JP2009216942A - バックライトに用いられるレンズシート及び電離放射線硬化樹脂 - Google Patents

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JP2009216942A JP2008060153A JP2008060153A JP2009216942A JP 2009216942 A JP2009216942 A JP 2009216942A JP 2008060153 A JP2008060153 A JP 2008060153A JP 2008060153 A JP2008060153 A JP 2008060153A JP 2009216942 A JP2009216942 A JP 2009216942A
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Abstract

【課題】低屈折率のレンズ層を含み、高い正面輝度を有するレンズシートを提供する。
【解決手段】レンズシート17は、ベースフィルム21と、ベースフィルム21の表面211上に形成されるレンチキュラレンズ層22と、ベールフィルム21の表面212上に形成されるプリズム層23と、プリズム層23の表面に充填される充填層24とを備える。プリズム層23は電離放射線硬化樹脂を硬化して形成され、その屈折率は、ベースフィルム21及び充填層24よりも低い。電離放射線硬化樹脂は、下記一般式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有する。
【化1】
Figure 2009216942

ここで、RはCH又はHであり、mは1〜8の整数であり、nは1〜13の整数である。
【選択図】図3

Description

本発明は、レンズシート及び電離放射線硬化樹脂に関し、さらに詳しくは、表示装置のバックライトに用いられるレンズシート及びレンズシート用の電離放射線硬化樹脂に関する。
液晶ディスプレイに代表される表示装置は、正面輝度の向上を求められる。そのため、ディスプレイに利用されるバックライトには、面光源からの光を正面に集光して正面輝度を向上するレンズシートが敷設される。このようなレンズシートとして、一般的には、特許第3262230号(特許文献1)に開示されているプリズムシートが使用される。
プリズムシートは、互いに並設された複数のプリズム条(以下、単にプリズムという)を表面に備える。面光源からの拡散光はプリズム表面で屈折し、正面に偏向されて出射される。このように、プリズムシートは、拡散光を正面に集光させることにより、ディスプレイの正面輝度を向上する。
プリズムシートと同じく正面輝度を向上するレンズシートとして、レンチキュラレンズシートがある。レンチキュラレンズシートは、互いに並設された複数のシリンドリカルレンズを表面に備える。
上述のとおり、これらのレンズシートは、正面輝度をある程度向上できるが、1枚のレンズシートでの正面輝度の向上には限界がある。正面輝度をさらに向上させる方法として、2枚のレンズシートを面光源上に重ねて敷設する方法があるが、この場合、製造工程が煩雑になる。
本出願人は、この問題を解決するレンズシートを特開2007−298757号公報(特許文献2)に開示している。この文献によるレンズシートは、ベースフィルムの一方の表面上に形成され、複数のシリンドリカルレンズが並設されるレンチキュラレンズ層と、ベースフィルムの他方の表面上に形成され、複数のプリズムが並設されるプリズム層と、プリズム層上に形成される充填層とを有する。このレンズシートのプリズム層の屈折率は、ベースフィルム及び充填層の屈折率よりも低い。そのため、入射された光は、レンズシート内部の各層で段階的に集光され、1枚でも高い正面輝度が得られる。
上述のとおり、特許文献2のレンズシートでは、プリズム層の屈折率を低くする必要がある。一般のレンズシートは、レンズシートに形成されたレンズと空気との境界面での屈折により光を集光する。そのため、特許第3147205号(特許文献3)に開示されるように、高屈折率のレンズシート用組成物の開発は多数報告されている。しかしながら、低屈折率のレンズシート用組成物は、あまり提案されていない。
特許第3262230号 特開2007−298757号公報 特許第3147205号 特願2007−277239(同一出願人の未公開出願)
本発明の目的は、低屈折率のレンズ層を含み、高い正面輝度を有するレンズシートを提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明によるレンズシートは、バックライトに用いられる。本発明によるレンズシートは、ベースフィルムと、柱状レンズ層と、プリズム層と、充填層とを備える。柱状レンズ層は、ベースフィルムの一方の表面上に形成され、互いに並設された複数の柱状レンズを備える。プリズム層は、ベースフィルムの他方の表面上に形成され、互いに並設された複数のプリズムを備える。プリズム層はまた、ベースフィルムの屈折率よりも低い屈折率を有し、電離放射線硬化樹脂を硬化して形成される。充填層は、プリズム層のプリズムが並設された表面上に充填され、プリズム層の屈折率よりも高い屈折率を有する。電離放射線硬化樹脂は、下記一般式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有する。
Figure 2009216942
ここで、RはCH又はHであり、mは1〜8の整数であり、nは1〜13の整数である。
ここでいう柱状レンズとは、たとえば、プリズムやシリンドリカルレンズであり、集光機能を有するレンズである。また、電離放射線硬化樹脂とは、紫外線や電子線等の電離放射線により硬化する樹脂である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の少なくとも一方を意味する。
本発明によるレンズシートは、入射された光線を段階的に集光する。充填層の屈折率がプリズム層の屈折率よりも高いため、充填層に入射された拡散光は、プリズム表面で屈折し、正面に集光される。次に、ベースフィルムの屈折率がプリズム層の屈折率よりも高いため、プリズム層からベースフィルムに入射された光線は、ベースフィルムの表面で屈折し、より正面に集光される。さらに、ベースフィルムから出射された光線は柱状レンズ層に入射され、柱状レンズの表面で屈折し、より正面に集光されて出射される。このように、本発明のレンズシートは、入射された光線をレンズシート内部で段階的に集光させることができる。そのため、1枚で正面輝度をより向上することができる。
上述の効果を奏するために、プリズム層の屈折率を低くする必要がある。そこで、本発明では、一般式(I)のフッ素を含む単官能(メタ)アクリルモノマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有する電離放射線硬化樹脂を用いてプリズム層を形成する。フッ素を含む単官能(メタ)アクリルモノマーは、硬化後の屈折率が低いため、プリズム層の屈折率を低下することができる。一方、多官能(メタ)アクリルモノマーは架橋密度を向上し、プリズム層の硬度及び強度を向上する。そのため、プリズム層の形状を維持しつつ、屈折率を低下できる。
フッ素を含む(メタ)単官能アクリルモノマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとは相溶性が低いため、両者を混合した場合、分離して白濁しやすい。そこで、本発明では、一般式(I)中のmを1〜8の範囲に制限し、nを1〜13の範囲に制限する。これにより、両者の相溶性が向上し、両者を混合して電離放射線硬化樹脂とすることができる。
好ましくは、プリズム層の屈折率は1.47以下である。
この場合、レンズシートの正面輝度がさらに向上する。
好ましくは、電離放射線硬化樹脂は、一般式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーを、重量%で20〜80%含有する。
この場合、プリズム層の屈折率を低くすることができる。
本発明による電離放射硬化樹脂は、上述のレンズシートに用いられる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1及び図2を参照して、表示装置1は、バックライト10と、バックライト10の正面に敷設される液晶パネル20とを備える。バックライト10は、拡散光を出射する面光源16と、面光源16上に敷設されたレンズシート17とを備える。
[面光源]
面光源16は、ハウジング11と、線光源である複数の蛍光管12と、光拡散板13とを備える。ハウジング11は、正面に開口部110を有する筐体であり、内部に蛍光管12を収納する。ハウジング11の内面は、反射フィルム111で覆われている。反射フィルム111は、蛍光管12から出射された光を乱反射させ、開口部110に導く。反射フィルム111は、たとえば東レ製ルミラー(登録商標)E60LやE60Vであり、拡散反射率が95%以上であるものが好ましい。
複数の蛍光管12は、ハウジング11の背面手前に上下方向(図1中y方向)に並設される。蛍光管12は左右方向(図1中x方向)に伸びた線光源であり、たとえば冷陰極管やEEFL(External Electrode Fluorescent Lamp)である。なお、蛍光管12とともに、LED(Light Emitting Device)等の複数の点光源がハウジング11内に収納されてもよい。また、収納された複数のLEDが線状に配列されることにより、擬似的な線光源が形成されてもよい。
光拡散板13は、開口部110に嵌め込まれ、ハウジング11の背面と並行して配設される。光拡散板13を開口部110に嵌め込むことによりハウジング11の内部は密閉される。そのため、蛍光管12からの光が光拡散板13以外の箇所からハウジング11外へ漏れるのを防止でき、光の利用効率が向上される。
光拡散板13は、蛍光管12からの光及び反射フィルム111で反射された光を拡散して正面に出射する。光拡散板13は、透明な基材と、基材内に分散された複数の粒子とで構成される。基材内に分散される粒子は、可視光領域の波長の光に対する屈折率が基材と異なるため、光拡散板13に入射した光は拡散透過される。光拡散板13の基材は、たとえば、ガラスや、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン酸系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂等の樹脂である。光拡散板13はまた、レンズシート17の支持体として機能する。
[レンズシート]
図3〜図5を参照して、レンズシート17は、ベースフィルム21と、ベースフィルム21の一方の表面211上に形成されたレンチキュラレンズ層22と、ベースフィルム21の他方の表面212上に形成されたコリメート層25とを備える。これらは一体的に形成されている。
ベースフィルム21は、可視光領域の波長に対して透明である。ベースフィルム21は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニル等である。好ましくは、ベースフィルム21は、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートである。二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートは、強度等の機械的特性と、形状安定性とに優れるからである。
ベースフィルム21が厚すぎれば、液晶表示装置の薄型化を阻害する。そのため、ベースフィルム21の好ましい厚さは、25〜500μmであり、より好ましい厚さは、50〜300μmである。
レンチキュラレンズ層22は、表面211上に形成される柱状レンズ層である。レンチキュラレンズ層22は、互いに並設された複数のシリンドリカルレンズ220を備える。シリンドリカルレンズ220は、横断面が円弧の柱状レンズであり、表示装置1の画面の上下方向(図1中のy方向)に並設される。
図3〜5に示すシリンドリカルレンズ220の凸面221の横断面形状は円弧であるが、図6に示すように楕円弧であってもよいし、図7に示すようにエッジ近傍が直線である弓状であってもよい。
再び図3〜図5に戻って、コリメート層25は、充填層24と、プリズム層23とで構成される。
プリズム層23は、ベースフィルム21の表面212上に形成され、互いに並設された複数のプリズム条(Liner Prism:以下、単にプリズムという)230を備える。
充填層24は、プリズム層23のプリズム230が並設された表面上に充填される。充填層24のうち、複数のプリズム230間に充填された部分は、プリズム240を構成する。プリズム230が互いに並設されているため、複数のプリズム240も互いに並設されている。プリズム240が並設された表面と反対側の表面243は平坦である。
プリズム230及び240は、表示装置1の画面の左右方向(図1中のx方向)に並設される。したがって、シリンドリカルレンズ220の並設方向はプリズム230及び240の並設方向と直交する。これにより、レンズシート17は、1枚で、2軸方向(本実施の形態では、上下方向及び左右方向)の輝度角度分布を調整できる。具体的には、コリメート層25が左右視野角を制御し、正面をピークとして広角度になるに従い輝度が低くなる自然な配光分布を形成する。また、レンチキュラレンズ層22が上下視野角を制御し、正面をピークとして広角度になるに従い輝度が低くなる自然な配光分布を形成する。
[レンズシート内の各層の屈折率]
プリズム層23の屈折率n23は、充填層24の屈折率n24と以下の式(1)の関係を有し、ベースフィルム21の屈折率n21と以下の式(2)の関係を有する。
n23<n24 (1)
n23<n21 (2)
要するに、屈折率n23は屈折率n24及び屈折率n21よりも小さい。
充填層24の屈折率n24は、プリズム層23の屈折率n23よりも大きいため、コリメート層25は、充填層24に入射される光線を正面にコリメートしてベースフィルム21に出射する。屈折率n23を小さくすれば、下面243でコリメートされた光線がプリズム240の表面に達してさらに正面にコリメートされる。そのため、屈折率n23が小さい方が、正面輝度がより向上する。プリズム層23の屈折率n23は、好ましくは、1.50以下であり、より好ましくは1.47以下である。さらに好ましくは1.46以下である。また、充填層24の屈折率n24は、好ましくは1.50より大きく、より好ましくは1.55以上である。
ベースフィルム21の屈折率n21は、屈折率n23よりも大きい。そのため、コリメート層25で正面に集光された光は、ベースフィルム21の表面212に入射されたとき、さらに正面にコリメートされる。ベースフィルム21の屈折率n21は、好ましくは、1.50より大きい。より好ましくは、1.55以上である。
ベースフィルム21でコリメートされた光は、レンチキュランズ層22に入射する。レンチキュラレンズ層22は、凸面221の形状により、入射された光線をさらに正面に集光し、外部に出射する。
このように、レンズシート17は、コリメート層25、ベースフィルム21及びレンチキュラレンズ層22の各々で、入射された光線を段階的に集光させる。そのため、1枚で正面輝度をより向上することができる。
[レンズシートの化学組成]
レンチキュラレンズ層22、プリズム層23、及び充填層24は、樹脂で構成される。以下、それぞれの層の形成に用いられる樹脂について説明する。
[プリズム層の化学組成]
プリズム層23には、電離放射線硬化樹脂が用いられる。電離放射線硬化樹脂は、紫外線や電子線といった電離放射線により硬化してプリズム層23を形成する。
電離放射線硬化樹脂は、下記一般式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有する。ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の少なくとも一方を意味する。
Figure 2009216942
ここで、式中のRはCH又はHである。また、式中のm及びnは0を含まない整数であり、1≦m≦8、1≦n≦13である。
[単官能(メタ)アクリルモノマー]
式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーは、フッ素(F)を含む。フッ素を含む単官能(メタ)アクリルモノマー(以下、フッ素モノマーという)は、硬化後の屈折率が低い。そのため、プリズム層23の屈折率を低くすることができる。
しかしながら、フッ素モノマーの分子量及びフッ素量が大きい場合、フッ素モノマーは、多官能(メタ)アクリルモノマーと相溶せずに分離する。特に、多官能(メタ)アクリルモノマーがフッ素を含まないモノマーである場合、フッ素モノマーは多官能(メタ)アクリルモノマーと相溶しにくい。そのため、電離放射線硬化樹脂及びプリズム層23が白濁する。
これに対して、一般式(I)で表されるフッ素モノマーは、分子量が小さく、かつ、フッ素量も少ない。具体的には、一般式(I)中のmは8以下であり、nは13以下である。そのため、多官能(メタ)アクリルモノマーと相溶し、電離放射線硬化樹脂及びプリズム層23は可視光に対して透明になる。
mが8を越えた場合、または、nが13を越えた場合、フッ素モノマーは多官能(メタ)アクリルモノマーと相溶せずに分離し、混合液が白濁する。
電離放射線硬化樹脂内の一般式(I)で表されるフッ素モノマーの好ましい含有量は、重量%で20〜80%である。フッ素モノマーの含有量が少なすぎれば、硬化後のプリズム層23の屈折率が低くならない。一方、フッ素モノマーの含有量が多すぎれば、プリズム層23の硬度及び強度が低くなる。フッ素モノマーの含有量が20〜80重量%であれば、硬化後のプリズム層23の屈折率を1.47以下にすることができる。さらに、多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することにより、プリズム層23が可視光に
対して透明で、かつ、硬度及び強度を維持できる。フッ素モノマーのさらに好ましい含有量は、30〜70重量%である。
一般式(I)で表されるフッ素モノマーは、たとえば、共栄社化学社製のライトエステルM−3Fや、大阪有機化学社製のV−3F、V−3FM、V−4F、V−8F、V−8FM、ダイキン化成品社製のR−1110、R−1210、R−1420、R−1433、R−1620、R−5210、R−5410、R−5620などである。
[多官能(メタ)アクリルモノマー]
多官能(メタ)アクリルモノマーは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する。多官能(メタ)アクリルモノマーは、プリズム層23の架橋密度を向上する。これにより、硬化後のプリズム層23の硬度及び強度が向上し、プリズム層23は形状を維持できる。
このような多官能(メタ)アクリルモノマーのうち、2官能(メタ)アクリルモノマーは、たとえば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等である。また、2官能以上の(メタ)アクリルモノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等である。これらの多官能(メタ)アクリルモノマーを含有することで、架橋密度を向上できる。
また、多官能(メタ)アクリルモノマーとして、分子中にウレタン結合を有する多官能ウレタンモノマーを含有してもよい。多官能ウレタンモノマーは、ポリエーテルポリオールと有機イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応して得られる化合物である。
多官能ウレタンモノマーは、1.50以下の屈折率を有するのは好ましい。また、ポリエーテルポリオール部は、屈折率を低くするために芳香環を含有していない化合物である方が好ましい。さらに、多官能ウレタンモノマーは、硬化収縮を抑えるために、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリカーボネートジオールが導入された化合物であることが好ましい。1.50以下の屈折率を有する多官能ウレタンモノマーは、たとえば、サートマー製のCN9893、CN963、共栄社化学製のUF−8001G等である。
なお、プリズム層23用の電離放射線硬化樹脂は、1種類の多官能(メタ)アクリルモノマーのみを含有してもよいし、2種以上の多官能(メタ)アクリルモノマーを含有してもよい。
電離放射線硬化樹脂内の多官能(メタ)アクリルモノマーの好ましい含有量は、重量%で20〜80%である。多官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が少なすぎれば、プリズム層23の硬度及び強度が低くなり、形状を維持しにくくなる。一方、多官能(メタ)アクリルモノマーの屈折率は、フッ素モノマーの屈折率よりも高いため、多官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が多すぎれば、硬化後のプリズム層23の屈折率が高くなる。多官能(メタ)アクリルモノマーの含有量が20〜80重量%であれば、プリズム層23の硬度及び強度を確保しつつ、硬化後のプリズム層23の屈折率が1.47以下にすることができる。好ましい含有量は30〜70%である。
なお、電離放射線硬化樹脂は、フッ素を含まない多官能(メタ)アクリルモノマーと共に、フッ素を含む多官能(メタ)アクリルモノマーを含有してもよい。フッ素を含む多官能(メタ)アクリルモノマーは、他の多官能(メタ)アクリルモノマーと同様に、架橋密度を向上するとともに、硬化後のプリズム層23の屈折率を下げることができる。ただし、フッ素を含む多官能(メタ)アクリルモノマーは、一般的に高価であるため、光学シートの製造コストを上昇する。
[その他の化合物]
プリズム層23用の電離放射線硬化樹脂はさらに、上述のフッ素モノマー及び多官能(メタ)アクリルモノマーの他に、単官能又は多官能のビニルモノマーや、フッ素を含まない単官能(メタ)アクリルモノマーを含有してもよい。つまり、これらの化合物は必須ではなく、任意に添加される。
単官能ビニルモノマーは、たとえば、ビニルピロリドン、ビニルホルムアミド等である。フッ素を含まない単官能(メタ)アクリルモノマーは、たとえば、アルキル(メタ)アクリレート、グリコール(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等である。このうち、アルキル(メタ)アクリレートは、たとえば、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等である。グリコール(メタ)アクリレートは、たとえば、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等である。脂環式(メタ)アクリレートは、たとえば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等である。ヒドロキシ(メタ)アクリレートは、たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等である。
また、プリズム層23用の電離放射線硬化樹脂はさらに、芳香環を含むビニルモノマーや(メタ)アクリルモノマーを含有してもよい。ただし、芳香環を含むモノマーは一般的に、高い屈折率を有するため、含有量は少ない方が好ましい。芳香環を含む(メタ)アクリルモノマーは、たとえば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−プロピルアクリレート等である。
プリズム層23用の電離放射線硬化樹脂はさらに、光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤は、たとえば、ラジカル重合開始剤としては、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α'−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
後述するように、電離放射線は、ベースフィルムを介して電離放射線硬化樹脂に照射される。そのため、光重合開始剤は、ベースフィルムを透過する波長に応じて選定される。たとえば、ベースフィルムの化学組成物がポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートである場合、これらの化学組成物の吸収波長と重複しない吸収波長を有する光重合開始剤が選択される。この場合、たとえば、チバガイギー製のイルガキュア369、819、907等が選択される。特に、イルガキュア907は、2,4−ジエチルチオキサントン、又は、2−クロロチオキサントンと併用するのが効果的である。
プリズム層23用の電離放射線硬化樹脂はさらに、上述の成分の他に、周知のモノマー及びオリゴマーを含有してもよい。また、必要に応じて、光増感剤や光促進剤、重合禁止剤、レベリング剤、離型剤、色材、フィラ等を含有してもよい。
以上の化合物で構成されるプリズム層23用の電離放射線硬化樹脂の粘度は、好ましくは、製造時における温度において、3〜200mPa・sである。電離放射線硬化樹脂の粘度が3mPa・s未満であれば、粘度が低すぎるため、レンズ成形性が低下する。具体的には、後述する製造方法において、ベースフィルム上のプリズム層23用の電離放射線硬化樹脂層にロール版によりプリズムパターンの転写をしたとき、レンズ形状が崩れたり、厚みムラが生じたりする。そのため、成形された複数のプリズムのいつくかに欠陥が生じたり、所望のレンズ形状が得られなかったりする。一方、粘度が200mPa・sを越えれば、粘度が高すぎるため、レンズ成形性が低下する。具体的には、電離放射線硬化樹脂がロール版のプリズム転写用溝に入りにくくなったり、電離放射線硬化樹脂中の気泡が抜けなかったりして、成形不良を引き起こす。そのため、好ましい粘度は、製造時において3〜200mPa・sである。より好ましくは、5〜100mPa・sである。
[レンチキュラレンズ層及び充填層の化学組成]
レンチキュラレンズ層22及び充填層24も、プリズム層23と同様に、電離放射線硬化樹脂を硬化させることにより形成される。レンチキュラレンズ層22及び充填層24用の電離放射線硬化樹脂も、上述のプリズム層23の電離放射線硬化樹脂と同様の化合物を用いることができるが、硬化後の屈折率がプリズム層23よりも高くなるように調整される。好ましくは、硬化後の屈折率を1.50よりも大きくするために、電離放射線硬化樹脂は芳香環を有する(メタ)アクリレートを含有する。フッ素を含有した(メタ)アクリルモノマーは、屈折率を下げるため、含有しない方が好ましい。ただし、潤滑剤や界面活性剤として、フッ素を含有する(メタ)アクリルモノマーが少量含有されてもよい。フッ素を含有する(メタ)アクリルモノマーの含有量は、硬化後のレンチキュラレンズ層22及び充填層24の屈折率を大きく低下させない範囲が好ましい。
充填層24は、電離放射線硬化樹脂の代わりに、溶剤で希釈された樹脂を塗布し乾燥することにより形成されてもよい。この場合、充填層24を構成する樹脂は、たとえば、ポリアクリル酸メチル、ポリエステル、ポリスチレン等である。これらの樹脂であれば、充填層24の屈折率を1.50よりも大きくすることができる。
[製造方法]
以上の化学組成を有するレンズシート17の製造方法の一例として、ロール版を用いたロールトゥロール方式による製造方法を説明する。
図8に示すとおり、レンズシート17の製造装置300は、送り出しロール301と、巻き取りロール302と、ニップロール303と、バックアップロール304と、電離放射線を遮蔽する遮蔽板305と、電離放射線を照射する照射装置306と、ロール版50と、コータ等の塗布装置308とを備える。
はじめに、ベースフィルム21の表面212にコリメート層25を形成する。表面にベースフィルム21を巻いた円筒状の送り出しロール301と、図9及び図10に示すように、プリズム230の転写用溝52を表面に有するプリズム層形成用のロール版50とを準備する。転写用溝52の横断面形状は、プリズム230の横断面形状と同じであり、転写用溝52の縁部(フランジ部)に相当する凸条53の横断面形状は、プリズム240の横断面形状と同じである。転写用溝52は周方向に配列される。
送り出しロール301の軸がロール版50の軸と平行になるように、図8に示すように、送り出しロール301及びロール版50を配置する。配置後、送り出しロール301からベースフィルム21を巻き出して、ベースフィルム21をロール版50に向かって搬送する。
ベースフィルム21がロール版50に到達する前に、塗布装置308を用いて、ベースフィルム21の表面212上に、プリズム層23用の電離放射線硬化樹脂231を塗布する。これにより、ベースフィルム21の表面212に未硬化の電離放射線硬化樹脂231の層が形成される。
続いて、電離放射線硬化樹脂231の層が形成されたベースフィルム21をロール版50に搬送し、ロール版50とニップロール303との間に供給する。そして、ニップロール303でベースフィルム21をロール版50に押しつける。このとき、電離放射線硬化樹脂231がロール版の転写用溝52に接触し、プリズムパターンが電離放射線硬化樹脂231に転写される。
プリズムパターンが転写された後、照射装置306により、ロール版50の下方から電離放射線を電離放射線硬化樹脂231に照射する。このとき、電離放射線硬化樹脂231は硬化し、プリズム層23を形成する。なお、遮蔽板305は、プリズムパターンが確実に転写された後に、電離放射線が電離放射線硬化樹脂231に照射されるように、電離放射線の拡散を防止する。最後に、プリズム層23が形成されたベースフィルム21を巻き取りロール302に巻き取る。
続いて、プリズム層23上に充填層24を形成する。図11を参照して、表面が平滑なロール版309を準備する。次にプリズム層23が形成されたベースフィルム21が巻かれた送り出しロール301を準備し、プリズム層23が上面となるようにベースフィルム21を送り出す。
充填層24用の電離放射線硬化樹脂244を収容した塗布装置308を用いて、プリズム層23上に電離放射線硬化樹脂244を塗布する。塗布後、電離放射線硬化樹脂244をロール版309の表面に押し当てながら、電離放射線を照射して、充填層24を形成する。
以上の工程により、ベースフィルム21の表面212にコリメート層25が形成される。コリメート層25が形成されたベースフィルム21は、巻き取りロール302に巻き取られる。
次に、ベースフィルム21の表面211にレンチキュラレンズ層22を形成する。図12及び図13に示すレンチキュラレンズ層用のロール版60を準備する。図12及び図13に示すように、ロール版60の表面には、軸方向に配列されたシリンドリカルレンズ220の転写用溝62が形成されている。
図14を参照して、ロール版60を配設したのち、コリメート層25が形成されたベースフィルム21を、送り出しロール301から送り出す。このとき、ベースフィルム21の表面211が上面、コリメート層25が形成された表面212が下面となるように、ベースフィルム21を搬送する。
レンチキュラレンズ層22用の電離放射線硬化樹脂225を収容した塗布装置308を用いて、ベースフィルム21の表面211上に電離放射線硬化樹脂225を塗布する。塗布後、電離放射線硬化樹脂225をロール版60の表面に押し当てる。このとき、電離放射線硬化樹脂225にシリンドリカルレンズパターンが転写される。シリンドリカルレンズパターンが転写された電離放射線硬化樹脂225に電離放射線を照射して、レンチキュラレンズ層22を形成する。
以上の工程によりレンズシート17が製造される。なお、製造時に、電離放射線硬化樹脂の粘度を調整するために、ロール版や電離放射線硬化樹脂を加熱及び冷却してもよい。このとき、電離放射線硬化樹脂の温度は10〜50℃が好ましい。10℃未満の場合、結露が生じて電離放射線硬化樹脂内に水が混入する可能性が高くなる。また、50℃を越える場合、熱により硬化する可能性が高くなる。したがって、電離放射線硬化樹脂の温度は10〜50℃が好ましい。ただし、この温度範囲から外れても、レンズシートを製造できる。
上述の製造方法では、はじめにコリメート層25を形成し、次にレンチキュラレンズ層22を形成したが、はじめにレンチキュラレンズ層22を形成し、次にコリメート層25を形成してもよい。ただし、はじめにコリメート層25を形成する方が好ましい。先にレンチキュラレンズ層22を形成すれば、コリメート層25内のプリズム層23を形成するときに、ニップロール303がレンチキュラレンズ層22のシリンドリカルレンズ220の凸面に押し当てられる。そのため、シリンドリカルレンズ220の形状が変形してしまう可能性があるからである。
また、充填層24は、上述の方法に代えて、次の方法で製造してもよい。まず、プリズム層23の屈折率n23よりも高い屈折率n24を有する樹脂を溶剤に溶解した塗料を準備する。ダイコータやグラビアコータ等を用いて、準備した塗料をプリズム層23上に均一に塗布する。塗布された塗料を乾燥し、充填層24を形成する。
上述では塗布装置308により電離放射線硬化樹脂を塗布したが、塗布方法はこれに限らず、たとえば、ロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ディップコート法、カーテンコート法等を用いてもよい。また、ベースフィルム21上に電離放射線硬化樹脂を塗布せずに、ロール版50、60及び309の表面に塗布してもよい。この場合、ロール版の表面に形成された電離放射線硬化樹脂の層がベースフィルム21に転写される。
上述の説明では、照射装置306をロール版の下方に配設したが、レンズパターンが転写された後の電離放射線硬化樹脂に対して電離放射線を照射できれば、配設場所は特に限定されない。
[他の実施の形態]
上述の実施の形態のレンズシート17では、プリズム230及び240の並設方向がシリンドリカルレンズ220の並設方向となす角度(交差角)を90°としたが、交差角は90°でなくてもよい。交差していれば、2軸方向の視野角を制御できるし、ある程度の集光効果を得ることができる。
また、図15に示すように、プリズム230及び240の並設方向がシリンドリカルレンズ220の並設方向と平行であってもよい。この場合、制御される視野角は1軸方向のみとなるが、正面輝度は従来のプリズムシートやレンチキュラレンズシート1枚の場合よりも向上できる。
また、図16に示すように、レンチキュラレンズ層22の代わりに、複数のプリズムが並設されたプリズム層27を形成してもよい。この場合も、正面輝度を向上できる。なお、図13では、プリズム層27のプリズムとプリズム層23のプリズムとが平行であるが、これらのプリズムが交差していてもよいし、直交していてもよい。
また、図3〜図5では、複数のシリンドリカルレンズ220の各々を互いに接触させて配設したが、隣り合うシリンドリカルレンズ220の間に隙間を設けてもよい。同様に、隣り合うプリズムの間に隙間を設けてもよい。また、プリズム230及び240の横断面形状を三角形としたが、台形でもよい。
なお、上述の説明では、バックライト10を直下型としたが、エッジライト型にしてもよい。
異なる化学組成を有する複数の電離放射線硬化樹脂を準備して、図3〜図5に示すレンズシートを製造した。そして、製造されたレンズシートのプリズム層の成形性及び正面輝度を調査した。
レンズシートを構成する各層(レンチキュラレンズ層、プリズム層及び充填層)のうち、レンチキュラレンズ層及び充填層には、表1に示す化学組成を有する電離放射線硬化樹脂Aを準備した。以下、電離放射線硬化樹脂を単に組成物という。
Figure 2009216942
組成物Aの硬化後の屈折率を以下の方法で測定した。組成物Aをテフロン(登録商標)フィルムの上に垂らして、500mJ/cmのメタルハイドロランプ光源の紫外線で硬化した。硬化した組成物をテフロンフィルムから慎重に剥がし、剥がした組成物の屈折率をアタゴ社製のアッベ屈折率計NAR−2Tで測定した。測定した結果、組成物Aの硬化後の屈折率は1.57であった。
次に、表2に示すように、プリズム層用の組成物として、互いに異なる複数の組成物B〜Hを準備した。
Figure 2009216942
表中の「化合物」欄には、使用した化合物及び商品名が記載されている。また、フッ素モノマーについては、一般式(I)内のm及びnの数値を記載している。表中の数値は、組成物内における各化合物の含有量(重量%)を示す。たとえば、組成物Bは、15重量%の単官能(メタ)アクリルモノマー(商品名:IOAA)と、30重量%の多官能(メタ)アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートDPE−6A)と、50重量%のフッ素を含む単官能(メタ)アクリルモノマー(商品名:FA−108)と、5重量%の光重合開始剤(商品名:ダイキュア1173)とを含有する。
表2を参照して、組成物B及び組成物Cは、フッ素モノマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有するものの、フッ素モノマーの一般式(I)中のmが8を超え、nが13を超えた。また、組成物Dは、フッ素モノマーと単官能(メタ)アクリルモノマーとを含有したが、多官能(メタ)アクリルモノマーを含有しなかった。組成物Dではさらに、含有するフッ素モノマーの一般式(I)中のmが8を超え、nが13を超えた。一方、組成物E〜組成物Hは、フッ素モノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有し、かつ、一般式(I)中のmが8以下、nが13以下であった。
[相溶性調査]
上述の組成物B〜組成物Hについて、フッ素モノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーとの相溶性を調査した。各組成物において、表2に示す複数のアクリルモノマー及び光重合開始剤を混合して組成物B〜組成物Hとし、30分間攪拌した後攪拌を止めた。1時間放置した後、各組成物内で化合物が分離していないかを目視により判断した。組成物が白濁、または、上下2層に分離している場合、化合物が分離したと判断し、組成物が透明な場合、各化合物が相溶したと判断した。
表2に相溶性調査の結果を示す。表2中の「相溶性」欄中の「○」印は、化合物が相溶したことを示し、「×」印は、化合物が分離したことを示す。調査の結果、組成物B及びCは、フッ素モノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーとが分離した。フッ素モノマーの分子量及びフッ素量が大きかったためと推定される。一方、組成物C〜組成物Hは、フッ素モノマーと多官能(メタ)アクリルモノマーとが相溶した。
化合物が相溶した組成物D〜組成物Hに紫外線を照射して硬化し、硬化後の屈折率を組成物Aと同じ方法で測定した。測定結果を表2に示す。
[成形性及び正面輝度]
組成物Aと各組成物D〜組成物Hとを用いて、図3〜図5に示す形状のレンズシートを製造した。具体的には、レンチキュラレンズ層、プリズム層及び充填層の組成物を表3に示す組合せとした試験番号1〜5のレンズシートを製造した。
Figure 2009216942
ベースフィルムには、188μmの厚さを有するPETフィルムを使用して、上述のロールトゥロール方式により、各レンズシートを製造した。このとき、メタルハライドランプ光源にて500mJ/cm2の光量を照射して各組成物を硬化し、プリズム層、充填層、レンチキュラレンズ層の順に製造した。製造されたレンズシートの寸法は以下のとおりであった。図4及び図5を参照して、プリズム層のプリズムの横断形状は、90°の頂角2xを有する二等辺三角形であり、プリズムのピッチ2yは50μmであった。また、プリズム層の厚さ2zは30μmであった。充填層の厚さ3zは30μmであった。レンチキュラレンズ層の各シリンドリカルレンズの横断形状は、楕円弧であり、その頂部の曲率半径は17.3μm、接触角4xは70°であった。また、シリンドリカルレンズのピッチ4yは50μmであった。レンチキュラレンズ層の高さ4zは20μmであった。
[プリズム層成形性及び正面輝度の調査]
製造された試験番号1〜5のレンズシートについて、プリズム層の成形不良の有無と正面輝度とを調査した。
プリズム層の成形不良の有無は、以下の方法で調査した。各レンズシートの断面を電子顕微鏡により20視野観察し、プリズム欠陥の有無を確認した。観察倍率は2000倍とし、各視野の測定幅は500μmとした。20視野中1視野以上で欠陥が観察された場合、成形不良(表3中「×」印)と判断した。また、20視野中欠陥が全く観察されなかった場合、成形優良(表2中「○」)と判断した。
正面輝度は、以下の方法により評価した。複数の蛍光管を収納し、内面に反射フィルムが敷設され、開口部に光拡散板が嵌着されたハウジングに、各試験番号のレンズシートを敷設して、正面輝度を測定した。このとき、各レンズシートの充填層の下面が光拡散板と対向するように、レンズシートを敷設した。
続いて、組成物Aを用いて製造されたレンチキュラレンズシートを準備した。レンチキュラレンズシートのシリンドリカルレンズの寸法形状及びピッチは、上述の試験番号1〜5のレンチキュラレンズ層上のシリンドリカルレンズと同じとした。
製造されたレンチキュラレンズシートをハウジングに敷設し、正面輝度を測定した。そして、測定されたレンチキュラレンズシートの正面輝度を100とした場合の、各試験番号のレンズシートの正面輝度(つまり、レンチキュラレンズシートの正面輝度に対する正面輝度比)を求めた。
各試験番号の正面輝度が100以下の場合、不良(表3中「×」印)と判断し、正面輝度が100よりも大きく103未満の場合、良好(表3中「○」印)と判断した。正面輝度が103以上である場合、優良(表3中「◎」印)と判断した。
[調査結果]
表3を参照して、試験番号2〜5のプリズム層の成形性は、良好であった。また、試験番号2〜5のレンズシートの正面輝度は高かった。特に、試験番号3〜5のプリズム層では、使用された組成物F〜組成物H内のフッ素モノマーの含有量が20重量%以上であったため、硬化後の屈折率が1.45と低かった。そのため、試験番号3〜5のレンズシートは、高い正面輝度を示した。
一方、試験番号1のレンズシートでは、プリズム層の成形性が不良であり、正面輝度も低かった。プリズム層を形成する組成物Dが多官能(メタ)アクリルモノマーを含有しなかったため、プリズム層の強度及び硬度が低くなり、その結果、欠陥が多発したものと推定される。そして、プリズムの欠陥が多発したため、正面輝度も低下したものと推定される。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
本発明の実施の形態によるレンズシートを備えた表示装置の斜視図である。 図1中の線分II−IIでの断面図である。 本発明の実施の形態によるレンズシートの斜視図である。 図3中の線分IV−IVでの断面図である。 図3中の線分V−Vでの断面図である。 図3中のレンチキュラレンズ層と異なる他のレンチキュラレンズ層の横断面図である。 図3及び図6のレンチキュラレンズ層と異なる他のレンチキュラレンズ層の横断面図である。 図3に示したレンズシートの第1の製造工程を示す図である。 図8中のロール版の斜視図である。 図9中の領域51の拡大図である。 図3に示したレンズシートの第2の製造工程を示す図である。 図9と異なるロール版の斜視図である。 図12中の領域61の拡大図である。 図3に示したレンズシートの第3の製造工程を示す図である。 図3のレンズシートと異なる構成を有する他のレンズシートの斜視図である。 図3及び図15のレンズシートと異なる構成を有する他のレンズシートの斜視図である。
符号の説明
17 レンズシート
21 ベースフィルム
22 レンチキュラレンズ層
23 プリズム層
24 充填層
25 コリメート層
230,240 プリズム

Claims (6)

  1. バックライトに用いられるレンズシートであって、
    ベースフィルムと、
    前記ベースフィルムの一方の表面上に形成され、互いに並設された複数の柱状レンズを備える柱状レンズ層と、
    前記ベースフィルムの他方の表面上に形成され、互いに並設された複数のプリズムを備え、前記ベースフィルムの屈折率よりも低い屈折率を有し、電離放射線硬化樹脂を硬化して形成されるプリズム層と、
    前記プリズム層の前記プリズムが並設された表面上に充填され、前記プリズム層の屈折率よりも高い屈折率を有する充填層とを備え、
    前記電離放射線硬化樹脂は、
    下記一般式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーと、
    多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有することを特徴とするレンズシート。
    Figure 2009216942
    ここで、RはCH又はHであり、mは1〜8の整数であり、nは1〜13の整数である。
  2. 請求項1に記載のレンズシートであって、
    前記プリズム層の屈折率が1.47以下であることを特徴とするレンズシート。
  3. 請求項2に記載のレンズシートであって、
    前記電離放射線硬化樹脂は、重量%で20〜80%の前記単官能(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とするレンズシート。
  4. バックライト用のレンズシートに用いられる電離放射線硬化樹脂であって、
    下記一般式(I)で表される単官能(メタ)アクリルモノマーと、
    多官能(メタ)アクリルモノマーとを含有することを特徴とする電離放射線硬化樹脂。
    Figure 2009216942
    ここで、RはCH又はHであり、mは1〜8の整数であり、nは1〜13の整数である。
  5. 請求項4に記載の電離放射線硬化樹脂であって、
    硬化後の屈折率が1.47以下であることを特徴とする電離放射線硬化樹脂。
  6. 請求項5に記載の電離放射線硬化樹脂であって、
    重量%で20〜80%の前記単官能(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする電離放射線硬化樹脂。
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