JP2009209946A - 緩み止めナット - Google Patents

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Abstract

【課題】板バネの反転などと言った予期しない挙動による弊害を防止することができ、また、締め付け時に要する回転トルクに比して、緩み方向への回転トルクの方が大きくなるようにした緩み止めナットの提供を図る。
【解決手段】ナット本体11と、このナット本体11の座面15と反対側の開放端面16に設けられた弾性部材21とを備える。弾性部材21は、ナット本体11とボルトとの螺合によって弾性変形する可動部22と、この可動部22の基端側に設けられた固定部23とを備える。可動部22は、ナット本体11のネジ孔の略周方向に沿って1周未満の周方向長さに渡って配位され、且つ、基端から先端に向かってネジの巻き方向nに対して逆方向に伸びるものであると共に、先端側が基端側より径内方向に位置している。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、緩み止めナットに関するものである。
従来より、ネジ孔を備えたナット本体と、このナット本体端面に設けられた弾性部とを備え、この弾性部がナット本体に螺合するボルトを付勢することによって、緩み止めをなす緩み止めナットにおいては、種々の提案がなされている。これら従来の緩み止めナットは、ナット本体と一体に形成された弾性部を備えたもの(特許文献1)と、ナット本体と別体に形成された弾性部を備えたもの(特許文献2〜7)に大別し得る。
前者(特許文献1)にあっては、弾性部とナット本体とが一体であり、ナットの機能を満足する上での素材の制約を受けるため、弾性部の素材にバネ弾性の大きなものを使用することができず、また、弾性部の加工が困難であるという課題を有する。
後者(特許文献2〜7)にあっては、弾性部とナット本体とが別体であるため、ナット本体とは別体の素材で弾性部を形成することができ、弾性部に最適な素材を選択でき、また、弾性部の加工が比較的容易であるという特徴がある。
この別体に形成するものとしては、特許文献2〜4に示されるように、弾性部に板バネを用いたものが知られている。より詳しくは、板バネを径方向に配位し、その先端をナット本体のネジ孔に突出させ、この板バネをボルトのねじ山に係合させることによって、板バネを略軸方向に変形させ、その反力をボルトに作用させて、ネジの緩み止めをなすものである。
ところが、ナットを点検等によって緩めようとした場合、板バネが反転してねじ山を完全にロックしてしまうことがある。詳しくは、ネジ孔に突出している板バネは、ナット本体にボルトを螺合させるに伴い、ボルトのねじ山の進み側フランクに沿って変形するが、板バネの周方向の全ての面が進み側フランクに密着するわけではなく、若干の撓みをもって変形しており、一部分では、ねじ山に板バネの先端が突き刺さった状態となっている場合もある。このような状態で、ボルトを緩める方向に回転させると、板バネが撓んで反転して、ねじ山をロックしてしまうことが起こり、ボルトを緩めることが困難になってしまう。
また、特許文献5〜7に示されるように、ナット本体とは別体のコイルスプリングの一端をナットに本体の端面に固定して、このコイルスプリングによってボルトの緩み止めを行うようにしたナットも知られている。このコイルスプリングによるものは、コイルスプリングをボルトの谷に沿わせて径方向の力をボルトに加えて、径方向に加えられる回転抵抗によって緩み止めをなすものである。
このうち、特許文献5と6にあっては、ナットのねじ山の巻き方向と、コイルスプリングの巻き方向とが同じであるのに対して、特許文献7にあっては、ナットのねじ山の巻き方向と、コイルスプリングの巻き方向とが逆方向になっている。
特開平11−247824号公報 登録実用新案第3102501号公報 特開2004−197886号公報 実開平6−35637号公報 実公昭37−8724号公報 特開2003−307210号公報 特開2002−333005号公報
本願発明は、ネジ孔を備えたナット本体と、このナット本体端面に設けられた弾性部材とを備え、この弾性部材がナット本体に螺合するボルトを付勢することによって、緩み止めをなす緩み止めナットにおいて、弾性部材に板バネを用いた場合による板バネの反転などと言った予期しない挙動による弊害を防止することができ、また、締め付け時に要する回転トルクに比して、緩み方向への回転トルクの方が大きくなるようにした緩み止めナットの提供を目的とする。本願発明の他の目的は、弾性部材の半径方向への変形による反力を、軸方向にも作用させて軸力を発生させることにより、より有効な緩み止めをなし得るようにした緩み止めナットの提供を目的とする。
本願の請求項1にかかる発明は、ネジ孔を備えたナット本体と、このナット本体の座面と反対側の開放端面に設けられた弾性部材とを備え、この弾性部材がナット本体に螺合するボルトを付勢することによって、緩み止めをなす緩み止めナットにおいて、弾性部材は、ナット本体とボルトとの螺合によって弾性変形する可動部と、この可動部の基端側に設けられた固定部とを備え、弾性部材のうち少なくとも可動部が弾性を有する線材によって構成され、固定部が開放端面に固定され、且つ、可動部が開放端面に対して弾性変形により変位でき、可動部は、ナット本体のネジ孔の略周方向に沿って配位され、且つ、基端から先端に向かってネジの巻き方向に対して逆方向に伸びるものであると共に、先端側が基端側より径内方向に位置しており、ボルトが螺合された際、可動部がボルト軸部と当接して、可動部が径外方向に弾性変形するものであり、可動部は、その内周面にボルトに対する当接部を備え、この当接部がボルトのねじ山の進み側フランクと当接するようにナットの軸方向において非対称に形成されたものであり、ボルトのねじ山の追い側フランクには実質的に当接しないものであることを特徴とする緩み止めナットを提供する。
本願の請求項2の発明は、固定部と可動部とが1つの線材により形成されたものであり、固定部は、ネジ孔の外側に周方向に伸びると共に、ナット本体の開放端面に対してスポット溶接にて固定されたものであり、当該溶接部分が弾性部材の固定部又はナット本体の開放端面に形成された凸部であり、この凸部以外では弾性部材とナット本体とが接触していないものであることを特徴とする請求項1記載の緩み止めナット。
本願の請求項3に係る発明は、可動部は、ナット本体のネジ孔の略周方向に沿って1周未満の周方向長さに渡って配位されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩み止めナットを提供する。
本願の請求項4に係る発明は、可動部は、ネジ孔の10分の2〜10分の9周の周方向長さを有し、基端から先端に向かうに従って開放端面から座面方向に傾斜しているものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の緩み止めナットを提供する。
本願の請求項5の発明は、可動部は、ネジ孔の10分の2〜10分の9周の周方向長さを有し、基端側から先端側に向かうに従ってナット本体の径内方向に徐々に偏向しており、且つ、ナットの軸方向に対して実質的に直行する平面に沿って配位されているものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の緩み止めナットを提供する。
本願発明にかかる緩み止めナットは、可動部は、ナット本体のネジ孔の略周方向に沿って配位されると共に、基端から先端に向かうに従ってナット本体の径内方向に偏向しており、ボルトが螺合された際、可動部がボルト軸部と当接して、可動部が径外方向に弾性変形することによって、ボルトの緩み止めをなすことができる。可動部が開放端面に対して弾性変形により変位でき、可動部は、ナット本体のネジ孔の略周方向に沿って配位され、且つ、基端から先端に向かってネジの巻き方向に対して逆方向に伸びるものであるため、ねじを締め付け方向に回転させるに要するトルクに比して、他方、緩み方向に回転させるに要するトルクの方が大きくなる。すなわち、小さな力で締め付けることができ、大きな緩み止め作用を果たし得るナットを提供し得たものである。また、可動部は、その内周面にボルトに対する当接部を備え、この当接部がボルトのねじ山の進み側フランクと当接するようにナットの軸方向において非対称に形成されたものであり、ボルトのねじ山の追い側フランクには実質的に当接しないものであるため、可動部による径方向の付勢力を、軸方向の軸力に変換することができ、これによって、より大きな緩み止め効果を発揮し得る緩み止めナットを提供することができたものである。
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
図1は本願発明の実施の形態に係る緩み止めナットを示すもので、(A)は正面図、(B)は(A)の矢印Bから見た側面図、(C)は同ナットにボルトを螺合した状態の平面図、(D)は同ナットに螺合したボルトを締め付け方向に回転させた状態の平面図、(E)は同ナットに螺合したボルトを緩み方向に回転させた状態の平面図である。図2は同緩み止めナットの展開図である。
この実施の形態に係るナット10は、ナット本体11と弾性部材21とからなる。ナット本体11は、従来公知の金属製ナットと実質的に同様であり、6角形状に代表される工具係合部12を外周面に備え、中央には、ネジ孔13が設けられており、このネジ孔13内には雌ねじ14が形成されている。この雌ねじ14は、図6に示すように、ボルト31の雄ねじ32と螺合されるものである。このナット本体11の軸方向の端面は、一方が座面15とされ、他方が開放端面16とされており、弾性部材21は開放端面16に設けられている。この実施の形態では、ナット本体11の雌ねじ14は、所謂右ネジであり、右回転させることにより、ねじが締まるものとして、以下説明するが、左ネジでも実施は可能であり、その場合には、左右が逆転する以外は、以下の説明と実質的に同じである。
弾性部材21は、可動部22と固定部23とを備える。可動部22は、ボルト31との螺合によって弾性変形する部分であり線材によって形成されている。固定部23は可動部22の基端側に設けられ、弾性部材21全体をナット本体11の開放端面16に固定する。この例では、弾性部材21は、その全体がバネ鋼などの弾性を有する素材によって形成されているが、場合によっては、可動部22のみに弾性の高い素材を用いるなど、可動部22と固定部23とを異なる素材によって形成することも可能である。
図1(A)へ示す通り、この実施の形態において、弾性部材21は、その全体が一本の線材にて構成されている。この線材は、弾性を備え、全体を曲げ加工により、円弧状に成形されている。そして、この線材は、当該線材の一端から後述する所定範囲を固定部23として、ナット本体11(開放端面)に固定され、当該線材の他方の端部を自由端25とすることにて、弾性変形により、ナット本体11の開放端面16に対し移動可能に形成されている。より詳細には、上記の固定部23(固定部23を含まず)から自由端25までの区間である可動部22は、ナット本体11の半径方向に対して変位可能である。また同時に、同区間は、ナット本体11の開放端面16に対し、ナットの軸方向に変位できるものとして実施し得る。以下、弾性部材21の各部の構成について更に詳しく説明する。
固定部23は、この例では、ネジ孔13と略同心円状に形成された円弧形をなすもので、雌ねじ14の谷径と等しいかこれより大きな内径を備える。言い換えれば、固定部23はボルト31の雄ねじ32に係合しない大きさ及び位置に設けられればよい。この固定部23は、ナット本体11の開放端面16に対して、溶接、特に、抵抗溶接、特に望ましくはスポット溶接で固定されている。この例では、図1(A)に示すように、2箇所で溶接されている(Sはスポット溶接の位置を示す)。なお、この固定は、溶接に限らず、ナット本体11に爪などを設けて固定部23をカシメることによって固定するなど、適宜固定方法に変更して実施することもできるが、ナット10側に特別な加工を施す必要がない点で、溶接、特にスポット溶接を採用することが有利であり、既製のナットに対しても、弾性部材21を溶接することによって、簡単に緩み止めナット10として利用できるようになる点で、極めて有利である。
このスポット溶接は2部材(ナット本体11と弾性部材21)の間に通された電気の抵抗発熱によって溶接を行うものであり、可動部22が溶接されてしまわないように、可動部22とナット本体11との間には間隔を設けておくことが望ましい。そのために、この例では、ナット本体11の開放端面に2箇所の凸部17を設け、この2箇所の凸部17と固定部23とを接触させた状態で、他の部分は接触させずに、通電させ発熱させることにより、2箇所でスポット溶接するものである。なお、この溶接箇所は、2箇所に限らず、1箇所でも、3箇所でもよいが、複数箇所であることが望ましい。
この固定部23の断面形状は、円形、矩形など適宜変更して実施することができるが、ナット本体の開放端面16との接触面積を増やすために、開放端面16と接触する部分を平面状としておくことが固定の確実性を高める点で望ましい。
またこの例では、固定部23を円弧形状としており、その長さは、溶接による固定が確実に行える長さであればよく、6分の1円弧、4分の1円弧、半円弧など適宜円弧形状に変更でき、円弧以外の形状であっても、直線状や不定形の湾曲状屈曲線状の適宜線状であってもよい。さらに、平面視矩形や円形など、可動部22よりも大きな幅を有するものであってもよいが、弾性部材21を一連の線材によって形成するほうが加工および原料コスト上有利である点で、固定部23についても線状のものが有利である。尚、図10へ示す通り、固定部23を、ナット10の外形(この場合、六角形)に沿う外周部分を備えるように形成して実施することも可能である。
次に、可動部22について、説明する。上記の固定部23がナット本体11に固定されているのに対して、可動部22はナット本体11の開放端面16に対して移動可能に配位される。図1(A)に示すように、可動部22は、平面視略弧状をなし、ナット本体11のネジ孔13の略周方向に沿って配位されるが、可動部の基端24から自由端25に向かうに従ってナット本体11の径内方向(半径方向の中心方向)に偏向している。より詳しくは、可動部22は、基端24側での内径はナット本体11の雌ねじ14の谷径と等しいかこれより大きいが、漸次その内径が小さくなり、先端の自由端25側での内径はナット本体11の雌ねじ14の谷径より小さい。これにより、ボルト31が螺合された際、可動部22が雄ねじ32と当接して、可動部22が径外方向に弾性変形する。そして、これにより、ボルト31に対して略中心軸方向(径内方向)の力が加わり、ボルト31の緩み止めをなすことができる。特に、図1(C)に示すように、可動部22の最小内径を雌ねじ14の山径より小さくするが望ましく、この最小内径については、緩み止めに必要な付勢力、可動部22の材質、可動部22の太さや長さ等を考量して種々変更して実施し得る。この例では、この最小内径は可動部22の最先端としているが、基端24側よりも先端寄りの位置であればよく、最先端を径外方向に湾曲させた形状であってもよい。
この実施の形態の可動部22はネジ孔13の約6分の5の周方向長さを有するが、ボルト31を螺合した際に可動部22が径外方向に弾性変形してボルト31の緩み止めをなし得ることを条件に変更して実施することができる。たとえば、ネジ孔13の周囲を、2/10〜9/10周、好ましくは、1/4〜9/10周するものとすることができる。より、望ましくはネジ孔13の周囲を1/4以上、さらに望ましくは1/2周以上とできるが、この可動部22の長さについても、緩み止めに必要な付勢力、可動部22の材質、可動部22の太さ等を考量して適宜設定すればよい。
ここで重要なことは、可動部22は、基端24から先端の自由端25に向かってのネジの巻き方向(右ネジの場合は右回転方向)に対して、逆方向(右ネジの場合には左回転方向。ただし、ナットの座面側から開放端面側を見た場合)に伸びるものである。図では、開放端面側から座面側を見た平面図であるため、ねじの回転方向(矢印n)は左回転方向であり、可動部22の伸びる方向(矢印k)は右回転方向となっている(図1(C)参照)。この実施の形態にあっては、可動部22がねじの回転方向と逆方向に伸びるものであっても、可動部22の長さが一周未満であるため、特許文献7のような、ねじ山乗り越え部を設ける必要がなく、比較的単純な構造で有効な緩み止めをなすことができる。
なお、可動部22の自由端25は、雌ねじ14の延長上に配置することが、ボルト31の雄ねじ32の係合を円滑に行うことができる点で望ましいが、その位置はボルト31の雄ねじ32の係合ができる範囲で適宜変更し得る。
またこの例では、図1(A)及び図2に示す通り、可動部22は、基端24から自由端25に向かうに従って軸方向において開放端面16に漸次近づく。より詳しくは、前述のように、ナットの2箇所の凸部17と固定部23とを接触させた状態でスポット溶接されているため、固定部23とナットの開放端面16との間には間隔があり、可動部22についても、固定部23に近い部分にあっては固定部23と同様の高さとなっている。ところが、可動部22の高さは徐々に低くなり、その自由端25にあっては、開放端面16と略同一の高さに達する。図2の例では、弾性部材21の約半分(約180度)から先端側を傾斜させており、基端側を水平(軸方向と略直交する方向)にしているが、図3(A)に示すように、可動部22の略全体を傾斜させてもよく、全体を水平にしてもよく、その極一部を傾斜させてもよい。
可動部22は、その自由端25がボルト31の雄ねじ32の谷にうまく入った場合には、可動部22は、ボルトが回転しても持ち上げられることがないが、雄ねじ23にひっかった場合には、可動部22はボルトの回転に伴って持ち上げられてしまう。そして、ある程度持ち上げられると、雄ねじの山を乗り越えて次の谷に入ることになる。この際、可動部22を先端に向かって下方に(開放端16に近づくように)傾斜させておくことによって、たとえ持ち上がっても、水平あるいは若干の情報の傾斜になった状態で次の谷に入ることができる。もちろんこのような現象が生じないばあいには、生じてもすぐに解消する場合には、可動部22を実質的に水平にしてもよく、あるいは上方に傾斜させるものであってもよい。
図3(B)と図3(C)とは、前述の凸部17の代わりに、弾性部材21側に凸部23aを設けたものである。このように、弾性部材21側に凸部23aを設けることによって、ナット本体11側には凸部が必要とされず、標準のナットに対しても、弾性部材21を取り付けることで、高性能な緩み止めナットとなるものである。なお、図3(B)は可動部22が水平なものの例、図3(C)は可動部22が途中から下方に傾斜した例を示すものである。 図4及び図5の例は、可動部22の傾斜に応じて(略平行に)、ナット本体の開放端16にも傾斜を設けた例である。これにより、可動部22とナット本体11との接触の可能性がより小さくなり、スポット溶接を確実に行うことができるものである。
以下、このナットの使用状態を説明する。
通常のナットと同様、このナット10もボルト31に螺合される。ボルト31は、右回転されることによって、ナット10の座面15側から開放端面16に向けて前進する。ボルト31の先端が開放端面16から出る際に、弾性部材21の可動部22の自由端25の内周面がボルトのねじ山に係合し、可動部22はナットの径外方向に弾性変形する(図1(C))。この弾性変形の反力は、ボルトの径内方向に作用し、この弾性力によってナットの緩み止めがなされる。
さらにボルトが回転すると、可動部22の自由端25から基端24側までの全体がボルト31のねじ山32に係合する位置に達する(図6の状態)。ところがこのとき、図1(D)に示すように、可動部22は、前述のように、基端24から自由端25に向けて、ナット10のねじと逆の回転方向で伸びているため、ボルトの回転に伴い、自由端25と基端24との中間位置の部分がボルトの径外方向に(ボルトから離れるように)膨らむように変形する。その結果、ボルト31の締め付け方向の回転(右回転)の抵抗となるトルクは比較的小さくなものとなる。
他方、ねじを緩める場合(振動などで緩んでしまう場合を含む)には、ボルトは左回転させられる。すると、可動部22の略全体が、ボルトの左回転に伴い、ボルト31のねじ山32間の谷部に巻き付くように変形し、摩擦力をも加わってより大きな回転抵抗が生じて、有効な緩み止めをなすものである(図1(E))。
よって本願にあっては、ねじを締め付け方向に回転させるに要するトルクに比して、他方、緩み方向に回転させるに要するトルクの方が大きくなる。すなわち、小さな力で締め付けることができ、大きな緩み止め作用を果たし得るナットを提供し得たものである。
上記のように、可動部22は、弧状の内周側でボルト31と当接する。この可動部22の内周面の望ましい形状を、図7に基づき説明する。可動部22は、内周面にボルトに対する当接部26を備え、この当接部がボルトのねじ山の進み側フランク33と当接するようにナットの軸方向において非対称に形成され、ボルトのねじ山32の追い側フランク34には実質的に当接しないものである。より具体的には、ねじの軸方向と直交する平面cに対して、進み側の第1当接部26の角度は、追い側の第2部27の角度よりも大きな角度なっている。例えば、第1当接部26の上記角度をボルト31の進み側フランクのフランク各と略等しくしておき、第2部27はそれより5〜20度小さくするようにすればよい。また、図9(D)に示すように、第2部の角度を0度以下として、内周面には第1当接部26のみを設ける形状にしてもよい。
この構成によって、軸方向と直行する方向の付勢力(図7の横方向矢印)が、進み側フランク33のフランク角に応じて軸方向(図7の縦方向矢印)に分配され、ねじの締結力となる軸力として作用するものであり、より大きな緩み止め効果を発揮する。なお、第1当接部26と進み側フランク33とは、面で接触するもののほか、線で接触するものであってもよく、点で接触するものであってよい。
なお、図9(A)〜(C)に示すように、軸力を発生させずに、摩擦力のみで緩み止めとする構造でも実施可能であり、可動部22の断面が円形状のものであってもよく(図9(A))、図示はしないが角形であってもよい。また、第1当接部26と追い側の第2当接部27との2つの当接部を備え、これらの第1当接部26、第2当接部27が、ボルト31のねじ山間の谷を形成する一対の進み側フランク33と追い側フランク34との両フランクと、当接するものとしてもよい(図9(B))。さらに、図9(C)に示すように、粗面としてもよい。この粗面は、ローレットのように多数の小突起を設けるもの、小さな凸状を設けるものなど、雌ねじとの摩擦抵抗を大きくする凹凸形状とすればよい。
以上、これらの例では、ボルト31との螺合によって弾性部材21の可動部22が弾性変形した付勢力がボルト31の軸方向と直行する方向に作用して、ナット本体11の回転抵抗となって、緩み止めとなる。
以上の各例において、可動部22は、その長手方向と直行する方向に沿う断面において、厚み(軸方向長さ)と幅(軸方向と直行する方向の長さ)との比率が1対6〜6対1の範囲内にあり、板バネのように反転するおそれがなく安定した挙動を示すものである。上記の比率の範囲は、1対3〜3対1とするのが、より好ましい。尚、線材には、曲げ加工によって、コイルを形成することができる部材が適する。
また、上記のように、ナット本体と別体の部材として、線材にて、弾性部材21の主要部即ち可動部22を、構成することにより、図3(B)にて破線で示す通り、製造時、断面積のより大きい可動部22を備えた弾性部材21を選択することが簡単に行える。このように、線材の伸びる方向を横断する方向の断面積について、大きなものを採用することにより、可動部22の弾性の強いもの(腰の強いもの)への変更が容易に行え、必要に応じてより大きな緩み止めの効果を期すことができる。
可動部22の自由端25の形状は、線材の長手方向に略直交する平面となるもの(即ち、ナットの半径方向と略平行な面となるもの)であってもよいが、図8(A)に示すように、可動部22の自由端25の最先端の形状を、先端に向かうに従って内周側から径外方向に漸次移行するように傾斜させた斜面25aを備えた形状であってもよい。また、切除に際して、弾性部材21の先端と基端とを直線で切断して、自由端25に斜面25aを形成するようにしてもよい。また、アールを形成するなどしてもよい。
以下、図面に基づき本願発明の実施例を示すが、本願発明はこの実施例に限定して理解されるべきではない。
実施例は、本願の図1及び図2に示す形態を備えたナットで、ナット本体の規格はJIS B1181 1種タイプに準拠するM16ナットとし、弾性部材をばね用ステンレス線材で作成し、幅(半径方向長さ)3.5mm、厚み(軸方向長さ)1.6mm、第1当接部26の水平面に対する角度30度、第2部の水平面に対する角度25度として実施し、2箇所でスポット溶接により固定し完成させた。このナットにボルトを螺合し、プリベリングトルクねじ込み最大値と、プリベリングトルクねじ戻し最大値とを測定したところ、ねじ込み最大値は約10kgf・cmであったのに対して、ねじ戻し最大値は約50kgf・cmであり、小さな力でねじ込みが可能であり、且つ、十分な緩み止め効果を得ることができたことが確認された。この値は、現在多数市販されている緩み止めナットのカタログ上の数値がプリベリングトルクねじ込み最大値は約30kgf・cm、プリベリングトルクねじ戻し最大値は約15kgf・cmであることに比しても、十分に有意差のある値であると言える。
本願発明の実施の形態に係る緩み止めナットを示すもので、(A)は正面図、(B)は(A)の矢印Bから見た側面図、(C)は同ナットにボルトを螺合した状態の平面図、(D)は同ナットに螺合したボルトを締め付け方向に回転させた状態の平面図、(E)は同ナットに螺合したボルトを緩み方向に回転させた状態の平面図である。 同緩み止めナットの展開図である。 (A)〜(C)は同緩み止めナットの変更例を示す展開図である。 同緩み止めナットの変更例を示す側面図である。 同緩み止めナットの変更例を示す展開図である。 同緩み止めナットの使用状態を示す断面図である。 図6の要部拡大図である。 (A)〜(B)は同緩み止めナットの変更例を示す平面図である。 (A)〜(D)は同緩み止めナットの変更例を示す要部拡大図である。 同緩み止めナットの変更例を示す平面図である。
符号の説明
10 ナット
11 ナット本体
12 工具係合部
13 ネジ孔
14 雌ねじ
15 座面
16 開放端面
21 弾性部材
22 可動部
23 固定部
24 基端
25 自由端
31 ボルト
32 雄ねじ
33 進み側フランク
34 追い側フランク
s スポット溶接位置

Claims (5)

  1. ネジ孔を備えたナット本体と、このナット本体の座面と反対側の開放端面に設けられた弾性部材とを備え、
    この弾性部材がナット本体に螺合するボルトを付勢することによって、緩み止めをなす緩み止めナットにおいて、
    弾性部材は、ナット本体とボルトとの螺合によって弾性変形する可動部と、この可動部の基端側に設けられた固定部とを備え、
    弾性部材のうち少なくとも可動部が弾性を有する線材によって構成され、固定部が開放端面に固定され、且つ、可動部が開放端面に対して弾性変形により変位でき、
    可動部は、ナット本体のネジ孔の略周方向に沿って1周未満の周方向長さに渡って配位され、且つ、基端から先端に向かってネジの巻き方向に対して逆方向に伸びるものであると共に、先端側が基端側より径内方向に位置しており、
    ボルトが螺合された際、可動部がボルト軸部と当接して、可動部が径外方向に弾性変形することによって、ボルトの緩み止めをなすことを特徴とする緩み止めナット。
  2. 可動部は、内周面にボルトに対する当接部を備え、この当接部がボルトのねじ山の進み側フランクと当接するようにナットの軸方向において非対称に形成されたものであり、ボルトのねじ山の追い側フランクには実質的に当接しないものであることを特徴とする請求項1に記載の緩み止めナット。
  3. 固定部と可動部とが1つの線材により形成されたものであり、
    固定部は、ネジ孔の外側に周方向に伸びると共に、ナット本体の開放端面に対してスポット溶接にて固定されたものであり、当該溶接部分が弾性部材の固定部又はナット本体の開放端面に形成された凸部であり、この凸部以外では弾性部材とナット本体とが接触していないものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の緩み止めナット。
  4. 可動部は、ネジ孔の4分の1〜4分の3周の周方向長さを有し、基端側から先端側に向かうに従ってナット本体の径内方向に徐々に偏向しており、且つ、基端から先端に向かうに従って開放端面から座面方向に傾斜しているものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の緩み止めナット。
  5. 可動部は、ネジ孔の10分の2〜10分の9周の周方向長さを有し、基端側から先端側に向かうに従ってナット本体の径内方向に徐々に偏向しており、且つ、ナットの軸方向に対して実質的に直行する平面に沿って配位されているものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の緩み止めナット。
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