JP2009222518A - 磁気式位置検出装置 - Google Patents

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文浩 鈴木
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Abstract

【課題】被検出体の位置を磁気抵抗効果センサにより検出する場合であれ、高い信頼性を維持しつつその位置を検出することのできる磁気式位置検出装置を提供する。
【解決手段】この磁気位置検出装置は、印加される磁界に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗素子からなる一組の磁気抵抗効果センサ120,121と、これら一組のセンサ120,121に磁界を印加する磁石102とを備える。そして、一組の磁気抵抗効果センサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値の比の値に基づいて磁石102の中心軸mに沿った方向の位置を検出するとともに、第1の磁気抵抗効果センサ120からの出力信号に基づいて磁石102の中心軸mを中心とした回転方向の位置を検出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁気抵抗素子からなる磁気抵抗効果センサを利用して被検出体の位置を検出する磁気式位置検出装置に関する。
この種の磁気式位置検出装置を利用したものとしては、例えば特許文献1に記載のバイワイヤ式のシフト装置が知られている。このシフト装置は、互いに直交する第1及び第2の軸方向の2つの軸方向にそれぞれ操作可能なシフトレバーと、このシフトレバーの第1及び第2の軸方向の操作位置をそれぞれ検出するための磁気式位置検出装置とを有している。ここで、この磁気式位置検出装置には、シフトレバーの第1の軸方向の操作に伴って所定の回転軸を中心に回転する第1の磁石と、シフトレバーの第2の軸方向の操作に伴って同第1の磁石の回転軸の方向に沿って往復動するヨークと、このヨークの往復動に伴って同ヨークが当接したり、あるいは離間したりする第2の磁石とが設けられている。また、この磁気式位置検出装置には、第1の磁石により形成される磁界の磁気ベクトルの変化を検出するとともに、検出される磁気ベクトルに応じて出力される電圧信号の変化する磁気抵抗効果センサ(MREセンサ)が設けられている。さらに、この磁気式位置検出装置には、第2の磁石により形成される磁界の磁束密度の変化を検出するとともに、検出される磁束密度の大きさに応じて出力される電圧信号の変化するホールセンサも設けられている。
シフト装置としてのこうした構成によれば、例えばシフトレバーが第1の軸方向に操作されたとすると、第1の磁石がその回転軸を中心に回転して同第1の磁石により形成される磁界の磁気ベクトルが変化するため、この磁気ベクトルの変化に伴いMREセンサの出力信号が変化する。したがって、このMREセンサの出力信号の変化に基づいてシフトレバーの第1の軸方向の操作を検出することができるようになる。また、例えばシフトレバーが第2の軸方向に操作されたとすると、ヨークが第2の磁石に当接したり、あるいは第2の磁石から離間したりして第2の磁石により形成される磁界の磁束密度が変化するため、この磁束密度の変化に伴いホールセンサの出力信号が変化する。したがって、このホールセンサの出力信号の変化に基づいて上記ヨークの位置を検出することができるようになるとともに、このヨークの位置からシフトレバーの第2の軸方向の操作も検出することができるようになる。
なお、この特許文献1には、第2の磁石により形成される磁界の磁束密度の変化を検出するためのセンサとして、上記ホールセンサに代えて、MREセンサを採用するようにしてもよい旨が記載されている。
特開2007−62664号公報
このように、第2の磁石により形成される磁界の磁束密度の変化を検出するためのセンサとしてMREセンサを採用するようにしたとしても、確かに上記ヨークの位置を検出することはできるようにはなる。ただし、MREセンサを構成する磁気抵抗素子は一般に、自身の有する温度等の影響を受けてその抵抗値が変化するといった物性を有するため、MREセンサの温度の変化に伴って同センサの出力信号も変化する。このため、MREセンサの出力信号に変化が生じた場合に、その変化が実際には同センサの有する温度等の変化に起因するものであるにもかかわらず、第2の磁石により形成される磁界の磁束密度の変化に起因するものであると誤判定するおそれがあり、ひいては上記ヨークの位置を誤検出するおそれがある。
なお、こうした問題は、バイワイヤ式のシフト装置に搭載されて上記ヨークの位置を検出する磁気式位置検出装置に限らず、ヨークに相当するものを被検出体として、同被検出体の位置を磁気抵抗効果センサを利用して検出する磁気式位置検出装置に共通する課題である。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検出体の位置を磁気抵抗効果センサにより検出する場合であれ、高い信頼性を維持しつつその位置を検出することのできる磁気式位置検出装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、印加される磁界に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗素子からなる一組の磁気抵抗効果センサと、磁石からなり前記一組の磁気抵抗効果センサに磁界を印加するとともに、前記一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動可能な被検出体とを備え、前記一組の磁気抵抗効果センサが、前記被検出体の移動方向に並設して配置されるとともに、前記被検出体と前記一組の磁気抵抗効果センサとの間の距離は、前記被検出体の移動に伴い前記一組の磁気抵抗効果センサに印加される磁界の磁束密度の大きさに変化が生じた際に、前記一組の磁気抵抗効果センサのうちの一方の磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子の抵抗値が飽和した状態を維持するとともに、他方の磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子の抵抗値に変化が生じる距離に設定され、印加される磁界の磁束密度の大きさに応じた出力電圧の大きさを示す値であるセンサ感度を前記一組の磁気抵抗効果センサについてそれぞれ検出した上で、これら検出されたセンサ感度の値の比の値を算出し、この算出された比の値に基づいて前記被検出体の移動方向の位置を検出することを要旨としている。
前述のように、磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子は一般に、自身の有する温度等の影響を受けてその抵抗値が変化するといった物性を有するため、印加される磁界の磁束密度の大きさに応じた出力電圧の大きさを示すセンサ感度の値も、同センサの温度等の変化に伴って変化する。ただし、印加される磁界に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗素子からなる一組の磁気抵抗効果センサを被検出体の移動方向に並設して配置した上で、これら一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値の比の値を算出するようにすれば、磁気抵抗素子の有する温度等の影響が相殺された値を得ることができるようになる。一方、被検出体が一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動したとすると、一組の磁気抵抗効果センサのうちの一方の磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子の抵抗値はほとんど変化することはないが、他方の磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子の抵抗値には変化が生じる。すなわち、一方の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値は飽和した状態に維持されるとともに、他方の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値は変化する。したがって、上記一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値の比の値は被検出体の移動方向の位置に応じて変化するため、このセンサ感度の値の比の値に基づいて被検出体の移動方向の位置を検出することができる。このため、同構成によれば、上記磁気抵抗素子の有する温度等の影響が軽減され、高い信頼性を維持しつつ被検出体の位置を検出することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記被検出体が、前記一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動可能であるとともに、その移動軸を回転軸として更に回転可能なものであって、前記被検出体の移動に伴い前記一組の磁気抵抗効果センサに印加される磁界の磁束密度に変化が生じた際に抵抗値が飽和した状態に維持される磁気抵抗素子から構成される一方の磁気抵抗効果センサから出力される電圧信号に基づいて前記被検出体の回転方向の位置を検出することを要旨としている。
磁気抵抗効果センサにあっては、例えば磁石により形成されて所定の回転軸を中心に回転する被検出体の回転方向の位置を検出することも可能であるが、この場合には、磁気抵抗素子の抵抗値が飽和する程度の大きさの磁束密度が磁気抵抗効果センサに印加されるように被検出体と磁気抵抗効果センサとの間の距離を予め調整する必要がある。この点、同構成によるように、被検出体の一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向への移動に伴い一組の磁気抵抗効果センサに印加される磁界の磁束密度に変化が生じた際に抵抗値が飽和した状態に維持される磁気抵抗素子から構成される一方の磁気抵抗効果センサから出力される電圧信号を利用して被検出体の回転方向の位置を検出するようにすれば、一組の磁気抵抗効果センサにより被検出体の移動方向の位置及びその回転方向の位置を共に検出することができるようになる。
本発明にかかる磁気式位置検出装置によれば、被検出体の位置を磁気抵抗効果センサにより検出する場合であれ、高い信頼性を維持しつつその位置を検出することができるようになる。
以下、本発明にかかる磁気式位置検出装置の一実施形態について図1〜図16を参照して説明する。ここで、図1は、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置の適用対象となるレバースイッチ装置が設けられた車両内部の斜視構造を示したものである。
同図1に示されるように、このレバースイッチ装置10は、車両の運転席のステアリング装置1の近傍の位置に固定配設されて、運転者自身によって操作される。そして、図2は、こうしたレバースイッチ装置10についてその斜視構造を示したものである。同図2に示されるように、このレバースイッチ装置10は、その本体として車両に固定されるレバーユニット本体11と、このレバーユニット本体11に片持ち支持されて車載機器のスイッチング操作に供される操作レバー12とを基本的に備える構成となっている。ここで、この操作レバー12は、例えば運転者による外力が印加された際に、レバーユニット本体11に支持された部分を基端として図中の矢印x1,x2で示す方向に傾動するとともに、図中の矢印y1,y2で示す方向にも傾動する。また、この操作レバー12の先端部には、同レバー12の長手方向に延びる中心軸mを中心に回動、すなわち図中の矢印a1,a2で示す方向に回動するロータリスイッチ13が設けられている。さらに、このロータリスイッチ13の先端部には、上記中心軸mに沿った方向、すなわち図中の矢印z1,z2で示す方向に移動するプッシュボタン14が設けられている。そして、このレバースイッチ装置10では、ロータリスイッチ13及びプッシュボタン14の操作を通じて、車両に搭載されるヘッドライト、スモールライト、及びフォグランプのスイッチングをそれぞれ操作する。一方、操作レバー12の内部には、ロータリスイッチ13及びプッシュボタン14の各操作位置を検出するための装置として、磁気抵抗効果センサ(MREセンサ)からなる磁気式位置検出装置が設けられている。次に、図3(a),(b)を参照して、この磁気式位置検出装置の構造について説明する。ここで、図3(a)は、操作レバー12の分解斜視構造を、また、図3(b)は、磁気式位置検出装置の正面構造をそれぞれ示したものである。
同図3(a)に示されるように、この磁気式位置検出装置100は、略円柱状に形成されたロータリスイッチ13の底面から上記中心軸mに沿って突設される可動シャフト101と、この可動シャフト101の先端部に取り付けられる直方体状の磁石102とを備えている。ここで、可動シャフト101は、ロータリスイッチ13に一体回転可能に取り付けられるとともに、プッシュボタン14の操作に連動してロータリスイッチ13に対し中心軸mの方向に相対移動する。また、この磁石102は、その中心が中心軸m上に位置するように可動シャフト101に取り付けられるとともに、中心軸mに直交する方向にN極とS極とが並ぶようにして着磁されている。一方、この操作レバー12では、運転者が同レバー12を操作する際に把持する部分となる円筒状のカバー15の内部にプリント基板110が固定されている。そして、上記可動シャフト101及び磁石102をカバー15内に挿入しつつロータリスイッチ13をカバー15に取り付けた際には、図3(b)に示されるように、プリント基板110と磁石102とが中心軸mに沿った方向に所定間隔だけ離間して互いに対向するかたちで配置されることとなる。そして、このプリント基板110の磁石102に対向する側の面には、中心軸m上に位置して第1のMREセンサ120が設けられるとともに、その反対側の面には、同じく中心軸m上に位置して第2のMREセンサ121が設けられている。すなわち、プリント基板110の両面には一組のMREセンサ120,121がそれぞれ配設されるとともに、各センサ120,121が中心軸mの方向に並設して配置され、また、第2のMREセンサ121が第1のMREセンサ120よりも磁石102から中心軸mの方向に離間した位置に配設されている。そして、これら一組のMREセンサ120,121には、磁石102から磁界が印加されている。
続いて、図4及び図5を参照して、ロータリスイッチ13の操作に伴う磁石102と一組のMREセンサ120,121との間の相対的な位置関係の変化、並びに磁界の変化について説明する。ここで、図4は、ロータリスイッチ13の側面構造を、また、図5(a)〜(c)は、先の図3(a)のA−A線に沿った断面構造をそれぞれ示したものである。なお、図4及び図5では、中心軸mを通る軸線m10を基準として、軸線m10から矢印a1で示す方向へ所定角度だけ回動した状態(位置)を軸線m11にて、また、軸線m11から矢印a1で示す方向へさらに所定角度だけ回動した状態(位置)を軸線m12にてそれぞれ示している。
図4に示されるように、このロータリスイッチ13は、その中心軸mを通る基準線mrが軸線m10と一致する位置を基準位置Pa0とし、通常はこの位置で保持されている。また、このロータリスイッチ13は、このように基準位置Pa0に保持されている状態から矢印a1で示す方向に外力が印加されると、上記基準線mrが軸線m11と一致する位置である第1の操作位置Pa1まで回動し、その位置が保持される。さらに、ロータリスイッチ13は、このように第1の操作位置Pa1に保持されている状態から矢印a1で示す方向に外力が印加されると、上記基準線mrが軸線m12と一致する位置である第2の操作位置Pa2までさらに回動し、その位置が保持される。ちなみに、ロータリスイッチ13は、第2の操作位置Pa2に保持されている状態から矢印a2で示す方向に外力が印加されると、第1の操作位置Pa1、あるいは基準位置Pa0まで復帰する。そして、ロータリスイッチ13が基準位置Pa0に位置している状態から第1の操作位置Pa1を経て第2の操作位置Pa2まで操作されたとすると、磁石102の位置が図5(a)〜(c)に示す態様にて変化する。
すなわち、磁石102は、可動シャフト101と一体となって中心軸mを中心に矢印a1で示す方向に回動し、その中心軸mを通る基準線mjが軸線m10と一致する基準位置Pα0から、同基準線mjが軸線m11と一致する第1の回転位置Pα1を経て、同基準線mjが軸線m12と一致する第2の回転位置Pα2まで回動する。そしてこのとき、一組のMREセンサ120,121に対する磁石102の中心軸mを中心とした回転方向の相対的な位置が変化し、一組のMREセンサ120,121に印加される磁界の磁気ベクトルが変化する。
次に、図6及び図7を参照して、プッシュボタン14の操作に伴う磁石102と一組のMREセンサ120,121との間の相対的な位置関係の変化、並びに磁界の変化について説明する。ここで、図6は、プッシュボタン14の正面構造を、また、図7は、磁気式位置検出装置100の正面構造をそれぞれ示したものである。なお、同図6では、上記中心軸mに交わる軸線m20を基準として、同軸線m20から矢印z1で示す方向へ所定距離だけ変位した状態(位置)を軸線m21にて示している。
図6に示されるように、このプッシュボタン14は、その端面の位置mpが軸線m20と一致する位置を基準位置Pz0とし、通常はこの位置で保持されている。また、このプッシュボタン14は、このように基準位置Pz0に保持されている状態から矢印z1で示す方向に外力が印加されると、その端面の位置mpが軸線m21と一致する第1の操作位置Pz1まで移動し、その位置が保持される。なお、このプッシュボタン14は、このように第1の操作位置Pz1に保持されている状態から矢印z1で示す方向にさらに外力が印加されると、矢印z1で示す方向に一旦移動した後に、その位置が基準位置Pz0まで復帰する。そして、プッシュボタン14が基準位置Pz0に位置している状態から第1の操作位置Pz1まで操作されたとすると、磁石102の位置が図7に示す態様にて変化する。
すなわち、磁石102は、可動シャフト101と一体となって矢印z1で示す方向に移動し、一組のMREセンサ120,121から離間した位置である図中の実線で示す第1の操作位置d0から、一組のMREセンサ120,121に近接した位置である図中の破線で示す第2の操作位置d1まで移動する。そしてこのとき、一組のMREセンサ120,121に対する磁石102の中心軸mに沿った方向の相対的な位置が変化し、磁石102が第2の操作位置d1に位置しているときの方がより大きな磁束密度が一組のMREセンサ120,121にそれぞれ印加されるようになる。
次に、図8を参照して、こうした磁気ベクトル及び磁束密度の変化を検出する一組のMREセンサ120,121の構造について説明する。図8は、一組のMREセンサ120,121の平面構造を示したものである。なお、一組のMREセンサ120,121のそれぞれの構造は同様であるため、この図8では、第2のMREセンサ121を構成する要素については括弧付きの符号にて示している。
同図8に示されるように、この一組のMREセンサ120,121には、上記磁石102により形成される磁界の変化を感知する磁気感知面が各々45°ずつ傾くかたちで同一の半導体基板上にて上記中心軸mを中心として環状に配置される各8つの磁気抵抗素子M11〜M18及びM21〜M28がそれぞれ設けられている。ちなみに、これらの磁気抵抗素子M11〜M18及びM21〜M28は、強磁性金属を主成分とする磁気抵抗膜からなり、印加される磁界に応じてその抵抗値が変化するとともに、所定の大きさを超える磁束密度が印加されることでその抵抗値が飽和するといった物性を有している。
図9は、こうした構造を有する一組のMREセンサ120,121の電気的な構成についてその等価回路を示したものである。なお、一組のMREセンサ120,121のそれぞれの電気的な構成も同様であるため、この図9でも、第2のMREセンサ121を構成する要素については括弧付きの符号にて示している。
同図9に示されるように、一組のMREセンサ120,121の各回路では、各4つの磁気抵抗素子M11〜M14及びM21〜M24により1つのフルブリッジ回路がそれぞれ構成されるとともに、各4つの磁気抵抗素子M15〜M18及びM25〜M28によりもう1つのフルブリッジ回路がそれぞれ構成されている。ここで、各回路では、磁気抵抗素子M11,M13及びM21,M23の間、並びに磁気抵抗素子M15,M17及びM25,M27の間に定電圧Vccがそれぞれ印加されるとともに、磁気抵抗素子M12,M14及びM22,M24の間、並びに磁気抵抗素子M16,M18及びM26,M28の間が各々接地されている。そして、各回路には、磁気抵抗素子M11,M12及びM21,M22の間の中点電位と、磁気抵抗素子M13,M14及びM23,M24の間の中点電位とをそれぞれ取り込んで差動増幅を行う差動増幅器140,150がそれぞれ設けられている。また、磁気抵抗素子M15,M16及びM25,M26の間の中点電位と、磁気抵抗素子M17,M18及びM27,M28の間の中点電位とをそれぞれ取り込んで差動増幅を行う差動増幅器141,151も設けられている。そして、各回路では、差動増幅器140,141,150,151による各差動増幅出力として、磁気抵抗素子M11〜M18及びM21〜M28に印加される磁界の変化に応じて連続的に変化する第1及び第2の正弦信号V11,V21と第1及び第2の余弦信号V12,V22とがそれぞれ出力される。なお、以下ではこれら第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12を第1の出力信号V11,V12と、また、第2の正弦信号V21及び第2の余弦信号V22を第2の出力信号V21,V22とそれぞれ略記する。
そして、図10に示すように、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、一組のMREセンサ120,121から出力されるこれら第1の出力信号V11,V12及び第2の出力信号V21,V22が車両の各種制御を統括する車両側制御装置200に取り込まれる。そして、同制御装置200は、第1の出力信号V11,V12及び第2の出力信号V21,V22に基づいて上記ロータリスイッチ13及びプッシュボタン14のそれぞれの操作位置を検出し、検出された上記ロータリスイッチ13及びプッシュボタン14のそれぞれの操作位置に基づいて車両のヘッドライト201、スモールライト202、及びフォグランプ203のスイッチングをそれぞれ制御する。
次に、第1の出力信号V11,V12及び第2の出力信号V21,V22に基づくプッシュボタン14の操作位置の検出方法について説明する。
まず、第1のMREセンサ120から出力される第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12はそれぞれ以下の(1),(2)で表すことができる。なお、これら(1),(2)において、V1は第1のMREセンサ120のセンサ感度(出力電圧の大きさ)を、また、θは磁石102の上記矢印a1,a2で示す方向の回転角度をそれぞれ示す。
V11=V1sinθ・・・(1)
V12=V1cosθ・・・(2)
一方、第2のMREセンサ121から出力される第2の正弦信号V21及び第2の余弦信号V22はそれぞれ以下の(3),(4)で表すことができる。なお、これら(3),(4)において、V2は第2のMREセンサ121のセンサ感度(出力電圧の大きさ)を示す。
V21=V2sinθ・・・(3)
V22=V2cosθ・・・(4)
ちなみに、一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2は、一組のMREセンサ120,121を構成する磁気抵抗素子の抵抗値の大きさに基づいて変化する値である。ここで、前述のように、一組のMREセンサ120,121をそれぞれ構成する磁気抵抗素子は、印加される磁界に応じてその抵抗値が変化するとともに、所定の大きさを超える磁束密度が印加されるとその値が飽和するといった物性を有している。すなわち、これらセンサ感度の値V1,V2は、一組のMREセンサ120,121に印加される磁界の磁束密度の大きさに応じて変化するとともに、所定の大きさを超える磁束密度が一組のMREセンサ120,121に印加されると飽和する値である。
ところで、一組のMREセンサ120,121については、それぞれ同様の回路構成を有してはいるものの、前述のように、それぞれが中心軸mの方向、すなわち上記矢印z1,z2で示す方向にずれて配置されている。このため、一組のMREセンサ120,121に印加される磁界の磁束密度の変化に伴うセンサ感度の値V1,V2の変化態様はそれぞれ若干異なる。
そこで、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、まず、第1の出力信号V11,V12から以下の(5)式に基づいて第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1を算出するとともに、第2の出力信号V21,V22から以下の(6)式に基づいて第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2を算出するようにしている。
V1=√(V11+V12)・・・(5)
V2=√(V21+V22)・・・(6)
そして、一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2の変化態様の違いを利用して磁石102の上記矢印z1,z2で示す方向の位置を検出し、これによりプッシュボタン14の操作位置を検出するようにしている。
続いて、図11を参照して、一組のMREセンサ120,121に印加される磁界の磁束密度の変化に伴う一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2の変化の様子について説明する。
ここで、図11は、磁石102の上記矢印z1,z2で示す方向の位置と一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2とについて、それぞれ横軸と縦軸とにとって両者の関係を示したグラフである。なお、図11のグラフにおいて、実線は第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1の変化傾向を、また一点鎖線は第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2の変化傾向をそれぞれ示している。
例えばいま、先の図7に示すように、磁石102が、基準位置Pz0よりも矢印z2で示す方向に離間した位置d2から、矢印z1で示す方向に移動して一組のMREセンサ120,121に徐々に近接したとする。このとき、一組のMREセンサ120,121に印加される磁界の磁束密度は徐々に大きくなる態様にて変化し、図11に示されるように、一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2は共に徐々に大きくなるとともに、次第に飽和して一定値に達する。ここで、これらセンサ感度のそれぞれの値V1,V2の変化態様を比較すると、まずは第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1が飽和した後、これに続くかたちで第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2が飽和する。
そして、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、磁石102と一組のMREセンサ120,121との間の距離を以下のように調整するようにしている。すなわち、磁石102が第1の操作位置d0から第2の操作位置d1まで移動して一組のMREセンサ120,121に印加される磁界の磁束密度に変化が生じた際に、第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1が飽和した状態を維持するとともに、第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2に変化が生じる距離に設定するようにしている。換言すれば、第1のMREセンサ120を構成する磁気抵抗素子M11〜M18の抵抗値が飽和した状態に維持されるとともに、第2のMREセンサ121を構成する磁気抵抗素子M21〜M28の抵抗値に変化が生じる距離に設定するようにしている。これにより、図12に示すように、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置が第1の操作位置d0から第2の操作位置d1へ変化した際に、第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1が一定値V1maxを示し、第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2がV2(d0)からV2(d1)まで増加するようになる。
ところで、磁石102の位置が第1の操作位置d0と第2の操作位置d1の間で変化する際には、磁石102の位置に応じて第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2が変化することから、例えばこのセンサ感度の値V2に基づいて磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置を検出することが可能であるとも考えられる。
しかしながら、前述のように、第1のMREセンサ120を構成する磁気抵抗素子M11〜M18も含め、第2のMREセンサ121を構成する磁気抵抗素子M21〜M28は、一般に、自身の有する温度等の影響を受けてその抵抗値が変化するため、第2のMREセンサ121の温度の変化に伴ってそのセンサ感度の値V2も変化する。具体的には、例えば、図13に二点鎖線で併せ示すように、第2のMREセンサ121の温度が低下した場合には、そのセンサ感度の値V2が全体的に大きくなる方向にシフトする。したがって、センサ感度の値V2に変化が生じた場合に、その変化が同磁気抵抗素子の温度変化等に起因するものであるか、あるいは磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置の変化に起因するものであるかを区別することが困難であり、センサ感度の値V2に基づいた磁石102の位置の検出は困難なものとなる。
そこで、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、こうした磁気抵抗素子の温度変化等の影響が一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2に反映されることに着目して、これらの比の値を算出することで磁気抵抗素子の温度変化等の影響が相殺された値を得るようにしている。具体的には、第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1を第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2で除算した値Vr12(=V1/V2)を算出した上で、この算出されたセンサ感度比の値Vr12に基づいて磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置、換言すればプッシュボタン14の操作位置を検出するようにしている。
図14は、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置とセンサ感度比の値Vr12とについて、それぞれ横軸と縦軸とにとって両者の関係を示したものである。
同図14に示されるように、センサ感度比の値Vr12は、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置が第1の操作位置d0から第2の操作位置d1へ変化したとすると、徐々に減少する態様で変化する。ここで、この磁気式位置検出装置100では、このセンサ感度比の値Vr12に対し、磁石102が第1の操作位置d0に位置しているときのセンサ感度比の値Vr12(d0)及び第2の操作位置d1に位置しているときのセンサ感度比の値Vr12(d1)の中間値Vrd(=(Vr12(d0)+Vr12(d1))/2)が閾値として設定されている。そして、同装置100では、第1の出力信号V11,V12及び第2の出力信号V21,V22からセンサ感度比の値Vr12を算出した上で、このセンサ感度比の値Vr12に基づいて以下のようにしてプッシュボタン14の操作位置を検出するようにしている。
a1.センサ感度比の値Vr12が閾値Vrd以上の値である旨が判断された場合。この場合には、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置が第1の操作位置d0であり、プッシュボタン14の操作位置は基準位置Pz0である旨が検出される。
a2.センサ感度比の値Vr12が閾値Vrdより小さい値である旨が判断された場合。この場合には、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置が第2の操作位置d1であり、プッシュボタン14の操作位置は第1の操作位置Pz1である旨が検出される。
続いて、ロータリスイッチ13の操作位置の検出方法について説明する。
本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、前述のように、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置が第1の操作位置d0と第2の操作位置d1との間で変化した際に、第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1は飽和した状態を維持する。すなわち、この第1のMREセンサ120から出力される第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12には、磁石102から同センサ120に印加される磁界の磁束密度の大きさの変化の影響、換言すればプッシュボタン14の操作位置の影響が及ぶことはない。そこで、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12に基づいて同磁石102の上記矢印a1,a2で示す方向の回転位置を検出し、これによりロータリスイッチ13の操作位置を検出するようにしている。
図15は、磁石102の上記矢印a1,a2で示す方向への回転角度θと第1の出力信号V11,V12とについて、それぞれ横軸と縦軸とにとって両者の関係を示したグラフである。
同図15に示されるように、第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12は、磁石102の上記矢印a1,a2で示す方向への回転角度θに応じて、それぞれ正弦波状及び余弦波状に変化する。そして、図16は、これら第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12に基づき算出される逆正接値Vat(=arctan(V12/V11))の変化傾向を示したグラフである。
同図16に示されるように、この逆正接値Vatは、回転角度θに応じて正の値から負の値へと直線状に緩やかに減少するとともに、所定の周期で正の値となって再び減少するといった変化を繰り返し、その値がジグザグ状に変化する。そして、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置100では、磁石102と第1のMREセンサ120との間の上記矢印a1,a2で示す方向の相対的な位置が以下のように調整されている。すなわち、磁石102が、先の図5(a)〜(c)に示した基準位置Pα0に位置している状態から第1の回転位置Pα1を経て第2の回転位置Pα2まで回動した際に、逆正接値Vatが正の値Vat1から「0」の値を経て負の値Vat2へと直線状に変化するように、それらの間の相対的な位置が調整されている。ここで、この磁気式位置検出装置100では、この逆正接値Vatに対し、正の値Vat1の半分の値(Vat1/2)と負の値Vat2の半分の値(Vat2/2)とが閾値としてそれぞれ設定されている。そして、同装置100では、第1の正弦信号V11及び第1の余弦信号V12から逆正接値Vatを算出した上で、この逆正接値Vatに基づいて以下のようにしてロータリスイッチ13の操作位置を検出するようにしている。
b1.逆正接値Vatが閾値(Vat1/2)以上の値である旨が判断された場合。この場合には、磁石102の矢印a1,a2で示す方向の回転位置が基準位置Pα0であり、ロータリスイッチ13の操作位置が基準位置Pa0である旨が検出される。
b2.逆正接値Vatが閾値(Vat1/2)よりも小さい値であり、且つ閾値(Vat2/2)以上の値である旨が判断された場合。この場合には、磁石102の矢印a1,a2で示す方向の回転位置が第1の回転位置Pα1であり、ロータリスイッチ13の操作位置が第1の操作位置Pa1である旨が検出される。
b3.逆正接値Vatが閾値(Vat2/2)よりも小さい値である旨が判断された場合。この場合には、磁石102の矢印a1,a2で示す方向の回転位置が第2の回転位置Pα2であり、ロータリスイッチ13の操作位置が第2の操作位置Pa2である旨が検出される。
磁気式位置検出装置としてのこのような構成によれば、一組のMREセンサ120,121の温度等の影響によって磁気抵抗素子M11〜M18及びM21〜M28の抵抗値が変化した場合であっても、同磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置を検出することができるようになる。また、同時に、同磁石102の矢印a1,a2で示す方向の回転位置も検出することができるようにもなる。
以上説明したように、本実施形態にかかる磁気式位置検出装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)印加される磁界に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗素子からなる一組のMREセンサ120,121を矢印z1,z2で示す方向に並設した上で、磁石102により一組のMREセンサ120,121に磁界を印加するようにした。そして、一組のMREセンサ120,121と磁石102との間の距離を、磁石102の位置が矢印z1,z2で示す方向に変化した際に、第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1が飽和した状態を維持するとともに、第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2に変化が生じる距離に設定するようにした。換言すれば、第1のMREセンサ120を構成する磁気抵抗素子M11〜M18の抵抗値が飽和した状態に維持されるとともに、第2のMREセンサ121を構成する磁気抵抗素子M21〜M28の抵抗値に変化が生じる距離に設定するようにした。さらに、一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2の比の値であるセンサ感度比の値Vr12を算出し、算出されたセンサ感度比の値Vr12に基づいて磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置を検出するようにした。これにより、一組のMREセンサ120,121の温度等の影響が軽減されるようになり、ひいては高い信頼性を維持しつつ磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置を検出することができるようになる。また、同時に、磁石102の矢印a1,a2で示す方向の回転位置も検出することができるようにもなる。
(2)一組のMREセンサ120,121をプリント基板110の両面に配置するようにした。これにより、一組のMREセンサ120,121を矢印z1,z2で示す方向に並設することが容易となる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、一組のMREセンサ120,121をプリント基板110の両面に配置するようにしたが、例えば第1のMREセンサ120に相当するセンサチップと第2のMREセンサ121に相当するセンサチップとを重ねて実装する、いわゆるスタック実装によりプリント基板110の一方の面に重ねて設けるようにしてもよい。また、一組のMREセンサ120,121をリードフレームの両面に配置するようにしてもよい。要は、一組のMREセンサ120,121が矢印z1,z2で示す方向に並設して配置される構造を有していればよい。
・上記実施形態では、一組のMREセンサ120,121のセンサ感度のそれぞれの値V1,V2の比の値として、第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1を第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2で除算した値Vr12(=V1/V2)を採用するようにした。これに代えて、例えば第2のMREセンサ121のセンサ感度の値V2を第1のMREセンサ120のセンサ感度の値V1で除算した値(V2/V1)を採用するようにしてもよい。
・上記第1のMREセンサ120は、磁石102の矢印a1,a2で示す方向の回転位置を検出する部分として機能するため、これを構成する各磁気抵抗素子M11〜M18を中心軸mを中心として環状に配置することが望ましい。一方、第2のMREセンサ121は、磁石102の矢印a1,a2で示す方向の位置を検出する部分としては機能しないため、これを構成する各磁気抵抗素子M21〜M28を中心軸mを中心として環状に配置する必要はない。このため、例えば第2のMREセンサ121を中心軸mからずれた位置に配置するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、本発明にかかる磁気式位置検出装置をレバースイッチ装置10に適用して、操作レバーのロータリスイッチ13及びプッシュボタン14のそれぞれの操作に連動して動く磁石102の位置を検出することでこれらロータリスイッチ13及びプッシュボタン14の操作位置を検出するようにした。これに代えて、例えばカーナビゲーションシステムに適用して、同システムを操作するための操作レバーの回転操作及びプッシュ操作に連動して動く磁石を設けた上で、この磁石の位置を検出することで操作レバーの回転操作及びプッシュ操作を検出するようにしてもよい。要は、磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動可能であるとともに、その移動軸を回転軸として回転可能な被検出体を備え、この被検出体の移動方向及び回転方向の位置を検出するものであればよい。
・上記各実施形態では、磁石102の矢印z1,z2で示す方向の位置、及び矢印a1,a2で示す方向の位置をそれぞれ検出するようにしたが、例えばロータリスイッチ13の設けられていないレバースイッチ装置にあっては、矢印z1,z2で示す方向の位置のみを検出するようにしてもよい。要は、磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動可能な被検出体を備え、この被検出体の移動方向の位置を検出するものであればよい。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
(イ)請求項1又は2に記載の磁気式位置検出装置において、前記被検出体に対向して配設されるプリント基板を更に備え、前記一組の磁気抵抗効果センサが、前記プリント基板の両面に配置されることを特徴とする磁気式位置検出装置。同構成によるように、一組の磁気抵抗効果センサを上記被検出体の移動方向に並設して設けるにあたり、例えば被検出体に対向してプリント基板を設けた上で、一組の磁気抵抗効果センサをこのプリント基板の両面に配置するようにすれば、請求項1又は2に記載の磁気式位置検出装置の実現も容易となる。
(ロ)請求項1に記載の磁気式位置検出装置において、車両に設けられた操作レバーの操作を通じて車載機器のスイッチングを操作するレバースイッチ装置であって、前記操作レバーには、押圧操作されるプッシュボタンが設けられ、前記被検出体が、前記プッシュボタンの押圧操作に伴って前記一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動するものであり、前記一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値の比の値に基づいて前記プッシュボタンの押圧操作を検出することを特徴とする磁気式位置検出装置。近年、例えば車両に設けられて車載機器のスイッチングを操作するための操作レバーにあっては、その多機能化の要求の高まりとともに、レバーの傾動操作による車載機器のスイッチング操作のみならず、新たにプッシュボタンを設けた上で、このプッシュボタンの押圧操作を通じて車載機器のスイッチングを操作するようにしたものがある。このため、プッシュボタンの押圧操作を検出するための装置として上述した磁気式位置検出装置が採用されることの意義は大きい。
(ハ)請求項2に記載の磁気式位置検出装置において、車両に設けられた操作レバーの操作を通じて車載機器のスイッチングを操作するレバースイッチ装置であって、前記操作レバーには、押圧操作されるプッシュボタンと回転操作されるロータリスイッチとが設けられ、前記被検出体が、前記プッシュボタンの押圧操作に伴って前記一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動するとともに、前記ロータリスイッチの回転操作に伴ってその移動軸を中心に回転するものであり、前記一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値の比の値に基づいて前記プッシュボタンの押圧操作を検出するとともに、前記被検出体の同センサに対して近接及び離間する方向への移動に伴い前記印加される磁界の磁束密度に変化が生じた際に抵抗値が飽和した状態に維持される磁気抵抗素子から構成される一方の磁気抵抗効果センサから出力される電圧信号に基づいて前記ロータリスイッチの回転操作を検出することを特徴とする磁気式位置検出装置。近年、例えば車両に設けられて車載機器のスイッチングを操作するための操作レバーにあっては、その多機能化の要求の高まりとともに、同レバーの傾動操作による車載機器のスイッチング操作のみならず、新たにロータリスイッチやプッシュボタンを設けた上で、これらロータリスイッチの回転操作やプッシュボタンの押圧操作を通じて車載機器のスイッチングを操作するようにしたものがある。このため、こうしたロータリスイッチの回転操作やプッシュボタンの押圧操作を検出するための装置として上述した磁気式位置検出装置が採用されることの意義は大きい。
本発明にかかる磁気式位置検出装置の一実施形態についてその適用対象となるレバースイッチ装置が設けられた車両内部の斜視構造を示す斜視図。 同実施形態の磁気式位置検出装置の適用対象となるレバースイッチ装置についてその斜視構造を示す斜視図。 (a),(b)は、同実施形態の磁気式位置検出装置の適用対象となるレバースイッチ装置の操作レバーについてその分解斜視構造を示す斜視図、及び同磁気式位置検出装置の正面構造を示す正面図。 同実施形態の磁気式位置検出装置の適用対象となるレバースイッチ装置についてその操作レバーに設けられるロータリスイッチの側面構造を示す側面図。 (a)〜(c)は、ロータリスイッチの操作位置が基準位置Pa0,第1の操作位置Pa1,及び第2の操作位置Pa2であるときの図3のA−A線に沿った断面構造をそれぞれ示す断面図。 同実施形態の磁気式位置検出装置の適用対象となるレバースイッチ装置についてその操作レバーに設けられるプッシュボタンの正面構造を示す正面図。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその正面構造を示す正面図。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその磁気抵抗効果センサの平面構造を示す平面図。 同実施形態の磁気式位置検出装置の磁気抵抗効果センサについてその等価回路を示す回路図。 同実施形態の磁気式位置検出装置の適用対象となるレバースイッチ装置のスイッチング操作系についてそのシステム構成を示すブロック図。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその磁石の軸方向の位置と一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度のそれぞれの値との関係を示すグラフ。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその磁石の軸方向の位置と一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度のそれぞれの値との関係を示すグラフ。 磁石の軸方向の位置に応じた第2の磁気抵抗効果センサのセンサ感度の値の変化について磁気抵抗効果センサの温度変化の影響を示すグラフ。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその磁石の軸方向の位置と一組の磁気抵抗効果センサのセンサ感度比の値との関係を示すグラフ。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその磁石の回転方向の位置と第1の磁気抵抗効果センサの出力信号である正弦信号及び余弦信号との関係を示すグラフ。 同実施形態の磁気式位置検出装置についてその磁石の回転方向の位置と第1の磁気抵抗効果センサの出力信号である正弦信号及び余弦信号に基づき算出される逆正接値との関係を示すグラフ。
符号の説明
M11〜M18,M21〜M28…磁気抵抗素子、1…ステアリング装置、10…レバースイッチ装置、11…レバーユニット本体、12…操作レバー、13…ロータリスイッチ、14…プッシュボタン、15…カバー、100…磁気式位置検出装置、101…可動シャフト、102…磁石、110…プリント基板、120…第1の磁気抵抗効果センサ(第1のMREセンサ)、121…第2の磁気抵抗効果センサ(第2のMREセンサ)、140,141,150,151…差動増幅器、200…車両側制御装置、201…ヘッドライト、202…スモールライト、203…フォグランプ。

Claims (2)

  1. 印加される磁界に応じて抵抗値の変化する磁気抵抗素子からなる一組の磁気抵抗効果センサと、磁石からなり前記一組の磁気抵抗効果センサに磁界を印加するとともに、前記一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動可能な被検出体とを備え、
    前記一組の磁気抵抗効果センサが、前記被検出体の移動方向に並設して配置されるとともに、
    前記被検出体と前記一組の磁気抵抗効果センサとの間の距離は、前記被検出体の移動に伴い前記一組の磁気抵抗効果センサに印加される磁界の磁束密度の大きさに変化が生じた際に、前記一組の磁気抵抗効果センサのうちの一方の磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子の抵抗値が飽和した状態を維持するとともに、他方の磁気抵抗効果センサを構成する磁気抵抗素子の抵抗値に変化が生じる距離に設定され、
    印加される磁界の磁束密度の大きさに応じた出力電圧の大きさを示す値であるセンサ感度を前記一組の磁気抵抗効果センサについてそれぞれ検出した上で、これら検出されたセンサ感度の値の比の値を算出し、この算出された比の値に基づいて前記被検出体の移動方向の位置を検出する
    ことを特徴とする磁気式位置検出装置。
  2. 前記被検出体が、前記一組の磁気抵抗効果センサに対して近接及び離間する方向に移動可能であるとともに、その移動軸を回転軸として更に回転可能なものであって、前記被検出体の移動に伴い前記一組の磁気抵抗効果センサに印加される磁界の磁束密度に変化が生じた際に抵抗値が飽和した状態に維持される磁気抵抗素子から構成される一方の磁気抵抗効果センサから出力される電圧信号に基づいて前記被検出体の回転方向の位置を検出する
    請求項1に記載の磁気式位置検出装置。
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