JP2009221625A - 腐食を促進しない導電性繊維シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】帯電性繊維シート基材が少なくとも部分的に導電性高分子で被覆されている導電性繊維シートであって、基材をドーパントを含む酸化剤水溶液で含浸し、これを気相のモノマーと接触させ、酸化重合によって基材上に導電性ポリマーを生成される。重合で使用したアニオン成分はアルカリ水溶液を接触させ、金属部品の腐食を促進しなくなるまで中和除去する。
【選択図】なし
Description
例えば、レーザープリンターや複写機で紙などに帯電した静電気を除電するために自己放電型の除電ブラシが使用されている。この除電ブラシには、混合紡糸法により得られたカーボンの導電糸を部分的に編み込んだ部分導電性繊維、硫化銅を被覆した導電性繊維、金属をコーティングした導電性繊維などの繊維が使用されている。形状は櫛歯状や鋸歯状などに加工した除電ブラシが知られている。最近では、導電性ポリマーを繊維表面または繊維内部に複合化した導電性シートが報告されている。
好ましくは、導電性高分子による被覆は、帯電性繊維シートをドーパントを含む酸化剤水溶液で含浸し、含浸した基材を気相のピロールモノマーと接触させ、基材上に酸化重合した導電性高分子の被覆を生成させる。金属部品との接触によって腐食を促進するアニオンは、重合に使用したドーパントおよび酸化剤であるが、これらの成分を除去するには、被覆後処理した繊維シートを水酸化ナトリウムのようなアルカリ水溶液で処理して中和し、脱イオン水で十分に洗浄し、乾燥することによって達成することができる。場合により、導電性高分子の被覆の脱落を防止するため最後にバインダー樹脂で処理し、導電性高分子の接着を強化してもよい。
マージンを除いて幅24cm、長さ120cm、厚み0.7mm、目付100g/m2のポリエステル不織布を、過硫酸アンモニウム1.4%、パラトルエンスルホン酸1%の水溶液(pH1.35)に浸漬し、マングルにて過剰の溶液を除去した。その後湿った不織布を平坦に広げた状態で反応室に入れ、室内に設置したエバポレーターからピロールの蒸気を室内に充満させ、1時間放置してピロールの気相重合を行った。反応終了後不織布を反応室から取出し、10Lの蒸留水で3回洗浄し、マングルにて水切りした後、105℃で1時間乾燥した。処理前および処理後の重量差から、ポリピロールの付着率は1.2%と計算された。
その後、2LのビーカーにpH5.8、5μS/cmの電気伝導度であるイオン交換水1Lを入れ、その中に作製された24×24cm大の導電性不織布を1枚入れた。5分間十分に攪拌後のイオン交換水はpH4.3を示した。
導電性不織布を含浸させたpH4.3の水溶液に、5分間十分に攪拌させた後のPHが8.5になるまで10%の水酸化ナトリウム水溶液を添加した。その後、導電性不織布を取り出し、1Lの蒸留水で3回洗浄を行った。マングルにて水切りした後、105℃で1時間乾燥した。この操作で導電性不織布を5枚とも処理を行った。再びpH5.8のイオン交換水1Lに中和された導電性不織布を含浸し、5分間十分に攪拌後の5枚の平均pHは5.7であった。これらの作製した5枚の導電性不織布をマングルにて水切りした後、105℃で1時間乾燥した。得られた導電性不織布の5枚の平均表面抵抗率を測定したところ、6×105Ω/□であった。これらの導電性不織布を3×22cmにカットし、摩擦堅牢試験を行った。3枚の平均堅牢度は2−3級であった。カットして残った導電性不織布のポリピロールの1次粒子径を観察すると、90%以上が10〜50nmのサイズであった。蒸留水が入っているポリエステル容器に中和処理によって得られた導電性不織布を貼り付けて、その上に150×70mmの軟鋼板を載せたものを2セット用意した。それを50℃の乾燥機で24時間放置した。取り出した軟鋼板の表面の錆びは確認されなかった。
基材を目付100g/m2のポリエステル織布に変更したことを除き、実施例1の操作を繰り返した。得られたポリエステルの平均表面抵抗率および中和乾燥後の平均表面抵抗率は、それぞれ1×105Ω/□および5×106Ω/□であった。また、3枚の平均堅牢度は4級であり、ポリピロールの1次粒子径は、90%以上が10〜50nmのサイズであった。腐食試験において、軟鋼板の錆びは確認できなかった。
ドーパントを含む酸化剤含浸溶液を、過硫酸アンモニウム1.4%、パラトルエンスルホン酸1%、アンモニアでpH9.0に調節した水溶液に変更したことを除き、実施例2の操作を繰り返した。得られたポリエステルの平均表面抵抗率および中和乾燥後の平均表面抵抗率は、それぞれ5×105Ω/□および9×106Ω/□であった。また、3枚の平均堅牢度は4級であり、ポリピロールの1次粒子径は、90%以上が10〜40nmのサイズであった。腐食試験において、軟鋼板の錆びは確認できなかった。
基材を厚み1.0mm、目付120g/m2のポリエステル:ナイロン=80:20の割合で構成された編み物に変更したことを除き、実施例1の操作を繰り返した。得られたポリエステル−ナイロン編み物の平均表面抵抗率および中和乾燥後の平均表面抵抗率は、それぞれ7×103Ω/□および2×104Ω/□であった。また、3枚の平均堅牢度は3−4級であり、ポリピロールの1次粒子径は、90%以上が10〜50nmのサイズであった。腐食試験において軟鋼板の錆びは確認できなかった。
実施例4で使用した編み物を電気化学工業製、OP−1030M 1液型アクリル樹脂で片面を編み物の重量比に対して20%量コートし、その後コーティング部を5mW/cm2の紫外線照射で30秒硬化させた基材に変更したことを除き、実施例1の操作を繰り返した。得られたポリエステル−ナイロン編み物(アクリル樹脂コート品)の平均表面抵抗率および中和乾燥後の平均表面抵抗率は、それぞれ5×103Ω/□および5×104Ω/□であった。また、3枚の平均堅牢度は2−3級であり、ポリピロールの1次粒子径は、90%以上が10〜50nmのサイズであった。腐食試験において軟鋼板の錆びは確認できなかった。
10%水酸化ナトリウム水溶液にて中和反応をしない以外、実施例1の操作を繰り返して、導電性不織布を得た。得られた導電性不織布をマージンを残して24×24cm大の5枚にカットし、5枚の平均表面抵抗率を測定したところ、4×104Ω/□であった。また、3枚の平均堅牢度は2−3級であり、ポリピロールの1次粒子径は、90%以上が10〜50nmのサイズであった。腐食試験において軟鋼板の錆びが確認できた。
基材を目付100g/m2のポリエステル織布に変更したことを除き、比較例1の操作を繰り返した。得られた導電性織布をマージンを残して24×24cm大の5枚にカットし、5枚の平均表面抵抗率を測定したところ、1×105Ω/□であった。また、3枚の平均堅牢度は4級であり、ポリピロールの1次粒子径は、90%以上が10〜40nmのサイズであった。腐食試験において軟鋼板の錆びが確認できた。
30cm/minで連続駆動する装置に、図1に示すようにポリエチレンから構成される目付100g/m2、幅25cmの乾式不織布01をニトリルゴム製の絞りロール02に挟んで等速で送り出した。絞りロール02から等速で送り出された乾式不織布01を、巻き取りロール03を使用して水平に送り出した。
絞りロール02と巻き取りロール03の間で、乾式不織布01の帯電状態を表面電位計04にて確認した。除電性能は自己放電型除電ブラシ05を設置後、30秒経過した値を測定した。
除電性能評価に用いた自己放電型除電ブラシ05は実施例で得たポリピール被覆繊維シートの幅30cm×長さ5cmのサイズのものを用いた。
除電性能評価は10mm直径のステンレスの棒06に自己放電型の除電ブラシ05を巻き付けて、この除電ブラシ05を幅25cm、長さ方向で3cmの面を乾式不織布01と接触するように設置させた。
Claims (7)
- 帯電性繊維シートが少なくとも部分的に導電性高分子で被覆されている導電性繊維シートであって、導電性高分子の重合に必要なアニオン成分がシートと接触する金属部品の腐食を促進しなくなるまで中和除去されていることを特徴とする導電性繊維シート。
- 導電性高分子がポリピロールである請求項1の導電性繊維シート。
- 帯電性繊維シート基材が,合成繊維の不織布または布帛である請求項1または2の導電性繊維シート。
- 重合に必要なアニオン成分が導電性高分子重合に使用されたドーパントおよび酸化剤である請求項1または2または3の導電性繊維シート。
- 表面抵抗率が10Ω/□以下のオーダーである請求項1の導電性繊維シート。
- 前記導電性高分子による導電性シート基材の被覆は、(a)基材をドーパントを含む酸化剤水溶液で含浸し、(b)含浸した基材を気相のモノマーと接触させ、酸化重合によって基材上に導電性ポリマーを生成させることによって達成され、前記アニオン成分の中和除去は、ステップ(b)後処理した基材とアルカリ水溶液を接触させ、水洗乾燥することによって達成される請求項1ないし5のいずれかの導電性繊維シートの製造法。
- 請求項5の導電性繊維シートよりなる、OA機器において用紙に発生する静電気を除去するための除電ブラシ。
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