JP2009194576A - 送信装置及び歪み補償方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】3G方式など広帯域システムにおいて、より精度の高い歪み補償を実現することができ、また低消費電力化を実現できる送信装置及び歪み補償方法を提供すること。
【解決手段】送信装置100は、広帯域かつ送信信号の帯域幅(RB数)が可変の通信システムに適用され、パワーアンプ108の入力レベルに対応して、RBとゲインと位相を格納するLUT113と、パワーアンプ108の各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出する誤差検出部111と、入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、誤差検出部111からの補正値を基にLUT113を更新する更新判定部112とを備え、信号の送信電力密度が変更された場合や帯域幅が変更された時に、各送信電力に対する歪み補正値を算出し、補正値をLUT113に記憶して歪み補償に利用する。
【選択図】図1
【解決手段】送信装置100は、広帯域かつ送信信号の帯域幅(RB数)が可変の通信システムに適用され、パワーアンプ108の入力レベルに対応して、RBとゲインと位相を格納するLUT113と、パワーアンプ108の各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出する誤差検出部111と、入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、誤差検出部111からの補正値を基にLUT113を更新する更新判定部112とを備え、信号の送信電力密度が変更された場合や帯域幅が変更された時に、各送信電力に対する歪み補正値を算出し、補正値をLUT113に記憶して歪み補償に利用する。
【選択図】図1
Description
本発明は、送信装置及び歪み補償方法に関し、特に、送信信号に対してプリディストーション処理を行ってパワーアンプの歪み特性を補償する送信装置及び歪み補償方法に関する。
移動体及び固定の無線通信のブロードバンド化に伴い、送信信号の広帯域化が進み、電力増幅器の消費電力が益々増大し、基地局装置の大型化、携帯端末のバッテリ寿命の低下や放熱が大きな課題となっている。
高効率電力増幅方式として、ドハティ(Doherty)増幅方式、エンベロープトラッキング(ET:Envelope-Tracking)方式、EER(Envelope-Elimination-Restoration)方式など、増幅器の非線形動作を利用する方法が考案されている。これらの方式を用いた非線形回路ではいずれも歪補償技術が必須となる。歪補償方法としては、例えば、非線形回路である増幅器の非線形性の逆特性を予め送信信号に施し、系全体として歪みを低減するプリディストーション(PD:Pre-Distortion)が知られている。
また、近年のデジタル信号処理デバイス技術の進展により、歪補償をデジタル信号処理で行う方法が開発されている。プレディストーションによる歪補償をデジタル処理で行う方法をDPD(Digital Pre-Distortion:デジタルプリディストーション)という。
DPDにおいては、増幅器の非線形性の逆特性は複数のルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)やパラメータで特徴づけられる。ルックアップテーブルやパラメータの値は、増幅器の入力信号を出力信号からの帰還信号と比較して、入力信号と帰還信号との差がゼロになるようにフィードバック処理を行うことによって決定される。
特許文献1及び特許文献2には、ルックアップテーブルもしくはアンプモデルを用いたデジタルプリディストーション方式の歪み補償方式搭載する送信機が開示されている。
無線通信のブロードバンド化に伴い、信号が広帯域化し、デジタル処理回路のクロック周波数が高くなると、増幅器の温度変動や過渡特性やヒステリシス特性(これらをメモリ効果という)が無視できなくなり、増幅器の非線形特性を記述するパラメータが増える。このため、DPDの処理速度の高速化が益々要求される。
DPDの処理速度が高速化すると、DPDの単位時間あたりの処理量が増えるため、高速動作できるデジタル処理デバイスやA/D変換器やD/A変換器等が必要になり、使用部品が高価になるとともに消費電力が上昇する。
特開2005−73032号公報
特開2007−60483号公報
しかしながら、このような従来のプリディストーション方式の増幅器を備える送信装置にあっては、以下のような問題があった。
(1)端末に搭載するためには、DPDの回路規模が大きくないことが望ましいが、DPDの処理が少なくなると歪み補償効果を高くすることが難しい。
(2)広帯域信号をフィードバックする場合は、フィードバックの回路(周波数変換部)や歪み検出部が必要とする処理量が多くなり、消費電流が増加する。また、処理量に対応して、DPDの処理速度を高速化すると、単位時間あたりの処理量が増えるため、高速動作できるデジタル処理デバイスやADCやDAC等が必要になり、使用部品が高価になるとともに消費電力が上昇する。
(3)3G−LTE(Long Term Evolution)のような信号帯域が可変のシステムでは、同じパワーでも帯域幅が違うことがある。
よってすべての帯域幅に対してテーブルを持つことは難しい。
(4)広帯域信号時に歪みの規格が厳しくなる。
上記(3)(4)についてさらに説明する。
3G−LTE方式では、従来のシステムに比べてPAPR(Peak to Average Power Ratio)が高い、隣接チャネルへの漏洩電力の規格が厳しいなど、端末送信における増幅器の歪み特性への要求が厳しい。よって端末においても歪み補償方式の増幅器の搭載が要求されてきている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、3G−LTE方式など広帯域システムにおいて、より精度の高い歪み補償を実現することができ、また低消費電力化を実現できる送信装置及び歪み補償方法を提供することを目的とする。
本発明の送信装置は、パワーアンプの歪み特性と逆の特性を歪み補償係数として格納するテーブルと、入力ベースバンド信号に対して、前記テーブルから読み出した歪み補償係数を乗算して前記パワーアンプにより発生する歪を補償する歪み補償手段と、前記入力ベースバンド信号と前記パワーアンプの出力信号に基づいて、前記パワーアンプの各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出する誤差検出手段と、前記入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、前記誤差検出手段からの補正値を基に前記テーブルを更新する更新判定手段と、を備える構成を採る。
本発明の歪み補償方法は、パワーアンプの歪み特性と逆の特性を歪み補償係数としてテーブルに格納するステップと、入力ベースバンド信号に対して、前記テーブルから読み出した歪み補償係数を乗算して前記パワーアンプにより発生する歪を補償するステップと、前記入力ベースバンド信号と前記パワーアンプの出力信号に基づいて、前記パワーアンプの各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出するステップと、前記入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、前記補正値を基に前記テーブルを更新するステップとを有する。
本発明によれば、帯域幅の変化と出力電力の変化に応じてルックアップテーブルを更新することにより、3G−LTE方式など広帯域で、帯域幅が可変のシステムにおいて、ルックアップテーブルの更新の実効を高め、より精度の高い歪み補償を実現することができる。また、歪み補償に用いるルックアップテーブルを更新する際は、RB数が多いときの補正値を優先的に使用することで、パワーアンプのメモリ効果や帯域幅等に対する影響を考慮することができ、歪み補償の性能を向上させることができる。さらに、帯域幅に応じてフィードバック系を制御することにより、フィードバック系の処理量と消費電力を低減することができる。その結果、3G−LTE方式など広帯域で、かつ可変のシステムにおいて、パワーアンプの歪み補償の精度を格段に高めることができ、隣接チャネルへの漏洩電力の規格が厳しい3G−LTE方式に適用して好適である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る送信装置の構成を示す図である。本実施の形態は、デジタルプリディストーション方式によって送信信号の歪み補償を行う送信装置に適用した例である。この送信装置は、例えば携帯端末等の無線通信装置に搭載されている。また、無線通信装置は、3G−LTEのような広帯域かつ送信信号の帯域幅(RB数)が可変のシステムである。
図1は、本発明の実施の形態1に係る送信装置の構成を示す図である。本実施の形態は、デジタルプリディストーション方式によって送信信号の歪み補償を行う送信装置に適用した例である。この送信装置は、例えば携帯端末等の無線通信装置に搭載されている。また、無線通信装置は、3G−LTEのような広帯域かつ送信信号の帯域幅(RB数)が可変のシステムである。
図1において、送信装置100は、ベースバンド変調部101、歪み補償部102、DAC103,104、変調器105、局部発振器106、直交変調器(0/90°)107、パワーアンプ(PA)108、ADC109、復調部110、誤差検出部111、更新判定部112、及びルックアップテーブル(LUT)113を備えて構成される。
ベースバンド変調部101は、送信信号の符号化や多重化を行うことで同相成分のベースバンド信号I(t)と直角位相成分のベースバンド信号Q(t)を形成する。また、ベースバンド変調部101は、プリディストーション処理のためのデータ信号としてベースバンド信号を誤差検出部111に出力する。さらに、ベースバンド変調部101は、プリディストーション処理のためのデータ信号として送信信号のRB(Resource Block)を更新判定部112に出力する。3G−LTEシステムでは、端末から送信する信号の帯域幅が変化する。その帯域幅の単位を3G−LTEシステムではRBという。3G−LTE方式の場合、送信RBの数と位置を帯域幅判定情報として更新判定部112に渡す。例えば、ベースバンド変調部101は、送信信号のRB数が1RBかつ帯域の端で送信していることを伝達する。
歪み補償部102は、送信ベースバンド信号I(t),Q(t)にルックアップテーブル(LUT)113から読み出した歪み補償係数を乗じてDAC103,104に出力する。送信ベースバンド信号にルックアップテーブル(LUT)113から読み出した歪み補償係数が乗算されることで、プリディストーション処理が行われる。プリディストーション処理後の送信ベースバンド信号は、DAC103,104に出力される。
DAC103,104は、プリディストーション処理後の送信ベースバンド信号をD/A変換して変調器105に出力する。
変調器105は、ミキサを備え、局部発振器106出力とその出力を直交変調器107により直交変調した搬送波信号を基に、D/A変換された送信ベースバンド信号を無線信号(RF信号)に変調する。
パワーアンプ(PA)108は、無線信号を増幅し、図示しないアンテナから無線電波として輻射される。パワーアンプ(PA)108の出力側には信号分配器(図示略)が挿入され、この信号分配器によりパワーアンプ(PA)108から出力される出力信号の一部が分配される。
ADC109は、分配された出力信号をA/D変換し、フィードバック信号として復調部110に出力する。
復調部110は、デジタル信号に変換された出力信号をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。具体的には、復調部110は、図示しないミキサと発振器とローパスフィルタ(LPF)を有し、ミキサは、発振器により発生させた発信信号とフィードバック信号とを乗算して、フィードバック信号の周波数をベースバンド周波数帯域にダウンコンバートする。ローパスフィルタは、ダウンコンバートされたフィードバック信号に対し帯域制限を施す。
誤差検出部111は、入力したベースバンド信号と復調部110により復調されたパワーアンプ(PA)108の出力信号との誤差を検出してパワーアンプ(PA)108の歪み特性を求め、この歪み特性を打ち消すような補正値(歪み補償係数)を算出する。算出された補正値は、一旦、更新判定部112に出力され、更新判定部112がルックアップテーブル(LUT)113を参照する。
更新判定部112は、送信信号の電力密度及び/又はRB数に基づいて、誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)をルックアップテーブル(LUT)113に書き込む。実際には、各電力毎に上述したように歪み補償係数を求めて、各電力値に対応するアドレスにこれを書き込むようになっている。特に、更新判定部112は、前回書き込んだときのRB数と比較してルックアップテーブル(LUT)113を更新する/更新しないを制御する。これにより、ルックアップテーブル(LUT)113からは、ベースバンド変調部101のベースバンド信号の電力を読み出しアドレスとしてその電力に応じた歪み補償係数が出力され、歪み補償部102でこのベースバンド信号に歪み補償係数が乗算されることで、プリディストーション処理が行われる。
ルックアップテーブル(LUT)113は、メモリ等から構成され、非線形歪み特性を有するパワーアンプ(PA)108の歪み特性と逆の特性を、歪み補償係数として格納する歪み補償テーブルである。歪み補償係数は、以下に示すように入力レベル(Pin)に対応するゲイン(Gain)と位相(Phase)である。
図2は、ルックアップテーブル(LUT)113の構成の一例を示す図である。
図2において、ルックアップテーブル(LUT)113は、パワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)に対応して、RBとゲイン(Gain)と位相(Phase)を格納する。ルックアップテーブル(LUT)113は、パワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)に対応して、RB数という項目が加わる。
例えば、Pin「−3」[dBm]のときは、RB「75」以上で更新し、そのときのテーブルの値としてはGain「24」及びPhase「15」が歪み補償係数としてルックアップされる。歪み補償部102は、入力ベースバンド信号にGain「24」及びPhase「15」の歪み補償係数を乗算してパワーアンプ(PA)108により発生する歪を補償する。
本実施の形態のルックアップテーブル(LUT)113は、入力レベル(Pin)に対応して、RBを備えることを特徴とする。上記の場合、Pin「−3」[dBm]のときに、RB「60」であれば、ルックアップテーブル(LUT)113のRB「75」に達しない、すなわち帯域幅がルックアップテーブル(LUT)113の閾値以下であり、この入力レベル(Pin)「−3」に対しては広帯域ではないとして、ルックアップテーブル(LUT)113の値を使用(テーブルを更新)しない。またPin「−3」[dBm]のときに、RB「80」(最大は例えば100)であれば、ルックアップテーブル(LUT)113のRB「75」以上であり広帯域であるとして、Pin「−3」[dBm]におけるルックアップテーブル(LUT)113の値(Gain「24」及びPhase「15」)を使用(テーブルを更新)する。
上述したように、広帯域信号時に歪みの規格が厳しくなる。また、パワーアンプのメモリ効果も考慮すると、広帯域の信号の歪み補償を優先したい。一方で、あらゆる帯域についてルックアップテーブル(LUT)を用意することは困難である。そこで、本実施の形態では、ルックアップテーブル(LUT)113に、RB項目を追加し、RBがテーブル「RB」以上のときにテーブルを更新することで、より広帯域の歪み補償の精度を高める。ルックアップテーブル(LUT)113は、各電力毎に歪み補償係数を求めて、各電力値に対応するアドレスにこれを書き込むことで、その電力に応じた歪み補償係数が出力される。ルックアップテーブル(LUT)113は、ゲイン(Gain)と位相(Phase)をみて、微調整しながら値が書き換えられる。このとき、ルックアップテーブル(LUT)113のテーブル値を書き換えるか書き換えないかの判断を、前回書き込んだときのRB数と比較して行う。詳細については、図5のフローにより説明する。
以下、上述のように構成された送信装置100の動作について説明する。
図3は、パワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)に対する出力レベル(Pout)と位相(Phase)との関係を示す図であり、図4は、図3の入力レベルPa,Pb,Pcにおける信号の帯域幅(RB数)を説明する図である。
3G−LTEシステムでは、送信する信号の帯域幅が変化するため、図3の入力レベルPa,Pb,Pcに対して図4に示すようにRB数が違っても同じ入力レベルになる。
本発明者らは、3G−LTEのような帯域幅(RB数)可変システムでは、同じパワーでも帯域が違うことに着目し、デジタルプリディストーション(DPD)でルックアップテーブル(LUT)を、帯域幅(RB数)の変化とパワーの変化に応じて更新するものである。
前記図1において、パワーアンプ(PA)108から出力される出力信号の一部は、ADC109を介して復調部110にフィードバックされ、復調部110は、フィードバック信号の周波数をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。
誤差検出部111は、入力したベースバンド信号と復調部110により復調されたパワーアンプ(PA)108の出力信号との誤差を検出してパワーアンプ(PA)108の歪み特性を求め、この歪み特性を打ち消すような歪み補償係数を算出する。算出された歪み補償係数は、一旦、更新判定部112に出力され、更新判定部112がルックアップテーブル(LUT)113を参照する。
誤差検出部111は、例えばパイロット信号等を利用して各送信電力に対する振幅及び位相の誤差を算出する。
更新判定部112は、送信信号の電力密度及び/又はRB数に基づいて、誤差検出部111からの歪み補償係数でルックアップテーブル(LUT)113を更新する。更新判定部112は、送信信号の電力密度及び/又はRB数が変化した場合に、パイロット信号等を利用して誤差検出部111により算出された、各送信電力に対する振幅及び位相の誤差(歪み補償係数)を基に、ルックアップテーブル(LUT)113を更新する。これにより、電力密度やRB数が変更された時に各送信電力における補正値がルックアップテーブル(LUT)113に記憶される。
特に、同じ送信電力で帯域幅が違うときの補正値は、帯域幅が大きい時の補正値を優先的に利用する。本実施の形態では、同じ送信出力でもRB数の多い時の補正値を優先的にルックアップテーブル(LUT)113で使用する。すなわち、同じ送信出力であれば、広帯域信号を優先する。
送信電力が同じであればRB数の多い信号の誤差検出結果を優先してルックアップテーブル(LUT)113の値として利用することで、メモリ効果等を考慮することが可能となり、歪みの規格が厳しい広帯域信号の出力時により精度の高い歪み補償ができる。これは、デジタルプリディストーション(DPD)の歪み補償の精度向上につながる。また、メモリの増加を抑えることが可能になる。
ここで、上記メモリ効果について簡単に説明する。無線通信のブロードバンド化に伴い、信号が広帯域化し、デジタル処理回路のクロック周波数が高くなると、増幅器の温度変動や過渡特性やヒステリシス特性(これらをメモリ効果という)が無視できなくなり、増幅器の非線形特性を記述するパラメータが増える。一般には、このメモリ効果に対応するために、デジタルプリディストーション(DPD)の処理速度の高速化が必要である。本実施の形態では、ルックアップテーブル(LUT)113の更新を帯域幅(RB数)の変化とパワーの変化に応じて更新をしていくことで、メモリ効果による非線形特性の出現を低減することができ、デジタルプリディストーション処理速度の高速化とは、別の観点からメモリ効果に対応することができる。
図5は、送信装置100の動作を示すフローチャートであり、図中Sはフローの各ステップを示す。
待機状態から本フローが開始されると、ステップS1でパワーアンプ(PA)108は送信信号を出力する。送信信号は、大部分がアンテナから自由空間に送信されるが、出力信号の一部は、ADC109を介して復調部110にフィードバックされ、復調部110は、フィードバック信号の周波数をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。そして、誤差検出部111は、パイロット信号等を利用して各送信電力に対する振幅及び位相の誤差を算出する。算出された歪み補償係数は、更新判定部112に出力される。
ステップS2では、ベースバンド変調部101は更新判定部112に送信信号のRB数を通知する。
ステップS3では、更新判定部112は通知された送信信号のRB数と、同じパワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)におけるルックアップテーブル(LUT)113内のRB数とを比較する。例えば今回得られた入力レベル(Pin)が「−2」[dBm]である場合、図2に示すルックアップテーブル(LUT)113のPin「−2」のRB数「34」と比較する。
比較の結果、今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値以上の場合は、ステップS4で更新判定部112は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)113を更新して待機する。
上記ステップS3で今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値より小さい場合は、ルックアップテーブル(LUT)113を更新せずにそのまま待機する。
図1の歪み補償部102は、送信ベースバンド信号I(t),Q(t)にルックアップテーブル(LUT)113から読み出した、各電力値に対応する歪み補償係数(ゲイン(Gain)と位相(Phase))を乗じることで、歪補償を行う。これにより、パワーアンプ(PA)108の入出力特性が経時変化や温度変化等により変化しても、歪補償が安定して行われる。
以上のように、本実施の形態の送信装置100は、広帯域かつ送信信号の帯域幅(RB数)が可変の通信システムに適用され、パワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)に対応して、RBとゲイン(Gain)と位相(Phase)を格納するルックアップテーブル(LUT)113と、入力ベースバンド信号とパワーアンプ(PA)108の出力信号に基づいて、パワーアンプ(PA)108の各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出する誤差検出部111と、入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、誤差検出部111からの補正値を基にルックアップテーブル(LUT)113を更新する更新判定部112とを備え、信号の送信電力密度が変更された場合や帯域幅が変更された時に、各送信電力に対する歪み補正値を算出し、補正値をルックアップテーブル(LUT)113に記憶して歪み補償に利用する。送信電力が同じで帯域幅が違う時の補正値は帯域幅が大きい時の補正値を優先的に利用する。これにより、送信信号の帯域幅が可変のシステムにおいて、より精度の高い歪み補償を実現するルックアップテーブルの更新が可能になる。
3G−LTEでは同じ送信電力でもRB数の違う時がある。本実施の形態では、歪み補償に用いるルックアップテーブル(LUT)113を更新する際は、RB数が多いときの補正値を優先的に使用することで、パワーアンプ(PA)108のメモリ効果や帯域幅等に対する影響を考慮することができ、歪み補償の性能を向上させることができる。
3G−LTE方式など広帯域信号では、PAPRが高く隣接チャネルへの漏洩電力の規格が厳しい。本実施の形態の送信装置100は、3G−LTE方式など広帯域で、かつ可変のシステムにおいて、パワーアンプ(PA)108の歪み補償の精度を向上させることができる。
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図6において、送信装置200は、ベースバンド変調部201、歪み補償部102、DAC103,104、変調器105、局部発振器106、直交変調器(0/90°)107、パワーアンプ(PA)108、ADC109、復調部110、誤差検出部111、更新判定部112、ルックアップテーブル(LUT)213、及び帯域幅判定部211を備えて構成される。送信装置200は、図1の送信装置100に、さらに帯域幅判定部211を備えている。また、ADC109、復調部110、誤差検出部111、更新判定部112及びルックアップテーブル(LUT)213は、フィードバック系210を構成する。
ベースバンド変調部201は、図1のベースバンド変調部101と同様に送信信号の符号化や多重化を行うことで同相成分のベースバンド信号I(t)と直角位相成分のベースバンド信号Q(t)を形成する。また、ベースバンド変調部201は、図1のベースバンド変調部101と同様にプリディストーション処理のためのデータ信号としてベースバンド信号を誤差検出部111に出力するとともに、送信信号のRBを更新判定部112に出力する。さらに、ベースバンド変調部201は、帯域幅判定の基となる情報を帯域幅判定部211に出力する。3G−LTEシステムでは、端末から送信する信号の帯域幅が変化する。その帯域幅の単位を3G−LTEシステムではRBという。3G−LTE方式の場合、送信RBの数と位置を帯域幅判定情報として帯域幅判定部211に渡す。例えば、ベースバンド変調部201は、送信信号のRB数が1RBかつ帯域の端で送信していることを伝達する。
帯域幅判定部211は、ベースバンド変調部201から送信RBの数と位置情報を受け取る。帯域幅判定部211は、受け取った送信RBの数と位置を、所定の閾値と比較することで帯域幅(RB数)を判定する。例えば、送信信号のRB数が1RBかつ帯域の端で送信していることを伝達する。
帯域幅判定部211は、ある一定値以上の帯域幅で信号を送信する場合はフィードバック系210を停止する。本実施の形態では、帯域幅判定部211は、ある一定値以上の帯域幅で信号を送信する場合はルックアップテーブル(LUT)213の更新を停止する。
図7は、ルックアップテーブル(LUT)213の構成の一例を示す図である。
図7に示すように、ルックアップテーブル(LUT)213は、図2のルックアップテーブル(LUT)113と同様に、パワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)に対応して、RBとゲイン(Gain)と位相(Phase)を格納する。
ルックアップテーブル(LUT)213は、Pin「−3」[dBm]のときのRB数とPin「−2」[dBm]のときのRB数は、RB「30」で同じであり、RB「30」がこのルックアップテーブル(LUT)213の上限値である。本実施の形態では、ある一定値以上の帯域幅で信号を送信する場合は、ルックアップテーブル(LUT)213の更新を停止する。ルックアップテーブル(LUT)213のRBに上限値「30」が設定されていることで、RB数がこの上限値(閾値)を超えるときはルックアップテーブル(LUT)213の更新を含むフィードバック系210をOFFする。
以下、上述のように構成された送信装置200の動作について説明する。
図8は、送信装置200の動作を示すフローチャートである。
待機状態から本フローが開始されると、ステップS11でパワーアンプ(PA)108は送信信号を出力する。
ステップS12では、ベースバンド変調部201は帯域判定部211に送信信号のRB数を通知する。
ステップS13では、帯域幅判定部211はベースバンド変調部201から送信RBの数と位置情報を受け取る。帯域幅判定部211は、受け取った送信RBの数と位置を、所定の閾値と比較することで帯域幅(RB数)を判定する。例えば、送信信号のRB数が1RBかつ帯域の端で送信していることを伝達する。
帯域幅(RB数)が所定の閾値より小さい場合、ステップS14で帯域幅判定部211はフィードバック系210を動作させる。フィードバック系210の動作は、例えばフィードバック系210への電源ONである。帯域幅(RB数)が所定の閾値以上の場合、待機状態に戻ってフィードバック系210を動作させない。
ステップS15では、ベースバンド変調部201は更新判定部112に送信信号のRB数を通知する。送信信号は、大部分がアンテナから自由空間に送信されるが、出力信号の一部は、フィードバック系210を構成するADC109を介して復調部110にフィードバックされ、復調部110は、フィードバック信号の周波数をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。そして、誤差検出部111は、パイロット信号等を利用して各送信電力に対する振幅及び位相の誤差を算出する。算出された歪み補償係数は、更新判定部112に出力される。
ステップS16では、更新判定部112は通知された送信信号のRB数と、同じパワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)におけるルックアップテーブル(LUT)213内のRB数とを比較する。例えば今回得られた入力レベル(Pin)が「−2」[dBm]である場合、図2に示すルックアップテーブル(LUT)113のPin「−2」のRB数「34」と比較する。
比較の結果、今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値以上の場合は、ステップS17で更新判定部112は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)213を更新する。
次いで、ステップS18で帯域幅判定部211はフィードバック系210電源をOFFして待機する。
上記ステップS16で今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値より小さい場合は、ルックアップテーブル(LUT)213を更新せずにそのまま待機する。
図6の歪み補償部102は、送信ベースバンド信号I(t),Q(t)にルックアップテーブル(LUT)213から読み出した、各電力値に対応する歪み補償係数(ゲイン(Gain)と位相(Phase))を乗じることで、歪補償を行う。これにより、パワーアンプ(PA)108の入出力特性が経時変化や温度変化等により変化しても、歪補償が安定して行われる。
このように、本実施の形態によれば、送信装置200は、ベースバンド変調部201から帯域幅の情報を帯域幅判定部211に送り、帯域幅判定部211は、ある一定値以上の帯域幅で信号を送信する場合はルックアップテーブル(LUT)213の更新を停止する。ルックアップテーブル(LUT)213の更新停止の一例として、RB数が閾値を超えるときはルックアップテーブル(LUT)213の更新を含むフィードバック系210をOFFする。これにより、DAC等のフィードバック系210の通過帯域幅を狭くすることが可能となり、また、回路を停止することで、送信装置200の低消費電力化を図ることができる。
また、待機状態ではフィードバック系の電源はオフとなっており電力を消費しない。信号送信時に帯域幅に応じてフィードバック系の電源をONし、ルックアップテーブル(LUT)213の更新を行うことで、歪み補償の精度を劣化させずに低消費電力化を図ることができる。本実施の形態の送信装置200を携帯無線端末装置等に搭載すれば、電池の消耗を防止でき、その分、送信装置や通信装置の使用時間を延ばすことができる。また、発熱量も低減できるため、これを搭載する無線通信装置の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態の送信装置200を、大電力の送信装置を複数設置する無線システムの基地局装置に適用すれば、広帯域時の低消費電力化を図ることができるため、小型にできると共に発熱量を低減できる。この結果、設備の大型化を防止でき、省スペース性を向上させることができる。
ここで、本実施の形態では、送信信号の帯域幅を所定の閾値と比較し、広帯域時はフィードバック系210を停止するようにしているが、上記閾値は複数あってもよい。例えば、広帯域が一定期間以上継続するような場合は、閾値を上げることで、フィードバック系210を動作させる機会を増やすことも可能である。このようにすれば、広帯域信号が連続する状況下でも歪み補償処理に移行することができ、送信装置200の線形性を保つことができる。
また、FB系で直交復調器を用いる場合にキャリア周波数が固定である場合には、帯域幅が所定の閾値以下でも送信信号の位置がキャリア周波数より閾値より離れている場合はFB系をOFFすることによって同等の効果を得ることができる。以下、図9を参照して周波数帯域の中心及び端位置と本制御との関係について説明する。
図9は、周波数帯域の位置と本制御との関係を説明する図である。図9中、Fcはキャリア周波数であり周波数帯域の中心位置を示す。
本実施の形態では、図9(a)に示すRB≦α(閾値)のときは、FB系を動作させ、図9(b)に示すRB>αのときは、FB系を動作させない。実際の動作では、図9(c)に示すように、キャリア周波数Fcに対して周波数が離れている位置で送信する場合がある。この場合、RB数は閾値α以下となる。FB系にキャリア周波数Fcが固定の直交変換器(ミキサ)を用いた場合、ADCに必要となる帯域はキャリア周波数Fcからの離調周波数に応じた周波数帯域である。よって、上記の場合には、RB数と送信周波数位置に応じて制御することがより望ましい。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態3に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図10において、送信装置300は、ベースバンド変調部101、歪み補償部102、DAC103,104、変調器105、局部発振器106、直交変調器(0/90°)107、パワーアンプ(PA)108、ADC109、復調部110、誤差検出部111、更新判定部312、及びルックアップテーブル(LUT)313を備えて構成される。送信装置300は、図1の送信装置100のルックアップテーブル(LUT)113に代えて、ルックアップテーブル(LUT)313を備える。
ルックアップテーブル(LUT)313は、狭帯域時に使用するルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)と広帯域時に使用するルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)とを備える。
更新判定部312は、送信信号の電力密度及び/又はRB数に基づいて、誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)をルックアップテーブル(LUT)313に書き込む。更新判定部312は、閾値以上のRB数の場合にはLUT<1>を更新し、閾値以下のRB数の場合にはLUT<2>を更新する。
図11は、ルックアップテーブル(LUT)313の構成の一例を示す図であり、図11(a)はルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)、図11(b)はルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)を示す。
ルックアップテーブル(LUT)313は、RB<50で使用するルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)と、RB≧50で使用するルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)を有する。テーブルの構成及び使用方法は実施の形態1と同様である。一例を挙げると、RB「60」であれば、図11(b)のルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)が選択され、ルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)において、Pin「−3」[dBm]のときに、RB「60」であれば、ルックアップテーブル313b(LUT<2>)のRB「88」に達しない、すなわち帯域幅がルックアップテーブル313b(LUT<2>)の閾値以下であり、この入力レベル(Pin)「−3」に対しては広帯域ではないとして、ルックアップテーブル313b(LUT<2>)の値を使用(テーブルを更新)しない。またPin「−3」[dBm]のときに、RB「90」(最大は例えば100)であれば、ルックアップテーブル313b(LUT<2>)のRB「88」以上であり広帯域であるとして、Pin「−3」[dBm]におけるルックアップテーブル313b(LUT<2>)の値(Gain「24」及びPhase「15」)を使用(テーブルを更新)する。一方、RB「40」であれば、図11(b)のルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)ではなく、図11(a)はルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)が選択され、同様のテーブル更新を行う。したがって、1つのテーブルを用いる場合に比べ、テーブルを分けることでテーブル値の精度を高めることができ、これが歪み補償精度の向上につながる。
更新判定部312は、RB<50で使用する場合にはLUT<1>を更新し、RB≧50で使用する場合にはLUT<2>を更新する。テーブルを分けることで精度を向上させることができる。
以下、上述のように構成された送信装置300の動作について説明する。
図12は、送信装置300の動作を示すフローチャートである。
待機状態から本フローが開始されると、ステップS21でパワーアンプ(PA)108は送信信号を出力する。出力信号の一部は、ADC109を介して復調部110にフィードバックされ、復調部110は、フィードバック信号の周波数をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。そして、誤差検出部111は、パイロット信号等を利用して各送信電力に対する振幅及び位相の誤差を算出する。算出された歪み補償係数は、更新判定部312に出力される。
ステップS22では、ベースバンド変調部101は更新判定部312に送信信号のRB数を通知する。
ステップS23では、更新判定部312はベースバンド変調部101から送信RBの数と位置情報を受け取る。更新判定部312は、受け取った送信RBの数と位置を、所定の閾値と比較することで帯域幅(RB数)を判定する。例えば、送信信号のRB数が1RBかつ帯域の端で送信していることを伝達する。
帯域幅(RB数)が所定の閾値より小さい場合、ステップS24に進み、帯域幅(RB数)が所定の閾値以上の場合、ステップS26に進む。
ステップS24では、更新判定部312は通知された送信信号のRB数と、同じパワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)におけるルックアップテーブル(LUT)313のルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)内のRB数とを比較する。例えば今回得られた入力レベル(Pin)が「−2」[dBm]である場合、図2に示すルックアップテーブル(LUT)113のPin「−2」のRB数「34」と比較する。
比較の結果、今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値以上の場合は、ステップS25で更新判定部312は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)を更新して待機する。
上記ステップS24で今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値より小さい場合は、ルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)を更新せずにそのまま待機する。
一方、上記ステップS23で帯域幅(RB数)が所定の閾値以上の場合、ステップS26で更新判定部312は通知された送信信号のRB数と、同じパワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)におけるルックアップテーブル(LUT)313のルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)内のRB数とを比較する。例えば今回得られた入力レベル(Pin)が「−2」[dBm]である場合、図2に示すルックアップテーブル(LUT)113のPin「−2」のRB数「34」と比較する。
比較の結果、今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値以上の場合は、ステップS27で更新判定部312は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)を更新して待機する。
上記ステップS26で今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値より小さい場合は、ルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)を更新せずにそのまま待機する。
このように、本実施の形態によれば、送信装置300は、RB数に閾値を設け、複数のルックアップテーブル(LUT)313a(LUT<1>)とルックアップテーブル(LUT)313b(LUT<2>)を有し、更新判定部312は、閾値より小さいRB数の場合にはLUT<1>を更新し、閾値以下のRB数の場合にはLUT<2>を更新する。このように、RB数が近い方のテーブルを利用することで、狭帯域時と広帯域時の帯域幅の差が大きい場合であっても、歪み補償の効果を確保することができ、歪み補償の精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、ルックアップテーブル(LUT)を2つとしてるが、複数のテーブルを分けて使用するもであればよく、3以上であってもよい。
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図13は、本発明の実施の形態4に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図13において、送信装置400は、ベースバンド変調部101、歪み補償部102、DAC103,104、変調器105、局部発振器106、直交変調器(0/90°)107、パワーアンプ(PA)108、ADC109、復調部110、誤差検出部111、更新判定部412、ルックアップテーブル(LUT)113、及び温度センサ401を備えて構成される。送信装置400は、図1の送信装置100にさらに温度センサ401を備える。
温度センサ401は、装置内部(特に、パワーアンプ108、また変調器105や局部発振器106)の温度を検出し、温度変化を更新判定部412に出力する。
更新判定部412は、ある一定値以上の温度変化が生じた場合には、送信信号のRB数が前回のRB数より小さい場合であってもルックアップテーブル(LUT)113を更新する。
以下、上述のように構成された送信装置400の動作について説明する。
図14は、送信装置400の動作を示すフローチャートである。
待機状態から本フローが開始されると、ステップS31でパワーアンプ(PA)108は送信信号を出力する。出力信号の一部は、ADC109を介して復調部110にフィードバックされ、復調部110は、フィードバック信号の周波数をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。そして、誤差検出部111は、パイロット信号等を利用して各送信電力に対する振幅及び位相の誤差を算出する。算出された歪み補償係数は、更新判定部412に出力される。
ステップS32では、ベースバンド変調部101は更新判定部412に送信信号のRB数を通知する。
ステップS33では、更新判定部412は通知された送信信号のRB数と、同じパワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)におけるルックアップテーブル(LUT)113内のRB数とを比較する。例えば今回得られた入力レベル(Pin)が「−2」[dBm]である場合、図2に示すルックアップテーブル(LUT)113のPin「−2」のRB数「34」と比較する。
比較の結果、今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値以上の場合は、ステップS34で更新判定部412は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)113を更新して待機する。
一方、上記ステップS33で今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値より小さい場合は、ステップS35で更新判定部412は温度センサ401により検出された温度変化量を所定の閾値と比較する。温度変化量が閾値以上の場合、ステップS36で更新判定部412は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)113を更新して待機する。また、温度変化量が閾値より小さい場合、ルックアップテーブル(LUT)113を更新せずにそのまま待機する。
このように、本実施の形態によれば、送信装置400は、温度センサ401を有し、更新判定部412は、ある一定以上の温度変化があった場合には、送信信号のRB数が前回のRB数より小さい場合であってもルックアップテーブル(LUT)113を更新するので、温度変化によってパワーアンプ(PA)108の特性が変化した場合にルックアップテーブル(LUT)113を更新することで歪み補償の精度低下を防ぐことができる。
広帯域の通信システムでは、より精度が要求されるため、出荷時の調整のみではデバイスの温特等の環境によって生じるずれを補正しきれない。本実施の形態によれば、温度変化によって生じる出力信号の遅延誤差を補償することにより、送信装置400の線形性を保つことが可能になる。これにより、例えばパワーアンプ(PA)108の増幅度がばらついた場合でも良好な出力信号を得ることができるため、高品質の信号を送信できるようになる。
特に、携帯電話機等の携帯端末においては、送信電力制御や外部温度変化に伴ってパワーアンプ(PA)108の温度変化も大きくなるので、本実施の形態の送信装置400を携帯電話機等の携帯端末に適用すると非常に好適である。
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図15は、本発明の実施の形態5に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図15において、送信装置500は、ベースバンド変調部101、歪み補償部102、DAC103,104、変調器105、局部発振器106、直交変調器(0/90°)107、パワーアンプ(PA)108、ADC109、復調部110、誤差検出部111、更新判定部512、及びルックアップテーブル(LUT)513を備えて構成される。
更新判定部512は、図1の更新判定部112と同様の機能に加え、更新しなかった回数をカウントしておき、その回数がある閾値に達した場合にはRB数に依らずルックアップテーブル(LUT)513を更新する。
図16は、ルックアップテーブル(LUT)513の構成の一例を示す図である。
以下、上述のように構成された送信装置500の動作について説明する。
図17は、送信装置500の動作を示すフローチャートである。
待機状態から本フローが開始されると、ステップS41でパワーアンプ(PA)108は送信信号を出力する。出力信号の一部は、ADC109を介して復調部110にフィードバックされ、復調部110は、フィードバック信号の周波数をベースバンド信号に復調し、誤差検出部111に出力する。そして、誤差検出部111は、パイロット信号等を利用して各送信電力に対する振幅及び位相の誤差を算出する。算出された歪み補償係数は、更新判定部512に出力される。
ステップS42では、ベースバンド変調部101は更新判定部512に送信信号のRB数を通知する。
ステップS43では、更新判定部512は通知された送信信号のRB数と、同じパワーアンプ(PA)108の入力レベル(Pin)におけるルックアップテーブル(LUT)513内のRB数とを比較する。例えば今回得られた入力レベル(Pin)が「−2」[dBm]である場合、図16に示すルックアップテーブル(LUT)513のPin「−2」のRB数「34」と比較する。
比較の結果、今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値以上の場合は、ステップS44で更新判定部512は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)513を更新して待機する。
一方、上記ステップS43で今回の入力レベル(Pin)のRB数が前回値より小さい場合は、ステップS46で更新判定部512は更新しなかった回数(未更新回数)を所定の閾値と比較する。
未更新回数が閾値以上の場合、ステップS47で更新判定部512は誤差検出部111からの補正値(歪み補償係数)でルックアップテーブル(LUT)513を更新する。次いで、ステップS48で更新判定部512は未更新回数をリセットして待機する。
上記ステップS46で温度変化量が閾値より小さい場合、ステップS49で更新判定部512は未更新回数を+1インクリメントして待機する。
このように、本実施の形態によれば、送信装置500は、更新判定部512が更新しなかった回数をカウントしておき、その回数がある閾値に達した場合にはRB数に依らずルックアップテーブル(LUT)513を更新するので、長時間ルックアップテーブル(LUT)513が更新されず、熱などの周囲環境によって、アンプ特性が変わったときに歪み補償の精度低下することを防ぐことができる。
(実施の形態6)
図18は、本発明の実施の形態6に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図18は、本発明の実施の形態6に係る送信装置の構成を示す図である。図1と同一構成部分には同一番号を付して重複箇所の説明を省略する。
図15において、送信装置600は、図1のルックアップテーブル(LUT)113に代えて、システム帯域情報が入力されるルックアップテーブル(LUT)613を備えて構成される。
本実施の形態の送信装置600は、システム帯域情報によりルックアップテーブル(LUT)613を初期化する。システム帯域幅が変更された場合に、変更前に比べて変更後のシステム帯域が狭いとき、LUTを初期化するので、システム帯域が狭くなった場合に、RB数の最大値が小さくなるためLUTの更新頻度が減り、歪み補償の精度が劣化することを防ぐことができる。
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
なお、上記各実施の形態では、3G−LTE方式の場合について述べたが、3G−LTE方式に限定されず、他の方式に適用することができる。
また、各変調方式の周波数帯も本実施の形態で述べた帯域に限定されるものではなく、各変調方式で適宜周波数帯を使用することにより、同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施の形態では、送信装置及び歪み補償方法という名称を用いたが、これは説明の便宜上のものであり、無線通信装置、プリディストーション型歪補償増幅装置、送信アンプの歪み補償方法などであってもよい。
さらに、上記送信装置を構成する各回路部、例えば歪み補償部,LUTの種類そのビット数及び接続方法など、さらにはフィードバック系のダウンコンバート方法などは前述した実施の形態に限られない。
本発明の送信装置及び歪み補償方法は、送信信号に対してプリディストーション処理を行ってパワーアンプの歪み特性を補償するようになされた送信装置に広く適用でき、例えば3G端末や3G−LTE端末の送信装置を搭載する携帯電話機等の携帯端末装置や、無線基地局等の無線通信装置に適用して好適である。
100,200,300,400,500,600 送信装置
101,201 ベースバンド変調部
102 歪み補償部
103,104 DAC
105 変調器
106 局部発振器
107 直交変調器(0/90°)
108 パワーアンプ(PA)
109 ADC
110 復調部
111 誤差検出部
112,312,412,512 更新判定部
113,213,313,513,613 ルックアップテーブル(LUT)
210 フィードバック系
211 帯域幅判定部
401 温度センサ
101,201 ベースバンド変調部
102 歪み補償部
103,104 DAC
105 変調器
106 局部発振器
107 直交変調器(0/90°)
108 パワーアンプ(PA)
109 ADC
110 復調部
111 誤差検出部
112,312,412,512 更新判定部
113,213,313,513,613 ルックアップテーブル(LUT)
210 フィードバック系
211 帯域幅判定部
401 温度センサ
Claims (13)
- パワーアンプの歪み特性と逆の特性を歪み補償係数として格納するテーブルと、
入力ベースバンド信号に対して、前記テーブルから読み出した歪み補償係数を乗算して前記パワーアンプにより発生する歪を補償する歪み補償手段と、
前記入力ベースバンド信号と前記パワーアンプの出力信号に基づいて、前記パワーアンプの各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出する誤差検出手段と、
前記入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、前記誤差検出手段からの補正値を基に前記テーブルを更新する更新判定手段と、
を備える送信装置。 - 前記誤差検出手段は、電力密度又は帯域幅の変更による送信電力の変更時に振幅及び位相誤差を検出する請求項1記載の送信装置。
- 前記誤差検出手段は、前記入力ベースバンド信号に含まれるパイロット信号を用いて振幅及び位相誤差を検出する請求項1記載の送信装置。
- 前記更新判定手段は、前記入力ベースバンド信号の電力密度及び/又はRB(Resource Block)数に基づいて、前記誤差検出手段からの補正値を基に前記テーブルを更新する請求項1記載の送信装置。
- 前記更新判定手段は、送信電力が同じで帯域幅が異なる場合、帯域幅が大きい時の前記補正値を優先して、前記テーブルの更新に用いる請求項1記載の送信装置。
- 前記更新判定手段は、送信電力が同じでRB数が異なる場合、RB数が大きい時の前記補正値を優先して、前記テーブルの更新に用いる請求項1記載の送信装置。
- 前記入力ベースバンド信号のRB数と位置を基に帯域幅を判定する帯域幅判定手段を備え、
前記帯域幅判定手段は、前記入力ベースバンド信号の帯域幅が所定閾値以上の場合には、前記更新判定手段による前記テーブルの更新を停止する請求項1記載の送信装置。 - 前記入力ベースバンド信号のRB数と位置を基に帯域幅を判定する帯域幅判定手段を備え、
前記帯域幅判定手段は、前記入力ベースバンド信号の帯域幅が所定閾値以上の場合には、前記テーブル、前記誤差検出手段、及び前記更新判定手段を非動作に制御する請求項1記載の送信装置。 - 前記テーブルは、前記入力ベースバンド信号のRB数が所定値より小さい場合に使用する第1テーブルと、該RB数が所定値以上の場合に使用する第2テーブルとを有し、
前記更新判定手段は、前記第1及び第2テーブルのうち、該当するPB数のテーブルを更新する請求項1記載の送信装置。 - 前記パワーアンプの温度を検出する温度センサを備え、
前記更新判定手段は、一定値以上の温度変化が生じた場合には、前記誤差検出手段からの補正値を基に前記テーブルを更新する請求項1記載の送信装置。 - 前記更新判定手段は、未更新回数をカウントし、前記カウント回数が所定閾値以上である場合には、前記誤差検出手段からの補正値を基に前記テーブルを更新する請求項1記載の送信装置。
- 前記テーブルは、システム帯域情報を入力する端子を備え、
入力されるシステム帯域情報を基に、システム帯域が狭い帯域に変更された場合、自己を初期化する請求項1記載の送信装置。 - パワーアンプの歪み特性と逆の特性を歪み補償係数としてテーブルに格納するステップと、
入力ベースバンド信号に対して、前記テーブルから読み出した歪み補償係数を乗算して前記パワーアンプにより発生する歪を補償するステップと、
前記入力ベースバンド信号と前記パワーアンプの出力信号に基づいて、前記パワーアンプの各送信電力に対する振幅及び位相誤差を検出し、該誤差をなくすような補正値を算出するステップと、
前記入力ベースバンド信号の帯域幅を判定し、判定した帯域幅に基づいて、前記補正値を基に前記テーブルを更新するステップと
を有する歪み補償方法。
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008032441A Pending JP2009194576A (ja) | 2008-02-13 | 2008-02-13 | 送信装置及び歪み補償方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009194576A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013026631A (ja) * | 2011-07-14 | 2013-02-04 | Fujitsu Ltd | 歪補償装置、送信機および歪補償方法 |
-
2008
- 2008-02-13 JP JP2008032441A patent/JP2009194576A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013026631A (ja) * | 2011-07-14 | 2013-02-04 | Fujitsu Ltd | 歪補償装置、送信機および歪補償方法 |
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