JP2009214263A - シェービングカッター、その製造方法、および歯車のシェービング加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯の剛性を高めたシェービングカッターおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】歯底部107から回転軸心側に延びる穴部108を形成し、穴部108が形成された後、歯先側から穴部108に亘ってセレーション溝103を歯面102上に形成する。
【選択図】図6
【解決手段】歯底部107から回転軸心側に延びる穴部108を形成し、穴部108が形成された後、歯先側から穴部108に亘ってセレーション溝103を歯面102上に形成する。
【選択図】図6
Description
本発明は、歯車の仕上げ加工に用いられるシェービングカッター、シェービングカッターの製造方法、およびシェービングカッターを用いた歯車のシェービング加工方法に関する。
一般に、自動車のトランスミッションなどに使用される高精度の歯車は、粗材をホブ切り加工して形成した被削歯車にシェービング加工を施すことによって仕上げられる。このようにトランスミッションなどに使用される歯車の精度を高めることで自動車の低振動化、低騒音化、低燃費化などが実現される。
上記シェービング加工は、シェービングカッターと被削歯車とを軸交差角を持たせた状態で噛合わせ、双方を回転させることにより発生する歯同士の横すべりを利用して被削歯車の歯面を微小切削して仕上げる加工形態である。
上記シェービングカッターは、高速度鋼等の硬質材料からなり、円板状材料の外周に等間隔に複数の歯が形成された歯車形状をしている。各歯の両歯面には、それぞれ歯先側から歯底側に延びるセレーション溝が歯幅方向に間隔をおいて複数形成されており、セレーション溝と、セレーション溝の間部であるランドとの交差稜線部が切刃として機能する。
シェービングカッターの歯底には、歯筋方向に延びる断面略円弧状の凹部が形成されている。このような凹部が形成されているのは、セレーション溝の加工方法に起因する。すなわち、セレーション溝の加工は、各歯面に櫛歯状の工具を歯先側から切り込ませて歯底側に送ることにより形成されるが、上記凹部は、この工具の先端がシェービングカッターに干渉することなく歯底側に抜け出す際の逃げ部とされる(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
ところで、シェービングカッターを用いて被削歯車に対してシェービング加工を施す際には、好適な切削状態を確保すべく、切削部位に大量の切削油が注がれることが多い。切削油の注油は、切削抵抗の減少、切削により生じる熱の冷却、切粉の切削部位からの排出などのために行われる。
特開2000−52146号公報
特開2005−205506号公報
特開平9−285915号公報
上記シェービングカッターの歯底には、歯筋方向に延びる断面略円弧状の凹部が形成されていることから、歯の剛性が低下するという問題があった。歯の剛性が低いと、シェービング加工中にシェービングカッターの歯が撓み易くなり、加工精度の悪化を招くおそれがある。
また、シェービング加工中に、シェービングカッターによる被削歯車の切削部位へ大量の切削油が注がれるが、当該切削部位は、シェービングカッターと被削歯車との噛合い点にあり、奥まった所にあることから、切粉を十分に排出しきれないという問題もあった。切粉の排出を十分に行うことができない場合、残存した切粉がシェービングカッターの切刃と被削歯車との間に噛み込んで加工精度の悪化を招くおそれがあるため、切粉の排出は十分になされることが望ましい。
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、歯の剛性を高めたシェービングカッターおよびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、シェービングカッターによる被削歯車の切削により発生する切粉を切削部位から十分に排出することを可能とした歯車のシェービング加工方法、この方法に用いられるシェービングカッター、およびこのシェービングカッターの製造方法を提供することをも目的とする。
上述の課題を解決するための手段として、本発明のシェービングカッターは、以下のように構成されている。すなわち、本発明のシェービングカッターは、セレーション溝を加工する工具の逃げ部を備えたシェービングカッターにおいて、前記逃げ部は、セレーション溝の歯底側から連続して回転軸心側に延在した穴部であることを特徴としている。なお、上記「回転軸心側に延在した穴部」とは、穴部の延在方向が正確に回転軸心に向いていることを意味するのではない。つまり、後述の作用効果を奏する限度において穴部の延在方向が回転軸心からずれていてもよい。
かかるシェービングカッターによれば、逃げ部が、歯筋方向に延びた断面略円弧状の凹部ではなく、上記穴部であるため、従来のものよりも歯の剛性を高めることができる。
また、穴部に回転軸心側から切削油を圧入して当該穴部の遠心側から切削油を吐出しつつ、被削歯車の切削を行えば、切削油はシェービングカッターの歯底部から吐出し、セレーション溝を加工する工具の先端側から供給される。このため、切削部位がシェービングカッターと被削歯車との噛合い点の奥まった所にあっても、十分に切粉を排出することが可能となる。
また、本発明のシェービングカッターは、次のように構成されていてもよい。すなわち、上記構成を備えるシェービングカッターにおいて、軸穴の内周面に周方向に形成された環状溝を備えており、前記穴部は、前記環状溝に連通していることを特徴としている。
本発明のシェービングカッターの製造方法は、歯底部から回転軸心側に延びる穴部を形成する穴部形成工程と、前記穴部が形成された後、歯先側から前記穴部に亘ってセレーション溝を歯面上に形成するセレーション溝形成工程と、を含むことを特徴としている。なお、「回転軸心側に延びる穴部」とは、穴部の延在方向が正確に回転軸心に向いていることを意味するのではない。つまり、後述の作用効果を奏する限度において穴部の延在方向が回転軸心からずれていてもよい。
かかるシェービングカッターの製造方法によれば、セレーション溝を加工する工具が歯の歯底側を切削する際に同工具の先端部が穴部内に入り込む。つまり穴部が工具の逃げ部として機能するため、工具の先端部をシェービングカッターへ干渉させることなくセレーション溝を形成することができる。しかも、このシェービングカッターの製造方法により製造されたシェービングカッターは、歯筋方向に延びた断面略円弧状の凹部を設ける必要がないことから、歯の剛性が高いものとなる。
本発明の歯車のシェービング加工方法は、上記何れかのシェービングカッターを用いた歯車のシェービング加工方法であって、前記シェービングカッターの前記穴部に回転軸心側から切削油を圧入して当該穴部の遠心側から切削油を吐出しつつ、被削歯車の切削を行うことを特徴としている。
かかる歯車のシェービング加工方法によれば、既述したように、切削部位がシェービングカッターと被削歯車との噛合い点の奥まった所にあっても、十分に切粉を排出することが可能となる。
本発明のシェービングカッターによれば、逃げ部が、歯筋方向に延びた断面略円弧状の凹部ではなく、セレーション溝の歯底側から連続して回転軸心側に延在した穴部であるため、従来のものよりも歯の剛性を高めることができる。
本発明のシェービングカッターの製造方法によれば、工具の先端部をシェービングカッターへ干渉させることなくセレーション溝を形成することができる。
本発明の歯車のシェービング加工方法によれば、十分に切粉を排出することが可能となる。
[シェービングカッターの構造]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に本発明の実施の形態に係るシェービングカッター100を示す。図1はシェービングカッター100の正面図、図2はシェービングカッター100の部分平面図、図3は、図2のA−A線断面図の一部である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に本発明の実施の形態に係るシェービングカッター100を示す。図1はシェービングカッター100の正面図、図2はシェービングカッター100の部分平面図、図3は、図2のA−A線断面図の一部である。
図1〜図3に示すように、シェービングカッター100は、円板状の材料の外周部分に複数個の歯101を有している。図2に示されるように、シェービングカッター100の各歯101は、所定のねじれ角を有し、歯面102上に、歯形に沿ってセレーション溝103が間隔をおいて形成されている。各歯101の歯面(ランド)102とセレーション溝103との稜部には、切刃104が形成されている。符号105は、シェービング加工装置の後述する支軸301を嵌入させる軸穴である。この軸穴105の内周面には、周方向に延在した環状溝106が形成されている。
シェービングカッター100には、さらに、各セレーション溝103の歯底側から連続して回転軸心側に延在した穴部108が形成されている。この穴部108は、環状溝106まで延びており、セレーション溝103の歯底部107と環状溝106とを連通している。なお、穴部108は、真直なものである必要なく、後述の作用効果を奏する限度において、湾曲、屈曲したものであってもよい。また、環状溝106を設けない場合は、穴部108は、非貫通穴であってもよい。このときの穴深さは後述する工具の逃げ部として機能する程度確保されていればよい。
[シェービングカッターの製造方法]
つぎに、上記シェービングカッター100の製造方法の一例について説明する。
つぎに、上記シェービングカッター100の製造方法の一例について説明する。
まず、円板状の材料に所定径の軸穴105が加工されたもの(以下、「粗材」という。)に対して、環状溝形成工程として、軸穴105の内周面に周方向に環状溝106を形成する。この環状溝106の形成は、例えば、旋盤により軸穴105の内周面にバイトを押し当てて切削することにより行われる。
つぎに、歯形成工程として、粗材の外周部に複数の歯101を所定のねじれ角を持たせて形成する。この歯101の形成は、例えば、ホブ切り加工、バイト切り加工、ピニオンカッタ切り加工などを施すことにより行われる。図4に、粗材に対して上記環状溝形成工程および歯形成工程における加工が施されたものの例を示す。
つぎに、穴部形成工程として、図5に示すように、歯底部107から回転軸心側に延びる穴部108を形成する。この穴部108の形成は、キリ穴加工などを施すことにより行われる。
歯形成工程および穴部形成工程の後、セレーション溝形成工程として、図6に示すように、歯先側から穴部108に亘ってセレーション溝103を歯面102上に形成する。ここで、セレーション溝103の形成は、例えば、歯面102に対してスロッタ加工を施すことにより行われる。このとき、スロッタのバイト(工具)201は歯先側から歯底側の穴部108に向かって移動しつつ歯面102を切削する。図6(c)に示すように、バイト201が歯101の歯底側を切削する際に同バイト201の先端部が穴部108内に入り込む。このため、バイト201の先端部を被削物であるシェービングカッター100へ干渉させることなくセレーション溝103を形成することができる。なお、図6(c)においては、バイト201として、同時に複数列のセレーション溝103を加工することができる櫛形のものが使用されている。
以上の全ての工程が完了すると図1〜図3に示したような形状のシェービングカッター100が出来上がる。その後、出来上がったシェービングカッター100に対して所定の熱処理が施され、更にコーディング処理、表面研削処理等が必要に応じて施される。
なお、セレーション溝形成工程は、歯形成工程および穴部形成工程の後に行われるが、その他の工程については順序が入れ替わってもよい。例えば、環状溝形成工程をセレーション溝形成工程の後に行ってもよい。
[歯車のシェービング加工方法]
つぎに、上記シェービングカッター100を用いた、歯車のシェービング加工方法について説明する。
つぎに、上記シェービングカッター100を用いた、歯車のシェービング加工方法について説明する。
図7に本発明の実施の形態におけるシェービング加工装置300を示す。このシェービング加工装置300は、シェービングカッター100、シェービングカッター100を支持する支軸301、この支軸301にギヤ302,303を介して回転駆動力を与える回転駆動軸304、被削歯車305を回転自在に支持するワーク支持台306などを備えている。
支軸301は、シェービングカッター100の軸穴105に嵌入されている。支軸301の先端側には、シェービングカッター100を挟持固定する挟持固定手段が設けられている。この挟持固定手段は、例えば図示するように、支軸301の途中位置に径方向外側へ延設されたフランジ部301a、支軸301の先端部の同心上に設けられた雄ねじ部301b、この雄ねじ部301bに対応する雌ねじ部307aが内側に形成された挟持具307を備えている。なお、支軸301にはギヤ303がスプライン嵌合により固設されている。
シェービングカッター100は、支軸301の先端側からフランジ部301aに当接するまで嵌め込まれ、挟持具307の雌ねじ部307aが支軸301の雄ねじ部301bにねじ込まれる。これにより、シェービングカッター100はフランジ部301aと挟持具307との間に挟持固定され、支軸301と一体に回転可能となる。なお、符号308は後述する切削油の漏出を防止するためのオーリング等のシール材である。
支軸301内には、油路301Xが形成されており、図示しない油圧ポンプ等の切削油供給手段によって、この油路301Xの基端側(図7中左側)から切削油が圧入される。油路301Xは、支軸301の軸方向に延在し、その下流側端部において径方向に屈曲して外径面に通じ、更にシェービングカッター100の環状溝106内に連通している。なお、環状溝106と支軸301の外周面との間の空間は、ほぼ密閉空間となっている。この空間より切削油が漏出しても、シール材308にて封止されるようになっている。
回転駆動軸304は、図示しない駆動源によって設定回転数にて回転駆動される。この回転駆動軸304には、支軸301に固設されたギヤ303に噛合したギヤ302がスプライン嵌合により固設されている。この回転駆動軸304の回転動力は、ギヤ302、303を介して支軸301に伝達され、支軸301を設定回転速度にて回転駆動させる。
ワーク支持台306は、テーブル309上に被削歯車305を回転自在に支持し、且つ、シェービングカッター100と被削歯車305とが所定の軸交差角を持つ状態で噛合うように設置されている。
なお、上記シェービング加工装置300において、環状溝106は全ての穴部108、・・・に連通したものであるが、環状溝を厚さ方向に間隔をおいて複数列(4箇所)設け、支軸301内の油路301Xを各列の環状溝に連通させてもよい。
以上に説明したシェービング加工装置300により被削歯車305に対してシェービング加工を施す場合は、図示しない駆動源の作動により回転駆動軸304を回転させ、これとともに支軸301およびシェービングカッター100を回転させる。同時に、切削油供給手段によって支軸301内の基端側から切削油を圧入供給する。
すると、切削油は、支軸301内の油路301X内を送給されて、シェービングカッター100の環状溝106を介して各穴部108,・・・内に回転軸心側から圧入される。そして、切削油は、各穴部108,・・・の遠心側の歯底部107から吐出する。このとき、シェービングカッター100の歯面102と被削歯車305の歯面とが互いに横すべりして、シェービングカッター100の切刃104によって被削歯車305の歯面が切削されるが、当該切削部位にシェービングカッター100の歯底部107から吐出した切削油が供給される。切削油はシェービングカッター100の歯底部107から吐出し、スロッタのバイト201の先端側から供給されるため、切削部位がシェービングカッター100と被削歯車305との噛合い点の奥まった所にあっても十分に切粉を排出することが可能となる。これにより、残存する切粉による加工精度の悪化が防止される。
本発明は、歯車の仕上げ加工に用いられるシェービングカッター、シェービングカッターの製造方法、およびシェービングカッターを用いた歯車のシェービング加工方法に適用可能である。
100 シェービングカッター
101 歯
102 歯面
103 セレーション溝
105 軸穴
106 環状溝
107 歯底部
108 穴部
300 シェービング加工装置
305 被削歯車
101 歯
102 歯面
103 セレーション溝
105 軸穴
106 環状溝
107 歯底部
108 穴部
300 シェービング加工装置
305 被削歯車
Claims (4)
- セレーション溝を加工する工具の逃げ部を備えたシェービングカッターにおいて、
前記逃げ部は、セレーション溝の歯底側から連続して回転軸心側に延在した穴部であることを特徴とするシェービングカッター。 - 請求項1に記載のシェービングカッターにおいて、
軸穴の内周面に周方向に形成された環状溝を備えており、
前記穴部は、前記環状溝に連通していることを特徴とするシェービングカッター。 - 歯底部から回転軸心側に延びる穴部を形成する穴部形成工程と、
前記穴部が形成された後、歯先側から前記穴部に亘ってセレーション溝を歯面上に形成するセレーション溝形成工程と、
を含むことを特徴とするシェービングカッターの製造方法。 - 請求項1又は2に記載のシェービングカッターを用いた歯車のシェービング加工方法であって、
前記シェービングカッターの前記穴部に回転軸心側から切削油を圧入して当該穴部の遠心側から切削油を吐出しつつ、被削歯車の切削を行うことを特徴とする歯車のシェービング加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008062523A JP2009214263A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | シェービングカッター、その製造方法、および歯車のシェービング加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008062523A JP2009214263A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | シェービングカッター、その製造方法、および歯車のシェービング加工方法 |
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JP2009214263A true JP2009214263A (ja) | 2009-09-24 |
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Family Applications (1)
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JP2008062523A Pending JP2009214263A (ja) | 2008-03-12 | 2008-03-12 | シェービングカッター、その製造方法、および歯車のシェービング加工方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2009214263A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110355427A (zh) * | 2019-07-19 | 2019-10-22 | 重庆交通大学 | 剃齿刀 |
-
2008
- 2008-03-12 JP JP2008062523A patent/JP2009214263A/ja active Pending
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CN110355427A (zh) * | 2019-07-19 | 2019-10-22 | 重庆交通大学 | 剃齿刀 |
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