JP2009215220A - マイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】消化液での安定性と口から小腸までの消化酵素に対する安定性を向上させた微粒子(マイクロカプセル)を提供すること。
【解決手段】アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセル。その製造方法も提供される。
【選択図】図4
【解決手段】アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセル。その製造方法も提供される。
【選択図】図4
Description
本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法に関する。
近年遺伝子組み換えタンパク質に代表されるバイオ医薬品の開発が進み、有効な治療法が存在しなかった各種疾病の治療薬として大きな期待が寄せられている。しかし、臨床応用にはまだまだ多くの課題が残されている。タンパク質の医薬品化の障害となっている主な問題点を以下にまとめた。
(1)熱や酸、有機溶媒などに不安定で、容易に変性・失活する。
(2)消化管や粘膜組織中のプロテアーゼにより分解・失活する。
(3)分子量が大きく生体への吸収効率が低い。
(4)生理作用が複雑でその分離が困難であり、副作用が懸念される。
(5)抗原性を示す。
(1)熱や酸、有機溶媒などに不安定で、容易に変性・失活する。
(2)消化管や粘膜組織中のプロテアーゼにより分解・失活する。
(3)分子量が大きく生体への吸収効率が低い。
(4)生理作用が複雑でその分離が困難であり、副作用が懸念される。
(5)抗原性を示す。
例えば、タンパク質を経口投与した場合、胃酸や消化管プロテアーゼにより速やかに代謝され、また仮に代謝を回避できたとしても腸管からの吸収効率が低く、期待通りの治療効果が得られない。従来の低分子化合物ならば誘導体により化合物の安定性・吸収性などを解決できる事も多いが、タンパク質の誘導体化は困難である。そのため、タンパク質の臨床応用にはドラッグデリバリーシステム(DDS)による体内動態の制御が不可欠であり、「プロテインデリバリーシステム」の重要性が高まっている。
大腸は高分子薬物の吸収効率が高いことから、大腸特異的なデリバリーシステムが期待されている。タンパク質にキトサン、ポリグルタミン酸、ペクチン等といった高分子を混合することで、大腸へのデリバリーシステムを目指した研究が行われている。
Linらはインスリンの経口投与を目指し、キトサン(CS)とポリ-γ-グルタミン酸(γ-PGA)からなる微粒子中にインスリンをカプセル化した。この微粒子を糖尿病ラットに投与すると大腸でpH選択的に崩壊する事でインスリンを放出し、低血糖を誘導した事が報告されている(非特許文献1)。Lamprechtらはポリ乳酸-グリコール酸共重合体を用いて、抗炎症剤であるRolipramをカプセル化した微粒子を調製した。これをラットに一日一回、五日間連続投与すると、続く五日間に渡って抗炎症作用が誘導された事が報告されている(非特許文献2)。
その一方で、変性しやすいタンパク質を安定にカプセル化し、胃酸や消化酵素中での安定性を向上させることが十分に行われていなかった。
丹羽らは、水溶性キトサンとクエン酸三ナトリウムを用いて調製したイオン架橋化キトサン微粒子に、グルタルアルデヒドを用いて共有結合架橋を導入し、種々の生理条件や酵素の存在下におけるタンパク質の放出挙動、ムチンへの吸着性、プロテアーゼ耐性、カプセル化した酵素の活性などを評価した。しかしながら、モデル胃液での安定性を得ることはできなかった(非特許文献3)。
芥川らは、消化酵素に対する微粒子の安定性の向上を目指し、アニオン性のポリマー(ペクチン、ヒアルロン酸)でキトサン微粒子を静電的に被覆することを試みたが、モデル腸液での安定性を得ることはできなかった(非特許文献4)。
Y. Lin et al, Biomacromolecules, 8, 146-152 (2007) A.Lamprechit et al, The American Society for Pharmacology and Experimental Therapeutics, 299, 775-781 (2001) 種々の架橋剤を用いたキトサン微粒子のたんぱく質キャリヤーとしての評価、丹羽 雅裕、佐藤 智典、日本化学会第86春季年会(2006年3月 27-30日)の要旨集 タンパク質をカプセル化したキトサン微粒子のアニオン性高分子による被覆化、芥川 晃士、佐藤 智典、第 56 回 高分子学会年次大会(2007年5月29-31日)の要旨集
Y. Lin et al, Biomacromolecules, 8, 146-152 (2007) A.Lamprechit et al, The American Society for Pharmacology and Experimental Therapeutics, 299, 775-781 (2001) 種々の架橋剤を用いたキトサン微粒子のたんぱく質キャリヤーとしての評価、丹羽 雅裕、佐藤 智典、日本化学会第86春季年会(2006年3月 27-30日)の要旨集 タンパク質をカプセル化したキトサン微粒子のアニオン性高分子による被覆化、芥川 晃士、佐藤 智典、第 56 回 高分子学会年次大会(2007年5月29-31日)の要旨集
本発明は、消化液での安定性と口から小腸までの消化酵素に対する安定性を向上させた微粒子(マイクロカプセル)を提供することを目的とする。
本発明者らは、アニオン性高分子とキトサンを共有結合した粒子中にタンパク質をカプセル化したところ、高いカプセル化効率、溶液中での分散安定性、モデル胃液とモデル腸液での安定性、口から小腸までの消化酵素に対する安定性を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセル。
(2)キトサンが水溶性キトサンである(1)記載のマイクロカプセル。
(3)キトサンが低分子架橋剤で架橋されている(1)又は(2)記載のマイクロカプセル。
(4)低分子架橋剤がヒドロキシ酸及び/又はジカルボン酸である(3)記載のマイクロカプセル。
(5)ヒドロキシ酸が、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群より選択され、ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群より選択される(3)記載のマイクロカプセル。
(6)アニオン性高分子がポリカルボン酸である(1)〜(5)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(7)ポリカルボン酸が、ペクチン、アルギン酸、ポリアクリル酸、コンドロイチン硫酸C及びポリ−γ−グルタミン酸からなる群より選択される(6)記載のマイクロカプセル。
(8)キトサンのアミノ基の総数とアニオン性高分子のカルボキシル基の総数の比率が1〜4である(6)又は(7)記載のマイクロカプセル。
(9)タンパク質、核酸、ペプチド、脂質、糖質及び低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を芯物質として含む(1)〜(8)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(10)縮合剤の存在下で、キトサンとアニオン性高分子とを反応させることを含む、(1)記載のマイクロカプセルの製造方法。
(11)縮合剤がアミド結合生成反応に用いられる試薬である(10)記載の製造方法。
(12)アミド結合生成反応に用いられる試薬が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、グルタルアルデヒド、ゲニピン及び1,3-ジシクロカルボジイミドからなる群より選択される(11)記載の製造方法。
(13)縮合剤/アニオン性高分子の重量比が0.5-100となるように縮合剤を添加する(10)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)さらに、キトサンを低分子架橋剤で架橋することを含む(10)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
(1)アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセル。
(2)キトサンが水溶性キトサンである(1)記載のマイクロカプセル。
(3)キトサンが低分子架橋剤で架橋されている(1)又は(2)記載のマイクロカプセル。
(4)低分子架橋剤がヒドロキシ酸及び/又はジカルボン酸である(3)記載のマイクロカプセル。
(5)ヒドロキシ酸が、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群より選択され、ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群より選択される(3)記載のマイクロカプセル。
(6)アニオン性高分子がポリカルボン酸である(1)〜(5)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(7)ポリカルボン酸が、ペクチン、アルギン酸、ポリアクリル酸、コンドロイチン硫酸C及びポリ−γ−グルタミン酸からなる群より選択される(6)記載のマイクロカプセル。
(8)キトサンのアミノ基の総数とアニオン性高分子のカルボキシル基の総数の比率が1〜4である(6)又は(7)記載のマイクロカプセル。
(9)タンパク質、核酸、ペプチド、脂質、糖質及び低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を芯物質として含む(1)〜(8)のいずれかに記載のマイクロカプセル。
(10)縮合剤の存在下で、キトサンとアニオン性高分子とを反応させることを含む、(1)記載のマイクロカプセルの製造方法。
(11)縮合剤がアミド結合生成反応に用いられる試薬である(10)記載の製造方法。
(12)アミド結合生成反応に用いられる試薬が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、グルタルアルデヒド、ゲニピン及び1,3-ジシクロカルボジイミドからなる群より選択される(11)記載の製造方法。
(13)縮合剤/アニオン性高分子の重量比が0.5-100となるように縮合剤を添加する(10)〜(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)さらに、キトサンを低分子架橋剤で架橋することを含む(10)〜(13)のいずれかに記載の製造方法。
本発明により、高いカプセル化効率、溶液中での分散安定性、モデル胃液とモデル腸液での安定性、口から小腸までの消化酵素に対する安定性を達成でき、大腸での消化酵素の作用によりタンパク質を始めとする種々の物質をコントロールリリースすることが可能となった。
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
本発明は、アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセルを提供する。
キトサンは、水溶性キトサンであることが好ましい。水溶性キトサンは、例えば、以下のようにして調製することができる。キトサン粉末に蒸留水を適当量加え、撹拌して均一に分散させた後に12規定の塩酸を溶液が透明になるまで滴下する。その溶液を凍結乾燥し、得られた化合物をキトサン塩酸塩とし、これをカラムクロマトグラフィーにより分子量分画して用いる。このようにして、分子量10〜100kDa、脱アセチル化度は80〜95%のものが得られている。例えば分子量19kDa、脱アセチル化度89%のキトサンを用いることができる。原料のキトサン粉末は市販されており、入手可能である。また、特開2000-157270(遺伝子導入用キャリアー、該キャリアーと遺伝子との複合体及び細胞への遺伝子導入方法)などの文献に記載の方法によって調製することもできる。
キトサンは、低分子架橋剤で架橋されていることが好ましい。低分子架橋剤は、ヒロドキシ酸及び/又はジカルボン酸であるとよく、ヒドロキシ酸としては、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などを例示することができ、ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
キトサンを低分子架橋剤で架橋するには、キトサン溶液に低分子架橋剤と縮合剤を添加し、適当な時間適当な温度でインキュベートすればよい。
縮合剤はアミド結合生成反応に用いられる試薬であるとよく、アミド結合生成反応に用いられる試薬としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、グルタルアルデヒド、ゲニピン、1,3-ジシクロカルボジイミドなどを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
本明細書において、「アニオン性高分子」とは、モノマーが複数個結合した分子であり、そのモノマーの全てあるいは一部がアニオン性の置換基を有している化合物をいう。アニオン性高分子は、キトサンを共有結合で架橋できるものであれば、いかなるものであってもよいが、ポリカルボン酸であることが好ましい。ポリカルボン酸としては、ペクチン、アルギン酸、ポリアクリル酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ−γ−グルタミン酸などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。また、アニオン性高分子は、多糖であることが好ましい。
アニオン性高分子がポリカルボン酸である場合、キトサンのアミノ基の総数とアニオン性高分子のカルボキシル基の総数の比率は1〜4であることが好ましい。
本発明のマイクロカプセルは、タンパク質、核酸、ペプチド、脂質、糖質、低分子化合物などの成分を芯物質として含むとよい。タンパク質としては、酵素、受容体、抗体、サイトカイン、増殖因子など、核酸としては、プラスミド、アンチセンス核酸、リポザイム、RNA、DNAなど、ペプチドとしては、エリスロポエチン、インスリン、ペプチドホルモン、インフルエンザ感染阻害ペプチドなど、脂質としては、糖脂質、脂肪酸、プロスタグランジン、ステロイドなど、糖質としては、オリゴ糖、多糖など、低分子化合物としては、制がん剤、抗菌剤、抗炎症剤などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。これらの成分は、種々の修飾や改変がなされたもの、例えば、SMANCSのようにタンパク質と合成高分子が化学結合したもの、低分子薬物と高分子が化学結合したものなどであってもよい。
本発明のマイクロカプセルの粒子径は、平均径として、0.05〜100μmが適当であり、0.1〜10 μmが好ましい。
本発明のマイクロカプセルは、医薬、診断薬、食品、サプリメントなどのデリバリー用のキャリヤーとして利用することができる。また、本発明のマイクロカプセルは、細胞培養液への添加剤、診断用デバイスなどにも利用することができる。
また、本発明は、アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセルの製造方法であって、縮合剤の存在下で、キトサンとアニオン性高分子溶液とを反応させることを含む前記方法を提供する。
アニオン性高分子及びキトサンは上記の通りである。
縮合剤はアミド結合生成反応に用いられる試薬であるとよく、アミド結合生成反応に用いられる試薬としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、グルタルアルデヒド、ゲニピン、1,3-ジシクロカルボジイミドなどを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
キトサン溶液に芯物質溶液を添加し、得られた混合液にアニオン性高分子溶液と縮合剤溶液を添加し、震盪しながら、適当な時間、適当な温度でインキュベートすることにより、アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセルを製造することができる。
キトサン溶液のキトサン濃度は、0.1〜100 mg/mlが適当であり、0.5〜5mg/mlが好ましい。溶媒は、水、生理食塩水や緩衝液などが適当であり、pH5.8〜6.1の緩衝液などが好ましい。例えば、キトサン塩酸塩を1N塩酸でpH6.0に調整した20mM MESに溶解して、キトサン濃度を1mg/mlに調整することにより、キトサン溶液を調製することができる。
芯物質溶液の芯物質濃度は、芯物質と溶媒の種類によって異なるが、芯物質がタンパク質であり、溶媒が水である場合、0.4〜40mg/mlが適当であり、1〜10mg/mlが好ましい。溶媒は、水、生理食塩水、緩衝液などが適当であり、水が好ましい。
アニオン性高分子溶液のアニオン性高分子濃度は、0.4〜40 mg/mlが適当であり、1〜10mg/mlが好ましい。溶媒は、水、生理食塩水、緩衝液などが適当であり、20 mMMOPS(pH6.5), PBS(pH6.5), 20mM MES(pH6.0)などの緩衝液が好ましい。
縮合剤溶液の縮合剤濃度は、1〜200mMが適当であり、10〜60mMが好ましい。溶媒は、水、生理食塩水、緩衝液などが適当であり、pH5.8〜6.1の緩衝液が好ましい。
キトサンのアミノ基/アニオン性高分子のカルボキシル基のモル比は、キトサン及びアニオン性高分子の種類によって異なるが、キトサンが水溶性キトサン(19 kDa、脱アセチル化度89.4%)であり、アニオン性高分子がポリカルボン酸である場合、0.05〜20が適当であり、0.5〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
縮合剤/アニオン性高分子の重量比は、0.1-100が適当であり、0.5〜5が好ましい。
芯物質の添加量は、芯物質の種類により異なるが、例えば、芯物質がタンパク質である場合、キトサンを20mM MES(pH6.0)に溶解した1mg/mlの溶液と、タンパク質をmilliQ水に溶解した4mg/mlの溶液を混合して、タンパク質の終濃度が1 mg/mlになるように調整するとよい。
震盪速度、インキュベーションの時間と温度は、キトサン、アニオン性高分子及び縮合剤の種類によって異なるが、キトサンが水溶性キトサン(19 kDa、脱アセチル化度89.4%)であり、アニオン性高分子がポリカルボン酸であり、縮合剤が1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である場合、震盪速度は、10〜500rpmが適当であり、50〜300rpmが好ましく、インキュベーションの時間と温度は、0.5〜48時間、4〜40℃が適当であり、1〜24時間、4〜30℃が好ましい。
上記のように、キトサンは低分子架橋剤で架橋されていることが好ましく、その場合、本発明の方法は、キトサンを低分子架橋剤で架橋することを含む。
キトサンが低分子架橋剤で架橋されているマイクロカプセルを製造するには、キトサン溶液に芯物質溶液を添加した後に、その混合液に低分子架橋剤溶液と縮合剤溶液を添加し、震盪しながら、適当な時間、適当な温度でインキュベートするとよい。
低分子架橋剤と縮合剤の種類は上記の通りである。キトサン溶液及び芯物質溶液も上記の通りである。
低分子架橋剤溶液の低分子架橋剤濃度は、0.1〜100 mg/mlが適当であり、0.5〜50 mg/mlが好ましい。溶媒は、水、生理食塩水、緩衝液などが適当であり、水が好ましい。
縮合剤溶液の縮合剤濃度は、1〜100 mMが適当であり、10〜60 mMが好ましい。溶媒は、水、生理食塩水、緩衝液などが適当であり、20 mM MES 緩衝液(pH5.8)が好ましい。
低分子架橋剤の添加量は、キトサン及び低分子架橋剤の種類によって異なるが、キトサンが水溶性キトサン(19 kDa、脱アセチル化度89.4%)であり、低分子架橋剤がクエン酸などのカルボン酸である場合、キトサンのアミノ基/低分子架橋剤のカルボキシル基のモル比は、0.5〜100が適当であり、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましい。
縮合剤/低分子架橋剤の重量比は、0.1-100が適当であり、0.5〜5が好ましい。
低分子架橋剤と縮合剤を添加した後の震盪速度、インキュベーションの時間と温度は、キトサン、低分子架橋剤及び縮合剤の種類によって異なるが、キトサンが水溶性キトサン(19 kDa、脱アセチル化度89.4%)であり、低分子架橋剤がヒドロキシ酸であり、縮合剤が1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である場合、震盪速度は、10〜500 rpmが適当であり、50〜300rpmが好ましく、インキュベーションの時間と温度は、0.5〜48時間、4〜40℃が適当であり、1〜24時間、4〜30℃が好ましい。
キトサンを低分子架橋剤で架橋した後、このキトサンを含む反応混合液にアニオン性高分子溶液と縮合剤溶液を添加し、震盪しながら、適当な時間、適当な温度でインキュベートすることにより、アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセルを得ることができる。これらの操作は上記の通りである。
マイクロカプセルを単離するには、遠心分離機を用いて、10,000rpm, 20min, 4℃で遠心処理を行えばよい。
本発明の製造方法により得られるマイクロカプセルの粒子径は、平均径として、0.1〜100 μmが適当であり、 0.2〜10 μmが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実験方法〕
材料
(1) キトサン
キトサン(19 kDa, 脱アセチル化度89.4 %) は焼津水産化学(株)から提供された。キトサンの粉末に蒸留水を適当量加え、撹拌して均一に分散させた後に12規定の塩酸を溶液が透明になるまで滴下した。その溶液を凍結乾燥し、得られた化合物をキトサン塩酸塩として用いた。
(2) ポリアニオン
ペクチン(柑橘類由来, 脱メトキシ化度 95.0 %)、コンドロイチン硫酸Cナトリウム(硫酸化度 6.25 %)、アルギン酸ナトリウム(粘度 80〜120 cP)、ポリ-γ-グルタミン酸ナトリウム(平均分子量 200 kDa〜500 kDa)、ポリアクリル酸(平均分子量 5 kDa)はWakoから購入した。
(3) その他
カプセル化に用いるモデルタンパク質としてグルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger)はICN、クロスリンカーとしてクエン酸三ナトリウムはWako、そして縮合剤として水溶性カルボジイミドEDC (1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide,hydrochloride) は DOJINDOから購入した。また緩衝液としてMESはResearch Organics Incから購入した。尚、グルコースオキシダーゼは略称として、以後GODと称する。
図1に、キトサン、クエン酸、ペクチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ-γ-グルタミン酸、ポリアクリル酸の構造式を示す。
〔実験方法〕
材料
(1) キトサン
キトサン(19 kDa, 脱アセチル化度89.4 %) は焼津水産化学(株)から提供された。キトサンの粉末に蒸留水を適当量加え、撹拌して均一に分散させた後に12規定の塩酸を溶液が透明になるまで滴下した。その溶液を凍結乾燥し、得られた化合物をキトサン塩酸塩として用いた。
(2) ポリアニオン
ペクチン(柑橘類由来, 脱メトキシ化度 95.0 %)、コンドロイチン硫酸Cナトリウム(硫酸化度 6.25 %)、アルギン酸ナトリウム(粘度 80〜120 cP)、ポリ-γ-グルタミン酸ナトリウム(平均分子量 200 kDa〜500 kDa)、ポリアクリル酸(平均分子量 5 kDa)はWakoから購入した。
(3) その他
カプセル化に用いるモデルタンパク質としてグルコースオキシダーゼ(Aspergillus niger)はICN、クロスリンカーとしてクエン酸三ナトリウムはWako、そして縮合剤として水溶性カルボジイミドEDC (1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide,hydrochloride) は DOJINDOから購入した。また緩衝液としてMESはResearch Organics Incから購入した。尚、グルコースオキシダーゼは略称として、以後GODと称する。
図1に、キトサン、クエン酸、ペクチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ-γ-グルタミン酸、ポリアクリル酸の構造式を示す。
被覆化キトサン粒子の作製
(1) 溶液の調製
被覆化キトサン粒子の調製にあたって、以下の溶液を調製した。キトサン塩酸塩(19 kDa, 脱アセチル化度89.4 %) を1 N 塩酸でpH 6.0 に調整した20 mMの MESに溶解し、1 mg/mlになるように調整した。キトサン塩酸塩をpH 6.0の溶媒に溶解させたのは、本実験で用いているキトサン塩酸塩のpKaが6.4〜6.5であり(S. Sakuma, Advanced Drug Delivery Reviews, 47, 21-37 (2001))、pH 6.5以下で高い電荷密度を持ち可溶化する為、粒子形成の条件として適しているからである。続いて、クエン酸三ナトリウムとGODはそれぞれMilli-Q 水に溶解して1 mg/ml、4 mg/mlになるように調整した。EDCは20 mM MES (pH 6.0)に溶解して、60 mMになるように調製した。最後にペクチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ-γ-グルタミン酸、ポリアクリル酸、PEG-Cは20 mM MES (pH 6.0)に溶解し、4 mg/mlになるように調製した。
(1) 溶液の調製
被覆化キトサン粒子の調製にあたって、以下の溶液を調製した。キトサン塩酸塩(19 kDa, 脱アセチル化度89.4 %) を1 N 塩酸でpH 6.0 に調整した20 mMの MESに溶解し、1 mg/mlになるように調整した。キトサン塩酸塩をpH 6.0の溶媒に溶解させたのは、本実験で用いているキトサン塩酸塩のpKaが6.4〜6.5であり(S. Sakuma, Advanced Drug Delivery Reviews, 47, 21-37 (2001))、pH 6.5以下で高い電荷密度を持ち可溶化する為、粒子形成の条件として適しているからである。続いて、クエン酸三ナトリウムとGODはそれぞれMilli-Q 水に溶解して1 mg/ml、4 mg/mlになるように調整した。EDCは20 mM MES (pH 6.0)に溶解して、60 mMになるように調製した。最後にペクチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ-γ-グルタミン酸、ポリアクリル酸、PEG-Cは20 mM MES (pH 6.0)に溶解し、4 mg/mlになるように調製した。
(2) 被覆化キトサン微粒子の作製と被覆材および作製条件の検討
被覆化キトサン粒子の調製に際しては、2通りの方法を試みた(図2)。Scheme 1は架橋化キトサン粒子とポリカルボン酸間の静電的な相互作用を利用する方法、Scheme 2は架橋化キトサン粒子が有するアミノ基とポリカルボン酸が有するカルボキシル基間の脱水反応を利用する方法である。
以下に実験の詳細を記す。微粒子調製は全て2 ml Safe-Lock Tube (eppendorf)内において行った。キトサン溶液に微粒子懸濁液中の終濃度が1 mg/mlになるようにGOD溶液を添加し、よく混合した。次いで、キトサン・GODの混合溶液にクエン酸三ナトリウム溶液69 μl (+/-=2)を添加し、震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で4 ℃, 200 rpm, 48 時間インキュベートした。ここまでの操作で、架橋化キトサン粒子が作製された。なお途中、24 時間後にEDC溶液を40μl 添加した。続いてそれぞれの被覆法における実験操作について記す。
Scheme 1
続いて得られた懸濁液にポリカルボン酸溶液を適量添加し、震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で4 ℃, 200 rpm, 24 時間インキュベートした。この操作により、静電的相互作用で被覆したキトサン粒子(イオン結合した被覆化キトサン粒子)が作製された。
Scheme 2
続いて得られた懸濁液にポリカルボン酸溶液とEDC溶液を適量添加し、震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で4 ℃, 200 rpm, 24 時間インキュベートした。この操作により、共有結合で被覆したキトサン粒子(共有結合した被覆化キトサン粒子)が作製された。
この時、系内のキトサンのアミノ基の総数(N)と被覆材のポリカルボン酸のカルボキシル基の総数(C)の比(N/C比)によって形成される粒子の粒子径やカプセル化効率が変化すると考えられるので、様々なN/C比で粒子を調製する為にポリアニオン溶液の添加量は各N/C比になる様に予め計算した量(N/C=1, 2, 4の時、それぞれ272 μl, 136 μl , 68 μl)を添加した。Scheme 2においてはEDC溶液もポリカルボン酸の量に応じて添加した。(N/C=1, 2, 4の時、それぞれEDC溶液80 μl, 40 μl, 20 μl )また、pH調整に際してWaterproof pHScan3 (Eutech Instruments Pte Ltd)を用いた。調製した微粒子のキャラクタリゼーションとして、粒子径、カプセル化効率、生体内塩濃度条件におけるGOD保持能力と膨潤率を測定した。さらに、種々のpHにおけるGOD保持能力と種々の消化管酵素によるGOD放出挙動も測定した。
被覆化キトサン粒子の調製に際しては、2通りの方法を試みた(図2)。Scheme 1は架橋化キトサン粒子とポリカルボン酸間の静電的な相互作用を利用する方法、Scheme 2は架橋化キトサン粒子が有するアミノ基とポリカルボン酸が有するカルボキシル基間の脱水反応を利用する方法である。
以下に実験の詳細を記す。微粒子調製は全て2 ml Safe-Lock Tube (eppendorf)内において行った。キトサン溶液に微粒子懸濁液中の終濃度が1 mg/mlになるようにGOD溶液を添加し、よく混合した。次いで、キトサン・GODの混合溶液にクエン酸三ナトリウム溶液69 μl (+/-=2)を添加し、震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で4 ℃, 200 rpm, 48 時間インキュベートした。ここまでの操作で、架橋化キトサン粒子が作製された。なお途中、24 時間後にEDC溶液を40μl 添加した。続いてそれぞれの被覆法における実験操作について記す。
Scheme 1
続いて得られた懸濁液にポリカルボン酸溶液を適量添加し、震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で4 ℃, 200 rpm, 24 時間インキュベートした。この操作により、静電的相互作用で被覆したキトサン粒子(イオン結合した被覆化キトサン粒子)が作製された。
Scheme 2
続いて得られた懸濁液にポリカルボン酸溶液とEDC溶液を適量添加し、震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で4 ℃, 200 rpm, 24 時間インキュベートした。この操作により、共有結合で被覆したキトサン粒子(共有結合した被覆化キトサン粒子)が作製された。
この時、系内のキトサンのアミノ基の総数(N)と被覆材のポリカルボン酸のカルボキシル基の総数(C)の比(N/C比)によって形成される粒子の粒子径やカプセル化効率が変化すると考えられるので、様々なN/C比で粒子を調製する為にポリアニオン溶液の添加量は各N/C比になる様に予め計算した量(N/C=1, 2, 4の時、それぞれ272 μl, 136 μl , 68 μl)を添加した。Scheme 2においてはEDC溶液もポリカルボン酸の量に応じて添加した。(N/C=1, 2, 4の時、それぞれEDC溶液80 μl, 40 μl, 20 μl )また、pH調整に際してWaterproof pHScan3 (Eutech Instruments Pte Ltd)を用いた。調製した微粒子のキャラクタリゼーションとして、粒子径、カプセル化効率、生体内塩濃度条件におけるGOD保持能力と膨潤率を測定した。さらに、種々のpHにおけるGOD保持能力と種々の消化管酵素によるGOD放出挙動も測定した。
測定方法
(1)粒子径の測定方法
被覆化キトサン微粒子懸濁液サンプルを20 mM MES でそれぞれ希釈し、粒子径測定用のサンプルとした。このサンプルを1.5 mlプラスチックセル (SANSYO) に入れ、レーザー粒子解析システム HPPS(シスメックス株式会社)を用いて、25 ℃で粒子径を測定した。
(2)カプセル化効率の測定
粒子中にカプセル化されたタンパク質の定量は以下のように行った。タンパク質をカプセル化した被覆化キトサン微粒子懸濁液を遠心分離機を用いて10000 rpm, 20分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、微粒子を沈殿させた。遠心後上清を回収し、上清中のタンパク質濃度をプロテインアッセイにより決定した。ここで、粒子にカプセル化されたタンパク質の割合をカプセル化効率とし、以下のように定義する。
カプセル化効率 (%)
=(タンパク質仕込み濃度-上清のタンパク質濃度)/(タンパク質仕込み濃度)×100
=(1-上清中のタンパク質濃度 (mg/ml))×100
(3)膨潤率の測定
微粒子懸濁液に150mM NaCl溶液(in MOPS buffer pH 6.0)を添加した。調製された懸濁液は震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で 37 ℃, 60 rpmで24 時間インキュベートし、分光光度計 Ultrospec 3000 (amersham pharmacia biotech)を用いて500 nmの吸光度(濁度)を測定した。
相対膨潤率 (%)
=(150 mM NaCl含有20 mM MES緩衝液溶液における濁度)/(20 mM MES緩衝液における濁度)×100
(4)タンパク質の保持能力の測定
微粒子懸濁液を遠心分離機を用いて10000 rpm, 20分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、微粒子を沈殿させた。遠心後上清を回収し、上清をプロテインアッセイした。
(5)種々のpHでのGODの保持能力の測定
微粒子懸濁液を、遠心分離機を用いて10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、微粒子を沈殿させた。微粒子が沈殿したSafe-Lock Tubeに、MES buffer (0 mM NaCl,pH 6.0)、日本薬局方崩壊試験第1液 (35 mM NaCl,pH 1.2、モデル胃液)、50 mM酢酸 buffer (pH 4.0)、日本薬局方崩壊試験第2液 (50 mM KH2PO4,pH 6.8、モデル腸液)、あるいは0.1 M 重炭酸 buffer (pH 7.0、モデル大腸液)、などの溶媒0.5 mlを滴下し、再懸濁した。この懸濁液を震盪培養機で37 ℃, 60 rpmにてインキュベートし、1, 3, 5, 7 時間後、10000 rpm, 25 分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、上清をサンプリングした。上清中のタンパク質濃度を測定し、微粒子中からのタンパク質の放出量を決定した。
(6)消化管酵素による安定性
リゾチーム (20000-25000 U/mg)は、20 mMリン酸カリウムバッファー (12 mM NaCl, pH 6.9) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。α-アミラーゼ (165 KU/g)は20 mMリン酸カリウムバッファー (12 mM NaCl, pH 6.9) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。リパーゼ (16 U/mg)は10 mM Tris-HCl (10 mM CaCl2, pH 8.1) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。パンクレアチン (タンパク消化力 26000-40000 U/g, 澱粉糖化力 3000-5000 U/g, 脂肪消化力 750-1400 U/g) を10 mM Tris-HCl ( pH 8.1, 30 mM CaCl2) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。ペクチナーゼをMES buffer (pH 6.0)、もしくは0.1 M 重炭酸 buffer (pH 7.0)に溶解し、10 mg/mlに調製した。キトサナーゼRD (210 mU/mg) をMES buffer (pH 6.0) に溶解し、10 mg/ml に調製した。β-グルコシダーゼ (〜2500 U/mg)は、20 mM MOPS (pH 6.0)に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。
GODをカプセル化した微粒子を10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心分離を行い回収した。これに消化管酵素溶液を0.5 ml添加して再懸濁した。この懸濁液を震盪培養機で37 ℃, 60 rpmにてインキュベートし、1, 3, 5, 7 時間後、10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心を行い、上清をサンプリングした。上清中のタンパク質濃度を測定し、タンパク質の放出量を決定した。
(7)プロテアーゼに対する安定性
GODをカプセル化した微粒子懸濁液を10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心分離を行い、微粒子を沈殿させた。この微粒子の沈殿に、20 mM MOPS (pH 6.0)に溶解した1mg/mlのパパイン (30000 U/mg) を加え、37 ℃, 60 rpmで所定の時間インキュベーションした。これを10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心分離を行い、微粒子を沈殿させた。10 mg/mlペクチナーゼ溶液を添加して再懸濁した。この懸濁液を震盪培養機で37 ℃, 60 rpmにて3時間インキュベートした後、10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、上清をサンプリングした。この上清中のGOD酵素活性を以下の方法で測定した。0.1 mlの0.2 mg/ml ペルオキシダーゼ水溶液、0.3 mlの18 % グルコース溶液、2.5 mlのグアニジン溶液(O-ジアニシジン溶液0.1 ml+0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 6) 12 ml)を混合しプラスチックセルに移し5 分インキュベーションした。5 min後、プラスチックセルに0.1 mlのGODサンプル溶液を添加し、460 nmの吸光度を10 秒ごとに5 分間モニタリングした。サンプル溶液はMilli-Q 水で適切に希釈し、ΔA460/min が0.02〜0.06 になるように調整した。吸光度の経時変化から吸光曲線を描き、始めの直線部分からΔA460/minを算出し、以下の式よりGODの酵素活性を求めた。
(1)粒子径の測定方法
被覆化キトサン微粒子懸濁液サンプルを20 mM MES でそれぞれ希釈し、粒子径測定用のサンプルとした。このサンプルを1.5 mlプラスチックセル (SANSYO) に入れ、レーザー粒子解析システム HPPS(シスメックス株式会社)を用いて、25 ℃で粒子径を測定した。
(2)カプセル化効率の測定
粒子中にカプセル化されたタンパク質の定量は以下のように行った。タンパク質をカプセル化した被覆化キトサン微粒子懸濁液を遠心分離機を用いて10000 rpm, 20分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、微粒子を沈殿させた。遠心後上清を回収し、上清中のタンパク質濃度をプロテインアッセイにより決定した。ここで、粒子にカプセル化されたタンパク質の割合をカプセル化効率とし、以下のように定義する。
カプセル化効率 (%)
=(タンパク質仕込み濃度-上清のタンパク質濃度)/(タンパク質仕込み濃度)×100
=(1-上清中のタンパク質濃度 (mg/ml))×100
(3)膨潤率の測定
微粒子懸濁液に150mM NaCl溶液(in MOPS buffer pH 6.0)を添加した。調製された懸濁液は震盪培養機 BIO-SHAKER BR-40LF (TITEC)で 37 ℃, 60 rpmで24 時間インキュベートし、分光光度計 Ultrospec 3000 (amersham pharmacia biotech)を用いて500 nmの吸光度(濁度)を測定した。
相対膨潤率 (%)
=(150 mM NaCl含有20 mM MES緩衝液溶液における濁度)/(20 mM MES緩衝液における濁度)×100
(4)タンパク質の保持能力の測定
微粒子懸濁液を遠心分離機を用いて10000 rpm, 20分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、微粒子を沈殿させた。遠心後上清を回収し、上清をプロテインアッセイした。
(5)種々のpHでのGODの保持能力の測定
微粒子懸濁液を、遠心分離機を用いて10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、微粒子を沈殿させた。微粒子が沈殿したSafe-Lock Tubeに、MES buffer (0 mM NaCl,pH 6.0)、日本薬局方崩壊試験第1液 (35 mM NaCl,pH 1.2、モデル胃液)、50 mM酢酸 buffer (pH 4.0)、日本薬局方崩壊試験第2液 (50 mM KH2PO4,pH 6.8、モデル腸液)、あるいは0.1 M 重炭酸 buffer (pH 7.0、モデル大腸液)、などの溶媒0.5 mlを滴下し、再懸濁した。この懸濁液を震盪培養機で37 ℃, 60 rpmにてインキュベートし、1, 3, 5, 7 時間後、10000 rpm, 25 分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、上清をサンプリングした。上清中のタンパク質濃度を測定し、微粒子中からのタンパク質の放出量を決定した。
(6)消化管酵素による安定性
リゾチーム (20000-25000 U/mg)は、20 mMリン酸カリウムバッファー (12 mM NaCl, pH 6.9) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。α-アミラーゼ (165 KU/g)は20 mMリン酸カリウムバッファー (12 mM NaCl, pH 6.9) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。リパーゼ (16 U/mg)は10 mM Tris-HCl (10 mM CaCl2, pH 8.1) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。パンクレアチン (タンパク消化力 26000-40000 U/g, 澱粉糖化力 3000-5000 U/g, 脂肪消化力 750-1400 U/g) を10 mM Tris-HCl ( pH 8.1, 30 mM CaCl2) に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。ペクチナーゼをMES buffer (pH 6.0)、もしくは0.1 M 重炭酸 buffer (pH 7.0)に溶解し、10 mg/mlに調製した。キトサナーゼRD (210 mU/mg) をMES buffer (pH 6.0) に溶解し、10 mg/ml に調製した。β-グルコシダーゼ (〜2500 U/mg)は、20 mM MOPS (pH 6.0)に溶解し、終濃度が1 mg/mlになるように調整した。
GODをカプセル化した微粒子を10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心分離を行い回収した。これに消化管酵素溶液を0.5 ml添加して再懸濁した。この懸濁液を震盪培養機で37 ℃, 60 rpmにてインキュベートし、1, 3, 5, 7 時間後、10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心を行い、上清をサンプリングした。上清中のタンパク質濃度を測定し、タンパク質の放出量を決定した。
(7)プロテアーゼに対する安定性
GODをカプセル化した微粒子懸濁液を10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心分離を行い、微粒子を沈殿させた。この微粒子の沈殿に、20 mM MOPS (pH 6.0)に溶解した1mg/mlのパパイン (30000 U/mg) を加え、37 ℃, 60 rpmで所定の時間インキュベーションした。これを10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心分離を行い、微粒子を沈殿させた。10 mg/mlペクチナーゼ溶液を添加して再懸濁した。この懸濁液を震盪培養機で37 ℃, 60 rpmにて3時間インキュベートした後、10000 rpm, 25分, 4 ℃の条件で遠心処理を行い、上清をサンプリングした。この上清中のGOD酵素活性を以下の方法で測定した。0.1 mlの0.2 mg/ml ペルオキシダーゼ水溶液、0.3 mlの18 % グルコース溶液、2.5 mlのグアニジン溶液(O-ジアニシジン溶液0.1 ml+0.1 Mリン酸カリウム緩衝液(pH 6) 12 ml)を混合しプラスチックセルに移し5 分インキュベーションした。5 min後、プラスチックセルに0.1 mlのGODサンプル溶液を添加し、460 nmの吸光度を10 秒ごとに5 分間モニタリングした。サンプル溶液はMilli-Q 水で適切に希釈し、ΔA460/min が0.02〜0.06 になるように調整した。吸光度の経時変化から吸光曲線を描き、始めの直線部分からΔA460/minを算出し、以下の式よりGODの酵素活性を求めた。
〔結果〕
1)5種類のポリカルボン酸による架橋化キトサン粒子の被覆とキャラクタリゼーション
架橋化キトサン粒子を被覆する際、キトサンのアミノ基の総数(N)とポリカルボン酸のカルボキシル基の総数(C)の比率(N/C比)によって調製される粒子の粒子径やカプセル化効率と言った物性が変化する可能性があると考えられる。そこで複数のN/C比で架橋化キトサン粒子を被覆し、そのキャラクタリゼーションを行なった。ペクチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ-γ-グルタミン酸又はポリアクリル酸でキトサン粒子の被覆を行った。結果を表1に示す。
1)5種類のポリカルボン酸による架橋化キトサン粒子の被覆とキャラクタリゼーション
架橋化キトサン粒子を被覆する際、キトサンのアミノ基の総数(N)とポリカルボン酸のカルボキシル基の総数(C)の比率(N/C比)によって調製される粒子の粒子径やカプセル化効率と言った物性が変化する可能性があると考えられる。そこで複数のN/C比で架橋化キトサン粒子を被覆し、そのキャラクタリゼーションを行なった。ペクチン、アルギン酸、コンドロイチン硫酸C、ポリ-γ-グルタミン酸又はポリアクリル酸でキトサン粒子の被覆を行った。結果を表1に示す。
表1 種々のポリカルボン酸で被覆化したキトサン粒子(共有結合又はイオン結合を利用)のタンパク質のカプセル化効率(EE)、粒子サイズ、膨潤率(relative turbidity)
表2にイオン結合した被覆化キトサン粒子及び共有結合した被覆化キトサン粒子の生体内塩濃度条件下におけるタンパク質保持能力を示した。共有結合した被覆化キトサン粒子は、イオン結合した被覆化キトサン粒子とほぼ同様の傾向を示し、全体的に90%程度のタンパク質保持能力を示し、コンドロイチン硫酸Cでは100%であった。しかしながらペクチンやアルギン酸では70%程度と低い値となっていた。
表2.生体内塩濃度条件下における各種被覆化キトサン粒子のタンパク質保持能力
(反応時間:24 時間、 塩溶液:150 mM NaCl (pH 6.0)、E.E.: カプセル化効率)
(反応時間:24 時間、 塩溶液:150 mM NaCl (pH 6.0)、E.E.: カプセル化効率)
2)種々のタンパク質のペクチン被覆化キトサン粒子へのカプセル化
カプセル化効率の結果を表3に示した。
共有結合した被覆化キトサン粒子については、等電点・分子量のいずれにおいてもその値に依存したカプセル化効率の変化は観察されなかった。しかし分子量に関しては若干ではあるが、高分子量のものがカプセル化され易いと言った傾向が観察された。これは分子量が大きなタンパク質ほど立体的に嵩高く、マトリックス材料に取り込まれ易くなる事に起因していると考えられる。全くカプセル化されなかったタンパク質があるものの、ほとんどのタンパク質においてカプセル化効率は60%〜95%であった。イオン結合で被覆したキトサン粒子においても、ほぼ同様のカプセル化効率が得られた。
カプセル化効率の結果を表3に示した。
共有結合した被覆化キトサン粒子については、等電点・分子量のいずれにおいてもその値に依存したカプセル化効率の変化は観察されなかった。しかし分子量に関しては若干ではあるが、高分子量のものがカプセル化され易いと言った傾向が観察された。これは分子量が大きなタンパク質ほど立体的に嵩高く、マトリックス材料に取り込まれ易くなる事に起因していると考えられる。全くカプセル化されなかったタンパク質があるものの、ほとんどのタンパク質においてカプセル化効率は60%〜95%であった。イオン結合で被覆したキトサン粒子においても、ほぼ同様のカプセル化効率が得られた。
表3.種々のタンパク質をカプセル化したペクチン被覆化キトサン粒子(共有結合又はイオン結合を利用)のカプセル化効率
(N/C=4, 4℃, 24 時間, 200 rpm)
(N/C=4, 4℃, 24 時間, 200 rpm)
3) 塩に対する安定性評価
生体内塩濃度を含む、各種塩濃度条件におけるタンパク質放出挙動を評価した。結果を図3に示した。(1)の静電的相互作用で被覆したキトサン粒子では10 mMと言う低濃度条件を含め、塩を加える事で素早いタンパク質の放出(150 mM NaClでは1 時間で50 %、10 mM NaClでは1 時間で10%)が観察された。それに対して(2)の共有結合で被覆したキトサン粒子や(3)の架橋化キトサン粒子では生体内塩濃度条件(150 mM NaCl)を含め、全ての条件において殆どタンパク質は放出されなかった。
生体内塩濃度を含む、各種塩濃度条件におけるタンパク質放出挙動を評価した。結果を図3に示した。(1)の静電的相互作用で被覆したキトサン粒子では10 mMと言う低濃度条件を含め、塩を加える事で素早いタンパク質の放出(150 mM NaClでは1 時間で50 %、10 mM NaClでは1 時間で10%)が観察された。それに対して(2)の共有結合で被覆したキトサン粒子や(3)の架橋化キトサン粒子では生体内塩濃度条件(150 mM NaCl)を含め、全ての条件において殆どタンパク質は放出されなかった。
4) pHに対する安定性評価
胃液や腸液、大腸液を含む、各種pHにおけるタンパク質放出挙動を評価した。結果を図4に示した。
静電的相互作用で被覆したキトサン粒子ではpH 4.0におけるタンパク質の放出を抑制したものの、pH 1.2(モデル胃液)におけるタンパク質放出量に変化はなかった。またpH 6.8(モデル腸液)においては架橋化キトサン粒子よりもタンパク質放出量が増加してしまった。共有結合を利用して被覆した被覆化粒子ではpH 1.2(モデル胃液)〜pH 6.8(モデル腸液)の全ての条件においてタンパク質の放出が著しく抑制されていた。pH 7.0(モデル大腸液)においては、架橋化キトサン粒子よりもタンパク質放出量が向上していた。
胃液や腸液、大腸液を含む、各種pHにおけるタンパク質放出挙動を評価した。結果を図4に示した。
静電的相互作用で被覆したキトサン粒子ではpH 4.0におけるタンパク質の放出を抑制したものの、pH 1.2(モデル胃液)におけるタンパク質放出量に変化はなかった。またpH 6.8(モデル腸液)においては架橋化キトサン粒子よりもタンパク質放出量が増加してしまった。共有結合を利用して被覆した被覆化粒子ではpH 1.2(モデル胃液)〜pH 6.8(モデル腸液)の全ての条件においてタンパク質の放出が著しく抑制されていた。pH 7.0(モデル大腸液)においては、架橋化キトサン粒子よりもタンパク質放出量が向上していた。
5) ペクチン被覆化キトサン粒子の消化管内酵素に対する安定性評価
α-アミラーゼによるタンパク質放出挙動を評価した。ペクチンで被覆する事によってα-アミラーゼによるタンパク質放出が抑制された。またその抑制の度合いは共有結合を利用して被覆した粒子の方が大きかった(図5)。
ペクチン被覆化キトサン粒子は口腔内のリゾチームや小腸内のリパーゼに対してはタンパク質の放出はほとんど見られなかった。小腸内のモデル酵素群であるパンクレアチンによるタンパク質放出挙動では、被覆することによってタンパク質の放出が著しく抑制されていた(表4、5)。したがって以上の結果より、ペクチン被覆化キトサン粒子は消化管内の種々の酵素に対して高い安定性を有しているが示され、結腸指向性プロテインキャリヤーとしての有用性が示唆された。
結腸内に存在するペクチン分解酵素であるペクチナーゼによる崩壊能の評価を行った。被覆法に依存せずにペクチン被覆化粒子におけるタンパク質放出が観察された(図6)。
α-アミラーゼによるタンパク質放出挙動を評価した。ペクチンで被覆する事によってα-アミラーゼによるタンパク質放出が抑制された。またその抑制の度合いは共有結合を利用して被覆した粒子の方が大きかった(図5)。
ペクチン被覆化キトサン粒子は口腔内のリゾチームや小腸内のリパーゼに対してはタンパク質の放出はほとんど見られなかった。小腸内のモデル酵素群であるパンクレアチンによるタンパク質放出挙動では、被覆することによってタンパク質の放出が著しく抑制されていた(表4、5)。したがって以上の結果より、ペクチン被覆化キトサン粒子は消化管内の種々の酵素に対して高い安定性を有しているが示され、結腸指向性プロテインキャリヤーとしての有用性が示唆された。
結腸内に存在するペクチン分解酵素であるペクチナーゼによる崩壊能の評価を行った。被覆法に依存せずにペクチン被覆化粒子におけるタンパク質放出が観察された(図6)。
6) ペクチン被覆化キトサン粒子のプロテアーゼ耐性評価
ペクチン被覆化キトサン粒子をパパイン処理し、GODの活性評価を行った(図7)。GODの活性は被覆化粒子(共有結合を利用)>被覆化キトサン粒子(静電的相互作用を利用)≒架橋化キトサン粒子の順に保持されていた。カプセル化されていないGODは1時間以内に活性を全く失っていた。共有結合を利用して被覆された被覆化粒子では5 時間まで8割以上のタンパク質が活性を保持していた。
ペクチン被覆化キトサン粒子をパパイン処理し、GODの活性評価を行った(図7)。GODの活性は被覆化粒子(共有結合を利用)>被覆化キトサン粒子(静電的相互作用を利用)≒架橋化キトサン粒子の順に保持されていた。カプセル化されていないGODは1時間以内に活性を全く失っていた。共有結合を利用して被覆された被覆化粒子では5 時間まで8割以上のタンパク質が活性を保持していた。
本発明は、医薬、診断薬、食品、サプリメントなどのデリバリーシステムに利用できる。また、細胞培養液への添加剤、診断用デバイスなどにも利用することができる。
Claims (14)
- アニオン性高分子が共有結合しているキトサンを壁膜物質として含むマイクロカプセル。
- キトサンが水溶性キトサンである請求項1記載のマイクロカプセル。
- キトサンが低分子架橋剤で架橋されている請求項1又は2記載のマイクロカプセル。
- 低分子架橋剤がヒドロキシ酸及び/又はジカルボン酸である請求項3記載のマイクロカプセル。
- ヒドロキシ酸が、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸及び酒石酸からなる群より選択され、ジカルボン酸が、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸からなる群より選択される請求項3記載のマイクロカプセル。
- アニオン性高分子がポリカルボン酸である請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロカプセル。
- ポリカルボン酸が、ペクチン、アルギン酸、ポリアクリル酸、コンドロイチン硫酸C及びポリ−γ−グルタミン酸からなる群より選択される請求項6記載のマイクロカプセル。
- キトサンのアミノ基の総数とアニオン性高分子のカルボキシル基の総数の比率が1〜4である請求項6又は7記載のマイクロカプセル。
- タンパク質、核酸、ペプチド、脂質、糖質及び低分子化合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を芯物質として含む請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロカプセル。
- 縮合剤の存在下で、キトサンとアニオン性高分子とを反応させることを含む、請求項1記載のマイクロカプセルの製造方法。
- 縮合剤がアミド結合生成反応に用いられる試薬である請求項10記載の製造方法。
- アミド結合生成反応に用いられる試薬が、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、グルタルアルデヒド、ゲニピン及び1,3-ジシクロカルボジイミドからなる群より選択される請求項11記載の製造方法。
- 縮合剤/アニオン性高分子の重量比が0.1-100となるように縮合剤を添加する請求項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
- さらに、キトサンを低分子架橋剤で架橋することを含む請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
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