JP2009224169A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池を電源とし、燃料電池の出力電力を昇圧するシステムの効率を向上させる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池システム1であって、燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池セル13を複数積層した燃料電池5と、電力を昇圧する昇圧コンバータ9と、積層された複数の燃料電池セル13のうち、昇圧コンバータ9が所定の昇圧効率で動作するように昇圧コンバータ9の昇圧比と昇圧効率との相関関係に基づいて選択される何れかの燃料電池セル13から電力を取り出し、取り出した電力を昇圧コンバータ9へ給電する給電部Bと、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池システム1であって、燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池セル13を複数積層した燃料電池5と、電力を昇圧する昇圧コンバータ9と、積層された複数の燃料電池セル13のうち、昇圧コンバータ9が所定の昇圧効率で動作するように昇圧コンバータ9の昇圧比と昇圧効率との相関関係に基づいて選択される何れかの燃料電池セル13から電力を取り出し、取り出した電力を昇圧コンバータ9へ給電する給電部Bと、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、燃料電池システムに関する。
近年、運転効率および環境性に優れる電源として燃料電池が注目されている。燃料電池は、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応によって発電する。燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応は、触媒を担持した燃料電池セルで行われる。
燃料電池は、出力電圧と負荷側の要求電圧との間の齟齬を調整するため、電力の昇圧処理等が施される。例えば、特許文献1には、燃料電池とDC−DCコンバータとを組み合わせた燃料電池ユニットを並列に複数接続し、各ユニットの出力電力分担を調整する技術が開示されている。また、特許文献2には、燃料電池に昇圧比等の設定を変更可能なDC−DCコンバータを接続する技術が開示されている。
特開2004−178877号公報
特開2006−310271号公報
燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池は、定格出力の大きさと体格の大きさとが比例する。燃料電池セルを積層した燃料電池スタックの出力電圧は、セルの積層枚数に比例する。よって、燃料電池スタックの定格出力を大きくするとセルの積層枚数が増え、出力電圧が高くなる。なお、セル面積を広げることにより定格出力を大きくすることも考えられるが、反応生成水がガスの流れを妨げる虞がある。また、定格出力の小さい燃料電池を複数設ける場合、定格出力の大きい一つの燃料電池を設ける場合に比べ、端部セルの放熱の影響等を受けやすいため、発電効率が悪い。
電力を昇圧する昇圧コンバータは、昇圧に伴う電力損が昇圧比に応じて変化する特性を有しており、昇圧比が小さい動作領域は電力損が大きいことが知られている。よって、負荷側の要求電圧の変化等に対応するために昇圧コンバータを用いる場合、ある程度の大きさの昇圧比が確保されるように電力システムを構築することが望まれるが、燃料電池を電源に用いると、要求される定格電力の大きさによっては燃料電池の出力電圧が高くなり、昇圧コンバータにおける昇圧比を十分に確保することが難しくなる。他方、定格電力の小さい燃料電池を並列に複数設けて昇圧コンバータにおける昇圧比を確保する場合、昇圧コンバータにおける電力損は改善されるものの、定格電力の大きい一つの燃料電池を電源とする場合に比べて燃料電池における発電効率が低下し、結果的に電力システム全体の効率が低下する虞がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、燃料電池を電源とし、燃料電池の出力電力を昇圧するシステムの効率を向上させる技術を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、積層された複数の燃料電池セルのうち何れかの燃料電池セルから電力を取り出し、取り出した電力を昇圧コンバータへ給電する。
詳細には、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池システムであって、前記燃料ガスと前記酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池セルを複数積層した燃料電池と、電力を昇圧する昇圧コンバータと、積層された前記複数の燃料電池セルの
うち、前記昇圧コンバータが所定の昇圧効率で動作するように該昇圧コンバータの昇圧比と昇圧効率との相関関係に基づいて選択される何れかの燃料電池セルから電力を取り出し、取り出した電力を該昇圧コンバータへ給電する給電部と、を備える。
うち、前記昇圧コンバータが所定の昇圧効率で動作するように該昇圧コンバータの昇圧比と昇圧効率との相関関係に基づいて選択される何れかの燃料電池セルから電力を取り出し、取り出した電力を該昇圧コンバータへ給電する給電部と、を備える。
上記燃料電池システムは、燃料ガスと酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池セルを複数積層した燃料電池により発電を行い、電力供給先である負荷へ電力を供給する。ここで、燃料電池セルは、一方の面に燃料ガスが、他方の面に酸化ガスが供給されるとこれらのガスを反応させて電位差を発生する。よって、1つのセルが発生する電位差はセルの厚さ等から大体定まっており、このようなセルを複数積層した燃料電池は、電気的に直列接続されている状態となり、各セルの電位が異なる。このように構成される燃料電池は、出力電圧がある程度定まるものの、供給する燃料ガスや酸化ガスの量、反応生成水の量等によって変化し得る。また、負荷についても要求電圧が一定でない場合が有り得る。このような電圧の齟齬に対応するため、上記燃料電池システムは、負荷の要求する電圧と燃料電池の出力電圧とを調整するための昇圧コンバータを備える。このように構成される燃料電池システムによれば、昇圧コンバータの昇圧比を調整することにより、燃料電池の出力電圧と負荷の要求電圧とを調整することが可能である。なお、昇圧コンバータの昇圧比とは、昇圧コンバータが昇圧しようとする電力の入力側に対する出力側の電圧の比であり、例えば、昇圧コンバータの制御目標値である。
ここで、昇圧コンバータは、電力を変換する際に電力損失を発生する特性を有しており、昇圧比に応じて昇圧効率が変化する。なお、昇圧効率とは、昇圧動作時の電力損失を加味した電力の変換効率を示すものであり、例えば、出力側の電力を入力側の電力で除した値である。ここで、上記燃料電池システムは、複数のセルを積層した燃料電池の各セルの電位が異なることに着目し、電力を両端のセルから取り出すのではなく、昇圧コンバータの動作効率を高める観点から、積層された複数の燃料電池セルの何れかのセルから電力を取り出し、昇圧コンバータへ給電する。昇圧コンバータの昇圧効率が高くなる昇圧比の動作領域が比較的高い場合、昇圧コンバータの昇圧比を高める方法としては負荷の電圧を上げるか燃料電池の出力電圧を下げる方法が考えられるが、負荷へ給電する電力の電圧を発電側の要求で増減させるのは一般的に困難である。他方、燃料電池の出力電力は内部抵抗等により画定される電流―電圧特性に則って動作するため、負荷の要求する電力量を満たしつつ出力電圧を所望の値に調整することは難しいし発電効率上好ましくない。そこで、上記燃料電池システムは、積層されることで電位が互いに異なる複数の燃料電池セルのうち何れかのセルから電力を取り出すことで、燃料電池の出力電力を調整等することなく昇圧コンバータの昇圧比を高めることを実現している。
上記燃料電池システムは、昇圧比と昇圧効率との相関関係が予め特定された昇圧コンバータを適用することを前提としており、この相関関係を基に、昇圧コンバータが所定の昇圧効率で動作するように、積層された燃料電池セルのうち何れかのセルから電力を取り出す。所定の昇圧効率とは、昇圧コンバータの昇圧効率であり、例えば、省エネルギの観点から燃料電池システムに要求される動作効率の条件を満たすために昇圧コンバータが達成すべき昇圧効率の条件である。燃料電池セルを選択する際は、昇圧コンバータの昇圧比と昇圧効率との相関関係を基に、昇圧コンバータが所定の昇圧効率となるように該昇圧コンバータに入力すべき電力の電圧を特定し、この電圧が昇圧コンバータに入力されるように、電位の異なる複数の燃料電池セルの中から電力を取り出すセルを選択する。なお、電力を取り出す燃料電池セルの選択は、燃料電池システムを構成する際に予め行っていてもよいし、燃料電池システムの運用開始後、各種のパラメータ等に基づいて適宜切り替えながら行ってもよい。なお、負荷の要求電圧が一定でない場合、選択すべき燃料電池セルを一律に決定することは困難であるが、少なくとも想定される負荷の平均的な動作状態において前記所定の昇圧効率が達成されるようにセルを選択することが好ましい。以上、上記燃料電池システムによれば、燃料電池の出力電力を昇圧するシステムの動作効率を向上させ
ることが可能になる。
ることが可能になる。
また、前記燃料電池は、前記給電部が電力を取り出す燃料電池セルを境界にして積層方向に分けられる複数の発電領域を有し、前記昇圧コンバータは、前記複数の発電領域で発電される電力をそれぞれ昇圧するようにしてもよい。この燃料電池システムは、燃料電池を複数の発電領域に画定し、昇圧コンバータがそれぞれの領域の電力を昇圧する。各発電領域は、電気的に複数の領域に画定されているだけであり、複数の構造体に分離している訳ではない。このように構成される燃料電池によれば、発電が行われない発電領域が生ずることがなく、燃料電池の出力電力を昇圧するシステムの動作効率を向上させることが可能である。なお、積層方向に分けられる複数の発電領域とは、燃料電池セルの積層体である燃料電池の積層方向に沿って電気的に画定される複数の領域である。
また、前記燃料電池は、前記給電部が電力を取り出す燃料電池セルを境界にして積層方向に分けられる2つの発電領域であって、該2つの発電領域の電気的な極性の方向が互いに反転しており、且つ互いにアノード極側を向くように構成される2つの発電領域を有し、前記昇圧コンバータは、前記2つの発電領域で発電される電力をそれぞれ昇圧するようにしてもよい。この燃料電池システムは、燃料電池を2つの発電領域に画定し、昇圧コンバータがそれぞれの領域の電力を昇圧する。これら2つの発電領域は、上述したように積層方向に沿って電気的に画定されているだけであり、異なる構造体に分かれている訳ではない。そして、これら2つの発電領域は、互いにアノード極側を向くように構成されることで境界部分の燃料電池セルのアノード極、すなわち、燃料極同士が向きあうことになる。このように構成される燃料電池によれば、温度低下により発電効率に影響が出やすいアノード極が積層体の端部に位置することがなくなるため、燃料電池の発電効率を高めることが可能になる。
また、前記昇圧コンバータは、各発電領域の発電状態に関する所定のパラメータに基づいて昇圧比を調整することにより、該各発電領域の発電量の割合を調整してもよい。このように構成される燃料電池システムによれば、各発電領域の発電状態に応じた負荷の配分を行うことが可能である。発電量は電圧と電流の積であるため、昇圧コンバータの昇圧比の制御目標値を発電領域毎に調整することで、各発電領域の負荷の配分を変更することが可能である。なお、所定のパラメータとは、各発電領域の発電状態を示す制御パラメータであり、例えば、各発電領域の発電電力量、出力電圧、出力電流、積算発電時間等、発電に関連するあらゆるパラメータの少なくとも何れかである。
燃料電池を電源とし、燃料電池の出力電力を昇圧するシステムの効率を向上させることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1の全体構成図である。この燃料電池システム1は、電動モータを駆動源とする車両2に搭載され、この車両2の駆動モータ(以下、単に「モータ3」という)に電力を供給することを前提とする。車両2は、駆動輪がモータ3によって駆動されることで自走し、移動可能となる。このモータ3は、いわゆる三相交流モータであり、インバータ4から交流電力の供給を受けて動作する。このインバータ4は、燃料電池システム1のメイン電力源である燃料電池5と二次電池であるバッテリ6とから供給される直流電力を交流電力へ変換し、モータ3へ供給する。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1の全体構成図である。この燃料電池システム1は、電動モータを駆動源とする車両2に搭載され、この車両2の駆動モータ(以下、単に「モータ3」という)に電力を供給することを前提とする。車両2は、駆動輪がモータ3によって駆動されることで自走し、移動可能となる。このモータ3は、いわゆる三相交流モータであり、インバータ4から交流電力の供給を受けて動作する。このインバータ4は、燃料電池システム1のメイン電力源である燃料電池5と二次電池であるバッテリ6とから供給される直流電力を交流電力へ変換し、モータ3へ供給する。
なお、燃料電池システム1は、移動体である車両2に搭載され、この車両2のモータ3へ電力を供給するものであるが、船舶やロボット等の移動体、或いは移動しない電力消費機器に対しても適用可能である。
ここで、燃料電池5は、水素タンク7に貯蔵されている水素ガスとコンプレッサ8によって圧送されてくる空気中の酸素との電気化学反応にて発電を行う。燃料電池5とインバータ4との間には、DC−DCコンバータであるFCコンバータ9が電気的に接続されている。これにより、燃料電池5から出力された電力の電圧は、FCコンバータ9によって任意の電圧に昇降圧され、インバータ4に印加される。FCコンバータ9の詳細な構成については、後述する。また、バッテリ6は、充放電が可能な定電圧の蓄電装置であって、バッテリ6とインバータ4との間にインバータ4に対して上記FCコンバータ9と並列になるように、昇圧型のバッテリ昇圧コンバータ10が電気的に接続されている。これにより、バッテリ6から出力された電力の電圧は、バッテリ昇圧コンバータ10によって任意の電圧に昇圧され、インバータ4に印加される。バッテリ昇圧コンバータ10は、モータ3に入力される電力の電圧を図示しない電圧センサで検出し、モータ3に入力される電力の電圧が後述するモータ必要電圧(Vmot)になるように電圧の昇圧比を制御する。バッテリ6が定電圧の電源であるため、バッテリ昇圧コンバータ10の昇圧比を調整することによりモータ3へ入力される電圧を所定の制御目標値(Vmot)にすることが可能である。尚、図1中に示すように、燃料電池システム1においては、昇圧型のバッテリ昇圧コンバータ10に代えて、昇圧動作および降圧動作が可能な昇降圧型のコンバータも採用可能である。以下の実施例では、主にバッテリ昇圧コンバータ10を昇圧型のコンバータとして説明を進めていくが、これには昇降圧型のコンバータの採用を制限する意図は無く、その採用に際しては適宜調整が行われる。
車両2には、電子制御ユニット(以下、「ECU11」という。)が備えられる。ECU11は、上述した各制御対象と電気的に接続されており、システムを構成する各機器を制御する。例えば、車両2には、ユーザからの加速要求を受けるアクセルペダルが設けられ、その開度がアクセルペダルセンサ12によって検出され、その検出信号がECU11に電気的に伝えられる。また、ECU11は、モータ3の回転数を検出するエンコーダにも電気的に接続され、これによりECU11でモータ3の回転数が検出される。ECU11は、これらの検出値等に基づいて、各種の制御が可能である。
このように構成される燃料電池システム1では、車両2のユーザが踏んだアクセルペダルの開度がアクセルペダルセンサ12によって検出され、ECU11がそのアクセル開度とモータ3の回転数等に基づいて、燃料電池5の発電量やバッテリ6からの充放電量が適宜制御される。ここで、移動体である車両2の燃費を向上させるために、モータ3が高電圧低電流仕様のPMモータとなっている。従って、モータ3は、低電流で高トルクを発揮することが可能となるため、モータ内部の巻線やその他の配線での発熱を軽減することが可能となり、またインバータ4の定格出力を小さくすることが可能となる。具体的には、モータ3では低電流で比較的大きなトルク出力を可能とするためにその逆起電圧が比較的高く設定される一方で、その高逆起電圧に抗して高回転数での駆動が可能となるように、燃料電池システム1からの供給電圧が高く設定される。このとき、燃料電池5とインバータ4の間にFCコンバータ9を設け、バッテリ6とインバータ4との間にもバッテリ昇圧コンバータ10を設けることで、インバータ4への供給電圧の高電圧化が図られる。
このように燃料電池システム1を、FCコンバータ9を含む構成とすることで、燃料電池5自体の出力電圧(端子間電圧)が低くても、FCコンバータ9の昇圧動作によりモータ3を駆動することが可能となる。これにより、燃料電池5のセル積層枚数を低減する等してその小型化を図ることも可能となる。その結果、車両2の重量を低減でき、その燃費向上を更に促進することができる。
ここで、燃料電池5について詳述する。図2は、燃料電池5の正面図である。燃料電池5は、移動媒体に適する高分子電解質形の燃料電池スタックであり、図2に示すように、複数の燃料電池セル13を積層した積層体で構成される。燃料電池セル13は、高分子電解質膜を触媒電極層やガス拡散層膜で挟持するように接合した膜電極接合体、及びセパレータで構成される。高分子電解質膜は、ポリフルオロカーボンなどの固体の高分子を主鎖とし、電荷を運ぶためにスルホン基やカルボン酸基などの側鎖を付けたイオン交換能を有する導電性の物質で構成される。また、触媒電極膜は、白金(Pt)を担持したカーボンブラック等で構成される。膜電極接合体は、ガス拡散層膜に燃料ガスおよび酸化ガスが供給されることで電気化学反応を起こし、両電極間に電位差を発生させる。
なお、燃料電池5は、約1V前後の電位差を発生する燃料電池セル13が多数積層されることにより、積層方向の両端部分に位置する2つのエンドセル14の間に約数百V程度の電位差を発生する(図2の符号A−C間の電位差)。また、燃料電池5は、積層体の中心付近の燃料電池セル13から電力を取り出す集電板(本発明でいう、給電部に相当する)を挟持しており、この集電板から電力を取り出し可能なように構成されている(図2の符号B)。燃料電池5は、図2の符号Aがカソード側(空気極側)になり、符号Cがアノード側(水素極側)なるように構成されている。以下、符号A−B間の電位差をVfcABといい、符号B−C間の電位差をVfcBCといい、符号A−C間の電位差をVfcACという。また、電気化学反応により発電が行われる燃料電池5の領域のうち符号A−B間の領域を発電領域AB、符号B−C間の領域を発電領域BCという。符号A−B間に積層されている燃料電池セル13の枚数と符号B−C間に積層されている燃料電池セル13の枚数は同じであり、略同一の電位差が発生する。換言すると、VfcABとVfcBCは略同一であり、VfcABとVfcBCを合算するとVfcACになる。以下、特記する場合を除き、単にVfcという場合、VfcABおよびVfcBCの両方を示すものとする。なお、燃料電池5には、積層体の内部に冷媒や燃料ガス、酸化ガスを供給するための配管の接続口が設けられている。
ここで、FCコンバータ9の特徴について詳述する。図3は、燃料電池システム1の電気経路を詳細に示した回路図である。図3に示すように、FCコンバータ9は、2つのFCコンバータ9A,Bで構成されている。この二つのFCコンバータ9A,Bは、同じ性能のDC−DCコンバータであり、FCコンバータ9Aが発電領域ABの電力を昇圧し、FCコンバータ9Bが発電領域BCの電力を昇圧するように構成されている。FCコンバータ9A,Bの出力は並列に接続されており、それぞれのコンバータで昇圧された電力は合流した後、インバータ4やバッテリ昇圧コンバータ10へ供給される。図4は、FCコンバータ9A,Bの電力の変換効率と昇圧比との関係を示すグラフである。図4に示すように、FCコンバータ9A,Bは、昇圧比2付近において昇圧効率が最も高くなるように設定されている。燃料電池5の積層体の中心付近の燃料電池セル13から集電板を介して電力を取り出すことにしたのは、図4に示すようなFCコンバータ9の特性に基づくものである。すなわち、走行法規等から推定される車両の一般的な走行パターンからモータの平均的な要求電圧を特定し、特定した要求電圧においてFCコンバータ9の昇圧効率が最も高くなるFCコンバータ9への入力電圧を決定する。そして、各発電領域の電圧が決定した入力電圧になるように、集電板の挿入位置や枚数を決定する。例えば、2つのFCコンバータ9A,Bの昇圧比―昇圧効率カーブが異なっており、昇圧効率が最も高くなる昇圧比が互いに異なっていれば、集電板の挿入される位置は積層方向の中心でなく、やや偏った位置に挿入されることになる。
以下、FCコンバータ9A,Bの特性について詳述する。図5は、FCコンバータ9A,Bの回路図である。説明の便宜上、片方のFCコンバータについて詳細に図示している。図5に示すように、FCコンバータ9A(B)は、ソフトスイッチング回路を有するス
イッチングコンバータである。すなわち、FCコンバータ9A,Bは、入力側(すなわち、燃料電池5側)と出力側(すなわち、モータ3やバッテリ6側)との間に直列に接続されるコイルL1と、コイルL1の出力側を短絡するスイッチS1、及びスイッチS1がターンオンした際に生ずる出力側からの逆電流を止めるダイオードD5を備える。FCコンバータ9A(B)は、スイッチS1がスイッチング動作することによりコイルL1が入力側の電力を昇圧し、昇圧した電力を出力側へ流す。ここで、FCコンバータ9A(B)は、スイッチS1のスイッチング損失を低減する目的で設置されるスナバコンデンサC2をスイッチS1と並列に備えている。スナバコンデンサC2は、コイルL2やスイッチS2(ソフトスイッチ)によって電荷がコントロールされるように構成されており、スイッチS1がターンオンまたはターンオフする際のスイッチS1の電位差を調整することでスイッチング損失を低減する。ここで、図5に示す回路構成において、スイッチS1をターンオンする場合、スナバコンデンサC2に充電されている電荷を放電しておかなければ、スイッチS1に電圧をかけた状態でターンオンすることになり、スイッチング損失が発生することになる。従って、スイッチS1をターンオンする前にスナバコンデンサC2の電荷を完全に放電することが重要であり、そのためには、スナバコンデンサC2に蓄えられた電荷を放出させるコイルL2が、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出させることが可能な程度のエネルギを蓄えている必要がある。使用されるコイルやコンデンサの容量にもよるが、本実施形態に係るFCコンバータ9A(B)では、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出させるため、入力側の電圧に対する出力側の電圧の比(昇圧比)が2以上の場合に、コイルL2によるスナバコンデンサC2の放電が十分に行われるように設定されている。図6および7は、スナバコンデンサC2の電位差を示すグラフである。昇圧比が2未満の場合、図6に示すように、コイルL1から出力される電力が弱いためにコイルL2が十分にチャージされず、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出することができずにスナバコンデンサC2の電位差(すなわち、スイッチS1の電位差)が残存することになる。他方、昇圧比が2以上の場合、図7に示すように、コイルL1から出力される電力が強いためにコイルL2も十分にチャージされ、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出させることが可能になる。以上が、FCコンバータ9A(B)が昇圧比2付近において昇圧効率が高くなる根拠である。
イッチングコンバータである。すなわち、FCコンバータ9A,Bは、入力側(すなわち、燃料電池5側)と出力側(すなわち、モータ3やバッテリ6側)との間に直列に接続されるコイルL1と、コイルL1の出力側を短絡するスイッチS1、及びスイッチS1がターンオンした際に生ずる出力側からの逆電流を止めるダイオードD5を備える。FCコンバータ9A(B)は、スイッチS1がスイッチング動作することによりコイルL1が入力側の電力を昇圧し、昇圧した電力を出力側へ流す。ここで、FCコンバータ9A(B)は、スイッチS1のスイッチング損失を低減する目的で設置されるスナバコンデンサC2をスイッチS1と並列に備えている。スナバコンデンサC2は、コイルL2やスイッチS2(ソフトスイッチ)によって電荷がコントロールされるように構成されており、スイッチS1がターンオンまたはターンオフする際のスイッチS1の電位差を調整することでスイッチング損失を低減する。ここで、図5に示す回路構成において、スイッチS1をターンオンする場合、スナバコンデンサC2に充電されている電荷を放電しておかなければ、スイッチS1に電圧をかけた状態でターンオンすることになり、スイッチング損失が発生することになる。従って、スイッチS1をターンオンする前にスナバコンデンサC2の電荷を完全に放電することが重要であり、そのためには、スナバコンデンサC2に蓄えられた電荷を放出させるコイルL2が、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出させることが可能な程度のエネルギを蓄えている必要がある。使用されるコイルやコンデンサの容量にもよるが、本実施形態に係るFCコンバータ9A(B)では、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出させるため、入力側の電圧に対する出力側の電圧の比(昇圧比)が2以上の場合に、コイルL2によるスナバコンデンサC2の放電が十分に行われるように設定されている。図6および7は、スナバコンデンサC2の電位差を示すグラフである。昇圧比が2未満の場合、図6に示すように、コイルL1から出力される電力が弱いためにコイルL2が十分にチャージされず、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出することができずにスナバコンデンサC2の電位差(すなわち、スイッチS1の電位差)が残存することになる。他方、昇圧比が2以上の場合、図7に示すように、コイルL1から出力される電力が強いためにコイルL2も十分にチャージされ、スナバコンデンサC2に蓄えられている電荷を十分に放出させることが可能になる。以上が、FCコンバータ9A(B)が昇圧比2付近において昇圧効率が高くなる根拠である。
<実施形態の動作フロー>
次に、燃料電池システム1の制御について説明する。図8は、燃料電池システム1の制御フロー図である。以下、図8の制御フロー図を参照しつつ、燃料電池システム1の制御フローについて説明する。
次に、燃料電池システム1の制御について説明する。図8は、燃料電池システム1の制御フロー図である。以下、図8の制御フロー図を参照しつつ、燃料電池システム1の制御フローについて説明する。
(ステップS101)燃料電池システム1が起動されると、ECU11は、水素タンク7やコンプレッサ8を制御して燃料ガスである水素や酸化ガスである酸素を燃料電池5へ供給する。燃料電池5へ供給する燃料ガスおよび酸化ガスの流量は、アクセルペダルセンサ12によって検知される要求トルク、バッテリ6の入出力電流、モータ3の消費電流等に基づいて算出される要求発電量に応じて決定される。すなわち、ECU11に予め記憶されている燃料電池5の運転モデルから要求発電量に対する消費水素量や消費酸素量を決定し、決定した量の水素および酸素が燃料電池5へ供給されるように水素タンク7の出口弁の開度やコンプレッサ8の回転数を制御する。これにより、燃料電池5で水素と酸素の電気化学反応が始まり、発電が開始される。ここで、ECU11は、エンコーダによって検出されたモータ3の実際の回転数に対応する、該モータ3が最大出力し得る最大トルクを算出する。具体的には、モータ3の回転数とそれに対応した最大トルクとが関連付けられているマップをECU11が有しており、検出された回転数に従って該マップにアクセスすることでモータ3の最大トルクが算出される。ECU11は、本ステップS101の処理を終了すると、S102の処理を実行する。
(ステップS102)ECU11は、アクセルペダルセンサ12によって検出されたアクセルペダルの開度に基づいて、モータ3に出力要求されている要求トルクを算出する。アクセルペダルの全開が、モータ3の現時点での回転数における最大トルクを要求していると定義すると、全開時の係数を100%、全閉時の係数を0%として、以下の式に従って要求トルクが算出される。ECU11は、本ステップS102の処理を終了すると、S103の処理を実行する。
(要求トルク)=(上記最大トルク)×(アクセルペダルの開度に応じた係数)
(要求トルク)=(上記最大トルク)×(アクセルペダルの開度に応じた係数)
(ステップS103)ECU11は、S101とS102での算出結果に基づいて、モータ3に要求されている出力である要求出力を、以下の式に従って算出する。ECU11は、本ステップS103の処理を終了すると、S104の処理を実行する。
(要求出力)=(要求トルク)×(モータの回転数)
(要求出力)=(要求トルク)×(モータの回転数)
(ステップS104)ECU11は、S103で算出した要求出力とモータ3の回転数に基づいて、必要な電力がモータ3に供給されるように、インバータ4に印加されるべき電圧であるモータ必要電圧(Vmot)を算出する。具体的には、ECU11は、モータ3の回転数(rpm)と上記要求出力(P)で形成される関数Fと、モータ必要電圧とが関連付けられているモータ必要電圧マップを有しており、モータの回転数と要求出力とに従ってこのマップにアクセスすることでモータ必要電圧を算出する。モータ必要電圧マップは、実験等によって予め決定され得るもので、その一例としては、モータ3の回転数が高くなるに従いその逆起電圧が高くなるため要求電圧値は高くなるべきであり、要求出力が高くなるとその出力をより少ない電流で達成するために要求電圧値は高くなるべきであるので、これらの点が関数Fとモータ必要電圧との相関に反映されている。ECU11は、S104の処理を終了すると、S105の処理を実行する。
(ステップS105)ECU11は、アクセルペダルセンサ12によって検出されたアクセルペダルの開度に従って発電が行われている燃料電池5の出力電圧(Vfc)を検出する。この検出は、図示されない電圧センサを介して行われる。
(ステップS106)ステップS105の処理が終了すると、ECU11は、S104で算出したモータ必要電圧を、S105で検出した燃料電池5の出力電圧で除して昇圧比Rt(=Vmot/Vfc)を算出する。
(ステップS107)次に、ECU11は、FCコンバータ9の制御を行う。即ち、ECU11は、上記S106の処理において算出された昇圧比Rtに基づいてFCコンバータ9を制御する。なお、特記する場合を除き、以下に示すFCコンバータ9の処理内容は、FCコンバータ9A,Bとも同様であるものとする。ステップS106の処理を実行したECU11は、算出した昇圧比Rtに基づいてFCコンバータ9のスイッチS1のスイッチング周波数を調整することにより、FCコンバータ9の昇圧比を制御する。図9は、モータ必要電圧(Vmot)と燃料電池5の出力電圧(Vfc)との関係を、出力に応じて示した相関図である。図9のVmotで示すように、モータ3の逆起電圧は車両2の速度が上昇していくに従い増加していくため、モータ必要電圧も車両速度の増加とともに増加していく。ここで、燃料電池5の出力電圧Vfcとモータ必要電圧Vmotとの相関において、Vfcが、車両2の全ての速度領域におけるVmotよりも高くなるようにシステム構成することが考えられるが、燃料電池5の体格低減等の観点から、本実施形態ではFCコンバータ9を設けることで燃料電池5の出力電圧とモータ3の要求電圧との調整を図っている。ここで、本実施形態は、燃料電池5を2つの発電領域AB、BCで画定し、それぞれの発電領域から取り出した電力を昇圧しているため、燃料電池5の両端のセルから電力を取り出して昇圧する場合よりも昇圧比を高くする必要がある。図9は燃料電池5の発電領域を2つに画定した本実施形態に係るFCコンバータ9の入出力関係を示すグラ
フであり、図10は燃料電池5の発電領域を画定しない場合(従来例)のFCコンバータの入出力関係を示すグラフである。上述したようにVfcABおよびVfcBCはVfcACの略半分の値となるため、図9と図10とを比較すると判るように、燃料電池5の発電領域を2つに画定すると、FCコンバータ9の昇圧比が2以上となる作動領域が増える。よって、車両2の走行状態に応じて出力(負荷)が様々に変化する場合に、FCコンバータ9が高効率で動作する機会(すなわち、昇圧比2以上で動作する領域)が増加し、車両2の燃費効率の改善に著しく寄与する。本ステップが終了したら、ECU11は、再びステップS101以降の処理を繰り返す。
フであり、図10は燃料電池5の発電領域を画定しない場合(従来例)のFCコンバータの入出力関係を示すグラフである。上述したようにVfcABおよびVfcBCはVfcACの略半分の値となるため、図9と図10とを比較すると判るように、燃料電池5の発電領域を2つに画定すると、FCコンバータ9の昇圧比が2以上となる作動領域が増える。よって、車両2の走行状態に応じて出力(負荷)が様々に変化する場合に、FCコンバータ9が高効率で動作する機会(すなわち、昇圧比2以上で動作する領域)が増加し、車両2の燃費効率の改善に著しく寄与する。本ステップが終了したら、ECU11は、再びステップS101以降の処理を繰り返す。
なお、上記S101からS107の処理の説明においては、説明の簡便化のため、燃料電池5とモータ3との相関にのみ着目して説明したが、本燃料電池システム1は、モータ3に対してバッテリ6からの電力供給も可能である。バッテリ6から電力供給される場合は、バッテリ6からの出力電圧がバッテリ昇圧コンバータ10によって昇圧された上で、インバータ4に印加されることになる。ここで、バッテリ昇圧コンバータ10は、いわゆる昇圧コンバータであるため、バッテリ6からインバータ4に電力供給を行うためには、バッテリ昇圧コンバータ10の出口電圧(インバータ4側の電圧であり、FCコンバータ9の出口電圧と同等)が、その入口電圧(バッテリ6側の電圧)と比較して同じか、又はより高い状態でなければならない。
<実施形態の効果>
以上、本実施形態によれば、燃料電池を積層方向に対して2つの発電領域に画定し、それぞれの発電領域から出力される電力を昇圧しているため、燃料電池の出力電圧を下げることなく(換言すると、燃料電池の出力電力を下げることなく)、FCコンバータの動作効率を高めることが可能となる。このように、燃料電池の発電領域を積層方向に複数画定し、各発電領域の電力を昇圧コンバータで昇圧させる燃料電池システムによれば、燃料電池セルの面積を増大させてセル枚数を削減した燃料電池を用いる場合や、燃料電池を複数の構造物に分割する場合に比べ、放熱しやすい端部セルが発電効率に与える影響が小さく、システム全体の発電効率を高めることが可能になる。このように、燃料電池の発電領域を機械構造的に分割するのではなく、電気的に分割することで所望の昇圧比を確保するという技術思想に基づくことにより、使用する昇圧コンバータやモータの特性によって燃料電池セルの設計をその都度大幅に変更することなく、既製の燃料電池スタックに集電板等を適宜挿入するだけで容易にシステムの設計仕様を変更することが可能となる。
以上、本実施形態によれば、燃料電池を積層方向に対して2つの発電領域に画定し、それぞれの発電領域から出力される電力を昇圧しているため、燃料電池の出力電圧を下げることなく(換言すると、燃料電池の出力電力を下げることなく)、FCコンバータの動作効率を高めることが可能となる。このように、燃料電池の発電領域を積層方向に複数画定し、各発電領域の電力を昇圧コンバータで昇圧させる燃料電池システムによれば、燃料電池セルの面積を増大させてセル枚数を削減した燃料電池を用いる場合や、燃料電池を複数の構造物に分割する場合に比べ、放熱しやすい端部セルが発電効率に与える影響が小さく、システム全体の発電効率を高めることが可能になる。このように、燃料電池の発電領域を機械構造的に分割するのではなく、電気的に分割することで所望の昇圧比を確保するという技術思想に基づくことにより、使用する昇圧コンバータやモータの特性によって燃料電池セルの設計をその都度大幅に変更することなく、既製の燃料電池スタックに集電板等を適宜挿入するだけで容易にシステムの設計仕様を変更することが可能となる。
<変形例>
なお、上記実施形態では、各発電領域の電力を2つの昇圧コンバータでそれぞれ昇圧していたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態は、燃料電池の各発電領域の電力を一つの昇圧コンバータで昇圧するようにしてもよい。なお、この場合、各発電領域の負荷配分を適宜調整し、各発電領域の電気化学反応を調整可能にする措置を講ずることが望ましい。また、上記実施形態では、燃料電池を2つの発電領域に画定していたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態は、燃料電池を3つ以上の発電領域に画定し、それぞれの発電領域の発電電力を昇圧コンバータで昇圧するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、各発電領域の電力を2つの昇圧コンバータでそれぞれ昇圧していたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態は、燃料電池の各発電領域の電力を一つの昇圧コンバータで昇圧するようにしてもよい。なお、この場合、各発電領域の負荷配分を適宜調整し、各発電領域の電気化学反応を調整可能にする措置を講ずることが望ましい。また、上記実施形態では、燃料電池を2つの発電領域に画定していたが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態は、燃料電池を3つ以上の発電領域に画定し、それぞれの発電領域の発電電力を昇圧コンバータで昇圧するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、燃料電池5を構成する燃料電池セルの極性がすべて同じ向きになるように構成されていたが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態は、発電領域AB,BCの極性が、燃料電池の積層方向の途中に設けられた集電板を境界にして互いに反転するように構成してもよい。極性は、燃料電池セルを流れる燃料ガスと酸化ガスの、MEAに対する向きにより決定されるため、集電板を境に、MEAを流れる燃料ガスと酸化ガスとの位置関係が互いに反転するようにすれば、2つの発電領域の極性が互いに反転する。図11は、本変形例に係る燃料電池シス
テム1の電気経路を詳細に示した回路図である。図11に示すように、本変形例に係る燃料電池5’は、符号Bを境界にして電気的な極性が反転するように構成されている。図11において示すように、本変形例は、発電領域AB,BCの燃料電池セルのアノード触媒電極側が互いに対峙し、カソード触媒電極側が端部セルの方向を向くように構成されている。このように構成される燃料電池5’によれば、温度が低くなることで電気化学反応の速度が著しく低下するアノード触媒電極が積層体の端部に位置することがなくなり、各発電領域間における熱交換によって集電板に近接する燃料電池セルのアノード触媒電極が冷えることがないため、各発電領域の極性を同じ方向にする場合に比べ、燃料電池の発電効率を高めることが可能になる。また、このように構成される燃料電池によれば、車体等の接地極に対する端部セル(すなわち、符号A及びC)の電位が、各発電領域の極性を同じ方向にする場合に比べて略半分の電位にすることが可能であるため、燃料電池の電気的な絶縁能力を下げることが可能であり、絶縁材等を薄くすることが可能である。なお、触媒電極が冷えることで発電効率が低下するのは温度低下によりフラッディングが生じやすくなるからであり、空気よりも温度の低い水素ガスが供給される側の温度が特に低下しやすいためである。
テム1の電気経路を詳細に示した回路図である。図11に示すように、本変形例に係る燃料電池5’は、符号Bを境界にして電気的な極性が反転するように構成されている。図11において示すように、本変形例は、発電領域AB,BCの燃料電池セルのアノード触媒電極側が互いに対峙し、カソード触媒電極側が端部セルの方向を向くように構成されている。このように構成される燃料電池5’によれば、温度が低くなることで電気化学反応の速度が著しく低下するアノード触媒電極が積層体の端部に位置することがなくなり、各発電領域間における熱交換によって集電板に近接する燃料電池セルのアノード触媒電極が冷えることがないため、各発電領域の極性を同じ方向にする場合に比べ、燃料電池の発電効率を高めることが可能になる。また、このように構成される燃料電池によれば、車体等の接地極に対する端部セル(すなわち、符号A及びC)の電位が、各発電領域の極性を同じ方向にする場合に比べて略半分の電位にすることが可能であるため、燃料電池の電気的な絶縁能力を下げることが可能であり、絶縁材等を薄くすることが可能である。なお、触媒電極が冷えることで発電効率が低下するのは温度低下によりフラッディングが生じやすくなるからであり、空気よりも温度の低い水素ガスが供給される側の温度が特に低下しやすいためである。
また、上記実施形態では、各発電領域の負荷配分について特記しなかったが、上記実施形態は以下のように制御してもよい。すなわち、上記燃料電池システムは、例えば、符号A,B,Cで示される電路上に図示しない電圧センサや電流センサをそれぞれ有しており、ECU11が各発電領域の出力電圧や出力電流に基づいて各発電領域の発電量を演算し、各発電領域の負荷配分が略均等になるようにFCコンバータ9A,Bのそれぞれの昇圧比を調整するようにしてもよい。両FCコンバータ9A,Bの出力側の回路は並列に接続されているため、各FCコンバータの昇圧比を調整することにより、各発電領域の出力電圧および出力電流の配分を調整することが可能である。また、各発電領域の負荷配分の調整は、発電電力量の瞬時値を比較することで負荷を均等に配分するようにしても良いし、発電効率の高い方の領域の負荷が低い方の領域の負荷よりも高くなるようにしても良いし、各発電領域の積算発電電力量を比較し、積算発電電力量が少ない方の領域の負荷が多い方の領域の負荷よりも高くなるようにしてもよい。各発電領域の発電効率は、単位電力あたりの燃料消費量や発熱量等により算出可能である。また、積算発電電力量は、ECU11内に設けられるメモリ等の記憶媒体に記録した各発電領域の電圧および電流のログを基に電力量を積算することにより算出可能である。このように、発電効率や発電履歴等に関連するパラメータに基づいて各FCコンバータの昇圧比を調整し、発電量の割合を調整することにより、燃料電池の効率的な運用を実現することが可能になる。
1・・・燃料電池システム
2・・・車両
3・・・モータ
4・・・インバータ
5,5’・・・燃料電池
6・・・バッテリ
7・・・水素タンク
8・・・コンプレッサ
9(A,B)・・・FC昇圧コンバータ
10・・・バッテリ昇圧コンバータ
11・・・ECU
12・・・アクセルペダルセンサ
13・・・燃料電池セル
14・・・エンドセル
2・・・車両
3・・・モータ
4・・・インバータ
5,5’・・・燃料電池
6・・・バッテリ
7・・・水素タンク
8・・・コンプレッサ
9(A,B)・・・FC昇圧コンバータ
10・・・バッテリ昇圧コンバータ
11・・・ECU
12・・・アクセルペダルセンサ
13・・・燃料電池セル
14・・・エンドセル
Claims (4)
- 燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により発電を行う燃料電池システムであって、
前記燃料ガスと前記酸化ガスとを電気化学反応させる燃料電池セルを複数積層した燃料電池と、
電力を昇圧する昇圧コンバータと、
積層された前記複数の燃料電池セルのうち、前記昇圧コンバータが所定の昇圧効率で動作するように該昇圧コンバータの昇圧比と昇圧効率との相関関係に基づいて選択される何れかの燃料電池セルから電力を取り出し、取り出した電力を該昇圧コンバータへ給電する給電部と、を備える、
燃料電池システム。 - 前記燃料電池は、前記給電部が電力を取り出す燃料電池セルを境界にして積層方向に分けられる複数の発電領域を有し、
前記昇圧コンバータは、前記複数の発電領域で発電される電力をそれぞれ昇圧する、
請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池は、前記給電部が電力を取り出す燃料電池セルを境界にして積層方向に分けられる2つの発電領域であって、該2つの発電領域の電気的な極性の方向が互いに反転しており、且つ互いにアノード極側を向くように構成される2つの発電領域を有し、
前記昇圧コンバータは、前記2つの発電領域で発電される電力をそれぞれ昇圧する、
請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記昇圧コンバータは、各発電領域の発電状態に関する所定のパラメータに基づいて昇圧比を調整することにより、該各発電領域の発電量の割合を調整する、
請求項2または3に記載の燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008067104A JP2009224169A (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008067104A JP2009224169A (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 燃料電池システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009224169A true JP2009224169A (ja) | 2009-10-01 |
Family
ID=41240736
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008067104A Withdrawn JP2009224169A (ja) | 2008-03-17 | 2008-03-17 | 燃料電池システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009224169A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012060822A (ja) * | 2010-09-10 | 2012-03-22 | Toyota Motor Corp | 電力変換装置及び電源供給装置 |
-
2008
- 2008-03-17 JP JP2008067104A patent/JP2009224169A/ja not_active Withdrawn
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