JP2009194965A - 液体冷却回転電機 - Google Patents

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Masaya Nakayama
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Abstract

【課題】 回転電機の据付状態において、絶縁接続管の固有振動数又は振動振幅値を容易に調整することのできる液体冷却回転電機を提供することにある。
【解決手段】 固定子鉄心1の内径側に挿入され、冷却液体を流す穴を設けた固定子コイル2と、この固定子コイル2に接続され、冷却液体を供給又は排出するための絶縁接続管14と、この絶縁接続管14に設けられ、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整する振動調整機構10とを備えた液体冷却回転電機。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液体を用いて固定子コイルを冷却する液体冷却回転電機に関する。
一般に、大形のタービン発電機等の回転電機においては、中空素線を用いて固定子コイルを形成し、この中空素線内に純水等の冷却液体を流して、固定子コイルを冷却する液体冷却回転電機が知られている。このような固定子コイルには、冷却液体の給水又は排出をするために絶縁接続管が接続されている。
そして、この種の液体冷却回転電機の液体漏れなどの対策として、次のものが開示されている。すなわち、内部に冷却水を通す中空素線及び内部に冷却水を通さない中実素線により構成された固定子コイルにおいて、中空素線を中実素線よりも長くして切断し、端部を形成する。これにより、素線とクリップの接続作業を容易にし、信頼性を向上させる回転電機が開示されている(特許文献1参照)。また、固定子コイルを構成する複数本のコイル素線をクリップにろう付けした構成において、冷却水の水漏れ対策として、ろう付け部に隣接して空隙室を設けた回転電機が開示されている(特許文献2参照)。さらに、固定子コイルの端部に加振力を加え、加振力によって得られる振動音を検出することにより、水漏れを検出する水漏れ検出装置が開示されている(特許文献3参照)。
ここで、接続される個々の固定子コイルは、夫々異なる電位を有している。また、流れる冷却液体が導電性であることから、絶縁接続管には、可撓性の良い樹脂などの非導電性の材料が使用されている。固定子コイルエンド部は狭いため、絶縁接続管は、湾曲された状態で、このような固定子コイルエンドと給排水ヘッダーとの間を接続している。このため、絶縁接続管は、夫々個々に微妙に湾曲形状や剛性が異なる。これらの要因により、結果的に、絶縁接続管の固有振動数は、種々の値にばらついて存在する。これらの絶縁接続管の中には、固定子コイルエンド部の電磁加振力である電源周波数の2倍の周波数と一致するものが出てくる。このような絶縁接続管は、回転電機の運転時において共振状態となるため、最悪の場合、絶縁接続管の破損に至り、冷却液体漏れや機内冷却ガス漏れなどを生ずる問題がある。
そこで、回転電機の据付状態において、その運転前に絶縁接続管の固有振動数を調査する。もし、絶縁接続管の固有振動数が電源周波数の2倍の周波数近傍にあることが確認された場合、絶縁接続管の固有振動数を調整する対策を講じる。その対策は主として、絶縁接続管と固定子コイルエンド部との接続部外表面に施されたテーピングなどによる補強の長さ、またはその補強の厚さなどを調整する。これにより、固有振動数を移動させて、電源周波数の2倍の周波数から離調する調整を行う。
特開平7−23540号公報 特開平7−308038号公報 特開平9−322481号公報
しかしながら、上述の調整は、固有振動数の調査を繰り返しながら試行錯誤で実施しなければならない。このため、この調整には、非常に多くの労力を要する。
そこで、本発明の目的は、回転電機の据付状態において、絶縁接続管の固有振動数又は振動振幅値を容易に調整することのできる液体冷却回転電機を提供することにある。
本発明の観点に従った液体冷却回転電機は、固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内径側に挿入され、冷却のための液体を流す穴を設けた固定子コイルと、前記固定子コイルに接続され、前記冷却のため液体を供給又は排出するための絶縁接続管と、前記絶縁接続管に設けられ、前記絶縁接続管の振動を抑制する振動抑制手段として、前記絶縁接続管の固有振動数を調整するための動吸振器を備えている。
本発明によれば、回転電機の据付状態において、絶縁接続管の固有振動数又は振動振幅値を容易に調整することのできる液体冷却回転電機を提供することができる。
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液体冷却回転電機の固定子コイル端部近傍の構成を示す軸方向の断面図である。なお、以降の図における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複した説明を省略する。
本液体冷却回転電機は、固定子鉄心1と、固定子鉄心1の内径側に設けられたスロットに挿入された固定子コイル2と、固定子鉄心1のスロット内で上下に配置された固定子コイル2の上コイル及び下コイルの固定子コイルエンド部3を電気的に接続する接続導体11と、上下に配置された固定子コイル2の上コイルと下コイルを冷却水が流れるように接続する接続管12と、接続管12と接続された絶縁接続管14と、絶縁接続管14の端部に設けられた給排水ヘッダー13と、絶縁接続管14に設けられた振動調整機構10と、固定子鉄心1の軸方向の両端部を押さえる押さえ板4と、固定子鉄心1の外径側に設けられ、軸方向に突き出た複数本のリブ棒5と、リブ棒5に押さえ板4を固定するためのリブナット6と、固定子コイル2の固定子鉄心1から軸方向にはみ出た固定子コイルエンド3を支えるコイルエンド支え8と、固定子コイルエンド3とコイルエンド支え8との間に介在して設けられたスペーサ16と、コイルエンド支え8を押さえ板4に固定するための固定金具9と、コイルエンド支え8と押さえ板4との間に介在して設けられたシールド板7と、固定子コイルエンド3に固定されたリング15とを備えている。
固定子鉄心1は、薄い電磁鋼板を積層して構成されている。電磁鋼板は、内径側に固定子コイル2を挿入するスロット溝を設けている。
絶縁接続管14には、可撓性の良い樹脂などの非導電性の材料が使用されている。
給排水ヘッダー13は、外部の給排水系と接続する。給排水ヘッダー13には、固定子コイル2の内部を循環する冷却水が集められる。この集められた冷却水は、外部の給排水系に給排水される。
コイルエンド支え8は、スペーサ16を介して、固定子コイルエンド3を支えている。
リング15は、固定子コイルエンド3を機械的に補強する。
振動調整機構10は、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。振動調整機構10は、絶縁接続管14の長手方向の任意の位置に取り付けることができる構造になっている。
図2は、図1のA−A線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。図3は、図2のB−B線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。図2及び図3は、本実施形態に係る振動調整機構10の構成を示している。
振動調整機構10は、弾性体101と、質量体102と、固定ボルト103と、固定ナット104とを備えている。振動調整機構10を構成する部品は、全て非導電性で、且つ非磁気性の材料で構成されている。即ち、弾性体101、質量体102、固定ボルト103、及び固定ナット104は、全て非導電性で、且つ非磁気性である。
振動調整機構10を絶縁接続管14に取り付けた状態は、絶縁接続管14の外表面に弾性体101が巻かれ、さらにその外周面に質量体102が巻かれた状態になっている。即ち、質量体102は、絶縁接続管14を把持するクランプの役割も果している。振動調整機構10は、固定ボルト103及び固定ナット104により、質量体102を締め付けることで、絶縁接続管14の任意の位置に固定される。
振動調整機構10は、固定ボルト103、固定ナット104及び質量体102の合計質量と、弾性体101によるバネマス系を構成している。振動調整機構10は、絶縁接続管14に取り付けることで、動吸振器となる。
次に、本実施形態に係る振動調整機構10の作用について説明する。
絶縁接続管14の固有振動数と固定子コイルエンド3の電磁加振力である電源周波数の2倍の周波数である2Fdとが一致し、共振している場合に、振動調整機構10を次のように設定する。
質量体102の質量をm、弾性体101のばね剛性をkとし、次式を満たすように、質量体102と弾性体101を設定する。なお、ここでは簡単化のため、弾性体101の質量を無視している。
Figure 2009194965
式(1)を満たすように、振動調整機構10を設定することで、絶縁接続管14の固有振動数は移動する。理論的には、電源周波数の2倍の周波数による振動成分を最小とすることができる。また、絶縁接続管14の固有振動数と電源周波数の2倍の周波数とが完全に一致した共振状態でなくても、式(1)を満たすように、質量体102と弾性体101を設定することにより、絶縁接続管14の電源周波数の2倍の振動成分は最小となる。
次に、振動調整機構10の設定方法について説明する。
一般的に、絶縁接続管14の固有振動数の調査確認は、無水、常温状態で行われる。しかし、液体冷却回転電機の運転状態では、絶縁接続管14に冷却液体が流れ、且つ固定子コイル2からの入熱のため冷却液体が高温となる。従って、冷却液体が流れている絶縁接続管14の温度も高温になる。
この場合、無水常温状態に比べ回転電機の運転状態である有水高温状態では、絶縁接続管14の材料特性から絶縁接続管の固有振動数が概ね30%の範囲で低下することがこれまでの実績から明らかとなっている。
そこで、無水常温状態で、振動調整機構10を取り付けた後の絶縁接続管14の固有振動数が、電源周波数の2倍の周波数から+30%の周波数の範囲内に存在しないように、式(1)により、弾性体101の剛性と質量体102の質量を調整する。
振動調整機構10の取り付け位置は、当該絶縁接続管14の振動振幅が最も大きい箇所に取り付けることで、その効果を有効に働かせることができる。
本実施形態によれば、振動調整機構10の質量体102の質量m、弾性体101のばね剛性kを適宜に設定することで、絶縁接続管14の固有振動数を任意の周波数に調整することができる。これにより、固定子コイルエンド3の加振周波数である電源周波数の2倍の周波数との共振を回避することができる。また、電源周波数の2倍の周波数に限らず、式(1)により、弾性体101と質量体102を適宜設定することにより任意の周波数に対してその効果を有効に機能させることができる。
また、初期の固有振動数の調査によって、取り付ける固定ボルト103と固定ナット104および質量体102の合計質量と弾性体101の剛性などの値を容易に求めることができる。また、固有振動数の微調整も質量体102の質量を増減させることで、容易に行うことができる。
無水常温状態で絶縁接続管14の固有振動数が電源周波数の2倍の周波数から+30%の周波数範囲の周波数にならないように設定することで、液体冷却回転電機の運転状態において、絶縁接続管14の固有振動数と支配的加振力である電源周波数の2倍の周波数との共振を避けることができる。従って、液体冷却回転電機は、絶縁接続管14の振動値の大きさを抑制して、運転することができる。これにより、液体冷却回転電機は、運転中においても、絶縁接続管14の振動による破損を防止することができる。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係る振動調整機構10Aの構成を示す断面図である。図4の断面図は、図2の断面図と同様の切断面で、同様の視点から見た図である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機は、第1の実施形態に係る液体冷却回転電機において、振動調整機構10を振動調整機構10Aに置き換えたものである。その他の点は、第1の実施形態に係ると液体冷却回転電機同様である。振動調整機構10Aは、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機における振動調整機構10Aの取り付け位置は、図1に示す第1の実施形態に係る液体冷却回転電機における振動調整機構10の取り付け位置と同様である。
振動調整機構10Aは、バネ101Aと、質量体102Aと、固定ボルト103と、固定ナット104と、クランプ110とを備えている。振動調整機構10Aを構成する部品は、全て非導電性で、且つ非磁気性の材料で構成されている。即ち、バネ101A、質量体102A、固定ボルト103、固定ナット104、及びクランプ110は、全て非導電性で、且つ非磁気性である。
クランプ110は、絶縁接続管14を把持する。振動調整機構10Aは、固定ボルト103及び固定ナット104により、クランプ110を締め付けることで、絶縁接続管14の任意の位置に固定される。
バネ101Aは、クランプ110の左右に180度対称に取り付けられている。
質量体102Aは、バネ101Aの左右の端部に取り付けられている。即ち、質量体102Aは、バネ101Aの振動方向DVに対して直角方向の両端に取り付けられている。質量体102Aは、ボルト102A1とナット102A2とを備えている。質量体102Aは、ボルト102A1とナット102A2でバネ端部に固定されている。質量体102Aの主な質量は、ボルト102A1の質量とナット102A2の質量との和になる。
振動調整機構10Aを絶縁接続管14に取り付けることで、クランプ110、固定ボルト103および固定ナット104が絶縁接続管14の質量に加算され、バネ101Aと質量体102Aで動吸振器のバネマス系を構成する。その他の点は、第1の実施形態に係る振動調整機構10と作用効果及び設定方法などは同様である。
本実施形態によれば、絶縁接続管の外側径方向に延びたバネ101Aと、バネ101Aに設けられた質量体102Aにより、動吸振器のバネマス系を構成することにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。従って、振動調整機構10Aの質量体102Aの質量m、弾性体101Aのばね剛性kを適宜に設定することで、絶縁接続管14の固有振動数を任意の周波数に調整できる。これにより、固定子コイルエンド3の加振周波数である電源周波数の2倍の周波数との共振を回避することができる。よって、電源周波数の2倍の周波数による加振力が支配的である絶縁接続管14の振動値を小さくすることができる。このため、絶縁接続管14が振動で破損することを防止することができる。
また、初期の固有振動数の調査によって、質量体102Aの質量とバネ101Aの剛性などの値を容易に求めることができる。さらに、固有振動数の微調整も質量体102Aの質量の増減で容易に簡単に行うことができる。また、バネ101Aの構造および質量体102Aの質量を比較的任意に設定できる。従って、第1の実施形態に係る振動調整機構10よりも絶縁接続管14の固有振動数を広範囲に調整することができる。
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る振動調整機構10Bの構成を示す断面図である。図5の断面図は、図2の断面図と同様の切断面で、同様の視点から見た図である。図6は、図5のC−C線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。
振動調整機構10Bは、図2及び図3に示す第1の実施形態に係る振動調整機構10において、弾性体101を取り除いた点以外は、同様である。振動調整機構10Bは、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。
質量体102Bは、絶縁接続管14の長手方向の任意の位置に固定ボルト103及び固定ナット104により固定される。例えば、固定位置は、絶縁接続管14の振動振幅の最大の箇所が効果的である。
本実施形態によれば、振動調整機構10Bを、固定ボルト103及び固定ナット104により、直に絶縁接続管14の長手方向の任意の位置に固定することができる。これにより、振動調整機構10Bは、絶縁接続管14に対しては質量の増加として作用する。これにより、絶縁接続管14は、取り付け前と比較して固有振動数を低下させるように作用する。
従って、振動調整機構10Bを設定して、絶縁接続管14の固有振動数を低下させることができる。これにより、絶縁接続管14は、固定子コイルエンド3の固有振動数の2倍の周波数との共振を回避することができる。
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係る振動調整機構10Cの絶縁接続管14に取り付けられた状態を示す外観図である。図8は、図7のE−E線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。図9は、図7のD−D線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機は、振動調整機構10を振動調整機構10Cに置き換えた点以外は、第1の実施形態に係る液体冷却回転電機と同様である。振動調整機構10Cは、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機における振動調整機構10Cの取り付け位置は、図1に示す第1の実施形態に係る液体冷却回転電機における振動調整機構10の取り付け位置と同様である。
振動調整機構10Cは、テープ105と、質量体102Cとを備えている。
質量体102Cは、テープ105を絶縁接続管14に巻きつけることにより、絶縁接続管14の長手方向の任意の位置に固定される。例えば、固定位置は、絶縁接続管14の振動振幅の最大の箇所が効果的である。テープ105は、樹脂等を含浸または塗布して巻きつけ硬化させる。
本実施形態によれば、質量体102Cは、テープ105のテーピングによって直に絶縁接続管14の長手方向の任意の位置に固定することができる。これにより、振動調整機構10Cは、絶縁接続管14に対しては質量の増加として作用する。これにより、絶縁接続管14は、取り付け前と比較して固有振動数を低下させるように作用する。
従って、テープ105のテーピングにより、質量体102Cを絶縁接続管14に巻きつけることで、絶縁接続管14の固有振動数を低下させることができる。これにより、絶縁接続管14は、固定子コイルエンド3の固有振動数の2倍の周波数との共振を回避することができる。
振動調整機構10Cは、絶縁接続管14に取り付けてもあまりスペースを必要としないため、取り付け箇所が広く確保できない場合にも対応することができる。
また、絶縁接続管14と固定子コイルエンド2の接続箇所や、絶縁接続管14と給排水ヘッダー13との接続箇所の補強のためのテーピングを兼ねて、振動調整機構10Cを取り付けることができる。このように、振動調整機構10Cを取り付けるためのテーピングと、接続箇所を補強するためのテーピングを兼ねることで、液体冷却回転電機を運転するに当たって、作業量及び材料費を軽減することができる。
(第5の実施形態)
図10は、本発明の第5の実施形態に係る振動調整機構10Dの構成を示す断面図である。図10の断面図は、図2の断面図と同様の切断面で、同様の視点から見た図である。図11は、図10のF−F線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機は、第1の実施形態に係る液体冷却回転電機において、振動調整機構10を振動調整機構10Dに置き換えたものである。その他の点は、第1の実施形態に係ると液体冷却回転電機同様である。振動調整機構10Dは、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。
振動調整機構10Dは、空力抵抗体106と、固定ボルト103と、固定ナット104とを備えている。振動調整機構10Dを構成する部品は、全て非導電性で、且つ非磁気性の材料で構成されている。即ち、空力抵抗体106、固定ボルト103、及び固定ナット104は、全て非導電性で、且つ非磁気性である。
空力抵抗体106は、絶縁接続管14の振動方向DVに対して大きな面積を有するような形状になっている。
空力抵抗体106は、クランプ機構を備えている。空力抵抗体106のクランプ機構は、絶縁接続管14を把持する。振動調整機構10Dは、固定ボルト103及び固定ナット104により、空力抵抗体106のクランプ機構を締め付けることで、絶縁接続管14の任意の位置に固定される。
本実施形態に係る液体冷却回転電機は、絶縁接続管の周りが水素ガスで満たされている。空力抵抗体106は、絶縁接続管14と共に振動することにより、絶縁接続管14の周辺の水素ガスが抵抗となるため、絶縁接続管14の振動を抑制するように作用する。
本実施形態によれば、振動調整機構10Dを取り付けない場合と比較して、絶縁接続管14の振動値を小さくすることができる。これにより、絶縁接続管14が振動する全ての周波数において、絶縁接続管14の振動を抑制することができる。よって、電源周波数の2倍の周波数で共振している絶縁接続管14の振動振幅値を小さくすることができる。
(第6の実施形態)
図12は、本発明の第6の実施形態に係る振動調整機構10Eの構成を示す断面図である。図12の断面図は、図2の断面図と同様の切断面で、同様の視点から見た図である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機は、第1の実施形態に係る液体冷却回転電機において、振動調整機構10を振動調整機構10Eに置き換えたものである。その他の点は、第1の実施形態に係ると液体冷却回転電機同様である。振動調整機構10Eは、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。
振動調整機構10Eは、クランプ治具107と、キャビティ108と、固定ボルト103と、固定ナット104とを備えている。振動調整機構10Eを構成する部品は、全て非導電性で、且つ非磁気性の材料で構成されている。即ち、クランプ治具107、キャビティ108、固定ボルト103、及び固定ナット104は、全て非導電性で、且つ非磁気性である。
クランプ冶具107は、絶縁接続管14を把持する。振動調整機構10Eは、固定ボルト103及び固定ナット104により、クランプ冶具107を締め付けることで、絶縁接続管14の任意の位置に固定される。
キャビティ108は、クランプ冶具107の左右の端部に180度対称に取り付けられている。即ち、キャビティ108は、クランプ冶具107の振動方向に対して直角方向の両端に取り付けられている。キャビティ108は、内部に液体109を保持している。キャビティ108は、振動することにより液体がスロッシングする。キャビティ108は、液体109のスロッシング効果により動吸振器を形成する。
キャビティ108は、内壁に突起PRを設けている。突起PRは、キャビティ108の内部の空間を2つに分断している。この2つの空間は、2つの突起PR間の隙間を通じて繋がっている。液体109は、突起PRにより、移動に絞りが掛かる。即ち、突起PRを設けることにより、液体109の内部での流れが制限される。よって、液体109は、キャビティ108の内壁面との摩擦力が増大する。
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
キャビティ108は、絶縁接続管14に取り付けることで、内部に入っている流体である液体109のスロッシング効果により動吸振器となる。従って、絶縁接続管14の固有振動数を調整し、且つ振動振幅を抑制することができる。また、キャビティ108に絞りとして突起PRを設けることにより、液体109とキャビティ108の内壁面との摩擦力を増大させ、振動抑制効果を増大させることができる。
(第7の実施形態)
図13は、本発明の第7の実施形態に係る液体冷却回転電機の固定子コイル端部近傍の構成を示す軸方向の断面図である。図14は、図13のG−G線に沿って切断し、矢印方向に見た断面図である。
本実施形態に係る液体冷却回転電機は、第1の実施形態に係る液体冷却回転電機において、振動調整機構10を振動調整機構10Fに置き換えたものである。その他の点は、第1の実施形態に係ると液体冷却回転電機同様である。振動調整機構10Fは、絶縁接続管14の固有振動数又は振動振幅値を調整するための機構である。
振動調整機構10Fは、2つの接続帯110と、4つの固定ボルト103と、4つの固定ナット104とを備えている。
ここで、絶縁接続管14Aは、絶縁接続管14Aの支配的加振力である電源周波数の2倍の周波数数で共振又は共振近傍で大きく振動しているものとする。絶縁接続管14Bは、絶縁接続管14Aと隣接している絶縁接続管である。絶縁接続管14A,14Bは、図1に示す絶縁接続管14と同じである。即ち、絶縁接続管14A,14Bは、体冷却回転電機の複数の絶縁接続管のうちの隣接する2本である。2つの接続帯110は、絶縁接続管14A,14Bを両側から挟み込むように取り付ける。4組の固定ボルト103及び固定ナット104により、2つの接続帯110を絶縁接続管14A,14Bに固定する。隣接する2つの絶縁接続管14A,14Bは、振動調整機構10Fにより、強固に連結される。連結された絶縁接続管14全体の支持剛性は増加する。これにより、連結された絶縁接続管14A,14Bの固有振動数は増加する。
本実施形態によれば、絶縁接続管14Aの支配的加振力である電源周波数の2倍の周波数で共振又は共振近傍で大きく振動している絶縁接続管14Aに対して、振動調整機構10Fにより、隣接する絶縁接続管14Bと連結させることで、共振または共振近傍にある絶縁接続管14Aの固有振動数を高くすることができる。
従って、絶縁接続管14Aは、共振を回避又は共振域から隔離することができる。即ち、絶縁接続管14Aの振動値を小さくすることができる。
なお、各実施形態において、1つの絶縁接続管14に、いくつの振動調整機構10,10A〜10Fを設けてもよい。振動調整機構10,10A〜10Fを絶縁接続管14の長手方向に複数個設けることで、絶縁接続管14の夫々の振動モードによる振動を抑制することができる。具体的には、各振動モードの振動の最大振幅を生ずる全ての位置に、振動調整機構10,10A〜10Fを取り付けることにより、夫々の振動モードにおける振動値を小さくすることができる。また、振動振幅値が最大となる箇所のうちいずれか1箇所に振動調整機構10,10A〜10Fを取り付けるだけでも、全ての最大となる箇所についての振動振幅値を抑制することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る液体冷却回転電機の固定子コイル端部近傍の構成を示す軸方向の断面図。 第1の実施形態における図1のA−A線矢視断面図。 第1の実施形態における図2のB−B線矢視断面図。 本発明の第2の実施形態に係る振動調整機構の構成を示す断面図。 本発明の第3の実施形態に係る振動調整機構の構成を示す断面図。 第3の実施形態における図5のC−C線矢視断面図。 本発明の第4の実施形態に係る振動調整機構の絶縁接続管に取り付けられた状態を示す外観図。 第4の実施形態における図7のE−E線矢視断面図。 第4の実施形態における図7のD−D線矢視断面図。 本発明の第5の実施形態に係る振動調整機構の構成を示す断面図。 第5の実施形態における図10のF−F線矢視断面図。 本発明の第6の実施形態に係る振動調整機構の構成を示す断面図。 本発明の第7の実施形態に係る液体冷却回転電機の固定子コイル端部近傍の構成を示す軸方向の断面図。 第7の実施形態における図13のG−G線矢視断面図。
符号の説明
1…固定子鉄心、2…固定子コイル、3…固定子コイルエンド、4…押さえ板、5…リブ棒、6…リブナット、7…シールド板、8…コイルエンド支え、9…固定金具、10,10A〜10F…振動調整機構、11…接続導体、12…接続管、13…給排水ヘッダー、14…絶縁接続管、15…リング、16…スペーサ。

Claims (14)

  1. 固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心の内径側に設けられたスロットに挿入され、冷却のための液体を流す穴を設けた固定子コイルと、
    前記固定子コイルのコイルエンド部と給排水系との間を接続し、前記冷却のため液体を供給又は排出するための絶縁接続管と、
    前記絶縁接続管に設けられ、前記絶縁接続管の振動を抑制する振動抑制手段として、前記絶縁接続管の固有振動数を調整するための動吸振器を備えたことを特徴とする液体冷却回転電機。
  2. 前記振動抑制手段は、
    前記絶縁接続管の外周を覆う弾性体と、
    前記弾性体の外周を覆う質量体とを備えたこと
    を特徴とする請求項1に記載の液体冷却回転電機。
  3. 前記振動抑制手段は、
    前記絶縁接続管の外側径方向に延びたバネと、
    前記バネに設けられた質量体とを備えたこと
    を特徴とする請求項1に記載の液体冷却回転電機。
  4. 前記振動抑制手段は、前記絶縁接続管の振動によりスロッシングする液体又は粒子状の物質を内部に収容したこと
    を特徴とする請求項1に記載の液体冷却回転電機。
  5. 前記振動抑制手段は、前記液体又は前記粒子状の物質の前記内部での移動を制限する移動制限手段を設けたこと
    を特徴とする請求項4に記載の液体冷却回転電機。
  6. 固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心の内径側に挿入され、冷却のため液体を流す穴を設けた固定子コイルと、
    前記固定子コイルに接続され、前記冷却のため液体を供給又は排出するための絶縁接続管と、
    2つの前記絶縁接続管を連結し、2つの前記絶縁接続管の振動を抑制する振動抑制手段と
    を備えたことを特徴とする液体冷却回転電機。
  7. 固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心の内径側に設けられたスロットに挿入され、冷却のため液体を流す穴を設けた固定子コイルと、
    前記固定子コイルのコイルエンド部と給排水系との間を接続し、前記冷却のため液体を供給又は排出するための絶縁接続管と、
    前記絶縁接続管に設けられ、前記絶縁接続管の振動による空力抵抗を得て、前記絶縁接続管の振動を抑制する振動抑制手段と
    を備えたことを特徴とする液体冷却回転電機。
  8. 前記振動抑制手段は、前記絶縁接続管の任意の箇所に固定可能な構造であること
    を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液体冷却回転電機。
  9. 固定子鉄心と、
    前記固定子鉄心の内径側に設けられたスロットに挿入され、冷却のため液体を流す穴を設けた固定子コイルと、
    前記固定子コイルのコイルエンド部と給排水系との間を接続し、前記冷却のため液体を供給又は排出するための絶縁接続管と、
    前記絶縁接続管に設けられ、前記絶縁接続管の質量を調整する質量体として、前記絶縁接続管の振動を抑制する振動抑制手段と
    を備えたことを特徴とする液体冷却回転電機。
  10. 前記振動抑制手段は、前記絶縁接続管にテープで固定されたこと
    を特徴とする請求項9に記載の液体冷却回転電機。
  11. 前記振動抑制手段は、前記絶縁接続管の振動振幅が最大となる位置に取り付けられたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の液体冷却回転電機。
  12. 前記振動抑制手段は、1つの前記絶縁接続管に2つ以上設けたこと
    を特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の液体冷却回転電機。
  13. 前記振動抑制手段は、非導電性又は非磁性の材質であること
    を特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の液体冷却回転電機。
  14. 前記絶縁接続管は、前記振動抑制手段を用いることにより、無水常温状態での固有振動数が、電源周波数の2倍の周波数から+30%の範囲に存在しないこと
    を特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の液体冷却回転電機。
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