JP2009215717A - 海底定置式の海流規制管 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な構造でありながら、従来の海流規制管と同等の水質改善性能を持ち、しかも、長期に亘る使用によっても性能の劣化が少ない海底設置式の海流規制管を提供すること。
【解決手段】海流規制管Aの規制管本体1の外側面に鍔体16を突設すると共に、該鍔体16は、管路10出口近傍に配設することにより、管路10出口近傍に低圧部を生起し、規制管本体1の周辺における往復流場において管路10内に一方向の流れを生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、閉鎖性水域の海底に設置して使用する海流規制管に関するものである。
近年、閉鎖性沿岸海域において富栄養化等による水質悪化が深刻な問題となっている。この対策として、従来より透過性構造物や渦制御型防波堤などの海水交換による水質改善手法が提案されており、主に小規模な漁港などにおいて顕著な水質改善効果をあげている。しかし、これら従来の手法は、構造上広大な水域に対しての適用が困難であることから、入江や内湾といった地域における有効な解決策は未だ提案されていないのが現状となっている。
このような問題点に対する解決策として、本願発明者らは、表裏両面をそれぞれ弧状膨出面及び平坦状面とすることにより一方向に偏った流動抵抗を有する非対称構造物(以下、「粗度」と称する。)を管内部の壁面に同一方向に向けて複数個配設した矩形状の管体(以下、「海流規制管」と称する。)を開発した(特許文献1参照)。この海流規制管によれば、管内に複数配設した粗度により当該管内に一方向に偏った流れを形成することができ、これによって、自然エネルギーである波動の往復流から一方向流れである残差流を生成して海水の交換が可能となっている。
特開2005−248561号公報
しかしながら、特許文献1に記載の海流規制管は、複数の粗度を管体の内部に形成する作業が比較的困難であり、製作上コストが掛かるという問題があった。しかも、特許文献1に記載の海流規制管は、長期に亘る使用により、管内部の粗度に海底のごみ等が付着したり、或いは、海流により粗度が侵食されて非対称構造が崩れたりすることで性能が劣化するおそれもあった。
そこで、本発明は、簡便な構造でありながら、従来の海流規制管と同等の水質改善性能を持ち、しかも、長期に亘る使用によっても性能の劣化が少ない海底定置式の海流規制管を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、規制管本体外側面に鍔体を突設すると共に、該鍔体は、管路出口近傍に配設することにより、管路出口近傍に低圧部を生起し、規制管本体の周辺における往復流場において管路内に一方向の流れを生成することを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、鍔体は、規制管本体の定置面を除く外側面に突設すべく下方開口略コ字状に形成したことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、鍔体の高さ(h)と、鍔体から管路出口までの距離(dl)と、管路内の高さ(d)との比率が1:0.2〜2.4:1.5〜2.5としたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、規制管本体の出口近傍の外側面に突設した鍔体によって、管路出口近傍に低圧部を生起し、規制管本体の周辺における往復流場において、管内に一方向に偏った流れを形成することができ、これにより、自然エネルギーである波の往復運動を利用した海水の交換が可能となる。しかも、管体の外側面に鍔体を突設しただけの簡便な構造であり、粗度のような比較的複雑な構造を有しないため、従来の海流規制管と比較して安価に製造することができるとともに、水質改善性能を長期に亘り持続させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、規制管本体の定置面側の鍔体を設けないこととしたため、構造がより簡便になり部材も減らすことができ、更に安価に製造することが可能となる。しかも、海流規制管を海底に対して水平に載置することができるため、管内に一方向に偏った流れを生じさせ易く、当該海流規制管による水質改善機能を最大限に発揮させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、海流規制管を水質改善に最も適した形状とすることができる。
本発明は、規制管本体外側面に鍔体を突設すると共に、該鍔体は、管路出口近傍に配設することにより、管路出口近傍に低圧部を生起し、規制管本体の周辺における往復流場において管路内に一方向の流れを生成することを特徴とする海底定置式の海流規制管を提供せんとするものである。
また、規制管本体の定置面を除く外側面に突設したことにも特徴を有する。
また、鍔体の高さ(h)と、鍔体から管路出口までの距離(dl)と、管路内の高さ(d)との比率が1:0.2〜2.4:1.5〜2.5としたことにも特徴を有する。
特に、鍔体の高さ(h)と、鍔体から管路出口までの距離(dl)と、管路内の高さ(d)との比率が1:1.5:2としたとき残差流量が最大となり、その流量は、特許文献1に開示された海流規制管の残差流量よりも大きくなっている。
ここで、各種海流規制管の波動エネルギーによる往復流場における一方向残差流速の生起メカニズムについて説明する。
各種海流規制管に共通していえる管路内の海水の挙動は、管路内の海水が波動によって往復流動する際、波動エネルギーによって、海水は、それぞれの点で円運動または楕円運動をしているが、これは、上下往復運動と水平往復運動とに分解することができ、海底に近い部分においては、水平往復運動が有効に作用する。更に、各種海流規制管の管路内では、上下往復運動がほぼ抑制され、水平往復運動のみが有効に作用することとなる。
そこでまず、図1及び図2に示すような本発明に係る規制管本体外側面に鍔体を突設した海流規制管における管路内の海水の動きを説明する。
図3(a)に示すように、波の峰が流入口に到達した場合、管路内の海水は、右方向へ、すなわち流出口方向へ水平移動するとともに、流出口においては該鍔体の影響で剥離渦が生成され低圧部を形成し、その結果、管路内の海水が流出口方向に引き寄せられることとなり、管路内の海水は流出口方向に大きく移動することとなる。
一方で、波の谷が流入口に到達した場合、図3(b)に示すように、管路内の海水は、左方向へ、すなわち流入口方向へ水平移動するが、流出口近傍に突設した鍔体による入口損失、すなわち流出口における入口損失の影響で、流出口から海水が浸入しにくくなり、結果として、海水は流入口方向に小さく移動することとなる。
このように、波の峰と谷の交互の到来により、海流の円運動または楕円運動が生起するものの、海底に近い部分においては、それが水平往復運動と化し、管路内に同様の往復海流運動が生じ、しかも鍔体の背後の低圧部により流入口方向への海水の移動よりも流出口方向への海水の移動の方が大きくなるため、全体として、海水が波動によって水平往復流動しても、管路内の海水は流入口から流出口方向への一方向残差流速により移動することとなる。
次に、原理的には略同様の、波動エネルギーを利用して一方向残差流速を生起する特許文献1と対比しながら本発明の最良の形態を説明する。
図4(a)に示すような、特許文献1に開示された海流規制管(以下、「One-Way Pipe」と称する。)における海水の動きは次のようになる。
波の峰が流入口に到達した場合、管路内の海水は、右方向へ、すなわち流出口方向へ水平移動するが、その際、図4(b)に示すように、管路内に配設された粗度の形状により右方向への流動抵抗は小さいことから、海水は流出口方向に移動することとなる。
一方で、波の谷が流入口に到達した場合、管路内の海水は左方向へ、すなわち流入口方向へ水平移動するが、その際、図4(b)に示すように、管路内に配設された粗度の形状により左方向への流動抵抗は大きいことから、海水は流入口方向には小さく移動することとなる。
全体として、海水の水平往復流動が流動抵抗の差により次第に右方向にわずかに偏った往復運動に変わり、管路内の海水は流入口から流出口への一方向残差流速により移動することとなる。
以上のように、特許文献1の海流規制管であるOne-Way Pipeは、本発明と同じように波動エネルギーを利用して一方向残差流速を生起するものであり、本発明と略同様の海水の一方向残差流速による移動が見られる。ここで、One-Way Pipeは、波動によって往復流動する管路内において、右方向への残差流速を生起することはできるものの、その構造が複雑であるために、製作費が高価となり、維持補修が困難なものとなる。また、実際に海底に定置した場合にも、その構造が複雑であるために、海底のごみやヘドロなどの堆積物などが詰まりやすく、そのごみなどによって一方向残差流速の生起能力を保持し難い。
一方で、本発明における規制管本体外側面に鍔体を突設し、鍔体の高さ(h)と、鍔体から管路出口までの距離(dl)と、管路内の高さ(d)との比率を1:1.5:2とすることによって、本発明の海流規制管は、残差流速が大きくなり、One-Way Pipeよりの大きな残差流量を得ることもできる。
本発明の実施例を図面に基づき詳説する。
図1に示すように、本発明の海流規制管Aは、規制管本体1とその端部近傍外側に突設した鍔体16とよりなる。すなわち、規制管本体1は、図1及び図2に示すように、両端を開口した断面正矩形状の管体よりなり、その内部の管路10を一定の高さ(d)とし、規制管本体1内部の管路10の一端を流入口11、他端を流出口12としている。
管路10の流出口12の近傍、すなわち流出口12より一定の距離(dl)を保持して規制管本体1の外側面には鍔体16を突設している。すなわち、規制管本体1の外側面には、一定の高さ(h)を有する鍔体16を規制管本体1の表面に対して直角に突設している。
しかも、規制管本体1の外底面は定置面13としており、規制管本体1を海底6に安定的に、かつ可及的水平に定置するために鍔体16のない平坦面としており、従って、鍔体16は、この定置面13を除いて規制管本体1の天井面14と左右側面15に突設されるように下方開口の略コ字状に形成されている。
また、海流規制管Aの管路10の長さ(L)は、管路の流入口11と流出口12において、同じ方向の流速が生起される必要があることから、波動の波長の略4分の1であることが望ましい。つまり、例えば、流入口11に波の峰が通過した際には、流出口12も波の峰が通過するように海流規制管Aの管路10の長さ(L)を規定することによって、管路の流入口11と流出口12において同じ右方向の流速が生起されることから、流速が相殺されることなく、効果的に一方向残差流速が生起される。
海流規制管Aの管路10の長さ(L)は、海流規制管Aが定置される水域の波動の波長に合わせて、最適な長さとなるように調整される。
このように構成された海流規制管Aは、図5に示すように、例えば、閉鎖性水域たる湾内の水質悪化領域、すなわち海水が滞溜して水質が悪化した海底領域における海水を、波動エネルギーによる海水の往復流を一方向の残差流2aに変換することによって得られる残差流エネルギーを利用して閉鎖性水域外に排出する。その結果として閉鎖性水域外の良質海水を引き込む補償流2bが形成される。
管路10の長さには、前述のように、波動の波長に対して適切な長さの範囲があることから、長い距離の一方向残差流を生起させるには、図6に示すように、海流規制管Aを管路10の流入口11が水質悪化領域側を向くように閉鎖性水域たる水質悪化領域から閉鎖性水域外まで順次一定間隔で直列に並べていく。
図5及び図6に示すように、海流規制管Aを海底6に設置して閉鎖性水域たる水質悪化領域から順次一定間隔で直列に並べた場合、海面5上で生起する波の波動エネルギーによって、海水の往復流動が生起し、海流規制管Aの周辺では波の峰と谷の交互の到来により、海水は円運動あるいは楕円運動を生起すると共に、円や楕円の海流運動は、海底6に可及的に近づくにつれて水平往復運動と化し、管路10内においても同様の海流運動が生起する。
この状態において、鍔体16によって海水に流動抵抗が与えられると、鍔体16の背後に形成された低圧部によって、一方向の大きな流れが形成される。なお、一般的に内湾の水深は、数10m〜50mの範囲に属するものであり、海流規制管Aが設置される水質悪化領域の水深は、この水深範囲から適宜選択される。
なお、海流規制管Aを海底6に設置して順次一定間隔で直列に並べる場合、海流規制管Aは、定置される海流規制管Aと海流規制管Aとの間隔において、剥離渦4が生起し低圧部が形成されるように、また、各海流規制管Aによって生起した一方向残差流が継続して大きな一方向残差流となるように、最適な間隔で海底6に定置される。
具体的には、図3(a)に示すように、波の峰が海流規制管Aを通過した時には、海水の流れ2が左から右へとなるので、鍔体16の背後には剥離渦4が発生して流出口12付近は低圧となり、流入口11と流出口12との圧力差により、管路10内における海水の動き3のように、海水は流入口11から流出口12へと大きく移動し、他方、図3(b)に示すように、波の谷が通過した時には、海水の流れ2が右から左へとなるので、流出口12近傍に突設した鍔体16による入口損失、すなわち流出口12における入口損失が大きいため、海流規制管A内への海水の流入が妨げられることから、管路10内における海水の動き3のように、海水は流出口12から流入口11へと小さく移動する。
すなわち、波動エネルギーにより海流規制管A外方に生起した海流は、管路10の流出口12の近傍に突設した鍔体16に干渉され鍔体16の背後が低圧となるために、この低圧部分に管路10内の流出口12近傍に滞溜する海水が引き込まれて管路10内に流入口11から流出口12に向かった一方向の残差流をつくる。
このように、閉鎖性領域たる水質悪化領域の海水は、図5や図6に示すように、一定間隔で順次直列に設置された各管路10の流入口11から次々に流入して流出口12より次々に排出され、直列に設置した多数の海流規制管Aの管路10内を通過して湾内の水質の悪化した海水が湾外に排出されていく。
前述のように、直列に設置した多数の海流規制管Aによって一方向の残差流2aが生起されているが、図5に示すように、その際には、残差流2aとは正反対方向の補償流2bが生起する。
このようにして、水質悪化領域の海水が該領域外に徐々に排出されていくと、そのかわりに新しい良質の海水が該領域内に浸入して水質の悪化した海水と良質の海水との互換が行われて、水質悪化領域の浄化がなされる。
なお、図示しないが、図6とは反対に、海流規制管Aを管路10の流入口11が閉鎖性水域外側を向くように閉鎖性水域たる水質悪化領域から湾外まで順次一定間隔で直列に並べていく。このことから、海流規制管Aは、生起される残差流2aによって、良質な海水を閉鎖性水域たる水質悪化領域に供給する。その結果として、生起される補償流2bによって水質の悪化した海水が排出されて、水質悪化領域の浄化がなされる。
発明者らは、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を、模型による実験で0.0cm、1.0cm、2.5cm、5.0cm、7.5cm、10.0cmの六段階に分けて、海流規制管A中の高さ(d)との関係で、海水がどのように海流規制管A中に流入するのかを、鍔体16の設置位置(dl)と残差流量(q)の関係及び海流規制管A内残差流速の鉛直分布などについて詳細に調べた。
実験には海流規制管Aのモデルとして、流入口11及び流出口12及び管路10が、10×10cmの正方形断面(d×d)であって、長さ50cmの中空のアクリル製矩形管を用いた。
このような海流規制管Aについて、流入口11から25cmの位置(以下、「center」と称する。)においてレーザー流速計を用いて管内10の流速の鉛直方向分布を測定した。なお、鍔体16の高さ(h)は、管路10の高さ(d)の2分の1、すなわち5cmである。
前述の実験に使用した海流規制管Aは、全長1900cm、幅25cmの二次元造波水槽の造波装置から1100cmの地点に設置した。
実験条件としては、水深30cm、波高5cm、周期1.2sec、波長180cmと設定して実験を行った。前述したcenter断面について管路10内上面から1cmの地点より水深方向に1cm間隔で流速を測定し、サンプリング周波数100Hzで100周期分の波を計測し、時間平均することにより流速を求めた。
実験結果として、図7は、海流規制管Aのcenterにおける、残差流速分布を示す。縦軸には水深、横軸には残差流速をとっており、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を0.0cm、1.0cm、2.5cm、5.0cm、7.5cm、10.0cmと変化させた際の、各水深における残差流速が示されている。なお、鍔体16の効果を比較検討するために、鍔体16が突設していない規制管本体1のみの各水深における残差流速(凡例「Plain」)も合わせて示されている。
更に、本発明である海流規制管Aと管路70内に粗度75が複数個配設された海流規制管であるOne-Way Pipe7とを残差流速の観点から比較検討するために、One-Way Pipe7についても同様の実験を行い、その結果として、各水深におけるOne-Way Pipe7のcenterにおける残差流速分布も図7に合わせて示されている。
One-Way Pipe7は、両端を開口した断面正矩形状の管体よりなり、その内部の管路70の一端を流入口71、他端を流出口72としている。また、管路70内には、表裏両面をそれぞれ弧状膨出面及び平坦状面とする非対称構造物である粗度75を複数個配設している。
前述のような粗度75の形状により、粗度75は、一方向に偏った流動抵抗を有することから、海水の水平往復流動が流動抵抗の差により次第に右方向にわずかに偏った往復運動に変わり、管路70内の海水は、流入口71から流出口72への一方向残差流速により移動することとなる。
実験にはOne-Way Pipe7のモデルとして、図4(a)に示すように、流入口71及び流出口72及び管路70が、10×10cmの正方形断面であって、長さ50cmの中空のアクリル製矩形管において、管路70内には、粗度高さ0.9cmの4分の1円柱型の非対称構造物である粗度75が複数個配設されている管を用いた。
なお、Depth=19.5〜27.5cmの区間は、管路内である。
図7より、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)の変化に関して、dl=1.0cm、2.5cm、5.0cm、7.5cm、10.0cmについては、正の残差流速が生起されることがわかる。なお、鍔体16が突設していない規制管本体1のみの場合は、負の残差流速が生起されており、また、dl=0.0cmについても、負の残差流速が生起されている。
このことから、規制管本体1に鍔体16を突設させて、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を適度な長さとすることにより、正の残差流が生起されることがわかる。
更に、発明者らは、図7に示した残差流速分布に関して、その残差流速を積分することによって、各海流規制管の残差流量を求めて、各海流規制管の残差流生起能力の比較検討を行った。
図8は、海流規制管Aと鍔体16が突設されていない規制管本体1とOne-Way Pipe7とにおける、各海流規制管の残差流量を示す。縦軸には残差流量、横軸には海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)をとっている。
このことから、海流規制管Aについて、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)の変化に対応した残差流量と鍔体16が突設されていない規制管本体1の残差流量と別の形態の海流規制管であるOne-Way Pipe7の残差流量とを比較検討できる。なお、鍔体16が突設されていない規制管本体1の残差流量は、負の残差流量であることがわかる。
そこで、図8に基づいて、本発明の海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を変化させた際の残差流量を段階に分けて詳細に検討する。
(1)海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)が0.0cm〜2.0cm場合、dl=0.0cmにおいては残差流量がほとんどないものの、dl=1.0cm、においてはOne-Way Pipe7よりは劣るが、残差流量は得られることがわかる。
すなわち、この範囲内では、構造が簡単で作製コストは安いものの、One-Way Pipe7よりも少ない残差流量しか得られないことがわかる。しかしながら、この海流規制管Aを閉鎖性水域近傍に長時間設置しておくことによって、One-Way Pipe7と同様、水質の悪化した海水を閉鎖性水域外に排出できる。
(2)海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)が2.0cm〜6.0cm場合、dl=2.5cm、5.0cmにおいてはOne-Way Pipe7よりは僅かに劣るものの同程度の残差流量が得られることがわかる。
すなわち、この範囲内では、構造が簡単で作製コストは安い上に、One-Way Pipe7と同等の残差流量を得られるため、この海流規制管Aを閉鎖性水域近傍に設置した場合には、One-Way Pipe7よりも簡便な構造でありながら、One-Way Pipe7とほぼ同様の期間で閉鎖性水域外に水質の悪化した海水を排出できる。
(3)海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)が6.0cm〜10.0cm場合、dl=7.5cmにおいては、残差流量が最大となり、One-Way Pipe7よりも大きな残差流量が得られることがわかる。
したがって、この海流規制管Aを閉鎖性水域近傍に設置した場合には、One-Way Pipe7よりも簡便な構造で、しかもOne-Way Pipe7よりも短時間で効率良く閉鎖性水域外に水質の悪化した海水を排出できる。
これらのことから、海流規制管Aは、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)がいずれの範囲内であっても、一定の時間をかけることによってOne-Way Pipe7と同様の残差流量が得られる。
また、海流規制管Aを作製するにあたり、海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を調整することにより、海流規制管Aは、海流規制管Aを設置する閉鎖性水域の環境に最適となるように調整することができる。
すなわち、海流規制管Aは、緊急に閉鎖性水域の浄化を行う必要がある場合には、最も残差流量が大きくなるように海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を調整し、海底6に定置される。一方で、急激な変化が自然環境などに悪影響を及ぼす場合には、時間をかけて海水を互換する必要があることから、海流規制管Aは、残差流量があまり大きくならないように海流規制管Aの流出口12から鍔体16までの距離(dl)を調整し、海底6に定置される。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
本発明の実施形態に係る海流規制管を示す全体斜視図である。 本発明の実施形態に係る海流規制管を示す上面図及びB−B′線における断面図である。 本発明の実施形態に係る海流規制管の設置領域における海水の移動を示す模式図である。 比較実験におけるOne-Way Pipeを示す図及びOne-Way Pipeにおける一方向残差流の生起されるメカニズムを示す模式図である。 本発明の実施形態に係る海流規制管を複数個直列に海底に設置した際の海水の流れを示す模式図である。 本発明の実施形態に係る海流規制管を複数個直列に海底に設置した際の閉鎖性水域における水質の悪化した海水の排出を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る海流規制管内の位置centerにおける残差流速の分布を主に示す実験データである。 本発明の実施形態に係る海流規制管のdl変化による残差流量と規制管本体のみの残差流量とOne-Way Pipeにおける残差流量とを示す実験データである。
符号の説明
A 海流規制管
1 規制管本体
2 海水の流れ
2a 残差流
2b 補償流
3 海水の動き
4 剥離渦
5 海面
6 海底
7 One-Way Pipe
10 管路
11 流入口
12 流出口
13 定置面
14 天井面
15 側面
16 鍔体

Claims (3)

  1. 規制管本体外側面に鍔体を突設すると共に、該鍔体は、管路出口近傍に配設することにより、管路出口近傍に低圧部を生起し、規制管本体の周辺における往復流場において管路内に一方向の流れを生成することを特徴とする海底定置式の海流規制管。
  2. 鍔体は、規制管本体の定置面を除く外側面に突設すべく下方開口略コ字状に形成したことを特徴とする請求項1に記載の海底定置式の海流規制管。
  3. 鍔体の高さ(h)と、鍔体から管路出口までの距離(dl)と、管路内の高さ(d)との比率が1:0.2〜2.4:1.5〜2.5としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の海底定置式の海流規制管。
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