JP2009214342A - 金型、樹脂成形品及び給水ポンプ - Google Patents

金型、樹脂成形品及び給水ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】容易にボイドを抑制することが可能な金型、樹脂成形品及び給水ポンプを提供すること。
【解決手段】金型110の中空部111及び樹脂成形品1は、ゲート方向Gに対して所定の角度を有して交差するベント部の角部を、一方の部位(例えばゲート方向G)に対して所定の角度(例えば45°前後)を有する面又は、所定の半径を有する曲面にて連続させるリブ20又は曲面リブ17を有する形状に形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、金型、金型を用いて成形する樹脂成形品及び給水ポンプに関し、特にボイドの発生を抑制できるものに関する。
現在、射出成形法により樹脂材を用いて成形された部品(成形品)が様々な製品に用いられている。また、このような成形品に用いる樹脂材は、高い強度を有するものが開発されており、金属材の代替品として用いられている。
上述した射出成形法には、シリンダ内で加熱し、流動状態にした樹脂材を、2つの組み合う金型に圧入して成形する方法が知られている。しかし、このような射出成形法は、熱可塑性樹脂に用いられるが、熱硬化性樹脂への適用は難しい、という問題があった。このため、熱可塑性樹脂材には、RIM(Reaction Injection Molding)射出成形法(反応射出成形法)等の、2種類のモノマー(樹脂原液)を金型内に混合射出し、重合反応を起こさせることで、樹脂成形品を製造する方法もある。このようなRIM射出成形法は、ポリウレタン、ナイロン、ポリウレア、エポキシ、及び、ジシクロペンタジエン等の樹脂材が用いられている。
なお、このような樹脂材を用いて成形品を製造する場合、金型費用等の初期費用は大きいが、樹脂材の費用は金属材を用いて製造する場合と比較すると安く済むとともに軽量化ができる、という利点がある。このため、ある程度の製造数量が見込め、且つ、強度が確保できる部品であれば、金属材ではなく樹脂材が用いられている。
しかし、強度の確保が必要な部品に樹脂材を用いた場合、成形品にボイド(内部の空気溜り)やヒケ(表面の収縮歪)が発生すると、強度の低下や外観の低下等の問題がある。このようなボイド(void)やヒケ(sink mark)の発生原因としては、樹脂材の硬化速度の相違や、樹脂の液状時にその内部に気体が混入することにより発生する。(以下、ヒケもボイドに含ませてとして説明する。)
そこで、肉厚が4mm以上の熱可塑性樹脂を用いた成形品の内部の樹脂が硬化する前に、ボイドの発生の防止が必要な所望部分を、その近接部分よりも早く冷却する(又は近接部分を保温する)ことで、ボイドの発生を抑制させる製造方法が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
特開2001−121542号公報 特開2002−018855号公報
上述した樹脂成形品の製造方法では、次のような問題があった。即ち、局所的に冷却又は保温を行なうために、樹脂が完全に硬化する前に成形品を金型から取り出し、その後、加熱金型や断絶材等の保温手段(又は加熱手段)、及び、自然冷却、金型及び冷媒等の冷却手段を用いて硬化させる。
このため、金型以外にも保温手段や冷却手段が必要となり、設備コスト及び製造工程が増大するため、製造コストが増大することとなる。また、所望部分にはボイドが発生しなくとも、近接部分にはボイドが発生する虞が高く、成形品全体の強度が必要な場合等には適用が難しい。さらに、複雑な形状の成形品や、熱硬化性樹脂に用いることができない虞もある。
また、RIM射出成形法を用いた場合、2種類(又はそれ以上)の液体(液状の樹脂材)を混合し、金型に圧入することで形成される。しかし、複数の液体を混合する際に、樹脂材中に気体が混入するため、成形品を成形する際に、ボイドが発生する。特に、このようなボイドは、ゲート方向(樹脂の進入方向)と所定の角度を有するベント部を介し、且つ、ゲート方向から離間する方向に延びる成形部に発生するということが多い。
そこで本発明は、金型を用いて成形する樹脂成形品であっても、容易にボイドを抑制することが可能な樹脂成形品及び金型を提供することを目的としている。
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の金型、樹脂成形品及び給水ポンプは次のように構成されている。
樹脂成形品を成形する金型であって、硬化前の樹脂材を圧入するゲートと、このゲートと連続して形成され、前記樹脂材が圧入される前記ゲートの方向に対して所定の角度を有するベント部を有する中空部と、前記ベント部の角部の少なくとも一部を、曲面又は前記ゲートの方向に対して前記ベント部の角度よりも小さい角度を有する面により面取りを行なうことで形成されたリブ部と、を備えることを特徴とする。
硬化前の樹脂材を金型に設けられたゲートから圧入することで成形される樹脂成形品であって、前記液状の樹脂材が圧入される前記ゲートの方向に対して所定の角度を有するベント部と、このベント部の角部の少なくとも一部を、曲面又は前記ゲートの方向に対して前記ベント部の角度よりも小さい角度を有する面により、前記ベント部と一体に成形されたリブ部と、を備えることを特徴とする。
回転軸を有するモータ部と、前記モータ部の回転軸により駆動されるインペラを収納するポンプケーシングを有するポンプ部と、を備え、前記ポンプケーシングは、樹脂材を金型に設けられたゲートから圧入することで成形され、前記ゲートの方向に対して所定の角度を有するベント部の角部の少なくとも一部を、曲面又は前記ゲートの方向に対して前記ベント部の角度よりも小さい角度を有する面により、前記ベント部と一体に成形されたリブ部を有することを特徴とする。
本発明によれば、金型を用いて成形する樹脂成形品であっても、容易にボイドを抑制することが可能となる。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る樹脂成形品1を製造する製造装置100及び金型110の構成を模式的に示す説明図、図2は同樹脂成形品1及び金型110の構成を示す平面図、図3は同樹脂成形品1及び金型110を示す平面図、図4は同樹脂成形品1の一部構成を示す斜視図、図5は同樹脂成形品1の一部構成を示す斜視図である。なお、図1〜5中Eは地面、Fは樹脂材の流れ方向、Gはゲート方向、Pは油圧の流れ、Rは樹脂液の流れを、それぞれ示している。
図1に示すように、製造装置100は、射出成形装置101と、この射出成形装置101から射出される樹脂材が内部に圧入される金型110と、を備えている。
射出成形装置101は、例えばノルボルネン系モノマー及びメタセシス触媒を用いた樹脂材、さらに述べると、ジシクロペンタジエン樹脂やメチルテトラシクロデセン樹脂等のメタセシス反応(重合反応)行なうRIM射出成形(反応射出成形)が可能に形成されている。ここで、ジシクロペンタジエン樹脂を用いた例を説明する。
即ち、射出成形装置101は反応に与る複数(図1中2つ)の異なる樹脂材として、混合用樹脂原液等の樹脂液をそれぞれ貯留するタンク102と、これらタンク102の下流にそれぞれ接続された計量ポンプ103と、これら計量ポンプ103の下流の合流点に接続されたミキシングヘッド104とを備えている。なお、各タンク102に貯留させる樹脂液は、用いる樹脂材により適宜変更可能である。例えば、ジシクロペンタジエン樹脂を用いる場合には、一方のタンク102に触媒活化材と添加剤を有する樹脂液を、他方のタンク102に触媒、添加剤及び重合開始調節材を有する樹脂液等を貯留させる。
計量ポンプ103は、タンク102に貯留された液体を所定量下流に吐出することが可能に形成されている。
ミキシングヘッド104は、計量ポンプ103から吐出された各液体を混合させ、この混合樹脂材を金型に圧入可能に形成されているとともに、余分な液体を各タンク102に返送可能に形成されている。
金型110は、例えば2つ(又は複数)の金型110aと金型110bとが組み合わさることで樹脂成形品1の形状の中空部111がその内部に形成され、ミキシングヘッド104からの混合樹脂材を内部に圧入させるゲート112を備えている。また、金型110は、一方の金型110aが地面E等に固定部材113を介して固定されるとともに、他方の金型110bが油圧ポンプ114からの矢印Pに示すように油圧等により一方の金型110a側へ押圧可能に形成されている。
また、図2,3に示すように金型110は、その中空部111の、ゲート112の方向(樹脂圧入方向、以下「ゲート方向G」)に対して所定の角度を有して交差する部位(ベント部)の角部の一部を連続させる(面取りする)リブ部として、後述するリブ20又は曲面リブ17を有する形状に形成されている。なお、リブ部の角度は、ベント部の角度よりも小さい角度で形成されている。なお、ここでリブ20又は曲面リブ17等のリブ部を設けるベント部の所定の角度は、樹脂材の粘度や金型110の中空部111の各開口面積等により適宜設定可能であるが、本実施例では、一例として、ゲート方向Gに対して90度以上のものについて説明する。
詳しく述べると、リブ部は、金型110又は樹脂成形品1のある部位に、ゲート方向Gに沿って所定の角度を有するベント部が設けられた部位を連続させる(面取り又は一体に成形する)ものである。また、リブ部は、リブ部を設ける部位の間を、一方の部位(例えばゲート方向)に対して所定の角度(例えば45°前後)を有する面、又は、所定の半径を有する曲面にて渡す(連続させる)ことで形成されている。即ち、リブ20及び曲面リブ17は、2つの部位間を、所定の角度を有する面又は所定の半径を有する曲面にて連続させる。
次に、図2〜5を用いて、リブ20及び曲面リブ17を有する金型110及び樹脂成形品1の一例を説明する。
上述したように、金型110は、樹脂成形品1の形状にその中空部111が形成され、金型110の外側から中空部111へとゲート112を介して樹脂材が圧入可能に形成されている。なお、この中空部111は、樹脂成形品1と略同一形状に形成されているため、以下、樹脂成形品1としてその説明を省略する。なお、樹脂成形品1は、皿状のため、図2に示す樹脂成形品1が上方側、図3に示す樹脂成形品1が下方側として説明する。
樹脂成形品1は、例えばポンプのポンプケーシング等の圧力容器の一部として用いられ、RIM射出成形法によりジシクロペンタジエン樹脂により形成されている。また、樹脂成形品1は、円形皿状の皿部10と、皿部10の縁部11に設けられ、その外周部にボルト穴12が形成されたフランジ部13と、皿部10の底部(底面部)14の補強として設けられた補強壁15と、を備えている。
フランジ部13は、皿部10の下部側であって、ボルト穴12の周囲に設けられたボルト座面を受ける座部16を、ボルト穴12毎にそれぞれ有している。図3,4に示すように、座部16は、皿部10の外周側が、ボルト穴12及びボルト座面よりも大径の半円に形成されており、座部16の半円の端部と皿部10の縁部11の外周面とが曲面リブ17により連続して形成されている。
補強壁15は、例えば皿部10内側の底面部14の中心側から皿部10の縁部11内周面に向って放射状に複数設けられ、ゲート方向Gと直交及び交差する補強壁15の一部にゲート方向Gに沿って形成されたリブ20を有している。
リブ20は、図2,5に示すように、皿部10の底面部14、且つ、補強壁15のゲート112側から補強壁15の上端部まで、略45°の角度を有して連続して形成されている。なお、図2の右側(三時方向)に設けられた補強壁15のように、補強壁15のゲート112側の底面部14から補強壁15までリブ20と、このリブ20の補強壁15を中心として線対称、即ち補強壁15からゲート112と離間する方向の底面部14までのリブ20との2つを有する構成でもよい。
次に、このように構成された樹脂成形品1の製造方法を説明する。
樹脂液(樹脂材)の流れである矢印Fに示すように、まず、各タンク102にそれぞれ樹脂液を貯留させる。次に、所定量の各樹脂液を計量ポンプ103にて、ミキシングヘッド104に送り、各樹脂液をミキシングヘッド104で各樹脂液を混合させる。これら樹脂液は、混合されることで、メタセシス反応(開環重合)を起こし、液状のジシクロペンタジエン樹脂(以下「樹脂材」)として、金型110のゲート112へ所定の圧力で圧入されることとなる。なお、ここで、例えばジシクロペンタジエン樹脂の場合、開環メタセシス重合(ROM:Ring Opening Metathesis)として、環状オレフィンのメタセシス反応による重合反応が発生することとなる。
このとき、金型110は、樹脂材がゲート112から金型110内の中空部111に圧入されるとともに、矢印Pに示すように油圧ポンプ114からの油圧により、金型110bが金型110a側へ所定の圧力で押圧される。この状態で、例えば、金型110に熱を印加することで、樹脂材が硬化し、樹脂成形品1が成形されることとなる。なお、金型110のゲート112へと圧入する際に、圧入量が一定以上に達した場合には、ミキシングヘッド104から矢印Rに示すように、混合前の樹脂液が各タンクに返送される。
次に、図2〜5に基いて金型110(樹脂成形品1)内の樹脂材の流れを説明する。まず、樹脂材がゲート112から圧入されたら、ゲート112と連続しているフランジ部13の端部から樹脂材が流れ込む。次に、フランジ部13から皿部10へと樹脂材が流れるとともに、フランジ部13及び皿部10から座部16及び補強壁15へと樹脂が流れることとなる。
図4は図3のX部を拡大した斜視図であり、図4の樹脂材の流れFに示すように、座部16には、フランジ部13及び皿部10から樹脂材が流れ込む。フランジ部13から流れる樹脂材は、フランジ部13を移動し、座部16へ到達すると、略直角方向である座部16方向と、フランジ部13への2方向に移動することとなる。フランジ部13方向へ移動した樹脂材は、さらに次の座部16までフランジ部13を移動するとともに、その一部は皿部10へとながれることとなる。フランジ部13から座部16方向(略直角方向)へ移動した樹脂材は、座部16を移動し、フランジ部13又は皿部10へと移動する。
同様に、皿部10を流れる樹脂材は、皿部10の外周周辺を流れる樹脂材の一部が、矢印Fのように、座部16へと流れる。このとき、皿部10から座部16へと流れる際に、樹脂材の流れ方向Fに示すように曲面リブ17の形状に沿って流れることとなる。なお、座部16内部を移動した樹脂材は、フランジ部13及び皿部10へと流れることとなる。このように、フランジ部13及び皿部10を流れる樹脂材が座部16を移動することで、座部16に樹脂材が充満する。
図5は、図2のY部を拡大した斜視図であり、図5の樹脂材の流れFに示すように、補強壁15には、皿部10から樹脂材が流れ込む。樹脂材は、皿部10を移動し、リブ20が設けられた位置を流れると、皿部10をそのまま流れる樹脂材と、リブ20を流れる樹脂材とに分岐される。
リブ20を流れる樹脂材は、リブ20がゲート方向Gに対して所定の角度(図5中では45°)を有しているため、次第にその断面積(流路面積)が広くなる。このため、リブ20内部に広がりながら移動することとなる。リブ20を流れた樹脂材は、補強壁15へと到達すると、補強壁15の延設方向(Y部の補強壁15はゲート方向Gの直交方向)の2方向に分岐するとともに、皿部10方向及び補強壁15上端方向に分岐、即ち、補強壁15内部を充満させるように移動することとなる。
また、皿部10を流れる樹脂材が補強壁15に移動すると、皿部10を流れる樹脂材は、皿部10を流れる樹脂材と補強壁15を流れる樹脂材とに、その流れ方向が分岐する。
このように、皿部10を流れる樹脂材は、リブ20及び皿部10を介して補強壁15へ移動することで、補強壁15に樹脂材が充満する。なお、補強壁15へは、この他にも、フランジ部13側の縁部11から樹脂材が移動する流れもある。
また、図2に示すように、樹脂成形品1の3時の方向に設けられているリブ20のように、補強壁15を挟んで対向位置にそれぞれリブ20が形成されている場合には、一方のリブ20から補強壁15へ移動した樹脂材が、他方のリブ20を介して皿部10に移動することとなる。
このように構成された金型110及び樹脂成形品1とすることで、樹脂材が各構成品、本樹脂成形品1の形状でいうと、補強壁15及び座部16を移動する場合、リブ20及び曲面リブ17を介して移動することとなる。
液状の樹脂材は、その粘度は高く、流動抵抗が高くなる。また、金型110(樹脂成形品1)が、補強壁15や座部16等のゲート方向Gに対して角度を有する部位であるベント部を有し、且つ、ベント部の角度がゲート方向Gに対して大きくなると、そのベント部の流動抵抗が大きくなる。また、ベント部では、その出口の角部には乱流(渦)が発生し、その流れが遅くなる、又は、停滞することもある。特に、このような流動抵抗の増大や乱流の発生があると、樹脂材の内部に含まれる気泡が停滞する虞があり、このような気泡がある状態で樹脂材が硬化すると、その内部にボイドが発生することとなる。また、樹脂材の硬化の関係から、流動抵抗の相違から硬化速度の相違が発生することもある。
特に、RIM射出成形法等の複数の樹脂液を混合する場合には、樹脂液の混合時に、気泡がその内部に取り込まれる可能性が高く、又、重合反応により気泡が発生する場合もあるため、樹脂成形品1にボイドが発生する虞が高い。
例えば、図4に示す2点鎖線Sは、曲面リブ17を設けない場合の座部16と皿部10とのベント部を示しているが、このように、曲面リブ17を設けない場合には、そのベント部の角度は略90度となり、流動抵抗の増大及び渦の発生が起こる。
しかし、本発明の金型110及び樹脂成形品1によれば、各ベント部(補強壁15や座部16)において、リブ20及び曲面リブ17を設けることで、ベント部の角度を小さくすることが可能となり、流動抵抗が小さくすることが可能となる。
また、ベント部の角度を小さくすることで、ベント部に発生する乱流の発生をも防止することが可能となる。これらのことにより、気泡を停滞させることなく流動させることが可能となり、樹脂成形品1にボイドが発生することを防止することができる。
また、図2の樹脂成形品1の3時の方向に設けられているリブ20ように、補強壁15を挟んで対向位置にそれぞれリブ20を有する場合には、皿部10から補強壁15及び補強壁15から皿部10への移動の際に、それぞれのベント部の角度を小さくすることが可能となる。このため、より流動抵抗を小さくすることが可能となり、ボイドの発生を防止することが可能となる。
尚、ポンプケーシング等に用いる樹脂成形品1は、その構成及び使用上、許容応力(耐圧)が高い、即ち、強度を高くする必要がある。このため、皿部10に補強壁15を設け、耐圧を向上させている。このように、補強壁15にリブ20を設けることで、ボイドの発生を防止しつつ、強度を向上させることとなる。尚、強度設定や必要強度は、その製品により適宜設定する必要があるため、ここでは、その詳細な構成は省略する。
上述したような金型110及び樹脂成形品1によれば、リブ20及び曲面リブ17により、ベント部の角度を低減させることで、流動抵抗を低減させることが可能となる。また、流動抵抗を低減させることで樹脂材中に含まれる気泡の停滞を防止することが可能となり、さらに、ボイドの発生を防止し、樹脂成形品1の強度を向上することが可能となる。
なお、上述した樹脂成形品1の座部16には曲面リブ17を有する構成としているが、図4中の二点鎖線Tに示すように、直線のリブ17aを設けても同様の効果が得られる。また、座部16とフランジ部13との境目にリブ部を設けても良い。
次に上述した金型110及び樹脂成形品1の変形例を、図6を用いて説明する。
図6は上述した実施の形態の変形例に係る金型110A及び樹脂成形品1Aを示す図である。図6中の図1〜図5と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、金型110Aは、樹脂成形品1Aの形状にその中空部111Aが形成され、金型110Aの外側から中空部111Aへとゲート112を介して樹脂材を圧入可能に形成されている。
また、中空部111Aは、樹脂成形品1Aと略同一形状に形成されているため、以下、樹脂成形品1Aとして説明する。
樹脂成形品1Aは、例えば、マグカップの形状に形成されており、RIM射出成形法により形成されており、ジシクロペンタジエン樹脂でもポリウレタン樹脂でもよい。樹脂成形品1Aは、底部30を有し、底部30側から他方の端部側へ向ってその径が大となる円筒状のカップ部31と、カップ部31の周面(側面)に設けられた取手部32と、カップ部31と取手部32を掛け渡すリブ33とを備えている。
なお、取手部32は、例えばカップ部31の側面方向(軸心に沿った)に対して、90度以上角度を有するベント部を有して形成されている。
リブ33は、ゲート方向Gに対して、カップ部31の側面から取手部32のゲート112に一番近似する頂点部周辺まで略30°程度で連続するように形成されている。即ち、ゲート112側の取手部32とカップ部31との間は、リブ33により連続することとなる。尚、リブ33の幅は、取手部32と同等又はそれ以下の厚みに形成されている。
尚、金型110Aのゲート112は、底部30に位置する中空部111Aに連続するように、底部30の略中心に対して略直交する位置に形成されている。
このような構成の金型110A及び樹脂成形品1Aとすることで、上述した樹脂成形品1と同様に、取手部32への樹脂材の流入の際の樹脂材の流れFがリブ33を介して取手部32へと流れることとなる。このように、リブ33を介して取手部32へ樹脂材が流入することで、流入抵抗をリブにより低減させることが可能となり、ボイドの発生を低減するとともに、樹脂材の未充満の防止とすることが可能となる。
また、このようなカップの取手部32にリブ33を設けることで、取手部32とカップ部31との連続する断面積が向上するため、使用による経年劣化等や落下時の衝撃によるカップ部31と取手部32との破損を防止することとなり、取手部32の強度の向上にもなる。
また、マグカップ等、その外観が外部に露出した状態で使用する樹脂成形品1Aは、外部にボイドが発生すると、外観の低下になり、製品価値の低下、即ち不良品となる。このため、樹脂成形品1Aのボイドの発生を防止することで、樹脂成形品1Aの歩留まりを向上させることとなる。
次に図7〜9を用いて本発明の第2の実施の形態を説明する。
図7は本発明の第2の実施の形態に係る給水ポンプ50の一部切欠を示す側面図、図8は同給水ポンプ50のポンプケーシング60を示す正面図、図9は同ポンプケーシング60を示す背面図である。図7〜9中の図1〜図6と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、給水ポンプ50は、地面や給水装置等のベース部材に固定されるベース部51と、このベース部51上に固定されたポンプ部52と、ポンプ部52とボルトB等により固定され、その回転軸53をポンプ部52まで連通させたモータ部54と、を備えている。なお、このモータ部54は、DCモータ等が用いられるが、回転軸53を回転可能であれば、どのようなモータを用いてもよい。
ベース部51は、例えば鋳造や樹脂成形により形成され、接地部55と、この接地部55の上部に設けられ、ポンプ部52をボルトB等により固定可能な固定部56とが一体に形成されている。
ポンプ部52は、吸込口57と吐出口58を有するポンプケーシング60と、ポンプケーシング60を覆うことで、ポンプケーシング60内に空間を形成(閉塞)するポンプカバー61と、ポンプケーシング60に収納されたインペラ部62と、を備えている。なお、ポンプカバー61は、回転軸53が貫通する貫通穴を有し、この貫通穴内周に回転軸53が回転摺動可能な水密シールを有している。
図7,8に示すように、ポンプケーシング60は、ケーシング部(樹脂成形品)63と、ケーシング部63に設けられ、吸込口57を形成し、配管等と接続可能なテーパ螺子部82aを有する接続部材64と、接続部材64とケーシング部63との間に設けられた弁体65と、を備えている。また、ポンプケーシング60のケーシング部63と接続部材64とは、図8に示すように、ボルトBにより接続されている。
図7〜9に示すように、ケーシング部63は、上述した樹脂成形品1と同様の成形方法、例えばRIM射出成形法によりジシクロペンタジエン樹脂等のノルボルネン系モノマー及びメタセシス触媒を用いた樹脂材により成形されている。なお、ケーシング部63の金型については、ケーシング部63と略同一形状であって、ゲート方向Gの方向に対して交差する部位の少なくとも一部の、例えばボイドが発生し易い箇所にリブ20を有していればよく、上述した金型110と同様の成形を行なうため、その詳細な説明は省略する。
ケーシング部63は、円形皿状(又は椀状)の皿部67と、皿部67の縁部11に設けられ、その外周部にボルト穴12が形成されたフランジ部13と、皿部67の内側の底部(底面部)68の補強として設けられた複数の補強壁15と、を備えている。また、ケーシング部63は、皿部67の底面部68に設けられた開口部69と、この開口部69の周囲に複数設けられ、接続部材64と接続するためのボルトBの螺子山が形成されたインサートを装着するインサート孔70と、を備えている。なお、ここで、底部(底面部)68とは、ケーシング部63を重力方向に皿状となるように配置させた場合の底部であり、図7中では、図7に向って左側が底部となる。
補強壁15は、例えば皿部67内側の底面部68の中心側から皿部67の縁部11内周面に向って放射又は連続して複数設けられ、ゲート方向Gと直交及び交差する補強壁15の一部にゲート方向Gに沿って形成されたリブ20を有している。なお、リブ20は、成形時にボイドの発生が見込まれる補強壁15にだけに設けても良く、また、全ての補強壁15に設けても良い。本実施の形態では、図7に示すように、補強壁15であって、ゲート方向Gと略直角に交差する一点に設けている。
皿部67は、皿部67の内側底部68であって、開口部69の周囲には、開口部69の一部(図面7、9上では、吐出口57側)を覆うとともに、水の流れ方向Wを規制する流路壁71が設けられている。この流路壁71には、インペラ部62の吸込側の外径と略同一の内径が形成された出口部72が設けられている。流路壁71は、開口部69から出口部72までの流路が、途中ベントすることで、開口部69より出口部72が下方に位置する形状に成形されている。
また、流路壁71の内部には、流路壁71の内部であって、出口部72の端側から皿部67の内側底部67aへと連続する一対(2つ)の補強リブ73が形成されている。なお、この補強リブ73は、その形状及び数量は流路壁71が水の流れによる水流及び水圧に耐えられる強度となるよう、適宜設定されている。
また、皿部67は、皿部67の中心より吐出口58から離間する側(図7中、ベース部51側)にポンプ部52内の水抜きが可能な水抜きプラグ75が設けられる水抜孔76が設けられている。尚、水抜孔76は、皿部67から所定の高さ(水抜きプラグ75が嵌合する高さ)内側へ突出する突出部76aを有しており、この突出4部76aと流路壁71との間に、補強壁77が設けられている。
フランジ部13は、皿部67の下部側であって、ボルト穴12の周囲に設けられたボルト座面を受ける座部16を、ボルト穴12毎にそれぞれ有している。図8に示すように、座部16は、皿部67の外周側が、ボルト穴12及びボルト座面よりも大径の半円に形成されており、座部16の半円の端部と皿部67の縁部11の外周面とが曲面リブ17により連続して形成されている。また、フランジ部13の外周縁には、所定の高さ、開口部69側であってこの中心線方向に突出する縁部79を有しており、この縁部79と皿部67の外周面とは、皿部67の中心から放射状に広がる複数の補強壁80が設けられている。
接続部材64は、皿部67の外側底部67bの開口部69周囲に固定される基部81と、この基部81の略中央に設けられ、所定の距離突出し、その内周に例えばテーパ螺子部82aが形成された円筒状の接続部82と、を備えている。なお、接続部材64の基部81は、その外周縁に接続部82の中心線方向に突出する縁部83を有しており、この縁部83と接続部82とを渡す補強壁84が複数設けられている。
また、基部81の縁部83とボルトBの座面とは略同一の高さとなるように形成されている。接続部82の開口部69側の内周径は、開口部69の内周径よりも小さな径に形成されている。
接続部材64には、例えばベース部51から離間する側(図7中、上方側)に、接続部82内の空気抜き用のエア抜きプラグ86が設けられている。
弁体65は、ケーシング部63の開口部69に位置するとともに、その一部が基部81と開口部69周囲との間に挟持される狭持部89と、接続部82の開口部69側を覆う弁部90とを備えている。また、弁体65は、水の流れ方向Wに示すように、吸込口57側(上流側)から吸い込まれる水は、吐出口58側(下流側)に流すとともに、下流側から上流側への逆流を防止可能な逆止弁に形成されている。
インペラ部62は、回転軸53に挿入されるインペラ91と、このインペラ91を覆うガイドベーン92と、インペラ91をその中心線方向へ回転軸53から脱離することを防止するキャップ93とを備えている。
インペラ91は、樹脂で形成されており、円板状のベース91aと、このベース91aに形成された複数の羽根91bと、を備えている。
ガイドベーン92は、その中心側に設けられ、出口部72と嵌合し、その内部が開口する嵌合部92aと、インペラ91を覆うことで、ガイドベーン92とインペラ91との間に流路を形成するカバー部92bと、カバー部92bを補強する補強リブ92cと、を備えている。
このように構成された給水ポンプ50は、まず、モータ部54に例えば制御盤等から電力が供給されることでモータ部54が起動され、回転軸53が回転する。回転軸53が回転することで、ポンプ部52が駆動されることとなる。ポンプ部52が駆動すると、吸込口57から吸い込まれた水は、ポンプ部52により増圧されるとともに、ポンプ部52の吐出口58から水が吐出される。
即ち、回転軸53は、回転軸53に接続されたインペラ部62のインペラ91を回転させることとなる。インペラ部62は、インペラ91が回転することで、ガイドベーン92の嵌合部92aの開口から水が吸い込まれ、増圧されてガイドベーン92及びインペラ91の周端部から外部へと送られることとなる。
このように、ポンプ部52の駆動時には、ポンプ部52内部は水圧が増圧し、この増圧したポンプ部52内の水圧は、ポンプケーシング60及びポンプカバー61に加わることとなる。このため、ポンプ部52の各部品は、給水ポンプ50の使用圧力に耐え得る設計が適宜成されている。
ここで、ケーシング部63は、RIM射出成形により成形されている。このため、RIM射出成形により成形されたケーシング部63は、その内部にボイドが発生すると、強度が低下し、給水ポンプ50の使用圧力に耐えられない虞がある。しかし、ケーシング部63は、上述した第1の実施の形態に関わるリブ20と同等のリブ20を、ケーシング部63の補強壁15であって、金型形状及びボイドが発生すると思われる箇所にリブ20を設けている。
このように、ボイドが発生する箇所にリブ20を設けるだけで、製造時に樹脂の流れをスムースとし、ボイドの発生を防止するとともに、補強壁15をさらにリブ20により補強することが可能となる。これにより、ボイドの発生を抑制することが可能となり、ケーシング部63の強度向上にもなる。このため、ケーシング部63の強度低下を防止し、確実に使用圧力に耐えうる強度を有することとなる。なお、各補強壁15,77,80,84、リブ20、補強リブ73,92c及び他構成は、給水ポンプ50の使用状況により適宜設定可能となっている。
また、上述したようにRIM射出成形等により樹脂材を用いて必要強度を有する構成に成形されたケーシング部63を用いることで、その重量を低減させることが可能となる。即ち、給水ポンプ50を軽量とすることが可能となる。
また、ケーシング部63の製造においても、一度金型を製作すれば、金属材料を用いる場合と比較して、樹脂材料は、材料コストが低いため、ケーシング部63を成形する場合に、樹脂材料を用いて成形することで、材料コストを低減することが可能となる。即ち、量産時にあっては、製造コストを低減させることが可能となる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した樹脂成形品1、1A及びケーシング部63は、RIM射出成形法により、ジシクロペンタジエン樹脂又はポリウレタン樹脂により成形するとしたが、ナイロン樹脂であってもエポキシ樹脂であってもよい。即ち、成形する製品によって必要な強度や形状等の性能を有するものであればよく、また、RIM射出成形法でなく、他の射出成形法であっても適用できる。即ち、金型を用いて樹脂材を用いるもので、且つ、樹脂内に気泡が発生する虞があるものであれば適用可能である。
また、上述した樹脂成形品1、1Aは、それぞれポンプカバーやマグカップとして説明したが、これらに限定されるわけではなく、例えば、樹脂材により成形された灰皿や、PCのカバー等であってもよい。
また、上述したリブ20、33及び曲面リブ17は、金型110、110A及び樹脂成形品1、1Aの各位置に設けても良く、また、成形条件によっては、ボイドが発生しやすい箇所のみ設けてもよい。さらに、リブ部のゲート方向Gに対する面の角度及び曲面の半径は、適宜設定可能である。
この他、上述した給水ポンプ50は、インペラ部62を1つ設けるとしたが、これに限らず、複数のインペラを有する給水ポンプ50でもよい。また、補強壁15、77、80、84やリブ20等の形状や配置は、金型形状、成形方法、使用樹脂材料、ボイド発生位置、及び、構成品の形状により異なるものであり、上述した形状に限定されるものではない。このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る樹脂成形品の製造装置及び金型の構成を模式的に示す説明図。 同樹脂成形品及び金型の構成を示す平面図。 同樹脂成形品及び金型の構成を示す平面図。 同樹脂成形品の一部構成を示す斜視図。 同樹脂成形品の一部構成を示す斜視図。 本発明の変形例に係る樹脂成形品及び金型の構成を示す平面図。 本発明の第2の実施の形態に関わる給水ポンプの一部切欠を示す側面図。 同給水ポンプのポンプケーシングを示す正面図。 同ポンプケーシングを示す背面図。
符号の説明
1、1A…樹脂成形品、10…皿部、11…縁部、12…ボルト穴、13…フランジ部、14…底面部、15…補強壁、16…座部、17…曲面リブ、17a…リブ、20、33…リブ、30…底部、31…カップ部、32…取手部、50…給水ポンプ、 51…ベース部、52…ポンプ部、53…回転軸、54…モータ部、57…吸込口、58…吐出口、60…ポンプケーシング、61…ポンプカバー、62…インペラ部、63…ケーシング部、64…接続部材、65…弁体、67…皿部、67a…内側底部、67b…外側底部、68…底部、69…開口部、70…インサート孔、71…流路壁、72…出口部、73…補強リブ、73.92c…補強リブ、75…水抜きプラグ、76…水抜孔、76a…突出部、77、80、84…補強壁、81…基部、82…接続部、84…補強壁、86…エア抜きプラグ、89…狭持部、90…弁部、91…インペラ、92…ガイドベーン、93…キャップ、100…製造装置、101…射出成形装置、102…タンク、103…計量ポンプ、104…ミキシングヘッド、110、110A…金型、111、111A…中空部、112…ゲート、113…固定部材、114…油圧ポンプ、E…地面、F…樹脂材の流れ方向、G…ゲート方向、P…油圧の流れ、R…樹脂液の流れ、W…水の流れ。

Claims (6)

  1. 樹脂成形品を成形する金型であって、
    硬化前の樹脂材を圧入するゲートと、
    このゲートと連続して形成され、前記樹脂材が圧入される前記ゲートの方向に対して所定の角度を有するベント部を有する中空部と、
    前記ベント部の角部の少なくとも一部を、曲面又は前記ゲートの方向に対して前記ベント部の角度よりも小さい角度を有する面により面取りを行なうことで形成されたリブ部と、を備えることを特徴とする金型。
  2. 前記樹脂材は二種類以上の樹脂材を混合したものであることを特徴とする請求項1に記載の金型。
  3. 硬化前の樹脂材を金型に設けられたゲートから圧入することで成形される樹脂成形品であって、
    前記液状の樹脂材が圧入される前記ゲートの方向に対して所定の角度を有するベント部と、
    このベント部の角部の少なくとも一部を、曲面又は前記ゲートの方向に対して前記ベント部の角度よりも小さい角度を有する面により、前記ベント部と一体に成形されたリブ部と、を備えることを特徴とする樹脂成形品。
  4. 前記樹脂材は、二種類以上の樹脂材を混合したものであることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形品。
  5. 回転軸を有するモータ部と、
    前記モータ部の回転軸により駆動されるインペラを収納するポンプケーシングを有するポンプ部と、を備え、
    前記ポンプケーシングは、樹脂材を金型に設けられたゲートから圧入することで成形され、前記ゲートの方向に対して所定の角度を有するベント部の角部の少なくとも一部を、曲面又は前記ゲートの方向に対して前記ベント部の角度よりも小さい角度を有する面により、前記ベント部と一体に成形されたリブ部を有することを特徴とする給水ポンプ。
  6. 前記樹脂材は、二種類以上の樹脂材を混合したものであることを特徴とする請求項5に記載の給水ポンプ。
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