることが示される。つまり、理論上、ユーザの右耳においては、ノイズがキャンセルされた音声が聴こえることになる。ただし、現実には、[式6]が完全に成立するような伝達関数を与えることのできる、完全なFFフィルタ回路を構成することは非常に困難である。また、人による耳の形状であるとか、ヘッドフォン装置の装着の仕方についての個人差が比較的大きく、ノイズの発生位置とマイク位置との関係の変化などは、特に中高域の周波数帯域についてのノイズ低減効果に影響を与えることが知られている。このために、中高域に関しては、アクティブなノイズ低減処理を控え、主として、ヘッドフォン装置の筐体の構造などに依存したパッシブな遮音をすることがしばしば行われる。
また、確認のために述べておくと、[式6]は、ノイズ音源301から耳までの経路の伝達関数を、伝達関数−αを含めた電気回路にて模倣することを意味している。
また、図3(a)に示したFF方式のノイズキャンセリングシステムでは、マイクロフォン203をハウジングの外側に設けることから、キャンセルポイント400については、図1(a)のFB方式のノイズキャンセリングシステムと異なり、聴取者の耳位置に対応させるようにしてハウジング部201にて任意に設定できる。しかし通常、伝達関数−αは固定的であり、設計段階においては、何らかのターゲット特性を対象とした決めうちになる。その一方で、聴取者によって耳の形状などは異なる。このために、十分なノイズキャンセル効果が得られなかったり、ノイズ成分を非逆相で加算してしまって異音を生じさせたりするなどの現象が発生する可能性もある。
このようなことから、一般的にFF方式は、発振する可能性が低く安定度は高いが、十分なノイズ減衰量(キャンセル量)を得るのは困難であるとされている。一方、FB方式は大きなノイズ減衰量が期待できる代わりに、系の安定性に注意が必要であるとされている。このように、FB方式とFF方式とでは、それぞれに特徴を有するものである。
<第1の実施の形態>
[音響再生システムの構成(信号処理装置及びヘッドフォン装置の構成]

図4は、本発明の信号処理装置の一実施形態としてのオーディオプレイヤ1と、ヘッドフォン20とを備えて構成される第1の実施の形態としての音響再生システムの構成について説明するための図である。なお、この図4のブロック図では、オーディオプレイヤ1の内部構成とヘッドフォン20の内部構成をそれぞれ示している。
図4において、オーディオプレイヤ1は、図中のヘッドフォン20として、種々のタイプのヘッドフォン装置に対応可能に構成されている。ここで、本例のオーディオプレイヤ1が対応するヘッドフォン20のタイプについて、次の図5に示しておく。
この図5に示されるように、本例のオーディオプレイヤ1は、(1)インナーイヤータイプで且つFF方式対応のタイプ(マイク外側)のヘッドフォン装置、(2)耳覆いタイプで且つFB方式対応のタイプ(マイク内側)のヘッドフォン装置、(3)耳載せタイプで且つFF方式対応のタイプのヘッドフォン装置、(4)ネックバンドタイプで且つFB方式対応のタイプのヘッドフォン装置に対応可能とされている。
この場合、オーディオプレイヤ1が対応可能なヘッドフォン装置に対しては、そのヘッドフォン装置のタイプ(種別)を識別するためのIDが予め定められており、図のように(1)のタイプのヘッドフォン装置にはID:0が、(2)のタイプのヘッドフォン装置にはID:1が、(3)のタイプのヘッドフォン装置にはID:2が、(4)のタイプのヘッドフォン装置にはID:3がそれぞれ割り振られている。
説明を図4に戻す。
先ず、ヘッドフォン20側の内部構成から説明していく。
ヘッドフォン20には、振動板による音声出力(音響再生)を行うドライバDRVが設けられる。また、この場合のヘッドフォン20には、ノイズキャンセリングシステムに対応する構成として、マイクロフォンMICが設けられている。
上記マイクロフォンMICによる収音信号は、マイク出力端子TMoutに供給される。図示するようにオーディオプレイヤ1側には、上記マイク出力端子TMoutに対応する端子としてマイク入力端子TMoutが設けられており、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1に接続されたとき、上記マイク出力端子TMoutと上記マイク入力端子TMinとが接することで、上記マイク出力端子TMoutに供給された収音信号が上記マイク入力端子TMoutを介し、オーディオプレイヤ1に設けられたマイクアンプ2に供給されるようになっている。
また、上記ドライバDRVには、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1に接続されたときに、オーディオプレイヤ1側が備える後述するパワーアンプ8からのオーディオ信号(駆動信号)が、オーディオプレイヤ1側に設けられたオーディオ出力端子TAout→ヘッドフォン20側に設けられたオーディオ入力端子TAinを介して供給される。
ここで、ヘッドフォン20が備える上記マイクロフォンMICの設置位置については、図6に示されるようにして、ヘッドフォン20がFF方式に対応するヘッドフォン装置とされるか、FB方式に対応するヘッドフォン装置とされるかによって異なる。
図6(a)は、FF方式対応のヘッドフォン装置とされる場合、図6(b)はFB方式対応のヘッドフォン装置とされる場合のヘッドフォン20の構造について模式的に示している。
これらの図に示されるように、ヘッドフォン20としては、Lchハウジング部20L、Rchハウジング部20Rとを有する。そしてFF方式、FB方式の場合も共に、LchのドライバDRV-LはLchハウジング部20L内に設けられ、またRchのドライバDRV-RはRchハウジング部20R内に設けられる。
そして、図6(a)のFF方式の場合、LchのマイクロフォンMIC-Lは、Lchハウジング部20Lにおいて外向きに設けられる。すなわち、ハウジング部20Lの外界で生じる音を収音するようにして設けられる。同様にRchのマイクロフォンMIC-RとしてもRchハウジング部20Rにおいて外向きに設けられる。
一方、図6(b)のFB方式の場合、LchのマイクロフォンMIC-LはLchハウジング部20Lにおいて内向きに設けられる。つまりハウジング部20L内における音、具体的には聴取者の右耳で聴取される音を収音するようにして設けられる。同様にしてRchのマイクロフォンMIC-RとしてもRchハウジング部20Rにて内向きに設けられる。
ここで、図4においては図示の都合上、オーディオ信号のch(チャンネル)数を1chとしているが、図6の説明からも理解されるように、実際においてヘッドフォン20は、LchとRchの2chの音声出力を行うように構成されている。またこれに応じ、オーディオプレイヤ1としても、LchとRchの2chのオーディオ信号について扱うことになる。
従って実際において、ヘッドフォン20における先に説明したマイクロフォンMIC、ドライバDRV、マイク出力端子TMout、オーディオ入力端子TAinとしては、Lch用、Rch用のそれぞれ2つが設けられるものとなる。同様にして、オーディオプレイヤ1側における先に述べたマイク入力端子TMin、マイクアンプ2、及びパワーアンプ8、オーディオ出力端子TAoutとしてもLch用、Rch用のそれぞれ2つが設けられるものとなる。 また同様にして、以降において説明するA/D変換器3、D/A変換器7、及びDSP6における各部(NCフィルタ6a、イコライザ(EQ)6b、加算部6c)としてもLch用、Rch用のそれぞれ2つが設けられることになる。
図4に戻る。
ヘッドフォン20には、上記により説明した構成に加えて、不揮発性メモリ21が備えられる。この不揮発性メモリ21は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリ素子とされる。
不揮発性メモリ21に対しては、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1に接続されたとき、オーディオプレイヤ1側から電力供給が行われる。具体的に、不揮発性メモリ21に対しては、オーディオプレイヤ1側の電力供給端子Ts-Eとヘッドフォン20側の電力入力端子Th-Eとが接し、且つオーディオプレイヤ1側のグランド端子Ts-GNDとヘッドフォン20側のグランド端子Th-GNDとが接することで、オーディオプレイヤ1側に設けられる電源部15からの電力供給が行われるようになっている。
また、不揮発性メモリ21に記憶された情報は、後述するシステムコントローラ9により読出可能となるようにされている。具体的に、ヘッドフォン20には不揮発性メモリ21からの読み出しデータが供給されるデータ通信端子Th-Dが設けられ、またオーディオプレイヤ1側には上記システムコントローラ9と接続されたデータ通信端子Ts-Dが設けられる。つまり、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1と接続されてこれらデータ通信端子Th-Dとデータ通信端子Ts-Dとが接することで、不揮発性メモリ21に記憶されたデータについてのシステムコントローラ9による読み出し(読み取り)が可能な状態となる。
ここで、図7に、ヘッドフォン20側に形成されるプラグ部20Aと、オーディオプレイヤ1側に形成されるジャック部1Aの構造を例示しておく。
図7において、先ずヘッドフォン20側のプラグ部20Aには、先に説明したオーディオ入力端子TAinとして、Lch用の端子TAin-LとRch用の端子TAin-Rが形成されていると共に、同じく先に説明したマイク出力端子TMoutとして、Lch用の端子TMout-LとRch用の端子TMout-Rとが形成されている。またこの図では、上記Lch、Rchのそれぞれのオーディオ入力端子TAinとマイク出力端子TMoutに共通となるグランド端子T-GND(図4における図示は省略した)を形成する場合を例示している。
このとき、上記端子TAin-L、端子TAin-R、端子TMout-L、端子TMout-Rは、図のようにそれぞれが同軸上に独立したリング状の形状で配置されるように形成している。これに対し、上記グランド端子T-GNDは、これら各端子TM及びTAと同軸上には配置せずに、これら同軸上の各端子TM及びTAが配置される部分から突出するようにして設けられている。
一方、オーディオプレイヤ1側のジャック部1Aには、上記グランド端子T-GND(突起部)を勘合して位置決めするための位置決め部Xが形成されている。つまり、この位置決め部Xが形成されていることで、ジャック部1Aとプラグ部20Aは所定の位置関係で接続されるようになっている。
なお、ここでは図示の都合上、ジャック部1A側におけるLch用、Rch用のそれぞれオーディオ出力端子TAout、及びLch用、Rch用のそれぞれのマイク入力端子TMin、及び上記グランド端子T-GNDと接するグランド端子の図示は省略しているが、これらの端子Tは、プラグ部20Aが接続された際、プラグ部20A側に設けられた対応する端子Tと1対1で接するようにしてジャック部1A内に形成されているものとする。
その上で、ヘッドフォン20側のプラグ部20Aには、先に説明した電力入力端子Th-E、グランド端子Th-GND、及びデータ通信端子Th-Dが形成されている。また、オーディオプレイヤ1側のジャック部1Aには、電力供給端子Ts-E、グランド端子Ts-GND、及びデータ通信端子Ts-Dが形成されている。
これらの各端子Tは、上記位置決め部Xにより位置決めされるようにしてジャック部1Aにプラグ部20Aが接続されたときに、[Th-E・Ts-E][Th-GND・Ts-GND][Th-D・Ts-D]の対応関係で各端子Tが一対一で接するようにして設けられている。
この図7にて説明したようなプラグ部20Aとジャック部1Aの構造により、オーディオプレイヤ1に対しヘッドフォン20が接続されたときに、上記不揮発性メモリ21に対する電力供給が行われ、且つ上記不揮発性メモリ21に記憶される情報のシステムコントローラ9による読み出しが可能な状態となるようにされている。
また、ヘッドフォン20からオーディオプレイヤ1への収音信号の供給、及びオーディオプレイヤ1からヘッドフォン20へのオーディオ信号の供給が可能となるようにされている。
また、図4において、上記不揮発性メモリ21に対しては、図示するようにID情報21aを格納するものとしている。すなわち、先の図5にて説明したような、各ヘッドフォン20の機種の別ごとに固有となるように割り振られるID情報を格納するものである。
具体的に、図5に示すID:0が割り振られるヘッドフォン20に対しては、その不揮発性メモリ21に対して上記ID:0としてのID情報21aが格納されるものとなる。同様に、ID:1のヘッドフォン20にはID:1としてのID情報21aが、またID:2のヘッドフォン20にはID:2としてのID情報21aが、ID:3のヘッドフォン20にはID:3としてのID情報21aがそれぞれ格納されるものとなる。
続いて、オーディオプレイヤ1の内部構成について見ていく。
図4において、オーディオプレイヤ1には、ストレージ部4が備えられる。このストレージ部4は、オーディオデータを始めとした各種データの保存に用いられる。
具体的な構成としては、例えばフラッシュメモリなどの固体メモリに対するデータの書き込み(記録)/読み出しを行うように構成されても良いし、例えばHDD(Hard Disk Drive)により構成されてもよい。
また内蔵の記録媒体ではなく、可搬性を有する記録媒体、例えば固体メモリを内蔵したメモリカード、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリなどの記録媒体に対応するドライブ装置などとして構成することもできる。
もちろん、固体メモリやHDD等の内蔵タイプのメモリと、可搬性記録媒体に対するドライブ装置の両方が搭載されてもよい。
このストレージ部4は、システムコントローラ9の制御に基づいてオーディオデータその他の各種データについての書き込み/読み出しを行う。
ここで、上記ストレージ部4においては、オーディオデータが所定の音声圧縮符号化方式により圧縮符号化された状態で記憶されているとする。ストレージ部4で読み出された圧縮オーディオデータは、再生処理部5に供給される。再生処理部5はシステムコントローラ9の制御に基づき、供給される圧縮オーディオデータについての伸張処理などの所定の再生処理(デコード処理)を施す。
再生処理部5で再生処理されたオーディオデータは、DSP(Digital Signal Processor)6に供給される。
DSP6は、例えば図中のメモリ10に格納されるプログラム(図示せず)に基づくデジタル信号処理を実行することで、図中に示される各機能ブロックとしての動作を実現する。
具体的に、DSP6は、図中のイコライザ(EQ)6bとして示す機能動作として、上記再生処理部5から供給されるオーディオデータについてイコライジング処理を施す。例えばイコライザ6bは、FIR(Finite Impulse Response)フィルタなどで実現することができる。
また、図中のNC(ノイズキャンセリング)フィルタ6aとして示す機能動作として、上述したヘッドフォン20のマイクロフォンMICにより検出されマイクアンプ2→A/D変換器3を介して入力される収音信号(収音データ)に対し、ノイズキャンセリングのための信号特性を与える。このNCフィルタ6aとしては、例えばFIRフィルタなどで構成されるものとなる。
さらに、図中の加算部6cとして示す機能動作として、上述したイコライザ6bにより処理されたオーディオデータと、上記NCフィルタ6aにより処理された収音データとを加算する。この加算部6cとしての加算処理により得られるデータを加算データと呼ぶ。該加算データは、上記NCフィルタ6aによりノイズキャンセリングのための特性が与えられた収音データが加算されたものとなる。従って、該加算データに基づく音響再生がオーディオプレイヤ1と接続されたヘッドフォン20にて行われることで、該ヘッドフォン20を装着したユーザにノイズ成分がキャンセルされたものとして知覚させることができる。
なお、本実施の形態の場合、DSP6は、後述するようにしてシステムコントローラ9から指示された識別情報に基づいて上記NCフィルタ6aのフィルタ特性及び上記イコライザ6bのフィルタ特性を可変的に設定する処理も行うものとなるが、このようなフィルタ特性の設定処理を行う機能ブロックについては図示を省略している。
また、以下では説明の便宜上、DSP6における各機能ブロックをハードウエアとして扱うように説明することがある。
ここで、確認のために述べておくと、上記DSP6におけるイコライザ6bは、FB方式に対応するヘッドフォン20が接続された際には、オーディオデータに対して音質劣化抑制のための特性を与えるためのフィルタ(図1のイコライザ107)として機能するものとなる。従って、イコライザ6bのフィルタ特性は、接続されるヘッドフォン20に応じて可変的に設定されるべきものとなる。
なお、先の説明によれば、FF方式の場合にはオーディオデータに対するイコライジングは必須とはならないが、FF方式に対応するヘッドフォン20が接続された場合、上記イコライザ4bとしては、例えば単に所要のイコライジング処理を行うものとして機能することになる。
上記のようにしてDSP6で得られる加算データは、D/A変換器7にてアナログ信号に変換された後、パワーアンプ8で増幅されてオーディオ出力端子TAoutに供給される。
システムコントローラ9は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit)などを備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM、又はメモリ10等の記憶手段に記憶されるプログラムに基づく各種の制御処理や演算を行うことで、オーディオプレイヤ1の全体制御を行う。
例えば、先に説明したストレージ部4に対するデータの書き込み/読み出し制御を行う。また、ストレージ部4、再生処理部5を制御してオーディオデータの再生開始/停止制御なども行う。
また、システムコントローラ9は、図示するプラグ接続検出部11からの検出出力に基づき、ヘッドフォン20のプラグ部20A(後述する)がオーディオプレイヤ1のジャック部1A(後述する)に対して接続されたか否かを判別(判定)する処理も行う。
ここで、上記接続検出部11は、ヘッドフォン20におけるプラグ部20Aがオーディオプレイヤ1側に形成されたジャック部1Aに対して抜き差しされることに応じ、例えば上記プラグ部20Aの先端部(図7では端子TAin-Lの先端となる)によってON/OFFされるようにして設けられたメカスイッチとされる。このプラグ接続検出部11は、上記プラグ部20Aが上記ジャック部1Aに対して差し込まれた(つまり接続された)ことに応じてON信号、上記プラグ部20Aが抜かれた(接続が解除された)ことに応じてOFF信号を出力する。システムコントローラ9は、上記プラグ接続検出部11からのON/OFF信号に基づきヘッドフォン20の接続/非接続を判定する。
また、システムコントローラ9は、ヘッドフォン20側に設けられた不揮発性メモリ21から、上述したID情報21aの読み出しを行うが、システムコントローラ9が行う該ID情報21aの読み出し含めた本実施の形態としての処理動作については後述する。
また、システムコントローラ9に対しては、操作部14が接続される。操作部14は、例えばオーディオプレイヤ1の筐体外面に表出するようにして備えられる図示されない操作キー等によるの入力デバイスであって、ユーザが各種操作入力やデータ入力を行う。操作部14で入力された情報はシステムコントローラ9に対して操作又はデータの入力情報として伝達される。システムコントローラ9は入力された情報に対応して必要な演算や制御を行う。
また、システムコントローラ9に対しては、外部通信インタフェース12が接続される。この外部通信インタフェース12は、例えばUSB(Universal Serial Bus)方式など所要のデータ通信方式に従って外部機器との間でデータ通信を行うように構成された通信インタフェース部であり、システムコントローラ9の指示に基づき、図示するインタフェース端子TI/Fを介して接続された外部機器(例えばパーソナルコンピュータなどの情報処理装置)との間でデータ通信を行う。
システムコントローラ9は、当該外部通信インタフェース12を介して得られた外部機器からの転送データを、ストレージ部4やメモリ10に対して記録させる。これにより、外部の例えばパーソナルコンピュータなどに格納されたオーディオデータをストレージ部4などに記録したり、或いはパーソナルコンピュータがネットワーク上からダウンロードした、オーディオプレイヤ1(システムコントローラ9、DSP6)についてのアップロードプログラムなどのデータをメモリ10などに記録することが可能とされている。
また、システムコントローラ9に対しては、表示部13が接続される。表示部13は例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示デバイスとされ、システムコントローラ9からの指示に応じて所要の情報表示を行う。
ここで、上記システムコントローラ9による読み出しが可能なメモリ10には、ID−フィルタ特性対応情報10aが格納されている。
このID−フィルタ特性対応情報10aは、図8に示されるように、先の図5にて提示した、オーディオプレイヤ1が対応可能とされる各タイプのヘッドフォン20ごとに付されるIDの情報(ID情報21a)と、そのIDにより特定されるタイプのヘッドフォン20が接続された場合に、NCフィルタ6aにて設定されるべきとして定められたフィルタ特性の情報及びイコライザ6bにて設定されるべきとして定められたフィルタ特性の情報とが対応づけられた情報とされる。
図8に示されるように、例えばID:0に対してはtype0としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeAとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられる。また、ID:1に対しては、例えばtype1としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeBとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられ、ID:2に対してはtype2としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeAとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられる。さらに、ID:3に対しては例えばtype3としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeCとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられている。
なお、確認のために述べておくと、フィルタ特性は、NCフィルタ6a、イコライザ6bとしての機能を実現するためのフィルタ構成(フィルタの段数なども含む)や、フィルタ係数によって定まるものである。上記フィルタ特性情報としては、これらフィルタ構成やフィルタ係数についてのパラメータ情報が格納されることになる。
[ヘッドフォン種別に応じた信号処理特性の設定]

ここで、本実施の形態の音響再生システムのようにヘッドフォン装置で再生される音声についてノイズキャンセリングを行うシステムにおいて、使用するヘッドフォン装置の変更を可能としつつ適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにするにあたっては、オーディオプレイヤ1に対して接続されるヘッドフォン20のタイプごとに、予め定められたフィルタ特性をNCフィルタ6a(及びイコライザ6b)に対して可変的に設定する必要がある。そして、このように使用するヘッドフォン20に応じてフィルタ特性を可変的に設定するとしたときには、当然のことながら実際に使用されるヘッドフォン20のタイプが何れのタイプに該当するかを識別する必要がある。
このような識別にあたっては、例えば使用するヘッドフォン20の別の情報をユーザ操作に基づき取得することが考えられるが、ユーザの入力情報に基づく識別を行う場合には、必然的にユーザに操作負担を強いるものとなり、利便性に欠けるシステムとなってしまう。
また、このようにユーザの操作入力に基づく識別を行う場合には、ユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォン20とは別のヘッドフォン20が選択されてしまう可能性もあり、その場合、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった問題が生じる。
そこで、本実施の形態では、上述のようにしてヘッドフォン20側に不揮発性メモリ21を備えようにし、該不揮発性メモリ21に対して、ヘッドフォン20のタイプの別ごとに固有となるID情報21a(ID:0〜ID:3)を記憶させるものとしている。
本実施の形態において、オーディオプレイヤ1側では、ヘッドフォン20が接続されたとき、上記不揮発性メモリ21に記憶されたID情報21aを読み出す。つまりこれにより、装置側で自動的にヘッドフォン20のタイプの別を識別可能とするものである。
さらに、このように読み出したID情報21aと、メモリ10内に格納されたID−フィルタ特性対応情報10aとに基づき、NCフィルタ6a及びイコライザ6bのフィルタ特性を設定する。具体的には、ID−フィルタ特性対応情報10aにおいて、上記読み出したID情報21aと対応づけられているNCフィルタ6a及びイコライザ6bのフィルタ特性を設定するものである。
これにより、使用するヘッドフォン20の種別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。すなわち、装置側で自動的に、使用するヘッドフォン20に応じた適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにすることができる。
図9は、上記により説明した第1の実施の形態としての特性設定(変更)動作を実現するために実行されるべき処理動作を示したフローチャートである。
なお、この図9において、図中システムコントローラとして示す処理動作は、システムコントローラ9が例えば上述したROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものである。また、DSPとして示す処理動作は、DSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
先ず、システムコントローラ9側において、図中のステップS101では、プラグが接続されるまで待機する処理を実行する。先に述べたようにして、プラグ部20Aの接続/非接続は、図4に示されるプラグ接続検出部11からのON/OFF信号に基づき判定することができる。
プラグが接続されたことに応じては、ステップS102において、IDの読み取り処理を実行する。すなわち、ヘッドフォン20内に設けられた不揮発性メモリ21からID情報21aを読み出す。
続くステップS103では、対応情報に合致するIDがあるか否かについて判別処理を行う。つまり、メモリ10内に格納されたID−フィルタ特性対応情報10aにおいて、上記ステップS102で読み取ったIDと合致するIDが存在するか否かを判別する。
ステップS103において、対応情報に合致するIDがないとして否定結果が得られた場合は、ステップS105に進んで未対応通知処理を実行する。ここで、ステップS103にて否定結果が得られる場合としては、接続されたヘッドフォン20が例えば新規に発売されたものであるなど、その時点で未対応機種である場合が想定される。これに応じ、ステップS105の未対応通知処理としては、図4に示した表示部13に、接続されたヘッドフォン20が未対応である旨を表す情報表示を実行させる。表示する具体的な情報内容としては、接続されたヘッドフォン20が未対応である旨を表す情報と共に、外部の例えばパーソナルコンピュータなどのネットワーク接続が可能な情報処理装置に接続して、ID−フィルタ特性対応情報10aに追加すべきID情報及びフィルタ特性情報のダウンロードを指示するための情報を表示させてもよい。
ステップS105の処理を実行すると、この図に示すシステムコントローラ9側の処理動作は終了となる。
一方、上記ステップS103において、対応情報に合致するIDが存在するとして肯定結果が得られた場合は、ステップS104に進んでIDをDSPに対して指示する。すなわち、ステップS102の処理で取得したID情報21aをDSP6に対して指示する。
DSP6側においては、図中のステップS201により、システムコントローラ9側からのID情報の指示を待機するようにされている。そして、ID情報の指示があった場合は、ステップS202において、指示されたID情報と対応づけられたフィルタ特性情報に基づき、NCフィルタの特性及びイコライザの特性を設定する処理を実行する。すなわち、ID−フィルタ特性対応情報10aにおいて、指示されたIDと合致するIDの情報と対応づけられたNCフィルタ6a及びイコライザ6bのフィルタ特性情報に基づき、NCフィルタ6aのフィルタ特性、及びイコライザ6bのフィルタ特性を設定する処理を実行する。
ステップS202の処理を実行すると、この図に示すDSP6側の処理動作は終了となる。
上記により説明した第1の実施の形態によれば、使用するヘッドフォン20の機種の別の情報をユーザ操作によらず装置側で自動的に識別することができる。またこれと共に、使用するヘッドフォン20の種別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。つまり、ユーザ操作によらず自動的に、使用するヘッドフォン20に応じた適正なノイズキャンセリング処理が行われるようにすることができる。
このようにして、使用するヘッドフォン20に応じた適正なノイズキャンセリング処理が行われるようにすることができれば、ノイズキャンセリング機能を有する音響再生システムとして、使用するヘッドフォン20を自由に変更可能な優れたシステムを実現することができる。
また、本実施の形態によれば、使用するヘッドフォン20に応じた信号処理特性の可変設定は、ヘッドフォン20側に記憶させたID情報に基づき自動的に行うことができるので、例えばユーザ操作に基づき使用するヘッドフォン20の別を選択させる場合と比較して、ユーザの操作負担を軽減した利便性の高いシステムを実現することができる。
また、これと共に、ユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォン20とは別のヘッドフォン20が選択されて、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった事態の発生を効果的に防止することができる。
<第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
上記により説明した第1の実施の形態では、ヘッドフォン20の所定の種別ごとに固有となるID情報として、先の図5で説明したような機種の別ごとに固有となるID情報を付すものとしたが、第2の実施の形態は、このような機種の別のみでなく、さらにヘッドフォン20の個体ごとの音響特性の別も含めて各ヘッドフォン20を区別するID情報を付すようにするものである。
ここで、先にも述べたように、ヘッドフォンを構成する音響部品は、そのメカ機構自体が機能・性能に直接関わるものであり、電気部品と比較した場合には、そのばらつきによる影響が大きなものとなる。従って、ヘッドフォンの個体ごとに音響部品のばらつきが生じる場合には、同一機種のヘッドフォンであっても、聴感上の差が相応に生じてしまうものとなる。
また、このような音響部品のばらつきに伴う問題は、左右のチャンネル間においても同様に生じる。左右チャンネル間で聴感上の変化が生じた場合には、音像の定位感が悪化するなどの問題が生じてしまう。
現状においては、このような問題の解決を図るべく、左右両チャンネルのペアリングも含めて、ヘッドフォンの個体ごとに音響特性の測定を行い、その測定結果に基づく選別を行うものとしている。すなわち、この選別によって基準を満たすとされた製品のみを出荷するというものである。
しかしながら、このような選別による手法を採る場合において、選別から外れたものは廃棄処分することになる。この点で上記現状の手法は、装置製造コストが嵩んでしまうことが問題となる。
そこで、第2の実施の形態では、ヘッドフォン20の個体ごとに音響部品の特性を測定し、その測定結果の別も含めて各ヘッドフォン20を識別するためのID情報(21b)を各ヘッドフォン20に対して格納しておく。そして、オーディオプレイヤ1側では、このようなID情報21bに基づき、機種の別と共にこのような音響部品の特性の別も含めたヘッドフォン20の区分ごとに、対応する信号処理特性の設定を行う。
図10は、第2の実施の形態としての音響再生システムの構成について説明するための図として、第2の実施の形態としてのオーディオプレイヤ1とヘッドフォン20の内部構成を示している。
なお、以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態の音響再生システムでは、先の第1の実施の形態の音響再生システムと比較して、ヘッドフォン20の不揮発性メモリ21に格納される情報が異なるものとなる。また、オーディオプレイヤ1側において、メモリ10内に格納される情報が異なると共に、DSP6内の機能ブロックにも若干の変更が加えられる。
第2の実施の形態において、ヘッドフォン20内の不揮発性メモリ21には、次の図11に示されるような構造によるID情報21bが格納されることになる。
この図11に示されるように、ID情報21bとしては、ヘッドフォンID(機種ID)、Lchドライバ周波数特性種別、Rchドライバ周波数特性種別、Lchドライバ感度種別、Rchドライバ感度種別、Lchマイク感度種別、Rchマイク感度種別の各情報が組み合わされて成る。
ヘッドフォンIDは、先の図5に示した機種別のID(ID0〜ID3)に相当するものである。
また、Lchドライバ周波数特性種別、Rchドライバ周波数特性種別の情報は、それぞれLchのドライバDRVの周波数特性の別、RchのドライバDRVの周波数特性の別を表す情報である。同様にLchドライバ感度種別、Rchドライバ感度種別の情報は、それぞれLchのドライバDRVの感度(ゲイン)の別、RchのドライバDRVの感度の別を表す情報である。
また、Lchマイク感度種別、Rchマイク感度種別の情報は、それぞれLchのマイクロフォンMICの感度(ゲイン)の別、RchのマイクロフォンMICの感度の別を表す情報である。
なお、図示されているように、この場合においてヘッドフォンIDは8bit、それ以外の各種別の情報は4bitを割り当てるものとしている。従ってこの場合におけるID情報21bは32bitのデータ長とされる。
ここで、上記Lchドライバ周波数特性種別、Rchドライバ周波数特性種別の情報については、予めLch/Rchの各ドライバDRVについて周波数特性の測定を行った結果に基づき設定する。具体的には、例えば次の図12(a)に示されるように、周波数特性について大まかなタイプの別を複数種定義しておく。この場合、周波数特性としては所定周波数以下の低域成分のみに着目するものとし、該低域成分の周波数特性の別を定義するものとしている。例えば本例の場合、ドライバ周波数特性種別の情報としては4bitが割り当てられるので、32タイプを定義しておくものとする。図のように、各周波数特性のタイプごとに、対応する4bitの符号を割り当てる。
具体的な手順としては、Lch、Rchの各ドライバDRVについて周波数特性の測定を行い、それぞれ低域成分の周波数特性が図12(a)に示されるような特性のうち何れに該当するかを決定する。そして、決定したタイプに対応する符号を、Lch、Rchのドライバ周波数特性種別の情報として設定する。
Lchドライバ感度種別、Rchドライバ感度種別、Lchマイク感度種別、Rchマイク感度種別の各情報についても、例えば図12(b)に示されるように予め所定数の感度タイプ(この場合は32タイプ)と符号との対応づけを行っておき、Lch、Rchの各ドライバDRV、Lch、Rchの各マイクロフォンMICについてそれぞれ感度の測定を行った結果に基づき、対応する符号を感度種別の情報として設定する。
ここで、上記説明からも理解されるように、この場合のID情報21bとしては、ヘッドフォン20の機種の別、及びLch、Rchの各ドライバDRVについての周波数特性の別並びに感度の別、及びLch、Rchの各マイクロフォンMICの感度の別を組み合わせた情報となる。
このような構造によるID情報21bは、上記ヘッドフォン20の機種の別だけでなく、Lch、Rchの各ドライバDRVについての周波数特性の別並びに感度の別、及びLch、Rchの各マイクロフォンMICの感度の別の各音響特性の別も併せてヘッドフォン20の種別を定義したときに、該種別を識別するための情報として機能するものとなる。
説明を図10に戻す。
この場合のオーディオプレイヤ1側では、DSP6において、図示するように第1乗算部6d、第2乗算部6e、第2イコライザ6fとしての機能ブロックが追加される。
第1乗算部6dは、A/D変換器3からの収音データに対して、設定されたゲインを与える。すなわち、上記収音データについてのゲイン調整を行う。
この場合のNCフィルタ6aは、上記第1乗算部6dによりゲイン調整が行われた収音データに対してNCフィルタ処理を施すようにされる。
また、第2乗算部6eは、加算部6により得られた加算データに対し設定されたゲインを与えることで、上記加算データについてのゲイン調整を行う。
第2イコライザ6fは、例えばFIRフィルタで構成され、上記第2乗算部6eによりゲイン調整された上記加算データに対しイコライジング処理を行う。第2イコライザ6fによりイコライジング処理が施された加算データは、D/A変換器7に対して供給される。
なお、以下では、上記第2イコライザ6fと区別するために、再生処理部5からのオーディオデータ(つまり収音信号と合成されてヘッドフォン20に供給されることになる音声信号)についてイコライジングを行うイコライザ6bについては、第1イコライザ6bと表記する。つまり、収音データに対してイコライジングを行うイコライザは第2イコライザ6f、上記収音データと合成されてヘッドフォン20に供給されるオーディオデータに対してイコライジングを行うイコライザが第1イコライザ6bとなる。
ここで、この場合も図示の都合上、オーディオ信号の処理系として1ch分の構成のみを示しているが、この場合としても実際にはLch、Rchの2ch分の構成が設けられることは言うまでもない。特に、DSP6において、第1乗算部6d、NCフィルタ6a、第1イコライザ6b、加算部6c、第2乗算部6e、第2イコライザ6fは、それぞれLch用とRch用の2つが設けられることになる。
また、図10において、この場合のオーディオプレイヤ1内のメモリ10に対しては、図示するようにID−特性対応情報10bが格納される。
このID−特性対応情報10bは、図13に示されるように、先の図11にて説明したID情報(21b)と、各ID情報に対応して設定されるべきとして定められた特性情報とが対応づけられた情報となる。
ここで、各ID情報と対応づけられる特性情報としては、先の第1の実施の形態で説明したNCフィルタ6aのフィルタ特性情報(図中NCフィルタ特性)及びイコライザ(第1イコライザ)6bのフィルタ特性情報(図中第1イコライザ特性)に加えて、Lch、Rch第2イコライザ特性の情報、及びLch、Rch第2乗算部ゲインの情報、及びLch、Rch第1乗算部ゲインの情報が組み合わされたものとなる。
Lch、Rch第2イコライザ特性の情報は、Lchの第2イコライザ6fのフィルタ特性情報、及びRchの第2イコライザ6fのフィルタ特性情報である。
同様に、Lch、Rch第2乗算部ゲインの情報は、Lchの第2乗算部6eに設定されるべきゲインの情報、及びRchの第2乗算部6eに設定されるべきゲインの情報である。
また、Lch、Rch第1乗算部ゲインの情報は、Lchの第1乗算部6dに設定されるべきゲインの情報、及びRchの第1乗算部6dに設定されるべきゲインの情報である。
先の第1の実施の形態の説明からも理解されるように、NCフィルタ特性情報及び第1イコライザ特性情報は、ヘッドフォンIDと一対一で対応するものである。この場合としても、これらNCフィルタ特性情報及び第1イコライザ特性情報としては、Lch/Rchの双方で共通の情報でよい。
また、Lchの第2イコライザ特性情報、Rchの第2イコライザ特性情報は、それぞれLchドライバ周波数特性種別、Rch周波数特性種別に応じて設定されるべき情報となる。この場合、Lchの第2イコライザ6f、Rchの第2イコライザ6fによっては、それぞれLchのドライバDRVの周波数特性、RchのドライバDRVの周波数特性を独立して補償するものとしている。このために、Lchドライバ周波数特性種別に応じたLchのイコライザ6bのフィルタ特性情報、及びRchのドライバDRVの周波数特性種別に応じたRchのイコライザ6bのフィルタ特性情報は、それぞれ個別に格納することになる。
また、Lchの第2乗算部ゲインの情報、Rchの第2乗算部ゲインの情報は、それぞれLchのドライバDRVの感度、RchのドライバDRVの感度を個別に補償するための情報であり、これらは、Lchドライバ感度種別の情報、Rchドライバ感度種別の情報ごとに個別に格納されるものとなる。
また、Lchの第1乗算部ゲインの情報、Rchの第1乗算部ゲインの情報は、それぞれLchのマイクロフォンMICの感度、RchのマイクロフォンMICの感度を個別に補償するための情報であり、これらの情報としても、Lchマイク感度種別の情報、Rchマイク感度種別の情報ごとに個別に格納される。
図14は、第2の実施の形態のオーディオプレイヤ1にて行われるべき処理動作を示したフローチャートである。
なお、この図においてもシステムコントローラとして示す処理動作は、システムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
図14では先の第1の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、図9にて説明した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
先ず、システムコントローラ9側においては、この場合もステップS101によりプラグ接続の待機処理を行い、プラグが接続されたとした場合はステップS102においてヘッドフォン20側の不揮発性メモリ21からのID情報(21b)の読み取りを行う。
そしてこの場合は、上記ステップS102によるID読み取り処理を実行すると、ステップS301において、対応情報に合致する機種ID(ヘッドフォンID)があるか否かを判別するようにされる。すなわち、ID−特性対応情報10bにおいて、上記ステップS102により読み取ったID情報21bに含まれるヘッドフォンID(例えばこの場合は先頭の8bitの情報)と合致するヘッドフォンIDが格納されているか否かを判別する。
上記ステップS301において、対応情報内に合致する機種IDが格納されていないとして否定結果が得られた場合は、ステップS105に進んで未対応通知を行った後、この図に示される処理動作を終了する。
一方、上記ステップS301において、対応情報内に合致する機種IDが格納されているとして肯定結果が得られた場合は、ステップS302に進んでID情報(21b)をDSP9に対して指示した後、この図に示される処理動作を終了する。
DSP9側では、この場合もステップS201の処理によりシステムコントローラ9側からのID情報の指示を待機するようにされる。そしてこの場合、ID情報が指示された場合は、ステップS401において、指示されたIDと対応づけられた特性情報に基づき、NCフィルタの特性、各イコライザの特性、及び各ゲインの設定を行う。すなわち、ID−特性対応情報10bにおいて格納される特性情報のうち、指示されたID情報と対応づけられた特性情報に基づき上記各特性の設定を行う。
具体的には、上記指示されたID情報と対応づけられた特性情報のうち、NCフィルタ特性の情報に基づいてNCフィルタ6a(Lch、Rchの双方)のフィルタ特性を設定し、また第1イコライザ特性の情報に基づいて第1イコライザ6b(Lch、Rchの双方)のフィルタ特性を設定する。また、これと共に、上記指示されたID情報と対応づけられた特性情報のうちLchの第2イコライザ特性の情報に基づいてはLchの第2イコライザ6fのフィルタ特性を設定し、Rchの第2イコライザ特性の情報に基づいてはRchの第2イコライザ6fのフィルタ特性を設定し、さらに、Lchの第2乗算部ゲインの情報に基づきLchの第2乗算部6eのゲインを設定し、Rchの第2乗算部ゲインの情報に基づきRchの第2乗算部6eのゲインを設定し、且つLchの第1乗算部ゲインの情報に基づきLchの第1乗算部6dのゲインを設定し、Rchの第1乗算部ゲインの情報に基づきRchの第1乗算部6dのゲインを設定する。
このステップS401の処理を実行すると、この図に示されるDSP6の処理動作は終了となる。
上記のようにして第2の実施の形態では、機種の別のみでなく、音響部品の特性ばらつきに起因する個体ごとの音響特性の別も含めて各ヘッドフォン20を識別可能とした上で、上記個体ごとの音響特性の別に応じて、その特性の補償を行うものとしている。
ここで、本例のように音響再生システムがノイズキャンセリング機能を有する場合、ヘッドフォン20の個体ごとに音響特性のばらつきが生じるときには当然のことながら適切なノイズキャンセリング効果が得られなくなってしまうことになる。このことから、上記のように個体ごとの音響特性の差を補償することができることで、そのような個体ごとの特性ばらつきも考慮して適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにすることができる。
また、このように個体ごとの音響特性を補償する手法を採るものとすれば、従来のように選別に外れた製品を廃棄する必要はないものとできる。つまりこの結果、ヘッドフォン20の製造コストの削減を図ることができる。
また、ドライバ周波数特性、ドライバ感度、マイク感度については、Lch、Rchでそれぞれ独立して特性補償を行うので、左右のペアリングが良好でない製品についても廃棄する必要はなくなり、この点でも装置製造コストの削減が図られる。
なお、第2の実施の形態では、マイクロフォンMICの感度特性の補償を行うにあたり、第1乗算部6dを設けるものとしたが、この第1乗算部6dとしての機能は、NCフィルタ6aに含ませて、マイク感度の特性ばらつきを、NCフィルタ6aのフィルタ特性の設定で補償するようにすることもできる。この場合、NCフィルタ6aのフィルタ特性情報としては、機種IDと一対一で対応させるのではなく、機種の別とマイク感度の別との組み合わせごとに一対一に対応させた情報とすることになる。
また、このことは、第2イコライザ6fと第2乗算部6eとの関係においても同様である。すなわち、上記による説明では、ドライバDRVの感度特性の補償にあたり第2乗算部6eを設けるものとしたが、この第2乗算部6eによるゲイン調整機能を、第2イコライザ6fによるイコライジング処理に含ませるものとし、ドライバ感度の特性ばらつきを該第2イコライザ6fのフィルタ特性の設定により補償することができる。この場合、第2イコライザ6fのフィルタ特性情報は、ドライバ周波数特性種別と一対一で対応させるのではなく、ドライバ周波数特性種別とドライバ感度の別との組み合わせごとに一対一に対応させた情報とすればよい。
<第3の実施の形態>

第3の実施の形態は、ヘッドフォン20に対してその種別を表すID情報を記憶させるのではなく、そのヘッドフォン20に対応して設定されるべき特性情報そのものを記憶させるようにするものである。
図15は、第3の実施の形態としての音響再生システムの構成について説明するための図として、第3の実施の形態としてのオーディオプレイヤ1とヘッドフォン20の内部構成をそれぞれ示している。
先ず、第1の実施の形態の場合と比較して、この場合のヘッドフォン20においては、不揮発性メモリ21内にID情報21aは格納されず、代わりにフィルタ特性情報21cが格納されるものとなる。このフィルタ特性情報21cは、第1の実施の形態の場合のオーディオプレイヤ1側に格納されていたID−フィルタ特性対応情報10a(図8参照)におけるフィルタ特性情報(NCフィルタ特性情報及びイコライザ特性情報)と同じ情報内容となる。
第3の実施の形態の場合、各機種のヘッドフォン20に対しては、そのヘッドフォン20が属する機種に対応してDSP6にて設定されるべきフィルタ特性情報21cが不揮発性メモリ21において格納されることとなる。
また、図15において、この場合のオーディオプレイヤ1側では、メモリ10内に格納されていたID−フィルタ特性対応情報10aが省略される。
図16は、第3の実施の形態としてのオーディオプレイヤ1において実行されるべき処理動作を示したフローチャートである。
なお、この図16においてもシステムコントローラとして示す処理動作はシステムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
また、この場合も先の第1の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、図9にて説明した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
図16において、この場合もシステムコントローラ9は、ステップS101の処理によりプラグ接続を待機するようにされる。そしてこの場合、プラグが接続されたとした場合は、ステップS501において、フィルタ特性情報の読み取りを行う。つまり、ヘッドフォン20内の不揮発性メモリ21に格納されるフィルタ特性情報21cを読み出す。
その上で、続くステップS502において、読み取ったフィルタ特性情報をDSP6に転送した後、この図に示される処理動作を終了する。
DSP6側では、ステップS601においてシステムコントローラ9側からのフィルタ特性情報の転送を待機し、フィルタ特性情報が転送された場合は、ステップS602において、転送されたフィルタ特性情報に基づきNCフィルタの特性及びイコライザの特性を設定する。つまり、転送されたフィルタ特性情報内に含まれるNCフィルタ特性情報に基づきNCフィルタ6aのフィルタ特性を設定し、また上記フィルタ特性情報内に含まれるイコライザ特性情報に基づきイコライザ6bのフィルタ特性を設定する。
ステップS602の処理を実行すると、この図に示されるDSP6側の処理動作は終了となる。
このような第3の実施の形態としての手法によっても、第1の実施の形態の場合と同様に、ヘッドフォン20の機種ごとに対応した適切とされるフィルタ特性の設定を行うことができ、使用するヘッドフォン20を変更した場合にも適切なノイズキャンセリング効果が得られるようにすることができる。つまりこの点において、第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
また、第3の実施の形態では、特性情報そのものをヘッドフォン20側に格納するものとしているので、メモリ10内にID−フィルタ特性情報10aを格納する必要がないものとできる。
また、このように特性情報そのものをヘッドフォン20側に格納するので、第1の実施の形態の場合のような未対応通知のための処理(S103及びS105)は省略することができる(図16のステップS502→S503を参照)。これによれば、システムコントローラ9が未対応であるか否かを判別するためにID−フィルタ特性対応情報10a内のID情報をスキャンする処理を行う必要はなくなり、その分、システムコントローラ9の処理負担の軽減を図ることができる。
また、DSP6がID−フィルタ特性情報10aから対応するフィルタ特性情報を検索する処理も省略することができるという点でも、処理負担の軽減が図られる。
なお、ここでは特性情報そのものを格納する場合の例として、機種の別のみに応じたフィルタ特性情報を格納する場合を例示したが、先の第2の実施の形態の場合のように、機種の別のみでなく、個体ごとの特性の別も含めたヘッドフォン20の種別ごとに、対応する特性情報(NCフィルタ特性の情報、及び第1イコライザ特性の情報、及びLch、Rch第2イコライザ特性の情報、及びLch、Rch第2乗算部ゲインの情報、及びLch、Rch第1乗算部ゲインの情報)を各ヘッドフォン20に対して記憶させることもできる。この場合、オーディオプレイヤ1側では、ヘッドフォン20側から読み出したこれら各特性情報に関し、NCフィルタ特性の情報に基づいてLch、Rch双方のNCフィルタ6aのフィルタ特性を設定し、第1イコライザ特性の情報に基づいてLch、Rch双方の第1イコライザ6bのフィルタ特性を設定し、Lchの第2イコライザ特性の情報に基づいてLchの第2イコライザ6fのフィルタ特性を設定し、Rchの第2イコライザ特性の情報に基づいてRchの第2イコライザ6fのフィルタ特性を設定し、Lchの第2乗算部ゲインの情報に基づきLchの第2乗算部6eのゲインを設定し、Rchの第2乗算部ゲインの情報に基づきRchの第2乗算部6eのゲインを設定し、Lchの第1乗算部ゲインの情報に基づきLchの第1乗算部6dのゲインを設定し、Rchの第1乗算部ゲインの情報に基づきRchの第1乗算部6dのゲインを設定することになる。
<第4の実施の形態>

第4の実施の形態は、ヘッドフォン20に設けた無線タグに対して、ヘッドフォン20の種別ごとの情報を記憶させ、オーディオプレイヤ1側で上記無線タグに記憶される情報を読み取るようにしたものである。
図17は、第4の実施の形態のオーディオプレイヤ1に形成されるジャック部1Aと、ヘッドフォン20側に形成されるプラグ部20Aの構造を例示している。
図示するようにして、この場合のヘッドフォン20におけるプラグ部20Aには、無線タグ22が設けられる。
また、オーディオプレイヤ1におけるジャック部1Aには、上記無線タグ22に記憶される情報を無線通信(非接触)により読み取るためのタグリーダ16が設けられる。
この場合、上記無線タグ22はいわゆるパッシブタイプのものが用いられ、上記タグリーダ16による電波照射によって電力供給が行われることで、内部のメモリ素子の記憶データを電波により送出する。タグリーダ16は電波照射に応じて上記無線タグ22から送出されるデータを読み取る。
ここで、上記無線タグ22とタグリーダ16のそれぞれは、少なくともジャック部1Aに対しプラグ部20Aが接続されたときに、通信可能範囲内に収まる位置関係となるようにして設けられる。
また、この場合は、ヘッドフォン20側に記憶される情報の読み取りにあたってデータ通信ライン、及び電源供給のためのラインは不要となるため、先の第1の実施の形態の場合に設けられていたジャック部1A側の電源供給端子Ts-E、グランド端子Ts-GND、データ通信端子Ts-D、及びプラグ部20A側の電源入力端子Th-E、グランド端子Th-GND、データ通信端子Th-Dは省略されるものとなる。
確認のため、次の図18に、第4の実施の形態としてのオーディオプレイヤ1とヘッドフォン20の内部構成を示しておく。
図示するようにして、この場合のヘッドフォン20においては、先の第1の実施の形態の場合と比較して、不揮発性メモリ21、電源入力端子Th-E、グランド端子Th-GND、データ通信端子Th-Dが省略された上で、無線タグ22が設けられることになる。
この場合、上記無線タグ22に格納する情報、すなわちヘッドフォン20側に記憶させる情報としては、先の第1の実施の形態の場合と同様にID情報21aを格納するものとしている。
また、この場合のオーディオプレイヤ1としては、第1の実施の形態の場合と比較して、不揮発性メモリ21に対する電力供給を行うための電源部15、電源供給端子Ts-E、グランド端子Ts-GND、データ通信端子Ts-Dが省略された上で、タグリーダ16が設けられる点が異なる。図示するようにして、タグリーダ16による読み取り情報はシステムコントローラ9に対して供給されるようになっている。
図19のフローチャートは、第4の実施の形態のオーディオプレイヤ1にて実行されるべき処理動作を示している。
この図19においてもシステムコントローラとして示す処理動作はシステムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
なお、この場合も先の第1の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、図9にて説明した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
この図19と先の図9とを比較してわかるように、この場合のシステムコントローラ9側の処理としては、先ず、ステップS101でプラグが接続されたとした場合に、ステップS701によりタグリーダ16をONとするための処理を実行するようにされる。そして、続くステップS702においては、ID読み取り指示として、タグリーダ16によって無線タグ22に対する電波照射を実行させて、無線タグ22に記憶されたID情報21aの読み取りを実行させる。
さらに、次のステップS703では、タグリーダ16による読み取りが完了するまで待機する処理を実行し、読み取りが完了した場合は、ステップS704において、読み取られたID情報を取得する処理を実行する。その上で、次のステップS705においてタグリーダ16をOFFとするための処理を実行する。
なお、システムコントローラ9側における以降の処理、及びDSP6側の処理については図9にて説明したものと同様となるので改めての説明は省略する。
この第4の実施の形態のように、ヘッドフォン20側に無線タグ22により情報を記憶させる構成を採ることで、有線通信により情報読み取りを行う場合に必要とされていた、不揮発性メモリ21に対する電力供給を行うための構成(端子や配線など)は省略することができる。つまりその分、構成の簡易化が図られる。
なお、上記による説明では、ヘッドフォン20側には第1の実施の形態の場合と同様に機種の別のみを表すID情報21aを記憶させるものとしたが、この場合としても、第2の実施の形態の場合と同様に、個体ごとの特性の別も含んで各ヘッドフォン20を識別するためのID情報(21b)を記憶させて、ヘッドフォン20の個体ごとの特性ばらつきを考慮した補償処理を行うようにすることもできる。
或いは、第3の実施の形態のようにDSP6にて設定されるべき特性情報そのものを記憶させることもできる。
<第5の実施の形態>

第5の実施の形態は、オーディオプレイヤ側とヘッドフォン装置側との間で無線により音声信号(この場合はマイク信号・オーディオ信号)通信が行われるように構成したものである。
図20は、第5の実施の形態としての音響再生システムの構成について説明するための図として、第5の実施の形態としてのオーディオプレイヤ30とヘッドフォン40の外観図を示している。
図示するようにして、第5の実施の形態としてのヘッドフォン40には、これまでの各実施の形態で説明したヘッドフォン20が有するプラグ部20Aは形成されないものとなる。そして、このヘッドフォン40には、無線タグ22が設けられることになる。
また、オーディオプレイヤ30にはタグリーダ16が設けられる。
図21は、図20に示すオーディオプレイヤ30とヘッドフォン40の内部構成を示している。
先ずこの場合、ヘッドフォン40としては、先の第4の実施の形態のヘッドフォン20(図18)と比較して、マイク出力端子TMout及びオーディオ入力端子TAinが省略された上で、D/A変換器42、A/D変換器43、及び無線通信部41が設けられた点が異なる。
上記D/A変換器42は、上記無線通信部41がオーディオプレイヤ30側から受信したオーディオデータをアナログ信号に変換してドライバDRVに供給する。また、上記A/D変換器43は、マイクロフォンMICによる収音信号をデジタル信号に変換し、それにより得られる収音データを上記無線通信部41に対して供給する。
また、オーディオプレイヤ30としては、先の第4の実施の形態のオーディオプレイヤ1と比較して、マイク入力端子TMin、マイクアンプ2、A/D変換器3、D/A変換器7、パワーアンプ8、オーディオ出力端子TAoutが省略される一方で、マイクアンプ31、パワーアンプ32、及び無線通信部33が設けられた点が異なる。
上記マイクアンプ31は、上記無線通信部33がヘッドフォン40側から受信した収音データを増幅するデジタルアンプとなる。当該マイクアンプ31にて増幅された収音データはDSP6に対して供給される。なお、上記マイクアンプ31は、DSP6の一機能(乗算部)として実現することも可能である。
また、上記パワーアンプ31は、DSP6(加算部6c)から出力される加算データを増幅して上記無線通信部33に対して供給する。
なお、ここではオーディオプレイヤ30が先の各実施の形態で例示したヘッドフォン20のような有線接続によるヘッドフォン装置に未対応となる構成を例示しているが、もちろん、先の各実施の形態で例示したオーディオプレイヤ1のように、マイク入力端子TMin、マイクアンプ2、A/D変換器3、D/A変換器7、パワーアンプ8、オーディオ出力端子TAoutを備えることで、有線接続によるヘッドフォン装置に対応可能とすることもできる。
ここで、無線通信部41と無線通信部33とは、所定の通信規格に従って無線データ通信を行うように構成される。この場合は、例えばBluetooth(登録商標)規格に基づく無線データ通信を行うようにされる。
無線通信部41は、上述したA/D変換器43から供給される収音データを上記無線通信部33に対して送信すると共に、上記無線通信部33が送信する上記パワーアンプ32からの加算データを受信し、これを上述したD/A変換器42に対して供給する。
また、無線通信部33は、上記パワーアンプ32から供給される加算データを上記無線通信部41に送信すると共に、上記無線通信部41が送信する上記収音データを受信してこれをマイクアンプ31に対して供給する。
図22のフローチャートは、第5の実施の形態のオーディオプレイヤ30において実行されるべき処理動作を示している。
この図22においてもシステムコントローラとして示す処理動作はシステムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
また、この場合は、先の第4の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、先の図19に示した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
図22において、この場合のシステムコントローラ9は、ステップS801において、ヘッドフォン40側との接続確立処理が開始となるまで待機するようにされる。具体的にこの場合は、いわゆるペアリング処理が開始となるまで待機するようにされる。
この場合、ペアリング処理は、例えば操作部14を介したユーザ操作入力に基づき開始するようにされており、従ってステップS801の処理は、該操作入力を待機する処理となる。
そして、上記ペアリング処理としての、接続確立処理が開始となった場合は、以下に続くステップS701〜S705の処理により、タグリーダ16による無線タグ22からのID情報21aの読み取り、及び読み取られたID情報21aの取得のための処理を実行するようにされる。
ここで、第5の実施の形態の音響再生システムでは、ヘッドフォン40の無線タグ22に記憶されたID情報21aの読み取りのために、オーディオプレイヤ30とヘッドフォン40とのペアリングを行う際(つまり、同じオーディオプレイヤ30に対し或るヘッドフォン40が初回に使用される場合など)において、ユーザがヘッドフォン40をオーディオプレイヤ30に対して近づけることを例えば取扱説明書などによって規定している場合を前提としている。
このため、上記のようにしてペアリング処理の開始に応じてタグリーダ16による読み取りを実行させることで、無線タグ22に記憶された情報を適正に取得することができる。
図22において、システムコントローラ9側の上記ステップS705以降の処理動作、及びDSP6側の処理動作としては先の図19に示したものと同様となるので改めての説明は省略する。
なお、第5の実施の形態において、無線タグ22からの情報読み取りの開始トリガは、上記のようなペアリング処理の開始タイミングに限定されるべきものでなく、実際の実施形態に応じて適宜変更が可能である。
また、第5の実施の形態としても、ヘッドフォン40側には機種の別のみを表すID情報21aを記憶させるものとしたが、この場合も先の第2の実施の形態の場合と同様に、個体ごとの特性の別も含んで各ヘッドフォン40を識別するためのID情報(21b)を記憶させて、ヘッドフォン40の個体ごとの特性ばらつきを考慮した補償処理を行うようにすることもできる。
また、第3の実施の形態のようにDSP6にて設定されるべき特性情報そのものを記憶させることもできる。
[変形例]

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、本発明がノイズキャンセリング機能を有する音響再生システムに適用される場合を例示したが、本発明としては、ノイズキャンセリング機能を有さない、いわば通常の音響再生システムにも好適に適用することができる。
ここで、ノイズキャンセリング機能を有さない通常の音響再生システムにおいても、使用されるヘッドフォン装置の機種が変更された場合には、例えばイコライザ6bによる音響効果などに聴感上の差が生じることが考えられる。
そこで、通常の音響再生システムにおいても、機種の別に応じてイコライザ6dのフィルタ特性など、ヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の音響効果を与えるための信号処理特性を変更することが有効となる。具体的に、その場合は、先の第1の実施の形態で説明したID−フィルタ特性対応情報10aのうち、NCフィルタ特性の情報を除外したものとし、ヘッドフォン装置側から読み取ったID情報に対応するイコライザ特性をイコライザ6bに設定するものとすればよい。
また、この場合も、先の第2の実施の形態のように、機種の別のみでなく、個体ごとの音響特性の別も含めてヘッドフォン装置を識別するためのID情報(21b)を記憶させて、ヘッドフォン装置の個体ごとの特性ばらつきも補償されるようにすることもできる。通常の音響再生システムにおいても、このように個体ごとの特性補償を行うことで、選別から外れる製品を廃棄する必要をなくすことができ、ヘッドフォン装置の製造コストの削減を図ることができる。また、このとき、第2の実施の形態と同様に各chごとの補償を行うものとすれば、左右のペアリングに関しても製品廃棄を行う必要はないものとでき、その点でも装置製造コストの削減が図られる。
さらには、この場合もID情報を記憶させるのではなく、設定されるべき特性情報そのものをヘッドフォン装置側に記憶させることもできる。
また、これまでの説明では、音響再生システムが機種の異なるヘッドフォン装置に対応する場合を例示したが、有る1つの機種のヘッドフォン装置のみに対応可能とするシステムを想定した場合などには、ID情報を、機種の別の情報を除いた個体ごとの特性の別のみを表す情報として、個体ごとの特性補償を行うようにすることもできる。この場合としても、選別による製品廃棄を行う必要はなくなり、装置製造コストの削減を図ることができる。
またこの場合も、各chごとの補償を行うものとすれば、左右のペアリングに関しても製品廃棄を行わずに済むものとできる。
また、これまでの説明では、ヘッドフォン装置の別に応じて可変設定されるべき信号処理特性が、NCフィルタやイコライザのフィルタ特性、ゲインなどとされる場合を例示したが、例えば残響効果や音場効果などの音響効果を与える音響再生システムにおいて、それらの音響効果の処理特性を使用するヘッドフォンの種別に応じて可変的に設定することもできる。
また、これまでの説明においては、プラグ部20Aが引き抜かれたときの動作については特に言及しなかったが、プラグ部20Aが抜かれたことが検出された場合、オーディオデータを再生中であったときには、その再生を一時停止するようにすることもできる。
また、プラグ部20Aが接続された際には、フィルタ特性の変更設定が行われるので、その間は再生を一時停止させることもできる。つまりその場合、システムコントローラ9は、プラグ接続に応じてストレージ部4・再生処理部5を制御して再生を一時停止させた上で、実施の形態で例示した特性設定処理を実行する。そして、DSP6からのフィルタ特性設定完了の通知に応じて、再生を再開させるようにする。
また、これまでの説明では、ノイズキャンセリングのための信号特性を与えるフィルタ(NCフィルタ)がデジタルフィルタで構成される場合を例示したが、NCフィルタはアナログフィルタで構成することもできる。
また、これまでの説明では、本発明の信号処理装置がオーディオプレイヤとして構成される場合について例示したが、本発明の信号処理装置としては、例えばノイズキャンセリング機能を備えた携帯電話機、ヘッドセットなど、他の装置形態として実施することもできる。
フィードバック方式によるヘッドフォン装置のノイズキャンセリングシステムについてのモデル例を示す図である。 図1に示したノイズキャンセリングシステムについての特性を示すボード線図である。 フィードフォワード方式によるヘッドフォン装置のノイズキャンセリングシステムについてのモデル例を示す図である。 第1の実施の形態の音響再生システムの構成について説明するための図である。 第1の実施の形態の信号処理装置が対応するヘッドフォン装置の種類について説明するための図である。 ヘッドフォン装置が有するドライバ(スピーカ)とマイクロフォンの配置関係について説明するための図である。 第1の実施の形態の音響再生システムにおいて、ヘッドフォン装置に形成されるプラグ部と信号処理装置に形成されるジャック部の構造を示した図である。 ID−フィルタ特性対応情報のデータ構造について示した図である。 第1の実施の形態の信号処理装置において実行されるべき処理動作について示したフローチャートである。 第2の実施の形態の音響再生システムの構成について説明するための図である。 第2の実施の形態のID情報のデータ構造を示した図である。 ドライバ周波数特性種別、感度種別の設定手法について説明するための図である。 ID−特性対応情報のデータ構造について示した図である。 第2の実施の形態の信号処理装置において実行されるべき処理動作について示したフローチャートである。 第3の実施の形態の音響再生システムの構成について説明するための図である。 第3の実施の形態の信号処理装置において実行されるべき処理動作について示したフローチャートである。 第4の実施の形態の音響再生システムにおいて、ヘッドフォン装置に形成されるプラグ部と信号処理装置に形成されるジャック部の構造を示した図である。 第4の実施の形態の音響再生システムの構成について説明するための図である。 第4の実施の形態の信号処理装置において実行されるべき処理動作について示したフローチャートである。 第5の実施の形態の音響再生システムの外観図である。 第4の実施の形態の音響再生システムの構成について説明するための図である。 第5の実施の形態の信号処理装置において実行されるべき処理動作について示したフローチャートである。
符号の説明
1,30 オーディオプレイヤ、1A ジャック部、2,31 マイクアンプ、3,43 A/D変換器、4 ストレージ部、5 再生処理部、6 DSP、6a NCフィルタ、6b (第1)イコライザ、6c 加算部、6d 第1乗算部、6e 第2乗算部、6f 第2イコライザ、7,42 D/A変換器、8,32 パワーアンプ、9 システムコントローラ、10 メモリ、10a ID−フィルタ特性対応情報、10b ID−特性対応情報、11 プラグ接続検出部、12 外部通信インタフェース、13 表示部、14 操作部、15 電源部、16 タグリーダ、20,40 ヘッドフォン、20A プラグ部、21 不揮発性メモリ、21a,21b ID情報、21c フィルタ特性情報、22 無線タグ、MIC マイクロフォン、DRV ドライバ、33,41 無線通信部

Claims (12)

  1. 振動板を備えて音響再生を行うヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段と、
    上記ヘッドフォン装置に設けられ上記ヘッドフォン装置の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶するヘッドフォン側記憶手段から、上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取る情報読取手段と、
    上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段と
    を備える信号処理装置。
  2. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    上記ヘッドフォン側記憶情報は、上記所定の種別ごとに上記ヘッドフォン装置を区分したときに該区分ごとに固有となるようにして割り振られたID情報とされ、
    上記ID情報と、該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す対応関係情報を記憶する処理装置側記憶手段をさらに備えると共に、
    上記制御手段は、
    上記対応関係情報に基づき、上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報としての上記ID情報に対応する上記信号処理特性が上記信号処理手段に設定されるように制御を行う。
  3. 請求項2に記載の信号処理装置において、
    上記ID情報は、上記ヘッドフォン装置の機種の別ごとに固有となるようにして割り振られた情報とされ、
    上記対応関係情報は、機種ごとの別を表す上記ID情報と該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す情報とされる。
  4. 請求項3に記載の信号処理装置において、
    上記ID情報は、上記ヘッドフォン装置の機種の別と共に、上記ヘッドフォン装置が備える音響部品の特性の別を含めて上記ヘッドフォン装置の種別を区分したときに該区分ごとに固有となるようにして割り振られた情報とされ、
    上記対応関係情報は、上記機種の別と共に上記音響部品の特性の別とを表す上記ID情報と該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す情報とされる。
  5. 請求項4に記載の信号処理装置において、
    上記ヘッドフォン装置はマイクロフォンを備え、
    上記信号処理手段は、少なくとも、
    上記マイクロフォンから供給される収音音声信号にノイズキャンセリングのための信号特性を与えるための第1フィルタ処理と、上記収音音声信号と合成されて上記ヘッドフォン装置に供給される音声信号に対してイコライジングを行うための第2フィルタ処理とを行うように構成されている。
  6. 請求項5に記載の信号処理装置において、
    上記ID情報は、上記ヘッドフォン装置の機種の別と共に、上記マイクロフォンの感度の別も含めて上記ヘッドフォン装置の種別を区分したときに該区分ごとに固有となるようにして割り振られた情報とされ、
    上記対応関係情報は、上記機種の別と共に上記マイクロフォンの感度の別を表す上記ID情報と該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す情報とされる。
  7. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    上記ヘッドフォン側記憶情報は、上記所定の種別ごとのヘッドフォン装置ごとに対応してそれぞれ上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性の情報とされ、
    上記制御手段は、
    上記信号処理手段の信号処理特性が、上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報としての上記信号処理特性情報に基づいて設定されるように制御を行う。
  8. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    上記情報読取手段は、
    上記ヘッドフォン側記憶手段から上記ヘッドフォン側記憶情報を有線通信により読み取る。
  9. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    上記情報読取手段は、
    上記ヘッドフォン側記憶手段から上記ヘッドフォン側記憶情報を無線通信により読み取る。
  10. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    上記ヘッドフォン装置に対して上記音声信号を有線通信により供給する音声供給手段をさらに備える。
  11. 請求項1に記載の信号処理装置において、
    上記ヘッドフォン装置に対して上記音声信号を無線通信により供給する音声供給手段をさらに備える。
  12. 振動板を備えて音響再生を行うヘッドフォン装置に設けられ上記ヘッドフォン装置の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶するヘッドフォン側記憶手段から、上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取る情報読取ステップと、
    上記情報読取ステップにより読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報に基づき、上記ヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御ステップと
    を備える信号処理方法。
JP2008075772A 2008-03-24 2008-03-24 信号処理装置、信号処理方法 Expired - Fee Related JP5320784B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008075772A JP5320784B2 (ja) 2008-03-24 2008-03-24 信号処理装置、信号処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008075772A JP5320784B2 (ja) 2008-03-24 2008-03-24 信号処理装置、信号処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009232205A true JP2009232205A (ja) 2009-10-08
JP5320784B2 JP5320784B2 (ja) 2013-10-23

Family

ID=41247096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008075772A Expired - Fee Related JP5320784B2 (ja) 2008-03-24 2008-03-24 信号処理装置、信号処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5320784B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110305349A1 (en) * 2010-06-15 2011-12-15 Sony Corporation Reproduction device and reproduction method
WO2014196399A1 (ja) 2013-06-07 2014-12-11 ソニー株式会社 入力デバイス及び送信方法、ホストデバイス及び受信方法、並びに、信号処理システム及び送受信方法
JP2016532906A (ja) * 2013-09-04 2016-10-20 クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated 構成データを取得するための装置および方法
JP2017510200A (ja) * 2014-03-26 2017-04-06 ボーズ・コーポレーションBose Corporation ヘッドセットと音源との間のオーディオの協調的処理
JP2017090736A (ja) * 2015-11-12 2017-05-25 株式会社日立国際電気 消音装置および消音方法
JP2017513381A (ja) * 2014-03-26 2017-05-25 ボーズ・コーポレーションBose Corporation ヘッドセットと音源との間のオーディオの協調的処理
JP2019118121A (ja) * 2015-09-13 2019-07-18 グォグァン エレクトリック カンパニー リミテッドGuoguang Electric Company Limited ラウドネスに基づくオーディオ信号補償

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57148967U (ja) * 1981-03-13 1982-09-18
JPS62141294U (ja) * 1986-02-27 1987-09-05
JPH0396199A (ja) * 1989-09-08 1991-04-22 Sony Corp 騒音低減ヘッドホン
JPH03214892A (ja) * 1990-01-19 1991-09-20 Sony Corp 騒音低減装置
JPH08126100A (ja) * 1994-10-27 1996-05-17 Yamaha Corp 音響装置
JPH1039869A (ja) * 1996-07-18 1998-02-13 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd 電子楽器
JP2002330485A (ja) * 2001-04-27 2002-11-15 Sony Corp 音響装置及びノイズキャンセリングヘッドホン
JP2005286919A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Clarion Co Ltd 音声信号送受信システム、ヘッドホン及び音声信号送信装置
JP2006191359A (ja) * 2005-01-06 2006-07-20 Nec Electronics Corp 電圧供給回路、マイクユニットおよびマイクユニットの感度調整方法
JP2006229329A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Canon Inc 撮像装置
JP2007008289A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Alpine Electronics Inc 車載用オーディオ/ビデオシステム
JP2008294516A (ja) * 2007-05-22 2008-12-04 Kenwood Corp 再生装置および再生方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57148967U (ja) * 1981-03-13 1982-09-18
JPS62141294U (ja) * 1986-02-27 1987-09-05
JPH0396199A (ja) * 1989-09-08 1991-04-22 Sony Corp 騒音低減ヘッドホン
JPH03214892A (ja) * 1990-01-19 1991-09-20 Sony Corp 騒音低減装置
JPH08126100A (ja) * 1994-10-27 1996-05-17 Yamaha Corp 音響装置
JPH1039869A (ja) * 1996-07-18 1998-02-13 Kawai Musical Instr Mfg Co Ltd 電子楽器
JP2002330485A (ja) * 2001-04-27 2002-11-15 Sony Corp 音響装置及びノイズキャンセリングヘッドホン
JP2005286919A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Clarion Co Ltd 音声信号送受信システム、ヘッドホン及び音声信号送信装置
JP2006191359A (ja) * 2005-01-06 2006-07-20 Nec Electronics Corp 電圧供給回路、マイクユニットおよびマイクユニットの感度調整方法
JP2006229329A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Canon Inc 撮像装置
JP2007008289A (ja) * 2005-06-29 2007-01-18 Alpine Electronics Inc 車載用オーディオ/ビデオシステム
JP2008294516A (ja) * 2007-05-22 2008-12-04 Kenwood Corp 再生装置および再生方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110305349A1 (en) * 2010-06-15 2011-12-15 Sony Corporation Reproduction device and reproduction method
EP2398254A2 (en) 2010-06-15 2011-12-21 Sony Corporation Reproduction device and reproduction method
JP2012004734A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Sony Corp 再生装置及び再生方法
CN102348144A (zh) * 2010-06-15 2012-02-08 索尼公司 再现设备和再现方法
US8761414B2 (en) 2010-06-15 2014-06-24 Sony Corporation Reproduction device and reproduction method
WO2014196399A1 (ja) 2013-06-07 2014-12-11 ソニー株式会社 入力デバイス及び送信方法、ホストデバイス及び受信方法、並びに、信号処理システム及び送受信方法
JP2016532906A (ja) * 2013-09-04 2016-10-20 クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated 構成データを取得するための装置および方法
JP2017510200A (ja) * 2014-03-26 2017-04-06 ボーズ・コーポレーションBose Corporation ヘッドセットと音源との間のオーディオの協調的処理
JP2017513381A (ja) * 2014-03-26 2017-05-25 ボーズ・コーポレーションBose Corporation ヘッドセットと音源との間のオーディオの協調的処理
EP3123613B1 (en) * 2014-03-26 2019-12-04 Bose Corporation Collaboratively processing audio between headset and source to mask distracting noise
JP2019118121A (ja) * 2015-09-13 2019-07-18 グォグァン エレクトリック カンパニー リミテッドGuoguang Electric Company Limited ラウドネスに基づくオーディオ信号補償
JP2017090736A (ja) * 2015-11-12 2017-05-25 株式会社日立国際電気 消音装置および消音方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5320784B2 (ja) 2013-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4506873B2 (ja) 信号処理装置、信号処理方法
JP4572945B2 (ja) ヘッドフォン装置、信号処理装置、信号処理方法
JP6314977B2 (ja) 入力デバイス及び送信方法、ホストデバイス及び受信方法、並びに、信号処理システム及び送受信方法
EP3114854B1 (en) Integrated circuit and method for enhancing performance of audio transducer based on detection of transducer status
JP5007561B2 (ja) ノイズ低減装置、ノイズ低減方法、ノイズ低減処理用プログラム、ノイズ低減音声出力装置およびノイズ低減音声出力方法
JP5320784B2 (ja) 信号処理装置、信号処理方法
EP2202998B1 (en) A device for and a method of processing audio data
WO2013069556A1 (ja) ヘッドホン装置、端末装置、情報送信方法、プログラム、ヘッドホンシステム
US20080165988A1 (en) Audio blending
WO2014061578A1 (ja) 電子機器、及び音響再生方法
CN113068091A (zh) 噪声消除来自触觉振动驱动器的声学噪声的耳机
JP2009200902A (ja) 信号処理装置、信号処理方法
TW201638768A (zh) 資訊處理裝置及其資訊處理方法
US11206003B2 (en) Personalized headphone equalization
JP5417821B2 (ja) 音声信号再生装置、携帯電話端末
JP5071161B2 (ja) ヘッドフォン装置、信号処理方法、音響再生システム
JP6281646B2 (ja) 端末装置、ヘッドホンシステム
EP2642770B1 (en) Audio reproduction device and method of controlling thereof
JP3223325U (ja) 調整可能なカスタマイズeqカーブを有するブルートゥースヘッドセット
JP7031543B2 (ja) 処理装置、処理方法、再生方法、及びプログラム
US20200077190A1 (en) Earbuds With Vocal Frequency-Based Equalization
JP2017017654A (ja) オーディオシステム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110317

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120719

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120904

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130321

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130618

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130701

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5320784

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees