JP2009223213A - 路面標示地図生成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 道路を走行しながら路面をビデオカメラで撮影するとともに、各撮影地点の位置座標をGPS等で取得する。コンピュータは、この動画の各フレーム画像を変換して真上から見た状態の正射画像を生成し、撮影地点の位置座標に基づいて走行したパス上に配置することで、連結画像を生成する。次に、位置の異なる複数パス分の連結画像PIC54,PIC55を併せて表示し、オペレータの操作に基づき、両者に共通して写されている対応点P53〜P56を特定する。そして、画像撮影時の位置精度が低い側のパスの対応点を、位置精度が高い側のパスの対応点に一致するように、連結画像を構成する各正射画像の配置を平行移動する。こうすることによって、位置精度が高い路面画像を生成することができる。
【選択図】 図5
Description
特許文献1は、車輌の前後または側方に対してデジタルカメラ等により取得された画像から、路面の標示を含む静止画像を生成する技術を開示している。この技術では、目的の道路を車両で走行しながら、その車両に搭載されたデジタルカメラ等で路面の標示等を撮影する。そして、動画を構成する各フレーム画像を真上から見た状態の正射画像に変換し、撮影位置に応じて配列する。正射画像とは、道路の垂直上方の無限遠点に視点を置いた場合の道路画像を言う。複数のフレーム画像を配列することによって、1回の走行の軌跡(以下、パスと呼ぶこともある)に沿った道路面の合成画像を得ることができる。
例えば、道路内部の各地点の位置座標が詳細に得られている地図データが存在すれば、車両の現在位置に応じて、車両が道路のどの車線を走行しているかを判断して、車線変更の案内を行うことや、車両に横断歩道が接近していることを警告するなどの高機能な案内を実現することが可能となる。
しかし、従来の地図データは、これらの高精度、高機能な案内を実現するためには不十分な精度しか有していなかった。仮に車両の現在位置を精度良く把握したとしても、その位置情報を活かすだけの詳細な地図データが用意されていたとは言えなかったのである。
しかし、従来技術は、いずれも道道路面の合成画像を得ることを主目的としており、路面の標示の位置座標を得ることを目的としてはいなかった。
例えば、特許文献2の技術は、道路が直線か曲線かに関わらず車両の進行方向をX軸とし、その移動距離をX座標として画像を表しているに過ぎず、このX軸に直交する方向にのみ画像をアフィン変換するに過ぎない。複数のパスで得られた画像について、このように定められたX座標が十分に一致しているという保証はないから、特許文献2の技術では路面の標示の位置座標を精度良く得ることはできない。
また、アフィン変換は、原画像の長方形領域を平行四辺形に歪ませる作用を持つ変換とも言えるから、特許文献2の技術では、アフィン変換によって画像の合成を行うことにより画質の劣化を招き、路面の標示の位置座標を一層低下させるという課題もある。
一方、特許文献1記載の技術は、1回のパスで得られる画像に対する処理を開示しているのみであり、道路全体を十分にカバーすることができない。
本発明では、まず、コンピュータは、道路面を撮影する際の移動軌跡である複数のパスに沿って移動しながら標示を含む路面を撮影した連続画像の画像データと、この画像データの撮影位置を表す位置座標データとを入力する。
上述の画像データは、例えば、車両などの移動体に搭載した撮影装置によって撮影することができる。撮影装置としては、例えば、ディジタル・ビデオ・カメラなどを用いることができる。また、撮影装置には、撮影時の位置座標データを取得する位置計測装置を搭載しておくことが好ましい。位置計測装置は、例えば、GPS(Global Positioning System)や、ジャイロなどの慣性航法装置などを単独または組み合わせて用いることができる。また、処理の便宜上、撮影した画像と位置座標データを入力し、両者を同期させて記録する記録装置を用意しておくことが好ましい。
そして、こうして得られた正射画像を位置座標データに基づいて、パス上に配置することにより、各パスの路面を表す連結画像を生成して表示する。この際、正射画像の一部が重なっても良い。正射画像は、例えば、その中心線がパスの進行方向に沿う状態で配置することが好ましい。
こうすることで連結画像がパスの本数分だけ得られる。それぞれ位置座標に誤差が含まれるため、複数本の連結画像は、誤差に応じて、ずれて表示される。
こうして指定された点同士のずれは、位置座標の誤差を表すことになる。
この補正は、移動ベクトルに基づいて、連結画像を構成する領域ごとに平行移動することによって行う。この領域は、一旦、生成された連結画像を元の正射画像に相当するサイズまたは別の任意に設定されたサイズに分割したものでもよい。また、連結画像を生成する際に、正射画像を合成せずに配置するだけに留めておく場合には、各正射画像ごとに位置を修正するようにしてもよい。
そして、複数のパスの中から、一つを基準パスと設定し、この基準パスは固定した状態で、他のパスの位置を修正するため、基準パスの位置精度を確保した状態で、各パス間の位置精度の誤差を解消することができる。
以上の作用によって、本発明の生成方法によれば、位置精度を確保した状態で、路面の標示を含む合成画像を得ることができる。従って、この合成画像を用いることにより、路面の標示を含む路面標示地図を生成することが可能となる。ここで、路面標示地図は、この合成画像を用いた印刷物として生成してもよいし、合成画像に基づき路面標示の位置座標を取得して、電子化することにより、電子地図として生成してもよい。
コンピュータは各パスについて、位置座標データの精度の評価データを併せて入力し、この評価データに基づいて基準パスを設定するようにしてもよい。例えば、複数のパスのうち、評価データに基づいて位置精度が最も高いと評価されるパスを基準パスと設定する方法が挙げられる。こうして設定された基準パスに他のパスを合わせるようにして合成画像を生成すれば、最も高い位置精度を確保することが可能となる。
評価データは、直接に位置精度を定量的に表すデータとしてもよいし、位置精度の算出に用いることができるデータとしてもよい。
このように対応点を指定した場合でも、低解像度画像よりも高い解像度の正射画像を用いて合成画像を生成することが好ましい。こうすることにより、正射画像の解像度を十分に活かした合成画像を得ることができる。
連結画像を表示する際の解像度は固定とする必要はなく、解像度を可変としてもよい。例えば、オペレータが画像の拡大を指示した場合には解像度を高くし、縮小を指示した場合には低くしてもよい。
このように正射画像が保存されている場合には、保存されている正射画像を用いて容易に合成画像を生成することが可能となる。例えば、移動ベクトルに基づく平行移動を考慮した位置に、保存されている正射画像を再配置することによって合成画像を生成する方法を採ることができる。
第1の方法として、合成画像の生成においても、正射画像を一枚の画像として結合する処理を行わず、それぞれ配置するだけに留めるようにしてもよい。こうすることにより、各正射画像の代表点の位置をそのまま保持することができる。
第2の方法として、合成画像の生成時に、正射画像を一枚の画像として結合してしまう場合には、各正射画像の代表点の位置を、結合した画像内の相対的な座標系で表すことによって基準パスの位置を特定する情報を生成するようにしてもよい。
そこで、複数のパスに対する連結画像同士が重なっている領域に対しては、上側の連結画像を透過させて下側の連結画像を表示させるための透明化ポリゴンをオペレータが設定指示できるようにしてもよい。こうすれば、透明化ポリゴンが存在する領域では、上側の連結画像を透過させて、下側の連結画像を表示させることが可能となるから、画質の良好な標示を合成画像内に表示させることが可能となる。
上述の透明化ポリゴンに代えて、領域ごとに連結画像の上下関係を個別に指定可能としてもよい。例えば、ある領域では第1の連結画像を第2の連結画像よりも上に設定し、別の領域では第2の連結画像を第1の連結画像よりも上に設定するという態様を採ることができる。ただし、透明化ポリゴンを利用すれば、かかる方法よりも柔軟かつ軽い負荷で下側の連結画像に描かれた標示を表示させることができる利点がある。
本発明は、上述の生成方法に限らず、この生成方法によって道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成する生成装置として構成してもよい。
また、上述の生成方法をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラムとして構成してもよいし、かかるコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成してもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
A.システム構成:
A1.道路面撮影システム:
A2.路面標示地図生成装置:
B.処理概要:
B1.中間データ構成:
B2.処理例:
B3.位置合わせ加工概要:
C.路面標示地図生成方法:
C1.連結画像生成処理:
C2.位置合わせ加工:
C3.基準パス設定処理:
C4.連結画像移動処理:
C5.透明化ポリゴン設定処理:
D.効果:
本実施例では、車両に搭載したビデオカメラで撮影した道路面の画像を用いて、路面の標示を含む地図(以下、「路面標示地図」と呼ぶ)を生成する方法を示す。
本実施例のシステムは、道路面撮影システムと路面標示地図生成装置から構成される。道路面撮影システムは、道路を走行しながら道路面の画像をビデオカメラで撮影するシステムである。本実施例では、対象となる道路を、異なる走行軌跡で複数回走行し、それぞれ画像を撮影する。
路面標示地図生成装置は、道路面撮影システムで撮影された道路面の画像に基づいて路面標示地図を生成する装置である。まず、上述の各走行軌跡上に、撮影された画像を正射画像に変換した上で配置することで、道路面の一部の車線についての画像を生成する。そして、複数の走行軌跡の画像を、位置座標が整合するように配置することで道路全体の画像を生成する。
以下、道路面撮影システムと路面標示地図生成装置のシステム構成について説明する。
図1は実施例としての道路面撮影システムの構成を示す説明図である。
道路面撮影システム100は、車両に搭載されたシステムである。図の下方のブロック図に基づき、システム構成を説明する。
ビデオカメラ120は、走行中の道路面の画像を撮影する。
位置計測部110は、撮影中の位置座標を計測する装置である。位置計測部110は、GPS(Global Positioning System)114、IMU(Inertial
Measurement Unit)116、DMI(Distance Measuring Instrument)118およびコントローラ112から構成されている。GPS114は、全地球測位システムである。IMU116は、内部に3軸のジャイロおよび加速度センサを備えた慣性計測装置である。DMI118は、車輪の回転を検出して移動距離を計測する装置である。
また、これらの信号の取得後、位置座標の計測精度の評価値である自己推定位置精度σを併せて出力する。一般にGPS114は、位置座標の検出に使用される人工衛星の配置、電波の受信状況、建造物などに反射した電波を受信することによるマルチパスの有無などによって検出精度が変動することが知られている。またディファレンシャル測位では、基準局の稼働状況によっても検出精度は影響を受ける。自己推定位置精度σは、任意に定義可能である。例えば、GPS114の人工衛星の配置によって定まる精度低下率(DOP(Dilution of Precision))を用いて自己推定位置精度σを算出するようにしてもよい。
自己推定位置精度σは、取得されたデータを後述する路面標示地図生成装置で処理する際に、解析するようにしてもよい。
ビデオカメラ120は、前方画像を撮影できるよう、車両の前方に設置する。画角を広げるために広角レンズを装着してもよい。
GPS114のアンテナ114Aは、車両のルーフ上部に設置する。本実施例では、GPS用の人工衛星からの電波を確実に受信し、十分な位置精度を確保することができるよう、アンテナ114Aを車両の前後に主副の2台設置した。いずれか一台のみを用いるものとしてもよい。
IMU116、DMI118、コントローラ112は、それぞれ車両の後部に設置した。DMI118は、後輪の回転を検出可能に装着されている。
記録装置130およびハードディスク140は車室内の任意の場所に設置可能であるため、図示を省略した。
図2は実施例としての路面標示地図生成装置の構成を示す説明図である。道路面撮影システムで撮影された道路面の画像に基づいて路面標示地図を生成するための装置である。本実施例では、完全に自動で路面標示地図を生成するのではなく、適宜、オペレータからのコマンドによる指示を受けながら対話型または半自動で処理を進める方法を採用した。
表示制御部203は、コンピュータのディスプレイに、路面標示地図生成装置200での処理結果を表示したり、オペレータが種々のコマンドを指示するための画面を表示したりする。コマンド入力部202、表示制御部203の機能は、コンピュータのOS(Operating System)によって提供してもよい。
もっとも、基準局からのデータを用いることは必須ではない。計測データ146で得られた位置座標をそのまま用いるものとしてもよい。かかる場合には、軌跡データ算出部205は省略することも可能である。
1パス合成部207は、画像変換部206によって得られた各フレーム画像の正射画像を、その正射画像内の代表点が、撮影時の位置座標に基づいて定まる位置座標に来るように配置することによって、撮影時の走行軌跡(パス)に沿った道路面の画像を合成する。こうして合成された画像を、連結画像と呼ぶものとする。合成された連結画像は、処理データ記憶部210に保存される。
本実施例では、それぞれの道路に対して、異なる走行軌跡で、複数回走行して、撮影を行う。1パス画像合成部207は、それぞれのパスごとに合成画像を生成する。この結果、連結画像は、パスの本数に応じて、複数生成される。
位置合わせで得られた道路画像は、処理データ記憶部210に保存される。
B1.中間データ構成:
図3は路面標示地図の生成過程における中間データを示す説明図である。これらのデータは、順次、処理データ記憶部210(図2参照)に記憶される。
本実施例では、道路を走行しながらビデオカメラ120および位置計測部110で取得したデータが記録装置130としてのパーソナルコンピュータによってハードディスク140内に格納されている。格納されるデータとしては、画像データ142、計測データ146、および両者の同期をとるための同期データ144がある。
本実施例では、各道路を複数回走行して、道路面の画像を撮影する。従って、路面軌跡データ210bおよび路線軌跡データ210bは、各道路に対して複数パス分、生成されることになる。
連結画像210dは、路面テクスチャ210cを結合した一つの画像ファイルとして生成することもできる。本実施例では、後に続く処理の便宜上、合成画像として生成するのではなく、路面テクスチャ210cを配置して連結画像210dを生成するための情報(以下、「登録データ」と呼ぶこともある)を、路面テクスチャ210cの各画像と対応づけて格納するものとした。かかる情報には、路面テクスチャ210cを配置する位置座標、配置する際の姿勢(角度)、および隣接する路面テクスチャ210cを特定する情報、隣接する路面テクスチャ210cとの上下関係などを含めることができる。
道路画像210eについても、合成画像として生成してもよいし、路面テクスチャ210cを配置して道路画像210eを生成するための情報を、路面テクスチャ210cの各画像と対応づけて格納するようにしてもよい。本実施例では、後者の方法を採用した。それぞれの路面テクスチャ210cを配置する位置座標、配置する際の姿勢(角度)などの情報は、道路画像用登録データ210fとして保存されている。また、位置合わせの過程で、路線軌跡データ210bに対して、位置誤差を修正する処理が施されるため、この原データに対する修正過程を表す情報を、軌跡用登録データ210gとして保存する。
この他、連結画像210dのデータ(路面テクスチャ210c、路線軌跡データ210bを含む)も併せて保存する。原データである画像データ142、軌跡データ210aも保存しておくことが好ましい。仮に、合成画像化された形で連結画像210dを保存している場合には、道路画像210eは、連結画像210dを合成することになるため、合成の繰り返しで原データに比較して画質が劣化するおそれがある。これに対し、本実施例のように、路面テクスチャ210cも含めて、原データに近いデータを残しておくことにより、これらのデータを利用して道路画像210eを生成することが可能となる。従って、合成の繰り返しなど、画像データに重畳的に画像処理が施されることを抑制でき、道路画像210eの画質を向上させることが可能となる。
次に、本実施例における処理の概要理解を容易にするため、処理例を示す。
図4は実施例における道路画像の生成例を示す説明図である。図4(a)には、1本のパスに沿って得られた連結画像の生成例を示し、図4(b)には、複数パスの連結画像を配置して得られた道路画像の例を示している。
図4(a)中の直線L41〜L44は、それぞれ道路面撮影システム100で走行しながら道路画像を撮影した際の走行軌跡(パス)を表している。図4(a)のPIC41は、パスL43を走行して得られた画像データに基づいて生成された連結画像である。本実施例では、広角レンズを用いて撮影しているため、1回のパスでも複数車線を覆うだけの連結画像を得ることができている。連結画像の両端が、のこぎり刃状にギザギザになっているのは、画像データの各フレームを正射投影した際に生じる形状歪みの影響である。この連結画像PIC41は、ギザギザの山数に応じたフレーム数の正射画像(路面テクスチャ)を配置して生成されているのである。
このような連結画像は、図中のパスL41〜L44のそれぞれに対して得られる。
図5は位置合わせ加工の概要を示す説明図である。本実施例では、複数の連結画像に共通して撮影されている標示に基づいてオペレータが指定した対応点の位置を合わせるように、連結画像を平行移動することによって位置合わせを行う。
図5(a)には対応点が1つだけ指定された場合の処理方法を示した。図中には、2本の連結画像PIC51、PIC52が描かれている。これらには、それぞれ菱形の標示、つまり横断歩道の予告標示が含まれている。ただし、図5(a)左側の状態では、連結画像PIC51、PIC52には相対的に位置誤差があるため、標示の位置がずれている。
オペレータは、この表示画面を見ながら、マウス等のポインティングデバイスを用いて対応点を指定する。図の例では、横断歩道の予告表示の頂点に当たるP51、P52を指定した状態を示した。これらの対応点P51、P52は、連結画像PIC51、PIC52に位置誤差がなければ、本来、同じ位置に重なるはずの点である。そこで、本実施例では、対応点P51、P52が一致するよう、図中に矢印で示すように連結画像PIC51、PIC52を平行移動させる。
この際、連結画像PIC51、PIC52の一方を基準とし、他方を平行移動する方法を採った。図の例では、連結画像PIC51を基準とし、連結画像PIC52を移動させた例を示している。このように移動することにより、予告標示のずれが解消した状態の道路画像PIC53を得ることができる。
この状態で、オペレータが、2組の対応点を指定したとする。対応点P54、P53の組と、対応点P56、P55の組である。連結画像PIC54では、連結画像PIC55に含まれる予告標示M52は全体が描かれており、連結画像PIC54に含まれる予告標示M51は一部が消えている。このような状態であっても、対応点P55、P56が対応することは明らかであるため、対応点として指定することは可能である。
このように複数組の対応点が指定されると、連結画像PIC54を基準として、それぞれの対応点が一致するように、連結画像PIC55を移動させる。ただし、対応点P53をP54に一致させるための第1の移動量と、対応点P55をP56に一致させるための第2の移動量とが同じであるとは限らない。そこで、対応点P53とP55との間の領域では、第1の移動量、第2の移動量を直線補間して、各点の移動量を設定する。こうすることにより、予告標示のずれが解消した状態の道路画像PIC56を得ることができる。
この例では、連結画像PIC54中の予告標示M51は半分が欠けている。この状態で位置合わせを行うと、この例では、連結画像PIC54をPIC55の上側に重ねるように表示しているから、連結画像PIC55の予告標示M52は、連結画像PIC54によって覆い隠されてしまう。この結果、連結画像PIC55では完全な状態で描かれている標示M52を道路画像PIC56で活かすことができない。
そこで、このような場合に、オペレータの指示によって予告標示M52を取り囲むように透明化ポリゴンTP50を設定する。透明化ポリゴンTP50が設定された箇所では、上側の連結画像が透明化され、切り取られたように表示される。この結果、透明化ポリゴンTP50の部分では、連結画像PIC54の下側に配置された連結画像PIC55に描かれている予告標示M52が表示される。
本実施例では、このように透明化ポリゴンを設定可能とすることによって、それぞれの連結画像で描かれている標示を、道路画像においても有効活用することができる。
図6の例では、縦の道路については、それぞれ単一のパスしか存在しないため、パスBP61、BP62が基準パスとなる。
横の道路については、区間D61ではパスBP63bとNP61bのうち位置精度が高い側を基準パスとし、区間D62についてはBP64bとNP61bのうち位置精度が高い側を基準パスとする。ここでは、それぞれパスBP63b、BP64bが基準パスとして設定されているものとする。更に、パスBP63b、BP64b間の位置精度を比較して、優劣を決める。パスBP63b、BP64bはそれぞれ区間D61、D62の基準パスではあるが、一本の道路に配置された連続するパスなので、これらのパス間でも位置合わせを行う必要があるからである。図6の例では、パスBP63bの方が、パスBP64bよりも位置精度が高いものとする。
この結果、横のパスについては、基準パスBP63b>基準パスBP64b>標準パスNP61bの順に位置合わせの優先度が定まる。
まず、基準パスBP63bの位置合わせを行う。オペレータの指示によって、基準パスBP63b上の対応点P63bが指定され、その本来の位置として、点P63aが指定されたとする。この結果、基準パスBP63bは、対応点P63bが、点P63aに一致するように移動され、実線で示した基準パスBP63aが得られる。
図示を省略したが、基準パスBP63bに対応した連結画像も基準パスBP63aに合わせて移動する。本実施例では、基準パスBP63bに沿って路面テクスチャを配置することによって連結画像を表示しており、これらの路面テクスチャを合成してはいない。従って、基準パスBP63aへの移動が行われた場合には、基準パスBP63aに沿うように、各路面テクスチャの位置を平行移動することによって、基準パスBP63aの連結画像を得ることができる。
対応点が指定されると、基準パスBP64bは、対応点P65b、P64bが、点P65a、P64aに一致するように移動され、実線で示した基準パスBP64aが得られる。これに合わせて、基準パスBP64bの連結画像を構成していた路面テクスチャも、それぞれ基準パスBP64a上に平行移動される。
対応点が指定されると、標準パスNP61bは、対応点P68b、P67bが、点P68a、P67aに一致するように移動されるとともに、対応点P67b、P66bが、点P67a、P66aに一致するように移動される。これらの3点は一直線上にはないから、結果として、標準パスNP61bは、折れ線状の標準パスN61aに移動される。これに合わせて、標準パスNP61bの連結画像を構成していた路面テクスチャも、それぞれ標準パスNP61a上に平行移動される。
例えば、図6の処理において、位置精度が低い順、つまり標準パスNP61b、基準パスBP64b、基準パスBP63bの順に位置合わせをしたとする。この場合には、基準パスBP64bの位置合わせは、標準パスNP61bの位置合わせの影響を受け、位置精度が低下する。基準パスBP63bの位置合わせは、標準パスNP61b、基準パスBP64bの位置合わせの影響を受け、位置精度が低下する。従って、位置精度が低い順に位置合わせを行うと、パス間の相互作用によって全体の位置精度が低下してしまう。
本実施例では、これとは逆に、位置精度が高い順に位置合わせを行う。従って、最も位置精度が高いパスの位置精度を劣化させることなく、全体の位置合わせを行うことが可能となるのである。
以下、図1〜6で説明した路面標示地図の生成方法について、詳細に説明する。
まず、連結画像生成処理、つまり図3中の路面テクスチャ210c、路面軌跡データ210bに基づいて各パスの連結画像210dを得る処理について説明する。
次に、位置合わせ加工、つまり複数パスに対する連結画像210dの位置合わせを行う処理、および位置合わせ加工の中で行われる基準パス設定処理、連結画像移動処理について説明する。
最後に、透明化ポリゴンの設定処理について説明する。
図7は連結画像生成処理のフローチャートである。ハードウェア的には路面標示地図生成装置200のCPUが実行する処理である。これは、図2に示した画像変換部206、1パス合成部207の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは、まずフレームデータを読み込む(ステップS10)。フレームデータとは、道路面撮影システム100(図1)のビデオカメラ120で撮影された画像データ142を構成する各フレームの画像である。
領域A71は、上述の例に限らず、任意に設定可能である。ビデオカメラ120が一定のフレームレートで画像を撮影するため、フレームデータは、道路面を間欠的に撮影した画像群となる。従って、領域A71は、間欠的に撮影された画像群を並べた時に、道路が連続画像として再現できるように範囲を決定することが好ましい。例えば、領域A71の縦幅を狭くすれば、車両の速度が速い場合には、あるフレームデータから切り出された領域と、次のフレームデータから切り出された領域との間に隙間が生じやすくなる。一方、領域A71の縦幅を広くすれば、前方車両や空、建物など、道路画像とは異なる雑多な映像が含まれやすくなる。領域A71は、これらの影響を考慮した上で、設定すればよい。
先に説明した通り、このフレームデータの一部の領域A71を切り出して使用する。
下段には、領域A71の画像を正射投影変換した状態を例示した。道路を真上から見た画像に変換するため、左右の車線規制線L71、L72は図示する通り、平行な線分に変換される。標示M7も同様に真上から見た状態の形状に変換される。
まず、道路面撮影システム100を搭載した車両は水平面上を走行しており、被写体である道路も同一水平面上にあるものとする。
この時、道路画像、即ちフレームデータの画面上の2次元座標をm=[u,v]Tとする。また、地面に固定された世界座標系の3次元座標をM=[X,Y,Z]Tとする。これらの各座標に1の要素を直積で加えたベクトルを、次式(1)の通り定義する。
[Rt]は、外部パラメータ行列;
Rは回転行列;
tは平行移動行列;
Aは内部パラメータ行列である。
α、βはそれぞれu軸、v軸方向のスケール因子、γは2つの画像軸のスキューにより表されるパラメータ;
[u0,v0]Tは、画像の主点の座標(主点座標)である。
画像のピクセルサイズを(ku、kv)、u軸とv軸とのなす角をθ、焦点距離をfとすると、α、β、γは次式(4)で表される。
平行移動ベクトルtは、世界座標系において原点に対する実画像の画像主点の移動ベクトルである。
ビデオカメラ120の高さ(実画像の画像主点の高さ)をhとすると、平行移動ベクトルtは次式(5)で表される。
ヨー角φ、ピッチ角ω、ロール角κおよび画像主点の高さhは、次の手順で得られる。まず、初期状態、即ち車両が水平な地面に設置されている状態において、ヨー角φ0、ピッチ角ω0、ロール角κ0、および高さh0の基準値を計測しておく。次に、走行中には逐次、車両の姿勢角の変化および車高の変化をジャイロ、加速度センサ等で記録しておき、上述の基準値にこの変化を反映することで、各地点でのヨー角φ、ピッチ角ω、ロール角κおよび高さを得ることができる。
まず、被写体である道路面を水平面(Y=0)の画像であると仮定する。この時、式(2)より、次式(7)の関係が成立する。
まず、フレームデータを取得した各地点の位置座標データ(X0,Y0,Z0)と、被写体である道路面付近の複数点の位置座標(Xi,Yi,Zi)とから、被写体である道路面の勾配を計算する。本実施例では、勾配は一様であるものと仮定した。
具体的には、撮影地点の世界座標点(X,Y,Z)付近の位置座標データから、高さの変化Δhを求める。つまり、Δh=Y−Y0である。この時、一様な勾配を仮定すると、道路面上の世界座標系(X’,Y’,Z’)の点の奥行きZ’は次式(9)で求めることができる。
本実施例では、後に続く処理の便宜のため、正射画像(路面テクスチャ)を低解像度/高解像度の2通りで生成するものとした。高解像度の正射画像(路面テクスチャ)(以下、「高解像度画像」と呼ぶ)は、もとのフレームデータの切り出し領域A71をそのまま利用して生成された画像、即ち原画像と同じ解像度で生成された画像である。低解像度の正射画像(路面テクスチャ)(以下、「低解像度画像」と呼ぶ)は、解像度を原データよりも下げた画像である。低解像度画像の解像度は、路面標示地図生成装置200が軽い負荷で画像を表示することができる程度の値とすることが好ましく、原画像の解像度の半分など、任意に設定可能である。
各正射画像(路面テクスチャ)A72は、フレーム座標系(uv座標系)の原点に対応する点を、各フレームデータの撮影時の位置座標に基づいて配置すればよい。フレームデータは車両の位置よりも前方を写したものであるため、正射画像(路面テクスチャ)は、車両位置から一定距離だけ前方に移動させた地点に配置する必要がある。本実施例では、フレームデータ毎に車輌位置とフレーム座標系の位置関係を計算して配置する。また、正射画像(路面テクスチャ)は、時系列的に古い画像から新しい画像に順次、配置するものとした。
このように正射画像(路面テクスチャ)を配置することによって、道路面の車線境界線L71、L72および標示M7が再現される。
本実施例では、連結画像生成処理の段階では、正射画像(路面テクスチャ)を1枚の画像に結合することなく、配置して表示する状態に留めている。従って、1パス画像合成処理(ステップS14)で生成されるのは、合成画像ではなく、各正射画像(路面テクスチャ)の配置を決定する情報となる。もっとも、この処理において、正射画像(路面テクスチャ)を1枚の画像に結合する方法を採ることもできる。
図8は位置合わせ加工のフローチャートである。ハードウェア的には路面標示地図生成装置200のCPUが実行する処理である。これは、図2に示した位置合わせ処理部220の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは、まず処理の対象となる道路(以下、「対象道路」と言う)についてのオペレータからの指定を入力する(ステップS20)。そして、対象道路に対応する連結画像を入力する(ステップS22)。本実施例では、それぞれの道路について、走行位置を変えながら複数回走行して、路面画像を撮影している。従って、各走行に対応するパスに基づいて、それぞれ連結画像が生成されている。ステップS22では、これらの複数の連結画像を読み込む。
本実施例では、図中に示すように、基準パスおよび標準パスの連結画像をディスプレイに表示し、オペレータが、マウスなどのポインティングデバイスを操作して、この画面内で対応点を設定するという方法を採った。図の例では、標準パスの画像内で菱形をした横断歩道予告標示の頂点を対応点として指定し、次に、これに対応する頂点を基準パスの画像内で指定する例を示した。対応点は、1点に限らず、複数の点を指定可能である。
先に説明した通り、本実施例では、連結画像は一枚の合成画像として生成されている訳ではなく、正射画像(路面テクスチャ)を配置して表示している。従って、ステップS50の処理では、それぞれの正射画像(路面テクスチャ)を移動することで、連結画像の移動処理が行われる。移動処理と併せて、それぞれの正射画像を低解像度画像から高解像度画像に置換する処理が行われる。高解像度画像を用いて、正射画像を再配置する処理を行うものとしてもよい。
連結画像移動処理の内容は、後で詳述する。
図9は基準パス設定処理のフローチャートである。位置合わせ加工(図8)のステップS30に相当する処理であり、複数のパスの位置合わせをする際に、自己推定位置精度が最も高いものを基準パスとして設定するための処理である。
各パスの自己推定位置精度σが得られると、CPUはこの値が最小となるパスを基準パスとして設定する(ステップS33)。対象道路に対して単一のパスしか存在しない場合には、無条件にそのパスが基準パスとして設定されることになる。この基準パスの自己推定位置精度をσBとする。
これに対し、自己推定位置精度σBが、所定の閾値σTH以上の場合には、エラー表示を行って(ステップS35)、処理を終了する。この場合には、基準パスの位置精度が十分確保されていないことを意味するため、位置合わせ処理を行っても、位置精度が十分に保証されないからである。
所定の閾値σTHは、上述の通り、路面標示地図として確保すべき位置精度に基づいて任意に設定可能である。
もっとも、位置合わせ処理における修正は、いずれのパスに対してもできるだけ小さい方が、より好ましいと言える。従って、ステップS34において、全てのパスの自己推定位置精度を閾値σTHと比較し、いずれか一本でも、この閾値を下回る精度のパスが存在する場合にはエラー表示を行うようにしてもよい。
ただし、標準パスにも基準パスと同等の位置精度を要求すると、エラー表示が頻繁になされるおそれがある。かかる弊害を回避するため、標準パスでは基準パスよりも高い閾値σTHを用いるようにしてもよい。つまり、標準パスについては位置精度の要求を基準パスよりも緩めるのである。こうすることによって、標準パスについても最低限の位置精度を保証しつつ、エラー表示が頻繁になされるのを回避することができる。
(1)フローチャート:
図10は連結画像移動処理のフローチャートである。位置合わせ処理(図8)のステップS50の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは移動対象となる標準パスのデータおよび対応点のデータを入力する(ステップS51)。標準パスのデータとは、フレーム画像が撮影された時の位置座標を順次、記録した点列からなる軌跡データである。対応点のデータは、図8のステップS20において、基準パスおよび標準パスが表示された画面内でオペレータが指定した対応点の座標値である。
図中に移動ベクトルの算出例を示した。この例では、標準パスNP10について、対応点P101、P103が指定されているものとする。標準パス上には、図中に台形で示すように正射画像(路面テクスチャ)が配置されている。
また、対応点が一つしか指定されておらず、移動ベクトルが一つしか与えられない場合は、この移動ベクトルを用いる。
この処理と併せて、標準パスNP10上の点PP10の位置も移動ベクトルVP10によって修正される。従って、ステップS53の処理では、路面テクスチャの移動と共に、標準パスNP10の軌跡も修正されることになる。
図11は位置合わせ加工の処理例(1)を示す説明図である。図11(a)〜図11(c)のそれぞれには、標準パスNP11および基準パスBP11に対する連結画像を重ねて表示した状態を示している。図11(a)は標準パスNP11の連結画像を、基準パスBP11の連結画像よりも上に配置した状態である。先に説明した通り、連結画像は多数の路面テクスチャを配置することで構成されているが、図中には、説明の便宜上、一つの路面テクスチャTX11に輪郭を付して示した。
オペレータは、この画面中で、標準パスNP11における対応点P111を指定する。対応点P111は、任意に設定可能である。本実施例では、分離帯標示M11の白線の斜め縞模様の端点の一つを対応点P111として選択している。
対応点P112が指定されると、標準パスNP11の対応点P111から基準パスBP11の対応点P112に向かうように移動ベクトルV11が求められる。この移動ベクトルV11に従って、路面テクスチャTX11を移動すれば、対応点P111は対応点P112に一致し、分離帯標示M11、M12の位置も一致させることができる。
図12は位置合わせ加工の処理例(2)を示す説明図である。標準パスNP12、基準パスBP12の連結画像を重ねた状態を示した。説明の便宜上、双方の路面標示を視認可能な状態で示している。位置合わせ前は、標準パスNP12、基準パスBP12の位置がずれているため、車線境界線などの標示の位置はずれている。
オペレータは、ここでは破線での車線境界線の端点の一つを対応点として選択している。標準パスNP12については車線境界線L122の端点を対応点P122として選択し、基準パスBP12については車線境界線L121の端点を対応点P121として選択する。この結果、標準パスNP12の対応点P122から基準パスBP12の対応点P121に向かう移動ベクトルV12が定まる。
上述の通り、標準パスNP12の連結画像を、移動ベクトルV12に従って移動することによって、車線境界線の位置を合わせることができる。位置合わせの結果が車線境界線L13である。
また、この位置合わせ加工によって、標準パスも基準パスの位置に合わせられる。本実施例は、本来、異なる位置を走行した複数のパスを位置合わせすることによって、道路面の画像を生成する。この際、図12、図13の比較から分かる通り、対応点に基づいて設定される移動ベクトルに従って、標準パスを平行移動することにより、複数のパス間で、路面標示の位置関係およびパスの位置関係を、非常によく一致させることができる。
図14は路面標示の絶対位置座標の取得方法を示す説明図である。図の例では、標準パスNP14上の路面テクスチャTX142、基準パスBP14上の路面テクスチャTX141を例示した。路面テクスチャTX141、TX142内には、それぞれ標示M141、M142が含まれている。
路面テクスチャTX141、TX142は、それぞれの代表点が、基準パスBP14上の点P141、および標準パスNP14上の点P143に一致するように配置される。
(1)処理概要:
図15は透明化ポリゴン設定処理の概要を示す説明図である。透明化ポリゴン設定処理は、重ねられた道路画像上に、オペレータの指示によって、透明化ポリゴンを設定することによって、隣接するパスに対応する正射画像同士が重なり合っている部分で、上側の正射画像の一部を透明化して、下側の正射画像を透視可能とする処理である。
図の中央に、正射画像P152の上に正射画像P151が重ねられている様子を斜視図的に示した。下側の正射画像P152には、横断歩道A154が分断された状態で含まれており、停止線A153が完全な状態で含まれている。上側の正射画像P151には、横断歩道A152が完全な形で含まれており、停止線A151が分断された状態で含まれている。それぞれ分断された部分を、破線で囲んで示した。
この状態で正射画像P151、P152を重ねると、左側に示したように表示される。つまり、両者が重なった部分では、上側の正射画像P151の画像のみが表示されるため、横断歩道A152は完全な状態で表示されるが、停止線A151は分断された状態で示されてしまうのである。
仮に、正射画像P151、P152の上下関係を変えたとすれば、今度は、停止線A153は完全な状態で表示することができるが、横断歩道A154が分断された状態で表示されることになる。このように、正射画像P151、P152の上下関係だけでは、横断歩道、停止線の双方を完全な状態で表示させることはできない。
図16は透明化ポリゴン設定処理のフローチャートである。ハードウェア的には路面標示地図生成装置200のCPUが実行する処理である。これは、図2に示した透明化ポリゴン設定部221の処理に相当する。
処理を開始すると、CPUは、オペレータからの対象道路の指定を入力し(ステップS100)、対象道路に対応する連結画像を入力する(ステップS102)。対象道路に対して複数のパスが対応している場合には、これらのパスに対応する複数の連結画像が入力される。
本実施例では、優先パスは、オペレータが各パスの連結画像を比較しながら、任意に設定することができる。仮に、路面画像が最も粗いパスを優先パスに指定しても構わない。このような場合には、後述する透明化ポリゴンの設定数が増えるだけのことである。
図中に透明化ポリゴンの設定例を示した。この例では、優先パスに沿った路面テクスチャTX161と、その他のパスに沿った路面テクスチャTX162を示した。
撮影時には矩形の画像が、正射画像変換により、台形になるため、路面テクスチャTX161、TX162を配置すると、図示するようにのこぎり刃状になる。のこぎり刃状の部分からは、路面画像の見栄えを落とすと共に、分断された路面画像しか得られないため、完全な路面画像を得るという目的からは不要な部分となる。そこで、図の例では、路面テクスチャTX161、TX162が重なり合った部分では、のこぎり刃状になった路面テクスチャTX161の左端の部分に透明化ポリゴンPOL161を設定し、のこぎり刃状の部分が表示されないようにしている。
かかる設定は、単に路面テクスチャが重なっていない部分を避けて、オペレータが透明化ポリゴンを設定するという運用によって実現してもよいが、透明化ポリゴンの設定処理(ステップS106)において、透明化ポリゴンの設定位置を制限するようにしてもよい。つまり、路面テクスチャが重なり合っている部分についてのみ、オペレータによる透明化ポリゴンの設定操作を受け付けるようにしても良い。
図17は透明化ポリゴンを設定する前の道路画像例を示す説明図である。この例では、パスP171、P172の2本に沿って得られた連結画像の位置合わせを行って生成された道路画像を示した。パスP172の連結画像と、パスP171の連結画像とで、のこぎり刃状の両端の形状が逆向きになっているのは、これらのパスP171,P172を道路面撮影システム100の車両が走行する方向が逆だからである。
また、パスP172の路面画像が端の方で不鮮明なため、例えば、領域A171では横断歩道の縞模様が歪んでいる。領域A172では、停止線が分断された状態となっている。領域A173では、路線バス等優先通行帯(いわゆるバスレーン)であることを示す「バス専用」の文字が読めない程に崩れている。領域A174では、破線状の車線境界線が途中で分断された状態となっている。
このように透明化ポリゴンPOL17を設定すると、パスP172側の路面テクスチャは、透明化ポリゴンPOL17の内部では透視状態となり、下側に配置されたパスP171側の路面テクスチャが視認されるようになる。
領域A183では、バス専用の文字が、はっきりと判読可能な状態となる。領域A184では、車線境界線が完全な状態で表示される。
このように、本実施例では、透明化ポリゴンを設定することにより、道路画像の画質を向上させることができるとともに、道路面の標示の画質も向上させることができる。
以上で説明した実施例の道路面撮影システム100および路面標示地図生成装置200によれば、道路を走行しながら取得したフレーム画像を正射変換して得られた路面テクスチャを配置することにより、走行軌跡(パス)に沿って位置精度のよい連結画像を得ることができる。更に、複数のパスに沿って得られた連結画像同士を、位置合わせして合成することにより、道路全体の路面画像を得ることができる。この際、画像を撮影した際の各パスの位置精度が最も高いものを基準パスとして、他のパスをこの基準パスに合わせる方法を採ることにより、全体の位置精度を確保しつつ路面画像を生成することができる。
本実施例では、各パスの連結画像は、路面テクスチャを配置するまでに留め、これらを一枚の画像として合成していない。従って、路面テクスチャ単位で配置を平行移動することによって、複数パスの連結画像を容易に合成可能である。
例えば、連結画像は、路面テクスチャを合成した一枚の画像として生成してもよい。この場合、複数パスの合成を行う際には、連結画像を路面テクスチャに相当する複数の領域に分割した上で、領域ごとに平行移動すればよい。
本実施例では、車両に搭載したビデオカメラで撮影した画像を利用する例を示したが、車両に限らず自転車その他の種々の移動体を利用可能であり、歩行しながら撮影する方法を採っても良い。
110…位置計測部
110…計測データ
112…コントローラ
114…GPS
114A…アンテナ
116…IMU
118…DMI
120…ビデオカメラ
130…記録装置
140…ハードディスク
142…画像データ
144…同期データ
146…計測データ
150…基準局データ
200…路面標示地図生成装置
201…主制御部
202…コマンド入力部
203…表示制御部
204…データ入力部
205…軌跡データ算出部
206…画像変換部
207…1パス画像合成部
210a…軌跡データ
210b…路面軌跡データ
210c…路面テクスチャ
210d…連結画像
210e…道路画像
210f…道路画像用登録データ
210g…軌跡用登録データ
210…処理データ記憶部
220…位置合わせ処理部
221…透明化ポリゴン設定部
Claims (8)
- コンピュータによって道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成する生成方法であって、
(a) 前記道路面を撮影する際の移動軌跡である複数のパスに沿って移動しながら前記標示を含む路面を撮影した連続画像の画像データと、該画像データの撮影位置を表す位置座標データとを入力する工程と、
(b) 前記入力された画像データを構成する各フレーム画像を変換して、前記路面を真上から見た状態の正射画像を得る工程と、
(c) 前記正射画像を前記位置座標データに基づいて、前記パス上に配置することにより、前記各パスの路面を表す連結画像を生成して表示する工程と、
(d) 前記複数のパスのうち2本以上のパスの連結画像に共通して撮影されている領域内で、対応する対応点を特定するための指示を受け付ける工程と、
(e) 前記複数のパスのうち1本を基準パスとして設定する工程と、
(f) 前記対応する対応点の位置が一致するように設定された移動ベクトルに基づいて、前記基準パス以外のパスを構成する各領域ごとに平行移動して、前記複数のパスにまたがる前記道路面の合成画像を生成する工程とを備える生成方法。 - 請求項1記載の生成方法であって、
前記工程(a)は、前記位置座標データの精度の評価データを併せて入力し、
前記工程(e)は、前記複数のパスのうち、前記評価データに基づいて位置精度が最も高いと評価されるパスを前記基準パスとして設定する生成方法。 - 請求項1または2記載の生成方法であって、
前記工程(c)は、前記正射画像の解像度を低減した低解像度画像を用いて前記各パスの連結画像を表示し、
前記工程(f)は、前記低解像度画像よりも高い解像度の正射画像を用いて前記合成画像を生成する生成方法。 - 請求項1〜3いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(c)は、前記正射画像を保存したまま、前記連結画像を生成し、
前記工程(f)は、保存されている前記正射画像を用いて前記合成画像を生成する生成方法。 - 請求項1〜4いずれか記載の生成方法であって、
前記工程(f)は、前記合成画像の生成時において、該合成画像における前記基準パスの通過位置を特定可能な情報を保持しておく生成方法。 - 請求項1〜5いずれか記載の生成方法であって、更に、
(g) 複数のパスに対する前記連結画像同士が重なっている領域に対し、上側の連結画像を透過させて下側の連結画像を表示させるための透明化ポリゴンの設定指示を受け付け、
(h) 該透明化ポリゴンが存在する領域では、上側の連結画像を透過させて、下側の連結画像を表示させる工程を備える生成方法。 - 道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成する生成装置であって、
前記道路面を撮影する際の移動軌跡である複数のパスに沿って移動しながら前記標示を含む路面を撮影した連続画像の画像データと、該画像データの撮影位置を表す位置座標データとを入力する入力部と、
前記入力された画像データを構成する各フレーム画像を変換して、前記路面を真上から見た状態の正射画像を得る画像変換部と、
前記正射画像を前記位置座標データに基づいて、前記パス上に配置することにより、前記各パスの路面を表す連結画像を生成して表示する連結画像生成部と、
前記複数のパスのうち2本以上のパスの連結画像に共通して撮影されている領域内で、対応する対応点を特定するための指示を受け付ける対応点入力部と、
前記複数のパスのうち1本を基準パスとして設定する基準パス設定部と、
前記基準パス以外のパスの前記連結画像に対し、前記対応する対応点の位置が一致するように前記正射画像単位で平行移動して、前記複数のパスにまたがる前記道路面の合成画像を生成する合成画像生成部とを備える生成装置。 - 道路面に施された標示を含む路面標示地図を生成するためのコンピュータプログラムであって、
前記道路面を撮影する際の移動軌跡である複数のパスに沿って移動しながら前記標示を含む路面を撮影した連続画像の画像データと、該画像データの撮影位置を表す位置座標データとを入力するための入力サブプログラムと、
前記入力された画像データを構成する各フレーム画像を変換して、前記路面を真上から見た状態の正射画像を得る画像変換サブプログラムと、
前記正射画像を前記位置座標データに基づいて、前記パス上に配置することにより、前記各パスの路面を表す連結画像を生成して表示する連結画像生成サブプログラムと、
前記複数のパスのうち2本以上のパスの連結画像に共通して撮影されている領域内で、対応する対応点を特定するための指示を受け付ける対応点入力サブプログラムと、
前記複数のパスのうち1本を基準パスとして設定する基準パス設定サブプログラムと、
前記基準パス以外のパスの前記連結画像に対し、前記対応する対応点の位置が一致するように前記正射画像単位で平行移動して、前記複数のパスにまたがる前記道路面の合成画像生成サブプログラムとを備えるコンピュータプログラム。
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