JP2009220093A - 電池式電解水生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素イオン溶液を電解して生成する殺菌剤の安全性や利便性及び高い殺菌効果に鑑み、幅広い利用や従来利用困難な状況での利用を実現するために、常用電源を使用する必要が無く、持ち運びが容易で、さらに、特定の限られた目的のみでなく汎用的に利用可能で、しかも、ほとんどの目的に実用に用いることの出来る相当量の生成能力があり、さらには、生成状況や生成容器の形状に影響されにくい、確実性の高い、殺菌剤の生成手段を提供すること。
【解決手段】電池を利用することで、場所や状況に依存せず、塩素イオン溶液を電解することができ、比較的高濃度の塩酸を無隔膜電解槽で電解した後、相当量の水に混合希釈する方法であれば電池を利用した場合でも、十分な汎用性と実用性がある程の生成能力が得られる。さらに、常に安定した状態で、必要量の電解を行なう為には、電極が塩素イオン溶液に正しく接触できるように、電解装置を常に正しい姿勢を保つように構成することである。これにより課題を解決した。
【選択図】図1

Description

発明の詳細な説明
本発明は電池を電源として、塩素イオン溶液を電気分解し殺菌用の電解水を生成する装置に関する。より詳しくは、無隔膜式の電解槽を使って希塩酸を電解し、電解液を水に混合して殺菌用の電解水を生成する装置で電池を電源とする装置に関する。
塩素イオン溶液を電解し電解用の電解水を生成する装置は多数知られている。用いられる塩素イオン溶液としては食塩や塩酸を原料としたものが多く、電解の方式は無隔膜式又は隔膜式が主に用いられている。極低濃度の食塩溶液を原料として無隔膜電解槽を使う技術では、陽極室から排出される液が「強酸性電解水」と称されて殺菌剤として利用されている。一方、希塩酸を無隔膜電解槽で電解した後、水で希釈して調製されるものに「微酸性電解水」と呼ばれるものがあり、同じく殺菌剤として利用されている。
これらの殺菌剤の殺菌成分は次亜塩素酸とされている。次亜塩素酸は従来から多用されている次亜塩素酸ナトリウムの成分として知られるが、次亜塩素酸ナトリウムがアルカリ性で使用されるために含量は極めて低く、ほとんどは次亜塩素酸イオンの状態で存在する。次亜塩素酸イオンは次亜塩素酸に比較すると殺菌力はかなり弱いことが知られている。次亜塩素酸が高い比率で含まれるこれらの電解水は、従って、次亜塩素酸ナトリウム溶液に比べて低い有効塩素濃度で高い殺菌力を持つことから、弊害が少ない殺菌剤として、次亜塩素酸ナトリウムに替わって利用が拡大しているのである。
ところで、従来から利用されている電解装置は、その電源として常用電源を利用するものであるので、給電設備のない場所、例えば、野外、僻地、未開地、給電の途絶えた被災地、戦場などでは利用できなかった。しかし、このような場所では、安全な殺菌剤に対する緊急でしかも高い必要性がある場合が多いのである。そのような場所で利用できる電源は電池もしくはその場で可能な発電しかないのである。その場で可能な発電としてはソーラーセル、風力発電あるいは人力発電などであるが、不安定で確実性が無い、設備が大きい、あるいは緊急には利用できないなどの欠点があり、結局どのような場所や場合でも利用できるのは電池しかないのである。
ところが、一般的に電解には大量の電力を必要とすることが多いために電池を電源として利用するという発想はあまりなかった。しかし、特別な用途に限定されたものは僅かではあるが見られる。例えば、特許文献1は、手動の噴霧器の容器に電解部を設置したもので、専ら少量の噴霧用の電解水を生成するものである。噴霧レバーの動きに合わせて電解装置をオンオフするものという。また、特許文献2には、義歯洗浄機に電解装置を組み込んだ例が開示してあり、電源として電池を利用できるという。また、特許文献3は以前本発明者が出願したもので、無隔膜電階層を備えた電階層に電池で給電するもので電解後、電解液を水に混合希釈して、電解液を生成するものである。
特開2003−62573号公報 特開2000−126210号公報 実用新案登録第3098605号
従来の、塩素イオン溶液を電解して殺菌剤を調製する装置は常用電源を利用するものが大部分であり、常用電源が利用できない場所や状況で利用することはできなかった。また、常用電源を利用しない僅かな装置は、利用目的を特定した構造となっており、生成能力は極小さく、必然的に利用目的は限られたものであった。また、本発明者が以前発明し出願した技術は、常用電源を必要とせず、生成量も十分で汎用性もあったが、生成時の装置の設置状態によっては十分な生成が行なわれない可能性もあった。
そこで本発明者は、塩素イオン溶液を電解して生成する殺菌剤の安全性や利便性及び高い殺菌効果に鑑み、幅広い利用や従来利用困難な状況での利用を実現するために、常用電源を使用する必要が無く、持ち運びが容易で、さらに、特定の限られた目的のみでなく汎用的に利用可能で、しかも、ほとんどの目的に実用に用いることの出来る相当量の生成能力があり、さらには、生成状況や生成容器の形状に影響されにくい、確実性の高い、殺菌剤の生成手段を提供することを課題とした。
発明を解決するための手段
本発明者は本課題を解決すべく検討を重ねた結果以下の結論に到達した。まず、場所や状況に依存せず、塩素イオン溶液を電解することができるのは電池を利用することしか無いこと。次に、電池を利用した場合でも、十分な汎用性と実用性がある程の生成能力が得られるのは、比較的高濃度の塩酸を無隔膜電解槽で電解した後、相当量の水に混合希釈する方法しか無いこと。さらに、常に安定した状態で、必要量の電解を行なう為には、電極が塩素イオン溶液に正しく接触できるように、電解装置が常に正しい姿勢を保つように構成されていることである。
そこでまず、無隔膜電解槽で希塩酸を電気分解し、電解液全量を水に混合希釈し殺菌剤を生成する装置であり、電源が電池であり、少なくとも装置の一部を水中に浸漬して使用するもので、容易に携帯が可能である形状の電解水生成装置において、任意に水中に投入された場合でも、装置自体が転動し内部に配設された電極が常に希塩酸に浸漬されるように、装置全体の重心の位置が工夫されていることを本課題解決の第1の態様とした。
さらにまた、電解によって生成したガスを電解装置から周囲の水の中に排出し、電解を効率よく進めるために、前述の態様に加え、電解によって生成したガスの排出用の細孔が、任意に水中に投入された場合でも電解水生成装置が転動し、電解水生成装置の上面近くに位置するように配設されていることを、本課題を解決するための第2の態様とした。
さらにまた、装置の取り扱いを簡便にし、製作を容易にするために、前記各態様に加え電池格納部と、電極を内蔵した電解水生成部が一体に形成され装置全体が1個の装置として構成されていることを、本課題を解決するための第3の態様とした。
さらにまた、第1及び第2の態様に加え、使用する電池の種類により電池格納部と電解水生成部を一体に成形することが困難な場合に備え、電池格納部と電極を内蔵した電解水生成部が別個に形成され両者を電線により、電池から電極に電気の供給が可能なように電気的に結合したことを、本課題を解決するための第4の態様とした。
さらに、装置の状況を的確に判別できるように、前記各態様に加え、装置のいずれかの位置に電解中点灯するランプを備えたことを、本課題を解決する為の第5の態様とした。
最後に、電解が略終了し塩素イオン溶液の量が減少して、電解水生成装置が軽くなっても浮上しないで、定位を保つように、前記各態様に加え、液体を注入しない状態でも電解水生成装置が水に浮上あるいは動揺ないことを、本課題を解決する為の第6の態様とすることによって本課題を全て解決した。
発明の効果
本発明において、電源を電池とすることによって、常用電源の利用できない場所あるいは状況においても、安全性、利便性さらには殺菌効果の高い殺菌剤を提供することができるようになった。
さらに、無隔膜電解槽で希塩酸を電気分解し、電解液全量を水に混合希釈し殺菌剤を生成することとしたことにより、小規模の電解水生成装置によっても相当量の電解水を生成することが可能になり、幅広い目的に対応できるようになった。
また、任意に水中に投入された場合でも、装置自体が転動し内部に配設された電極が常に希塩酸に浸漬されるように、装置全体の重心の位置が工夫されていることとしたことにより、水が貯留された容器の形状や場所に拘わらず常に安定した状態で電解水を生成することが可能になった。
また、電解によって生成したガスの排出用の細孔が、電解水生成装置が任意に水中に投入された場合でも転動し、電解水生成装置の上面近くに位置するように配設されていることとしたことによって、電解によって生成したガスを電解装置から周囲の水の中に効率よく排出し、電解を効率よく進めることが可能になった。
さらにまた、電池格納部と、電極を内蔵した電解水生成部が一体に形成され装置全体が1個の装置として構成されていることとしたことにより、装置の取り扱いが簡便になり、製作が容易になった。
さらにまた、電池格納部と電極を内蔵した電解水生成部が別個に形成され両者を電線により、電池から電極に電気の供給が可能なように電気的に結合したこととしたことで、使用する電池の種類により電池格納部と電解水生成部を一体に成形することが困難な場合にも生成装置を構成することが可能になった。
さらにまた、装置のいずれかの位置に電解中点灯するランプを備えたことにより、装置の状況を的確に判別できるようになった。
そして最後に、内部に液体を注入しない状態でも水に浮上あるいは動揺しないこととしたことで、電解が略終了し塩素イオン溶液の量が減少して、電解水生成装置が軽くなっても、定位を保ち、最後まで電解できるようになった。
さらに、具体的な実施形態を例示して本発明を詳細に説明する。
本発明は容器あるいは貯水槽あるいは岩などの窪みに出来た水溜まりに、本発明による装置を投入し、装置を作動させることにより貯留水をそのまま殺菌剤に変えるものである。
電源に用いる電池は、電池の形状に合わせて収納部を好適に構成し、電解電流供給回路等で電圧を調整することにより各種の形式のものが利用できる。代表的なものとしては、各種の乾電池等の一次電池、各種の二次電池あるいは燃料電池などが例示できる。
電解槽への印加電圧は、一対の対向する電極間の計算電圧が、塩素の発生電圧以上であれば何れでも可能であるが1.8V以上が望ましく、副生成物の生成を押さえるために4V以下で行なうのが望ましい。
電解用の塩酸濃度は発生効率の点から1%以上が望ましい。発生効率の点では上限は無いが、電解槽等の材質への影響、持ち運びの安全性などから9%以下が好適である。
電解水生成装置が任意に水中に投入された場合でも、装置自体が転動し内部に配設された電極が常に希塩酸に浸漬されるようにするための装置全体の重心位置の工夫とは例えば図1に示したような構成が例示できる。装置全体を略円筒状に構成し、端面を平面とせず、例えば球面の凸状とする。略円筒の側面の一部を底面とし、その面が着底したときに安定するように一部平面で構成する。そのうえで、底面に近い側に、電池及び電気部品など重量物を配置し、逆に上面に近い側には空洞部を配置する。
あるいはまた、別の構成として、装置全体が円錐状もしくは円錐台状もしくは、平面で構成された底面を持った球状(図2)で、底面側に重量物を配置した構成も例示できる。このような構造で、定位した時の上面の略中央部に、紐を結合し、その紐により装置を吊下げることが可能な構成である。水容器底部に着底状態でも水中に懸垂状態でも電解を行うことが可能である。
さらに、電解水生成装置が正常に定位した状態で、電極面の出来るだけ多くの部分が希塩酸に浸漬されるように電極形状、電解槽の容器形状を構成する。そのような電極形状としては、電解水生成装置が正常に定位した状態で、上下方向が短辺になるような長方形にすることが例示できる。また、電解槽の容器形状としては、並行に配置され組み合わされた複数の電極構成全体を略隙間なく収容できる最小容積の形状が例示できる。
電解によって生成したガスを効率よく排出する細孔が、電解水生成装置が任意に水中に投入された場合でも、電解水生成装置の上面近くに位置するような構造とは例えば次のような構成である。重量物を底部に集中して配置し、上部に空洞部分を配置した場合に、空洞部分の最上部に細孔を設けた構造が一例である。この場合細孔を設けた空洞部は電解槽となっており、底部には電極が配置され、希塩酸の収容部となっていなければならない。
電解生成ガスを排出する細孔は、電解により生成した水素ガス及び塩素ガスを効率よく外部に排出し、電解を効率よく進める作用をする。外部に排出された塩素ガスは、速やかに外部の水に溶解し、殺菌水を生成する。電解装置に保持された希塩酸が希釈されることを防ぐために、細孔から外部の水が容易に流入しない構造でなければならず、細孔の直径は2mm以下であることが望ましい。細孔直径が一定値以下であることは、排出された塩素ガスの外部の水への溶解を促進する作用もする。また、細孔が複数設けられた構成も1例として例示できる。
小型の電池を使用する場合は電池格納部と電解水生成部を一体に形成することが可能で、そうすることにより取扱いや製作の点で有利である。電池格納部と、電極を内蔵した電解水生成部を一体に形成し装置全体を1個の装置として構成する方法は、電解水生成装置の外殻をプラスチック等で一体に成形することで容易に実施可能である。このように成形し、さらに電解水生成部と他の部分を、水封状態に仕切ることで装置を形成することが可能である。あるいはまた、両者を一体に成形するときに電気導通手段を残して隔絶成形する方法によっても可能である。
一方、使用する電池が大型であったり、その他機能面で問題があり一体化しないほうが取扱いが有利である場合は、電池格納部と電極を内蔵した電解水生成部を別個に形成し、両者を電線により、電池から電極に電気の供給が可能なように電気的に結合する方法が推奨される。このような技術は一般に実施されており、技術的に有利な方法を適宜選択し実施できる。
又、装置が作動中か否かを容易に判別できると使用上の便宜性は高い。そのような目的、は装置のいずれかの位置に電解中点灯するランプを備えることで実現可能である。
電解の最初から終了するまで、生成装置が浮上したり動揺しないことは所定の電解反応を達成するために必要である。そのためには内部に液体を注入しない状態でも装置が水に浮上したり動揺しないことが必要であるが、そのためには、液体を注入しない状態でも、装置の比重が十分1を上回っていることで達成される。
次に図1に示した実施例によって、さらに詳しく本発明を説明する。
この例は、小型の一次または二次電池を使用することを想定し、電解水生成部と電池格納部を一体形成したものである。電解中は、装置は容器底部に横に長い状態で着底し電解する。図1の(イ)は電解状態での装置の縦断面図で、水14を張った水容器13に投入され、図の下方向が容器底部、上方向が水面方向である。電池1から、制御部2を通して電解水生成部内に配置された電極4に電気が供給される。それにより、電極が浸漬されている希塩酸3が電解され、発生した電解ガス5は、電解槽上部に配置された細孔6から水の中に排出される。この装置で、3%濃度の希塩酸10mlを、極間電圧3Vで15分間電解した。電解後、電解水生成部の給排液口の蓋7を開けて、内部の電解液を水に混合し、有効塩素濃度約20ppmの微酸性電解水を25L得た。図1の(ロ)は該装置の(イ)に示した鎖線(A)の位置の横断面図で、(ハ)は、同じく鎖線(B)の位置の横断面図である。
図2に示したのは又別の実施例で、電池格納部と電解水生成部を上下に配置した装置の断面図である。
図3に示したのは、電池格納部(15)と電解水生成部(16)を別に形成し、両者を電気導線(17)で結合した例である。
電池格納部と電解水生成部を横に並べて一体形成した電解水生成装置 電池格納部と電解水生成部を上下に配置し一体形成した電解水生成装置 電池格納部と電解水生成部を別に形成した電解水生成装置
符号の説明
1 電池
2 制御部
3 希塩酸
4 電極
5 電解ガス
6 細孔
7 給排液の蓋
8 装置の重心を調整する空洞
9 装置の防水外殻
10 投入、引き揚げ紐
11 紐持ち手
12 電解槽容量調整隔壁
13 水容器
14 水
15 電池格納部
16 電解水生成部
17 電気導線

Claims (6)

  1. 無隔膜電解槽で希塩酸を電気分解し、電解液全量を水に混合希釈し殺菌剤を生成する装置であり、電源が電池であり、少なくとも装置の一部を水中に浸漬して使用するもので、容易に携帯が可能である形状の電解水生成装置において、任意に水中に投入された場合でも、装置自体が転動し内部に配設された電極が常に希塩酸に浸漬されるように、装置全体の重心の位置が工夫されていることを特徴とする携帯式電解水生成装置
  2. 電解によって生成したガスの排出用の細孔が、任意に水中に投入された場合でも電解水生成装置が転動し、電解水生成装置の上面近くに位置するように配設されていることを特徴とする請求項1記載の携帯式電解水生成装置
  3. 電池格納部と、電極を内蔵した電解水生成部が一体に形成され装置全体が1個の装置として構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯式電解水生成装置
  4. 電池格納部と電極を内蔵した電解水生成部が別個に形成され両者を電線により、電池から電極に電気の供給が可能なように電気的に結合したことを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の携帯式電解水生成装置
  5. 装置のいずれかの位置に電解中点灯するランプを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の携帯用電解水生成装置
  6. 内部に液体を注入しない状態でも水に浮上あるいは動揺しないことを特徴とする請求項1乃至5記載の携帯用電解水生成装置
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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