JP2009219683A - うつ状態検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】起床時間帯のみならず睡眠時にもおいても計測可能なうつ状態検出装置を提供する。
【解決手段】うつ状態検出装置は、人間の身体の一部に装着されて人間の生理信号を計測する生理信号計測手段と、生理信号計測手段によって計測された生理信号のデータを記録する生理信号記録手段と、生理信号のデータの平均値を算出する平均値算出手段と、生理信号のデータの標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、平均値算出手段により算出された平均値および標準偏差算出手段により算出された標準偏差に基づいて、うつ状態を判定するうつ状態判定手段と、うつ状態判定手段の判定結果を表示するうつ状態表示手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、人間の身体の一部にセンサを装着して人間の生理信号を計測し、計測した人間の生理信号の中の人体の熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度の少なくとも1つの生理信号に基づき、被測定者のうつ状態を検出するうつ状態検出装置に関するものである。
健康的な日常生活を送るためには、健康な肉体と健康な精神の両方を維持する必要がある。しかし、昨今、ストレス増加などの要因によりメンタルヘルスの低下や、うつ病患者の増加などの社会問題が起こっており、健康管理を目的としたうつ状態の検出技術やメンタルヘルスの定量的評価技術に対する要求が高まっている。
メンタルヘルスに関する計測技術としては、特許文献1、特許文献2などで提案されているうつ病の評価技術や、特許文献3、特許文献4などで提案されているストレス評価の技術などが知られている。
特許文献1で提案されているうつ病評価技術は、末梢血由来のメッセンジャーRNAより被験者の病状を評価するものであり、特許文献2の提案では、血液または唾液中に存在するテストステロンおよびコルチゾールの量より男性の更年期またはうつ病を鑑別することを提案している。また、特許文献3で提案されているストレス評価の技術は、被験者の血液、尿または唾液中における複数のストレス指標物質からストレスを評価するものであり、特許文献4で提案されている技術では、被験者の唾液に含まれるコルチゾールの量から慢性ストレスを評価する。
一方、被測定者の自己申告に基づいてうつ状態を評価する方法としては、非特許文献1で提案されているPOMSや、非特許文献2で提案されているベックのうつ病自己評価尺度が知られている。いずれも自記式の評価手法であり、POMSは、緊張−不安、抑うつ−落ち込み、怒り−敵意、活気、疲労、混乱の6項目が数値で示され、ベックのうつ病自己評価尺度はうつ病の検出ができる。
さらに、非特許文献3により参照されるように、医療現場においては、うつ病などの精神疾患はDSM−IV(アメリカ精神医学会)に基づいて診断されている。
特開2004−208547号公報 特開2007−24822号公報 特開2000−131318号公報 特開2000−275248号公報 横山和仁,荒記俊一,川上憲人,竹下達也;"POMS(感情プロフィール検査)日本語版の作成と信頼性よび妥当性の検討",日本公衛誌, Vol. 37, pp. 913-918, 1990 Beck AT, Ward CH, Mendelson M, Mock J, Erbaugh J: An inventory for measuring depression, Archives of General Psychiatry 4: 561-571, 1961. American Psychiatric Association; "DSM-IV-TR精神疾患の分類と診断の手引" (高橋三郎, 大野裕, 染矢俊幸訳), 医学書院, pp.339-365, 2005
従来におけるメンタルヘルスに関する計測技術では、ストレス指標物質が含まれる唾液や血液、尿の採取が必要であるため、その計測は起床時間帯に限られ、例えば、睡眠中において、うつ状態を計測することは困難であった。
また、血液、尿を使用する場合、連続的な計測には身体的な限界もあった。一方、自記式の評価手法では、自覚症状が小さく認知しにくい初期段階のうつ病の場合や、回答者が虚偽申告した場合には、正確な検出が困難という問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、自律神経系の生理信号である人体の熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度を計測対象に用いることにより虚偽申告を防ぐことができ、起床時間帯のみならず睡眠時にもおいても計測可能なうつ状態検出装置を提供することにある。
上記のような目的を達成するため、本発明によるうつ状態検出装置は、基本的な構成として、人間の身体の一部に装着されて人間の生理信号を計測する生理信号計測手段と、前記生理信号計測手段によって計測された生理信号のデータを記録する生理信号記録手段と、前記生理信号のデータの平均値を算出する平均値算出手段と、前記生理信号のデータの標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、前記平均値算出手段により算出された平均値および前記標準偏差算出手段により算出された標準偏差に基づいて、うつ状態を判定するうつ状態判定手段と、前記うつ状態判定手段の判定結果を表示するうつ状態表示手段とを備える。
上記の構成において、前記生理信号計測手段によって計測する人間の生理信号は、人体の熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度の少なくとも一つを含む生理信号であり、また、前記うつ状態判定手段は、人体の熱流束、皮膚表面温度、または皮膚電気伝導度の少なくとも一つの生理信号の平均値および標準偏差に基づいて、平常状態から離れている度合いによってうつ状態を判定するように構成される。
精神疾患やメンタルヘルスの低下は、精神を司る脳機能の一時的な機能低下もしくは疾患であり、脳は人間の自律神経のホメオスタシスを司る重要な器官の一つであるため、脳機能の低下は自律神経にも何らかの影響をおよぼす。うつ病の主症状であるうつ状態についても同様であり、うつ状態が脳に作用することで、自律神経反応にもその影響が現れている。本発明によるうつ状態検出装置においては、このような自律神経反応の乱れを計測することにより、うつ状態を検出するため、虚偽申告を防ぐことができ、起床時間帯のみならず睡眠時にもおいても計測可能なうつ状態検出装置を提供できる。
本発明のうつ状態検出装置においては、具体的には、対象となる生理信号を一定時間計測したとき、計測時間内の平均値および標準偏差によって計測した生理信号の特徴を表現し、この特徴を生理特徴量と呼ぶ。計測時と平常時の生理特徴量を比較して、うつ状態の検出を行うため、適切に「うつ状態」が検出できることとなる。
健康状態が維持されている場合、脳は平常時に近い状態が維持され、計測時の生理信号は平常時のそれと同様の反応を示すため、両者の生理特徴量も近い値になる。つまり、平常時と計測時の生理特徴量の距離は「0」に近づく。しかし、うつ状態によって健康状態が維持されていない場合、脳はその影響を受け、計測時の生理信号に乱れが生じるため、計測時と平常時の生理特徴量の距離は大きくなる。そのため、計測時と平常時の生理特徴量の距離の大小によってうつ状態を検出するようにも構成する。
また、本発明のうつ状態検出装置においては、うつ状態を検出するために用いる生理特徴量を抽出する生理信号としては、例えば、人体の熱流束、皮膚表面温度、および、皮膚電気伝導度の少なくとも一つを用いる。人体の熱流束は体表面から放出される単位面積当たりの熱量を意味しており、身体の代謝機能と関係する。皮膚表面温度は体温調節機能と関係しており、また、皮膚電気伝導度は体温調節のための発汗機能と密接な関係がある生理信号である。同一信号による計測を一定期間に渡って実施したり、複数の生理信号を同時に計測したりすることにより、うつ状態の検出精度を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を一実施例に基づいて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施例にかかるうつ状態検出装置の構成を説明する図である。図2は本発明のうつ状態検出装置に用いる生理信号計測装置の一例を説明する図である。図3は生理信号計測装置を上腕に装着した状態を説明する図である。
本発明の一実施例のうつ状態検出装置は、図1に示すように、熱流束計測手段101、皮膚表面温度計測手段102、および皮膚電気伝導度計測手段103から構成されている生理信号計測手段100と、生理信号記録手段104と、平均値算出手段105と、標準偏差算出手段106と、生理特徴量記録手段107と、平常状態算出手段108と、うつ状態判定手段109と、うつ状態表示手段110から構成されている。
生理信号計測手段100は、図2および図3に示すように、人間の身体の一部に装着されて、被測定者の人間の生理信号を計測する。その場合に、生理信号計測手段100を構成する熱流束計測手段101、皮膚表面温度計測手段102、および皮膚電気伝導度計測手段103が、人体の熱流束、皮膚表面温度、皮膚表面温度の被測定者の生理信号をそれぞれ計測する。
生理信号計測手段100により計測された生理信号のデータは、生理信号記録手段104により記録される。生理信号記録手段104に記録された生理信号のデータに対して、後述するように、統計的なデータ処理を行い、うつ状態であるか否かを判定し、被測定者のうつ状態を検出する。
この「うつ状態」を検出するデータ処理では、うつ状態判定のための基礎データを得るため、平均値算出手段105、標準偏差算出手段106、平常状態算出手段108のそれぞれの演算手段によって統計的なデータ処理を行い、平常状態のデータ値から離れている度合いの異常値の検出を行い、うつ状態の判定を行う。すなわち、平均値算出手段105では、生理信号のデータの平均値を算出し、標準偏差算出手段106では、生理信号のデータの標準偏差を算出する。そして、うつ状態判定手段109が、平均値算出手段105により算出された平均値および標準偏差算出手段106により算出された標準偏差に基づいて、うつ状態を判定する。この場合において、平常状態算出手段108は、生理特徴量記録手段107に記録されている生理特徴量の履歴データに基づいて、平常状態におけるデータ値を予め算出しており、平常状態のデータ値との比較により、異常値の検出を行って、うつ状態を判定する。判定の結果は、うつ状態表示手段110によって、その判定結果が表示される。判定結果の表示は、例えば、複数段階の名目尺度を伴うメッセージにより表示されて、被測定者に対して注意を与えるような形態で表示される。
うつ状態判定手段109の「うつ状態」の判定は、前述したように、人体の熱流束、皮膚表面温度、または皮膚表面温度の少なくとも一つの生理信号を用いて、その平均値および標準偏差に基づいて、平常状態から離れている度合いによって「うつ状態」が判定される。
生理信号計測手段100の熱流束計測手段101、皮膚表面温度計測手段102、皮膚電気伝導度計測手段103はそれぞれ、被測定者の熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度を計測するための装置であり、本実施例の場合、具体的には、図2に示すような生理信号計測装置を用いる。この生理信号計測装置は、熱流束センサ、温度センサ、電気伝導度センサ、加速度センサなどが組み込まれ、人体の装着部分の生理信号のデータを取り込み記録している生理情報計測装置であり、「BodyMedia Inc.」社から「センスウェアPro2アームバンド」として市販されているものを用いている。この生理信号計測装置を、図3に示すように、右腕上腕部に装着することにより、装着部(右腕上腕部)の熱流束、皮膚表面温度および皮膚電気伝導が計測される。生理信号計測装置の各センサは、サンプリングレート32Hzで計測され、1分間(1920回分)の信号出力の平均値が記録される。記録された信号のデータは、例えば、所定の時間ごとに無線通信路を介して、パーソナルコンピュータのデータ処理装置に取り込まれて、データ処理される。または、生理信号計測装置のアームバンドがはずされてデータ処理装置に接続されて、データが取り込まれてデータ処理される。
具体例で詳細に説明すると、人間の多くの生理信号は直前の行動や出来事に強く作用される性質がある。本発明のうつ状態検出装置では、睡眠−覚醒間の遷移に着目し、起床直後および入眠直後90分間の上腕部の熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度を、生理信号計測手段によって計測し、計測データを生理信号記録手段104により記録している。したがって、3種の生理信号に対して、2条件で計測を行うので、1計測日あたり6組の生理信号が記録される。
次に、記録した生理信号の特徴量を抽出するため、生理信号の種類、計測条件ごとに、平均値算出手段105および標準偏差算出手段106に入力し、各生理信号の平均値および標準偏差を算出した。1計測日あたり6組の生理信号が記録されているので、1計測日あたり6組の平均値と標準偏差が得られる。
統計学的には平均値と標準偏差が等しくても、信号波形が等しいとは限らない。本実施例では、生理信号が高周波で変動を示すことが少ないため、平均値および標準偏差によって信号波形の特徴が表現できるとしてデータ処理を行っている。以下、この平均値と標準偏差の組を生理特徴量として、生理特徴量記録手段107に、得られた生理特徴量である平均値と標準偏差の組を記録する。
平常状態算出手段108は、生理特徴量記録手段107に記録された生理特徴量に基づいて、その平常状態、すなわち、健康状態やうつ状態に依存しない被測定者に特有の状態を推定して、次に説明するように、比較のための基準データとなる平常状態のデータを生成するデータ処理を行う。
図4に示すように、熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度の各生理特徴量に対して、それぞれ平均値−標準偏差平面を設定し、各計測日の生理特徴量をこの平面上にプロットすると、生理特徴量は被測定者ごとに一定の範囲に分布する。図4では、熱流束を用いる一例を示している。自律神経反応は、ホメオスタシスの働きによって、一定の反応を維持しようとすることから、本実施例では、平均値−標準偏差平面上の生理特徴量の分布の重心点を算出し、その重心点を被測定者が持つ固有の平常状態としている。次の(1)式に熱流束の平常状態算出方法を示している。皮膚表面温度、皮膚電気伝導度の平常状態についても同様にして算出する。図4では、2名の被験者(健常、男性)について、100日分の入眠時熱流束の生理特徴量と、そこから得られた平常状態を示している。図4の(a)は、被験者Aの入眠時における熱流束平均値と熱流束標準偏差との関係を示す図であり、図4の(b)は、被験者Bの入眠時における熱流束平均値と熱流束標準偏差との関係を示す図である。
ここで
:熱流束の平常状態
GA:熱流束の平均値の平常状態
GS:熱流束の標準偏差の平常状態
Ai:i日目の熱流束の平均値
Si:i日目の熱流束の標準偏差
m:計測日数
i:計測日(i=1,2,3,…,m)
である。
平常状態のデータは、うつ状態判定手段109によって、計測した生理特徴量と平常状態から、うつ状態かどうかを判定するために利用される。
次に、熱流束の生理信号を用いてうつ状態の指標を算出する方法について説明する。精神疾患やメンタルヘルスの低下は、精神を司る脳機能の一時的な機能低下もしくは疾患と考えられている。脳は人間の自律神経のホメオスタシスを司る重要な器官の一つであるため、脳機能と自律神経は密接に関連しているので、脳機能の低下は自律神経にも何らかの影響をおよぼす。したがって、精神状態が安定している場合、それ対応する生理反応も安定し、規則的な反応を示し、逆に、うつ状態などによって精神状態が不安定な場合、生理反応も不安定で不規則になる。
被測定者の生理反応は、平均値算出手段105、標準偏差算出手段106によって算出される生理特徴量で表現されるので、精神状態が安定し、健康な状態を維持している場合においては、生理特徴量のばらつきは小さくなる。すなわち、平均値−標準偏差平面において、生理特徴量が平常状態近傍に集中することになる。一方、うつ状態によって健康状態が維持されていない場合、生理特徴量のばらつきは大きくなり、生理特徴量は平常状態近傍に集中しない。
したがって、平均値−標準偏差平面における平常状態から生理特徴量までの距離が、精神状態の平常状態からの偏差として、つまり、「うつ状態」を表す指標として利用することができる。式(2)に熱流束におけるうつ状態指標の算出方法を示している。この例は、熱流束を用いてうつ状態指標を算出する一例であるが、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度を用いる場合においても、うつ状態の指標として同様にして算出できる。この場合に、うつ状態の指標は「0」に近いほど平常状態(健康状態)に近いことを意味する。
ここで、
Di:i日目のうつ状態指標
:熱流束の平常状態
GA:熱流束の平均値の平常状態
GS:熱流束の標準偏差の平常状態
Ai:i日目の熱流束の平均値
Si:i日目の熱流束の標準偏差
i:計測日(i=1,2,3,…,m)
である。
うつ状態の判定では、うつ状態指標と所定の閾値を比較して、うつ状態指標が閾値よりも大きい場合にうつ状態と判定する。うつ状態指標には一定のばらつきがあるので、単一の計測日のうつ状態指標ではなく、一定期間のうつ状態指標の平均値を用いることで計測精度の向上が見込まれる。また、単一の生理信号、計測条件で比較するよりも、複数の生理信号、計測条件を組み合わせることで、さらに判定精度を向上させられる。
[実験例1]
メンタルヘルスの日常的な管理と、うつ病などの精神疾患の早期発見のためには、継続的にそれらの状態を計測することが重要である。そこで、うつ状態がうつ状態指標に及ぼす影響を確認するため、うつ状態指標の長期計測を行った。図5〜図11に実験結果のグラフを示している。
計測には健常者5名(男性、平均年齢35.6歳、A〜E)、うつ病患者2名(男性、平均年齢42.5歳、F〜G)、躁うつ病患者1名(男性、38歳、H)が参加した。被験者は、58日〜729日の間、生理情報計測装置を装着した状態で生活し、入眠直後および起床直後における熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度を記録した。計測中、日常生活に制限は加えず、外的要因によって正確な計測が行えなかった場合は計測結果から削除した。その結果、50〜612日分の生理信号を得られた。
これらの生理信号のデータから、初めに、計測した熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度により、各被験者の平常状態を算出した。計測結果の一部として、図5に、入眠時の熱流束に関する被験者の平常状態を示している。健常者、うつ病患者の平常状態は接近しており、その位置から両者を分類することは困難であった。入眠時、起床時によらず、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度でも同様の結果であったことから、これらの平常状態は性別や年齢、生活環境による個人特性を表し、精神状態に依存しない個人の平常状態を表す指標であることが確認できた。
次に、計測した熱流束、皮膚表面温度、皮膚電気伝導度について、入眠時および起床時のうつ状態指標を算出し、その平均値および標準偏差を求めた結果を図6〜図11に示す。得られた結果に対して、t検定で平均値の差の検定を行ったところ、入眠時の熱流束、入眠時の皮膚電気伝導度、起床時の皮膚電気伝導度において、有意水準1%で健常者−うつ病患者間に有意差が確認された。また、起床時の皮膚表面温度について、被験者C、Dを除く健常者−うつ病患者間に有意水準1%で有意差が確認された。図6は、入眠時の熱流束に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図であり、図7は、起床時の熱流束に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。また、図8は、入眠時の皮膚表面温度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図であり、図9は、起床時の皮膚表面温度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。図10には、入眠時の皮膚電気伝導度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示し、また、図11には、起床時の皮膚電気伝導度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示している。
このように、実験結果から、うつ病によるうつ状態によって自律神経反応が乱れ、上述したように、本発明で定義したうつ状態指標が有意に上昇することが確認できた。
次に、本発明のうつ状態検出装置の応用例について説明する。図12は、本発明によるうつ状態検出装置を健康管理システムに応用した構成例を説明する図である。図12において、112はうつ状態検出装置、113は記憶手段として利用するサーバ装置、114は健康支援情報生成装置、115は携帯電話・パソコンなどのクライアント端末装置である。このシステム構成では、うつ状態検出装置112により、日常的に被測定者のうつ状態指標を計測し、インターネット接続されたサーバ装置113に計測したうつ状態指標を蓄積する。被測定者は、携帯電話・パソコンなどのクライアント端末装置115を用い、インターネットの通信路を介してサーバ装置113に蓄積されたうつ状態指標の情報を任意の時間に確認する。このとき、健康支援情報生成装置114が、蓄積されたうつ状態指標に基づいて、被測定者の健康状態を維持するための支援情報を生成し、サーバ装置113を介して閲覧できるようにする。このように、クライアント端末装置115は、健康支援情報提示装置として利用され、うつ状態指標とともに健康支援情報が提示される。被測定者は提示された情報を自身の健康管理に活用することができる。
図12に示す応用例において、サーバ装置113に蓄積された「うつ状態指標」の情報は、例えば、企業における健康管理、就労管理に用いることができる。企業の従業員の健康管理、就労管理は、雇用者にとっては重要な問題である。そこで、従業員のうつ状態を計測し、その情報に基づいた従業員の勤務管理や、雇用調整を行うことで、従業員の健康管理に使用できる。
このように、本発明によるうつ状態検出装置を用いることにより、うつ状態の検出を早期に的確に行うことができ、うつ病の早期発見装置や健康管理システムの開発に結び付くようにすることできる。うつ病の主症状の一つである「うつ状態」を日常的に計測、管理することで、うつ病の早期発見装置の開発や、健康の自己管理システム、健康増進システムへの応用が可能となる。
本発明の実施例のうつ状態検出装置の構成を説明する図である。 うつ状態検出装置に用いる生理信号計測装置の一例を説明する図である。 生理信号計測装置を上腕に装着した状態を説明する図である。 (a)が被験者Aの入眠時における熱流束平均値と熱流束標準偏差との関係を示す図であり、(b)が被験者Bの入眠時における熱流束平均値と熱流束標準偏差との関係を示す図である。 入眠時の熱流束に関する被験者の平常状態を説明する図である。 入眠時の熱流束に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。 起床時の熱流束に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。 入眠時の皮膚表面温度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。 起床時の皮膚表面温度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。 入眠時の皮膚電気伝導度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。 起床時の皮膚電気伝導度に基づくうつ状態指標の平均値の比較の例を示す図である。 本発明によるうつ状態検出装置を健康管理システムに応用した構成例を説明する図である。
符号の説明
100 生理信号計測手段
101 熱流束計測手段
102 皮膚表面温度計測手段
103 皮膚電気伝導度計測手段
104 生理信号記録手段
105 平均値算出手段
106 標準偏差算出手段
107 生理特徴量記録手段
108 平常状態算出手段
109 うつ状態判定手段
110 うつ状態表示手段
112 うつ状態検出装置
113 サーバ装置
114 健康支援情報生成装置
115 クライアント端末装置

Claims (3)

  1. 人間の身体の一部に装着されて人間の生理信号を計測する生理信号計測手段と、
    前記生理信号計測手段によって計測された生理信号のデータを記録する生理信号記録手段と、
    前記生理信号のデータの平均値を算出する平均値算出手段と、
    前記生理信号のデータの標準偏差を算出する標準偏差算出手段と、
    前記平均値算出手段により算出された平均値および前記標準偏差算出手段により算出された標準偏差に基づいて、うつ状態を判定するうつ状態判定手段と、
    前記うつ状態判定手段の判定結果を表示するうつ状態表示手段と
    を備えることを特徴とするうつ状態検出装置。
  2. 請求項1に記載のうつ状態検出装置において、
    前記生理信号計測手段によって計測される人間の生理信号は、人体の熱流束、皮膚表面温度、皮膚表面温度の少なくとも一つを含む生理信号である
    ことを特徴とするうつ状態検出装置。
  3. 請求項1に記載のうつ状態検出装置において、
    前記うつ状態判定手段は、人体の熱流束、皮膚表面温度、または皮膚表面温度の少なくとも一つの生理信号の平均値および標準偏差に基づいて、平常状態から離れている度合いによってうつ状態を判定する
    ことを特徴とするうつ状態検出装置。
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