JP2009194765A - 情報配信システムとその情報配信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】輻輳等に起因して回線容量が狭帯域化した状況下においても、情報を効率的かつ確実に配信できるようにする。
【解決手段】送信端末TMS1,TMS2では、入力された災害情報をダイジェストファイルと詳細データファイルとに分割し、これらのファイルにそれぞれ優先度を設定した後、当該優先度レベル別にキューで配信待機させる。そして、上記ファイルを優先度の高いキューにセットされたものから順に送信するようにしている。
【選択図】 図2

Description

この発明は、例えば災害発生時に災害の状況や避難に関する情報等の災害に関連する情報を配信装置から利用者の端末装置に配信する情報配信システムとその情報配信装置に関する。
地震や台風等による災害が発生した場合に、災害の状況や避難に必要な情報等の災害情報を国や自治体の配信装置から利用者の端末装置に配信するシステムが構築されている。しかし、災害発生時においては一度に平常時の数十倍の通信トラヒックが集中することがあるため、一時的に通信ネットワークの伝送処理能力を超えてしまい、その結果通信の輻輳が発生することがある。このため、発信規制などのトラヒック制御を行うことにより通信の混乱を最小限にとどめ、災害優先電話通信等の重要な通信を確保する対策が採られている。例えば、新潟県中越地震では、災害発生直後県外からの着信が激増し、県外からの着信規制が実施された。また、パケット通信規制を音声通話と独立に行う機能の導入も進められつつある(例えば、非特許文献1を参照。)。
一方、阪神淡路大震災以降、国や地方自治体において災害情報を配信する行政防災ネットワークが整備されている。例えば、衛星通信と光ファイバ網を併用した通信ネットワークや、配信経路を多ルート化した通信ネットワーク等がこれである。これらのシステムでは、国と地方自治体を結ぶ主要な配信路等は信頼性を向上させるために二重化されていることが多い。しかし、この種の二重化されたシステムを実際に災害の起こりやすい山間地や沿岸部等にまで整備するには時間がかかる。また、被災により通信手段が途絶えた地域においては、ポータブル衛星通信装置や車載式の衛星通信装置により、一時的に通信回線を仮設することも行われている(例えば、非特許文献2を参照。)。
「災害時の通信制御」、NTT東日本、<URL:http://www.ntt-east.co.jp/saigai/taisaku/kakuho 02.html>
「既存の災害情報伝達システムの課題と対策」、四国総合通信局、<URL:http://www.shikoku-bt.go.jp/chosa/syokibo/pdf/chap03.pdf>
以上述べたように、自然災害等により通信ネットワークが被災した場合には、ネットワークの輻輳を回避するために発信規制等のトラヒック制御が行われる。また、通信手段が途絶えた地域については、車載式衛星中継局等を設置することにより他地域との間の通信経路を確保するようにしている。
ところが、災害発生直後の初動期には、被災状況や復旧状況、安否確認などに関する情報の迅速な収集と、関連機関への情報配信が重要となる。被災状況などを詳細に把握するためには、詳細に状況を把握できる画像等、容量の大きい情報を災害対策拠点や関連機関で共有する必要がある。しかし、災害の発生に伴い発信規制等のトラヒック制御が行われているネットワークや、臨時仮説的に設置される通信回線を使用して、上記のような大容量の情報を配信した場合、宛先に確実に配信される保証はなく、ネットワークでさらなる輻輳を引き起こす恐れもある。したがって、災害発生時において大容量の情報を配信する場合には、輻輳等に起因する回線容量の狭帯域化に応じて、配信する情報のデータ量を適切に管理する必要がある。
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、輻輳等に起因して回線容量が狭帯域化した状況下においても、情報を効率的かつ確実に配信することが可能な情報配信システムとその情報配信装置を提供することにある。
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、配信対象の情報を送信端末から受信端末へ通信回線を介して伝送する情報配信システムにあって、上記送信端末により、上記配信対象の情報をその機能別に複数の情報ブロックに分割した後、この分割された複数の情報ブロックの各々にその重要度に応じて優先順位を設定する。そして、上記分割された複数の情報ブロックの各々に当該情報ブロック間の関係性を表す情報を含む制御情報を付加し、この制御情報が付加された複数の情報ブロックを、上記設定された優先順位が高いものから順に上記通信回線へ送信する。一方、上記受信端末により、上記送信端末から上記通信回線を介して送られる、制御情報が付加された複数の情報ブロックをそれぞれ受信して保存し、この保存された複数の情報ブロックを、当該各情報ブロックに付加された制御情報に含まれる情報ブロック間の関係性を表す情報に基づいて選択的に結合することにより上記分割前の配信対象の情報を復元するように構成したものである。
したがって、配信対象の情報は複数の情報ブロックに分割され、この分割された複数の情報ブロックが重要度の高いものから優先的に配信される。このため、輻輳等により通信回線の伝送容量が狭帯域化した状況下においても、複数の情報ブロックを重要度の高いものから効率良く配信することが可能となる。また受信端末においては、分割された複数の情報ブロックが異なるタイミング、或いは異なる順序で受信されても、制御情報に含まれる情報ブロック間の関係性を表す情報に基づいて、元の配信情報を正確に復元することが可能となる。
また、この発明の一観点は以下のような種々具体的な構成要素を備えることを特徴とする。
第1の構成要素は、送信端末に、通信回線の品質を監視する監視手段と、この監視手段の監視結果に基づいて上記分割手段、優先順位設定手段及び優先送信手段を制御する手段とをさらに備える。そして、上記通信回線の品質が予め設定されたしきい値より劣化しているときにのみ、上記分割手段、優先順位設定手段及び優先送信手段を動作させるようにしたものである。
このようにすると、通信回線の品質が予め設定されたしきい値よりも良好な状態では、配信情報を分割せずに通常の配信方式を用いて配信することが可能となる。このため、通信回線の品質が良好なときの伝送効率を高く維持することができる。
第2の構成要素は、優先レベルを設定する際に、複数の情報ブロック中から重要度を判別するために予め設定した複数のキーワードを抽出し、このキーワードの検出結果に基づいて上記情報ブロックに対し優先レベルを設定するものである。
このようにすると、分割された複数の情報ブロックの重要度の判定処理と、その判定結果に基づく優先レベルの設定処理が自動的に行われる。したがって、一つひとつの情報ブロックに対しオペレータ自身が優先レベルを設定する必要がなくなり、これにより配信処理効率を大幅に高めることが可能となる。
第3の構成要素は、優先送信制御において、第1の優先レベルが設定された情報ブロックの送信中に上記第1の優先レベルよりレベルの高い第2の優先レベルが設定された情報ブロックの送信要求を監視し、この送信要求が検出された場合に上記第1の優先レベルが設定された情報ブロックの送信を中断し、代わりに上記第2の優先レベルが設定された情報ブロックを上記通信回線へ送信させるように制御するものである。
このようにすると、低い優先レベルが設定された情報ブロックの送信中に、高い優先レベルが設定された情報ブロックの送信要求が発生すると、その時点で上記低い優先レベルの情報ブロックに代わって高い優先レベルの情報ブロックの送信が行われる。すなわち、高優先度の情報ブロックの割り込み配信が行われる。このため、高い優先レベルが設定された重要度の高い情報ブロックの配信効率をさらに高めることができる。
第4の構成要素は、上記割り込み配信において、第1の優先レベルが設定された情報ブロックの送信を中断した場合に当該情報ブロックの中断位置を表す情報を保存しておき、第2の優先レベルが設定された情報ブロックの送信完了後に、上記保存された中断位置を表す情報に基づいて、上記送信が中断された情報ブロックの送信を上記中断位置から再開させるように制御するものである。
このようにすると、上記高い優先レベルが設定された情報ブロックの送信終了後に、送信が中断された情報ブロックの送信を中断位置から再開することが可能となる。このため、送信が中断された情報ブロックを最初から送信し直す場合に比べ、情報伝送効率を高めることができる。
第5の構成要素は、優先送信制御において、上記情報ブロックの送信中に、当該情報ブロックの受信経過を表す情報を送信先の受信端末から定期的に受信し、上記情報ブロックの送信中に上記受信端末で再起動が行われたことを検知した場合に、その直近のタイミングにおいて当該受信端末から受信した上記受信経過を表す情報に基づいて、上記受信端末において受信が確認された位置以降から上記情報ブロックの送信を再開させるように制御するものである。
このようにすると、受信端末でトラブルが発生し再起動が行われた場合に、トラブル発生前に送達が完了した情報位置以降情報ブロックの送信が再開される。このため、再起動後に情報ブロックを最初から送信し直す場合に比べ、情報伝送効率を高めることができる。
要するにこの発明の一観点によれば、輻輳等に起因して回線容量が狭帯域化した状況下においても、情報を効率的かつ確実に配信することが可能な情報配信システムとその情報配信装置を提供することができる。
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる情報配信システムの概略構成図である。このシステムは、情報配信装置としての複数の送信端末TMS1,TMS2を自治体庁舎や避難所等の送信拠点に設置し、これらの送信端末TMS1,TMS2からそれぞれ受信拠点に存在する複数の利用者の受信端末TMR1〜TMR5に対し、IP(Internet Protocol)網を中核とする通信ネットワークNWを介して災害情報を配信するように構成したものである。なお、送信端末TMS1,TMS2及び受信端末TMR1〜TMR5と通信ネットワークNWとの間は、ルータRT1〜RT6を含む通信回線を介して接続されている。
送信端末TM1,TM2は、例えばサーバ・コンピュータからなり、次のように構成される。図2はそのハードウエア及びソフトウエアの構成を示すブロック図である。
すなわち、送信端末TM1,TM2は、中央制御ユニット(CPU;Central Control Unit)11を備え、このCPU11に対しバス12を介してプログラムメモリ13、データメモリ14、通信インタフェース(通信I/F)15及び入出力インタフェース(入出力I/F)16を接続したものである。
通信I/F15は、CPU11の制御の下で、通信ネットワークNWにより規定される通信プロトコルに従い、防災センタのサーバ等との間や上記受信端末TMR1〜TMR5との間、さらには利用者の携帯端末等との間でデータ通信又はメール通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)又はHTTP/IP(Hyper Text Transport Protocol/Internet Protocol)が使用される。
入出力I/F16には、入力デバイス17及び表示デバイス18が接続される。入力デバイス17は、例えばキーボード及びマウスにより構成される。表示デバイス18は液晶ディスプレイからなる。入出力I/F16は、上記入力デバイス17による操作情報をCPU11に伝えると共に、CPU11からの表示指示に従い表示情報を上記表示デバイス18に表示させる。
データメモリ14には、配信先データベース及び配信情報記憶部が設けられている。配信先データベースには、災害情報の配信先である受信端末TMR1〜TMR5のアドレス等が格納されている。配信情報記憶部には、上記通信I/F15により防災センタのサーバからHTTP(Hyper Text Transport Protocol)により受信した災害情報や、利用者の携帯端末等からメールにより受信した被災情報、上記入出力I/F16を介して防災担当者により入力された避難指示情報等の配信情報が格納される。
プログラムメモリ13には、この発明を実施するために必要なアプリケーション・プログラムとして、情報分割制御プログラム131と、優先順位設定制御プログラム132と、情報配信制御プログラム133が格納されている。
情報分割制御プログラム131は、上記したような種々の経路で入力される複数の配信情報をそれぞれ複数の情報ブロックに分割する処理を、上記CPU11に実行させる。例えば、災害の状況や被災状況を表す情報や、避難勧告や避難指示の情報であれば、ダイジェストファイルと詳細データファイルとに分割する。ダイジェストファイルにはタイトル及び概要が含まれる。
優先順位設定制御プログラム132は、上記情報分割制御プログラム131分割された複数の情報ブロックの各々についてその重要度を判別し、この重要度の判別結果に基づいて上記分割された複数の情報ブロックに優先度を付ける。そして、上記複数の情報ブロックを優先度別のキューに配列させる処理を、上記CPU11に実行させる。上記重要度の判別は、例えばキーワード検索等の技術を利用することにより可能である。
情報配信制御プログラム133は、上記優先順位設定制御プログラム132により優先度別に並べ替えられた情報ブロックを優先度の高いキューから順に読み出し、この読み出した情報ブロックにヘッダを付けてIPパケット化し、上記通信I/F15から通信ネットワークNWへ送信させる処理を、上記CPU11に実行させる。このときヘッダには、宛先IPアドレスや送信元IPアドレスの他に、重要度(優先度)を表す情報と、情報ブロックの種類、災害情報ID、配信時刻を表すタイムスタンプ、発信場所IDが記載される。
また情報配信制御プログラム133は、情報配信中に、次に送信しようとする情報ブロックよりも優先度の高い情報ブロックの配信要求が発生した場合に、送信処理に割り込みをかけて、上記優先度の低い情報ブロックの送信処理よりも上記優先度の高い情報ブロックを先に送信させる処理を、上記CPU11に実行させる。
さらに情報配信制御プログラム133は、端末ドラブルまたは通信回線トラブルに起因する通信の中断が発生した場合に送信が完了した情報ブロックを記憶しておき、トラブル解消後に未送信の情報ブロックの中で優先度が最も高い情報ブロックから送信処理を再開する処理を、上記CPU11に実行させる。
一方、受信端末TMR1〜TMR5は次のように構成される。図3はその構成を示すブロック図である。
すなわち、受信端末TMR1〜TMR5は、例えばパーソナル・コンピュータからなり、CPU21に対しバス22を介してプログラムメモリ23、データメモリ24、通信I/F25及び入出力I/F26を接続したものとなっている。
通信I/F25は、CPU21の制御の下で、通信ネットワークNWにより規定される通信プロトコルに従い、上記送信端末TMS1,TMS2との間で配信情報を受信するためのデータ通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)又はHTTP/IP(Hyper Text Transport Protocol/Internet Protocol)が使用される。
入出力I/F26には、入力デバイス27及び表示デバイス28が接続される。入力デバイス27は、例えばキーボード及びマウスにより構成される。表示デバイス28は液晶ディスプレイからなる。入出力I/F26は、上記入力デバイス27による操作情報をCPU21に伝えると共に、CPU21からの表示指示に従い、受信した配信情報等を上記表示デバイス28に表示させる。データメモリ24には配信情報記憶部が設けられている。配信情報記憶部には、上記送信端末TMS1,TMS2から送られた配信情報が格納される。
プログラムメモリ13には、この発明を実施するために必要なアプリケーション・プログラムとして、情報受信制御プログラム231と、情報復元制御プログラム232が格納されている。
情報受信制御プログラム231は、前記送信端末TMS1,TMS2から優先順に送信される各情報ブロックのIPパケットを上記通信I/F25を介して受信し、この受信した複数のIPパケットを上記データメモリ24内の配信情報記憶部に記憶させる処理を、上記CPU21に実行させる。
情報復元制御プログラム232は、上記データメモリ24内の配信情報記憶部から、各IPパケットのヘッダに記載されている災害情報IDが同一の情報ブロックを選択的に読み出し、この読み出した情報ブロックを結合して一つの完成された配信情報を再構成する処理を、上記CPU21に実行させる。
次に、以上のように構成されたシステムによる災害情報配信動作を説明する。
(1)システム動作の概要
図4はシステムの動作の概要を示す図である。
同図に示すように送信端末TMS1,TMS2では、災害発生時の輻輳等により通信回線の帯域が狭帯域になっている状態で、配信情報D0が入力されるごとに、当該配信情報D0が先ずタイトルと概要とからなるダイジェストファイルD1と、詳細データファイルD2とに分割される。この分割処理は、例えば配信情報D0に「タイトル」、「概要」、「詳細」といった項目名を記載しておき、この項目名を抽出することにより可能である。
次に送信端末TMS1,TMS2では、上記分割されたダイジェストファイルD1と、詳細データファイルD2についてその重要度が判別され、その判別結果をもとに当該ダイジェストファイルD1と、詳細データファイルD2にそれぞれ優先度が付与される。例えば、図4では「最優先」と「低優先」の2段階の優先度が用意され、上記ダイジェストファイルD1にはすべて「最優先」が、また詳細データファイルD2にはすべて「低優先」がそれぞれ付与された場合を示している。
続いて送信端末TMS1,TMS2では、上記分割されたダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2がそれぞれヘッダを付加することによりIPパケット化され、通信ネットワークNWへ送信される。図4では、先ず「最優先」に分類されたダイジェストファイルD1が送信され、続いて「低優先」に分類された詳細データファイルD2が送信される場合を示している。
一方、受信端末TMR1〜TMR5では、自端末宛てのIPパケットが受信されると、このIPパケットは一旦データメモリ24に保存される。そして、ヘッダに記載されたID情報をもとに同一の災害情報を構成するダイジェストファイルと詳細データファイルが選択的に読み出され、この読み出されたダイジェストファイルと詳細データファイルが図4に示すように統合されて配信情報D0が再構成される。
(2)システムの動作手順
図5は情報配信システムの動作手順を示すフローチャートである。
同図において、情報配信準備中または情報配信中に送信端末TMS1,TMS2では、ステップS11により受信端末TMR1〜TMR5との間の通信回線の状態を監視している。そして、通信回線に輻輳が発生していない平常状態においては、配信情報を分割せずにそのままIPパケット化して、受信端末TMR1〜TMR5に向け通信ネットワークNWへ送信する。
一方、災害が発生して通信回線に輻輳が発生し、通信回線の状態が平常時よりも通信容量は小さいが、通信が可能な状態になったとする。この場合送信端末TMS1,TMS2は、ステップS12に移行して、未送信の配信情報D0をタイトルと概要とからなるダイジェストファイルD1と、詳細データファイルD2とに分割する。続いてステップS13により、上記分割されたダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2について、その重要度を例えばキーワード検索により判別する。そして、ステップS14により上記判別された重要度を比較し、上記分割されたダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2に優先度を付与して、ダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2を優先度順に並べ替える。
次にステップS15において、上記ダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2をそれぞれヘッダを付加することによりIPパケット化し、これらのIPパケットをその優先度に従いダイジェストファイルD1、詳細データファイルD2の順に、受信端末TMR1〜TMR5に向け通信ネットワークNWへ送信する。ヘッダには、同一の災害情報ID等が記載される。
これに対し受信端末TMR1〜TMR5は、ステップS16において上記ダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2を受信すると、これらをデータメモリ24に一旦保存する。また、このとき上記ダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2を一つ受信するごとに、送信元の送信端末TMS1,TMS2へ受信通知を返送する。次に、ステップS17において、上記保存した各受信情報ブロックの中から、ヘッダに同一の災害情報IDが記載されたダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2を選択的に読み出し、この読み出したダイジェストファイルD1と詳細データファイルD2とを結合して配信情報D0を再構成(復元)する。そして、一つの完成された配信情報D0を復元できたことを確認すると、全情報ブロックを受信完了した旨の受信通知を送信元の送信端末TMS1,TMS2へ返送する。
図6は、上記配信情報D0の分割及び復元処理の具体例を示す図である。分割されたダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2にはそれぞれヘッダが付与される。これらのヘッダには、例えば重要度:n、情報ブロックの種類(ダイジェストファイル又は詳細データファイル)、災害情報ID:ABC123、タイムスタンプ:2007:9:19:07:54、発信場所ID:東京がそれぞれ記載される。
(3)優先度設定処理の具体例
図7は、上記図5のステップS13,S14による重要度判定及び優先度設定処理の具体例を示すフローチャートである。
災害情報は、利用者端末等からのメールの受信、防災センタのサーバ等からのhttpによるテキストデータの受信、オペレータによるキー入力(テキスト)等の複数種の取得手段により、送信端末TMS1,TMS2に届けられる。送信端末TMS1,TMS2の優先順位設定制御プログラム132は、情報分割制御プログラム131により分割された上記災害情報の情報ブロックごとに重要度を分析して優先度を付与し、この優先度別に上記情報ブロックを並べ替える処理を、以下のように実行する。
すなわち、ステップS21で初期化した後、ステップS22により先ず情報の種類を弁別して、テキストファイルと、その他のファイル(音声、画像、映像等)とに分類する。次に、この分類したファイルごとに、そのファイル名からキーワード(例えば、(1)避難指示、(2)避難勧告、(3)避難準備、(4)お知らせ)を検索し、抽出する。このとき検索手段としては、OCR(Optical Character Reader)ソフトウエアやパタンマッチング(画像一致)処理などが用いられる。また、同様に上記分類したファイルごとに、その本文中からキーワード群(例えば、上記ファイル名の場合と同様に(1)避難指示、(2)避難勧告、(3)避難準備、(4))を検索し、抽出する。この場合の検索手段も、OCRソフトウエアやパタンマッチング(画像一致)処理を使用できる。
次に、上記ファイル名から抽出したキーワードをもとに、情報ファイルに4段階の優先度P1〜P4を設定し、この優先度順に情報ファイルを並べ替える。また、上記本文から抽出したキーワードをもとに上記情報ファイルに対し優先度を設定し、この優先度順に上記情報ファイルを並べ替える。続いて、各情報ファイル間で、上記ファイル名から抽出したキーワードに基づく優先度を比較する。そして、優先度が同一の情報ファイルについては、上記本文から抽出したキーワードに基づく優先度を比較し、この比較の結果優先度が異なる場合には上記本文から抽出したキーワードに基づく優先度に従い情報ファイルの優先順位を決定する。これに対し、上記本文から抽出したキーワードに基づく優先度も同一であれば、災害の状況が進展していることを見込んで、後の時刻に到着した情報ファイルに対し高い優先順位を与える。
例えば、図7に示すようにキーワードとして「避難指示」、「避難勧告」、「避難準備」、「お知らせ」を設定した場合には、ステップS23〜S27において上記各キーワード「避難指示」、「避難勧告」、「避難準備」、「お知らせ」に対しそれぞれ優先度P1,P2,P3,P4を設定する。これらの優先度P1,P2,P3,P4は、P1が最も高く、以後P2、P3、P4の順に低くなる。
かくして、各情報ファイルに対し一意に優先順位が決定される。優先順位が決定された各情報ファイルはそれぞれ優先順位に対応付けられたファイルボックス(キュー)に投入され、以後情報配信制御プログラム133により配信制御が実行されるまで待機状態となる。
以上のように、ファイル名からだけでなく本文からもキーワード検索を行って優先度を設定することで、ファイル名にキーワード(避難勧告等)が含まれていない場合でも、本文に含まれるキーワードをもとに優先度を設定することができる。
図8は、分割後のダイジェストファイルD1及び詳細データファイルD2を伝送するためのIPパケットのデータ構造の一例を示す図である。同図に示すように、ヘッダには、災害情報ID、報告者、作成日時、先に自動判別して記入した優先度、題名、番号、宛先、宛先種別、送信完了状況、及び付属データサイズが記載される。例えば、ダイジェストのファイルにおいて、「避難勧告」というキーワードを検索・抽出したとすると、その優先度はP2に設定されてヘッダに記入される。一方、詳細データファイルについて、「お知らせ」というキーワードを検索・抽出したとすると、その優先度はP4に設定されてヘッダに記入される。
なお、図9は上記優先度決定後において送信端末の表示デバイス18に表示される情報配信画面の一例を示すものである。この画面を表示することにより、オペレータは配信情報の発信元、送信先、送信日時及び送信内容は勿論のこと、優先度レベル(ここでは、緊急=避難指示、高=避難勧告、中=避難準備、低=お知らせの4段階)についても確認することができる。
(4)情報配信制御の概要
図10は、防災情報(災害情報)の配信制御アルゴリズムの概要を示す図である。
次々に入力される複数の防災情報を配信しようとするとき、各防災情報を前記した情報分割制御プログラム131に従いダイジェストファイルと詳細データファイルとに分割し、さらに優先順位設定制御プログラム132により4段階の優先順位を設定して待機させておく。
ここでは4つの防災情報がある場合を例にとって説明する。先ず各ダイジェストファイル及び詳細データファイルに付与されているヘッダを参照して、4段階の優先度のうちのどの優先順位が設定されているかを判定する。次に、優先順位設定制御プログラム132のプライオリティキューイング機能により、優先度レベル(例えば、緊急=避難指示、高=避難勧告、中=避難準備、低=お知らせ、の4段階)が高い順に上記各ダイジェストファイル及び詳細データファイルを優先度別のキューに振り分け、優先度レベルの高い順に配信を待機させる。図10では中央部の上が最優先となる。
次に、情報配信制御プログラム133の優先スケジューラにより、先ず上記優先度レベルが最も高いキュー(優先度P1のキュー)で待機している情報を順番に読み出して通信ネットワークNWへ送り出す。続いて、優先度レベルが次に高いキュー(優先度P2のキュー)で待機している情報を順番に読み出して通信ネットワークNWへ送り出す。同様に、優先度P3のキューで待機している情報を順番に読み出して通信ネットワークNWへ送り出し、最後に優先度レベルが最も低いキュー(優先度P4のキュー)で待機している情報を順番に読み出して通信ネットワークNWへ送り出す。
したがって、先ず各防災情報のダイジェストファイル群が順に優先的に送信され、しかるのち詳細データファイル群が送信される。しかも、各ダイジェストファイルの中では、優先度レベルが最も高い「避難指示」のダイジェストファイルが優先的に送信され、続いて「避難勧告」のダイジェストファイルが送信される。また、同様に各詳細データファイルの中では、優先度レベルが中レベルの「避難準備」の詳細データファイルが先ず送信され、続いて「お知らせ」の詳細データファイルが送信される。
また、詳細データファイルの配信中に、それよりも優先度レベルの高い情報の配信要求が新たに発生した場合には、上記詳細データファイルの配信を一時的に中止し、上記新たに発生した優先度レベルのより高い新規ダイジェストファイルを先に配信する。すなわち、優先度レベルの高いダイジェストファイルがそれより優先度レベルの低い詳細データファイルを追い越して優先的に配信される。
(5)情報配信制御の具体例
図11は情報配信制御の処理手順と処理内容の具体例を示すフローチャートである。
送信端末TMS1,TMS2は、最初にステップS30において初期設定制御を以下のように行う。すなわち、先ずステップS31により初期設定制御プログラムを起動し、マシン資源の確保とクリアを行うとともに、前回の配信制御終了時点で記憶された初期設定情報をデータメモリ14から読み込み、動作環境を整える。続いてステップS32により、情報入力受付制御プログラム、情報分割制御プログラム131、優先順位設定制御プログラム132及び情報配信制御プログラム133をそれぞれ起動する。
次に、ステップS40において、情報入力受付制御プログラム、情報分割制御プログラム131及び優先順位設定制御プログラム132によるファイル振分け制御が以下のように実行される。
すなわち、先ずステップS41により、メール又はhttpにより通信ネットワークNW経由で送られる防災情報(災害情報)を受信すると共に、入力デバイス17により入力される防災情報を入出力I/F16を介して受け付ける。続いてステップS42により、受け付けた防災情報等を、概要+タイトル(テキスト)のファイルと、詳細データのファイルとに分割する。
次に、ステップS43により、上記分割された概要+タイトル(テキスト)のファイル及び詳細データのファイルにそれぞれその重要度に応じて優先度レベルを設定する。そして、この設定された優先度レベルに応じて、上記概要+タイトル(テキスト)のファイルをダイジェストファイルとして、高優先度が与えられたダイジェストファイル用キューにセットする。また、詳細データファイルを、低優先度が与えられた詳細データファイル用キューにセットする。ここで、ダイジェストファイル用キューおよび詳細データファイル用キューの中でさらに優先順位を設けてもかまわない。
続いて、ステップS44により、キューにファイルがセットされた旨をファイル転送制御機能に通知する。通知の方法は、シグナルを送ることにものでもよいし、またフラグをセットするものでもよく、さらには他の方法を用いてもよい。ただし、即応性の観点からシグナルを送ることが望ましい。以後、新たな防災情報を受け取るごとに、上記ステップS41〜S44を繰り返す。
次に、ステップS50において、情報配信制御プログラム133によるファイル転送制御が以下のように実行される。
すなわち、先ずステップS51により、前回のプログラム終了時に転送が中断された高優先のダイジェストファイルがあるかどうかを判定し、あれば中断された高優先のダイジェストファイルをキューから読み出して送信する。これに対し中断されたダイジェストファイルが存在しない場合には、高優先のキューに配列されたダイジェストファイルを先頭から順に読み出して送信する。この高優先のキューにセットされたダイジェストファイルの送信は、当該キューからファイルがなくなるまで行われる(ステップS52)。
そして、高優先のダイジェストファイルがキューからなくなると、続いてステップS53により、低優先のキューにセットされた詳細データのファイルを順に読み出して送信する。ただし、この低優先キューのファイルの送信中に高優先のファイルがキューにセットされると、現在送信中の低優先ファイルの送信を中断して、上記新たにキューにセットされた高優先のダイジェストファイルを送信する。そして、この新規の高優先ダイジェストファイルの送信終了後に、上記送信を中断していた低優先の詳細データファイルの送信を再開する。以後、すべてのキューからファイルがなくなるまで、上記ステップS51〜S53の処理を繰り返す。
以上の処理を実行することにより、優先順の並べ替えを動的に確保することが可能である。
図12は、以上述べた情報配信制御プログラム133によるファイル転送制御手順の具体例を示すフローチャートである。
情報配信制御プログラム133は、先ずステップS61により前回のプログラム終了時に転送が中断された高優先のダイジェストファイルがあるかどうかを判定する。この判定の結果、送信が中断された高優先のダイジェストファイルがあれば、ステップS62により当該ファイルをキューから読み出して送信する。
一方、中断されたダイジェストファイルが存在しない場合には、ステップS63に移行し、ここで高優先のキューにダイジェストファイルがセットされているか否かを判定する。そして、セットされていれば、ステップS64により当該高優先のキューからダイジェストファイルを配列順に読み出して送信する。これに対し、高優先のキューにダイジェストファイルがセットされていなければ、ステップS65により高優先度のキューに新たなダイジェストファイルがセットされた旨の通知を受け付けるように設定した後、ステップS66に移行する。
ステップS66では、転送途中だった低優先の詳細データファイルの有無を判定する。そして、送信が中断された低優先の詳細データファイルがあれば、ステップS67により当該ファイルをキューから読み出して送信する。一方、送信が中断された詳細データファイルがキューに存在しない場合には、ステップS68に移行し、ここで低優先のキューに詳細データファイルがセットされているか否かを判定する。そして、セットされていれば、ステップS69により当該低優先のキューから詳細データファイルを配列順に読み出して送信する。
これに対し、低優先のキューに未送信の詳細データファイルがセットされていなければ、ステップS70により、優先度がさらに下位のキューに未送信のファイル(例えば定時のお知らせのための詳細データファイル)がセットされているか否かを判定する。そして、セットされていれば、ステップS66に戻って上記低優先度のキューに転送途中のファイルがあるか否かを判定し、なければステップS67により上記未送信のお知らせ用の詳細データファイルを送信する。そして、最後にステップS71において優先度が最下位のキューに達したか否かを判定する。そして、達していなければステップS66に戻って上記ステップS66〜S70による優先度が低いキューのファイル転送処理を繰り返し実行し、優先度が最下位のキューに達した場合にはステップS63に戻って高優先度のキューのファイル転送処理を実行する。
また、上記ステップS66〜S70による優先度が低いキューのファイル転送処理を実行している最中に、上記高優先度のキューに新たなダイジェストファイルがセットされた旨の通知を受けたとする。この場合情報配信制御プログラム133は、ステップS72に移行し、上記セットされた新たなファイルはいま送信しようとしているファイルより優先度が高いか否かを判定する。この判定の結果、優先度が高ければステップS73により、現在送信しているファイルの送信を中断し、当該中断ファイルの情報を中断ファイルリストに追加する。そして、ステップS63に戻って高優先度のキューに新たにセットされたファイルの転送処理を実行する。
図13は以上述べた情報配信制御による処理状態の移り変わりを示した状態遷移図である。同図に示すように、情報配信制御プログラム133は、転送ファイル待ち状態J1と、ダイジェストファイル転送状態J2と、詳細データファイル転送処理状態J3と、未転送ファイル確認状態J4との間で、制御状態が遷移する。
以上述べたように、この発明の第1の実施形態に係わる情報配信システムによれば、送信端末TMS1,TMS2では、入力された災害情報をダイジェストファイルと詳細データファイルとに分割し、これらのファイルにそれぞれ優先度を設定した後、当該優先度レベル別にキューで配信待機させる。そして、上記ファイルを優先度の高いキューにセットされたものから順に送信するようにしている。
したがって、図18に示すように輻輳等により通信回線の伝送容量が狭帯域化した状況下においても、ダイジェストファイル及び詳細データファイルを連続的にかつ滞りなく配信することができる。また、動的に送り出し順序の変更が可能である。
また受信端末においては、ダイジェストファイル及び詳細データファイルが異なるタイミングで、或いは異なる順序で受信されても、そのIPヘッダに記載されている災害情報ID及びタイムスタンプに基づいて、元の配信情報を正確に再構成することができる。
さらに、各情報ファイルに対する優先順位の設定処理をキーワード検索技術を利用して自動的に行うことができ、さらにキーワード検索をタイトルと概要本文からそれぞれ行って、その結果を比較することにより優先順位を設定するようにしている。したがって、オペレータの手を煩わせることなく優先度を正確に設定することができる。
(第2の実施形態)
災害情報を配信する際に、停電等の何らかのトラブルにより、送信端末もしくは受信端末がハングアップし、再起動が必要となった場合に、それまでの間に配信したデータを廃棄するのでなく、再起動後にデータを途中から配信もしくは受信を継続して行えるようにすると、より効率の良い情報配信が可能となる。
この発明の第2の実施形態に係わる情報配信システムは、上記したように端末の再起動後にデータを途中から配信もしくは受信を継続して行えるようにする、いわゆるレジューム配信機能を送信端末TMS1,TMS2及び受信端末TMR1〜TMR5に備えるように構成したものである。
図14は、レジューム配信制御機能の概念を説明するための図である。災害発生時には、人的資源や電源確保の安定性の見地等から、送信端末TMS1,TMS2及び受信端末TMR1〜TMR5においても何かとトラブルが発生する可能性があり、このトラブル対応のために送信端末TMS1,TMS2又は受信端末TMR1〜TMR5の動作を一旦停止させる場合がある。この場合には、例えば送信端末TMS1,TMS2又は受信端末TMR1〜TMR5のOS(Operating System)を再起動しなければならない。このような事象に遭遇したとき、情報配信動作は強制的に中断される。このような場合、従来では配信が中断されるまでに送信したデータが強制的に廃棄されていた。このため、画像データ等の大容量のデータ(例えば詳細データファイル)は、端末の再起動後に初めから再配信する必要があり、大幅の伝送遅延を生じるか、又は最悪の場合には配信できない場合もあり得る。
そこで、この発明の第2の実施形態に係わる情報配信システムは、配信中断が発生した場合に、受信端末TMR1〜TMR5においてそれまでの間に受信を完了した情報ファイルの履歴を表す受信Logデータを生成して、この受信Logデータを受信端末TMR1〜TMR5から送信端末TMS1,TMS2に通知する。また送信端末TMS1,TMS2においては、それまでの間に送信を完了した情報ファイルの履歴を表す送信Logデータを生成する。そして、送信端末TMS1,TMS2と受信端末TMR1〜TMR5との間で、上記送信Logデータ及び受信Logデータをもとに、情報ファイルの配信履歴を相互に照合できるようにしている。
図15は、レジューム配信制御の処理手順を示すフローチャートである。なお、送信端末TMS1,TMS2及び受信端末TMR1〜TMR5の基本構成は前記第1の実施形態と同一なので、ここでは図2及び図3を援用して説明を行う。
送信端末TMS1,TMS2は、情報配信制御プログラム133により上記レジューム配信制御処理を実行する。すなわち、先ずステップS81で端末の動作状態を初期化した後、ステップS82において、防災情報を分割したダイジェストファイルと詳細データファイルの優先送信処理を開始する。なお、上記防災情報の分割処理、優先順位設定処理及び優先度に応じた配信処理は、前記第1の実施形態で述べた処理と同一なので、ここでの説明は省略する。そして、上記情報ファイルの送信期間中に、ステップS83において、一定時間ごとに上記情報ファイルをどこまで送信したかを示すマーカを当該情報ファイルに付け、このマーカが付けられた情報ファイルを表す情報を送信Logデータとしてデータメモリ14に保存する。
一方、受信端末TMR1〜TMR5は、情報受信制御プログラム231により上記レジューム配信制御処理を実行する。すなわち、先ずステップS91で端末の動作状態を初期化した後、ステップS92において、上記送信端末TMS1,TMS2から送信された自端末宛ての情報ファイルの受信処理を開始する。そして、この情報ファイルの受信期間中に、ステップS93において、一定時間ごとに上記情報ファイルをどこまで受信したかを示すマーカを当該情報ファイルに付け、このマーカが付けられた情報ファイルを表す情報を受信Logデータとしてデータメモリ24に保存する。また情報受信制御プログラム231は、ステップS94において、詳細データファイルの受信状況を表す情報を受信Logデータとして保存するごとに、当該受信Logデータをデータメモリ24から読み出して送信元の送信端末TMS1,TMS2へ送信する。
これに対し送信端末TMS1,TMS2の情報配信制御プログラム133は、ステップS84において、上記受信端末TMR1〜TMR5から送信された受信Logデータを受信し、この受信Logデータをデータメモリ14内に保存する。
さて、この状態で例えば受信端末TMR1において、ステップS95によりトラブルが発生してダウンし(ステップS96)、オペレータがステップS97によりOS及びアプリケーション・プログラムを再起動したとする。そうすると、送信端末TMS1の情報配信制御プログラム133及び受信端末TMR1の情報受信制御プログラム231はそれぞれ、ステップS85,S98において、上記受信端末TMR1がダウンする直前の送信Logデータに記録されたマーカと、受信Logデータに記録されたマーカとを比較し、これにより情報ファイルの再送開始位置を特定する。そして、ステップS86,S99により、上記配信が中断された情報ファイルの上記特定した再送開始位置から配信を再開する。
したがって、分割した詳細データファイルを配信する場合は無論のこと、詳細データファイルを分割しないで配信する場合でも、配信が中断されるまでの間に配信が完了した部分を再送する必要がなくなり、中断位置以降の部分のみを伝送すればよいことになる。このため、伝送所要時間が短縮されて、迅速かつ確実な情報配信が可能となる。
(その他の実施形態)
送信端末TMS1,TMS2においてダイジェストファイル及び詳細データファイルの情報長が長い場合には、これらのダイジェスト及び詳細データファイルをそれぞれ複数の情報ブロックに分割し、この分割された複数の情報ブロック単位で優先度を付加して配信するようにしてもよい。
図16はその一例を示したものである。同図では、タイトルを1個のデータブロックB1として、これにヘッダH1を付加してIPパケット化し、このIPパケットを先ず最優先で送信する。次に、概要を2個のデータブロックB2,B3に分割して、これらにそれぞれヘッダH2,H3を付加してIPパケット化し、これらを第2優先として順次送信する。さらに、詳細データファイルを複数個のデータブロックB4〜Bnに分割して、これらにそれぞれヘッダH4〜Hnを付加してIPパケット化し、これらを第3優先として順次送信している。
図17は、上記IPパケットの具体的な構造を示すもので、ここでは配信優先順位が最優先レベルに設定される「タイトル」を、最短IPパケット長を用いて送信する場合のパケット構造を示したものである。最短IPパケット長は46バイトであり、このうちIPヘッダはオプション領域を除いて20バイト、データフィールド(IPペイロード)は26バイトとなっている。また、データフィールドはその先頭の20バイトがTCPヘッダに割り当てられるため、残りの6バイトに「タイトル」が挿入される。
上記IPヘッダ内のパケット長を記載する領域には「46バイト」であることが記載され、優先度を示す情報はIPパケットには記載しない。受信端末は、上記IPパケットを受信すると、IPヘッダ内のパケット長を記載する領域からパケット長を読み込み、このパケット長が最短パケット長である46バイトを表している場合には、当該IPパケットを最優先パケットと認識する。このようにすると、優先度情報をIPヘッダに挿入する必要がなくなる。
その他、送信端末及び受信端末の種類とその構成、情報分割制御、優先度設定制御及び配信制御の制御手順と制御内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
この発明の第1の実施形態に係わる情報配信システムの概略構成図である。 図1に示したシステムにおける送信端末のハードウエア及びソフトウエアの構成を示すブロック図である。 図1に示したシステムにおける受信端末のハードウエア及びソフトウエアの構成を示すブロック図である。 図1に示したシステムの動作の概要を説明するための図である。 図1に示したシステムの動作手順を示すフローチャートである。 配信情報の分割処理及び復元処理の具体例を示す図である。 重要度判定及び優先度設定処理の具体例を示すフローチャートである。 分割後のダイジェストファイル及び詳細データファイルを伝送するためのIPパケットのデータ構造の一例を示す図である。 上記優先度決定後において送信端末の表示デバイスに表示される情報配信画面の一例を示す図である。 防災情報(災害情報)の配信制御アルゴリズムの概要を示す図である。 情報配信制御の処理手順と処理内容の具体例を示すフローチャートである。 図2に示した送信端末の情報配信制御プログラム133によるファイル転送制御手順の具体例を示すフローチャートである。 図2に示した送信端末の情報配信制御プログラム133による情報配信制御による処理状態の移り変わりを示した状態遷移図である。 この発明の第2の実施形態に係わる情報配信システムにおけるレジューム配信制御機能の概念を説明するための図である。 この発明の第2の実施形態に係わる情報配信システムにおけるレジューム配信制御の処理手順を示すフローチャートである。 この発明の他の実施形態に係わる情報配信システムの情報配信動作の概要を説明するための図である。 IPパケットの具体的な構造を示す図である。 この発明の実施形態の効果を説明するための図である。
符号の説明
TMS1,TMS2…送信端末、TMR1〜TMR5…受信端末、NW…通信ネットワーク、11,21…CPU、12,22…バス、13,23…プログラムメモリ、14,24…データメモリ、15,25…通信インタフェース、16,26…入出力インタフェース、17,27…入力デバイス、18,28…表示デバイス、131…情報分割制御プログラム、132…優先順位設定制御プログラム、133…情報配信制御プログラム、231…情報受信制御プログラム、232…情報復元制御プログラム。

Claims (7)

  1. 配信対象の情報を、送信端末から受信端末へ通信回線を介して伝送する情報配信システムであって、
    前記送信端末は、
    前記配信対象の情報をその機能別に複数の情報ブロックに分割する手段と、
    前記分割された複数の情報ブロックの各々に、その重要度に応じて優先順位を設定する手段と、
    前記分割された複数の情報ブロックの各々に当該情報ブロック間の関係性を表す情報を含む制御情報を付加し、この制御情報が付加された複数の情報ブロックを、前記設定された優先順位が高いものから順に前記通信回線へ送信する手段と
    を備え、
    前記受信端末は、
    前記送信端末から前記通信回線を介して送られる、制御情報が付加された複数の情報ブロックをそれぞれ受信して保存する手段と、
    前記保存された複数の情報ブロックを、当該各情報ブロックに付加された制御情報に含まれる情報ブロック間の関係性を表す情報に基づいて選択的に結合し、前記分割前の配信対象の情報を復元する手段と
    を備えることを特徴とする情報配信システム。
  2. 配信対象の情報を通信回線を介して受信端末へ送信する情報配信装置において、
    前記配信対象の情報をその機能別に複数の情報ブロックに分割する分割手段と、
    前記分割手段により分割された複数の情報ブロックの各々に、その重要度に応じて優先レベルを設定する優先レベル設定手段と、
    前記分割手段により分割された複数の情報ブロックの各々に当該情報ブロック間の関係性を表す情報を含む制御情報を付加し、この制御情報が付加された複数の情報ブロックを、前記優先レベル設定手段により設定された優先レベルが高いものから順に前記通信回線へ送信させる優先送信制御手段と
    を具備することを特徴とする情報配信装置。
  3. 前記通信回線の品質を監視する監視手段と、
    前記監視手段により、前記通信回線の品質が予め設定されたしきい値より劣化していると判定されているときに、前記分割手段、優先順位設定手段及び優先送信手段による処理を実行させる手段と
    を、さらに具備することを特徴とする請求項2記載の情報配信装置。
  4. 前記優先レベル設定手段は、
    前記複数の情報ブロック中から、重要度を判別するために予め設定した複数のキーワードを抽出する手段と、
    前記キーワードの検出結果に基づいて、前記情報ブロックに対し優先レベルを設定する手段と
    を備えることを特徴とする請求項2又は3記載の情報配信装置。
  5. 前記優先送信制御手段は、
    第1の優先レベルが設定された情報ブロックの送信中に、前記第1の優先レベルよりレベルの高い第2の優先レベルが設定された情報ブロックの送信要求を監視する手段と、
    前記送信要求が検出された場合に、前記第1の優先レベルが設定された情報ブロックの送信を中断し、代わりに前記第2の優先レベルが設定された情報ブロックを前記通信回線へ送信させるように制御する割り込み制御手段と
    を、さらに備えることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の情報配信装置。
  6. 前記優先送信制御手段は、
    前記割り込み制御手段が、前記第1の優先レベルが設定された情報ブロックの送信を中断した場合に、当該情報ブロックの中断位置を表す情報を保存する手段と、
    前記第2の優先レベルが設定された情報ブロックの送信完了後に、前記保存された中断位置を表す情報に基づいて、前記送信が中断された情報ブロックの送信を前記中断位置から再開させるように制御する送信再開制御手段と
    を、さらに備えることを特徴とする請求項5記載の情報配信装置。
  7. 前記優先送信制御手段は、
    前記情報ブロックの送信中に、当該情報ブロックの受信経過を表す情報を送信先の受信端末から定期的に受信する手段と、
    前記情報ブロックの送信中に前記受信端末で再起動が行われたことを検知した場合に、その直近のタイミングにおいて当該受信端末から受信した前記受信経過を表す情報に基づいて、前記受信端末において受信が確認された位置以降から前記情報ブロックの送信を再開させるように制御する手段と
    を、さらに備えることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の情報配信装置。
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