JP2009232205A - 信号処理装置、信号処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ヘッドフォン側に記憶手段を備え、該記憶手段に対し、ヘッドフォンの所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶させておく。信号処理装置側では、上記記憶手段から上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取り、該読み取ったヘッドフォン側記憶情報に基づき、上記ヘッドフォンに供給される音声信号に所要の信号特性を与える信号処理手段の信号処理特性を設定する。これにより、使用するヘッドフォンの種別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。
【選択図】図9
Description
また、上記特許文献2には、その基本構成として、ヘッドフォン装置外筐に取り付けたマイクロフォンにより収音して得た音声信号について所定の伝達関数による特性を与えてヘッドフォン装置から出力させるようにした構成、つまりフィードフォワード方式に対応したノイズキャンセリングシステムの構成が記載されている。
このとき、上記空間伝達関数としては、ヘッドフォン装置の音響管(ハウジング部)の構造などにより大きく左右されるものとなることから、ノイズキャンセリングのためのフィルタ特性は、同一構造を有する1種類のヘッドフォン装置を想定して設定するものとなる。換言すれば、ノイズキャンセリングシステムにおいて、フィルタ特性は、ヘッドフォン装置に対して1対1の関係で設定されるべきものとなっている。
確認のために述べておくと、フィルタをアナログ回路で構成する場合には、フィルタ特性の変更にあたりそれぞれ別々のフィルタ特性を有するフィルタ回路を複数設けておき、それらをスイッチングしてフィルタ特性の変更を行うことになる。しかしながら、そのような構成は回路実装面積の点などから非現実的であり、結果として現状においては、信号処理装置とヘッドフォン装置は想定される1対1の組み合わせでしか使用できないものとなっている。
このような識別にあたっては、例えば使用するヘッドフォンの別の情報をユーザ操作に基づき取得することが考えられる。しかしながら、ユーザの入力情報に基づく識別を行う場合には、必然的にユーザに操作負担を強いるものとなり、利便性に欠けるシステムとなってしまう。
また、このようにユーザの操作入力に基づく識別を行う場合には、ユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォンとは別のヘッドフォンが選択されてしまう可能性もあり、その場合、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった問題が生じる。
ここで、ヘッドフォンやマイクロフォンなどのいわゆるトランスデューサを構成する音響部品は、そのメカ機構自体が機能・性能に直接関わるものであり、電気部品と比較した場合には、そのばらつきによる影響が大きなものとなる。従って、ヘッドフォンの個体ごとに音響部品のばらつきが生じる場合には、同一機種のヘッドフォンであっても、聴感上の差が相応に生じてしまうものとなる。
つまり、振動板を備えて音響再生を行うヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段を備える。
また、上記ヘッドフォン装置に設けられ上記ヘッドフォン装置の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶するヘッドフォン側記憶手段から、上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取る情報読取手段を備える。
また、上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段を備えるものである。
そして、上記本発明によれば、このように取得したヘッドフォン側記憶情報に基づき、信号処理手段の信号処理特性が設定(変更)されるものとなる。これにより、使用するヘッドフォン装置の別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。
ここで、ヘッドフォン装置の種別としては、例えばヘッドフォン装置の機種の別や、具備される音響部品の特性の別などを挙げることができる。従って、上記本発明によれば、ヘッドフォン装置の機種の別に応じた信号処理特性の設定や、例えば同一機種についてもその音響部品の特性の別に応じた信号処理特性の設定を行うことができる。
つまり、上記本発明によれば、使用するヘッドフォン装置の別に応じた適切な信号処理特性を信号処理装置側で自動的に設定することができ、これによってユーザに操作負担を負わせることのない優れたシステムの実現が図られる。また、これと共に、ユーザの操作入力ミスなどにより誤った信号処理特性が設定されてしまい、適正な音響再生を行うことができなくなってしまうといった事態の発生も効果的に防止することができる。
実施の形態では、信号処理装置とヘッドフォン装置とを備えて構成される音響再生システムとして、ノイズキャンセリング機能を有するシステムを例に挙げる。そこで、以下では先ず、本実施の形態としてのシステムの構成を説明するのに先立ち、ノイズキャンセリングシステムの基本概念について説明を行っておく。
ノイズキャンセリングシステムの基本的な方式としては、フィードバック(FeedBack:FB)方式によりサーボ制御を行うようにされたものとフィードフォワード(FeedForward:FF)方式がそれぞれ知られている。先ず、図1により、FB方式について説明する。
ここでのヘッドフォン装置のRチャンネル側の構造としては、先ず、右耳に対応するハウジング部201内において、ヘッドフォン装置を装着したユーザ500の右耳に対応する位置にドライバ202を設けるようにされる。ドライバ202は振動板を備えたいわゆるスピーカと同義のものであり、音声信号の増幅出力により駆動(ドライブ)されることで音声を空間に放出するようにして出力するものである。
そして、マイクロフォン203によって収音して得られた音声信号から、例えば外部音声の音声信号成分に対して逆特性となる信号など、ハウジング内ノイズ302がキャンセル(減衰、低減)されるようにするための信号(キャンセル用オーディオ信号)を生成し、この信号について、ドライバ202を駆動する必要音の音声信号(オーディオ音源)に合成させるようにして帰還させる。これによりハウジング部201内における右耳に対応するとされる位置に設定されたノイズキャンセル点400においては、ドライバ201からの出力音声と外部音声の成分とが合成されることによって外部音声がキャンセルされた音が得られ、ユーザの右耳では、この音を聴き取ることになる。そして、このような構成を、Lチャンネル(左耳)側においても与えることで、通常のL,R2チャンネルステレオに対応するヘッドフォン装置としてのノイズキャンセリングシステムが得られることになる。
なお、このように音声信号Sにイコライジングを施すのは、FB方式では、ノイズ収音用のマイクロフォン203がハウジング部201内に設けられ、ノイズ音のみでなくドライバ202からの出力音声も収音されることに由来する。すなわち、このようにマイクロフォン203が音声信号Sの成分も収音することで、FB方式では音声信号Sに対しても伝達関数−βが与えられるものとなっており、このことで音声信号Sの音質劣化を招くこと虞がある。そこで、予め伝達関数−βによる音質劣化を抑制するために、イコライジングにより音声信号Sに所要の信号特性を与えるようにしているものである。
1<<|ADHMβ|
で表されることとと、古典制御理論におけるNyquistの安定性判別と合わせると、[式2]については下記のように解釈できる。
ここでは、図1(b)に示されるノイズキャンセリングシステムの系において、ハウジング内ノイズ302であるNに関わるループ部分を一箇所切断して得られる、(−ADHMβ)で表される系を考える。この系を、ここでは「オープンループ」ということにする。一例として、マイクロフォン及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数ブロック101と、FBフィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102との間を切断すべき箇所とすれば、上記のオープンループを形成できる。
このオープンループを対象とした場合、Nyquistの安定性判別に基づき、[式2]を満足するためには、下記の2つの条件を満たす必要がある。
条件1:位相0deg.(0 度)の点を通過するとき、ゲインは0dBより小さくなくてはならない。
条件2:ゲインが0dB以上であるとき、位相0deg.の点を含んではいけない。
例えば図2にあっては、位相0deg.の点を通過するときのゲインとしては0dBより小さくなっており、これに応じてゲイン余裕Ga 、Gbが得られている。しかしながら、例えば仮に位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB以上となってゲイン余裕Ga 、Gbが無くなる、あるいは位相0deg.の点を通過するときのゲインが0dB未満であるものの、0dBに近く、ゲイン余裕Ga 、Gbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
同様にして、図2にあっては、ゲインが0dB以上であるときには位相0deg.の点を通過しないようにされており、位相余裕Pa、Pbが得られている。しかしながら、例えばゲインが0dB以上であるときに位相0deg.の点を通過してしまっている。或いは、位相0deg.に近くなり位相余裕Pa、Pbが小さくなるような状態となると、発振を生じる、あるいは発振の可能性が増加することになる。
ここでは、必要音として、例えば楽曲などのコンテンツとしてのオーディオ音源の音声信号Sが示されている。
なお、この音声信号Sとしては、音楽的、又はこれに準ずる内容のもののほかにも考えられる。例えば、ノイズキャンセリングシステムを補聴器などに適用することとした場合には、周囲の必要音を収音するために筐体外部に設けられるマイクロフォン(ノイズキャンセルの系に備えられるマイクロフォン203とは異なる)により収音して得られた音声信号となる。また、いわゆるヘッドセットといわれるものに適用する場合には、電話通信などの通信により受信した相手方の話し声などの音声信号となる。つまり、音声信号Sとは、ヘッドフォン装置の用途などに応じて再生出力すべきことが必要となる音声一般に対応したものである。
図3(a)は、FF方式によるノイズキャンセリングシステムのモデル例として、先の図1(a)と同様にRチャンネルに対応する側の構成を示している。
FF方式では、ハウジング部201の外側に対して、ノイズ音源301から到達してくるとされる音声が収音できるようにしてマイクロフォン203を設けるようにされる。そして、このマイクロフォン203により収音した外部音声、つまりノイズ音源301から到達してきたとされる音声を収音して音声信号を得て、この音声信号について適切なフィルタリング処理を施して、キャンセル用オーディオ信号を生成するようにされる。そして、このキャンセル用オーディオ信号を、必要音の音声信号と合成する。つまり、マイクロフォン203の位置からドライバ202の位置までの音響特性を電気的に模擬したキャンセル用オーディオ信号を必要音の音声信号に対して合成するものである。
そして、このようにしてキャンセル用オーディオ信号と必要音の音声信号とが合成された音声信号をドライバ202から出力させることで、ノイズキャンセル点400において得られる音としては、ノイズ音源301からハウジング部201内に侵入してきた音がキャンセルされたものが聴こえるようになる。
先ず、ハウジング部201の外側に設けられるマイクロフォン203により収音される音は、マイクロフォン203及びマイクロフォンアンプに対応する伝達関数Mを有する伝達関数ブロック101を介した音声信号として得られる。
次に、上記伝達関数ブロック101を経由した音声信号は、FF(FeedForward)フィルタ回路に対応する伝達関数ブロック102(伝達関数−α)を介して合成器103に入力される。FFフィルタ回路102は、マイクロフォン203により収音して得られた音声信号から、上記したキャンセル用オーディオ信号を生成するための特性が設定されたフィルタ回路であり、その伝達関数が−αとして表されているものである。
合成器103により合成された音声信号は、パワーアンプにより増幅され、ドライバ202に駆動信号として出力されることで、ドライバ202から音声として出力されることになる。つまり、この場合にも、合成器103からの音声信号は、パワーアンプに対応する伝達関数ブロック104(伝達関数A)を経由し、さらにドライバ202に対応する伝達関数ブロック105(伝達関数D)を経由して音声として空間内に放出される。
そして、ドライバ202にて出力された音声は、ドライバ202からノイズキャンセル点400までの空間経路(空間伝達関数)に対応する伝達関数ブロック106(伝達関数H)を経由してノイズキャンセル点400に到達し、ここでハウジング内ノイズ302と空間で合成されることになる。
これにより、ノイズキャンセル点400から例えば右耳に到達するものとされる出力音の音圧Pとしては、ハウジング部201の外部から侵入してくるノイズ音源301の音がキャンセルされるものとなる。
また、確認のために述べておくと、[式6]は、ノイズ音源301から耳までの経路の伝達関数を、伝達関数−αを含めた電気回路にて模倣することを意味している。
このようなことから、一般的にFF方式は、発振する可能性が低く安定度は高いが、十分なノイズ減衰量(キャンセル量)を得るのは困難であるとされている。一方、FB方式は大きなノイズ減衰量が期待できる代わりに、系の安定性に注意が必要であるとされている。このように、FB方式とFF方式とでは、それぞれに特徴を有するものである。
[音響再生システムの構成(信号処理装置及びヘッドフォン装置の構成]
図4は、本発明の信号処理装置の一実施形態としてのオーディオプレイヤ1と、ヘッドフォン20とを備えて構成される第1の実施の形態としての音響再生システムの構成について説明するための図である。なお、この図4のブロック図では、オーディオプレイヤ1の内部構成とヘッドフォン20の内部構成をそれぞれ示している。
この場合、オーディオプレイヤ1が対応可能なヘッドフォン装置に対しては、そのヘッドフォン装置のタイプ(種別)を識別するためのIDが予め定められており、図のように(1)のタイプのヘッドフォン装置にはID:0が、(2)のタイプのヘッドフォン装置にはID:1が、(3)のタイプのヘッドフォン装置にはID:2が、(4)のタイプのヘッドフォン装置にはID:3がそれぞれ割り振られている。
先ず、ヘッドフォン20側の内部構成から説明していく。
ヘッドフォン20には、振動板による音声出力(音響再生)を行うドライバDRVが設けられる。また、この場合のヘッドフォン20には、ノイズキャンセリングシステムに対応する構成として、マイクロフォンMICが設けられている。
上記マイクロフォンMICによる収音信号は、マイク出力端子TMoutに供給される。図示するようにオーディオプレイヤ1側には、上記マイク出力端子TMoutに対応する端子としてマイク入力端子TMoutが設けられており、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1に接続されたとき、上記マイク出力端子TMoutと上記マイク入力端子TMinとが接することで、上記マイク出力端子TMoutに供給された収音信号が上記マイク入力端子TMoutを介し、オーディオプレイヤ1に設けられたマイクアンプ2に供給されるようになっている。
また、上記ドライバDRVには、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1に接続されたときに、オーディオプレイヤ1側が備える後述するパワーアンプ8からのオーディオ信号(駆動信号)が、オーディオプレイヤ1側に設けられたオーディオ出力端子TAout→ヘッドフォン20側に設けられたオーディオ入力端子TAinを介して供給される。
図6(a)は、FF方式対応のヘッドフォン装置とされる場合、図6(b)はFB方式対応のヘッドフォン装置とされる場合のヘッドフォン20の構造について模式的に示している。
これらの図に示されるように、ヘッドフォン20としては、Lchハウジング部20L、Rchハウジング部20Rとを有する。そしてFF方式、FB方式の場合も共に、LchのドライバDRV-LはLchハウジング部20L内に設けられ、またRchのドライバDRV-RはRchハウジング部20R内に設けられる。
従って実際において、ヘッドフォン20における先に説明したマイクロフォンMIC、ドライバDRV、マイク出力端子TMout、オーディオ入力端子TAinとしては、Lch用、Rch用のそれぞれ2つが設けられるものとなる。同様にして、オーディオプレイヤ1側における先に述べたマイク入力端子TMin、マイクアンプ2、及びパワーアンプ8、オーディオ出力端子TAoutとしてもLch用、Rch用のそれぞれ2つが設けられるものとなる。 また同様にして、以降において説明するA/D変換器3、D/A変換器7、及びDSP6における各部(NCフィルタ6a、イコライザ(EQ)6b、加算部6c)としてもLch用、Rch用のそれぞれ2つが設けられることになる。
ヘッドフォン20には、上記により説明した構成に加えて、不揮発性メモリ21が備えられる。この不揮発性メモリ21は、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリ素子とされる。
不揮発性メモリ21に対しては、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1に接続されたとき、オーディオプレイヤ1側から電力供給が行われる。具体的に、不揮発性メモリ21に対しては、オーディオプレイヤ1側の電力供給端子Ts-Eとヘッドフォン20側の電力入力端子Th-Eとが接し、且つオーディオプレイヤ1側のグランド端子Ts-GNDとヘッドフォン20側のグランド端子Th-GNDとが接することで、オーディオプレイヤ1側に設けられる電源部15からの電力供給が行われるようになっている。
また、不揮発性メモリ21に記憶された情報は、後述するシステムコントローラ9により読出可能となるようにされている。具体的に、ヘッドフォン20には不揮発性メモリ21からの読み出しデータが供給されるデータ通信端子Th-Dが設けられ、またオーディオプレイヤ1側には上記システムコントローラ9と接続されたデータ通信端子Ts-Dが設けられる。つまり、ヘッドフォン20がオーディオプレイヤ1と接続されてこれらデータ通信端子Th-Dとデータ通信端子Ts-Dとが接することで、不揮発性メモリ21に記憶されたデータについてのシステムコントローラ9による読み出し(読み取り)が可能な状態となる。
図7において、先ずヘッドフォン20側のプラグ部20Aには、先に説明したオーディオ入力端子TAinとして、Lch用の端子TAin-LとRch用の端子TAin-Rが形成されていると共に、同じく先に説明したマイク出力端子TMoutとして、Lch用の端子TMout-LとRch用の端子TMout-Rとが形成されている。またこの図では、上記Lch、Rchのそれぞれのオーディオ入力端子TAinとマイク出力端子TMoutに共通となるグランド端子T-GND(図4における図示は省略した)を形成する場合を例示している。
このとき、上記端子TAin-L、端子TAin-R、端子TMout-L、端子TMout-Rは、図のようにそれぞれが同軸上に独立したリング状の形状で配置されるように形成している。これに対し、上記グランド端子T-GNDは、これら各端子TM及びTAと同軸上には配置せずに、これら同軸上の各端子TM及びTAが配置される部分から突出するようにして設けられている。
なお、ここでは図示の都合上、ジャック部1A側におけるLch用、Rch用のそれぞれオーディオ出力端子TAout、及びLch用、Rch用のそれぞれのマイク入力端子TMin、及び上記グランド端子T-GNDと接するグランド端子の図示は省略しているが、これらの端子Tは、プラグ部20Aが接続された際、プラグ部20A側に設けられた対応する端子Tと1対1で接するようにしてジャック部1A内に形成されているものとする。
これらの各端子Tは、上記位置決め部Xにより位置決めされるようにしてジャック部1Aにプラグ部20Aが接続されたときに、[Th-E・Ts-E][Th-GND・Ts-GND][Th-D・Ts-D]の対応関係で各端子Tが一対一で接するようにして設けられている。
また、ヘッドフォン20からオーディオプレイヤ1への収音信号の供給、及びオーディオプレイヤ1からヘッドフォン20へのオーディオ信号の供給が可能となるようにされている。
具体的に、図5に示すID:0が割り振られるヘッドフォン20に対しては、その不揮発性メモリ21に対して上記ID:0としてのID情報21aが格納されるものとなる。同様に、ID:1のヘッドフォン20にはID:1としてのID情報21aが、またID:2のヘッドフォン20にはID:2としてのID情報21aが、ID:3のヘッドフォン20にはID:3としてのID情報21aがそれぞれ格納されるものとなる。
図4において、オーディオプレイヤ1には、ストレージ部4が備えられる。このストレージ部4は、オーディオデータを始めとした各種データの保存に用いられる。
具体的な構成としては、例えばフラッシュメモリなどの固体メモリに対するデータの書き込み(記録)/読み出しを行うように構成されても良いし、例えばHDD(Hard Disk Drive)により構成されてもよい。
また内蔵の記録媒体ではなく、可搬性を有する記録媒体、例えば固体メモリを内蔵したメモリカード、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリなどの記録媒体に対応するドライブ装置などとして構成することもできる。
もちろん、固体メモリやHDD等の内蔵タイプのメモリと、可搬性記録媒体に対するドライブ装置の両方が搭載されてもよい。
このストレージ部4は、システムコントローラ9の制御に基づいてオーディオデータその他の各種データについての書き込み/読み出しを行う。
再生処理部5で再生処理されたオーディオデータは、DSP(Digital Signal Processor)6に供給される。
具体的に、DSP6は、図中のイコライザ(EQ)6bとして示す機能動作として、上記再生処理部5から供給されるオーディオデータについてイコライジング処理を施す。例えばイコライザ6bは、FIR(Finite Impulse Response)フィルタなどで実現することができる。
また、図中のNC(ノイズキャンセリング)フィルタ6aとして示す機能動作として、上述したヘッドフォン20のマイクロフォンMICにより検出されマイクアンプ2→A/D変換器3を介して入力される収音信号(収音データ)に対し、ノイズキャンセリングのための信号特性を与える。このNCフィルタ6aとしては、例えばFIRフィルタなどで構成されるものとなる。
さらに、図中の加算部6cとして示す機能動作として、上述したイコライザ6bにより処理されたオーディオデータと、上記NCフィルタ6aにより処理された収音データとを加算する。この加算部6cとしての加算処理により得られるデータを加算データと呼ぶ。該加算データは、上記NCフィルタ6aによりノイズキャンセリングのための特性が与えられた収音データが加算されたものとなる。従って、該加算データに基づく音響再生がオーディオプレイヤ1と接続されたヘッドフォン20にて行われることで、該ヘッドフォン20を装着したユーザにノイズ成分がキャンセルされたものとして知覚させることができる。
例えば、先に説明したストレージ部4に対するデータの書き込み/読み出し制御を行う。また、ストレージ部4、再生処理部5を制御してオーディオデータの再生開始/停止制御なども行う。
ここで、上記接続検出部11は、ヘッドフォン20におけるプラグ部20Aがオーディオプレイヤ1側に形成されたジャック部1Aに対して抜き差しされることに応じ、例えば上記プラグ部20Aの先端部(図7では端子TAin-Lの先端となる)によってON/OFFされるようにして設けられたメカスイッチとされる。このプラグ接続検出部11は、上記プラグ部20Aが上記ジャック部1Aに対して差し込まれた(つまり接続された)ことに応じてON信号、上記プラグ部20Aが抜かれた(接続が解除された)ことに応じてOFF信号を出力する。システムコントローラ9は、上記プラグ接続検出部11からのON/OFF信号に基づきヘッドフォン20の接続/非接続を判定する。
システムコントローラ9は、当該外部通信インタフェース12を介して得られた外部機器からの転送データを、ストレージ部4やメモリ10に対して記録させる。これにより、外部の例えばパーソナルコンピュータなどに格納されたオーディオデータをストレージ部4などに記録したり、或いはパーソナルコンピュータがネットワーク上からダウンロードした、オーディオプレイヤ1(システムコントローラ9、DSP6)についてのアップロードプログラムなどのデータをメモリ10などに記録することが可能とされている。
このID−フィルタ特性対応情報10aは、図8に示されるように、先の図5にて提示した、オーディオプレイヤ1が対応可能とされる各タイプのヘッドフォン20ごとに付されるIDの情報(ID情報21a)と、そのIDにより特定されるタイプのヘッドフォン20が接続された場合に、NCフィルタ6aにて設定されるべきとして定められたフィルタ特性の情報及びイコライザ6bにて設定されるべきとして定められたフィルタ特性の情報とが対応づけられた情報とされる。
図8に示されるように、例えばID:0に対してはtype0としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeAとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられる。また、ID:1に対しては、例えばtype1としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeBとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられ、ID:2に対してはtype2としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeAとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられる。さらに、ID:3に対しては例えばtype3としてのNCフィルタ6aのフィルタ特性情報、及びtypeCとしてのイコライザ6bのフィルタ特性情報が対応づけられている。
ここで、本実施の形態の音響再生システムのようにヘッドフォン装置で再生される音声についてノイズキャンセリングを行うシステムにおいて、使用するヘッドフォン装置の変更を可能としつつ適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにするにあたっては、オーディオプレイヤ1に対して接続されるヘッドフォン20のタイプごとに、予め定められたフィルタ特性をNCフィルタ6a(及びイコライザ6b)に対して可変的に設定する必要がある。そして、このように使用するヘッドフォン20に応じてフィルタ特性を可変的に設定するとしたときには、当然のことながら実際に使用されるヘッドフォン20のタイプが何れのタイプに該当するかを識別する必要がある。
また、このようにユーザの操作入力に基づく識別を行う場合には、ユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォン20とは別のヘッドフォン20が選択されてしまう可能性もあり、その場合、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった問題が生じる。
さらに、このように読み出したID情報21aと、メモリ10内に格納されたID−フィルタ特性対応情報10aとに基づき、NCフィルタ6a及びイコライザ6bのフィルタ特性を設定する。具体的には、ID−フィルタ特性対応情報10aにおいて、上記読み出したID情報21aと対応づけられているNCフィルタ6a及びイコライザ6bのフィルタ特性を設定するものである。
これにより、使用するヘッドフォン20の種別に応じた適切な信号処理特性を装置側で自動的に設定することができる。すなわち、装置側で自動的に、使用するヘッドフォン20に応じた適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにすることができる。
なお、この図9において、図中システムコントローラとして示す処理動作は、システムコントローラ9が例えば上述したROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものである。また、DSPとして示す処理動作は、DSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
ステップS103において、対応情報に合致するIDがないとして否定結果が得られた場合は、ステップS105に進んで未対応通知処理を実行する。ここで、ステップS103にて否定結果が得られる場合としては、接続されたヘッドフォン20が例えば新規に発売されたものであるなど、その時点で未対応機種である場合が想定される。これに応じ、ステップS105の未対応通知処理としては、図4に示した表示部13に、接続されたヘッドフォン20が未対応である旨を表す情報表示を実行させる。表示する具体的な情報内容としては、接続されたヘッドフォン20が未対応である旨を表す情報と共に、外部の例えばパーソナルコンピュータなどのネットワーク接続が可能な情報処理装置に接続して、ID−フィルタ特性対応情報10aに追加すべきID情報及びフィルタ特性情報のダウンロードを指示するための情報を表示させてもよい。
ステップS105の処理を実行すると、この図に示すシステムコントローラ9側の処理動作は終了となる。
ステップS202の処理を実行すると、この図に示すDSP6側の処理動作は終了となる。
また、これと共に、ユーザの勘違い等で実際に使用されるヘッドフォン20とは別のヘッドフォン20が選択されて、適正なノイズキャンセリング効果を得ることができなくなってしまうといった事態の発生を効果的に防止することができる。
続いて、第2の実施の形態について説明する。
上記により説明した第1の実施の形態では、ヘッドフォン20の所定の種別ごとに固有となるID情報として、先の図5で説明したような機種の別ごとに固有となるID情報を付すものとしたが、第2の実施の形態は、このような機種の別のみでなく、さらにヘッドフォン20の個体ごとの音響特性の別も含めて各ヘッドフォン20を区別するID情報を付すようにするものである。
なお、以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図11に示されるように、ID情報21bとしては、ヘッドフォンID(機種ID)、Lchドライバ周波数特性種別、Rchドライバ周波数特性種別、Lchドライバ感度種別、Rchドライバ感度種別、Lchマイク感度種別、Rchマイク感度種別の各情報が組み合わされて成る。
また、Lchドライバ周波数特性種別、Rchドライバ周波数特性種別の情報は、それぞれLchのドライバDRVの周波数特性の別、RchのドライバDRVの周波数特性の別を表す情報である。同様にLchドライバ感度種別、Rchドライバ感度種別の情報は、それぞれLchのドライバDRVの感度(ゲイン)の別、RchのドライバDRVの感度の別を表す情報である。
また、Lchマイク感度種別、Rchマイク感度種別の情報は、それぞれLchのマイクロフォンMICの感度(ゲイン)の別、RchのマイクロフォンMICの感度の別を表す情報である。
具体的な手順としては、Lch、Rchの各ドライバDRVについて周波数特性の測定を行い、それぞれ低域成分の周波数特性が図12(a)に示されるような特性のうち何れに該当するかを決定する。そして、決定したタイプに対応する符号を、Lch、Rchのドライバ周波数特性種別の情報として設定する。
このような構造によるID情報21bは、上記ヘッドフォン20の機種の別だけでなく、Lch、Rchの各ドライバDRVについての周波数特性の別並びに感度の別、及びLch、Rchの各マイクロフォンMICの感度の別の各音響特性の別も併せてヘッドフォン20の種別を定義したときに、該種別を識別するための情報として機能するものとなる。
この場合のオーディオプレイヤ1側では、DSP6において、図示するように第1乗算部6d、第2乗算部6e、第2イコライザ6fとしての機能ブロックが追加される。
第1乗算部6dは、A/D変換器3からの収音データに対して、設定されたゲインを与える。すなわち、上記収音データについてのゲイン調整を行う。
この場合のNCフィルタ6aは、上記第1乗算部6dによりゲイン調整が行われた収音データに対してNCフィルタ処理を施すようにされる。
なお、以下では、上記第2イコライザ6fと区別するために、再生処理部5からのオーディオデータ(つまり収音信号と合成されてヘッドフォン20に供給されることになる音声信号)についてイコライジングを行うイコライザ6bについては、第1イコライザ6bと表記する。つまり、収音データに対してイコライジングを行うイコライザは第2イコライザ6f、上記収音データと合成されてヘッドフォン20に供給されるオーディオデータに対してイコライジングを行うイコライザが第1イコライザ6bとなる。
このID−特性対応情報10bは、図13に示されるように、先の図11にて説明したID情報(21b)と、各ID情報に対応して設定されるべきとして定められた特性情報とが対応づけられた情報となる。
ここで、各ID情報と対応づけられる特性情報としては、先の第1の実施の形態で説明したNCフィルタ6aのフィルタ特性情報(図中NCフィルタ特性)及びイコライザ(第1イコライザ)6bのフィルタ特性情報(図中第1イコライザ特性)に加えて、Lch、Rch第2イコライザ特性の情報、及びLch、Rch第2乗算部ゲインの情報、及びLch、Rch第1乗算部ゲインの情報が組み合わされたものとなる。
Lch、Rch第2イコライザ特性の情報は、Lchの第2イコライザ6fのフィルタ特性情報、及びRchの第2イコライザ6fのフィルタ特性情報である。
同様に、Lch、Rch第2乗算部ゲインの情報は、Lchの第2乗算部6eに設定されるべきゲインの情報、及びRchの第2乗算部6eに設定されるべきゲインの情報である。
また、Lch、Rch第1乗算部ゲインの情報は、Lchの第1乗算部6dに設定されるべきゲインの情報、及びRchの第1乗算部6dに設定されるべきゲインの情報である。
なお、この図においてもシステムコントローラとして示す処理動作は、システムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
図14では先の第1の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、図9にて説明した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
一方、上記ステップS301において、対応情報内に合致する機種IDが格納されているとして肯定結果が得られた場合は、ステップS302に進んでID情報(21b)をDSP9に対して指示した後、この図に示される処理動作を終了する。
具体的には、上記指示されたID情報と対応づけられた特性情報のうち、NCフィルタ特性の情報に基づいてNCフィルタ6a(Lch、Rchの双方)のフィルタ特性を設定し、また第1イコライザ特性の情報に基づいて第1イコライザ6b(Lch、Rchの双方)のフィルタ特性を設定する。また、これと共に、上記指示されたID情報と対応づけられた特性情報のうちLchの第2イコライザ特性の情報に基づいてはLchの第2イコライザ6fのフィルタ特性を設定し、Rchの第2イコライザ特性の情報に基づいてはRchの第2イコライザ6fのフィルタ特性を設定し、さらに、Lchの第2乗算部ゲインの情報に基づきLchの第2乗算部6eのゲインを設定し、Rchの第2乗算部ゲインの情報に基づきRchの第2乗算部6eのゲインを設定し、且つLchの第1乗算部ゲインの情報に基づきLchの第1乗算部6dのゲインを設定し、Rchの第1乗算部ゲインの情報に基づきRchの第1乗算部6dのゲインを設定する。
このステップS401の処理を実行すると、この図に示されるDSP6の処理動作は終了となる。
ここで、本例のように音響再生システムがノイズキャンセリング機能を有する場合、ヘッドフォン20の個体ごとに音響特性のばらつきが生じるときには当然のことながら適切なノイズキャンセリング効果が得られなくなってしまうことになる。このことから、上記のように個体ごとの音響特性の差を補償することができることで、そのような個体ごとの特性ばらつきも考慮して適正なノイズキャンセリング効果が得られるようにすることができる。
第3の実施の形態は、ヘッドフォン20に対してその種別を表すID情報を記憶させるのではなく、そのヘッドフォン20に対応して設定されるべき特性情報そのものを記憶させるようにするものである。
先ず、第1の実施の形態の場合と比較して、この場合のヘッドフォン20においては、不揮発性メモリ21内にID情報21aは格納されず、代わりにフィルタ特性情報21cが格納されるものとなる。このフィルタ特性情報21cは、第1の実施の形態の場合のオーディオプレイヤ1側に格納されていたID−フィルタ特性対応情報10a(図8参照)におけるフィルタ特性情報(NCフィルタ特性情報及びイコライザ特性情報)と同じ情報内容となる。
第3の実施の形態の場合、各機種のヘッドフォン20に対しては、そのヘッドフォン20が属する機種に対応してDSP6にて設定されるべきフィルタ特性情報21cが不揮発性メモリ21において格納されることとなる。
なお、この図16においてもシステムコントローラとして示す処理動作はシステムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
また、この場合も先の第1の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、図9にて説明した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
その上で、続くステップS502において、読み取ったフィルタ特性情報をDSP6に転送した後、この図に示される処理動作を終了する。
ステップS602の処理を実行すると、この図に示されるDSP6側の処理動作は終了となる。
また、このように特性情報そのものをヘッドフォン20側に格納するので、第1の実施の形態の場合のような未対応通知のための処理(S103及びS105)は省略することができる(図16のステップS502→S503を参照)。これによれば、システムコントローラ9が未対応であるか否かを判別するためにID−フィルタ特性対応情報10a内のID情報をスキャンする処理を行う必要はなくなり、その分、システムコントローラ9の処理負担の軽減を図ることができる。
また、DSP6がID−フィルタ特性情報10aから対応するフィルタ特性情報を検索する処理も省略することができるという点でも、処理負担の軽減が図られる。
第4の実施の形態は、ヘッドフォン20に設けた無線タグに対して、ヘッドフォン20の種別ごとの情報を記憶させ、オーディオプレイヤ1側で上記無線タグに記憶される情報を読み取るようにしたものである。
図示するようにして、この場合のヘッドフォン20におけるプラグ部20Aには、無線タグ22が設けられる。
また、オーディオプレイヤ1におけるジャック部1Aには、上記無線タグ22に記憶される情報を無線通信(非接触)により読み取るためのタグリーダ16が設けられる。
図示するようにして、この場合のヘッドフォン20においては、先の第1の実施の形態の場合と比較して、不揮発性メモリ21、電源入力端子Th-E、グランド端子Th-GND、データ通信端子Th-Dが省略された上で、無線タグ22が設けられることになる。
この場合、上記無線タグ22に格納する情報、すなわちヘッドフォン20側に記憶させる情報としては、先の第1の実施の形態の場合と同様にID情報21aを格納するものとしている。
この図19においてもシステムコントローラとして示す処理動作はシステムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
なお、この場合も先の第1の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、図9にて説明した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
なお、システムコントローラ9側における以降の処理、及びDSP6側の処理については図9にて説明したものと同様となるので改めての説明は省略する。
或いは、第3の実施の形態のようにDSP6にて設定されるべき特性情報そのものを記憶させることもできる。
第5の実施の形態は、オーディオプレイヤ側とヘッドフォン装置側との間で無線により音声信号(この場合はマイク信号・オーディオ信号)通信が行われるように構成したものである。
図20は、第5の実施の形態としての音響再生システムの構成について説明するための図として、第5の実施の形態としてのオーディオプレイヤ30とヘッドフォン40の外観図を示している。
図示するようにして、第5の実施の形態としてのヘッドフォン40には、これまでの各実施の形態で説明したヘッドフォン20が有するプラグ部20Aは形成されないものとなる。そして、このヘッドフォン40には、無線タグ22が設けられることになる。
また、オーディオプレイヤ30にはタグリーダ16が設けられる。
先ずこの場合、ヘッドフォン40としては、先の第4の実施の形態のヘッドフォン20(図18)と比較して、マイク出力端子TMout及びオーディオ入力端子TAinが省略された上で、D/A変換器42、A/D変換器43、及び無線通信部41が設けられた点が異なる。
上記D/A変換器42は、上記無線通信部41がオーディオプレイヤ30側から受信したオーディオデータをアナログ信号に変換してドライバDRVに供給する。また、上記A/D変換器43は、マイクロフォンMICによる収音信号をデジタル信号に変換し、それにより得られる収音データを上記無線通信部41に対して供給する。
上記マイクアンプ31は、上記無線通信部33がヘッドフォン40側から受信した収音データを増幅するデジタルアンプとなる。当該マイクアンプ31にて増幅された収音データはDSP6に対して供給される。なお、上記マイクアンプ31は、DSP6の一機能(乗算部)として実現することも可能である。
また、上記パワーアンプ31は、DSP6(加算部6c)から出力される加算データを増幅して上記無線通信部33に対して供給する。
無線通信部41は、上述したA/D変換器43から供給される収音データを上記無線通信部33に対して送信すると共に、上記無線通信部33が送信する上記パワーアンプ32からの加算データを受信し、これを上述したD/A変換器42に対して供給する。
また、無線通信部33は、上記パワーアンプ32から供給される加算データを上記無線通信部41に送信すると共に、上記無線通信部41が送信する上記収音データを受信してこれをマイクアンプ31に対して供給する。
この図22においてもシステムコントローラとして示す処理動作はシステムコントローラ9が例えば内部のROMなどに記憶されるプログラムに基づいて実行するものであり、また、DSPとして示す処理動作はDSP6がメモリ10に格納されたプログラムに基づき実行するものである。
また、この場合は、先の第4の実施の形態の場合の処理動作との差が明確となるように、先の図19に示した処理と同内容となる処理については同一のステップ番号を付している。
この場合、ペアリング処理は、例えば操作部14を介したユーザ操作入力に基づき開始するようにされており、従ってステップS801の処理は、該操作入力を待機する処理となる。
このため、上記のようにしてペアリング処理の開始に応じてタグリーダ16による読み取りを実行させることで、無線タグ22に記憶された情報を適正に取得することができる。
また、第3の実施の形態のようにDSP6にて設定されるべき特性情報そのものを記憶させることもできる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、本発明がノイズキャンセリング機能を有する音響再生システムに適用される場合を例示したが、本発明としては、ノイズキャンセリング機能を有さない、いわば通常の音響再生システムにも好適に適用することができる。
ここで、ノイズキャンセリング機能を有さない通常の音響再生システムにおいても、使用されるヘッドフォン装置の機種が変更された場合には、例えばイコライザ6bによる音響効果などに聴感上の差が生じることが考えられる。
そこで、通常の音響再生システムにおいても、機種の別に応じてイコライザ6dのフィルタ特性など、ヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の音響効果を与えるための信号処理特性を変更することが有効となる。具体的に、その場合は、先の第1の実施の形態で説明したID−フィルタ特性対応情報10aのうち、NCフィルタ特性の情報を除外したものとし、ヘッドフォン装置側から読み取ったID情報に対応するイコライザ特性をイコライザ6bに設定するものとすればよい。
また、この場合も、先の第2の実施の形態のように、機種の別のみでなく、個体ごとの音響特性の別も含めてヘッドフォン装置を識別するためのID情報(21b)を記憶させて、ヘッドフォン装置の個体ごとの特性ばらつきも補償されるようにすることもできる。通常の音響再生システムにおいても、このように個体ごとの特性補償を行うことで、選別から外れる製品を廃棄する必要をなくすことができ、ヘッドフォン装置の製造コストの削減を図ることができる。また、このとき、第2の実施の形態と同様に各chごとの補償を行うものとすれば、左右のペアリングに関しても製品廃棄を行う必要はないものとでき、その点でも装置製造コストの削減が図られる。
さらには、この場合もID情報を記憶させるのではなく、設定されるべき特性情報そのものをヘッドフォン装置側に記憶させることもできる。
またこの場合も、各chごとの補償を行うものとすれば、左右のペアリングに関しても製品廃棄を行わずに済むものとできる。
Claims (12)
- 振動板を備えて音響再生を行うヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段と、
上記ヘッドフォン装置に設けられ上記ヘッドフォン装置の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶するヘッドフォン側記憶手段から、上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取る情報読取手段と、
上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報に基づき上記信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御手段と
を備える信号処理装置。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記ヘッドフォン側記憶情報は、上記所定の種別ごとに上記ヘッドフォン装置を区分したときに該区分ごとに固有となるようにして割り振られたID情報とされ、
上記ID情報と、該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す対応関係情報を記憶する処理装置側記憶手段をさらに備えると共に、
上記制御手段は、
上記対応関係情報に基づき、上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報としての上記ID情報に対応する上記信号処理特性が上記信号処理手段に設定されるように制御を行う。 - 請求項2に記載の信号処理装置において、
上記ID情報は、上記ヘッドフォン装置の機種の別ごとに固有となるようにして割り振られた情報とされ、
上記対応関係情報は、機種ごとの別を表す上記ID情報と該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す情報とされる。 - 請求項3に記載の信号処理装置において、
上記ID情報は、上記ヘッドフォン装置の機種の別と共に、上記ヘッドフォン装置が備える音響部品の特性の別を含めて上記ヘッドフォン装置の種別を区分したときに該区分ごとに固有となるようにして割り振られた情報とされ、
上記対応関係情報は、上記機種の別と共に上記音響部品の特性の別とを表す上記ID情報と該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す情報とされる。 - 請求項4に記載の信号処理装置において、
上記ヘッドフォン装置はマイクロフォンを備え、
上記信号処理手段は、少なくとも、
上記マイクロフォンから供給される収音音声信号にノイズキャンセリングのための信号特性を与えるための第1フィルタ処理と、上記収音音声信号と合成されて上記ヘッドフォン装置に供給される音声信号に対してイコライジングを行うための第2フィルタ処理とを行うように構成されている。 - 請求項5に記載の信号処理装置において、
上記ID情報は、上記ヘッドフォン装置の機種の別と共に、上記マイクロフォンの感度の別も含めて上記ヘッドフォン装置の種別を区分したときに該区分ごとに固有となるようにして割り振られた情報とされ、
上記対応関係情報は、上記機種の別と共に上記マイクロフォンの感度の別を表す上記ID情報と該ID情報により特定されるヘッドフォン装置に対応して上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性との対応関係を表す情報とされる。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記ヘッドフォン側記憶情報は、上記所定の種別ごとのヘッドフォン装置ごとに対応してそれぞれ上記信号処理手段に設定されるべきとして予め定められた信号処理特性の情報とされ、
上記制御手段は、
上記信号処理手段の信号処理特性が、上記情報読取手段が読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報としての上記信号処理特性情報に基づいて設定されるように制御を行う。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記情報読取手段は、
上記ヘッドフォン側記憶手段から上記ヘッドフォン側記憶情報を有線通信により読み取る。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記情報読取手段は、
上記ヘッドフォン側記憶手段から上記ヘッドフォン側記憶情報を無線通信により読み取る。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記ヘッドフォン装置に対して上記音声信号を有線通信により供給する音声供給手段をさらに備える。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
上記ヘッドフォン装置に対して上記音声信号を無線通信により供給する音声供給手段をさらに備える。 - 振動板を備えて音響再生を行うヘッドフォン装置に設けられ上記ヘッドフォン装置の所定の種別ごとに異なる情報内容となるようにされたヘッドフォン側記憶情報を記憶するヘッドフォン側記憶手段から、上記ヘッドフォン側記憶情報を読み取る情報読取ステップと、
上記情報読取ステップにより読み取った上記ヘッドフォン側記憶情報に基づき、上記ヘッドフォン装置に対して供給される音声信号に所要の信号特性を与えるようにして信号処理を行う信号処理手段の信号処理特性が設定されるように制御を行う制御ステップと
を備える信号処理方法。
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