JP2009198656A - ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 防振時の偏心収差の発生が少なく、振動時にも良好な光学性能を維持することができ、防振のための駆動機構の小型化が容易な防振機能を有したズームレンズを得ること。
【解決手段】 変倍レンズ群を含む複数のレンズ群で構成される変倍群と、ズーミングに際して不動の複数のレンズ群を含み全体で正の屈折力の結像群を有し、結像群は正の屈折力のレンズ群と負の屈折力のレンズ群を含むレンズ構成を有しており、負の屈折力のレンズ群により像変位を行い、該負の屈折力のレンズ群は、正レンズと負レンズから構成されており、該負の屈折力のレンズ群の最も物体側の面は凹形状であり、該負の屈折力のレンズ群のうち少なくとも1面は非球面形状であり、該負の屈折力のレンズ群の焦点距離fn、該正の屈折力のレンズ群の焦点距離fpを適切に設定すること。
【選択図】 図1
【解決手段】 変倍レンズ群を含む複数のレンズ群で構成される変倍群と、ズーミングに際して不動の複数のレンズ群を含み全体で正の屈折力の結像群を有し、結像群は正の屈折力のレンズ群と負の屈折力のレンズ群を含むレンズ構成を有しており、負の屈折力のレンズ群により像変位を行い、該負の屈折力のレンズ群は、正レンズと負レンズから構成されており、該負の屈折力のレンズ群の最も物体側の面は凹形状であり、該負の屈折力のレンズ群のうち少なくとも1面は非球面形状であり、該負の屈折力のレンズ群の焦点距離fn、該正の屈折力のレンズ群の焦点距離fpを適切に設定すること。
【選択図】 図1
Description
本発明は、一眼レフカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、フィルム用カメラなどの撮像装置に用いられる防振機能を備えたズームレンズに関するものである。
撮影系に偶発的に振動が伝わると画像ブレが生じる。従来より、この偶発的な振動による画像のブレを補償する機構(防振機能)を具備したズームレンズが種々と提案されている。例えば光学系(ズームレンズ)を構成するレンズ群の一部を防振レンズ群とし、これを光軸と垂直な方向に移動させて振動による画像ブレを補償するズームレンズが知られている。
ズームレンズとして物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成される4群ズームレンズが知られている。
この4群ズームレンズにおいて、第1レンズ群の一部でフォーカスを行い、第2レンズ群を光軸と垂直な方向に移動させることによって画像ブレを補償するズームレンズが知られている(特許文献1)。
又、ズームレンズとして物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、正又は負の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群より構成される5群ズームレンズが知られている。
この5群ズームレンズにおいて第2、第3、第4レンズ群を移動させてズーミングを行い、第2レンズ群を移動させてフォーカスを行うズームレンズが知られている。
更にこの5群ズームレンズにおいて第5レンズ群を正、負、正の屈折力の3つのレンズ群で構成し、負の屈折力のレンズ群を光軸と垂直な方向に移動させることによって画像ブレを補償するズームレンズが知られている(特許文献2)。
又、ズームレンズとして物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群より構成される5群ズームレンズが知られている。
この5群ズームレンズにおいて、第5レンズ群を負、正の屈折力の2つのレンズ群で構成し、負の屈折力のレンズ群を光軸と垂直な方向に移動させることによって画像ブレを補償するズームレンズが知られている(特許文献3)。
特開2001−356381号公報
特開2002−162564号公報
特開平05−224160号公報
一般に、ズームレンズの一部のレンズ群を防振レンズ群とし、光軸に対して垂直方向に平行偏心させて画像ぶれの補正を行う防振レンズ系においては、比較的容易に画像ぶれを補正することができるという利点がある。
しかしながら防振時においては偏心収差の発生量が多くなってきて画質が低下してくる傾向がある。
防振時に偏心収差の発生を少なくするためには、防振レンズ群を多くのレンズ枚数で構成すれば良い。しかしながら防振レンズ群のレンズ構成枚数が多くなると高重量となる。防振レンズ群が高重量であると電気的な駆動を行う際に大きなトルクを必要とし、駆動手段が大型化してくる。
又、防振時の画像ぶれの補正の応答性が低下してくる。
又、防振レンズ系では、防振レンズ群を移動させる空間及び防振レンズ群を移動させる為の駆動手段を新たに必要とするため、レンズ系全体が大型化してくる。このため、防振レンズ群の防振の際の移動量を適切に設定することが重要となってくる。
即ち、防振レンズ群の屈折力を適切に設定することが重要になってくる。
防振レンズ群の屈折力が適切でないと一定量の画像ぶれを補正するための防振レンズ群の移動量が多くなり、駆動機構を含めた光学系全体が大型化してくる。
又、防振レンズ群がズーミング時に光軸方向に移動し、変倍作用を有するズームレンズでは、高い変倍作用を持たせるために防振レンズ群の屈折力を強めることがある。そうすると防振の際に偏心収差が多く発生し、光学性能が劣化してくる。
又、防振敏感度が高くなってくる。
ここで防振敏感度とは防振レンズ群の単位移動量ΔHに対する画像のブレの補正量ΔXとの比ΔX/ΔHで表わされる値である。
防振敏感度が高いと、一定量の防振効果を得るための防振レンズ群の偏心量(移動量)が小さくなりすぎて、その移動量を電気的又は機械的に精度良く駆動させるのが困難になってくる。
以上のような理由により、防振レンズ群は小型軽量であること、防振時に偏心収差の発生が少ないこと、かつ適切な屈折力を有すること、即ち適切な防振敏感度を有することなどが重要になってくる。
特に防振レンズ群の軽量化を図りつつ、かつ画像ぶれの補正時に光学的な性能劣化が少なく、同時に良好な画像ぶれの補正特性を得るためにはズームレンズ中の防振レンズ群の位置や防振レンズ群の屈折力等を適切に設定することが重要になってくる。
本発明は、防振時の偏心収差の発生が少なく、振動時にも良好な光学性能を維持することができ、防振のための駆動機構の小型化が容易な防振機能を有したズームレンズ及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
本発明のズームレンズは、物体側から像側へ順に、ズーミングに際して光軸方向に移動する変倍レンズ群を含む複数のレンズ群で構成される変倍群と、
ズーミングに際して光軸方向に不動の複数のレンズ群を含み全体で正の屈折力の結像群を有するズームレンズにおいて、
前記結像群はそのレンズ系中に物体側から像側へ順に正の屈折力のレンズ群と負の屈折力のレンズ群を含むレンズ構成を有しており、
前記負の屈折力のレンズ群を光軸に対し垂直方向の成分を持つように変位させることにより像変位を行い、該負の屈折力のレンズ群は、正レンズと負レンズから構成されており、該負の屈折力のレンズ群の最も物体側の面は凹形状であり、該負の屈折力のレンズ群のうち少なくとも1面は非球面形状であり、
該負の屈折力のレンズ群の焦点距離をfn、該正の屈折力のレンズ群の焦点距離をfpとするとき、
0.4 < |fn/fp| < 1.0
なる条件を満足することを特徴としている。
ズーミングに際して光軸方向に不動の複数のレンズ群を含み全体で正の屈折力の結像群を有するズームレンズにおいて、
前記結像群はそのレンズ系中に物体側から像側へ順に正の屈折力のレンズ群と負の屈折力のレンズ群を含むレンズ構成を有しており、
前記負の屈折力のレンズ群を光軸に対し垂直方向の成分を持つように変位させることにより像変位を行い、該負の屈折力のレンズ群は、正レンズと負レンズから構成されており、該負の屈折力のレンズ群の最も物体側の面は凹形状であり、該負の屈折力のレンズ群のうち少なくとも1面は非球面形状であり、
該負の屈折力のレンズ群の焦点距離をfn、該正の屈折力のレンズ群の焦点距離をfpとするとき、
0.4 < |fn/fp| < 1.0
なる条件を満足することを特徴としている。
本発明によれば、防振時の偏心収差の発生が少なく、振動時にも良好な光学性能を維持することができ、防振のための駆動機構の小型化が容易な防振機能を有したズームレンズが得られる。
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
本発明のズームレンズは、物体側から像側へ順に、ズーミングに際して光軸方向に移動する変倍レンズ群を含む複数のレンズ群で構成される変倍群と、ズーミングに際して光軸方向に不動の複数のレンズ群を含み全体で正の屈折力の結像群を有している。
結像群はそのレンズ系中に物体側から像側へ順に正の屈折力のレンズ群と防振用の負の屈折力のレンズ群を含むレンズ構成を有している。防振(像変倍)に際しては、結像群中の負の屈折力のレンズ群を光軸に対し垂直方向の成分を持つように変位させて行っている。
図1は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)におけるレンズ断面図である。
図2(A)、(B)はそれぞれ実施例1のズームレンズの基準状態(非防振時)における広角端、望遠端(長焦点距離端)における縦収差図である。
図3(A)、(B)はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端における物体距離無限遠時の基準状態及び0.5°のブレ補正をした時での横収差図である。
図4(A)、(B)はそれぞれ実施例1のズームレンズの望遠端における物体距離無限遠時の基準状態及び0.5°のブレ補正をした時での収差図である。
図5は本発明の実施例2のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
図6(A)、(B)はそれぞれ実施例2のズームレンズの基準状態における広角端、望遠端における縦収差図である。
図7(A)、(B)はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端における物体距離無限遠時の基準状態及び0.5°のブレ補正をした時での横収差図である。
図8(A)、(B)はそれぞれ実施例2のズームレンズの望遠端における物体距離無限遠時の基準状態及び0.5°のブレ補正をした時での収差図である。
図9は本発明の実施例3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。
図10(A)、(B)はそれぞれ実施例3のズームレンズの基準状態における広角端、望遠端における縦収差図である。
図11(A)、(B)はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端における物体距離無限遠時の基準状態及び0.5°のブレ補正をした時での横収差図である。
図12(A)、(B)はそれぞれ実施例3のズームレンズの望遠端における物体距離無限遠時の基準状態及び0.5°のブレ補正をした時での収差図である。
図13は本発明のズームレンズを備える一眼レフカメラ(撮像装置)の要部概略図である。
各実施例のズームレンズはビデオカメラやデジタルカメラそして銀塩フィルムカメラ等の撮像装置に用いられる撮影レンズ系である。レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。尚、ズームレンズをプロジェクターとして用いるときは左方がスクリーン側、右方が被投影画像側である。
LFはズーミングに際して光軸方向に移動する複数のレンズ群で構成される変倍群である。LRはズーミングに際して固定(不動)の複数のレンズ群を有し、全体として正の屈折力の結像群である。
iは物体側からのレンズ群の順番を示し、Liは第iレンズ群である。SPは開口絞りである。
IPは像面であり、ビデオカメラやデジタルスチルカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の像を受光するための固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面に相当する。又、銀塩フィルム用カメラのときはフィルム面に相当する。
収差図において、d,gは各々d線,g線である。S.Cは正弦条件である。M,Sはd線でのメリディオナル像面,サジタル像面、倍率色収差はg線によって表している。
FNoはFナンバー、ωは半画角、hは像高である。
尚、以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍用レンズ群(第2、第3レンズ群)が機構上光軸上を移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
レンズ断面図において矢印は広角端から望遠端へのズーミングに際する各レンズ群の移動軌跡を示している。
各実施例において、変倍群LFは、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4より成っている。
広角端に比べ望遠端において、
第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が増加し、
第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔が増加し、
第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔が減少するように、
第2、第3、第4レンズ群L2、L3、L4が移動してズーミングを行っている。
第1レンズ群L1と第2レンズ群L2との間隔が増加し、
第2レンズ群L2と第3レンズ群L3との間隔が増加し、
第3レンズ群L3と第4レンズ群L4との間隔が減少するように、
第2、第3、第4レンズ群L2、L3、L4が移動してズーミングを行っている。
具体的には広角端から望遠端へのズーミングに際し、第2、第3レンズ群L2、L3は像側へ移動し、第4レンズ群L4は像側に凸状の軌跡を描いて移動する。
結像群LRは物体側から像側へ順に、正の屈折力のレンズ群(第5レンズ群)L5、負の屈折力のレンズ群(第6レンズ群)L6、正の屈折力のレンズ群(第7レンズ群)L7より成っている。
各実施例では、結像群LR中の負の屈折力のレンズ群(第6レンズ群)L6を光軸に対し垂直方向の成分を持つように変位させることにより像変位を行っている。即ちズームレンズが振動したときの像ぶれを補正(防振)している。
防振レンズ群としての負の屈折力のレンズ群L6は、物体側から像側へ順に正レンズと負レンズ又は負レンズと正レンズから構成されている。負の屈折力のレンズ群L6の最も物体側の面(正レンズ又は負レンズの物体側のレンズ面)は凹形状である。又、負の屈折力のレンズ群L6のうち少なくとも1面は非球面形状である。
負の屈折力のレンズ群L6で正レンズが物体側に位置するとき、正レンズは物体側の面が凹でメニスカス形状である。
負の屈折力のレンズ群L6で負レンズが物体側に位置するとき、負レンズは両凹形状である。
結像群LRを構成する負の屈折力の第6レンズ群L6の焦点距離をfn、正の屈折力の第5レンズ群L5の焦点距離をfpとする。
このとき、
0.4 < |fn/fp| < 1.0 ‥‥‥(1)
なる条件を満足している。
0.4 < |fn/fp| < 1.0 ‥‥‥(1)
なる条件を満足している。
条件式(1)は、防振レンズ群である第6レンズ群L6及び防振時にそれを変位させる駆動機構の小型化を達成するための条件式である。
条件式(1)の上限を超えて相対的に第6レンズ群L6の屈折力が弱くなると、防振敏感度が低くなり過ぎ、防振時に光軸と垂直成分を持つように駆動させる量が大きくなって駆動機構の大型化を招き望ましくない。
また、条件式(1)の下限を超えて相対的に第5レンズ群L5の屈折力が弱くなると、第6レンズ群L6に入射する光束が十分収斂しないため第6レンズ群L6が大型化してくるので良くない。
更に好ましくは条件式(1)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
0.5 < |fn/fp| < 0.9 ‥‥‥(1a)
各実施例によれば以上のようにレンズ構成を特定することによって高い光学性能を持ちながらも、振動補償(防振)のための防振機構の小型化を容易にし、かつ振動補償時にも良好な画像を得ることができる防振機能を有したズームレンズが得られる。
各実施例によれば以上のようにレンズ構成を特定することによって高い光学性能を持ちながらも、振動補償(防振)のための防振機構の小型化を容易にし、かつ振動補償時にも良好な画像を得ることができる防振機能を有したズームレンズが得られる。
各実施例において、更に防振時の光学性能を良好に維持しつつ、高い光学性能を得るには、次の諸条件のうちの1以上を満足するのが良い。
結像群LRの焦点距離をfLRとする。
結像群LR中の負の屈折力のレンズ群L6の最も物体側のレンズ面の近軸曲率半径をRnf、最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRnrとする。
このとき、
0.2 < |fn|/fLR < 0.8 ‥‥‥(2)
0.4 < fp/fLR < 1.0 ‥‥‥(3)
0.1 < (Rnf+Rnr)/(Rnf−Rnr) < 0.8 ‥‥‥(4)
なる条件のうち1以上を満足するのが良い。
0.2 < |fn|/fLR < 0.8 ‥‥‥(2)
0.4 < fp/fLR < 1.0 ‥‥‥(3)
0.1 < (Rnf+Rnr)/(Rnf−Rnr) < 0.8 ‥‥‥(4)
なる条件のうち1以上を満足するのが良い。
条件式(2)、(3)は結像群LR内での正の屈折力のレンズ群L5と負の屈折力のレンズ群L6の屈折力を最適化するもので、結像群LR内での収差補正と防振レンズ群L6の小型化をバランス良く行うものである。
条件式(2)の上限を超えて第6レンズ群L6の負の屈折力が弱くなると、防振敏感度が低くなり過ぎ、防振時に光軸と垂直成分を持つように駆動させる量が大きくなって駆動機構の大型化を招き望ましくない。
また条件式(2)の下限を超えて第6レンズ群L6の負の屈折力が強くなりすぎると、第6レンズ群L6内で発生する収差量が大きくなると共に、第6レンズ群L6の像側に隣接する第7レンズ群の有効径が大きくなるので良くない。
条件式(3)の上限を超えて第5レンズ群L5の正の屈折力が弱くなると、第6レンズ群L6に入射する光束が十分収斂しないため第6レンズ群L6の有効径が大きくなるので良くない。
また条件式(3)の下限を超えて第5レンズ群L5の正の屈折力が強くなりすぎると、第5レンズ群L5で発生する収差が大きくなりこれを第5レンズ群L5以降のレンズ群で補正することが困難となるので良くない。
条件式(4)は、第6レンズ群L6内での収差補正と防振性能をバランス良くするためのものである。
条件式(4)の上限を超えると、第6レンズ群L6の物体側の面の屈折力が弱くなりすぎて第6レンズ群L6の他のレンズ面で発生する収差を補正するのが不足となる。又それと同時に、第6レンズ群L6の像側の面の屈折力が強くなり過ぎてこの面より発生する収差量が大きくなるため良くない。
条件式(4)の下限を超えると、第6レンズ群L6を2枚という少ないレンズ枚数で構成しつつ、第7レンズ群L7とのぺッツバール和のバランスを取り、偏心(防振)時の像面変動を抑えることが困難になるため良くない。
各実施例では以上のような構成を取ることで、全ズーム範囲にわたり良好なる光学性能が得られるが、更に好ましくは前述の条件式(2)から(4)の数値範囲を以下の如く設定するのが良い。
0.3 < |fn|/fw < 0.7 ・・・(2a)
0.5 < fp/fw < 0.9 ・・・(3a)
0.2 < (Rnf+Rnr)/(Rnf−Rnr) < 0.7 ・・・(4a)
次に各実施例具体的なレンズの構成を説明する。
0.5 < fp/fw < 0.9 ・・・(3a)
0.2 < (Rnf+Rnr)/(Rnf−Rnr) < 0.7 ・・・(4a)
次に各実施例具体的なレンズの構成を説明する。
図1の実施例1において、変倍群LFは物体側から像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4から成る。結像群LRは複数のレンズ群を有し、全体として正の屈折力である。
具体的に結像群LRは物体側から像側へ順に、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6、正の屈折力の第7レンズ群L7より構成されている。
矢印は広角端から望遠端へのズーミングにおける移動軌跡を示している。広角端に比べて望遠端において第1レンズ群L1と第2レンズ群L2の間隔が増加、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3の間隔が増加、第3レンズ群L3と第4レンズ群L4の間隔が減少する。又、第4レンズ群L4と第5レンズ群L5の間隔が減少する。
その際、第2レンズ群L2と第3レンズ群L3が光軸上を像側に移動し、第4レンズ群L4が像側に凸状の軌跡を描くような軌跡で移動している。結像群LRを構成する各レンズ群はズーミングに際して不動(固定)である。
物体距離が無限遠物体から有限距離物体に変化した時の合焦(フォーカス)は、第2レンズ群L2を光軸方向に移動させることで行っている。ズーミングに際して第2レンズ群L2を移動する構成をとることで望遠端において第2レンズ群L2を通過する光束の入射高の高さを低くしている。これにより合焦レンズとして使用する第2レンズ群L2の有口径を小さくし、第2レンズ群L2を軽量化している。それにより合焦の為の駆動機構の小型化と負荷の軽減を容易にしている。
ズームレンズに振動が加わった時のブレの補正(防振)は、結像群LR中の負の屈折力の第6レンズ群L6を光軸に対し垂直方向の成分を持つように変位させて行っている。また第6レンズ群L6の物体側に隣接する第5レンズ群L5を正の屈折力のレンズ群とすることで第6レンズ群L6(防振レンズ群)に入射する光束を収斂させている。これにより第6レンズ群L6の有口径を小さくし、より軽量化することを容易にしている。これにより防振の為の駆動機構の小型化と負荷の軽減を容易にしている。
第6レンズ群L6は物体側から像側へ順に正レンズ、負レンズの2枚のレンズ構成としている。そして、負レンズの像側の面を非球面形状とすることで、収差補正能力を確保しながらも構成レンズ枚数を少なく抑えて第6レンズ群L6の小型化、軽量化を図っている。
また、第6レンズ群L6の最も物体側の面は物体側に凹形状としている。これにより第6レンズ群L6内の他のレンズ面で発生する球面収差や偏心時(防振時)のコマ収差の補正をして、少ないレンズ枚数ながらも第6レンズ群L6全体で発生する諸収差を最小限に抑えている。
図5に示す実施例2のズームレンズの基本的なレンズ構成は実施例1と同じである。実施例2では防振レンズ群である第6レンズ群L6を物体側から像側へ順に負レンズ、正レンズの順で構成している。そして第6レンズ群L6の負レンズの物体側の面、即ち最も物体側の面を非球面形状としている。
図9に示す実施例3のズームレンズの基本的なレンズ構成は実施例1と同じである。防振レンズ群である第6レンズ群L6を物体側から像側へ順に正レンズ、負レンズで構成している。実施例3では第6レンズ群L6の正レンズの物体側の面、即ち最も物体側の面を非球面形状としている。
次に、本発明のズームレンズを用いた一眼レフカメラシステム(撮像装置)の実施例を、図13を用いて説明する。
図13において、10は一眼レフカメラ本体、11は本発明によるズームレンズを搭載した交換レンズである。12は交換レンズ11を通して得られる被写体像を記録するフィルムや撮像素子などの記録手段である。13は交換レンズ11からの被写体像を観察するファインダー光学系、14は交換レンズ11で形成された被写体像を記録手段12とファインダー光学系13に切り替えて伝送するための回動するクイックリターンミラーである。ファインダーで被写体像を観察する場合は、クイックリターンミラー14を介してピント板15に結像した被写体像をペンタプリズム16で正立像としたのち、接眼光学系17で拡大して観察する。
撮影時にはクイックリターンミラー14が矢印方向に回動して被写体像は記録手段12に結像して記録される。18はサブミラー、19は焦点検出装置である。
このように本発明のズームレンズを一眼レフカメラ等の交換レンズ等の撮像装置に適用することにより、高い光学性能を有した撮像装置が実現できる。
尚、本発明はクイックリターンミラーのない一眼レフカメラにも同様に適用することができる。又、プロジェクター用の投射レンズにも同様に適用することができる。
以下に実施例1〜3に各々対応する数値実施例1〜3を示す。各数値実施例において、iは物体側からの面の順番を示し、riは各面の曲率半径、diは第i面と第i+1面との間の部材肉厚又は空気間隔、niとνiはそれぞれd線を基準とした屈折率、アッベ数を示す。fは焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角を示す。
各実施例において非球面形状は、次式によって定義している。
各実施例において非球面形状は、次式によって定義している。
但し、Xは光軸からhだけ離れたレンズ面上の光軸方向への変位量、Rは近軸曲率半径、B、C、Dはそれぞれ4次、6次、8次の非球面係数である。
また例えば「e−Z」の表示は「10-Z」を意味する。また、fは焦点距離、FNoはFナンバーを示す。
又、前述の各条件式と数値実施例における諸数値との関係を表−1に示す。
数値実施例1
f= 72.1〜194.0 FNo=1: 2.9〜2.9
r 1= 232.325 d 1= 2.80 n 1=1.74950 ν 1=35.3
r 2= 107.975 d 2= 0.47
r 3= 115.729 d 3= 9.55 n 2=1.49700 ν 2=81.5
r 4= -310.787 d 4= 0.10
r 5= 74.073 d 5= 5.49 n 3=1.49700 ν 3=81.5
r 6= 140.029 d 6= 可変
r 7= 54.919 d 7= 2.20 n 4=1.80518 ν 4=25.4
r 8= 44.687 d 8= 0.88
r 9= 49.115 d 9= 8.30 n 5=1.48749 ν 5=70.2
r10= 2515.934 d10= 可変
r11= 705.629 d11= 1.40 n 6=1.80400 ν 6=46.6
r12= 34.642 d12= 6.18
r13= -71.709 d13= 1.40 n 7=1.48749 ν 7=70.2
r14= 39.354 d14= 4.87 n 8=1.84666 ν 8=23.9
r15= 1642.952 d15= 2.64
r16= -56.840 d16= 1.40 n 9=1.72916 ν 9=54.7
r17= 817.498 d17= 可変
r18= 286.276 d18= 3.16 n10=1.69680 ν10=55.5
r19= -125.036 d19= 0.15
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r 7= 53.397 d 7= 2.20 n 4=1.80518 ν 4=25.4
r 8= 44.212 d 8= 1.06
r 9= 49.552 d 9= 8.59 n 5=1.48749 ν 5=70.2
r10= 8303.161 d10= 可変
r11= 1343.764 d11= 1.40 n 6=1.80400 ν 6=46.6
r12= 34.418 d12= 6.24
r13= -65.598 d13= 1.40 n 7=1.48749 ν 7=70.2
r14= 40.517 d14= 4.86 n 8=1.84666 ν 8=23.9
r15= 3810.830 d15= 2.52
r16= -58.919 d16= 1.40 n 9=1.72916 ν 9=54.7
r17= 1473.286 d17= 可変
r18= 220.946 d18= 3.16 n10=1.69680 ν10=55.5
r19= -136.552 d19= 0.15
r20= 366.106 d20= 5.66 n11=1.49700 ν11=81.5
r21= -43.336 d21= 1.45 n12=1.83400 ν12=37.2
r22= -80.908 d22= 可変
r23= 62.767 d23= 5.71 n13=1.80400 ν13=46.6
r24= 271.477 d24= 2.67
r25= 0.000(絞り)d25= 0.25
r26= 51.926 d26= 3.61 n14=1.77250 ν14=49.6
r27= 69.996 d27= 4.51
r28= 281.322 d28= 1.60 n15=1.74000 ν15=28.3
r29= 32.918 d29= 7.35 n16=1.49700 ν16=81.5
r30= -129.783 d30= 7.35
r31= -82.265(非球面)d31= 4.17 n17=1.80100 ν17=35.0
r32= -33.583 d32= 1.40 n18=1.65160 ν18=58.5
r33= 45.028 d33= 10.00
r34= 200.294 d34= 3.36 n19=1.77250 ν19=49.6
r35= -143.889 d35= 1.00
r36= -1038.839 d36= 7.96 n20=1.51823 ν20=58.9
r37= -29.735 d37= 2.00 n21=1.83400 ν21=37.2
r38= -105.961 d38= 1.10
r39= 75.115 d39= 4.76 n22=1.83400 ν22=37.2
r40= 374.718
焦点距離 70.86 135.14 194.00
Fナンバー 2.9 2.9 2.9
画角2ω 34.0 18.2 12.7
像高 21.6 21.6 21.6
レンズ全長 183.5 183.5 183.5
BF 54.5 54.5 54.5
可変間隔
d 6 9.48 24.53 30.76
d 10 0.92 15.26 19.96
d 17 29.75 14.82 1.43
d 22 15.25 0.79 3.24
非球面係数
B= 1.075964e-06 C=-5.651901e-10 D=5.594325e-13
ズームレンズ群データ
群 焦点距離
1 188.98
2 146.35
3 -26.59
4 83.48
5 75.87
6 -49.88
7 68.96
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
L6 第6レンズ群
L7 第7レンズ群
LF 変倍群
LR 結像群
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
M メリディオナル像面
S サジタル像面
S.C 正弦条件
L2 第2レンズ群
L3 第3レンズ群
L4 第4レンズ群
L5 第5レンズ群
L6 第6レンズ群
L7 第7レンズ群
LF 変倍群
LR 結像群
SP 絞り
IP 像面
d d線
g g線
M メリディオナル像面
S サジタル像面
S.C 正弦条件
Claims (9)
- 物体側から像側へ順に、ズーミングに際して光軸方向に移動する変倍レンズ群を含む複数のレンズ群で構成される変倍群と、
ズーミングに際して光軸方向に不動の複数のレンズ群を含み全体で正の屈折力の結像群と、を有するズームレンズにおいて、
前記結像群はそのレンズ系中に物体側から像側へ順に正の屈折力のレンズ群と負の屈折力のレンズ群を含むレンズ構成を有しており、
前記負の屈折力のレンズ群を光軸に対し垂直方向の成分を持つように変位させることにより像変位を行い、該負の屈折力のレンズ群は、正レンズと負レンズから構成されており、該負の屈折力のレンズ群の最も物体側の面は凹形状であり、該負の屈折力のレンズ群のうち少なくとも1面は非球面形状であり、
該負の屈折力のレンズ群の焦点距離をfn、該正の屈折力のレンズ群の焦点距離をfpとするとき、
0.4 < |fn/fp| < 1.0
なる条件を満足することを特徴とするズームレンズ。 - 前記結像群の焦点距離をfLRとするとき
0.2 < |fn|/fLR < 0.8
0.4 < fp/fLR < 1.0
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。 - 前記結像群は物体側から像側へ順に、正の屈折力のレンズ群、負の屈折力のレンズ群、正の屈折力のレンズ群より成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
- 前記結像群中の負の屈折力のレンズ群の最も物体側のレンズ面の近軸曲率半径をRnf、最も像側のレンズ面の近軸曲率半径をRnrとするとき、
0.1 < (Rnf+Rnr)/(Rnf−Rnr) < 0.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のズームレンズ。 - 前記結像群中の負の屈折力のレンズ群は、物体側から像側へ順に、正レンズ、負レンズで構成され、該正レンズは物体側の面が凹でメニスカス形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
- 前記結像群中の負の屈折力のレンズ群は、物体側から像側へ順に、負レンズ、正レンズで構成され、該負レンズは物体側の面が凹形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
- 前記変倍群は、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より成り、広角端に比べ望遠端において、
該第1レンズ群と該第2レンズ群との間隔が増加し、
該第2レンズ群と該第3レンズ群との間隔が増加し、
該第3レンズ群と該第4レンズ群との間隔が減少するように、
該第2、第3、第4レンズ群が移動してズーミングを行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のズームレンズ。 - 広角端から望遠端へのズーミングに際し、前記第2、第3レンズ群は像側へ移動し、前記第4レンズ群は像側に凸状の軌跡を描いて移動することを特徴とする請求項7に記載のズームレンズ。
- 請求項1から8のいずれか1項のズームレンズと、該ズームレンズによって形成された像を受光する固体撮像素子を有していることを特徴とする撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008038591A JP2009198656A (ja) | 2008-02-20 | 2008-02-20 | ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008038591A JP2009198656A (ja) | 2008-02-20 | 2008-02-20 | ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009198656A true JP2009198656A (ja) | 2009-09-03 |
Family
ID=41142230
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008038591A Pending JP2009198656A (ja) | 2008-02-20 | 2008-02-20 | ズームレンズ及びそれを有する撮像装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009198656A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012037871A (ja) * | 2010-07-15 | 2012-02-23 | Panasonic Corp | ズームレンズ系、交換レンズ装置及びカメラシステム |
JP2012083702A (ja) * | 2010-09-13 | 2012-04-26 | Panasonic Corp | ズームレンズ系、交換レンズ装置及びカメラシステム |
DE102015102577A1 (de) | 2014-02-26 | 2015-08-27 | Fujifilm Corporation | Zoomobjektiv und Abbildungsvorrichtung |
JP2017040874A (ja) * | 2015-08-21 | 2017-02-23 | 株式会社タムロン | ズームレンズ及び撮像装置 |
JP2019191317A (ja) * | 2018-04-23 | 2019-10-31 | 株式会社シグマ | 大口径ズームレンズ |
CN110865451A (zh) * | 2019-12-23 | 2020-03-06 | 宁波舜宇红外技术有限公司 | 一种变焦镜头 |
-
2008
- 2008-02-20 JP JP2008038591A patent/JP2009198656A/ja active Pending
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