JP2009209612A - 建築板の取り付け構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストアップにならないようにして下地に対する建築板の取り付け位置を容易に変更することができる建築板の取り付け構造を提供する。
【解決手段】建築板1の対向する両端面に複数個の被挿入孔2、2…を建築板1の少なくとも厚み方向に並べて設ける。下地3に取り付けた保持具4に挿入突部5を設ける。挿入突部5を被挿入孔2に差し込むことによって保持具4に建築板1を保持する。挿入突部5を差し込む被挿入孔2を適宜選択することによって、保持具4に対する建築板1の保持位置を変更することができる。
【選択図】図1
【解決手段】建築板1の対向する両端面に複数個の被挿入孔2、2…を建築板1の少なくとも厚み方向に並べて設ける。下地3に取り付けた保持具4に挿入突部5を設ける。挿入突部5を被挿入孔2に差し込むことによって保持具4に建築板1を保持する。挿入突部5を差し込む被挿入孔2を適宜選択することによって、保持具4に対する建築板1の保持位置を変更することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、壁材等の建築板を施工する際に取り付ける構造に関するものである。
従来より、中空孔を有するセメント系の建築板を壁材や床材などとして用いることが行われている(例えば、特許文献1参照)。このような建築板を下地に取り付けるにあたっては、建築板の裏面(背面)にZ形のクランプ金具を設け、躯体などの下地にL形のアングル材を設け、アングル材の一片を建築板の裏面とクランプ材との間で挟持することによって、建築板をクランプ金具とアングル材とで下地に取り付けるようにしている。
特開平09−060192号公報
しかし、上記の従来例では、下地に対する建築板の取り付け位置を容易に変更することができないという問題があった。すなわち、下地に対して建築板を近接したり離間したりする場合には大きさの異なるアングル材を複数種類用意しておかなければならず、コストアップになるという問題があった。また、下地に対する建築板の距離を一定に保ちながら建築板の取り付け位置を上下左右(建築板が横長に施工される場合(いわゆる横張り施工)は上下方向に、また、建築板が縦長に施工される場合(いわゆる縦張り施工)は左右方向)に変える場合は、下地に対するアングル材の取り付け位置や建築板に対するクランプ金具の取り付け位置を変更しなければならず、作業に手間がかかりコストアップになるという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、コストアップにならないようにして下地に対する建築板の取り付け位置を容易に変更することができる建築板の取り付け構造を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る建築板の取り付け構造は、建築板1の対向する両端面に複数個の被挿入孔2、2…を建築板1の少なくとも厚み方向に並べて設け、下地3に取り付けた保持具4に挿入突部5を設け、挿入突部5を被挿入孔2に差し込むことによって保持具4に建築板1を保持して成ることを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係る建築板の取り付け構造は、請求項1において、建築板1を貫通するように被挿入孔2を形成して成ることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係る建築板の取り付け構造は、請求項1又は2において、複数枚の建築板1、1…を厚み方向と直交する方向に並べて配設し、一部の建築板1aを他の建築板1bに対して厚み方向で位置ずれさせて配置して成ることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、挿入突部5を差し込む被挿入孔2を適宜選択することによって、保持具4に対する建築板1の保持位置を変更することができる。従って、施工現場等に応じて大きさの異なる複数種の保持具4を用意したり下地3に対する保持具4の取り付け位置を変更したりしなくても、下地3に対して建築板1を近接離間したり、下地3に対する建築板1の距離を一定に保ちながら建築板1の取り付け位置を上下左右に変えたりすることができ、コストアップにならないようにして下地3に対する建築板1の取り付け位置を容易に変更することができるものである。
請求項2の発明では、被挿入孔2を挿入突部5を差し込むだけでなく、空気や排水の流路などとして用いることができ、壁や床に容易に機能を付与することができるものである。
請求項3の発明では、位置ずれさせた建築板1aと下地3との間に空間を形成することができ、壁の一部のみに空気層を容易に形成することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図2に本発明の建築板1を示す。この建築板1は上下方向に長くて幅方向に短く、且つ略平板状に形成されている。また、建築板1の内部には多数個の被挿入孔2、2…が形成されており、いわゆるハニカムパネルを用いることができる。被挿入孔2は上下方向に長く連続するように形成されており、被挿入孔2の上端は建築板1の上端面に開口していると共に被挿入孔2の下端は建築板1の下端面に開口している。被挿入孔2の個数や直径は建築板1の板厚や幅寸法などに応じて適宜設定することができるが、少なくとも建築板1の厚み方向には規則的に複数個の被挿入孔2、2…を並べて配置するようにする。また、建築板1の幅方向にも規則的に複数個の被挿入孔2、2…を並べて配置することができる。図2のものでは、建築板1の厚み方向に五個の被挿入孔2、2…が並ぶ列と、建築板1の厚み方向に四個の被挿入孔2、2…が並ぶ列とがあり、各列が建築板1の幅方向に交互に並んで形成されている。また、被挿入孔2の断面形状は円形や四角形、六角形などの任意の形状に形成することができる。尚、図2の建築板1では、上下に対向する上端面と下端面に被挿入孔2を開口させているが、これに限らず、建築板1の左右に対向する両方の側端面に被挿入孔2を開口させてもよい。また、建築板1は上下方向に長く形成する場合だけでなく、横方向に長く形成しても良い。
上記のような建築板1は無機系、樹脂系、金属系などの任意の材料で形成することができるが、セメントと水と油性物質を主成分とするセメント含有逆エマルジョン組成物からなるセメント系成形材料を用いることができる。これにより、多数の被挿入孔2を有する基板1を押し出し成形により容易に形成することができ、また、吸水が少なく寒冷地において凍結が発生し難くなるものである。この組成物において、セメントと水の比率は任意に設定することができるが、重量比率で、セメント1に対して水0.3〜2の範囲が一般的に好ましい。
セメントとしては、特に制限されるものではないが、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、アルミナセメント、ハイアルミナセメント、シリカフュームセメントなどを挙げることができるものであり、これらを一種単独で用いたり、二種以上を併用したりすることができる。油性物質は水と逆エマルジョン(W/Oエマルジョン)を形成するためのものであり、特に制限されるものではないが、通常は疎水性の液状物質が利用され、例えばトルエン、キシレン、灯油、スチレン、ジビニルベンゼン、メチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができ、これらを一種単独で用いたり、二種以上を併用したりすることができる。油性物質の配合量は、セメント含有逆エマルジョン組成物中の水と固形分の総量に対して5〜10体積%の範囲が好ましい。セメント含有逆エマルジョン組成物には上記の成分の他に、乳化剤を配合することが好ましい。乳化剤は逆エマルジョンに安定性を付与するために配合されるものであり、例えばソルビタンセスキオール、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ジエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセロールモノオレート等の非イオン界面活性剤、各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を用いることができる。乳化剤の配合量はセメント含有逆エマルジョン組成物中の水と固形分の総量に対して1〜3体積%の範囲が好ましい。セメント含有逆エマルジョン組成物中にはさらに、適宜量の補強材や各種添加剤を配合することができる。補強材としては、例えば砂利、パーライト、シラスバルーン、ガラス粉、アルミナシリケートなどの骨材、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維等の合成繊維や、炭素繊維、ガラス繊維、パルプなどの補強繊維を挙げることができる。
以下に、建築板1の製造方法の一例を示す。まず、乳化剤(例えば、ヤシ油1.0〜2.0質量部)、スチレンモノマー4.0〜6.0質量部、水35.0〜50.0質量部及び適量の架橋剤と重合開始剤とを混合して逆エマルジョンを作製する。次に、この逆エマルジョン100質量部と、セメント70〜90質量部と、有機系軽量化材0.3〜5.0質量部と、補強繊維1.0〜2.0質量部、或いは上記逆エマルジョン100質量部と、セメント55.0〜75.0質量部と、無機系軽量化材15.0〜35.0質量部と、補強繊維1.0〜2.0質量部とを強制攪拌機あるいは連続混合機にて混合してセメント含有逆エマルジョン組成物を調製する。次に、セメント含有逆エマルジョン組成物を押出成形機に投入して成形シートを押し出し成形する。このとき、押出成形機にはあらかじめ成型しようとする中空断面形状の口金を取り付けておく。この後、押出成形機から押し出し成形された中空断面形状の成形シートをトレイで受け取る。次に、成形シートを蒸気養生を行って硬化させた後、表面や端面の仕上げ加工を行うと共に所定の寸法に裁断して建築板1を形成する。この後、必要に応じて実加工を行ってもよい。
図3に保持具4の一例を示す。保持具4は金具などで形成することができ、下保持具4aと上保持具4bとを用いることができる。下保持具4aは水平板状の支持片10と、支持片10の一端からほぼ垂直上方に向かって突出させた固定片11と、支持片10の上面に突設された複数本の挿入突部5、5…とを備えて形成されている。固定片11には複数個の固定孔11aが厚み方向に貫通して形成されている。また、挿入突部5は三本であり、そのうち二本が横方向に並び、この二本よりも支持片10の先端側に残りの一本が設けられている。上保持具4bは水平板状の押さえ片12と、押さえ片12の一端からほぼ垂直上方に向かって突出させた固定片11と、押さえ片12の上記一端からほぼ垂直下方に向かって突出させたスペーサ片13と、押さえ片12の下面に突設された複数本の挿入突部5、5…とを備えて形成されている。固定片11には複数個の固定孔11aが厚み方向に貫通して形成されている。また、挿入突部5は三本であり、そのうち二本が横方向に並び、この二本よりも押さえ片12の先端側に残りの一本が設けられている。
そして、上記の建築板1と保持具4とを用いて外壁等を形成するにあたっては、以下のようにする。まず、壁下地などの下地3の屋外側に下保持具4aを取り付ける。下地3は、基礎20と土台21及び土台21上に立設される柱や胴縁などの複数本の下地材22を備えたものを例示することができる。この下地3の土台21の屋外面には土台水切り23を取り付けることができる。また、下地3の全部の下地材22、22…の屋外側を全体にわたって覆うようにして通気防水シート24が配設されている。そして、通気防水シート24の屋外側に下保持具4aの固定片11を当接させながら、その固定孔11aからビスなどの固定具を下地材22に打ち込むことによって、通気防水シート24を介して下保持具4aを下地材22に取り付けることができる。
次に、下地3に取り付けた上記の下保持具4aに建築板1を保持させる。この場合、建築板1の下端面に開口する被挿入孔2を下保持具4aの挿入突部5に差し込みながら、建築板1を下保持具4aの支持片10に載置する。次に、建築板1に上保持具4bを取り付ける。この場合、建築板1の上端面に開口する被挿入孔2に上保持具4bの挿入突部5を差し込みながら、建築板1の上に上保持具4bを取り付ける。尚、上保持具4bは建築板1を下保持具4aに載置する前に取り付けておいても良い。また、下保持具4aの各挿入突部5を差し込む被挿入孔2と上保持具4bの各挿入突部5を差し込む被挿入孔2とは上下に連なった同じ被挿入孔2である。次に、建築板1の裏面側(背面側)に突出した上保持具4bの固定片11を通気防水シート24の屋外側に当接させながら、その固定孔11aからビスなどの固定具を下地材22に打ち込むことによって、通気防水シート24を介して上保持具4bを下地材22に取り付ける。このようにして上保持具4bと下保持具4aとで建築板1を挟んで保持することによって、建築板1を下地3に取り付けることができる。そして、下保持具4a、建築板1、上保持具4bの各取り付け作業を繰り返すことにより複数枚の建築板1、1…を横方向に並べて外壁等の壁を形成することができるものである。
図1のものでは、建築板1と通気防水シート24との間に空間を設けて通気層25として形成している。従って、挿入突部5の差し込む被挿入孔2は建築板1の厚み方向に並ぶ複数個の被挿入孔2、2…のうち、比較的下地3に近い方(屋内側)に位置する被挿入孔2である。一方、図4に示すものでは、建築板1と通気防水シート24との間にほとんど空間を設けずに形成している。従って、挿入突部5の差し込む被挿入孔2は建築板1の厚み方向に並ぶ複数個の被挿入孔2、2…のうち、比較的下地3から遠い方(屋外側)に位置する被挿入孔2である。
このように本発明では、保持具4の下地3からの突出長さを変えることなく、建築板1を下地3に対して近接離間することができる。また、下地3に対する保持具4の取り付け位置を変更しなくても、保持具4に対して建築板1を横方向に移動させて、挿入突部5を差し込む被挿入孔2を変更することによって、下地3に対する建築板1の距離を一定に保ちながら建築板1の取り付け位置を上下左右に変えたりすることができる。従って、施工現場等に応じて大きさの異なる複数種の保持具4を用意する必要がなく、また、建築板1の取り付け位置も容易に変更できるために、コストアップにならないようにすることができる。尚、建築板1と通気防水シート24との間に空間を設けない場合は、建築板1の下部裏面と下地3との間に下保持具4aの固定片11が介在すると共に、建築板1の上部裏面と下地3との間に上保持具4bのスペーサ片13が介在するために、建築板1を傾かないように取り付けることができる。
また、本発明では、図5に示すように、横方向に並べて取り付けた建築板1、1…のうち、一部の建築板1aのみを下地3から離間した位置に取り付け、他の建築板1bは下地3に近接させた位置に取り付けるようにすることができる。この場合、外壁の一部のみに通気層25を形成することができる。しかも、下地3から離間する建築板1aや保持具4は、下地3に近接させた建築板1bや保持具4と同じものを使用できるものであり、コストアップにならないようにして下地3に対する建築板1の取り付け位置を容易に変更することができるものである。
図6に建築板1を用いた壁構造及び床構造の一例を示す。壁構造(真壁)は、一対の柱30、30の間に複数枚の建築板1、1…を配置して形成されている。隣接する建築板1、1は実接合されるが、オープンジョイントにより若干の隙間31を設けるようにしている。また、建築板1の屋内側には胴縁32を介して機能性内装材33が設けられている。また、床構造は複数本の根太34、34…の上に、複数枚の建築板1、1…敷設している。また、建築板1の上にはシート状の床表面材35を敷設している。そして、上記壁構造や床構造を形成するにあたって、上記の建築板1の取り付け構造を採用することができる。
1 建築板
2 被挿入孔
3 下地
4 保持具
5 挿入突部
2 被挿入孔
3 下地
4 保持具
5 挿入突部
Claims (3)
- 建築板の対向する両端面に複数個の被挿入孔を建築板の少なくとも厚み方向に並べて設け、下地に取り付けた保持具に挿入突部を設け、挿入突部を被挿入孔に差し込むことによって保持具に建築板を保持して成ることを特徴とする建築板の取り付け構造。
- 建築板を貫通するように被挿入孔を形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の建築板の取り付け構造。
- 複数枚の建築板を厚み方向と直交する方向に並べて配設し、一部の建築板を他の建築板に対して厚み方向で位置ずれさせて配設して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築板の取り付け構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008054878A JP2009209612A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 建築板の取り付け構造 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008054878A JP2009209612A (ja) | 2008-03-05 | 2008-03-05 | 建築板の取り付け構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009209612A true JP2009209612A (ja) | 2009-09-17 |
Family
ID=41183037
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009209612A (ja) |
-
2008
- 2008-03-05 JP JP2008054878A patent/JP2009209612A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
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