JP2009215657A - 高清浄度ばね用鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延で延伸しやすく、介在物が十分小型化され、冷間加工性も良好である共に、耐疲労特性に優れたばねを得る高清浄度ばね用鋼を提供する。
【解決手段】所定の化学成分組成を有し、線材の直径の1/4部よりも表層側に存在する、幅:3μm以上の介在物のうち、S濃度が10質量%以下の酸化物系介在物の個数にして70%以上が下記(1)式を満足するものであり、且つ当該酸化物系介在物の個数にして70%以上のものが所定の組成範囲領域のうちの2または3の領域に分かれて存在するものである。
CaO+Al23+SiO2+MnO+MgO>80(質量%) ‥(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、疲労特性の優れたばね用鋼に関し、このばね用鋼から得られるばねは、極めて高い疲労特性が要求される自動車用エンジンの弁ばねやクラッチばね、ブレーキばねとして有用である。
最近、自動車の軽量化や高出力化の要請が高まるにつれて、エンジンやサスペンション等に使用される弁ばねや懸架ばね等においても高応力設計が指向されている。そのためこれらのばねには、負荷応力の増大に対応するため、耐疲労性や耐へたり性に優れたものが強く望まれている。とりわけ弁ばねについての疲労強度増大の要請は非常に強く、従来鋼の中でも疲労強度の優れているとされているSWOSC-V(JIS G 3566)でも対応が困難になってきている。
高い疲労強度が要求されるばね用線材では、線材中に存在する硬質の非金属介在物を極力低減することが必要である。こうした観点から、上記の様な用途に用いられる鋼材としては、上記非金属介在物の存在を極力低減した高清浄鋼が用いられるのが一般的である。また、素材の高強度化が図られるにつれて、非金属介在物に起因する断線、疲労折損の危険性が高まることから、その主要因となる非金属介在物の低減・小型化の要求は一段と厳しいものとなっている。
鋼材中における硬質の非金属介在物の低減・小型化を図るという観点から、これまでにも様々な技術が提案されている。例えば非特許文献1には、弁ばね用鋼では、融点が1400〜1500℃程度よりも低いCaO−Al23−SiO2系介在物に制御すると、疲労破壊の起点とはならず疲労特性が向上することが開示されている。
また特許文献1、2には、非金属介在物が熱間圧延時によく延伸する様にして疲労特性に優れた高清浄度鋼を提供することが示されている。
一方、特許文献3、および特許文献4には、アルカリ金属化合物を利用することによって介在物の延性化し微細化を図ったSi脱酸鋼について開示されている。
更に、特許文献5には、介在物を少なくすると共に、低融点化することにより、熱間圧延時に介在物断面積を縮小化する技術が提案されている。
「第126・127回西山記念技術講座」、(社)日本鉄鋼協会編、第145〜165頁
特公平6−74484号公報 特公平6−74485号公報 特開2002−167647号公報 特許第2654099号公報 特公平7−6037号公報
これまで提案されている各種従来技術では、熱間圧延時に延伸し、小型化しやすくするための非金属介在物の組成が開示されている。
しかしながら、これまでの技術では、いずれも介在物の平均組成のみに着目したものであって、その後の熱延条件の影響(熱間圧延を受けた後の介在物の形態)については何ら考慮されておらず、場合によって一層の清浄化が求められている近年の要求に対応できる高清浄度鋼が実現できないことがある。
本発明はこうした状況の下になされたものであって、その目的は、熱間圧延で介在物を十分小型化することで、耐疲労特性に優れたばねを得る高清浄度ばね用鋼を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の高清浄度ばね用鋼とは、C:1.2質量%以下(0%を含まない)、Si:0.4〜4質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Al:0.01質量%以下(0%を含まない)、Cr:0.5〜3質量%およびV:0.5質量%以下(0%を含まない)を夫々含み、残部Feおよび不可避不純物である鋼材からなり、線材の直径の1/4部よりも表層側に存在する、幅:3μm以上の介在物のうち、S濃度が10質量%以下の酸化物系介在物の個数にして70%以上が下記(1)式を満足するものであり、且つ当該酸化物系介在物の個数にして70%以上のものが下記(A)〜(C)の組成範囲領域(「%」は、質量%を意味する)のうちの2または3の領域に分かれて存在するものである点に要旨を有するものである。尚、「介在物の幅」とは、線材の軸芯線を含む断面で観察したときの軸心方向と垂直な方向の介在物の径を意味し、(A)〜(C)の質量濃度はSiO2,Al23およびCaOの三成分で100%となるように規格化した値である。
CaO+Al23+SiO2+MnO+MgO>80(質量%) ‥(1)
(A)SiO2:40〜70%、Al23:0〜20%、CaO:20〜60%
(B)SiO2:30〜65%、Al23:25〜50%、CaO:10〜30%
(C)SiO2:10〜30%、Al23:25〜50%、CaO:30〜55%
本発明の高清浄度ばね用鋼においては、更に、Ni:0.5質量%以下(0%を含まない)を含むものであってもよい。また、いずれの鋼種においても、Liを0.01〜20ppm含むものであることが好ましい。
本発明は以上の様に構成されており、熱間圧延時に介在物が延伸分断されることによって、耐疲労特性に優れたばねを得る高清浄度ばね用鋼が実現できた。
試験No.1における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.2における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.3における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.4における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.5における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.6における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.7における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.8における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。 試験No.9における介在物組成分布を示す三成分系状態図である。
熱間圧延時の変形比の大きい線材では、介在物は熱間圧延時に延伸分断させて微細化することが有用であることは知られている。従来では、介在物の平均組成を熱間圧延時に延伸分断しやすい低融点組成に制御することが一般的に行われている。また、SiO2、Al23、アノーサイト(Anorthite)、ウォラステナイト(Wolastonito)、ゲーレナイト(Ghelenite)等の介在物が有害であるとして、凝固から熱間圧延までの段階でも生成しないように制御されている。しかしながら、こうした技術によっては依然として不十分であり、近年の要求に応えることはできない。
本発明者らは、こうした情況の下で、凝固後の加熱、熱間圧延による介在物形態の変化をも考慮して、ばねの耐疲労特性を向上させるための個々の介在物の組成と形態について、様々な角度から検討した。その結果、介在物中に微細な結晶を多数生成させることで、圧延時の介在物の分断が促進され、熱延時に従来以上に介在物が小型化されることを見出した。更に、このような過程で生成したアノーサイトやウォラステナイト、ゲーレナイトは、微細であり疲労特性に悪影響を及ぼさないことを見出し、本発明を完成した。
本発明においては、相分離さえ達成されていれば本発明の目的が達成されるというわけではなく、相分離によって生成する相が比較的無害或は微細でなければならない。例えば、熱延前の介在物組成が適切でないと、有害なSiO2やAl23が生成し、却って疲労特性に悪影響を及ぼすことになる。
従って、熱延・分塊前の介在物組成の制御は、一層厳密に行う必要がある。こうした観点から、従来よりも塩基度の高いスラブで精錬を実施し、なおかつAl濃度の制御も厳密に行う必要がある。
次に、本発明の構成による作用効果について、順次説明する。本発明においては、線材の直径の1/4部よりも表層側に存在する、幅:3μm以上の介在物のうち、S濃度が10質量%以下の酸化物系介在物の個数にして70%以上が下記(1)式を満足するものであることが必要である。
CaO+Al23+SiO2+MnO+MgO>80(質量%) ‥(1)
ここで対象とする介在物を「幅:3μm以上」としたのは、幅:3μm未満の微細な介在物は、疲労破壊の起点になりにくく、疲労強度に顕著な影響を与えないという理由からである。またこうした介在物の存在位置を「線材の直径の1/4部よりも表層側に存在する」としたのは、この位置に存在する介在物が疲労特性に最も影響を及ぼすからである。
弁ばね鋼中には酸化物系介在物と硫化物系介在物が存在している。このうち、硫化物系介在物は非常に軟らかく、熱延時に伸びて微細化されるため、疲労強度に対する影響は少ない。このため、疲労強度を高めるためには酸化物の制御が必要である。こうしたことから、評価する介在物は酸化物系介在物を対象とするため、S(硫黄)が10質量%を超えて含むものを除外した。
線材中には、CaO、Al23、SiO2、MnOおよびMgO以外に、不可避的に混入するイレギュラーな介在物(例えばTi,Crの酸化物等)が存在する。これらは量が少なければ問題とはならないが、量が増えてくると疲労破壊の起点となる恐れがでてくる。こうした観点から、[CaO+Al23+SiO2+MnO+MgO]の値が80質量%以下となる介在物(即ち、イレギュラーな介在物)は個数にして30%未満にする必要がある。
上記のような酸化物系介在物は、個数にして70%以上のものが下記(A)〜(C)の組成範囲領域のうちの2または3の領域に分かれて存在する必要がある。ここで、「酸化物系介在物の個数にして70%以上のもの」としたのは、70%以上のものを制御すれば、本発明の効果が有効に発揮できるからである。一方、70%未満となると、破壊の原因となる形態の介在物の存在が大きくなり、疲労強度の向上が果たせなくなる。尚、介在物中のMnOは、害を与えるものではないので、特に濃度範囲は規定していない。また、MgOは積極的に添加するものではなく、耐火物などから自然に混入してくるものであり、濃度もそれほど問題とならない。
(A)SiO2:40〜70%、Al23:0〜20%、CaO:20〜60%
(B)SiO2:30〜65%、Al23:25〜50%、CaO:10〜30%
(C)SiO2:10〜30%、Al23:25〜50%、CaO:30〜55%
即ち、本発明では、酸化物系介在物が複数の組成範囲領域に局在していることを示すものであるが、これは、非晶質の介在物中に複数の微細な結晶が生成し、それが熱延時に分断されたことによると考えられる。結晶化した介在物は熱延時に破壊されにくいため、粗大な結晶が生成すると、製品中に粗大介在物として残留して疲労破壊の起点となる。微細な結晶が生成することは、すなわち巨大な結晶の生成を抑制することになり、これによって疲労強度が向上するものと考えられる。
このように介在物の組成を複数に局在化したものとするためには、鋼材の化学成分、および介在物組成を適切に制御する必要があるのは勿論のこと(後述する)、熱延条件も適切に制御する必要がある。特に、分塊圧延前の加熱温度と加熱時間を適切にする必要がある。分塊圧延前の条件としては、加熱温度:1200〜1350℃、加熱時間(ソーキング処理時間):4時間以上とすることが好ましい。加熱温度が低過ぎると、結晶化が起こりにくく、また高過ぎると粗大な結晶が生じ易い。また、従来では、ソーキング処理時間は、一般的には2時間程度で行われていたのであるが、本発明による効果を発揮させるためには、4時間以上とすることが推奨される。但し、ソーキング処理時間が長過ぎると粗大な結晶が生じ易くなるため、最大でも10時間以下とすることが好ましい。尚、介在物組成がLi2Oを含む場合には、加熱時間を短くすることができる。
介在物中に微細な結晶を生成させることにより、熱延時の微細化を促進するためには、鋳造までの介在物制御が重要である。例えば、介在物中のSiO2濃度が高過ぎると結晶化するときに粗大なSiO2結晶が生成してしまい、熱間圧延時に破壊されずに粗大介在物として疲労強度に悪影響を与える。例えば、Al23濃度が高いと、同様にして粗大なAl23やAnorhite(CaO−Al23−2SiO2)が生成して同様に疲労強度が悪くなる。このため、複数の結晶がバランスよく析出する組成に制御することが重要である。
こうした観点から、溶鋼段階でのスラグ組成の塩基度(CaO/SiO2)を適正にする必要があり、0.75〜2程度が好ましい範囲である。
本発明では、ばね用鋼等の素材として有用な高清浄鋼を想定してなされたものであり、その鋼種については特に限定するものではないが、介在物組成を制御するためには、脱酸成分であるSiやMnを夫々0.4質量以上、0.1質量%以上含むものであることが好ましい。但し、これらの成分は、過剰に含有されると、鋼材が脆化しやすくなるので、Siで4質量%以下、Mnで2.0質量%以下とすべきである。
ばね用鋼としての基本成分であるC含有量については、1.2質量%以下であることが好ましい。C含有量が1.2質量%を超えると、鋼材が脆化し、実用的でなくなる。
Alは介在物制御にとっても有用な元素であり、その質量濃度で0.1〜15ppm程度は必要である。しかしながら、Al含有量が多くなると、介在物中のAl23濃度が高くなり断線の原因となる粗大Al23が生成する可能性があるので、0.01質量%以下であることが好ましい。
上記基本成分の他は、Feおよび不可避不純物からなるが、必要によってCr,Ni,V,Nb,Mo,W,CuおよびTiよりなる群から選択される1種以上を含むものであってもよい。これらを含有させるときの好ましい含有量は、Cr:0.5〜3質量%,Ni:0.5質量%以下,V:0.5質量%以下,Nb:0.1質量%以下,Mo:0.5質量%以下,W:0.5質量%以下,Cu:0.1質量%以下,Ti:0.1質量%以下である。
本発明の鋼材には、必要によって、Li等を含有させることも有用である。Liは、介在物組成の制御に有効に作用する。具体的には、介在物中に微細な結晶を生成させることが容易に行える。また、結晶化しない部分についても、介在物の粘性が下がることで変形がし易くなる。こうした効果を発揮させるためには、Liは0.01〜20ppm程度含むことが好ましい。
尚、従来の技術において、Li添加によって介在物の融点を下げ、熱間圧延時に変形し易くしたものも提案されているが(例えば、前記特許文献3、4)、これらはいずれも結晶化の効果を利用するものではない。また、微細な結晶が多数生成することが必要であり、介在物制御が適正に行われていない状態でLiを添加すると、粗大な結晶の生成を促進することになって、却って逆効果になることがある。また前記特許文献3では、Li添加の具体例は示されておらず、Li添加による結晶化の効果についても何ら触れられていない。
以下本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
転炉出鋼材を模擬した溶鋼に、各種フラックスを添加し、成分調整およびスラグ精練を実施した。このとき、スラグ塩基度を適切に調整することによって(下記表2)、介在物組成を適切に制御し、下記表1に示す化学成分組成を有する鋼を得た。尚、溶鋼中へのLi添加は、No.4〜6のものについては、Li2CO3をワイヤ添加することによってLiの濃度を調整したが、Liの添加方法はこれに限らず、下記各種の方法を採用することができる。また、ワイヤ添加に際しては、Li合金、或いはLi2CO3単独のワイヤではなくその他の合金原料と共にワイヤにしてもよい。
(a)Li−Al,Li−Si等でのワイヤ添加、他の合金との同時添加、塊の投入、鍋内への事前投入、TDでの添加
(b)金属Liでのワイヤ添加、他の合金との同時添加、塊の投入、鍋内への事前投入、TDでの添加
(c)スラグへのLi2O添加、Li2CO3添加
(d)Li2CO3の他の合金との同時添加、塊の投入、鍋内への事前投入、TDでの添加
Figure 2009215657
上記溶鋼について、実機と同様の冷却速度となる鋳型に鋳造し、得られた鋳塊に対して各種条件でソーキング処理、分塊・熱間圧延を施して直径:8.0mmの線材とした。このときの熱間圧延条件を、塩基度とともに下記表2(試験No.1〜9)に示す。
Figure 2009215657
得られた各熱間圧延線材について、線材中の酸化物系介在物の組成を測定すると共に、疲労強度を測定した。これらの測定方法は、下記の通りである。
(介在物組成)
熱間圧延した各線材のL断面(軸心を含む断面)を研磨し、直径の1/4部(半径の1/2部)よりも表層側に存在する、短径3μm以上の酸化物系介在物30個について、EPMAで組成分析を行い、酸化物濃度に換算した。
(疲労強度)
各熱間圧延線材(8.0mmφ)を、皮削り→パテンティングや冷間線引き加工(伸線)→オイルテンパー→歪取焼鈍相当処理→ショットピーニング→歪取焼鈍を行った後、試験片として4.0mmφ×650mmのワイヤを採取し、中村式回転曲げ試験機において、試験応力:公称応力880MPa、回転数:4000〜5000rpm、中止回数:2×107回で行ない、破断した物のうち、介在物折損したものについて、下記式により破断率を測定した。このとき、破断面に現れた介在物のサイズ(破断面最大介在物サイズ)についても測定した。
破断率=[介在物折損本数/(介在物折損本数+中止した本数)]×100(%)
各線材における、疲労強度(破断率)および破断面最大介在物サイズを下記表3に示す。各線材の介在物組成を下記表4〜12に示す。また、表4〜12の結果に基づき、(SiO2−Al23−CaO)系に換算したときの介在物組成分布を図1〜9(三成分系状態図)に夫々示す。
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
Figure 2009215657
これらの結果から、次のように考察できる。試験No.1〜3のものでは、スラグ塩基度、熱間圧延条件共に適正であり、介在物組成は2つの領域に分かれたものとなり、良好な疲労強度が得られていることが分かる。試験No.4〜6のものでは、スラグ塩基度は適正であり、且つLiの添加によって短時間のソーキングでも介在物組成は2つの領域に分かれたものとなり、良好な疲労強度が得られている。
これに対して、試験No.7、8のものでは、ソーキング時間が短く、相分離が十分でないので、介在物組成が2つに分かれておらず、疲労試験結果が良くない。また試験No.9のものでは、スラグ塩基度が低く、相分離によって高SiO2の介在物が生成しており、疲労試験結果も良くない。

Claims (3)

  1. C:1.2質量%以下(0%を含まない)、Si:0.4〜4質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Al:0.01質量%以下(0%を含まない)、Cr:0.5〜3質量%およびV:0.5質量%以下(0%を含まない)を夫々含み、残部Feおよび不可避不純物である鋼材からなり、
    線材の直径の1/4部よりも表層側に存在する、幅:3μm以上の介在物のうち、S濃度が10質量%以下の酸化物系介在物の個数にして70%以上が下記(1)式を満足するものであり、且つ当該酸化物系介在物の個数にして70%以上のものが下記(A)〜(C)の組成範囲領域(「%」は、質量%を意味する)のうちの2または3の領域に分かれて存在するものであることを特徴とする高清浄度ばね用鋼。
    CaO+Al23+SiO2+MnO+MgO>80(質量%) ‥(1)
    (A)SiO2:40〜70%、Al23:0〜20%、CaO:20〜60%
    (B)SiO2:30〜65%、Al23:25〜50%、CaO:10〜30%
    (C)SiO2:10〜30%、Al23:25〜50%、CaO:30〜55%
    但し、「介在物の幅」は、線材の軸芯線を含む断面で観察したときの軸心方向と垂直な方向の介在物の径を意味し、(A)〜(C)の質量濃度はSiO2,Al23およびCaOの三成分で100%となるように規格化した値である。
  2. 更に、Ni:0.5質量%以下(0%を含まない)を含むものである請求項1に記載の高清浄度ばね用鋼。
  3. 更に、Liを0.01〜20ppm含むものである請求項1または2に記載の高清浄度ばね用鋼。
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