JP2009214020A - 高速フレーム溶射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な溶射皮膜を効率よく得ることができる高速フレーム溶射装置を提供する。
【解決手段】高速フレーム溶射装置1は、燃焼室2で生成された燃焼炎を、先端部から高速で噴射する燃焼炎噴射手段3と、燃焼炎に粉末状の溶射材料を供給する溶射材料供給手段4とを備える。燃焼炎噴射手段3は、燃焼炎を、燃焼炎噴射手段3の外部で軸線3aに向かって集束させるように噴射する。溶射材料供給手段4は、溶射材料を、集束された燃焼炎の後方から燃焼炎に供給する。燃焼炎噴射手段3は、燃焼室2で生成された燃焼炎を案内し、先端部に開口する噴射口31aから噴射する噴射経路31を複数備え、複数の噴射経路31は、燃焼炎噴射手段3の軸線3aの周囲に配置され、各噴射経路31は、先端が燃焼炎噴射手段3の外部で軸線3aを指向するように傾斜して配置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属、サーメット、セラミックス等からなる粉末状の溶射材料を燃焼炎により溶融し射出する高速フレーム溶射装置に関するものである。
一般的に、金属、サーメット、セラミックス等からなる粉末状の溶射材料を燃焼炎により溶融し射出する溶射技術では、粒径がミクロンオーダー又はナノオーダーである微粉末の溶射材料を高速で溶射することにより、該溶射材料の物性変化がほとんどなく、極めて高密度で均一な組織を有する良好な溶射皮膜が得られること、従来溶射が困難であるとされてきた高融点材料からなる溶射皮膜を得られることが知られている。従って、微粉末の溶射材料を高速で溶射することができる高速フレーム溶射装置が求められる。
従来、図5に示すように、高速フレーム溶射装置101として、燃料を酸素含有気体と混合し燃焼させて燃焼炎Fを生成する燃焼室102と、燃焼室102で生成された燃焼炎Fを、先端部に設けられた噴射口103aから高速で噴射する燃焼炎噴射手段103と、燃焼炎噴射手段103を通過する燃焼炎Fに、溶射材料を供給する溶射材料供給手段104を備えるものが知られている。前記溶射材料供給手段104は、溶射材料を、燃焼炎Fの後方から該燃焼炎Fに供給するように構成されている。
図5に示す装置101では、燃焼室102で生成された燃焼炎Fは、燃焼炎噴射手段103により、該燃焼炎Fの後方から供給された溶射材料を溶融し、溶融した該溶射材料とともに噴射口103aから外部へ高速噴射される。図5に示す装置101によれば、燃焼炎噴射手段103を通過する燃焼炎により溶射材料の個々の粉末粒子を溶融し、射出することができる。また、図5に示す装置101によれば、溶射材料の個々の粉末粒子が燃焼炎Fの中を通過するので、均一な組織の溶射組織を得ることができ、付着効率も良好である。
しかし、図5に示す装置101によれば、溶射材料が燃焼炎噴射手段103を通過する燃焼炎Fにより溶融されることから、溶融された溶射材料が燃焼炎噴射手段103等の装置101の内部に付着するスピッティングが発生するという問題がある。前記スピッティングは、溶射材料の粒径が小さい場合や溶射材料が低融点材料である場合に、特に発生しやすいことが知られている。
そこで、前記問題を解決するために、図6に示すように、燃焼室112と、燃焼室112に連通し、燃焼室112で生成された燃焼炎Fを、先端部に設けられた噴射口113aから高速で噴射する燃焼炎噴射手段113と、噴射口113aから噴射された燃焼炎Fに対して側方から溶射材料を供給する溶射材料供給手段114と、空気流通経路115aを流通させた圧縮空気を噴射口113aの外周側から噴出する空気噴出手段115とを備える高速フレーム溶射装置111が提案されている(特許文献1参照)。前記燃焼炎噴射手段113の先端に筒状体116が連結されていて、前記溶射材料供給手段114は、該筒状体116の内周面から内方に突出して設けられた供給口114aから、溶射材料を供給するように構成されている。
図6に示す装置111では、空気噴出手段115により圧縮空気が噴出されて、筒状体116の内周側に筒状のエアートンネルTが形成される。燃焼室112で生成された燃焼炎Fは、燃焼炎噴射手段113に案内されて噴射口113aから筒状体116の内周側へ噴射され、前記エアートンネルTの内周側を通過する。エアートンネルTの内周側を通過する前記燃焼炎Fは、溶射材料供給手段114の供給口114aから供給された溶射材料を溶融し、溶融した溶射材料とともに筒状体116の先端から外部へ噴射される。
図6に示す装置111によれば、筒状体116の内周側に形成されたエアートンネルTにより、溶射材料を含む燃焼炎Fが筒状体116の内周面に直接接触することはなく、該内周面におけるスピッティングの発生を防止することができる。
しかしながら、図6に示す装置111によれば、燃焼炎Fの側方から燃焼炎Fに供給された溶射材料は、該燃焼炎Fに弾き返されて該燃焼炎Fの中に入りにくく、十分なエネルギーを受けられないので、均一な組織を有する溶射皮膜を得ることができず、付着効率も良好でないという不都合がある。
特開2004−131828号公報
本発明は、かかる不都合を解消して、良好な溶射皮膜を効率よく得ることができる高速フレーム溶射装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明は、燃料を酸素含有気体と混合し燃焼させて燃焼炎を生成する燃焼室と、該燃焼室に連通し、該燃焼室で生成された該燃焼炎を、先端部から高速で噴射する燃焼炎噴射手段と、該燃焼炎噴射手段から噴射された該燃焼炎に、粉末状の溶射材料を供給する溶射材料供給手段とを備える高速フレーム溶射装置において、該燃焼炎噴射手段は、該燃焼炎を、該燃焼炎噴射手段の外部で該燃焼炎噴射手段の軸線に向かって集束させるように噴射し、該溶射材料供給手段は、該溶射材料を、集束された該燃焼炎の後方から該燃焼炎に供給することを特徴とする。
本発明によれば、前記燃焼室で前記燃料が前記酸素含有気体と混合されて燃焼され、燃焼炎が生成される。生成された前記燃焼炎は、前記燃焼炎噴射手段により、前記先端部から、該燃焼炎噴射手段の外部で該燃焼炎噴射手段の軸線に向かって集束されるように、高速で噴射される。高速で噴射された前記燃焼炎は、前記燃焼炎噴射手段の外部で前記軸線に向かって集束され、高エネルギーとなる。前記溶射材料供給手段により、前記溶射材料が、前記燃焼炎噴射手段の外部で集束された前記燃焼炎の後方から該燃焼炎に供給される。集束され高エネルギーとなった前記燃焼炎は、後方から供給された前記溶射材料を溶融し、溶融した該溶射材料とともに前方に噴射される。
本発明においては、前記燃焼炎噴射手段により高速で噴射された燃焼炎は、前記軸線に向かって集束されて高エネルギーとなるので、高融点材料からなる溶射材料をも溶融することができる。また、前記燃焼炎噴射手段により高速で噴射された燃焼炎は、集束されることにより拡散が抑制されるので、前記溶射材料を効率よく溶融することができる。
また、本発明によれば、前記溶射材料が高速フレーム溶射装置の外部で溶融されるので、スピッティングの発生を防ぐことができる。したがって、通常粒径及び通常融点の材料のみならず、粒径がミクロンオーダー又はナノオーダーである微粉末の溶射材料や低融点材料からなる溶射材料であっても、スピッティングの発生なしに溶射することが可能である。
また、本発明においては、前記溶射材料供給手段は、前記溶射材料を、集束された前記燃焼炎の後方から該燃焼炎に供給するように構成されており、該燃焼炎の圧力に相当する背圧を受けない。したがって、本発明によれば、該燃焼炎に前記溶射材料を低圧で供給することができる。また、本発明によれば、前記構成により、集束された前記燃焼炎の後方から前記燃焼炎に供給された前記溶射材料は、該燃焼炎に弾き返されることなく該燃焼炎の中に入り込み、十分なエネルギーを受けることができる。
以上により、本発明によれば、良好な溶射皮膜を得ることができ、該溶射皮膜の付着効率を良好にすることができる。
本発明において、前記燃焼炎噴射手段は、前記燃焼室で生成された該燃焼炎を案内し、先端部に開口する噴射口から噴射する噴射経路を複数備え、複数の該噴射経路は、該燃焼炎噴射手段の前記軸線の周囲に配置され、各該噴射経路は、先端が該燃焼炎噴射手段の外部で該軸線を指向するように傾斜して配置されていることが好ましい。前記構成により、複数の前記噴射経路の前記噴射口から高速で噴射された前記燃焼炎は、前記燃焼炎噴射手段の外部で前記軸線に向かって集束されて、高エネルギーとなり、該燃焼炎の後方から供給された前記溶射材料を溶融することができる。
このとき、前記複数の噴射経路の数は任意であるが、3本以上かつ12本以下であることが好ましい。前記複数の噴射経路が3本未満の場合には、前記燃焼炎を集束させることが困難になることがあり、12本を超える場合には、製造が困難である。
また、本発明においては、前記溶射材料供給手段は、前記溶射材料を、前記燃焼炎噴射手段の側方から、前記複数の噴射経路の間隙を通って、該燃焼炎噴射手段の軸線部に案内する第1の供給経路と、該軸線部に案内された該溶射材料を、該燃焼炎噴射手段の該軸線に沿って、集束された前記燃焼炎の後方から該燃焼炎に供給する第2の供給経路とを備えることが好ましい。前記構成によれば、前記第1の供給経路及び第2の供給経路が前記燃焼室の内部を貫通せず、該第1の供給経路が前記噴射経路に接触しない構成となっているので、該第1の供給経路及び該第2の供給経路におけるスピッティングの発生を防ぐことができる上に、該第1の供給経路及び該第2の供給経路を製造容易である。
また、本発明において、前記第2の供給経路の周囲を冷却する冷却手段を備えることが好ましい。前記冷却手段によれば、前記溶射材料が前記第1の供給経路及び前記第2の供給経路を介して前記燃焼炎の後方に供給される際に、該溶射材料を融点未満の温度に冷却することができ、スピッティングの発生を防ぐことができる。
また、本発明において、前記溶射材料の溶融雰囲気を制御する雰囲気ガスを、前記燃焼炎噴射手段の前記軸線に沿って、前記溶射材料に供給する雰囲気ガス供給手段を備えることが好ましい。前記構成により、前記雰囲気ガス供給手段は、該溶射材料に供給する前記雰囲気ガスにより、該溶射材料に好適な溶融雰囲気に制御することができる。例えば、前記溶射材料が高融点材料の場合には、前記雰囲気ガスとして例えばアセチレンを用いることにより、該溶射材料を高温の雰囲気で溶融させることができる。また、前記溶射材料が酸化を嫌う材料の場合には、前記雰囲気ガスとして例えば窒素を用いることにより、該溶射材料を還元雰囲気で溶融させることができる。さらに、前記溶射材料が酸化物となることが好ましい材料の場合には、前記雰囲気ガスとして例えば空気を用いることにより、該溶射材料を酸化雰囲気で溶融させることができる。
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態の高速フレーム溶射装置の説明的断面図である。図2は図1に示す高速フレーム溶射装置の基端部の正面図である。図3は図1に示す高速フレーム溶射装置における燃焼炎噴射手段の先端部の正面図である。図4は図1に示す高速フレーム溶射装置の作動説明図である。
図1に示す本実施形態の高速フレーム溶射装置1は、燃焼炎を生成する燃焼室2と、燃焼室2の先端部に連通し、燃焼室2で生成された燃焼炎を先端部から外部へ高速で噴射する燃焼炎噴射手段3と、燃焼炎噴射手段3から噴射された燃焼炎に粉末状の溶射材料を供給する溶射材料供給手段4とを備える。燃焼室2及び燃焼炎噴射手段3は、円筒体からなる本体ケース5の内部に収容されている。本体ケース5は、燃焼室2を収容する部分に、内周面と燃焼室2の外周面との間の空間からなるウォータージャケット5aを有している。本体ケース5は、燃焼炎噴射手段3を収容する部分が燃焼炎噴射手段3の外周面に密接し、気密性が保持されている。また、本体ケース5は、上部に収納用の取付け部5bを備える。
燃焼室2は、例えば100ミリリットルの容積を有する銅製の円筒体からなり、先端側の開口部2aは基端側から先端側に向かって縮径していて、基端側の開口部2bは閉塞部材21により閉塞されている。
燃焼炎噴射手段3は、例えば銅製の円筒体からなり、燃焼室2で生成された燃焼炎を案内して、先端部に開口する噴射口31aから噴射する直線状の噴射経路31を複数備える。複数の噴射経路31は、燃焼炎噴射手段3の中心軸3aの周囲に配置されている。各噴射経路31は、先端が燃焼炎噴射手段3の外部で中心軸3aを指向するように傾斜して配置されている。本実施形態では、6本の噴射経路31が、燃焼炎噴射手段3の中心軸3aを中心とする同一円周上に互いに等間隔に配置されている。
溶射材料供給手段4は、燃焼炎噴射手段3の側方から、複数の噴射経路31の間隙を通って、燃焼炎噴射手段3の中心軸部まで径方向に貫通する第1の材料供給経路41と、該第1の材料供給経路41に連通するとともに該燃焼炎噴射手段3の中心軸3aに沿って延設され、材料供給口42aが燃焼炎噴射手段3の先端面に開口する第2の材料供給経路42とを備える。本実施形態では、2本の第1の材料供給経路41が同一直線上に配置され、各第1の材料供給経路41の端部で第2の材料供給経路42に連通している。
また、高速フレーム溶射装置1は、冷却水を流通させることにより第2の材料供給経路42の周囲を冷却する冷却手段6を備える。図1に示す冷却手段6は、本体ケース5の先端部を径方向に貫通して設けられた給水口61に連通し、燃焼炎噴射手段3の周縁部に周方向に形成された第1の水供給経路62と、第1の水供給経路62に連通して燃焼炎噴射手段3の周縁部に中心軸3aと平行に延設され、燃焼炎噴射手段3の基端部に開口する複数の第2の水供給経路63とからなる。第2の水供給経路63は、本体ケース5と燃焼室2の外周面との間のウォータージャケット5aを介して、本体ケース5の基端部を径方向に貫通して設けられた排水口64に連通している。本実施形態では、第1の水供給経路62にそれぞれ連通する20本の第2の水供給経路63が、燃焼炎噴射手段3の中心軸3aを中心とする同一円周上に配置されている。
図2に示す閉塞部材21は、燃料を燃焼室2に供給する燃料供給経路22と、酸素含有気体を燃焼室2に供給する酸素ガス供給経路23と、燃料と酸素含有気体との混合気体に着火させる点火プラグ24aが装着される点火プラグ装着部24と、燃焼室2の内部の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)が装着される圧力センサ装着部25とを備える。各経路22,23及び各装着部24,25は、先端が燃焼室2の内部で中心軸3aを指向するように傾斜して配置されている。
さらに、高速フレーム溶射装置1は、溶射材料供給手段4により供給される溶射材料に雰囲気ガスを供給する雰囲気ガス供給経路7を備える。図3に示す雰囲気ガス供給経路7は、燃焼炎噴射手段3の側方から、複数の噴射経路31の間隙を通って、燃焼炎噴射手段3の中心軸部まで径方向に貫通し、さらに第2の材料供給経路42に連通している。本実施形態では、2本の雰囲気ガス供給経路7が同一直線上に配置され、各雰囲気ガス供給経路7の端部で第2の材料供給経路42に連通している。
次に、図4を参照して、本実施形態の高速フレーム溶射装置1の作動について説明する。まず、燃焼室2の内部に、例えば燃料としての灯油を、燃料供給経路22を介して、0.89〜1.44MPaで1時間当たり18〜24リットル供給するとともに、例えば酸素含有気体としての純酸素を、酸素ガス供給経路23を介して、0.96〜1.5MPaで1分間あたり600〜1200リットル供給すると、該灯油と該純酸素とが混合して混合気体となる。前記混合気体が所定の圧力に達した後に、点火プラグ24aにより例えば6000Vの電圧を印加して該混合気体に着火すると、該混合気体が燃焼されて燃焼炎Fが生成される。
また、冷却手段6により、1分間あたり32〜36リットルの冷却水が給水口61に供給され、該冷却水が第1の水供給経路62と第2の水供給経路63とウォータージャケット5aとを流通し、排水口64から排出されることにより、第2の材料供給経路42の周囲が冷却される。このとき、燃焼室2の周囲も冷却され、燃焼室2の過熱が防止される。
生成された前記燃焼炎Fは、複数の噴射経路31に案内され、噴射口31aから例えば0.54〜0.83MPaの圧力といった高速で噴射される。高速で噴射された燃焼炎Fは、燃焼炎噴射手段3の外部で中心軸3aに向かって集束されて直進する。集束されて直進する前記燃焼炎Fは、高エネルギーになるとともに拡散が抑制される。そして、溶射材料供給手段4により、粉末状の溶射材料が、第1の材料供給経路41及び第2の材料供給経路42を介して材料供給口42aから供給され、燃焼炎噴射手段3の外部で集束された前記燃焼炎Fの後方から該燃焼炎Fに供給される。このとき、材料供給口42aは、燃焼炎Fの圧力に相当する背圧を受けない。集束され高エネルギーとなった前記燃焼炎Fは、後方から供給された前記溶射材料を溶融し、溶融した該溶射材料とともに前方に噴射される。
また、必要に応じて、雰囲気ガス供給経路7により、雰囲気ガスが第2の材料供給経路42を介して溶射材料とともに燃焼炎Fの後方から該燃焼炎Fに供給される。前記燃焼炎Fに供給された雰囲気ガスにより、溶射材料の溶融雰囲気が制御される。
本実施形態の高速フレーム溶射装置1によれば、複数の噴射経路31の噴射口31aから高速で噴射された燃焼炎Fは、燃焼炎噴射手段3の外部で集束されて高エネルギーになり、溶射材料供給手段4により該燃焼炎Fの後方から供給された溶射材料を、高速フレーム溶射装置1の外部で溶融する。したがって、高速フレーム溶射装置1では、高融点材料からなる溶射材料をも効率よく溶射することができる上に、通常粒径及び通常融点の材料のみならず、粒径がミクロンオーダー又はナノオーダーである微粉末の溶射材料や低融点材料からなる溶射材料であっても、スピッティングの発生なしに溶射することが可能である。
以上により、本実施形態の高速フレーム溶射装置1によれば、良好な溶射皮膜を得ることができ、該溶射皮膜の付着効率を良好にすることができる。
また、本実施形態の高速フレーム溶射装置1では、冷却手段6により第2の材料供給経路42の周囲が冷却されるので、該第2の材料供給経路42を介して供給される溶射材料を融点未満の温度に冷却する。したがって、高速フレーム溶射装置1によれば、第2の材料供給経路42におけるスピッティングの発生を防ぐことができる。
また、本実施形態の高速フレーム溶射装置1では、雰囲気ガス供給経路7により、雰囲気ガスを溶射材料に供給する。本実施形態では、雰囲気ガス供給経路7は、第2の材料供給経路42に連通する構成となっているが、第2の材料供給経路42に連通する代わりに、第2の材料供給経路42と平行に延設され、燃焼炎噴射手段3の先端部に開口する第2の雰囲気ガス供給経路(図示せず)に連通し、該第2の雰囲気ガス供給経路を介して、集束された燃焼炎Fの後方から該燃焼炎Fに供給された溶射材料に、雰囲気ガスを供給するようにしてもよい。
また、本実施形態では、複数の噴射経路31は、燃焼炎噴射手段3の中心軸3aの周囲に配置されているとしたが、必ずしも中心軸3aの周囲でなくてよく、該燃焼炎噴射手段3の軸線の周囲に配置されるようにしてもよい。
また、噴射経路31は、3本以上かつ12本以下であることが好ましく、さらに4本以上かつ6本以下であることが望ましく、本実施形態では6本となっている。噴射経路31が3本未満の場合には、燃焼炎Fを集束させることが困難になることがあり、12本を超える場合には、製造が困難である。また、噴射経路31が4本以上かつ6本以下である場合には、集束された燃焼炎Fを確実に直進させることができる上に、複数の噴射経路31の間隙を通る第1の材料供給経路41及び雰囲気ガス供給経路7を容易に製造することができる。
本実施形態では、燃料として灯油を用いたが、炭化水素を含む他の物質を用いてもよく、例えば軽油や可燃性ガスを用いることができる。
また、本実施形態では、酸素含有気体として純酸素を用いたが、純酸素に代えて空気を用いてもよい。
また、本実施形態では、溶射材料として、金属、サーメット、セラミックス等からなる種々の材料を用いることができる。
また、本実施形態では、雰囲気ガスとして、溶射材料や溶融条件等に合わせて適宜変更することができる。例えば、溶射材料が高融点材料の場合には、雰囲気ガスとして例えばアセチレンを用いることにより、該溶射材料を高温の雰囲気で溶融させることができる。また、溶射材料が酸化を嫌う材料の場合には、雰囲気ガスとして例えば窒素を用いることにより、該溶射材料を還元雰囲気で溶融させることができる。さらに、溶射材料が酸化物となることが好ましい材料の場合には、雰囲気ガスとして例えば空気を用いることにより、該溶射材料を酸化雰囲気で溶融させることができる。
本実施形態の高速フレーム溶射装置の説明的断面図。 図1に示す高速フレーム溶射装置の基端部の正面図。 図1に示す高速フレーム溶射装置の燃焼炎噴射手段の先端部の正面図。 図1に示す高速フレーム溶射装置の作動説明図。 従来技術の高速フレーム溶射装置の作動説明図。 従来技術の高速フレーム溶射装置の作動説明図。
符号の説明
1…高速フレーム溶射装置、 2…燃焼室、 3…燃焼炎噴射手段、 3a…軸線、 4…溶射材料供給手段、 6…冷却手段、 7…雰囲気ガス供給手段、 31…噴射経路、 31a…噴射口、 41…第1の供給経路、 42…第2の供給経路、 F…燃焼炎。

Claims (6)

  1. 燃料を酸素含有気体と混合し燃焼させて燃焼炎を生成する燃焼室と、該燃焼室に連通し、該燃焼室で生成された該燃焼炎を、先端部から高速で噴射する燃焼炎噴射手段と、該燃焼炎噴射手段から噴射された該燃焼炎に、粉末状の溶射材料を供給する溶射材料供給手段とを備える高速フレーム溶射装置において、
    該燃焼炎噴射手段は、該燃焼炎を、該燃焼炎噴射手段の外部で該燃焼炎噴射手段の軸線に向かって集束させるように噴射し、
    該溶射材料供給手段は、該溶射材料を、集束された該燃焼炎の後方から該燃焼炎に供給することを特徴とする高速フレーム溶射装置。
  2. 前記燃焼炎噴射手段は、前記燃焼室で生成された該燃焼炎を案内し、先端部に開口する噴射口から噴射する噴射経路を複数備え、
    複数の該噴射経路は、該燃焼炎噴射手段の前記軸線の周囲に配置され、
    各該噴射経路は、先端が該燃焼炎噴射手段の外部で該軸線を指向するように傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1記載の高速フレーム溶射装置。
  3. 前記複数の噴射経路は、3本以上かつ12本以下であることを特徴とする請求項2記載の高速フレーム溶射装置。
  4. 前記溶射材料供給手段は、前記溶射材料を、前記燃焼炎噴射手段の側方から、前記複数の噴射経路の間隙を通って、該燃焼炎噴射手段の軸線部に案内する第1の供給経路と、該軸線部に案内された該溶射材料を、該燃焼炎噴射手段の該軸線に沿って、集束された前記燃焼炎の後方から該燃焼炎に供給する第2の供給経路とを備えることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の高速フレーム溶射装置。
  5. 前記第2の供給経路の周囲を冷却する冷却手段を備えることを特徴とする請求項4記載の高速フレーム溶射装置。
  6. 前記溶射材料の溶融雰囲気を制御する雰囲気ガスを、前記燃焼炎噴射手段の前記軸線に沿って、前記溶射材料に供給する雰囲気ガス供給手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の高速フレーム溶射装置。
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