JP2009231830A - 半導体レーザの製造方法 - Google Patents

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克久 田和
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Abstract

【課題】所望の仕様を満足するDFBレーザを容易に選別できる半導体レーザの製造方法を提供する。
【解決手段】この半導体レーザ10の製造方法では、第1の温度における半導体レーザ10の光出力Im25と、第1の温度とは異なる第2の温度へと温度変化させた際の光出力の変化率ΔImとを測定し、この光出力Im25と変化率ΔImとに基づいて半導体レーザ10の端面位相を検出する。そして、このように検出された端面位相を用いて、半導体レーザ10を良品と不良品とに選別する。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体レーザの製造方法に関するものであり、特に、分布帰還型半導体レーザ(以下「DFBレーザ」と記す)の端面位相を検出して半導体レーザを選別する半導体レーザの製造方法に関するものである。
DFBレーザをチップ化する際、へき開精度に比べて回折格子の格子間隔が極めて小さいため、端面における回折格子の位相(以下「端面位相」と記す)の制御は困難であり、個体ごとのDFBレーザの端面位相にばらつきが生じてしまっている。このような現状では、端面位相の違いにより、内部光子密度分布が変化する結果、IL特性等の出力特性がDFBレーザの個体ごとにばらつくという問題がある。
このような事情に対し、従来、へき開されたDFBレーザを実際に実装してモジュール化した後に所望の出力特性を有するか否か検査して、製品としての良否を選別することが行われている。例えば特許文献1に記載の光通信用光源の選別方法では、DFBレーザをシミュレーション装置にセットし、所望のチャープ特性を有するか否かを実装前に検査している。一方、特許文献2に記載の半導体レーザの製造方法では、DFBレーザ両端からの光出力を基に低反射コートや高反射コートのいずれかを定めて施して出力のばらつきを防止している。また、特許文献3に記載の半導体レーザの製造方法では、ウエハからへき開後、DFBレーザの高反射コート側端面をエッチングして所望の端面位相を得るように後加工している。
特開2001−308788号公報 特開平8−078767号公報 特開平8−255948号公報
しかしながら、DFBレーザをモジュール化してから検査選別していたのでは検査処理のリードタイムが長くなり、しかも、不良品が出た場合、モジュールごと廃棄するか又は別のDFBレーザを実装し直して再検査する必要があった。また、特許文献1に開示された選別方法のように、シミュレーションを行なってDFBレーザを検査選別する場合、複雑なシミュレーション計算を行なうため処理時間が長くかかってしまい、しかも、特殊なシミュレーション装置を用いているため高額な装置が必要となっていた。
一方、上述した特許文献2や特許文献3に開示された半導体レーザの製造方法のようにDFBレーザをへき開後に後加工していたのでは、上述した選別方法に比べて、加工時間が余計にかかり生産性が著しく低下してしまうおそれがあった。しかも、個々のDFBレーザをへき開後に精度よく加工すること自体が困難であり、且つ、このような加工によりDFBレーザそのものを破損等してしまうこともあるので、実用的ではなかった。
そこで、本発明の課題は、所望の仕様を満足するDFBレーザを容易に選別できる半導体レーザの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者は鋭意研究を重ねる過程で、端面位相に対する半導体レーザの光出力Imが、図5に示される三角関数Tで表されることに着目した。この三角関数Tで表される相関関係を考察すると、端面位相が0又はπの半導体レーザでは、光出力Imは中程度であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは最大となる傾向にあることがわかった。同様に、端面位相が0.5πの半導体レーザでは、光出力Imは最大であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは最小となる傾向にあり、また、端面位相が1.5πの半導体レーザでは、光出力Imは最小であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは最小となる傾向にあることを見出した。そこで、本発明者は、光出力Imと変化率ΔImとを簡単な処理で検出することができれば、上述した端面位相と光出力Imとの相関関係から、半導体レーザの個体ごとの端面位相を検出でき、所望の仕様を満足するDFBレーザを容易に選別できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法は、分布帰還型の回折格子を有する半導体レーザにおいて、第1の温度における半導体レーザの光出力Imと、第1の温度とは異なる第2の温度へと温度変化させた際の光出力Imとの光出力の変化率ΔImとを測定する測定工程と、光出力Imと変化率ΔImとに基づいて半導体レーザの端面位相を検出する検出工程と、検出工程で検出された端面位相を用いて半導体レーザを選別する選別工程とを備えたことを特徴としている。
この半導体レーザの製造方法では、半導体レーザを第1の温度から第2の温度へと温度変化させ、端面位相をわずかに変動させることにより、変化率ΔImを求めている。そして、求めた光出力Imと変化率ΔImとを、端面位相との相関関係にあてはめることで端面位相を一義的に決定できる。端面位相を決定すると、半導体レーザの光出力Im及び変動性の傾向を把握できるので、これに基づいて、所望の仕様を満足する半導体レーザを選別することが可能となる。また、端面を変動させるにあたって、温度変化させるだけでよいので、変化率ΔImを求めるのに、複雑な処理を必要としない。
また、測定工程を複数の半導体レーザにて繰り返し行うことにより、各半導体レーザにおける光出力Imと変化率ΔImとをプロットして端面位相のリファレンスを算出するリファレンス算出工程を備え、このリファレンスと、測定工程で測定された光出力Imと変化率ΔImとを比較して、半導体レーザの端面位相を検出することが好ましい。この場合、例えば製造ロットごとに作成したリファレンスにより、光出力Imと変化率ΔImとに基づいて、より簡単に半導体レーザの端面位相を検出できる。なお、上記リファレンス算出工程は、所定の製造ロットにおける製造工程で行なわれたものである必要は必ずしもなく、別の製造工程におけるリファレンス算出工程によるリファレンスを用いて、端面位相を検出する場合も上記の製造方法に含まれる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法では、光出力Imは、半導体レーザの高反射コート側の光出力であることが好ましい。このようにすると、低反射コート側に比べて端面位相の影響を大きく受け、かつ光出力が安定している高反射コート側の光出力を用いることにより、より精度よく端面位相を決定できる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法では、測定工程において、半導体レーザの低反射コート側から出力される光出力Ipを更に測定し、検出工程において、光出力Im及び光出力Ipの出力比と変化率ΔImとに基づいて半導体レーザの端面位相を検出することが好ましい。このようにすると、高反射コート側の光出力Imだけでなく、端面位相の影響を少なからず受ける低反射コート側の光出力Ipも用いることとなり、半導体レーザの端面位相を一層精度よく決定できる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法では、測定工程における半導体レーザの駆動電流として、閾値電流よりも所定の値だけ大きい電流を用いるものとしてもよい。このようにすると、半導体レーザの光出力が安定するので、より精度よく端面位相を決定できる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法では、測定工程における半導体レーザの駆動電流は、低反射コート側から出力される光出力が一定となるように制御されていてもよい。この場合、測定工程における温度変化によって半導体レーザの光出力が劣化したとしても、低反射コート側から出力される光出力が一定となるように、光出力の劣化分が駆動電流の増加で補われるように制御される。従って、半導体レーザの光出力が安定するので、より精度よく端面位相を決定できる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法では、測定工程における半導体レーザの駆動電流は、低反射コート側から出力される光出力と高反射コート側から出力される光出力との和が一定となるように制御されていてもよい。この場合、測定工程における温度変化によって半導体レーザの光出力が劣化したとしても、低反射コート側から出力される光出力と高反射コート側から出力される光出力との和が一定となるように、光出力の劣化分が駆動電流の増加で補われるように制御される。従って、半導体レーザの光出力が安定するので、より精度よく端面位相を決定できる。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る半導体レーザの製造方法では、選別工程において、特定の端面位相、例えば端面位相が0〜π及び1.5π〜2πの間の値であると検出された半導体レーザを良品として選別するようにしてもよい。端面位相がπ〜1.5πの間にある半導体レーザは、モードホップ等の不具合を生じやすい傾向にある。従って、端面位相が上記範囲の半導体レーザを選別することで、不具合の生じやすい半導体レーザを排除できる。また、特定の端面位相のみを選別することで、特性がそろった半導体レーザを分類することができ、これにより半導体レーザ特有のばらつきを抑えた製品を製造することが可能となる。
本発明に係る半導体レーザの製造方法によれば、所望の仕様を満足するDFBレーザを容易に選別できる。
DFBレーザの一例を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係るDFBレーザの製造工程を示したフローチャートを示す図である。 本発明の第1実施形態に係るDFBレーザの製造方法に用いる光出力測定システムを示す図である。 本発明の第1実施形態において端面位相を検出するためのリファレンスを示す図である。 DFBレーザにおける端面位相と光出力との相関関係を示す図である。 本発明の第2実施形態及び第3実施形態に係るDFBレーザの製造方法に用いる光出力測定システムを示す図である。 (a)は本発明の第2実施形態において端面位相を検出するためのリファレンスを示す図であり、(b)は本発明の第3実施形態において端面位相を検出するためのリファレンスを示す図である。 本発明の第4実施形態に係る光集積型半導体レーザの製造方法に用いる光出力測定システムを示す図である。 本発明の第5実施形態に係るDFBレーザの製造工程を示したフローチャートを示す図である。 本発明の第5実施形態において端面位相を検出するためのリファレンスを示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るDFBレーザの製造方法の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る半導体レーザの製造方法の一実施形態を適用して作成されたDFBレーザの構成を示す断面図である。図1に示す半導体レーザ10は、例えば発振波長が1.55μmのDFBレーザであり、安定した単一モードでの発振が要求される長距離光通信システムの光源として使用されるものである。
図1に示すように、半導体レーザ10は、半導体基板11と、半導体基板11の一面側に形成されたクラッド層12と、クラッド層12に積層された活性層13と、活性層13に積層された回折格子形成層14と、回折格子形成層14に積層されたクラッド層15と、クラッド層15の表面及び半導体基板11の他面側にそれぞれ形成された電極層16,17と、半導体レーザ10の一方の端面に形成された高反射コート(以下「HRコート」と記す)18と、他方の端面に形成された低反射コート(以下「ARコート」と記す)19とを備えている。
半導体基板11は、例えばSnがドープされたn型InP基板である。半導体基板11の厚みは、約100μmとなっている。活性層13は、例えば、InGaAsP層である。活性層13は、例えば、多重量子井戸(MQW)構造を有している。活性層13には、クラッド層12及びクラッド層15からキャリアが注入され、このキャリアが再結合することによって光が発生する。
クラッド層12は、例えばSiがドープされたn型InP層である。また、クラッド層15は、例えばZnがドープされたp型InP層である。クラッド層12,15の屈折率は、活性層13よりも小さくなっており、これにより、クラッド層12,15は、活性層13で発生した光を閉じ込める層として機能する。
回折格子形成層14は、例えばZnがドープされたInGaAsP層である。回折格子形成層14には、図1に示すように、長手方向に沿った周期的な凹凸パターン14aからなる回折格子Gが形成されている。凹凸パターン14aにおける各凹部の深さは例えば30nmとなっており、その間隔は例えば240nmとなっている。
このような回折格子形成層14は、長手方向に沿って活性層13の内部を進行する光の一部を、進行方向とは反対の方向に反射させる。これにより、活性層13の内部では、回折格子Gにおける凹凸パターン14aの周期で決まる波長の光がHRコート18に帰還され、ARコート19からレーザ光L1として出射されるようになっている。
電極層16,17は、例えばAuめっき層であり、厚みは10μm程度となっている。HRコート18は、半導体レーザ10における光軸方向の一端面において、所定の反射波長帯域を有していて、その反射波長帯域において内部光を80%以上反射させる機能を有している。また、ARコート19は、半導体レーザ10における光軸方向の他端面において、外部からの反射光の影響を低減させる機能を有している。
なお、レーザ光L1の出射にあわせて、HRコート18からはモニタ光L2が出射されるようになっている。このモニタ光L2は、レーザ光L1の光出力に比べて小さい光出力ではあるが、安定性が優れているため、半導体レーザ10の光出力モニタなどに用いられる。
次に、このような構成を有する半導体レーザ10の製造方法について、図2に基づいて説明する。図2は、半導体レーザ10の製造工程を示したフローチャートである。
[積層工程]
まず、SnがドープされたInPからなる半導体基板11を用意する。次に、例えばMOCVD法(有機金属気相成長法)により、半導体基板11の一面側に、クラッド層12、活性層13、回折格子形成層14、及びクラッド層15を順次積層して、積層体を形成する(ステップS1)。回折格子形成層14に回折格子Gを形成するには、クラッド層15を回折格子形成層14に積層する前に、凹凸パターン14aに対応する凹凸パターンからなるレジスト層を回折格子形成層14上に形成して、凹凸パターンからなるレジスト層をマスクとしたドライエッチングを回折格子形成層14に施す。回折格子形成層14に施されたドライエッチングにより、240nm程度の間隔からなる回折格子Gが、回折格子形成層14に形成される。なお、回折格子は均一周期の凹凸パターンからなり、λ/4シフト構造等は特に設けていない。
[チップ化工程]
続いて、積層工程で積層された積層体をへき開してチップ化する(ステップS2)。そして、へき開された各チップの両端面にHRコート18とARコート19とをそれぞれ形成すると共に、表裏両面に電極層16,17をそれぞれ形成する。これにより、複数の半導体レーザ10へ加工される。
ところで、上述したチップ化工程におけるへき開精度は数十ミクロン程度となっている。一方、回折格子Gの間隔は240nm程度である。つまり、回折格子Gの間隔は、へき開精度に比べて2桁程度小さいものとなっている。このため、半導体レーザ10の端面における回折格子Gの位相(端面位相)の制御は困難であり、個体ごとの半導体レーザ10の端面位相にばらつきが生じてしまっている。このような現状では、端面位相の違いにより、内部光子密度分布が変化する結果、IL特性等の出力特性が半導体レーザ10の個体ごとにばらつくという問題がある。
これに対し、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、以下に示す測定工程及び検出工程を経て端面位相を決定し、チップ化された半導体レーザ10の個体ごとの出力特性に応じた選別を行っている。
[測定工程]
測定工程では、まず、半導体レーザ10を、光出力測定システム20に設置する(ステップS3)。図3は、本実施形態に係る半導体レーザの製造方法に用いる光出力測定システムを示す図である。図3に示すように、光出力測定システム20は、半導体レーザ10の電極層16に接続可能な電流源21と、半導体レーザ10のモニタ光L2の受光位置に配置された受光素子22と、受光素子22の一端に接続された電流計23と、受光素子22の他端に接続された電圧源24と、恒温槽25と、電流源21、電流計23及び恒温槽25に制御信号線を介して接続された制御装置30とを備え、制御装置30で電流源21、電流計23及び恒温槽25を制御することにより、光出力Imに相当するモニタ光L2を測定するシステムである。
電流源21は、半導体レーザ10に駆動電流ILDを供給するための電流源であり、制御装置30からの制御信号に基づいて駆動電流ILDを変化させることができる。受光素子22は、半導体レーザ10からのモニタ光L2を受光して、その光を電流に変換する光電変換素子である。電流計23は、電流測定器であり、受光素子22で光電変換された電流値を測定する。測定された電流値は、光出力Imとして制御装置30に送られる。電圧源24は、受光素子22に逆電圧を印加するものである。
恒温槽25は、内部温度を一定に保つことができる容器であって、容器の内部に加熱部又は冷却部(不図示)を備えている。恒温槽25の内部には、半導体レーザ10などを配置できる空間が形成されており、制御装置30で設定した温度に基づいて、加熱部によって容器内温度を上昇させたり、冷却部によって容器内温度を下降させたりすることができる。制御装置30は、光出力Imとしての電流値などを保存するメモリと、メモリに保存された電流値などの数値を演算する演算部とを有している。
上記構成の光出力測定システム20に半導体レーザ10を設置することにより、半導体レーザ10が恒温槽25内に配置されると共に、半導体レーザ10の一方の電極層16に配線21aを介して電流源21が接続され、他方の電極層17に配線21bを介してアースが接続され、半導体レーザ10に駆動電流ILDが流れるようになっている。
ステップS3の光出力測定システム20への設置に続いて、第1の温度である25℃(室温)における、半導体レーザ10の光出力Im25を測定する(ステップS4)。光出力Im25の測定にあたり、まず、測定用の駆動電流ILDを決定する。本実施形態では、駆動電流ILDとして、レーザ発振が開始される閾値電流Ithより所定の値Iだけ大きい電流を用いている。なお、閾値電流Ithを算出するには、恒温槽25によって25℃に温度調整された半導体レーザ10に電流源21から駆動電流ILDを増加させながら供給すると共に、出力される光出力を受光素子22で受光して電流計23でその電流値を測定する。そして、この光出力を駆動電流ILDで微分して閾値電流Ithを算出する。
測定用の駆動電流ILDが決定したら、半導体レーザ10の温度が25℃になるよう制御装置30によって恒温槽25を制御しつつ、駆動電流ILDで半導体レーザ10を駆動する。そして、モニタ光L2を受光素子22で受光し、モニタ光L2の光出力Im25を電流計23で測定する。測定された光出力Im25は、制御装置30に送られて、制御装置30のメモリに保存される。
第1の温度における光出力Im25の測定が終了したら、第2の温度である80℃における半導体レーザ10の光出力Im80を測定する(ステップS5)。まず、ステップS4と同様に、測定用の駆動電流ILDを決定する。次に、半導体レーザ10の温度が80℃になるよう制御装置30によって恒温槽25を制御しつつ、駆動電流ILDで半導体レーザ10を駆動する。そして、モニタ光L2を受光素子22で受光し、モニタ光L2の光出力Im80を電流計23で測定する。測定された光出力Im80は、制御装置30に送られて、制御装置30のメモリに保存される。なお、半導体レーザ10を昇温したことにより、半導体レーザ10の端面位相は、室温時に比べて、増加方向に変動している。
次に、第1の温度における光出力Im25と第2の温度における光出力Im80との変化率であるΔImを測定する(ステップS6)。この変化率ΔImは、光出力Im25とIm80との間の変化比であり、制御装置30のメモリに保存されている光出力Im25と光出力Im80とを読み出して、次の式(1)に基づいて制御装置30の演算部で算出されることにより、測定される。
変化率ΔIm=光出力Im25/光出力Im80・・・(1)
ステップS4又はステップS5で駆動電流ILDを決定する際に、算出した閾値電流Ithが異常値を示したり、又は半導体レーザ10の発振が適切に行なわれなかったりしたような場合、そのような半導体レーザ10は不良品として、この時点でスクリーニング除去する(ステップS7)。
ステップS4〜ステップS7までの工程が終了したら、光出力Im25をY軸に、変化率ΔImをX軸としたXY座標系を設け、光出力Im25と変化率ΔImとの値をその座標上にプロットする(ステップS8)。その後、ステップS1でへき開加工された複数の半導体レーザ10で同様の測定及び座標プロットを行い、所定数の半導体レーザ10における光出力Im25と変化率ΔImとの測定が終了するまで、ステップS4〜ステップS8を繰り返し行なう(ステップS9)。一方、所定数の半導体レーザ10における光出力Im25と変化率ΔImとの測定及びプロットが終了すると、図4に示すような略円還形状のプロット群P1が完成し、測定工程は終了する。
[検出工程]
次に、このプロット群P1に基づき、リファレンスRを算出する(ステップS10)。リファレンスRとは、端面位相と光出力Imとの相関関係に基づいて、半導体レーザ10の端面位相を検出するための比較表であって、光出力Im25と変化率ΔImとによるプロットが属する領域に応じて、半導体レーザ10の端面位相を決定するものである。リファレンスRを算出するには、プロット群P1の中心点Oの決定を行い、その後、この中心点Oを通り、X軸及びY軸に対してそれぞれ平行な基準軸線X1及びY1を設ける。中心点Oの決定にあたっては、例えばプロット群P1におけるX軸の最大値と最小値の平均値を中心点OのX座標とし、Y軸の最大値と最小値の平均値を中心点OのY座標としている。
ここで、上記した端面位相と光出力Imとの相関関係は、図5に示されるように、X軸に端面位相(0〜2π)を、Y軸に光出力Im(最小値〜最大値)をとったXY座標上に形成された三角関数Tによって表される。
図5の三角関数Tによる相関関係に示されるように、端面位相が0の半導体レーザ10では、光出力Imは中程度であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは増加方向に最大となる傾向にある。同様に、端面位相が0.5πの半導体レーザでは、光出力Imは最大であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは最小となる傾向にある。また、端面位相がπの半導体レーザでは、光出力Imは中程度であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは減少方向に最大となる傾向にある。更に、端面位相が1.5πの半導体レーザでは、光出力Imは最小であり、端面位相の変動に対する光出力Imの変化率ΔImは最小となる傾向にある。
このことから、図4に示すリファレンスRの各領域のうち第一象限は、光出力Imが中程度〜最大であり且つ変化率ΔImは最小〜増加方向に最大となっており、端面位相が0〜0.5π(領域R1)の半導体レーザ10に対応することがわかる。同様に、図4に示す第二象限は、光出力Imが中程度〜最大であり且つ変化率ΔImは減少方向に最大〜最小となっており、端面位相が0.5π〜π(領域R2)の半導体レーザ10に対応し、また、図4に示す第三象限は、光出力Imが最小〜中程度であり且つ変化率ΔImは減少方向に最大〜最小となっており、端面位相がπ〜1.5π(領域R3)の半導体レーザ10に対応し、更に、図4に示す第四象限は、光出力Imが最小〜中程度であり且つ変化率ΔImは最小〜増加方向に最大となっており、端面位相が1.5π〜2π(領域R4)の半導体レーザ10に対応することがわかる。
続いて、算出されたリファレンスRを用いて、半導体レーザ10の端面位相を検出する(ステップS11)。端面位相の検出は、ステップS4〜ステップS6で測定されて制御装置30のメモリに保存されていた光出力Im25と変化率ΔImとのプロット値を、ステップS10で算出されたリファレンスRと比較し、各プロット値がどの端面位相であるかを判断することによって行なわれる。例えば、図4に示すように、Pでプロットされた光出力Im25と変化率ΔImとを有する半導体レーザ10の端面位相は、リファレンスRと比較判断して、0.5πであると検出される。
[選別工程]
最後に、ステップS11で検出された端面位相に基づき、半導体レーザ10を良品又は不良品へ選別する(ステップS12)。この選別は、半導体レーザ10の出力特性を決定する端面位相に基づいて行われる。
例えば、端面位相がπ〜1.5π(領域R3)の半導体レーザ10では、発振周波数が不安定になる傾向があり、モードホップ(発振周波数の遷移)などの好ましくない現象を生じやすい。そこで、本実施形態では、端面位相が0〜π(領域R1及び領域R2)及び1.5π〜2π(領域R4)の半導体レーザ10を良品とし、端面位相がπ〜1.5π(領域R3)の半導体レーザ10を不良品として選別するようにしている。なお、良品として選別された半導体レーザ10のうち、端面位相が領域R1の半導体レーザ10は、同じく良品として選別される領域R2や領域R4の半導体レーザ10に比べて、発振周波数や前後電力比(レーザ光L1とモニタ光L2との比)が非常に安定している傾向にある。このため、領域R1の半導体レーザ10を、厳格な仕様が要求される長距離光通信システムの光源として、更に選別することが好ましい。
以上、説明したとおり、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、まず、室温(25度)での半導体レーザ10の光出力Im25と、室温から80度に温度変化させた際の光出力の変化率ΔImとを測定し、次に、この光出力Im25と変化率ΔImとに基づいて端面位相を検出し、そして、検出された端面位相を用いて半導体レーザ10の良否を選別している。このため、光出力Im25と光出力Im80とを示す2つの電流を測定するという簡単な処理で得られた光出力Im25とその変化率ΔImとに基づいて、端面位相を検出することができる。その結果、所望の仕様を満足するDFBレーザを容易に選別できる。
また、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、室温(25度)での半導体レーザ10の光出力Im25と、室温から80度に温度変化させた際の光出力の変化率ΔImとを測定し、次に、この光出力Im25と変化率ΔImとに基づいて端面位相を検出しているが、光出力の変化率ΔImとして、室温より低温で測定した光出力と室温より高温で測定した光出力とから変化率ΔImを求め、光出力Im25と、この変化率ΔImとに基づいて端面位相を検出してもよい。
更に、半導体レーザの駆動電流と出力電力との関係は、低電流域では線形性がよい。このため、光出力Imと変化率ΔImとに代えて、室温での発光効率SEと、室温から80度に温度変化させた際の発光効率比ΔSEを求め、この室温での発光効率SEと発光効率比ΔSEとから、端面位相を検出するようにしてもよい。
また、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、複数の半導体レーザ10の光出力Im25と変化率ΔImとの測定を行い、これらをプロットしてリファレンスRを算出している。そして、このリファレンスRと、個々の半導体レーザ10の光出力Im25と変化率ΔImとを比較して、端面位相を検出できるようになっている。このため、例えば製造ロットごとに作成したリファレンスRにより、光出力Imと変化率ΔImとに基づいて、より簡単に半導体レーザ10の端面位相を検出できる。しかも、実測されたリファレンスRに基づいて、個々の半導体レーザ10の端面位相を検出しているため、端面位相を正確に検出することができる。
また、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、測定時の半導体レーザ10の駆動電流として、閾値電流Ithを基準として、その基準値より所定の値Aだけ大きい電流を用いている。このため、半導体レーザ10の光出力が安定するので、より精度よく端面位相を決定できる。しかも、閾値電流Ithに一定の電流値Aを上乗せしただけであり、駆動電流ILDを容易に制御することができる。更に、レーザ光L1を測定する必要はないため、受光素子22、電流計23、電圧源24以外の測定装置が不要となり、簡単な測定システムを構成することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態において測定用の駆動電流ILDの算出の際に使用されたモニタ光L2の光出力に代えて、レーザ光L1の光出力を用いて、測定用の駆動電流ILDを制御している。また、本実施形態で使用される光出力測定システム40は、第1実施形態で使用された受光素子22、電流計23、電圧源24に加え、劣化補償用に使用される受光素子42、電流計43、電圧源44を更に備えている。
まず、光出力測定システム40について説明する。図6は、本実施形態に係る半導体レーザの製造方法に用いられる別の光出力測定システムである。図6に示すように、光出力測定システム40は、半導体レーザ10の電極層16に接続可能な電流源21と、半導体レーザ10のモニタ光L2の受光位置に配置された受光素子22と、受光素子22の一端に接続された電流計23と、受光素子22の他端に接続された電圧源24と、恒温槽25と、半導体レーザ10のレーザ光L1の受光位置に配置された受光素子42と、受光素子42の一端に接続された電流計43と、受光素子42の他端に接続された電圧源44と、電流源21、電流計23,43、恒温槽25に制御信号線を介して接続された制御装置30とを備えている。
光出力測定システム40は、制御装置30で電流源21、電流計23,43及び恒温槽25を制御することにより、レーザ光L1と光出力Imに相当するモニタ光L2とを測定するシステムである。受光素子42は、半導体レーザ10からのレーザ光L1を受光して、その光を電流に変換する光電変換素子である。電流計43は、電流測定器であり、受光素子42で光電変換された電流値を測定する。測定された電流値は、レーザ光L1の光出力として制御装置30に送られる。電圧源44は、受光素子42に逆電圧を印加するものである。
次に、図2におけるステップS4及びステップS5の測定工程における駆動電流の算出方法について説明する。本実施形態では、駆動電流ILDとして、レーザ光L1の光出力が一定となるような電流に制御されている。この駆動電流ILDを算出するにあたり、例えば、ステップS3では、恒温槽25によって25℃に温度調整された半導体レーザ10に電流源21から駆動電流ILDを増加させながら供給すると共に、出力されるモニタ光L2を受光素子22で受光して電流計23でその値を測定する。そして、この光出力を駆動電流ILDで微分して、まず、閾値電流Ithを算出する。
次に、駆動電流ILDを、閾値電流Ithから徐々に上昇させていき、その際のレーザ光L1を受光素子42で受光して電流計43でその値を測定する。そして、レーザ光L1が一定となる所定の電流値が算出されたら、その値を駆動電流ILDとして制御する。一方、ステップS4における光出力Im25の測定では、第1実施形態と同様にモニタ光L2を使用し、モニタ光L2による光出力Im25の測定を受光素子22や電流計23などで行なう。本実施形態では、ステップS5においても、同様に駆動電流ILDを算出制御して、光出力Im80を測定する。なお、その他のステップは、第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このように、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、光出力Im25等を測定する際の駆動電流ILDが、ARコート19側から出力されるレーザ光L1が一定となるように制御されている。このため、測定工程における温度変化によって半導体レーザ10のモニタ光L2が劣化したとしても、ARコート19側から出力されるレーザ光L1が一定となるように、光出力の劣化分が駆動電流ILDの増加で補われるように制御を行うことができるため、半導体レーザ10の光出力が安定するので、測定工程における測定誤差を軽減できる。その結果、図7(a)に示すように、第1実施形態に比べて、プロット群P2が円環形状に近くなり、選別工程における半導体レーザの選別精度を向上させることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第2実施形態では、レーザ光L1の光強度が一定となるよう測定用の駆動電流ILDを制御していたが、本実施形態では、レーザ光L1の光強度とモニタ光L2の光強度との和が一定となるよう測定用の駆動電流ILDを制御している。なお、本実施形態では、第2実施形態で使用された光出力測定システム40を使用する。
ステップS4及びステップS5の測定工程における駆動電流ILDを算出するにあたり、例えば、ステップS4では、恒温槽25によって25℃に温度調整された半導体レーザ10に電流源21から駆動電流ILDを増加させながら供給すると共に、出力されるモニタ光L2の光出力を受光素子22で受光して電流計23でその値を測定し、この光出力を駆動電流ILDで微分して、まず、閾値電流Ithを算出する。
次に、駆動電流ILDを、閾値電流Ithから徐々に上昇させていき、その際のレーザ光L1を受光素子42で受光して電流計43でその値を測定すると共に、モニタ光L2を受光素子22で受光して電流計23でその値を測定する。そして、レーザ光L1の光出力とモニタ光L2の光出力との和が一定となる所定の電流値が算出されたら、その値を駆動電流ILDとして制御する。この駆動電流ILDを制御しつつ、ステップS4におけるモニタ光L2の光出力Im25を受光素子22で受光して電流計23でその電流値を測定する。本実施形態では、ステップS5においても同様に駆動電流ILDを算出制御して、光出力Im80を測定する。なお、その他のステップは、第1実施形態と同様であるため、説明は省略する。
このように、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、光出力Im25等を測定する際の駆動電流ILDが、ARコート19側から出力されるレーザ光L1とHRコート18側から出力されるモニタ光L2との和が一定となるように制御されている。このため、測定工程における温度変化によって半導体レーザ10の光出力が劣化したとしても、ARコート19側から出力されるレーザ光L1とHRコート18側から出力されるモニタ光L2との和が一定となるように、光出力の劣化分が駆動電流ILDの増加で補われるように制御を行うことができるため、内部光電力を一定とさせて、測定工程における測定誤差を更に軽減できる。その結果、図7(b)に示すように、第1実施形態及び第2実施形態に比べて、プロット群P3が円環形状に更に近くなり、選別工程における半導体レーザの選別精度を更に向上させることができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、第3実施形態で説明したDFBレーザ10単体の製造方法を、DFBレーザ10に相当するDFBレーザ部50aと、DFBレーザ部50aからの光出力を変調する電界吸収型光変調部(以下「EA変調部」と記す)50bとから構成される光集積型半導体レーザ50の製造方法に適用した場合について説明する。なお、本実施形態では、第3実施形態で使用された光出力測定システム40を使用する。
光集積型半導体レーザ50の構成について説明する。光集積型半導体レーザ50は、図8に示すように、DFBレーザ部50aとEA変調部50bとを同一基板11a上に集積して一体形成されたものである。光集積型半導体レーザ50では、DFBレーザ部50aの回折格子Gaにおける凹凸パターンの周期14aで決まる波長の光がHRコート18aに帰還され、その後、EA変調部50bに伝達される。伝達された光はEA変調部50bで光変調され、ARコート19aから光変調された光出力L1aが出射される。EA変調部50bにおける光変調では、電圧源52によってEA変調部50bに一定のバイアス電圧を加えた場合(又はバイアス電圧を加えない場合)、HRコート18aにおける端面位相と無関係に一定の光減衰が生じる。
この光集積型半導体レーザ50の製造方法では、第3実施形態におけるDFBレーザ10の製造方法と同様に、まず、室温(25度)での光集積型半導体レーザ50の光出力Im25と、室温から80度に温度変化させた際の光出力の変化率ΔImとを測定し、次に、この光出力Im25と変化率ΔImとに基づいてDFBレーザ部50aの端面位相を検出し、そして、検出された端面位相を用いて光集積型半導体レーザ50の良否を選別している。この際、一定のバイアス電圧をEA変調部50bに加えるといった所定の条件下では、EA変調部50bにおける光減衰が一定となるため、DFBレーザ10単体の場合と同様にHRコート18a側の端面位相に応じてARコート19a側から出射されるレーザ光L1aの光出力Imが変動する。このため、光出力Im25と光出力Im80とを示す2つの電流を測定するという簡単な処理で得られた光出力Im25とその変化率ΔImとに基づいて、光集積型半導体レーザ50における端面位相を検出することができる。その結果、所望の仕様を満足する光集積型半導体レーザ50を容易に選別できる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、半導体レーザ10の光出力を測定する際、第1の測定温度である25度において、半導体レーザ10のモニタ光L2の光出力Imだけでなく、レーザ光L1の光出力Ipも測定し、測定された両光出力Im,Ipをリファレンスの算出に用いる。なお、本実施形態では、第2実施形態で使用された光出力測定システム40を使用する。
本実施形態に係る半導体レーザの製造方法では、図9に示すように、第1実施形態と同様の積層工程やチップ化工程(ステップS1,S2)を行って、光出力測定システム40に半導体レーザ10が設置されると(ステップS3)、まず、恒温槽25によって25℃に温度調整された半導体レーザ10を測定用の駆動電流ILDで発光させる。次に、発光した半導体レーザ10のモニタ光L2の光出力Im25を受光素子22で受光して電流計23でその電流値を測定する(ステップS14)。また、発光した半導体レーザ10のレーザ光L1の光出力Ip25を受光素子42で受光して電流計43でその電流値を測定する(ステップS14)。測定された光出力Im25,Ip25は、制御装置30に送られて、保存される。
ステップS14で両光出力Im25,Ip25の測定が行われると、測定された両光出力Im25,Ip25から、第1の温度である25度における光出力Im25,Ip25の前後比FBR(Front Back Ratio、出力比)を算出する(ステップS15)。前後比FBRは、光出力Im25に対する光出力Ip25の比であり、制御装置30に保存されている光出力Im25と光出力Ip25とを読み出して、次の式(2)に基づいて制御装置30の制御部で算出される。
前後比FBR25=光出力Im25/光出力Ip25・・・(2)
算出された前後比FBR25は、制御装置30に送られて、保存される。その後、光出力Im80の測定や光出力の変化量ΔImの測定等(ステップS5〜S7)を行う。
ステップS5〜S7が終了すると、続いて、光出力Im25,Ip25の前後比FBRである(光出力Im25/光出力Ip25)をY軸に、変化率ΔImをX軸としたXY座標系を設け、前後比FBR25と変化率ΔImとの値を座標上にプロットする(ステップS16)。その後、ステップS1でへき開された複数の半導体レーザ10で同様の測定、算出及びプロットを行い、所定数の半導体レーザ10におけるプロット等が終了するまで、S14,S15,S5〜S7,S16を繰り返し行う(ステップS17)。
ステップS17が終了すると、ステップS18に進んでリファレンスRの算出を行う。リファレンスRを算出する際、各前後比FBR25の非対称性が大きいことを考慮し、前処理として、ステップS16でプロットされたプロット群に対して関数変換処理を施す。変換の基準としては、中心点O及び最小値を示す点間の距離と中心点O及び最大値を示す点間の距離とが変換後に略同じになるような数値を選択する。本実施形態では、例えば次の式(3)のような指数関数処理によるデータ処理を用いている。この処理は、制御装置30により行われる。
前後比FBR25=(光出力Im25/光出力Ip250.5・・・(3)
式(3)で示されるデータ処理(前処理)以外の処理は、第1実施形態と同様の処理が行われる。そして、図10に示すような略円環形状のプロット群P4が完成し、リファレンスRが算出される(ステップS18)。その後、算出されたリファレンスRを用いて、半導体レーザ10の端面位相の検出及び選別を行い(ステップS11,S12)、処理を終了する。
このように、本実施形態に係る半導体レーザ10の製造方法では、光出力の測定工程において、半導体レーザ10の低反射コート19側から出力される光出力Ip25を更に測定し、端面位相の検出工程において、光出力Im25及び光出力Ip25の前後比FRB25と変化率ΔImとに基づいて半導体レーザ10の端面位相を検出するようにしている。このようにすると、高反射コート18側の光出力Im25、Im80だけでなく、端面位相の影響を少なからず受ける低反射コート19側の光出力Ip25も用いて端面位相の検出を行うこととなり、半導体レーザ10の端面位相を一層精度よく決定できる。その結果、選別工程における半導体レーザ10の選別精度を更に向上させることが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、端面位相の検出工程において、リファレンスRと、光出力Im25及び変化率ΔImとを比較して、半導体レーザ10の端面位相を検出しているが、図5の三角関数Tに示されるような関数を用いて、光出力Im25と変化率ΔImとに基づいて、端面位相を検出するようにしてもよい。このような場合であっても、2つの値を比較するという簡単な処理により端面位相を算出することができる。
また、上記実施形態では、半導体レーザ10を製造する際に、所定数の半導体レーザ10の光出力Im25又はIm80と変化率ΔImとを測定してリファレンスRを算出している。しかし、このリファレンスRを製造に先立って算出しておき、半導体レーザ10の製造時には、予め作成したリファレンスを使用して半導体レーザ10の端面位相を検出するようにしてもよい。このようにすれば、個々の半導体レーザ10の光出力Im25と変化率ΔImを測定した後、すぐに端面位相を検出することができるので、生産効率を向上させることができる。
また、上記実施形態では、リファレンスRの中心点を決定する際、最大値と最小値の平均値をとって中心点Oとしているが、測定された複数の半導体レーザ10の全データの平均値をとって中心点Oとしてもよいし、或いは、測定された複数の半導体レーザ10の内、最大側1%と最小側1%に相当するものの測定値を除外してから、その中での最大値と最小値の平均値をとって中心点Oとしてもよい。このようにすると、極端な値を示す異常品を除外して中心点Oを算出することができ、統計的に精度のよい中心点Oを得ることができる。
更に、半導体レーザ10は、特定位相では、モードホップ等が生じ、図4や図7に示すように、特定位相のデータは欠落することとなる。このため最小2乗法などで中心点Oを算出することで、更に精度よいリファレンスを算出することができる。また、光出力分布は対称性を持たない場合があり、中心値及び最小値、最大値から対称性を補正することで、更に精度よく算出することができる。第5実施形態では、非対称性が大きいため、プロット群に対する関数変換処理として、指数関数(0.5乗)を用いたが、対称性を補正することができるのであれば、例えば、他の指数関数(0.25乗)や対数関数を用いてもよい。
また、上記実施形態では、光出力を測定する際の第2の温度を80℃としているが、光出力の変化率を測定できる範囲であれば、第2の温度は他の温度、例えば、−40℃のような低温としてもよい。なお、第2の温度として低温へ変化させる場合、端面位相が減少する方向へ変動するので、高温へ変化させる場合と正負を逆にする必要がある。更に、高温と低温のそれぞれで光出力を測定した上で半導体レーザ10の製品として良否を選別するようにしてもよい、このようにすれば、高低の温度変化に強く対候性が良好な半導体レーザ10を選別することができる。
10…半導体レーザ、18,18a…高反射コート(HRコート)、19,19a…低反射コート(ARコート)、20,40…光出力測定システム、21…電流源、22,42…受光素子、23,43…電流計、25…恒温槽、30…制御装置、50…光集積型半導体レーザ、50a…DFBレーザ部、50b…EA変調部、L1,L1a…レーザ光、L2,L2a…モニタ光、R…リファレンス。

Claims (8)

  1. 分布帰還型の回折格子を有する半導体レーザにおいて、
    第1の温度における前記半導体レーザの光出力Imと、前記第1の温度とは異なる第2の温度へと温度変化させた際の前記光出力Imとの光出力の変化率ΔImとを測定する測定工程と、
    前記光出力Imと前記変化率ΔImとに基づいて前記半導体レーザの端面位相を検出する検出工程と、
    前記検出工程で検出された前記端面位相を用いて前記半導体レーザを選別する選別工程と、
    を備えたことを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  2. 前記測定工程を複数の半導体レーザにて繰り返し行うことにより、各半導体レーザにおける光出力Imと変化率ΔImとをプロットして前記端面位相のリファレンスを算出するリファレンス算出工程を備え、
    前記リファレンスと、前記測定工程で測定された前記光出力Imと前記変化率ΔImとを比較して、前記半導体レーザの端面位相を検出することを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザの製造方法。
  3. 前記光出力Imは、前記半導体レーザの高反射コート側の光出力であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザの製造方法。
  4. 前記測定工程において、前記半導体レーザの低反射コート側から出力される光出力Ipを更に測定し、
    前記検出工程において、前記光出力Im及び前記光出力Ipの出力比と前記変化率ΔImとに基づいて前記半導体レーザの端面位相を検出することを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザの製造方法。
  5. 前記測定工程における前記半導体レーザの駆動電流として、閾値電流よりも所定の値だけ大きい電流を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザの製造方法。
  6. 前記測定工程における前記半導体レーザの駆動電流は、低反射コート側から出力される光出力が一定となるように制御されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザの製造方法。
  7. 前記測定工程における前記半導体レーザの駆動電流は、低反射コート側から出力される光出力と、高反射コート側から出力される光出力との和が一定となるように制御されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザの製造方法。
  8. 前記選別工程において、前記端面位相が0〜π及び1.5π〜2πの間の値であると検出された前記半導体レーザを良品として選別することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザの製造方法。
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WO2019198216A1 (ja) * 2018-04-12 2019-10-17 三菱電機株式会社 データ処理装置、データ処理方法および太陽電池セルの製造方法

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