JP2009216569A - ガス濃度検出装置及びガス濃度検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のガスセンサに接続されるガス濃度検出装置において、各ガスセンサの検出ばらつきを抑制し、ひいてはガス濃度の検出精度を向上させる。
【解決手段】NOx検出装置21は、各々異なるNOxセンサ17,18に接続される電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とを備えている。これらの電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とにマイコン65が接続され、さらにマイコン65にはECU20が接続されている。電流計測回路61,62は、各NOxセンサ17,18においてモニタセル54に流れるモニタセル電流及びセンサセル55に流れるセンサセル電流を各々計測し、その計測結果を増幅しセンサ検出信号として出力する。
【選択図】 図3
【解決手段】NOx検出装置21は、各々異なるNOxセンサ17,18に接続される電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とを備えている。これらの電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とにマイコン65が接続され、さらにマイコン65にはECU20が接続されている。電流計測回路61,62は、各NOxセンサ17,18においてモニタセル54に流れるモニタセル電流及びセンサセル55に流れるセンサセル電流を各々計測し、その計測結果を増幅しセンサ検出信号として出力する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、複数のガスセンサに接続され、各ガスセンサの出力によりNOx(窒素酸化物)等のガス濃度を検出するガス濃度検出装置とガス濃度検出システムに関するものである。
例えば、自動車用内燃機関の制御システムでは、排気浄化のための技術改善が益々進みつつあり、排気系に複数のガスセンサを設置してガス濃度成分をモニタする技術が提案されている。具体的には、排気系にNOx浄化触媒を備える排気浄化システムにおいて、NOx浄化触媒の上流側及び下流側にそれぞれNOxセンサを設置し、各NOxセンサの検出結果に基づいてNOx浄化率の算出や触媒劣化の判定等を行っている。
内燃機関から排出される排気を検出対象とし排気中の酸素濃度やNOx濃度等を検出するためのガスセンサとしてはジルコニア固体電解質を用いたガスセンサが知られている。また、当該ガスセンサに接続されるセンサ回路として、ガスセンサで生じる素子電流を計測する電流計測部や、その電流計測部で計測した結果を増幅し出力する増幅出力部等を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−372514号公報
上記のごとく複数のガスセンサを用いる場合、既存のガス濃度検出システムでは、ガスセンサごとに個別の検出装置が設けられ、それらの検出装置で素子電流が計測されるとともにその計測結果が各々増幅等されて出力される。かかる場合、各検出装置におけるそれぞれの設置環境の違い等によりガスセンサごとに検出ばらつきが生じることが懸念される。
特に排気中のNOx濃度を検出するNOxセンサの場合には、NOx検出電流が微弱であるため、各検出装置の設置環境の違い等による検出精度への影響が大きいものとなると考えられる。
本発明は、複数のガスセンサに接続されるガス濃度検出装置において、各ガスセンサの検出ばらつきを抑制し、ひいてはガス濃度の検出精度を向上させることができるガス濃度検出装置を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について説明する。
本発明のガス濃度検出装置は、ジルコニア等の固体電解質体を有するセンサ素子を備え、センサ素子への電圧印加状態で被検出ガス中の特定成分の濃度に応じた素子電流を生じさせるガスセンサに適用されるものであり、少なくともセンサ素子に流れる素子電流の計測機能を有するセンサ回路部を備え、該センサ回路部がケース部材に収容されている。また、本検出装置では、センサ回路部が複数のガスセンサに電気的に接続され、それら各ガスセンサにおける素子電流をそれぞれ計測可能としている。
上述したとおり複数のガスセンサを用いるシステムでは、ガスセンサごとに個別の検出装置で素子電流が計測されることにより、各検出装置の設置環境の違い等によりガスセンサごとに検出ばらつきが生じることが懸念される。この点、本発明では、複数のガスセンサに接続されるセンサ回路部を備え、そのセンサ回路部がケース部材に収容されてガス濃度検出装置が構成されている。つまり、複数のガスセンサに対してセンサ回路部が1つにまとめられている。したがって、センサ回路部におけるガスセンサごとの設置環境の差を無くすことができ、設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できる。その結果、ガス濃度の検出精度を高めることができる。
前記センサ回路部として、各々異なるガスセンサに接続され、素子電流を計測する電流計測部と該電流計測部による計測結果を増幅し出力する増幅出力部とをそれぞれ有する複数の素子電流計測回路を備えるとよい。この場合、センサ回路部は複数の素子電流計測回路を備えてなり、それがケース部材内に収容されることとなっている。これにより、設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できる。
また、前記センサ回路部は、前記複数の素子電流計測回路における増幅出力部からの出力信号をそれぞれ入力し、該出力信号に基づいて各ガスセンサによるガス濃度の検出値を算出する各センサ共通の演算装置(マイクロコンピュータ等)を備えるとよい。この場合、上述のとおり複数の素子電流計測回路では設置環境の差に起因する検出ばらつきが抑制されているため、演算装置では、検出ばらつきを低減しつつガス濃度の演算を実施できる。
前記センサ回路部として、多入力1出力の構成を有し入力側に複数のガスセンサが接続されるセンサ入力切替部と、前記センサ入力切替部の出力側に接続され素子電流を計測する電流計測部及び該電流計測部による計測結果を出力する出力部を有する素子電流計測回路と、を備えるとよい。この場合、複数のガスセンサの素子電流が共通の素子電流計測回路にて計測されるとともにその計測結果が出力される。これにより、設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できることに加え、ガスセンサごとに素子電流計測回路を設ける場合に生じうる回路部品の特性誤差等に起因する検出ばらつきを抑制できる。
複数のガスセンサが各々ヒータを有していることを考慮すると、センサ回路部は、各ガスセンサのヒータに接続されそれぞれにヒータ制御を実行する複数のヒータ制御回路を備えるとよい。この場合、センサ回路部は複数のヒータ制御回路を備えてなり、それがケース部材内に収容されることとなっている。本構成では、ガスセンサのヒータ制御に関しても、設置環境の差に起因する制御ばらつきを抑制できる。
本発明のガス濃度検出装置は、以下のようなガスセンサに好適に適用される。すなわち、ガスセンサは、ガス室内に導入した被検出ガス中の酸素量を所定濃度レベルに調整する第1セル(ポンプセル)と、第1セルでの酸素量調整後のガスから特定成分の濃度(酸素濃度以外、NOx濃度等)を検出する第2セル(センサセル)とを有する。そして、ガス濃度検出装置は、センサ回路部により第2セルにて生じる第2セル電流を計測し、その第2セル電流の計測値に基づいて前記特定成分の濃度を算出する。
かかる場合、第2セルで計測される特定成分は酸素以外の、NOx、NH3、HC等の濃度であり、その濃度検出のための素子電流は微弱である。例えば、NOx濃度検出時の素子電流はnA(ナノアンペア)オーダである。この点、上述した各々の特徴的構成によれば、微弱な素子電流であっても好適にガス濃度を検出できる。
複数のガスセンサを備えるシステムとして、内燃機関の排気系にNOx浄化触媒が設けられるとともに、該NOx浄化触媒の上流側及び下流側に前記ガスセンサとしてのNOxセンサがそれぞれ設けられる排気浄化システムがある。こうした排気浄化システムに適用されるガス濃度検出装置として、NOxセンサは、ガス室内に導入した排気中の酸素量を所定濃度レベルに調整する第1セル(ポンプセル)と、第1セルでの酸素量調整後のガスからNOx濃度を検出する第2セル(センサセル)とを有する。そして、ガス濃度検出装置は、センサ回路部により第2セルにて生じるNOx検出電流を計測し、そのNOx検出電流の計測値に基づいてNOx濃度を算出する。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両用の多気筒ディーゼルエンジンを制御対象としてエンジン制御システムを構築するものとしており、当該制御システムにおいては電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢としてエンジンの各種制御が実施される。また本実施形態では、燃料噴射システムとしてコモンレール式燃料噴射システムを採用するとともに、排気浄化システムとして尿素SCRシステムを採用することとしている。先ずは、本システムの概略を図1を用いて説明する。なお、図1では、エンジン10とその排気系との概略構成を示している。
エンジン10には、気筒ごとに燃料噴射弁11が設けられている。周知技術である故に図示は略すが、燃料噴射弁11にはコモンレール(蓄圧配管)が接続されており、燃料噴射弁11は、噴射信号に基づいて、コモンレールから供給される高圧燃料を気筒ごとに所定順序で噴射供給する。
エンジン10には排気管12が接続されており、この排気管12に、エンジン10からの排気を浄化する排気浄化装置が設けられている。具体的には、排気管12には、上流側から順に、酸化触媒付きのDPF13、NOx浄化触媒としてのSCR触媒(アンモニア選択還元触媒)14、アンモニアスリップ触媒15が配設されている。また、排気管12においてDPF13とSCR触媒14との間には、NOx還元剤としての尿素水(尿素水溶液)を排気管12内に添加供給するための尿素水添加弁16が設けられている。この尿素水添加弁16に対しては、尿素水ポンプの圧送動作によって尿素水タンク内の尿素水が逐次供給されるようになっており(図示は省略)、尿素水添加弁16は、電気的な制御指令に伴う開弁動作により先端噴孔部から尿素水を噴射する。
上記構成の排気浄化装置において、排気中に含まれるPM(パティキュレートマター)はDPF13に捕集されることで除去される。また、排気中に含まれるNOx(窒素酸化物)は、尿素水添加弁16にて噴射される還元剤(尿素水)を用いたSCR触媒14での触媒反応により還元除去される。
ちなみに、DPF13にて捕集され堆積されたNOxは、例えば、燃料噴射弁11のポスト噴射等により排気管内に供給される未燃燃料を用いて酸化除去される。これにより、DPF13が再生され、当該DPF13におけるPM捕集機能が維持される。なお、DPF13でのNOx堆積量はDPF前後差圧等により推定され、そのNOx堆積量(推定値)が所定レベルを超えた時点でDPF再生処理が行われる。
SCR触媒14におけるNOx還元除去について補足説明する。尿素水添加弁16により排気管12内に尿素水が添加供給されると、その尿素水が排気熱で加水分解され、アンモニア(NH3)が生成される。そして、SCR触媒14を排気が通過する際、アンモニアによって排気中のNOxが選択的に還元浄化される。このとき、アンモニアによる還元反応によりNOxが窒素(N2)と水(H2O)とに変換される。
なお、アンモニアによるNOxの還元浄化が行われる際、アンモニアがNOxと反応しきれずに余剰となると、その余剰アンモニアが排気に混じって排気下流側に放出される。かかる場合、余剰アンモニアは、SCR触媒下流側のアンモニアスリップ触媒15(例えば酸化触媒)により除去されるようになっている。
また、排気管12においてDPF13とSCR触媒14との間には、排気中のNOx濃度を検出するNOxセンサ17が設けられ、SCR触媒14とアンモニアスリップ触媒15との間には同じくNOxセンサ18が設けられている。これらNOxセンサ17,18により、SCR触媒14の上流側及び下流側のそれぞれにおいて排気中のNOx濃度が検出される。その他、本システムでは、DPF13の上流側、DPF13とSCR触媒14との間、SCR触媒14の下流側にそれぞれ排気温度センサが設けられるが、ここでは図示及び詳細な説明を省略する。
ECU20は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータ(図示略)を備えて構成されており、エンジン回転速度やアクセル操作量等のエンジン運転情報に基づいて燃料噴射制御や燃料圧力制御(レール圧制御)等を実行する。これにより、燃料噴射弁11の燃料噴射動作や高圧ポンプによる燃料圧送動作等が制御される。
NOxセンサ17,18にはNOx検出装置21が接続されている。NOx検出装置21は、2つのNOxセンサ17,18に共通に設けられ、これら各NOxセンサ17,18におけるNOx検出電流をそれぞれ計測するものとなっている。その詳細は後述する。NOx検出装置21にて計測されたNOx電流の計測結果はNOxセンサ17,18ごとにセンサ検出信号としてECU20に逐次入力される、ECU20は、都度のセンサ検出信号に基づいて、SCR触媒14の下流側におけるNOx量を算出したり、NOx浄化率を算出したりする。また、NOx浄化率に基づいて尿素水添加弁16による尿素水添加量を制御する。
次に、NOxセンサ17,18の素子内部構造を図2を用いて説明する。NOxセンサ17,18はいずれも同じ構成のセンサ素子30を有しており、図2はセンサ素子30の断面構造を示す断面図である。センサ素子30は、ポンプセル、センサセル及びモニタセルからなる、いわゆる3セル構造を有するものであり、それら各セルが積層配置されて構成されている。なお、モニタセルは、ポンプセル同様、ガス中の酸素排出の機能を具備するため、補助ポンプセル又は第2ポンプセルと称される場合もある。
センサ素子30において、ジルコニア等の酸素イオン導電性材料からなる固体電解質体31,32はシート状をなし、アルミナ等の絶縁材料からなるスペーサ33を介して図の上下に所定間隔を隔てて積層されている。このうち、図の上側の固体電解質体31には排気導入口31aが形成されており、この排気導入口31aを介して当該センサ素子周囲の排気が第1チャンバ34内に導入される。第1チャンバ34は、絞り部35を介して第2チャンバ36に連通している。固体電解質体31の図の上面には、排気を所定の拡散抵抗で出し入れするための多孔質拡散層37が設けられるとともに、大気通路38を区画形成するための絶縁層39が設けられている。
また、固体電解質体32の図の下面にはアルミナ等よりなる絶縁層41が設けられ、この絶縁層41により大気通路42が形成されている。
図の下側の固体電解質体32には、第1チャンバ34に対面するようにしてポンプセル51が設けられており、ポンプセル51は、第1チャンバ34内に導入された排気中の酸素を出し入れして同チャンバ34内の残留酸素濃度を所定濃度に調整する。ポンプセル51は、固体電解質体32を挟んで設けられる上下一対の電極52,53を有し、そのうち特に第1チャンバ34側の電極52はNOx不活性電極(NOxを分解し難い電極)となっている。ポンプセル51は、電極52,53間に電圧が印加された状態で、第1チャンバ34内に存在する酸素を分解して電極53より大気通路42側に排出する。
また、図の上側の固体電解質体31には、第2チャンバ36に対面するようにしてモニタセル54及びセンサセル55が設けられている。モニタセル54は、上述したポンプセル51により余剰酸素が排出された後に、第2チャンバ36内の残留酸素濃度に応じて起電力、又は電圧印加に伴い電流出力を発生する。センサセル55は、第2チャンバ36内の残留酸素濃度とNOx濃度とに応じて電流出力を発生する。
モニタセル54及びセンサセル55は、互いに近接した位置に並べて配置されており、第2チャンバ36側に電極56,57を有するとともに、大気通路38側に共通電極58を有する構成となっている。すなわち、モニタセル54は、固体電解質体31とそれを挟んで対向配置された電極56及び共通電極58とにより構成され、センサセル55は、同じく固体電解質体31とそれを挟んで対向配置された電極57及び共通電極58とにより構成されている。モニタセル54の電極56(第2チャンバ36側の電極)はNOxに不活性な白金Pt、金Au等の貴金属からなるのに対し、センサセル55の電極57(第2チャンバ36側の電極)はNOxに活性な白金Pt、ロジウムRh等の貴金属からなる。なお、便宜上図面ではモニタセル54及びセンサセル55を排気の流れ方向に対して前後に並べて示すが、実際には、これら各セル54,55は排気の流れ方向に対して同等位置になるよう配置されるようになっている。
また、絶縁層41には、センサ全体を加熱するためのヒータ(発熱体)43が埋設されている。ヒータ43はポンプセル51、モニタセル54及びセンサセル55を含めたセンサ素子全体を活性状態にすべく、バッテリ電源等からの給電により熱エネルギを発生する。
上記構成のセンサ素子30では、排気は多孔質拡散層37及び排気導入口31aを通って第1チャンバ34に導入される。そして、この排気がポンプセル51近傍を通過する際、ポンプセル電極52,53間にポンプセル印加電圧が印加されることで分解反応が起こり、第1チャンバ34内の酸素濃度に応じてポンプセル51を介して酸素が出し入れされる。なおこのとき、第1チャンバ34側の電極52がNOx不活性電極であるため、ポンプセル51では排気中のNOxは分解されず、酸素のみが分解されて電極53から大気通路42に排出される。こうしたポンプセル51の働きにより、第1チャンバ34内が所定の低酸素濃度の状態に保持される。
ポンプセル51近傍を通過したガス(酸素濃度調整後のガス)は第2チャンバ36に流れ込み、モニタセル54では、ガス中の残留酸素濃度に応じた出力が発生する。モニタセル54の出力は、モニタセル電極56,58間に所定のモニタセル印加電圧が印加されることでモニタセル電流として検出される。また、センサセル電極57,58間に所定のセンサセル印加電圧が印加されることでガス中のNOxが還元分解され、その際発生する酸素が電極58から大気通路38に排出される。このとき、センサセル55に流れた電流(センサセル電流)により、排気中に含まれるNOx濃度が検出される。なお補足すると、センサセル電流には、第2チャンバ36内の残留酸素濃度に応じた電流分が含まれており、センサセル電流からモニタセル電流を減算した電流値によりNOx濃度が算出されるようになっている。
ところで、上記のように複数のNOxセンサ17,18を用いるガス濃度検出システムでは、NOxセンサごとに個別の検出装置が設けられる構成であると、各検出装置におけるそれぞれの設置環境の違い等によりNOxセンサごとに検出ばらつきが生じることが懸念される。そこで本実施形態では、設置環境の違い等によるNOxセンサの検出ばらつきを解消すべく、1つのNOx検出装置21にNOxセンサ17,18用の各検出装置を統合させて設けている。
図3は、NOx検出装置21の概略構成を示すブロック図である。図3において、NOx検出装置21は、各々異なるNOxセンサ17,18に接続される電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とを備えている。これらの電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とにマイコン65が接続され、さらにマイコン65にはECU20が接続されている。なお本実施形態では、電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とにより「センサ回路部」が構成され、マイコン65により「各センサ共通の演算装置」が構成されている。
NOx検出装置21において、上記の各回路61〜64及びマイコン65は箱形状のケース66に収容されている。ケース66は、ケース内部への水等の浸入を防止するための防水構造を有している。例えば、ケース66は、互いに接合される一対のケース体を有し、それら各ケース体が接合部分にシール材を介在させた状態で接合されることで、ケース内部に所定の回路収容スペースが形成されるとともにケース内部への水等の浸入が抑制されるようになっている。
ケース66には、センサ側コネクタ67とECU側コネクタ68とが設けられており、センサ側コネクタ67にはNOxセンサ17,18から延びるハーネスH1,H2が接続され、ECU側コネクタ68にはECU20から延びるハーネスH3が接続されている。センサ側コネクタ67には、接続相手であるNOxセンサの数分だけ接続端子が設けられている。
電流計測回路61,62は、各NOxセンサ17,18においてモニタセル54に流れるモニタセル電流及びセンサセル55に流れるセンサセル電流を各々計測し、その計測結果を増幅しセンサ検出信号として出力する。また、ヒータ制御回路63,64は、各NOxセンサ17,18のヒータに接続されそれぞれにヒータ制御を実行する。マイコン65は、電流計測回路61,62から出力されるセンサ検出信号をそれぞれ入力し、該検出信号に基づいてガスセンサごとのNOx濃度の検出値を算出する。
なお、電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64とは共通の回路基板上に実装される。ただし、NOxセンサ17用の電流計測回路61及びヒータ制御回路63を実装する基板と、NOxセンサ18用の電流計測回路62及びヒータ制御回路64を実装する基板とを別々にしてもよい。
上記のように1つのNOx検出装置21に複数の電流計測回路61,62とヒータ制御回路63,64がまとめて設けられることにより、設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できる。
次に、電流計測回路61,62の回路構成について図4を用いて説明する。電流計測回路61,62は実際には、ポンプセル51に関する回路部、モニタセル54に関する回路部、センサセル55に関する回路部をそれぞれ有するものであるが、ここでは説明の便宜上、モニタセル54及びセンサセル55に関する回路部についてのみ説明する。なお、2つの電流計測回路61,62はいずれも同様の構成を有している。
図4において、モニタセル54及びセンサセル55の共通電極58(図2参照)に接続される共通端子COM+には、各セル54,55に共通の電圧を印加する電源回路71が接続されている。また、モニタセル54及びセンサセル55の各電極56,57(図2参照)に接続される負側端子MS−,SS−には、それぞれモニタセル電流Im、センサセル電流Isを計測する電流計測部が接続されている。
モニタセル54の負側端子MS−には、電流計測抵抗72とオペアンプ73とが直列に接続されており、電流計測抵抗72によりモニタセル電流Imが計測される。この場合、電流計測抵抗72の両端には差動増幅回路74の−入力端子と+入力端子とが接続されており、電流計測抵抗72にモニタセル電流Imが流れると、そのモニタセル電流Imに応じて電流計測抵抗72の両端で電位差が生じ、その電位差が差動増幅回路74にて所定の増幅率で増幅された後、出力される。
また、センサセル55の負側端子SS−には、電流計測抵抗75とオペアンプ76とが直列に接続されており、電流計測抵抗75によりセンサセル電流Isが計測される。この場合、電流計測抵抗75の両端には差動増幅回路77の−入力端子と+入力端子とが接続されており、電流計測抵抗75にセンサセル電流Isが流れると、そのセンサセル電流Isに応じて電流計測抵抗75の両端で電位差が生じ、その電位差が差動増幅回路77にて所定の増幅率で増幅された後、出力される。
モニタセル電流計測側の差動増幅回路74とセンサセル電流計測側の差動増幅回路77との出力はそれぞれ差動増幅回路78に入力される。差動増幅回路78では、センサセル電流の計測値(差動増幅回路77の出力)からモニタセル電流の計測値(差動増幅回路74の出力)が減算され、その結果がNOx検出信号として出力される。NOx検出信号は、「センサセル電流Is−モニタセル電流Im」に相当する電流検出信号である。
ちなみに、差動増幅回路74,77,78は、あらかじめ2つの抵抗器をペアにして同一チップに組み込んだ複合抵抗器(ペア抵抗)を用いて構成されている。これにより、各差動増幅回路74,77,78の増幅精度が向上し、NOx検出精度が高められる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
複数のNOxセンサ17,18を1つのNOx検出装置21に接続し、そのNOx検出装置21で各センサ17,18の電流計測を行う構成としたため(すなわち、NOx検出装置を1つに統合したため)、NOxセンサ17,18ごとの設置環境の差を無くすことができ、設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できる。その結果、NOx濃度の検出精度を高めることができる。NOxセンサ17,18は、検出電流が微弱であるため、上記のような検出ばらつきの改善による効果は大きいと考えられる。
補足すると、2つの電流計測回路61,62はそれぞれ電流計測抵抗72,75(電流計測部)や増幅回路74,77,78(増幅出力部)を具備しており、これらは回路設置場所の温度等によって特性が変化するため、2つの電流計測回路61,62で回路誤差が生じる。すなわち、電流計測抵抗72,75や増幅回路74,77,78は温度依存性を有しており、温度変化によって電流・電圧の変換精度や増幅精度に差が生じる。しかしながら、上記のとおり2つの電流計測回路61,62が1つのケース66に収容されてNOx検出装置21が構成されることで、温度環境等に起因する検出ばらつきを抑制できる。
また、NOx検出装置21の統合によりケース66が1つでよくなり、コスト面でメリットがある。ケース66の必要数が減ることで、ケース材料費が低減できる他、ケースの防水構造に要するコストも低減できる。
また、NOx検出装置21は、各NOxセンサ17,18用のヒータ制御回路63,64も備えるため、NOxセンサ17,18のヒータ制御に関しても、設置環境の差に起因する制御ばらつきを抑制できる。
上記のようにNOx濃度の検出精度が向上することにより、エンジン10において好適なる排気浄化を行わせることができる。すなわち、SCR触媒14の上流側及び下流側におけるNOx濃度の検出精度が向上することで、SCR触媒14におけるNOx浄化状態(劣化状態)を好適にモニタできる。また、尿素水添加弁16から適正量の尿素水を添加供給することが可能となり、SCR触媒14において排気中のNOxを好適に浄化させることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・NOx検出装置21の構成を図5のように変更してもよい。図5のNOx検出装置21では、2つのNOxセンサ17,18の電流計測回路61,62を近接位置に設置する構成としている。また、ヒータ制御回路63,64についても同様に近接位置に設置している。図5の構成によれば、前記同様、電流計測回路61,62の設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できる。
また、各2つの電流計測回路61,62やヒータ制御回路63,64をそれぞれ1つのIC回路で統合することも可能である。具体的には、2つの電流計測回路61,62からなるカスタムICと、2つのヒータ制御回路63,64からなるカスタムICとをそれぞれ回路基板上に実装する。こうしてカスタムICによる統合を行うことにより、設置環境や構成部品ばらつきの影響が低減される。また、部品点数低減が可能となり、コスト低減を図ることもできる。
・NOx検出装置21の構成を図6のように変更してもよい。図6のNOx検出装置21では、2入力1出力の入力切替回路81を設け、その入力側に2つのNOxセンサ17,18を接続するとともに、出力側に電流計測回路82を接続している。電流計測回路82は、上述した電流計測回路61,62と同様の回路構成を有している。入力切替回路81では、マイコン65から出力される切替信号により信号入力経路が切り替えられる。つまり、入力切替回路81は、NOxセンサ17側に電気的に接続され、NOxセンサ17の素子電流を計測する状態と、NOxセンサ18側に電気的に接続され、NOxセンサ18の素子電流を計測する状態とで切り替えられる。例えば、マイコン65は、一定の時間周期で入力切替回路81の信号入力経路を切り替えたり、都度の制御上、どちらのNOxセンサの検出信号を要するかに応じて入力切替回路81の信号入力経路を切り替えたりするとよい。
図6の構成によれば、2つのNOxセンサ17,18の素子電流が共通の電流計測回路82にて計測されるとともにその計測結果が出力されることとなる。換言すると、2つのNOxセンサ17,18で1つの電流計測回路82が共有できる。これにより、設置環境の差に起因する検出ばらつきを抑制できることに加え、NOxセンサ17,18ごとに電流計測回路を設ける場合に生じうる回路部品の特性誤差等に起因する検出ばらつきを抑制できる。また、電流計測回路82が1つで済むことからコスト低減を図ることができる。
・内燃機関の排気浄化システムにおいて、NOx浄化触媒としてSCR触媒14に代えてNOx吸蔵型還元触媒を設ける構成であってもよい。本構成においても、触媒上流側及び下流側のNOx濃度の検出精度が向上することにより、好適なる排気浄化を行わせることができる。
・上記実施形態では、NOx検出装置21には2つのNOxセンサ17,18が接続される構成としたが、3つ以上のNOxセンサが接続される構成であってもよい。
・上記実施形態では、NOxセンサのセンサ素子として、ポンプセル、センサセル及びモニタセルからなる、いわゆる3セル構造を有するものを適用したが、これを変更してもよい。例えば、センサ素子として、ポンプセル及びセンサセルからなる、いわゆる2セル構造を有するものを適用する。なお、モニタセルを用いる場合に、そのモニタセルが起電力を出力する起電力セルであってもよい。
・検出対象の特定成分がNOx以外であってもよい。例えば、排気中のHCやCO、NH3を検出対象とするガスセンサであってもよい。この場合、ポンプセルにて排気中の余剰酸素を排出し、センサセルにて余剰酸素排出後のガスからHCやCO、NH3のいずれかを分解してHC濃度やCO濃度、NH3濃度を検出する。
・ガス室内に導入した排気中の酸素量を所定濃度レベルに調整する第1セルと、その酸素量調整後のガスから特定成分の濃度を検出する第2セルとを有するガスセンサ以外への適用も可能である。例えば、固体電解質体を有するセンサ素子を備え、センサ素子への電圧印加状態で排気中の酸素濃度に応じた素子電流を生じさせる酸素濃度センサ(A/Fセンサ)に適用してもよい。
それぞれ検出成分が異なる複数のガスセンサを用いたシステムにおいて、それらのガスセンサを1つのガス濃度検出装置に接続する構成としてもよい。
・エンジンの吸気通路に設けられるガスセンサや、ディーゼルエンジン以外にガソリンエンジンなど、他の形式のエンジンに用いられるガスセンサを対象とするセンサ制御装置としても具体化できる。そのガスセンサは、排気以外のガスを検出対象としたり、自動車以外の用途で用いられるものであってもよい。
10…エンジン、12…排気管、14…SCR触媒(NOx浄化触媒)、17,18…NOxセンサ(ガスセンサ)、20…ECU、21…NOx検出装置(ガス濃度検出装置)、30…センサ素子、31,32…固体電解質体、34…第1チャンバ(ガス室)、36…第2チャンバ(ガス室)、43…ヒータ、51…ポンプセル(第1セル)、54…モニタセル、55…センサセル(第2セル)、61,62…電流計測回路(素子電流計測回路)、63,64…ヒータ制御回路、65…マイコン(演算装置)。66…ケース(ケース部材)、72,75…電流計測抵抗(電流計測部)、74,77,78…差動増幅回路(増幅出力部)、81…入力切替回路(センサ入力切替部)、82…電流計測回路(素子電流計測回路)、H1,H2…ハーネス(ハーネス部材)。
Claims (8)
- 固体電解質体を有するセンサ素子を備え、前記センサ素子への電圧印加状態で被検出ガス中の特定成分の濃度に応じた素子電流を生じさせるガスセンサに電気的に接続されるものであり、少なくとも前記センサ素子に流れる素子電流の計測機能を有するセンサ回路部を備え、該センサ回路部がケース部材に収容されてなるガス濃度検出装置において、
前記センサ回路部が複数のガスセンサに電気的に接続され、それら各ガスセンサにおける素子電流をそれぞれ計測可能であることを特徴とするガス濃度検出装置。 - 前記センサ回路部として、各々異なるガスセンサに接続され、素子電流を計測する電流計測部と該電流計測部による計測結果を増幅し出力する増幅出力部とをそれぞれ有する複数の素子電流計測回路を備える請求項1に記載のガス濃度検出装置。
- 前記センサ回路部は、前記複数の素子電流計測回路における増幅出力部からの出力信号をそれぞれ入力し、該出力信号に基づいて各ガスセンサによるガス濃度の検出値を算出する各センサ共通の演算装置を備える請求項2に記載のガス濃度検出装置。
- 前記センサ回路部として、
多入力1出力の構成を有し入力側に複数のガスセンサが接続されるセンサ入力切替部と、
前記センサ入力切替部の出力側に接続され素子電流を計測する電流計測部及び該電流計測部による計測結果を出力する出力部を有する素子電流計測回路と、
を備える請求項1に記載のガス濃度検出装置。 - 前記ガスセンサは前記センサ素子を加熱するヒータを有し、
前記センサ回路部は、各ガスセンサのヒータに接続されそれぞれにヒータ制御を実行する複数のヒータ制御回路を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガス濃度検出装置。 - 前記ガスセンサは、ガス室内に導入した被検出ガス中の酸素量を所定濃度レベルに調整する第1セルと、前記第1セルでの酸素量調整後のガスから特定成分の濃度を検出する第2セルとを有するものであり、
前記センサ回路部により前記第2セルにて生じる第2セル電流を計測し、その第2セル電流の計測値に基づいて前記特定成分の濃度を算出する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガス濃度検出装置。 - 内燃機関の排気系にNOx浄化触媒が設けられるとともに、該NOx浄化触媒の上流側及び下流側に前記ガスセンサとしてのNOxセンサがそれぞれ設けられる排気浄化システムに適用され、
前記NOxセンサは、ガス室内に導入した排気中の酸素量を所定濃度レベルに調整する第1セルと、前記第1セルでの酸素量調整後のガスからNOx濃度を検出する第2セルとを有するものであり、
前記センサ回路部により前記第2セルにて生じるNOx検出電流を計測し、そのNOx検出電流の計測値に基づいてNOx濃度を算出する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガス濃度検出装置。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載のガス濃度検出装置と、
前記ガス濃度検出装置に各々ハーネス部材を介して電気的に接続される複数のガスセンサと、
を備えることを特徴とするガス濃度検出システム。
Priority Applications (1)
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JP2008061106A JP2009216569A (ja) | 2008-03-11 | 2008-03-11 | ガス濃度検出装置及びガス濃度検出システム |
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ID=41188575
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009229148A (ja) * | 2008-03-20 | 2009-10-08 | Denso Corp | ガスセンサ制御装置 |
JP2015232569A (ja) * | 2015-07-24 | 2015-12-24 | トヨタ自動車株式会社 | NOxセンサの制御装置 |
CN105806804A (zh) * | 2016-04-06 | 2016-07-27 | 杭州绰美科技有限公司 | 一种脱硝氨逃逸一体化在线监测仪 |
CN105954472A (zh) * | 2016-06-30 | 2016-09-21 | 武汉理工大学 | 柴油机原机NOx排放漂移检测装置及方法 |
CN111896591A (zh) * | 2020-08-04 | 2020-11-06 | 北京致感致联科技有限公司 | 一种自校准气敏传感器装置及其校准方法和系统 |
-
2008
- 2008-03-11 JP JP2008061106A patent/JP2009216569A/ja active Pending
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