JP2009209766A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料供給弁からの供給燃料の消費量を低減する。
【解決手段】機関排気通路内に小型酸化触媒14と、パティキュレートフィルタ13と、NOx吸蔵触媒17とを配置する。還元剤供給弁15から還元剤を供給することによって小型酸化触媒14の硫黄被毒を解消する硫黄被毒解消処理と、NOx吸蔵触媒17からSOxを放出させるSOx放出処理と、パティキュレートフィルタ13を再生する再生処理とが行われる。この場合、SOx放出処理が行われる頻度と再生処理が行われる頻度との合計頻度よりも硫黄被毒解消処理の頻度が高くされる。
【選択図】図8

Description

本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
機関排気通路内に酸化触媒が配置されており、酸化触媒下流の機関排気通路内に、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比がリッチになると吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵触媒と、排気ガス中のパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタとが配置されており、NOx吸蔵触媒からNOxを放出すべきときには機関から排出される排気ガスの空燃比がリッチにされ、NOx吸蔵触媒からSOxを放出すべきときには機関から排出される排気ガスの空燃比が理論空燃比にされ、パティキュレートフィルタを再生すべきときには機関から排出される排気ガスの空燃比をリーンに維持した状態でパティキュレートフィルタが昇温せしめられる内燃機関が公知である(例えば特許文献1を参照)。
特開2005−2817号公報
ところで酸化触媒は排気ガス中に含まれるSOxによって次第に硫黄被毒し、その結果次第に酸化活性が低下する。この場合、酸化触媒に還元剤を供給すると酸化触媒の硫黄被毒を解消することができる。しかしながら上述の内燃機関ではこのような酸化触媒の硫黄被毒に関して何らの考慮も払われてはいない。
本発明は、酸化触媒の硫黄被毒も解消しうる内燃機関の排気浄化装置を提供することにある。
即ち、本発明によれば、機関排気通路内に酸化触媒を配置し、酸化触媒上流の機関排気通路内に還元剤供給弁を配置し、酸化触媒下流の機関排気通路内に、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比がリッチになると吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵触媒と、排気ガス中のパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタとが配置されている内燃機関の排気浄化装置において、還元剤供給弁から還元剤を供給することによって酸化触媒の硫黄被毒を解消する硫黄被毒解消処理と、NOx吸蔵触媒からSOxを放出させるSOx放出処理と、パティキュレートフィルタを再生する再生処理とが行われ、SOx放出処理が行われる頻度と再生処理が行われる頻度との合計頻度よりも硫黄被毒解消処理の頻度を高くしている。
酸化触媒はNOx吸蔵触媒およびパティキュレートフィルタよりも上流側に配置されており、従って排気ガス中のSOxは最も酸化触媒に捕獲されやすい。従って酸化触媒は比較的短時間のうちに硫黄被毒するので本発明ではSOx放出処理が行われる頻度と再生処理が行われる頻度との合計頻度よりも硫黄被毒解消処理の頻度が高くされる。このように酸化触媒の硫黄被毒の解消処理を頻度高く行うことによって酸化触媒の酸化活性を常時高く維持しておくことができる。
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内に夫々燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを夫々示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口は吸入空気量検出器8を介してエアクリーナ9に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁10が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置11が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置11内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口は排気管12を介して排気ガス中のパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタ13に連結される。また、このパティキュレートフィルタ13は排気管16を介してNOx吸蔵触媒17に連結される。パティキュレートフィルタ13上流の機関排気通路内には、即ち排気管12内にはパティキュレートフィルタ13およびNOx吸蔵触媒17よりも体積が小さくかつパティキュレートフィルタ13およびNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの一部が流通する小型酸化触媒14が配置され、この小型酸化触媒14上流の機関排気通路内には、即ち排気管12内には小型酸化触媒14に還元剤を供給するための還元剤供給弁15、例えば燃料を供給するための燃料供給弁15が配置される。
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路18を介して互いに連結され、EGR通路18内には電子制御式EGR制御弁19が配置される。また、EGR通路18周りにはEGR通路18内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置20が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置20内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管21を介してコモンレール22に連結され、このコモンレール22は電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ23を介して燃料タンク24に連結される。燃料タンク24内に貯蔵されている燃料は燃料ポンプ23によってコモンレール22内に供給され、コモンレール22内に供給された燃料は各燃料供給管21を介して燃料噴射弁3に供給される。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器8の出力信号は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42および車速に応じた出力パルスを発生する車速センサ43が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁10の駆動用ステップモータ、燃料供給弁15、EGR制御弁19および燃料ポンプ23に接続される。
図2(A)は図1における小型酸化触媒14周りの拡大図を示しており、図2(B)は図2(A)においてB−B線に沿ってみた断面図を示している。図2(A),(B)に示される実施例では小型酸化触媒14は金属薄肉平板と金属薄肉波形板との積層構造からなる基体を有しており、この基体の表面上に例えばアルミナからなる触媒担体の層が形成されていると共にこの触媒担体上には白金Pt、ロジウムRd、パラジウムPdのような貴金属触媒が担持されている。なお、この基体はコージライトから形成することもできる。
図2(A),(B)からわかるようにこの小型酸化触媒14はパティキュレートフィルタ13およびNOx吸蔵触媒17に向かう排気ガスの全流路断面よりも小さな断面、即ち排気管12の断面よりも小さな断面を有していると共に、排気管12内の中央において排気ガスの流れ方向に延びる筒状をなしている。なお、図2(A),(B)に示される実施例では小型酸化触媒14は円筒状外枠25内に配置されており、この円筒状外枠25は複数のステー26によって排気管12内に支持されている。
パティキュレートフィルタ13は例えば白金Ptのような貴金属触媒を担持したモノリス触媒から形成されている。一方、図1に示されるNOx吸蔵触媒17の基体上には例えばアルミナからなる触媒担体が担持されており、図3はこの触媒担体45の表面部分の断面を図解的に示している。図3に示されるように触媒担体45の表面上には貴金属触媒46が分散して担持されており、更に触媒担体45の表面上にはNOx吸収剤47の層が形成されている。
図3に示される例では貴金属触媒46として白金Ptが用いられており、NOx吸収剤47を構成する成分としては例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
機関吸気通路、燃焼室2およびNOx吸蔵触媒17上流の排気通路内に供給された空気および燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比と称すると、NOx吸収剤47は排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOxを吸蔵し、排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸蔵したNOxを放出するNOxの吸放出作用を行う。
即ち、NOx吸収剤47を構成する成分としてバリウムBaを用いた場合を例にとって説明すると、排気ガスの空燃比がリーンのとき、即ち排気ガス中の酸素濃度が高いときには排気ガス中に含まれるNOは図3に示されるように白金Pt46上において酸化されてNO2となり、次いでNOx吸収剤47内に吸収されて炭酸バリウムBaCO3と結合しながら硝酸イオンNO3 -の形でNOx吸収剤47内に拡散する。このようにしてNOxがNOx吸収剤47内に吸蔵される。排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Pt46の表面でNO2が生成され、NOx吸収剤47のNOx吸収能力が飽和しない限りNO2がNOx吸収剤47内に吸収されて硝酸イオンNO3 -が生成される。
これに対し、排気ガスの空燃比がリッチ或いは理論空燃比にされると排気ガス中の酸素濃度が低下するために反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、斯くしてNOx吸収剤47内の硝酸イオンNO3 -がNO2の形でNOx吸収剤47から放出される。次いで放出されたNOxは排気ガス中に含まれる未燃HC,COによって還元される。
このように排気ガスの空燃比がリーンであるとき、即ちリーン空燃比のもとで燃焼が行われているときには排気ガス中のNOxがNOx吸収剤47内に吸蔵される。しかしながらリーン空燃比のもとでの燃焼が継続して行われるとその間にNOx吸収剤47のNOx吸収能力が飽和してしまい、斯くしてNOx吸収剤47によりNOxを吸収できなくなってしまう。そこで本発明による実施例ではNOx吸収剤47の吸収能力が飽和する前に燃料供給弁15から燃料を供給することによってNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリッチにし、それによってNOx吸収剤47からNOxを放出させるようにしている。
ところで図2に示される実施例では燃料供給弁15のノズル口は排気管12の断面の中央に配置されており、上述した如く燃料供給弁15から燃料を供給することによってNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリッチにすべきときには燃料供給弁15から小型酸化触媒14の上流側端面に向けて、燃料F、即ち軽油Fが噴射される。このときこの噴射燃料の一部は小型酸化触媒14内で酸化せしめられ、残りの燃料によって排気ガスの空燃比がリッチにされる。
このときの小型酸化触媒14の温度Tの変化と小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化、およびNOx吸蔵触媒17の温度Tの変化とNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化が図4に示されている。図4に示されるようにNOx吸収剤47からNOxを放出すべく燃料噴射弁15から燃料が噴射されると小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fがリッチとなり、NOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比A/Fもリッチとなる。一方、このとき小型酸化触媒14の温度Tが若干上昇し、NOx吸蔵触媒17の温度Tはほとんど変化しない。
即ち、小型酸化触媒14内は流路抵抗が大きいので小型酸化触媒14内を流れる排気ガス量は少ない。また、小型酸化触媒14内で酸化反応が生じると小型酸化触媒14内でガスが膨張するために小型酸化触媒14内を流れる排気ガス量が更に減少し、また酸化反応によりガス温が上昇するとガスの粘性が高くなるために小型酸化触媒14内を流れる排気ガス量が更に減少する。従って小型酸化触媒14内における排気ガスの流速は排気管12内を流れる排気ガスの流速に比べてかなり遅い。
このように小型酸化触媒14内における排気ガスの流速が遅いので小型酸化触媒14内における酸化反応は活発となり、また小型酸化触媒14の体積は小さい。従って燃料供給弁15から多量の燃料が供給され続けると小型酸化触媒14の温度はかなり高温まで上昇する。図4に示される場合には燃料供給弁15から単発的にしか燃料が供給されないので小型酸化触媒14の温度Tはさほど上昇しない。
なお、小型酸化触媒14の温度が高くなったときには炭素数の多い燃料中の炭化水素が分解して炭素数の少ない反応性の高い炭化水素が生成される。即ち燃料が反応性の高い燃料に改質される。従って、小型酸化触媒14に燃料が供給され続けると小型酸化触媒14は一方では急速に発熱する急速発熱器を構成し、他方では改質された燃料を排出する改質燃料排出器を構成する。
ところで、排気ガス中にはSOx、即ちSO2が含まれており、このSO2がNOx吸蔵触媒17に流入するとこのSO2は白金Pt46において酸化されてSO3となる。次いでこのSO3はNOx吸収剤47内に吸収されて炭酸バリウムBaCO3と結合しながら、硫酸イオンSO4 2-の形でNOx吸収剤47内に拡散し、安定した硫酸塩BaSO4を生成する。しかしながらNOx吸収剤47が強い塩基性を有するためにこの硫酸塩BaSO4は安定していて分解しづらく、排気ガスの空燃比を単にリッチにしただけでは硫酸塩BaSO4は分解されずにそのまま残る。従ってNOx吸収剤47内には時間が経過するにつれて硫酸塩BaSO4が増大することになり、斯くして時間が経過するにつれてNOx吸収剤47が吸収しうるNOx量が低下することになる。
この場合、NOx吸蔵触媒17の温度を600℃以上のSOx放出温度まで上昇させた状態でNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比をリッチにするとNOx吸収剤47からSOxが放出される。そこで本発明ではNOx吸蔵触媒17が吸収しうるNOx量が低下したときには燃料供給弁15から燃料を供給することによってNOx吸蔵触媒17の温度をSOx放出温度まで上昇させ、NOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比をリッチにしてNOx吸蔵触媒17からSOxを放出させるようにしている。
このときの小型酸化触媒14の温度Tの変化と小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化、およびNOx吸蔵触媒17の温度Tの変化とNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化が図6に示されている。図6に示されるようにこのときには燃料供給弁15から燃料が間欠的に噴射され続け、小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fが間欠的にかなりリッチになると共にNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比もリッチになる。なお、このときには小型酸化触媒14の温度Tはかなり高くなる。
ところでパティキュレートフィルタ13上にパティキュレートが一定量以上堆積したときには堆積したパティキュレートを燃焼させて除去することが必要となる。即ち、パティキュレートフィルタ13を再生することが必要となる。この場合、パティキュレートフィルタ13に流入する排気ガスの空燃比がリーンの状態でパティキュレートフィルタ13の温度を600℃程度まで上昇させると堆積したパティキュレートを燃焼させて除去することができる。そこで本発明ではパティキュレートフィルタ13を再生すべきときにはパティキュレートフィルタ13に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつパティキュレートフィルタ13の温度を600℃以上にするのに必要な量の燃料が燃料供給弁15から供給される。
このときの小型酸化触媒14の温度Tの変化と小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化、およびパティキュレートフィルタ13の温度Tの変化とパティキュレートフィルタ13に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化が図7に示されている。図7に示されるようにこのときには燃料供給弁15から比較的少量の燃料が間欠的に噴射され続ける。このとき小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fは間欠的にリッチになるがNOx吸蔵触媒17に流入する排気ガスの空燃比はリーンに維持される。なお、このときにも小型酸化触媒14の温度Tはかなり高くなる。
一方、小型酸化触媒14も排気ガス中に含まれるSOxの影響を受ける。即ち、排気ガス中に含まれるSOxは小型酸化触媒14の担体上或いは貴金属触媒の表面上に付着し、このようにSOxが付着すると小型酸化触媒14は酸化能力を失なってしまう。これは硫黄被毒と称されている。この場合、小型酸化触媒14の温度が或る程度高い状態で、例えば400℃以上で小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比をリッチにするとこの硫黄被毒を解消することができる。そこで本発明では小型酸化触媒14の硫黄被毒を解消すべきときには小型酸化触媒14の温度を例えば400℃以上に上昇させかつ小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比をリッチにするのに必要な量の燃料が燃料供給弁15から供給される。
このときの小型酸化触媒14の温度Tの変化と小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化、およびパティキュレートフィルタ13の温度Tの変化とパティキュレートフィルタ13に流入する排気ガスの空燃比A/Fの変化が図5に示されている。図5に示されるようにこのときには燃料供給弁15から少量の燃料が一定期間、間欠的に噴射される。このとき小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比A/Fは間欠的にリッチになるがパティキュレートフィルタ13に流入する排気ガスの空燃比はリーンに維持される。なお、このとき小型酸化触媒14の温度Tは400℃以上まで上昇する。
図8は、図4に示されるNOx吸蔵触媒17からNOxを放出させるNOx放出処理のタイミングと、図5に示される小型酸化触媒14の硫黄被毒を解消する硫黄被毒解消処理のタイミングと、図6に示されるNOx吸蔵触媒17からSOxを放出させるSOx放出処理のタイミングと、図7に示されるパティキュレートフィルタ13を再生する再生処理のタイミングを示している。なお、図8において横軸は車両の走行距離を表している。
図8に示される実施例では、NOx吸蔵触媒17からのSOx放出処理と、パティキュレートフィルタ13の再生処理と、小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理は車両が夫々対応する目標走行距離を走行したときに行われ、図8からわかるようにパティキュレートフィルタ13の再生処理の行われる目標走行距離はNOx吸蔵触媒17からのSOx放出処理の行われる目標走行距離よりも短かく、小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理の行われる目標走行距離はパティキュレートフィルタ13の再生処理の行われる目標走行距離よりも短かい。
なお、本発明による実施例ではNOx吸蔵触媒17からのSOx放出処理の行われる目標走行距離は1000kmであり、パティキュレートフィルタ13の再生処理の行われる目標走行距離は200kmであり、小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理の行われる目標走行距離は50kmに設定されている。
図1に示されるように小型酸化触媒14はNOx吸蔵触媒17およびパティキュレートフィルタ13よりも上流側に配置されており、従って排気ガス中のSOxは最も小型酸化触媒14に捕獲されやすい。従って小型酸化触媒14は比較的短時間のうちに硫黄被毒する。従って図8に示されるように本発明ではNOx吸蔵触媒17からのSOx放出処理が行われる頻度とパティキュレートフィルタ13の再生処理が行われる頻度との合計頻度よりも小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理の頻度が高くされている。
また本発明では図6に示されるようにNOx吸蔵触媒17からのNOx放出処理が行われたときには小型酸化触媒14の温度Tは400℃以上となりかつ小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比はリッチになる。従ってこのとき小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理が同時に行われることになる。
更に本発明では図7に示されるようにパティキュレートフィルタ13の再生処理が行われたときにも小型酸化触媒14の温度Tは400℃以上となりかつ小型酸化触媒14に流入する排気ガスの空燃比はリッチになる。従ってこのときにも小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理が同時に行われることになる。
なお、図8からわかるようにNOx吸蔵触媒17からのSOx放出処理又はパティキュレートフィルタ13の再生処理が行われていないときにも小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理が行われる。このようにSOx放出処理時に硫黄被毒解消処理も行い、再生処理時に硫黄被毒解消処理も行うことによって燃料の消費量を低減することができる。
図8に示される実施例ではSOx放出処理と再生処理とは異なるタイミングで行われている。しかしながらSOx放出処理と、再生処理とを同時に行うこともできる。この場合にはSOx放出処理と、再生処理と、硫黄被毒解消処理とが同時に行われる。
図8に示されるようにNOx吸蔵触媒17からのNOx放出処理は小型酸化触媒14の硫黄被毒解消処理よりもはるかに頻繁に行われる。このNOx放出処理時には通常図4に示されるように小型酸化触媒14の温度Tは継続的に400℃以上とはならず、従って通常は硫黄被毒解消処理は行われない。
図9に排気浄化処理ルーチンを示す。このルーチンは一定時間毎の割込みによって実行される。
図9を参照するとまず初めにステップ50においてNOx吸蔵触媒17に単位時間当り吸蔵されるNOx量NOXAが算出される。このNOx量NOXAは要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として図10に示すマップの形で予めROM32内に記憶されている。次いでステップ51ではこのNOXAがNOx吸蔵触媒17に吸蔵されているNOx量ΣNOXに加算される。次いでステップ52では吸蔵NOx量ΣNOXが許容値NXを越えたか否かが判別され、ΣNOX>NXとなったときにはステップ53に進んでNOx吸蔵触媒17からのNOx放出処理が行われ、ΣNOXがクリアされる。次いでステップ54に進む。
一方、ステップ52においてΣNOX≦NXであると判別されたときにはステップ54に進んでCX1,CX2,CX3に車速SPと割込み時間間隔Δtの積SP・Δtが加算される。この積SP・ΔtはΔt時間内における車両走行距離を表しており、従って各CX1,CX2,CX3はCX1,CX2,CX3が夫々零のときからの車両走行距離を表している。
次いでステップ55では車両走行距離CX1がSOx放出処理を行うための目標走行距離1000D、例えば1000kmを越えたか否かが判別される。CX1≦1000Dのときにはステップ58に進む。これに対し、ステップ55においてCX1>1000Dになったと判断されるとステップ56に進んでSOx放出処理が行われる。次いでステップ57ではCX1がクリアされ、次いでステップ58に進む。
ステップ58では車両走行距離CX2が再生処理を行うための目標走行距離200D、例えば200kmを越えたか否かが判別される。CX2≦200Dのときにはステップ61に進む。これに対し、ステップ58においてCX2>200Dになったと判断されるとステップ59に進んで再生処理が行われる。次いでステップ60ではCX2がクリアされ、次いでステップ61に進む。
ステップ61では車両走行距離CX3が硫黄被毒解消処理を行うための目標走行距離50D、例えば50kmを越えたか否かが判別される。CX3≦50Dのときには処理サイクルを完了する。これに対し、ステップ61においてCX3>50Dになったと判断されるとステップ63に進んで硫黄被毒解消処理が行われる。次いでステップ63ではCX3がクリアされ、次いで処理サイクルを完了する。
次に図11を参照しつつ燃料供給弁15の配置、或いは小型酸化触媒14の配置又は形状に関する種々の変形例について順次説明する。
まず初めに図11(A)から説明するとこの図11(A)に示される変形例では燃料供給弁15のノズル口が高温の排気ガス流に直接晒されないように排気管12の内壁面上に形成された凹部内に配置されている。また、図11(B)に示す変形例では小型酸化触媒14の上流側端面上に上流側端面の周縁部から上流に向けて延びるトラフ状の燃料案内部27が形成されており、燃料供給弁15から燃料案内部27に向けて燃料が噴射される。
一方、図11(C)に示される変形例では排気浄化触媒13に向かう排気管12内の排気ガスの流通路が分岐された一対の流通路12a,12bから形成されており、これら一対の流通路12a,12bのうちの一方の流通路12a内に小型酸化触媒14が配置されている。燃料供給弁15からは小型酸化触媒14の上流側端面に向けて燃料が噴射される。この変形例では排気浄化触媒13からみれば上流側の排気流通路の横断面内における一部領域に小型酸化触媒14が配置されていることになる。
図12に排気浄化処理システムの変形例を示す。この変形例では小型酸化触媒14のすぐ下流にNOx吸蔵触媒17が配置され、NOx吸蔵触媒17の下流にパティキュレートフィルタ13が配置されている。
圧縮着火式内燃機関の全体図である。 図1の小型酸化触媒周りの拡大図である。 NOxの吸放出作用を説明するための図である。 NOx放出処理を示す図である。 硫黄被毒解消処理を示す図である。 SOx放出処理を示す図である。 再生処理を示す図である。 NOx放出処理等のタイミングを示す図である。 排気浄化処理を実行するためのフローチャートである。 吸蔵NOx量NOXAのマップを示す図である。 種々の変形例を示す図である。 変形例を示す図である。
符号の説明
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
12 排気管
13 パティキュレートフィルタ
14 小型酸化触媒
15 燃料供給弁
17 NOx吸蔵触媒

Claims (6)

  1. 機関排気通路内に酸化触媒を配置し、酸化触媒上流の機関排気通路内に還元剤供給弁を配置し、酸化触媒下流の機関排気通路内に、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比がリッチになると吸蔵したNOxを放出するNOx吸蔵触媒と、排気ガス中のパティキュレートを捕集するためのパティキュレートフィルタとが配置されている内燃機関の排気浄化装置において、還元剤供給弁から還元剤を供給することによって酸化触媒の硫黄被毒を解消する硫黄被毒解消処理と、NOx吸蔵触媒からSOxを放出させるSOx放出処理と、パティキュレートフィルタを再生する再生処理とが行われ、該SOx放出処理が行われる頻度と該再生処理が行われる頻度との合計頻度よりも該硫黄被毒解消処理の頻度を高くした内燃機関の排気浄化装置。
  2. 上記SOx放出処理が行われるときには上記硫黄被毒解消処理が同時に行われ、上記再生処理が行われるときには上記硫黄被毒解消処理が同時に行われ、該SOx放出処理又は該再生処理が行われていないときにも該硫黄被毒解消処理が行われる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 上記SOx放出処理と、上記再生処理と、上記硫黄被毒解消処理とが同時に行われる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 上記SOx放出処理と、上記再生処理と、上記硫黄被毒解消処理は車両が夫々対応する目標走行距離を走行したときに行われ、該再生処理の行われる目標走行距離は該SOx放出処理の行われる目標走行距離よりも短かく、該硫黄被毒解消処理の行われる目標走行距離は該再生処理の行われる目標走行距離よりも短かい請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 上記酸化触媒が上記NOx吸蔵触媒およびパティキュレートフィルタよりも体積が小さくかつ該NOx吸蔵触媒およびパティキュレートフィルタに流入する排気ガスの一部が流通する小型酸化触媒からなる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 上記小型酸化触媒はNOx吸蔵触媒およびパティキュレートフィルタに向かう排気ガスの全流路断面よりも小さな断面を有すると共に排気ガスの流れ方向に延びる筒状をなす請求項5に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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