JP2009206763A - デジタル増幅装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電源共通インピーダンスによるノイズを低減するデジタル増幅装置を提供する。
【解決手段】電源部1から出力された電源は、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bを介して、夫々第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに与えられる。第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bは、電源部1と、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々との間に形成された電源共通インピーダンス中に介挿されており、電源共通インピーダンスを分離する。第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bは、第1入力端子及び第2入力端子から夫々与えられたオーディオ信号から変調されて得た変調信号により、電源部1から与えられる電源をスイッチング制御して増幅し、第1出力端子及び第2出力端子に与えてオーディオパワー信号として出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電源部及び複数の増幅器夫々との間の電源共通インピーダンスによるノイズを低減するデジタル増幅装置に関する。
近年、オーディオ信号の出力を増幅する増幅装置として、電力効率が良いために発熱が少なく、小型化及び軽量化に優れたデジタル増幅装置が使われるようになってきている。デジタル増幅装置に用いられるD級増幅器は、入力されたオーディオ信号で電源を直接スイッチングして増幅し、オーディオパワー信号として出力する。オーディオ信号に急激な振幅変動が生じた場合、D級増幅器に供給する電源を制御してオーディオパワー信号の歪みを抑えるデジタル増幅装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のデジタル増幅装置においては、入力されたオーディオ信号の振幅の変化と同期してD級増幅器に供給される電源の電源供給量を調整することにより、オーディオパワー信号に生じる歪みを抑制する方法が用いられている。
図8は、従来技術におけるデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。一般にスピーカ及びヘッドフォン等で再生されるオーディオ信号は、例えば右チャンネル及び左チャンネル等を含む2チャンネル以上の複数チャンネルを有しているため、夫々のチャンネル毎に増幅すべく複数のD級増幅器がデジタル増幅装置には設けられている。複数のD級増幅器が互いの回路電流に共通する電源経路を介して一つの電源と接続される場合、係る電源経路は電源共通インピーダンスと呼ばれる。図8に示す例では、2チャンネルを有するオーディオ信号に対応して夫々のチャンネルのオーディオ信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子を備えている。
電源部11から出力される電源は、電源線L11を介して第1D級増幅器12a及び第2D級増幅器12bに与えられる。第1入力端子及び第2入力端子に夫々入力されたオーディオ信号は、第1D級増幅器12a及び第2D級増幅器12bに与えられて変調される。第1D級増幅器12a及び第2D級増幅器12bは、夫々がオーディオ信号を変調して得た変調信号に基づいて電源部11から与えられる電源をスイッチング制御することで、オーディオ信号を増幅し、オーディオパワー信号として第1出力端子及び第2出力端子に夫々出力する。電源線L11は、第1D級増幅器12a及び第2D級増幅器12bが電源線の接地線(図示せず)を共有する電源共通インピーダンスとなっている。
この状態で、例えば第1D級増幅器12aに入力されたオーディオ信号に急激な振幅変動が生じた場合、又は外部から設定される第1D級増幅器12aの入力レベルが大きく変化した場合、第1D級増幅器12aを流れる回路電流が大きく変動するに伴い電源線L11から接地線へ流れる電流が変化し、その結果、電源線L11の電位が変動する。電源線L11の電位の変動は、第2D級増幅器12bを流れる回路電流に干渉するノイズとなり、第2D級増幅器12bにより増幅されて歪みが生じたオーディオパワー信号が第2出力端子に出力される。デジタル増幅装置は、D級増幅器により、オーディオ信号から変換された変調信号で電源をスイッチング制御してオーディオパワー信号を出力するため、電源から供給されてD級増幅器を流れる回路電流の大部分をオーディオパワー信号による電流が占める。従って、デジタル増幅装置が出力するオーディオパワー信号において、電源共通インピーダンスによるノイズが与える影響は大きなものとなる。
図9及び図10は、夫々オーディオ信号及び従来技術におけるオーディオパワー信号の周波数特性の例を示すグラフである。図10に示すオーディオパワー信号は、図9に示された周波数10Hzから周波数100kHzまでの周波数特性を有するオーディオ信号を第1D級増幅器12a及び第2D級増幅器12bに夫々入力した場合、第1D級増幅器12aから出力されるオーディオパワー信号の周波数10Hzから周波数100kHzまでの周波数特性の測定結果を示している。図9に示すオーディオ信号の周波数10kHz付近の領域9aと対応しており、図10に示すオーディオパワー信号の領域10aには、電源共通インピーダンスによる混調ノイズが周波数10kHzを中心とした正規分布状に分布しており、オーディオパワー信号に歪みが生じている。
特開2006−109133号公報
しかしながら、特許文献1に記載のデジタル増幅装置で用いられる方法は、前述の電源共通インピーダンスによるノイズがオーディオパワー信号に生じさせる歪みを抑制することが出来ないという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電源部の出力端及び複数のD級増幅器夫々の電源入力端の間に形成される電源共通インピーダンス中にレギュレータを介挿することにより、電源部及び複数のD級増幅器夫々の間の電源共通インピーダンスを分離して電源共通インピーダンスによるノイズを低減し、オーディオパワー信号に生じる歪みを抑制することが可能となるデジタル増幅装置を提供することを目的とする。
本発明に係るデジタル増幅装置は、入力された複数のオーディオ信号を増幅して出力する複数のD級増幅器と、該複数のD級増幅器に電源を与える電源部とを備え、前記電源を与えられた前記複数のD級増幅器で複数のオーディオ信号を増幅するデジタル増幅装置において、前記電源部の出力端及び複数のD級増幅器の電源入力端夫々の間に形成される電源共通インピーダンス中に介挿されたレギュレータを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、複数チャンネルのオーディオ信号がデジタル増幅装置に入力され、夫々のチャンネルのオーディオ信号が複数のD級増幅器に各入力される。複数のD級増幅器夫々は、オーディオ信号を変調して変調信号を得ると共に、電源部からレギュレータを介して与えられた電源を変調信号によりスイッチングしてオーディオ信号を増幅する。電源部と複数のD級増幅器夫々との間を結んでおり、複数のD級増幅器が共有する給電線に形成された電源共通インピーダンス中に介挿されたレギュレータは、レギュレータを構成する負帰還増幅回路が有する高い入出力インピーダンスにより、電源共通インピーダンスを分離して電源共通インピーダンスによるノイズを低減する。
本発明に係るデジタル増幅装置は、前記レギュレータの出力端に前記複数のD級増幅器と並列接続された負荷部をさらに備えることを特徴とする。
本発明にあっては、レギュレータの出力端に接続された複数のD級増幅器及び複数のD級増幅器と並列接続された負荷部とを夫々流れる電流の合計がレギュレータから出力される。レギュレータは、電源部から与えられた電源を負帰還増幅回路により定電圧化して複数のD級増幅器及び負荷部に与える。複数のD級増幅器を流れる回路電流が少ない場合であっても、負荷部を常に流れる一定以上の電流により、レギュレータを構成する負帰還回路の出力側には一定以上の負荷がかかることで安定した定電圧動作に必要な負帰還がかかる。複数のD級増幅器には、レギュレータから安定した定電圧が与えられてオーディオパワー信号に生じる歪みが低減される。
本発明に係るデジタル増幅装置は、前記レギュレータは、前記複数のD級増幅器と1対1の関係で複数備えることを特徴とする。
本発明にあっては、電源部が出力する電源が、複数のレギュレータ夫々の入力端に入力され、複数のレギュレータ夫々を介して対応する複数のD級増幅器夫々に与えられる。複数のレギュレータ夫々は、対応する複数のD級増幅器夫々に電源として安定化された定電圧を出力する独立した仮想電源として機能し、電源共通インピーダンスによるノイズを低減する。
本発明に係るデジタル増幅装置は、前記複数のD級増幅器に設定される入力レベルを調整する入力調整部をさらに備え、前記レギュレータは、複数の位相補償回路と、前記入力調整部が調整した入力レベルに基づいて前記複数の位相補償回路のうち、一つの位相補償回路を選択する選択部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、複数のD級増幅器に設定される入力レベルが入力調整部により調整される。複数のD級増幅器に設定される入力レベルによってレギュレータの出力側負荷が変化し、レギュレータは、入力レベルの調整に伴い変化した出力側負荷に対して安定した定電圧動作を行うべく、出力側負荷に応じた位相補償回路、すなわち調整された入力レベルに応じた位相補償回路を複数の位相補償回路から選択する。レギュレータを構成する負帰還回路と、選択された一つの位相補償回路は、電源部から与えられた電源を出力側負荷に適した位相補償を行って負帰還増幅することにより、安定した定電圧を複数のD級増幅器に与えてオーディオパワー信号に生じる歪みを抑制する。
本発明に係るデジタル増幅装置は、電源部の出力端及び複数のD級増幅器夫々の電源入力端の間に形成される電源共通インピーダンス中にレギュレータを介挿することにより、電源部及び複数のD級増幅器夫々の間の電源共通インピーダンスを分離して電源共通インピーダンスによるノイズを低減し、オーディオパワー信号に生じる歪みを抑制することが可能となる。
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。図1は、実施の形態1に係るデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。図1に示す例では、2チャンネルを有するオーディオ信号に対応して夫々のチャンネルのオーディオ信号が入力される第1入力端子及び第2入力端子と、第1入力端子及び第2入力端子から与えられたオーディオ信号を夫々スイッチング増幅してオーディオパワー信号に変換する第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bと、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bが増幅して得たオーディオパワー信号夫々を外部に接続される図示しないスピーカ等に出力する第1出力端子及び第2出力端子とを備えている。
また、電源を出力する電源部1と、電源部1の出力端に電源線L1により並列接続されており、定電圧回路で構成された第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bとを備えている。電源部1は、例えば電力損失が少なくできるため、高精度及び高効率であるスイッチング制御方式の電源等を用いると良い。第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力端は、夫々第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bの入力端に接続されている。電源部1から出力された電源は、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの入力端に与えられる。
第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bは、出力電圧を入力側に帰還させて入力電圧を負帰還増幅することにより、電源部1から与えられる入力電圧の変動及び出力側に接続された第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々の負荷変動に対して一定となるよう電源を制御して第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに夫々出力するよう構成されている。これにより、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bは、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々に電源として安定化された定電圧を出力する独立の仮想電源として機能する。
第1入力端子及び第2入力端子に入力されたオーディオ信号夫々は、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに与えられる。第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2b夫々を介して電源部1から電源を与えられた第1D級増幅器3a及び第2増幅器3bは、第1入力端子及び第2入力端子夫々から与えられたオーディオ信号をPWM(Pulse Width Modulation)等の変調方式により変調して変調信号を得る。第1D級増幅器3a及び第2増幅器3b夫々は、得られた変調信号により電源をスイッチング制御してオーディオ信号を増幅し、オーディオパワー信号として第1出力端子及び第2出力端子に出力する。
第1出力端子及び第2出力端子夫々は、外部に設けられた第1チャンネル用及び第2チャンネル用のスピーカ(図示せず)にオーディオパワー信号を出力して再生音を放音させる。第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bへ電源を与える給電線Pa及びPbは、夫々独立しているため、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bとの間で電源共通インピーダンスを形成しない。すなわち、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bを構成する後述の負帰還増幅回路が有する高い入出力インピーダンスによって電源部1と、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々との間の電源共通インピーダンスが分離されている。
電源共通インピーダンスの分離により、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々の出力端における負荷変動が、給電線Pa、Pbに与えられている電源を変動させることがない。例えば、第1入力端子から第1D級増幅器3aに与えられたオーディオ信号の振幅が大きく変動して第1D級増幅器3aを流れる回路電流が大きく変動した場合、電源共通インピーダンスが分離されているため、第1D級増幅器3aにおける回路電流の変動による給電線Paにおける電位の変動が、第2D級増幅器3bに電源を与える給電線Pbに伝わることがない。
図2は、実施の形態1に係る第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの例を示す回路図である。第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2b夫々は、負帰還制御して定電圧を出力する負帰還増幅回路で構成されている。レギュレータの入力端となる入力端子は、FETのドレインと、トランジスタTr1及びTr2のコレクタとに接続されている。トランジスタTr1のエミッタは、抵抗R1を介してトランジスタTr2のベースと接続されている。トランジスタTr2のエミッタは、レギュレータの出力端となる出力端子と接続されている。FET(Field Effect Transistor)のソース及びゲートは一点で接続されて可変シャントレギュレータSRのカソードK及びトランジスタTr1のベースに接続されている。可変シャントレギュレータSRのアノードAは接地部GND1に接地されている。
トランジスタTr2のエミッタには、出力端子と並列にコンデンサCp及び抵抗R2が接続されており、抵抗R2は直列に接続された抵抗R3を介して接地部GND2に接地されている。また、コンデンサCpには、抵抗Rpが直列に接続され、抵抗Rpと抵抗R2及び抵抗R3の接続点とは、共に可変シャントレギュレータSRのレファレンスRに接続されている。可変シャントレギュレータSRは、リファレンスRに入力されるレファレンス電圧によってカソードKの電圧が制御される素子である。また、FETは、定電流源として機能する。コンデンサCp及び抵抗Rpは、負帰還増幅回路の発振を防止すると共に出力端子における出力電圧の瞬時の電圧変動に対して負帰還制御が高速に応答するよう設けられた位相補償CR回路をなす。
位相補償CR回路におけるコンデンサCpのコンデンサ容量及び抵抗Rpの抵抗値は、負帰還増幅回路の位相補償定数を与え、出力端子側の負荷、すなわち第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bを流れる回路電流及びオーディオ信号の周波数特性等に基づいて安定及び高速な負帰還制御が行われるよう予め経験的に選択すると良い。可変シャントレギュレータSRのリファレンスRには、出力端子における出力電圧が抵抗R2及び抵抗R3により分圧されてリファレンス電圧として入力される。出力端子から出力される電圧の電圧値は予め設定されており、抵抗R2及び抵抗R3の抵抗比は、予め設定された出力電圧の電圧値及び可変シャントレギュレータSRが内蔵する基準電圧源(図示せず)が発生する基準電圧との比と略同一となるよう選択される。ここで、図2に示す回路図の例において出力電圧が一定となるよう制御する負帰還制御について説明する。
出力電圧が予め設定された電圧よりも高い場合、すなわち可変シャントレギュレータSRのリファレンスRに入力されたリファレンス電圧が内蔵する基準電圧源が出力する基準電圧よりも高い場合、可変シャントレギュレータSRのカソードKの電圧が低い状態になり、FETのソースから出力される定電流がカソードK―アノードA間を流れる。可変シャントレギュレータSRのカソードK―アノードA間に流れる電流によりトランジスタTr1のベース電流が減少するため、トランジスタTr1のコレクタ―エミッタ間の電流が減少し、続いて抵抗R1を介してトランジスタTr2のベースに印加されるベース電位が減少する。トランジスタTr2のベース電位の減少により、トランジスタTr2から出力される出力電圧が減少する。
また、出力電圧が予め設定された電圧よりも低い場合、すなわち可変シャントレギュレータSRのリファレンスRに入力されたリファレンス電圧が内蔵する基準電圧源が出力する基準電圧よりも低い場合、可変シャントレギュレータSRのカソードKの電圧が高い状態になり、FETのソースから出力される定電流がカソードK―アノードA間を流れず、トランジスタTr1のベース電流が増大する。これにより、トランジスタTr1のコレクタ―エミッタ間の電流が増大し、続いて抵抗R1に接続されたトランジスタTr2のベース電位が増加する。
トランジスタTr2のベース電位の増加により、トランジスタTr2から出力される出力電圧が増加する。以上に示した負帰還制御により、出力電圧が予め設定された出力電圧となるよう制御される。このシリーズレギュレータ回路が仮想電源となり、電源部1から第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに夫々電源を与える給電線Pa及びPbに含まれる接地線による電源共通インピーダンスを分離する。
図3は、実施の形態1に係るオーディオパワー信号の周波数特性の例を示すグラフである。図3は、図2に示す回路図により構成された第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bを備えるデジタル増幅装置に、図9に示す周波数特性を有するオーディオ信号を入力した場合、第1D級増幅器3aから出力されるオーディオパワー信号の周波数10Hzから周波数100kHzまでの周波数特性の測定結果を示している。図3に示すオーディオパワー信号の周波数10kHz付近の領域3dは、図9に示すオーディオ信号の領域9aと略同一の信号強度分布を示しており、図10の領域10aに示す従来技術におけるデジタル増幅装置が出力するオーディオパワー信号に生じた電源共通インピーダンスによる混調ノイズが発生していない。
本実施の形態1において2チャンネルのオーディオ信号が入力されるデジタル増幅装置を示したが、2チャンネルに限るものではなく、チャンネル数分の入力端子、D級増幅器及び出力端子を備えており2チャンネル以上のオーディオ信号が入力されるデジタル増幅装置であっても良い。複数のレギュレータは、複数のD級増幅器と1対1に対応するよう構成する場合が電源共通インピーダンスによるノイズを低減するために最も好ましいが、これに限るものではなく、複数のD級増幅器を夫々複数からなる複数のグループに分類し、各グループと1対1に対応するようレギュレータを設けても良い。また、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bを構成する負帰還増幅回路として示した図2の例は、公知の技術であり、これに限るものではなく、高い入出力インピーダンスを有しており、入力側の接地部と出力側の接地部が分離される定電圧回路であれば良い。
電源部1、第1レギュレータ2a、第2レギュレータ2b、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bは、同一基板上に配置してデジタル増幅装置に実装する場合に限らず、電源部1が配置された電源基板と、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bが配置されたアンプ基板とに分離して実装しても良い。この場合、電源基板とアンプ基板とを接続する給電線によるノイズの発生を抑制すべく第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bは第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bが配置されたアンプ基板上に配置すると良い。
実施の形態2
図4は、実施の形態2に係るデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。本実施の形態2は、実施の形態1が第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力側負荷が軽負荷となる場合を含んでいるのに対して、出力側負荷が常に一定以上の負荷となるよう構成されている。図4に示す例では、実施の形態1に係るデジタル増幅装置の給電線Pa及びPb夫々に第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bと並列に第1表示部5a及び第2表示部5bが各接続されている。
また、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々には、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々に設定されるオーディオ信号の入力レベルを調整する第1入力調整部(入力信号)4a及び第2入力調整部(入力信号)4bを備えている。第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々には、予め設定された増幅率に固定されており、第1入力端子及び第2入力端子から第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々に入力されるオーディオ信号の入力レベルを第1入力調整部(入力信号)4a及び第2入力調整部(入力信号)4bで調整することにより、第1出力端子及び第2出力端子を介して出力するオーディオパワー信号の出力レベルが調整可能に構成されている。
第1表示部5a及び第2表示部5bは、夫々DC−DCコンバータ等からなる電圧変換回路と、電圧変換回路から与えられた電圧により点灯するLED点灯回路とから構成されており、デジタル増幅装置が動作している間、常時一定以上の回路電流が流れることにより、一定以上の負荷を第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力側に与える負荷回路(負荷部)として機能する。第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力側負荷の主な負荷となる第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bにおける回路電流は、第1入力調整部4a及び第2入力調整部4b夫々により調整される入力レベルによって変化する。
第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力電流が小さい場合、すなわち出力側負荷が軽負荷となる場合、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bを構成する負帰還増幅回路における負帰還制御は、十分な負帰還がかからないために出力電圧の変動に対する速応性が劣化する。第1表示部5a及び第2表示部5bに流れる回路電流は、第1D級増幅器3a又は第2D級増幅器3bに小さな入力レベルが設定された場合であっても、第1表示部5a及び第2表示部5bを流れる回路電流により、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力側負荷を常に一定以上にすることで軽負荷による速応性の劣化を防止する。
図5は、出力側負荷の異なる第1レギュレータ2aの周波数特性の例を示すグラフである。周波数特性の横軸及び縦軸は、夫々周波数及びゲインを示す。図5は、図2に示した回路図で構成された第1レギュレータ2aに電源が入力された場合の周波数特性を示している。周波数特性においてゲインが0となる周波数、すなわちゲイン交差周波数は、高い値を示す程、速応性が改善されていることを示す。図5(a)は、第1表示部5aが接続されていない実施の形態1における第1レギュレータ2aの周波数特性の測定結果を示しており、第1レギュレータ2aの出力側負荷は第1D級増幅器3aのみを流れる回路電流0.1Aの軽負荷となっている。軽負荷における第1レギュレータ2aの周波数特性は、ゲイン交差周波数7.6kHzを示している。
図5(b)は、第1表示部5aが接続された本実施の形態2における第1レギュレータ2aの周波数特性の測定結果を示しており、第1レギュレータ2aの出力側負荷は、通常負荷である第1D級増幅器3a及び通常負荷に対して小さい比率を有する負荷である第1表示部5aを流れる回路電流の合計0.5Aとなっている。通常負荷における第1レギュレータ2aの周波数特性は、軽負荷におけるゲイン交差周波数7.6kHzよりも高いゲイン交差周波数45.5kHzを示している。第1入力調整部4aにより第1D級増幅器3aに設定される入力レベルに関わらず、第1レギュレータ2aの出力側負荷は、常に通常負荷と通常負荷に対して小さい比率を有する負荷とからなり、高いゲイン交差周波数が得られる。これにより、軽負荷による負帰還制御の速応性の劣化を防止して第1D級増幅器3a又は第2D級増幅器3bに安定した定電圧となる電源を与え、電源の変動によりオーディオパワー信号に生じる歪みを抑制する。
本実施の形態2においては、電圧変換回路及びLED点灯回路からなる第1表示部5a及び第2表示部5bが負荷回路として機能する場合を示したが、これに限るものではなく第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bが増幅動作を行っている間、常に一定以上の回路電流が流れて第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bの出力側負荷が一定以上の負荷となる回路であれば良い。
本実施の形態2においては、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3b夫々に設定される入力レベルを独立して調整すべく第1入力調整部4a及び第2入力調整部4bを備える例を示したが、これに限るものではなく第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに略同一の入力レベルが設定され、係る入力レベルを調整すべく一つの入力調整部が備えられていても良い。また、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2b夫々に接続された第1表示部5a及び第2表示部5bを備える例を示したが、これに限るものではなく、第1レギュレータ2a及び第2レギュレータ2bに共有の負荷回路となる一つの表示部が備えられていても良い。
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態3
図6は、実施の形態3に係るデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。本実施の形態3は、実施の形態2がレギュレータの出力側負荷を常に一定以上の負荷とすることにより負帰還制御の速応性を改善するのに対して、レギュレータの出力側負荷に応じて位相補償定数の値を選択することにより、位相余裕を確保して負帰還制御の速応性を改善するよう構成されている。図中6a及び6bは、夫々複数の位相補償CR回路を備える第1レギュレータ及び第2レギュレータである。
また、デジタル増幅装置は、第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに設定する入力レベルを調整すると共に、調整した入力レベルに基づいて第1レギュレータ6a及び第2レギュレータ6bに設けられた複数の位相補償CR回路のうち一つに切替える切替信号を出力する第1入力調整部7a及び第2入力調整部7bを備える。第1入力調整部7a及び第2入力調整部7bは、回転部を有するロータリー型デジタルポテンショメータ及び切替信号出力回路からなり、ポテンショメータが検出した回転部の回転角度が第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに設定される入力レベルと対応付けられている。
ポテンショメータが検出した回転角度が右回りに増大するに従って第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに設定される入力レベルが増加するよう構成されている。また、切替信号出力回路には、切替信号を出力する閾値となる切替角度が予め設定されており、検出した回転角度が切替角度よりも小さい場合、すなわち第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bに設定される入力レベルが、切替角度と対応する入力レベルよりも小さい場合、切替信号を第1レギュレータ6a及び第2レギュレータ6bに備えられた切替信号入力夫々に出力する。
図7は、実施の形態3に係る第1レギュレータ6a及び第2レギュレータ6bの例を示す回路図である。可変シャントレギュレータSRのリファレンスRに、コンデンサCp1及び抵抗Rp1からなる低入力レベル用の位相補償CR回路と、コンデンサCp2及び抵抗Rp2からなる通常用の位相補償CR回路とが並列接続されており、夫々の位相補償CR回路は、切替スイッチSWを介して、いずれかが出力端子に接続されるよう構成されている。低入力レベル用及び通常用の位相補償CR回路におけるコンデンサCp1及びCp2のコンデンサ容量並びに抵抗Rp1及びRp2の抵抗値は、低入力レベル及び通常の入力レベルが設定された第1D級増幅器3a及び第2D級増幅器3bを流れる回路電流及びオーディオ信号の周波数特性等に基づいて安定で高速な負帰還制御が行われるよう予め経験的に選択すると良い。
切替スイッチSWはFET等で構成された電子スイッチであり、切替信号が切替信号入力に与えられない場合、通常用の位相補償CR回路を出力端子に接続し、切替信号を与えられた場合、低入力レベル用の位相補償CR回路が出力端子に接続されるよう切替える。第1入力調整部7a又は第2入力調整部7bに低入力レベルが設定されて第1レギュレータ6a及び第2レギュレータ6bの出力側負荷が軽負荷となった場合、低入力レベル用の位相補償CR回路に切替えられるため、出力側の負荷の大小に関わらず高速な負帰還制御に最適な位相補償が行われ周波数特性において高いゲイン交差周波数が得られる。これにより、軽負荷による負帰還制御の速応性の劣化を防止して第1D級増幅器3a又は第2D級増幅器3bに安定した定電圧となる電源を与え、電源の変動によりオーディオパワー信号に生じる歪みを抑制する。
本実施の形態3において第1レギュレータ6a及び第2レギュレータ6bは、低入力レベル用と通常用との2つの位相補償CR回路を備える場合を示したが、これに限るものではなく3つ以上の位相補償CR回路を備えても良い。この場合、第1入力調整部7a及び第2入力調整部7bは、複数の位相補償CR回路の個数分に対応した複数の切替角度が予め設定されており、複数の切替角度に応じて異なる識別情報を有する切替信号を出力するよう構成し、切替スイッチSWは、受付けた切替信号が有する識別情報に応じて複数の位相補償CR回路のうち一つに切替えるよう構成すると良い。
また、第1入力調整部7a及び第2入力調整部7bは、ロータリー型デジタルポテンショメータ及び切替信号出力回路からなる場合に限らず、デジタルオーディオ機器等で用いられる電子ボリューム及び制御マイコンを組み合わせたものでも良く、入力レベルを調整すると共に入力レベルの大小に応じて切替信号を出力するよう構成されておれば良い。
本実施の形態3は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1及び実施の形態2と同様であるので対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
実施の形態1に係るデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。 実施の形態1に係る第1レギュレータ及び第2レギュレータの例を示す回路図である。 実施の形態1に係るオーディオパワー信号の周波数特性の例を示すグラフである。 実施の形態2に係るデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。 出力側負荷の異なる第1レギュレータの周波数特性の例を示すグラフである。 実施の形態3に係るデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。 実施の形態3に係る第1レギュレータ及び第2レギュレータの例を示す回路図である。 従来技術におけるデジタル増幅装置の内部構成の例を示すブロック図である。 オーディオ信号の周波数特性の例を示すグラフである。 従来技術におけるオーディオパワー信号の周波数特性の例を示すグラフである。
符号の説明
1 電源部
2a,6a 第1レギュレータ
2b,6b 第2レギュレータ
3a 第1D級増幅器
3b 第2D級増幅器
4a,7a 第1入力調整部
4b,7b 第2入力調整部
5a 第1表示部
5b 第2表示部
L1 電源線
Pa、Pb 給電線

Claims (4)

  1. 入力された複数のオーディオ信号を増幅して出力する複数のD級増幅器と、該複数のD級増幅器に電源を与える電源部とを備え、前記電源を与えられた前記複数のD級増幅器で複数のオーディオ信号を増幅するデジタル増幅装置において、
    前記電源部の出力端及び複数のD級増幅器の電源入力端夫々の間に形成される電源共通インピーダンス中に介挿されたレギュレータを備えること
    を特徴とするデジタル増幅装置。
  2. 前記レギュレータの出力端に前記複数のD級増幅器と並列接続された負荷部を
    さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル増幅装置。
  3. 前記レギュレータは、
    前記複数のD級増幅器と1対1の関係で複数備えること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデジタル増幅装置。
  4. 前記複数のD級増幅器に設定される入力レベルを調整する入力調整部をさらに備え、
    前記レギュレータは、
    複数の位相補償回路と、
    前記入力調整部が調整した入力レベルに基づいて前記複数の位相補償回路のうち、一つの位相補償回路を選択する選択部と
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のデジタル増幅装置。
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