JP2009215226A - 動物用不活化サルモネラ3価ワクチンおよびその調製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の課題は、O4群およびO9群に加え、対策の遅れているO7群血清型サルモネラ菌に対する不活化3価ワクチンを提供することにある。
【解決手段】 O4群、O7群およびO9群血清型に属するサルモネラ菌をそれぞれホルマリンで不活化した後に混合し、オイルアジュバントおよび非イオン性界面活性剤を添加することにより調製される、安全性および安定性に優れ、単回投与で3つの血清型全てに効果的な動物用不活化サルモネラ3価ワクチン、および該3価ワクチンの調製方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 O4群、O7群およびO9群血清型に属するサルモネラ菌をそれぞれホルマリンで不活化した後に混合し、オイルアジュバントおよび非イオン性界面活性剤を添加することにより調製される、安全性および安定性に優れ、単回投与で3つの血清型全てに効果的な動物用不活化サルモネラ3価ワクチン、および該3価ワクチンの調製方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、動物用サルモネラ感染症予防ワクチンに関する。詳細には、ヒトの食中毒や農場汚染の主な原因となっている、O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌を混合してなる動物用不活化サルモネラ3価ワクチンに関する。より詳細には、それぞれの群のサルモネラ菌をホルマリンで不活化後、オイルアジュバントを添加し、混合することで調製される、安全性、安定性および有効性の高い動物用不活化サルモネラ3価ワクチンに関する。
サルモネラとは、グラム陰性通性嫌気性桿菌の腸内細菌科の一属(サルモネラ属)に属する細菌のことで、主にヒトや動物の消化管に生息する腸内細菌の一種である。サルモネラ属の細菌の一部は、ヒトや動物に経口感染して食中毒を引き起こす。サルモネラによる食中毒は人獣共通感染症である。
1980年代の後半から、鶏肉及び鶏卵に由来するサルモネラがヒトの食中毒の原因として問題となっている。農場におけるサルモネラ感染対策としては、日常における飼育管理や洗浄・消毒、ネズミ駆除などの衛生対策が重要視され、さらに、競合排除(CE)法製品やワクチンなどが応用されている。
鶏卵のサルモネラ汚染は、かつては鶏の消化管内に寄生したサルモネラが総排泄腔で卵殻の外側を汚染するためだと考えられていた。そのため、汚染防止には鶏卵の洗浄が有効とされた。しかし、今日ではこうした卵殻の外側からの汚染のみではなく、サルモネラ・エンテリティディスなどが鶏の卵巣や卵管に寄生し、ここから鶏卵の卵細胞そのもの、つまり卵黄の部分に細胞内寄生したり、その外側の卵白などが保菌することによって鶏卵を汚染していることも知られるようになった。しかも、こうしてサルモネラに感染した鶏卵からはしばしば正常に発生した健康な雛が孵化することが知られており、保菌鶏が再生産されることになる。こうした親子間の垂直感染を介卵感染と呼び、衛生状態に十分配慮した鶏舎でも汚染鶏卵や汚染鶏肉が生産される原因となっている。
1980年代の後半から、鶏肉及び鶏卵に由来するサルモネラがヒトの食中毒の原因として問題となっている。農場におけるサルモネラ感染対策としては、日常における飼育管理や洗浄・消毒、ネズミ駆除などの衛生対策が重要視され、さらに、競合排除(CE)法製品やワクチンなどが応用されている。
鶏卵のサルモネラ汚染は、かつては鶏の消化管内に寄生したサルモネラが総排泄腔で卵殻の外側を汚染するためだと考えられていた。そのため、汚染防止には鶏卵の洗浄が有効とされた。しかし、今日ではこうした卵殻の外側からの汚染のみではなく、サルモネラ・エンテリティディスなどが鶏の卵巣や卵管に寄生し、ここから鶏卵の卵細胞そのもの、つまり卵黄の部分に細胞内寄生したり、その外側の卵白などが保菌することによって鶏卵を汚染していることも知られるようになった。しかも、こうしてサルモネラに感染した鶏卵からはしばしば正常に発生した健康な雛が孵化することが知られており、保菌鶏が再生産されることになる。こうした親子間の垂直感染を介卵感染と呼び、衛生状態に十分配慮した鶏舎でも汚染鶏卵や汚染鶏肉が生産される原因となっている。
サルモネラ菌の抗原構造は、菌体抗原であるO抗原と鞭毛抗原であるH抗原からなり、Kauffmann-Whiteの抗原構造表に基づくO抗原とH抗原の組み合わせにより、血清学的に2,500以上の血清型に分類されている(例えば、非特許文献1および2)。
2006年に発生したヒトの食中毒におけるサルモネラ分離菌を血清型別に分類すると、サルモネラ・エンテリティディス(O9群)によるものが360件と最も多く、次にサルモネラ・ティフィムリウム(O4群、73件)、サルモネラ・インファンティス(O7群、67件)、サルモネラ・セイントポール(O4群、65件)、サルモネラ・トンプソン(O7群、43件)と続いている(非特許文献3)。
また、社団法人 日本養鶏協会が2004年12月から2005年3月にかけて採卵養鶏場の盲腸便及び塵埃検体からサルモネラ汚染状況調査を実施したところ、調査200農場のうち約1/4の農場よりサルモネラが分離された。この分離されたサルモネラをO抗原群で分類すると、O7群が最も多く34農場、次にO4群13農場、O8群10農場といった順序であった(非特許文献4)。
一般的にワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに大別されるが、サルモネラ感染予防においては、不活化ワクチンを投与することにより体内臓器中のサルモネラ菌数を減少させ、また糞便より排出されるサルモネラ菌数を減少させることができる。しかしながら、サルモネラには多くの血清型が存在するため、ワクチン中のサルモネラのO抗原と感染サルモネラのO抗原が異なる場合にはワクチンの効果は認められない。
現在までに公表されているサルモネラ感染予防不活化ワクチンについては、O9群単味ワクチン、あるいはO4群+O9群の2価ワクチンがある。これらのワクチンに使用されるサルモネラ菌の血清型は、O9群単味ワクチンの場合はサルモネラ・エンテリティディスであり(例えば、製品名:レイヤーミューンSE;株式会社 シーエーエフ ラボラトリーズや、製品名:イナクティ/バック−SE;株式会社 ゲン・コーポレーションなど)、O4群+O9群2価ワクチンの場合は、サルモネラ・ティフィムリウム+サルモネラ・エンテリティディス(製品名:オイルバックスSET;財団法人 化学及血清療法研究所)、あるいはサルモネラ・ティフィムリウム+サルモネラ・ダブリン(製品名:牛サルモネラ2価ワクチン「北研」;社団法人 北里研究所)である。このように、現在のところ、O7群血清型サルモネラに対応できるワクチンは存在せず、その対策が求められている。
Popoff,M.Y.:Antigenic formulas of the Salmonella serovars. 2001, 8th edition.WHO Collaborating Centre for Reference and Research on Salmonella,Institute Pasteur,Paris. (2001) Popoff,M.Y., Bockemuhl,J. and Gheesling,L.L.:Supplement 2002(no.46)to the Kaffmenn-White scheme. Res.Microbiol. 155, 568-570 (2004) 国立感染症研究所ホームページ;上位15サルモネラ血清型、由来ヒト(地研・保健所)2004〜2008年(https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data81j.pdf) 平成16年度サルモネラ等感染実態調査報告書,社団法人日本養鶏協会,平成17年3月
Popoff,M.Y.:Antigenic formulas of the Salmonella serovars. 2001, 8th edition.WHO Collaborating Centre for Reference and Research on Salmonella,Institute Pasteur,Paris. (2001) Popoff,M.Y., Bockemuhl,J. and Gheesling,L.L.:Supplement 2002(no.46)to the Kaffmenn-White scheme. Res.Microbiol. 155, 568-570 (2004) 国立感染症研究所ホームページ;上位15サルモネラ血清型、由来ヒト(地研・保健所)2004〜2008年(https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data81j.pdf) 平成16年度サルモネラ等感染実態調査報告書,社団法人日本養鶏協会,平成17年3月
上記のように、O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに対し、動物への単回投与で十分な免疫を付与すると同時に、高い安全性と長期に渡る安定性を有するようなワクチンはこれまで提供されておらず、効果的かつ経済的なワクチンの開発が望まれている。
従って、本発明の課題はO4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに対して安全性・安定性が高く、かつ効果的な動物用不活化サルモネラ3価ワクチンを提供することにある。
本発明者らは、不活化したO4群、O7群およびO9群血清型サルモネラを抗原液として含むことからなる動物用不活化サルモネラ3価ワクチンを作製した。詳細には、不活化したO4群、O7群およびO9群血清型サルモネラを抗原液として含み、かつ鉱物油をベースとし、乳化剤として非イオン性界面活性剤であるモノオレイン酸ソルビタンとポリソルベート80を使って、W/O型のオイルアジュバントワクチンを作製した。したがって、本発明は以下のとおりである。
1)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌をそれぞれ1つ以上含有することよりなる動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
2)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌が、下記の各群に記されている菌株からそれぞれ1つ以上選択される上記1に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
O4群:サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・セイントポール
O7群:サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・トンプソン、サルモネラ・コレラスイス
O9群:サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ダブリン、サルモネラ・ティフィ
3)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌がそれぞれサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスである上記1または2のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
4)投与対象動物が家禽類あるいは家畜類である上記1から3のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
5)家禽類あるいは家畜類が以下に示す群から選択される上記4に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
家禽類:鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥
家畜類:牛、豚、馬、羊、ヤギ
6)家禽類が鶏である上記5に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
7)アジュバントが添加される上記1から6のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
8)当該アジュバントがオイルアジュバントである上記7に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
9)当該オイルアジュバントが、鉱物油及び非イオン性界面活性剤より構成されることを特徴とする、上記8に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
10)不活化サルモネラ抗原液、鉱物油及び非イオン性界面活性剤がそれぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で含有されることを特徴とする、上記9に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
11)不活化サルモネラ抗原液、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、及びポリソルベート80をそれぞれ18vol%、72vol%、8vol%、2vol%の比率で含有することを特徴とする、上記1から10のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
12)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する菌をそれぞれ1つ以上含有する不活化サルモネラ抗原液、鉱物油、及び非イオン性界面活性剤をそれぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で混合することを特徴とする動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
13)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する菌をそれぞれ1つ以上含有する不活化サルモネラ抗原液、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、及びポリソルベート80をそれぞれ18vol%、72vol%、8vol%、2vol%の比率で混合することを特徴とする上記12に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
14)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌が、下記の各群に記されている菌株からそれぞれ1つ以上選択される上記12または13のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
O4群:サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・セイントポール
O7群:サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・トンプソン、サルモネラ・コレラスイス
O9群:サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ダブリン、サルモネラ・ティフィ
15)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌がそれぞれサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスである上記12から14のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
16)投与対象動物が家禽類あるいは家畜類である上記12から15のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
17)家禽類あるいは家畜類が以下に示す群から選択される上記16に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
家禽類:鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥
家畜類:牛、豚、馬、羊、ヤギ
18)家禽類が鶏である上記17に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
1)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌をそれぞれ1つ以上含有することよりなる動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
2)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌が、下記の各群に記されている菌株からそれぞれ1つ以上選択される上記1に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
O4群:サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・セイントポール
O7群:サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・トンプソン、サルモネラ・コレラスイス
O9群:サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ダブリン、サルモネラ・ティフィ
3)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌がそれぞれサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスである上記1または2のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
4)投与対象動物が家禽類あるいは家畜類である上記1から3のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
5)家禽類あるいは家畜類が以下に示す群から選択される上記4に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
家禽類:鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥
家畜類:牛、豚、馬、羊、ヤギ
6)家禽類が鶏である上記5に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
7)アジュバントが添加される上記1から6のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
8)当該アジュバントがオイルアジュバントである上記7に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
9)当該オイルアジュバントが、鉱物油及び非イオン性界面活性剤より構成されることを特徴とする、上記8に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
10)不活化サルモネラ抗原液、鉱物油及び非イオン性界面活性剤がそれぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で含有されることを特徴とする、上記9に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
11)不活化サルモネラ抗原液、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、及びポリソルベート80をそれぞれ18vol%、72vol%、8vol%、2vol%の比率で含有することを特徴とする、上記1から10のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
12)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する菌をそれぞれ1つ以上含有する不活化サルモネラ抗原液、鉱物油、及び非イオン性界面活性剤をそれぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で混合することを特徴とする動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
13)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する菌をそれぞれ1つ以上含有する不活化サルモネラ抗原液、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、及びポリソルベート80をそれぞれ18vol%、72vol%、8vol%、2vol%の比率で混合することを特徴とする上記12に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
14)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌が、下記の各群に記されている菌株からそれぞれ1つ以上選択される上記12または13のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
O4群:サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・セイントポール
O7群:サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・トンプソン、サルモネラ・コレラスイス
O9群:サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ダブリン、サルモネラ・ティフィ
15)O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌がそれぞれサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスである上記12から14のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
16)投与対象動物が家禽類あるいは家畜類である上記12から15のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
17)家禽類あるいは家畜類が以下に示す群から選択される上記16に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
家禽類:鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥
家畜類:牛、豚、馬、羊、ヤギ
18)家禽類が鶏である上記17に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
本発明により提供される3価ワクチンによって、従来のワクチンでは対応できなかったO7群血清型サルモネラに対応することが可能となる。また、O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌を混合した3価ワクチンを使用することにより、単回投与で複数の異なる血清型に対する免疫応答を惹起することができるため、ワクチン効果とともに、経済的な効果も期待できる。
また、本発明により提供されるワクチンは上記のような3価ワクチンとしての有効性に加え、優れた保存安定性および高い安全性をも有する。
さらに、本発明により提供されるワクチンを使用することにより、農場におけるサルモネラ汚染頻度を減少させることができる。また、それに付随して、サルモネラ菌によるヒトの食中毒の減少も期待される。
本発明はO4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌を混合することを特徴とする不活化サルモネラ3価ワクチンに関する。
本発明のワクチンにおいて混合される抗原として、O4群に属するサルモネラ菌としては、例えばサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella Typhimurium)、サルモネラ・ハイデルベルグ(Salmonella Heidelberg)、サルモネラ・アゴナ(Salmonella Agona)、サルモネラ・セイントポール(Salmonella Saintpaul)などを用いることができる。
O7群に属するサルモネラ菌としては、例えばサルモネラ・インファンティス(Salmonella Infantis)、サルモネラ・トンプソン(Salmonella Thompson)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella Choleraesuis)などを用いることができる。
O9群に属するサルモネラ菌としては、例えばサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella Enteritidis)、サルモネラ・ダブリン(Salmonella Dublin)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella Typhi)などを用いることができる。
本発明のワクチンにおいては、上記のO4群、O7群およびO9群に属するサルモネラ菌をそれぞれ必ず1つ以上含む。
O7群に属するサルモネラ菌としては、例えばサルモネラ・インファンティス(Salmonella Infantis)、サルモネラ・トンプソン(Salmonella Thompson)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella Choleraesuis)などを用いることができる。
O9群に属するサルモネラ菌としては、例えばサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella Enteritidis)、サルモネラ・ダブリン(Salmonella Dublin)、サルモネラ・ティフィ(Salmonella Typhi)などを用いることができる。
本発明のワクチンにおいては、上記のO4群、O7群およびO9群に属するサルモネラ菌をそれぞれ必ず1つ以上含む。
本発明において混合されるO4群、O7群およびO9群に属するサルモネラ菌の組み合わせは、目的に応じて、上記の各群に属するサルモネラ菌から適宜選択することができる。最も好適な組み合わせとしては、サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスであり、鶏の腸管においてサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスの定着を軽減することができる。
本発明に使用されるサルモネラ菌は、液体培地に接種後、適当な培養条件で増殖させる。液体培地としては、例えば、ブレインハートインフュージョン・ブロス(BHIB)、ハートインフュージョン・ブロス(HIB)、トリプトースフォスフェート・ブロス(TPB)、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(SCDB)などが使用される。また、培養条件は、温度35℃〜37℃、5〜15時間で行われる。使用する液体培地や培養条件は使用目的、培養形態、菌量、培養スケールに応じて適宜選択すればよい。最も好適には、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(SCDB)で温度37℃、15時間で静置培養を行う。
本発明におけるワクチンは不活化ワクチンであるが、サルモネラ菌を不活化する方法としては、例えば、加熱処理、放射線あるいは紫外線の照射、化学消毒剤処理、変異促進物質処理などを挙げることができる。好適には、化学消毒剤であるホルマリンによる処理が用いられる。これにより、簡便な方法で、安定性および有効性の高い不活化ワクチンを提供することが可能となる。なお、ホルマリン処理により不活化する場合は、ホルマリンを最終濃度0.2〜0.5vol%となるように添加し、37℃で24時間以上処理することにより不活化することができる。
本発明のワクチンは不活化ワクチンであり、アジュバントを添加することにより免疫応答を増強させることができる。使用されるアジュバントとしては、オイルアジュバント、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムゲルなどが挙げられるが、効果を発揮する限り特に制限は無い。好適にはオイルアジュバントが使用されるが、オイルアジュバントの例としては、鉱物油および非イオン性界面活性剤の組み合わせよりなるものが挙げられる。
抗原液とオイルアジュバントの混合比率としては、不活化サルモネラ抗原液、鉱物油および非イオン性界面活性剤が、それぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で混合されることが好ましい。また、鉱物油と非イオン性界面活性剤の好適な組み合わせは、鉱物油としては軽質流動パラフィン、非イオン性界面活性剤としてはモノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、およびポリソルベート80である。この場合、最も安定かつ高い安全性と有効性を示すアジュバントと抗原液の混合比率としては、例えば、軽質流動パラフィン72vol%、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン8vol%、ポリソルベ−ト80 2vol%、抗原液18vol%である。
本発明のワクチンは、O4群、O7群およびO9群に属するサルモネラ菌をそれぞれ上述のように不活化し、アジュバントと混合(乳化)後、得られたそれぞれの血清型サルモネラの乳化液を混合することにより調製される。また、各群の血清型サルモネラをそれぞれ不活化した後に混合し、乳化することも可能である。さらに、各群の血清型サルモネラを混合した後に、不活化および乳化を行うことで本発明のワクチンを調製することも可能である。
本発明のワクチンは、注射剤として使用され、皮下あるいは筋肉内に注射することにより投与動物に免疫を付与することができる。投与方法としては、皮下あるいは筋肉内のいずれに注射した場合でも高い有効性を長期間に渡って維持できる。
本発明のワクチンは、牛、豚、馬、羊、ヤギなどの家畜類および鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥などの家禽類を含めた種々の動物のサルモネラ感染症の予防に極めて有効である。特に高い有効性がみられるのは鶏であり、皮下注射した場合には、サルモネラ感染による体内臓器中のサルモネラ菌数を減少させ、また糞便より排出されるサルモネラ菌数を減少させることができる。
以下に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において下記のようにサルモネラ菌を略称する場合がある。
SE:サルモネラ・エンテリティディス
ST:サルモネラ・ティフィムリウム
SI:サルモネラ・インファンティス
SH:サルモネラ・ハイデルベルグ
SE:サルモネラ・エンテリティディス
ST:サルモネラ・ティフィムリウム
SI:サルモネラ・インファンティス
SH:サルモネラ・ハイデルベルグ
《サルモネラ3価ワクチンの調製》
サルモネラ・エンテリティディス(SE)E-926株(1993年11月に熊本県において、下痢症を起こした患者の糞便から財団法人化学及血清療法研究所臨床検査センターにて分離)を液体培地3w/v%SCDBに接種し、37℃で15時間静置培養を行った。その後、ホルマリンを最終量0.4vol%となるように加え、37℃で24時間以上感作して不活化した。
サルモネラ菌の不活化の確認は以下のようにして行った。2.5w/v%HIB培地100mLに不活化菌液1mLを接種後,37℃で24時間培養した。培養液0.1mLずつを2枚以上のDHL寒天培地に滴下し、コンラージ棒を用いて塗沫して37℃で24時間培養後、集落の有無を観察した。全てのDHL寒天培地上にサルモネラの集落が認められない場合を不活化終了とした。
不活化終了後、得られた菌液を遠心(10,000rpm、40分間)洗浄し、有効抗原量以上の菌数となるようにリン酸緩衝食塩液(PBS;リン酸二水素カリウム0.03w/v%,リン酸水素二ナトリウム0.115w/V%,塩化ナトリウム0.8w/v%,塩化カリウム0.02w/v%)に再浮遊させたものを不活化菌液とした。また、サルモネラ・ティフィムリウム(ST)T-023株(国立感染症研究所より分与)およびサルモネラ・インファンティス(SI)I-178株(2001年にブロイラーから分離)についても同様に培養、不活化、菌体洗浄、濃度調整を行い、不活化菌液を得た。
このようにして得られたそれぞれの不活化菌液に、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80を9:36:4:1の比率で混合し、十分攪拌して乳化液を得た。その後、それぞれの血清型サルモネラの乳化液を混合し、不活化サルモネラ3価ワクチンとした。表1に本実施例で作製した不活化サルモネラ3価ワクチン500mL中の組成を示す。また、後述するように、作製したワクチンの粘度および鶏に注射した場合の安全性・有効性を指標として、抗原液とアジュバントの配合比率の範囲を決定した。その結果を表2に示す。
サルモネラ・エンテリティディス(SE)E-926株(1993年11月に熊本県において、下痢症を起こした患者の糞便から財団法人化学及血清療法研究所臨床検査センターにて分離)を液体培地3w/v%SCDBに接種し、37℃で15時間静置培養を行った。その後、ホルマリンを最終量0.4vol%となるように加え、37℃で24時間以上感作して不活化した。
サルモネラ菌の不活化の確認は以下のようにして行った。2.5w/v%HIB培地100mLに不活化菌液1mLを接種後,37℃で24時間培養した。培養液0.1mLずつを2枚以上のDHL寒天培地に滴下し、コンラージ棒を用いて塗沫して37℃で24時間培養後、集落の有無を観察した。全てのDHL寒天培地上にサルモネラの集落が認められない場合を不活化終了とした。
不活化終了後、得られた菌液を遠心(10,000rpm、40分間)洗浄し、有効抗原量以上の菌数となるようにリン酸緩衝食塩液(PBS;リン酸二水素カリウム0.03w/v%,リン酸水素二ナトリウム0.115w/V%,塩化ナトリウム0.8w/v%,塩化カリウム0.02w/v%)に再浮遊させたものを不活化菌液とした。また、サルモネラ・ティフィムリウム(ST)T-023株(国立感染症研究所より分与)およびサルモネラ・インファンティス(SI)I-178株(2001年にブロイラーから分離)についても同様に培養、不活化、菌体洗浄、濃度調整を行い、不活化菌液を得た。
このようにして得られたそれぞれの不活化菌液に、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80を9:36:4:1の比率で混合し、十分攪拌して乳化液を得た。その後、それぞれの血清型サルモネラの乳化液を混合し、不活化サルモネラ3価ワクチンとした。表1に本実施例で作製した不活化サルモネラ3価ワクチン500mL中の組成を示す。また、後述するように、作製したワクチンの粘度および鶏に注射した場合の安全性・有効性を指標として、抗原液とアジュバントの配合比率の範囲を決定した。その結果を表2に示す。
《サルモネラ3価ワクチンの特性の評価》
上記実施例1で作製した不活化サルモネラ3価ワクチンは、乳白色不透明な懸濁液である。本ワクチンの粘度をRI:2:M型(RHEOLOGY INTERNATIONAL)を用いて、25±0.1℃、回転数125rpmの条件下で測定したところ、22.3mPa・sと低い値であった。本ワクチン程度の粘度であれば、ワクチン接種時の作業性も良い。
上記実施例1で作製した不活化サルモネラ3価ワクチンは、乳白色不透明な懸濁液である。本ワクチンの粘度をRI:2:M型(RHEOLOGY INTERNATIONAL)を用いて、25±0.1℃、回転数125rpmの条件下で測定したところ、22.3mPa・sと低い値であった。本ワクチン程度の粘度であれば、ワクチン接種時の作業性も良い。
《サルモネラ3価ワクチンの鶏に対する安全性》
6週齢SPF鶏の背側部皮下に不活化サルモネラ3価ワクチン0.5mLを注射した。注射後、元気消失、食欲減退、呼吸器異常、消化器異常、その他の一般状態異常を観察項目として一般臨床観察を実施した。その結果を表3に示す。
6週齢SPF鶏の背側部皮下に不活化サルモネラ3価ワクチン0.5mLを注射した。注射後、元気消失、食欲減退、呼吸器異常、消化器異常、その他の一般状態異常を観察項目として一般臨床観察を実施した。その結果を表3に示す。
また、不活化サルモネラ3価ワクチン注射時及び注射1か月後に、ワクチン投与群および非投与対照群の各群10羽の体重の平均値を取り、体重測定を行った。その結果を表4に示す。
以上、表3および表4の測定結果より、本発明のワクチン投与群に一般臨床症状の異常は認められず、体重の増加も非投与対照群と同等であり、本発明のワクチンの鶏への安全性が確認された。
《サルモネラ3価ワクチンの鶏におけるSE、ST、SI、またはSHに対する有効性》
6週齢SPF鶏の頚部中央部皮下に不活化サルモネラ3価ワクチン0.5mLを注射し、注射4週後に対照群とともにSE HY-1 リファンピシン(rif)耐性株(1.75×109個/mL)を1羽当り1mLずつ経口攻撃し、経時的な盲腸便からの菌回収により有効性の評価を行なった。また、ST、SIあるいはサルモネラ・ハイデルベルグ(SH)についても同様の攻撃試験を実施した。それぞれの試験においては、ST T-023 rif耐性株(1.7×109個/mL)、またはSI IC-4 rif耐性株(2.2×109個/mL)により攻撃を行なった。また、ワクチン中に含まれるSTと同じO4群血清型サルモネラであるSHによる攻撃に対しても排菌数を軽減する効果があることを確認するため、SH H-033 rif耐性株(2.0×109個/mL)による攻撃も行った。
上記のサルモネラ菌による攻撃後、以下のように鶏の盲腸便から菌を回収し、盲腸便中のサルモネラ菌数を測定した。
盲腸便を個体別に採取した後、ストマッカー袋に0.8g量り取り、ハーナテトラチオン酸塩基礎培地(HTT)を4倍量加えた後、ストマッカー80バイオマスター(オルガノ)で30秒間ホモジナイズした。固形物が沈殿するまで静置した後、この上清を原液(20%乳剤)とした。この原液をHTTで1:100および1:10,000に希釈した。それぞれ50μLずつの原液、1:100希釈液および1:10,000希釈液を、リファンピシン(rif)を100μg/mL添加したDHL寒天培地(rif DHL寒天培地)に滴下し、コンラージ棒を用いて塗沫して37℃で24時間培養した。培養後、コロニー数を数え、盲腸便1g当たりの生菌数を算出した。定量培養の検出限界は100個/gとした。定量培養で陰性となった検体は、原液(20%乳剤)を41.5℃で24時間培養した後、原液の1白金耳量をrif DHL寒天培地に塗沫し、37℃で24時間培養した後、コロニーの有無を確認した。1日増菌培養でコロニーが確認された検体の菌数は50個/gとした。1日増菌培養で陰性となった原液(20%乳剤)は、遅延2次増菌培養を行った。すなわち、室温に5〜7日間放置した後、その0.1mLをHTT0.9mLに接種し、41.5℃で24時間培養後、1白金耳量をDHL寒天培地に塗沫して37℃で24時間培養し、コロニーの有無を確認した。コロニーを確認した検体の菌数は10個/g、陰性の場合は0個/gとした。
その結果、いずれのサルモネラ菌で攻撃した場合もワクチン投与群は対照群と比較し有意に少ない菌数を示し、ワクチンの有効性が確認できた。以下にその詳細を示す。
6週齢SPF鶏の頚部中央部皮下に不活化サルモネラ3価ワクチン0.5mLを注射し、注射4週後に対照群とともにSE HY-1 リファンピシン(rif)耐性株(1.75×109個/mL)を1羽当り1mLずつ経口攻撃し、経時的な盲腸便からの菌回収により有効性の評価を行なった。また、ST、SIあるいはサルモネラ・ハイデルベルグ(SH)についても同様の攻撃試験を実施した。それぞれの試験においては、ST T-023 rif耐性株(1.7×109個/mL)、またはSI IC-4 rif耐性株(2.2×109個/mL)により攻撃を行なった。また、ワクチン中に含まれるSTと同じO4群血清型サルモネラであるSHによる攻撃に対しても排菌数を軽減する効果があることを確認するため、SH H-033 rif耐性株(2.0×109個/mL)による攻撃も行った。
上記のサルモネラ菌による攻撃後、以下のように鶏の盲腸便から菌を回収し、盲腸便中のサルモネラ菌数を測定した。
盲腸便を個体別に採取した後、ストマッカー袋に0.8g量り取り、ハーナテトラチオン酸塩基礎培地(HTT)を4倍量加えた後、ストマッカー80バイオマスター(オルガノ)で30秒間ホモジナイズした。固形物が沈殿するまで静置した後、この上清を原液(20%乳剤)とした。この原液をHTTで1:100および1:10,000に希釈した。それぞれ50μLずつの原液、1:100希釈液および1:10,000希釈液を、リファンピシン(rif)を100μg/mL添加したDHL寒天培地(rif DHL寒天培地)に滴下し、コンラージ棒を用いて塗沫して37℃で24時間培養した。培養後、コロニー数を数え、盲腸便1g当たりの生菌数を算出した。定量培養の検出限界は100個/gとした。定量培養で陰性となった検体は、原液(20%乳剤)を41.5℃で24時間培養した後、原液の1白金耳量をrif DHL寒天培地に塗沫し、37℃で24時間培養した後、コロニーの有無を確認した。1日増菌培養でコロニーが確認された検体の菌数は50個/gとした。1日増菌培養で陰性となった原液(20%乳剤)は、遅延2次増菌培養を行った。すなわち、室温に5〜7日間放置した後、その0.1mLをHTT0.9mLに接種し、41.5℃で24時間培養後、1白金耳量をDHL寒天培地に塗沫して37℃で24時間培養し、コロニーの有無を確認した。コロニーを確認した検体の菌数は10個/g、陰性の場合は0個/gとした。
その結果、いずれのサルモネラ菌で攻撃した場合もワクチン投与群は対照群と比較し有意に少ない菌数を示し、ワクチンの有効性が確認できた。以下にその詳細を示す。
表5に不活化サルモネラ3価ワクチン投与群及び非投与対照群のSE攻撃後における盲腸便からの経時的な菌回収結果を示した。その結果、攻撃4、7及び10日後においてサルモネラ3価ワクチン投与群から回収された菌数は非投与対照群のそれと比較し有意に少ない菌数を示した。したがって、本ワクチンを注射することにより、SE攻撃による排菌数を軽減する効果があることが分かった。
なお、表中のpはスチューデントt検定による有意差検定を実施した際のp値を表す。
(p<0.05:有意差あり、p<0.01:明らかな差あり、p<0.001:顕著な差あり)
なお、表中のpはスチューデントt検定による有意差検定を実施した際のp値を表す。
(p<0.05:有意差あり、p<0.01:明らかな差あり、p<0.001:顕著な差あり)
表6にサルモネラ3価ワクチン投与群及び非投与対照群のST攻撃後における盲腸便からの経時的な菌回収結果を示した。その結果、攻撃7、10及び14日後においてサルモネラ3価ワクチン投与群から回収された菌数は非投与対照群のそれと比較し有意に少ない菌数を示した。したがって,本ワクチンを注射することにより、ST攻撃による排菌数を軽減する効果があることが分かった。
表7にサルモネラ3価ワクチン投与群及び非投与対照群のSI攻撃後における盲腸便からの経時的な菌回収結果を示した。その結果、攻撃4、7及び10日後においてサルモネラ3価ワクチン投与群から回収された菌数は非投与対照群のそれと比較し有意に少ない菌数を示した。したがって、本ワクチンを注射することにより、SI攻撃による排菌数を軽減する効果があることが分かった。
表8にサルモネラ3価ワクチン投与群及び非投与対照群のSH攻撃後における盲腸便からの経時的な菌回収結果を示した。その結果、攻撃7、10及び14日後においてサルモネラ3価ワクチン投与群から回収された菌数は非投与対照群のそれと比較し有意に少ない菌数を示した。したがって、本ワクチンを投与することにより、ワクチン中に含まれるSTと同じO4群血清型サルモネラであるSH攻撃に対して、排菌数を軽減する効果があることが分かった。
本発明によって提供される不活化サルモネラ3価ワクチンを家畜および家禽類に投与することで、従来のワクチンでは対応できなかったO7群に加え、O4群およびO9群血清型サルモネラに対し、単回投与で十分な免疫を付与することができる。これにより、種々の動物のサルモネラ感染症を極めて効果的に予防でき、農場における動物のサルモネラ汚染頻度を減少させることができる。また、その結果としてヒトのサルモネラ菌による食中毒の予防も期待できる。
Claims (18)
- O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌をそれぞれ1つ以上含有することよりなる動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌が、下記の各群に記されている菌株からそれぞれ1つ以上選択される請求項1に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
O4群:サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・セイントポール
O7群:サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・トンプソン、サルモネラ・コレラスイス
O9群:サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ダブリン、サルモネラ・ティフィ - O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌がそれぞれサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスである請求項1または2のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- 投与対象動物が家禽類あるいは家畜類である請求項1から3のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- 前記家禽類あるいは家畜類が以下に示す群から選択される請求項4に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
家禽類:鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥
家畜類:牛、豚、馬、羊、ヤギ - 前記家禽類が鶏である請求項5に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- アジュバントが添加される請求項1から6のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- 当該アジュバントがオイルアジュバントである請求項7に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- 当該オイルアジュバントが、鉱物油及び非イオン性界面活性剤より構成されることを特徴とする、請求項8に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- 不活化サルモネラ抗原液、鉱物油及び非イオン性界面活性剤がそれぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で含有されることを特徴とする、請求項9に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- 不活化サルモネラ抗原液、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、及びポリソルベート80をそれぞれ18vol%、72vol%、8vol%、2vol%の比率で含有することを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチン。
- O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する菌をそれぞれ1つ以上含有する不活化サルモネラ抗原液、鉱物油、及び非イオン性界面活性剤をそれぞれ18〜30vol%、60〜75vol%、8〜12vol%の範囲内で混合することを特徴とする動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
- O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する菌をそれぞれ1つ以上含有する不活化サルモネラ抗原液、軽質流動パラフィン、モノオレイン酸ソルビタンあるいはセスキオレイン酸ソルビタン、及びポリソルベート80をそれぞれ18vol%、72vol%、8vol%、2vol%の比率で混合することを特徴とする請求項12に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
- O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌が、下記の各群に記されている菌株からそれぞれ1つ以上選択される請求項12または13のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
O4群:サルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・ハイデルベルグ、サルモネラ・アゴナ、サルモネラ・セイントポール
O7群:サルモネラ・インファンティス、サルモネラ・トンプソン、サルモネラ・コレラスイス
O9群:サルモネラ・エンテリティディス、サルモネラ・ダブリン、サルモネラ・ティフィ - O4群、O7群およびO9群血清型サルモネラに属する不活化菌がそれぞれサルモネラ・ティフィムリウム、サルモネラ・インファンティスおよびサルモネラ・エンテリティディスである請求項12から14のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
- 投与対象動物が家禽類あるいは家畜類である請求項12から15のいずれかに記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
- 前記家禽類あるいは家畜類が以下に示す群から選択される請求項16に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
家禽類:鶏、アヒル、カモ、ウズラ、七面鳥
家畜類:牛、豚、馬、羊、ヤギ - 前記家禽類が鶏である請求項17に記載の動物用不活化サルモネラ3価ワクチンの調製方法。
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-
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