JP2009194442A - 静電型スピーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】未使用時には自在に形状を変更可能としつつ、使用時には所定の形状に変形する静電型スピーカを提供する。
【解決手段】
静電型スピーカ1においては、導電布20L、弾性部材30L、振動体10、弾性部材30U、導電布20Uの順番に部材が重ねられ、糸40が重ねられた部材を貫くようにして各部材が縫い合わされている。また、導電布20Uの縁部分には通電による発熱で所定形状に変形する形状記憶部材45A〜45Dが配置されている。形状記憶部材45A〜45Dに電流が流されると、形状記憶部材45A〜45Dが直線形状に変形して静電型スピーカ1が矩形に広げられる。一方、形状記憶部材45A〜45Dに電流が流れていない時には形状記憶部材45A〜45Dが柔らかくなって自在に変形可能となり、静電型スピーカ1を折り畳んだり縮めたりするなど自在に変形させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電型スピーカに関する。
スピーカの分野においては、静電型スピーカと呼ばれるスピーカがある。この静電型スピーカは、間隔を開けて向かい合う2枚の電極と、この2枚の電極の間に挿入された導電性を有するシート状の振動体とから構成されており、振動体に所定のバイアス電圧を印加しておき、電極に印加する電圧を変化させると、振動体に作用する静電力が変化し、これにより振動体が変位する。この印加電圧を入力される音響信号に応じて変化させれば、それに応じて振動体は変位を繰り返し(すなわち振動し)、音響信号に応じた再生波が振動体から発生する。
そして、このような静電型スピーカにおいては、非特許文献1に記載されているように、2枚の電極および振動体を柔らかい材料のものとし、様々な形に変形させることができるフレキシブル形の静電型スピーカや、非特許文献2に記載されているように柔らかい生地を電極にした静電型スピーカも考案されている。
武岡成人、外5名、「コンデンサマイク/スピーカを用いた1bit波面記録再生システム」、電子情報通信学会技術研究報告.EA,応用音響、電子情報通信学会、平成17年6月、pp.25−30 <A&Vフェスタ 2006レポート:1ビットオーディオ>IEEE1394を用いた1bit配信システムを展示、[online]、2006年9月21日、Phile-web編集部、[2007年8月23日検索]、インターネット、<http://www.phileweb.com/news/d-av/200609/21/16653.html>
さて、非特許文献1,2に記載されているフレキシブル形の静電型スピーカは、周縁部が拘束されていないエッジレスとなっており、電極および振動体は拘束されていないため自由に曲げることができ、使用していない時には折り曲げて収納しておくことも可能である。一方、拘束されておらず自在に曲げることが可能であるが故に、折り曲げた後で再び使用する際には人の手で広げる必要があり、また、使用時には面の形状が維持されるように形状を固定させる必要がある。
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、未使用時には自在に形状を変更可能としつつ、使用時には所定の形状に変形する静電型スピーカを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために本発明は、導電性を有する布状の第1電極と、導電性を有し、前記第1電極に対向して離間配置された布状の第2電極と、導電性を有し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する振動体と、前記振動体と前記第1電極との間に位置し、絶縁性と、弾性および音響透過性を有する第1弾性部材と、前記振動体と前記第2電極との間に位置し、絶縁性と、弾性および音響透過性を有する第2弾性部材と、前記第1電極、前記第1弾性部材、前記振動体、前記第2弾性部材、および前記第2電極が互いにずれないように拘束する拘束部材と、導電性を有して通電時の発熱で所定の記憶形状に変形し、未通電時には自在に変形可能な形状記憶部材とを有し、前記形状記憶部材が発熱して所定の記憶形状に変形するときに該変形に伴って前記第1電極、前記第1弾性部材、前記振動体、前記第2弾性部材、および前記第2電極が変形することを特徴とする静電型スピーカを提供する。
本発明においては、前記形状記憶部材が変形した時には伸張し、前記形状記憶部材が自在に変形可能となった時には収縮して前記第1電極、前記第1弾性部材、前記振動体、前記第2弾性部材、および前記第2電極を縮める収縮部材をさらに有していてもよい。
また、本発明においては、前記振動体にバイアス電流が流れているときには前記形状記憶部材にも電流が流れ、前記振動体にバイアス電流が流れていないときには前記形状記憶部材にも電流が流れないようにしてもよい。
本発明によれば、静電型スピーカを、未使用時には自在に形状を変更可能としつつ、使用時には所定の形状に変形させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る静電型スピーカ1の外観を模式的に示した図、図2は、静電型スピーカ1の断面および電気的構成を模式的に示した図、図3は、静電型スピーカ1の分解斜視図である。図に示したように、この静電型スピーカ1は、振動体10、導電布20U,20L、弾性部材30U,30L、糸40、形状記憶部材45A〜45Dおよび導線46とで構成されている。なお、図2,3においては糸40の図示を省略している。
なお、本実施形態においては、弾性部材30U,30Lの構成は同じであるため、両者を区別する必要が特に無い場合は「L」および「U」の記載を省略する。また、図中の振動体、導電布等の各構成要素の寸法は、構成要素の形状を容易に理解できるように実際の寸法とは異ならせてある。また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは図面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは図面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
(静電型スピーカ1の各部の構成)
まず、静電型スピーカ1を構成する各部について説明する。振動体10は、例えば、PET(polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)、PP(polypropylene、ポリプロピレン)などのフィルムに、金属膜を蒸着あるいは導電性塗料を塗布したものであり、その厚さは、数μm〜数十μm程度の厚さとなっている。
弾性部材30は、中綿を熱を加えて圧縮したものであって弾性と通気性があり、その形状は矩形となっている。弾性部材30は、外部から力を加えられると変形し、外部から加えられた力が取り除かれると元の形状に戻る。なお、本実施形態においては、弾性部材30のX方向およびY方向の長さは、導電布20LのX方向およびY方向の長さより長くなっており、また、振動体10のX方向およびY方向の長さより長くなっている。また、弾性部材30Uと弾性部材30LのZ方向の高さは、いずれも同じとなっている。なお、弾性部材30は、外部から力を加えられると変形し、外部から加えられた力が取り除かれると元の形状に戻る素材であって通気性があれば中綿以外の素材であってもよく、例えば、合成樹脂をスポンジ状や不織布状にしたものなどであってもよい。
形状記憶部材45A〜45Dは、断面が円形で線状の形状記憶合金の表面を絶縁性と耐熱性を有する合成樹脂で被覆した部材である。形状記憶部材45Aと形状記憶部材45Bとの間、形状記憶部材45Bと形状記憶部材45Cとの間、形状記憶部材45Cと形状記憶部材45Dとの間は絶縁性と耐熱性を有する合成樹脂で表面が被覆された導線46で接続されている。
ここで、この形状記憶合金は、例えば特開2002−20848号公報に開示されている形状記憶合金であり直線状の状態を記憶している。形状記憶部材45A〜45Dは、電流が流れるとジュール熱により温度が上昇し、硬く収縮して記憶している形状に変形する。一方、形状記憶部材45A〜45Dは、電流を流すのを止めると温度が下がり、柔らかくなって容易に変形可能となる。
導電布20U,20Lは、導電性を有する経糸と、同じく導電性を有する緯糸を織った布である。導電布20U,20Lは、平織りされて空気の通過が可能となっているため、音響透過性が確保されている。なお、導電布20Lの形状は矩形となっているが、導電布20Uは、縁部が形状記憶部材45A〜45Dを包むように折り曲げられるため、組み立て前の状態においては図3に示したように矩形の4隅を面取りした形状となっている。
糸40は、導電布20U,20L、弾性部材30および振動体10を縫い合わせるための糸(拘束部材)であり、その素材は、木綿など導電性を有さない素材となっている。
(静電型スピーカ1の組み立て方法)
次に静電型スピーカ1の組み立て方法について説明する。静電型スピーカ1を組み立てる際には、まず、弾性部材30Lの各辺が導電布20Lの各辺より外側に位置するようにして、弾性部材30Lを導電布20Lの上に載せる。次に、弾性部材30Lの上に振動体10を載せる。なお、振動体10を弾性部材30Lの上に載せる際には、振動体10の各辺が弾性部材30Lの各辺より内側に位置するようにして弾性部材30Lの上に載せる。
そして、弾性部材30Uの各辺が振動体10の各辺より外側に位置するようにしつつ、弾性部材30Uと弾性部材30Lの四隅の位置が重なるようにして弾性部材30Uを振動体10の上に載せる。ここで、弾性部材30のX方向およびY方向の長さは、振動体10のX方向およびY方向の長さより長いため、矩形の振動体10の各辺は、弾性部材30Uと弾性部材30Lとの間からはみ出すことなく、弾性部材30U,30Lとの間に位置する。
次に、形状記憶部材45A〜45Dを導電布20Uの各辺に沿って配置し、導電布20Uの縁部を形状記憶部材45A〜45Dおよび導線46を包むように折り曲げた後、糸40で導電布20Uの縁部を導電布20Uに縫い付ける。なお、本実施形態では形状記憶部材45A〜45Dを導電布20Uの縁部分で包んで導電布20Uに配置しているが、接着剤や粘着テープなどで形状記憶部材45A〜45Dを導電布20Uに接着して配置するようにしてもよい。
次に、形状記憶部材45A〜45Dおよび導線46を縁部に有する導電布20Uを弾性部材30Uの上に載せる。導電布20Uを弾性部材30Uの上に載せる際には、導電布20Uの各辺が弾性部材30Uの各辺より内側に位置するようにしつつ、導電布20Uと導電布20Lの四隅の位置がZ方向で見て重なるようにして弾性部材30Uの上に導電布20Uを載せる。
そして、導電布20U,20L、振動体10および弾性部材30を重ね終えた後、各部材が糸40で縫い合わされる。各部材は、図1に示したように各部材を貫いた糸40で縫い合わされて拘束されるため、変形させても導電布20U,20L、弾性部材30および振動体10がずれることがない。また、絶縁性を有する弾性部材30は、振動体10および導電布20U,20Lより面積が広くなっており、弾性部材30の各辺は、振動体10および導電布20U,20Lの各辺より外側に位置するため、導電布20U,20Lと振動体10とが接触して短絡することがない。
(静電型スピーカ1の電気的構成)
次に、静電型スピーカ1の電気的構成について説明する。図2に示したように、静電型スピーカ1は変圧器50、外部から音響信号が入力される入力部60、振動体10に対して直流バイアスを与えるバイアス電源70とを備えている。バイアス電源70は、振動体10と、変圧器50の出力側の中点と接続されており、2つの導電布20U,20Lはそれぞれ変圧器50の出力側の一端および他端に接続されている。
また、静電型スピーカ1は、形状記憶部材45A〜45Dに電流を流す電源80と、スイッチ81を備えている。電源80は、形状記憶部材45Dとスイッチ81の端子の一端に接続されており、スイッチ81において電源80に接続されていない側の端子は形状記憶部材45Aに接続されている。
(静電型スピーカ1の動作)
静電型スピーカ1においては、スイッチ81がオフの状態では電源80と形状記憶部材45Aとの間の導通がなく電流が電源80から形状記憶部材45A〜45Dに流れない。形状記憶部材45A〜45Dは、電流が流れていない時には柔らかくなって自在に変形可能であり、また、振動体10、導電布20U,20Lおよび弾性部材30は柔軟性があるため、未使用時には折り畳んだり縮めたりするなど自在に変形させることができる。
一方、スイッチ81がオンとなると、電流が電源80から形状記憶部材45A〜45Dに流れ、形状記憶部材45A〜45Dにおいて電流が流れるとジュール熱により各形状記憶部材の温度が上昇する。形状記憶部材45A〜45Dは、温度が上昇すると硬く収縮し、記憶している直線形状に変形する。ここで、静電型スピーカ1においては、形状記憶部材45A〜45Dが導電布20U,20Lの各辺に沿って位置しているため、形状記憶部材45A〜45Dが直線状に変形すると、人の手で形状を整えなくとも各辺が直線状になり、静電型スピーカ1が矩形に広がることとなる。
静電型スピーカ1が矩形に広げられた状態で入力部60に音響信号が入力されると、入力された音響信号に応じた電圧が導電布20U,20Lに印加される。そして、印加された電圧によって導電布20Uと導電布20Lとの間に電位差が生じると、振動体10には導電布20Uと導電布20Lのいずれかの側へ引き寄せられるような静電力が働く。すなわち、振動体10は音響信号に応じて同図のZ方向に変位し(撓み)、その変位方向が逐次変わることによって振動となり、その振動状態(振動数、振幅、位相)に応じた音が振動体10から発生する。発生した音は、少なくとも導電布20U,20Lの一方を通り抜けて静電型スピーカ1の外部に放射される。
本実施形態においては、静電型スピーカ1を構成する振動体10、導電布20U,20Lおよび弾性部材30は、糸40により拘束されているため、スイッチ81をオフにして静電型スピーカ1を変形させても導電布20U,20L、弾性部材30および振動体10がずれることがない。
また、振動体10、導電布20U,20Lおよび弾性部材30は柔軟性があり、形状記憶部材45A〜45Dは、電流が流れていない時には柔らかくなって自在に変形可能であるため、スイッチ81をオフにして静電型スピーカ1を使用していない時には自在に変形させることができ、小さくして収納することができる。
一方、スイッチ81をオンにすると、人の手を煩わすことなく、形状記憶部材45A〜45Dにより静電型スピーカ1を所定の矩形に広げて使用することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
本発明においては、形状記憶部材45A〜45Dを形成する形状記憶合金は、電流が流れることにより温度が上昇して記憶している形状に変形するものであれば、上記で説明した形状記憶合金以外の形状記憶合金であってもよい。
上述した実施形態においては、形状記憶部材45A〜45Dは発熱したときに直線状に変形しているが、曲線状に変形してもよい。この構成によれば静電型スピーカ1を使用時に曲面状にすることもできる。
上述した実施形態においては、バイアス電源70と電源80とで2つの電源を要しているが、バイアス電源70から分圧して形状記憶部材45A〜45Dに電流を流し、電源を一つにするようにしてもよい。この構成において静電型スピーカ1を使用する時のみスイッチでバイアス電源70から電流が流れるようにすれば、静電型スピーカ1の電源を入れるだけで静電型スピーカ1を広げることができる。また、バイアス電源70が入れられておらず静電型スピーカ1が発音不可となっている状態では形状記憶部材45A〜45Dに電流が流れないため、発音させないとき無駄に静電型スピーカ1を広げることがなく消費電力を抑えることができる。
また、本発明においては、導電布20U,20L、弾性部材30および振動体10の形状は矩形に限定されるものではなく、多角形、円形、楕円形など、他の形状であってもよい。また、本発明においては、感電や短絡を防ぐため、非導電性で音響透過性を有する布で静電型スピーカ1の全体を覆ってもよい。
上述した実施形態においては、糸40で各部材を縫い合わせているが、導電布20Uから導電布20Lにかけて各部材の縁部分を覆うテープ(拘束部材)で各部材の縁部分を拘束し、静電型スピーカ1の変形時に各部材がずれないようにしてもよい。
また、本発明に係る導電布20U,20Lは、経糸または緯糸のいずれか一方のみが導電性を有する糸であってもよい。
また、導電布20U,20Lの経糸と緯糸においては、全てを導電性を有する糸にせず、数本おきに導電性を有する糸を織るようにしてもよい。
また、本発明においては、導電性を有しない糸を平織りし、平織りした布に導電性を有する金属をメッキして導電布20U,20Lを形成してもよい。
また、本発明においては、導電布20U,20Lは、導電性を有する金属でメッキされた糸を織って形成されたものであってもよい。
また、本発明においては、芯糸に錫メッキされた銅箔を巻き付けたものを織って導電布20U,20Lを形成してもよい。
また、本発明に係る導電布20U,20Lは、導電性を有しているのであれば不織布であってもよい。
また、上述した形状記憶合金を糸状にして導電布20U,20Lに織り込み、この糸状にした形状記憶合金に電流を流して直線状に変形させるようにしてもよい。
上述した実施形態においては、導電布20Uの各辺に沿って形状記憶部材45A〜45Dが位置しているが、X方向に沿った形状記憶部材45B,45Dのみが導電布20Uの縁部分に配置されるようにしてもよく、また、Y方向に沿った形状記憶部材45A,45Cのみが導電布20Uの縁部分に配置されるようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、導電布20Uの各辺に沿って形状記憶部材45A〜45Dが位置しているが、導電布20Uの対角線に沿って形状記憶部材が位置するようにしてもよい。
また、形状記憶部材45B,45Dと平行に複数の形状記憶部材が導電布20Uと弾性部材30Uの間に位置するようにしてもよく、また、形状記憶部材45A,45Cと平行に複数の形状記憶部材が導電布20Uと弾性部材30Uの間に位置するようにしてもよい。
また、形状記憶部材45A〜45Dは、導電布20Uの縁部分だけでなく導電布20Lの縁部分にも配置して、静電型スピーカ1の両面を用いて静電型スピーカ1を広げるようにしてもよい。
また、形状記憶部材45A〜45Dは、導電布20U,20Lではなく弾性部材30Uと弾性部材30Lの両方または弾性部材30U,30Lのいずれかに配置するようにしてもよい。
また、形状記憶部材45A〜45Dと同じ素材で形成されて非通電時に対角線の長さより長い形状記憶部材45E,45Fの端部を、導電布20Lの対角線上の頂点の部分に固定し、静電型スピーカ1を使用する際には、形状記憶部材45E,45Fに通電するようにしてもよい。なお、この構成においては形状記憶部材45Eの中点部分と形状記憶部材45Fの中点部分とを固着するようにしてもよい。
この構成においては、形状記憶部材45E,45Fに通電すると形状記憶部材45E,45Fの温度が上昇する。形状記憶部材45E,45Fは、温度が上昇すると記憶している直線形状に変形し、静電型スピーカ1の頂点部分が対角線方向へ広げられる。
なお、形状記憶部材45E,45Fについては、導電布20Uにおいて弾性部材30Uに接している面と反対側の面に端部を固着し、直線形状に変形した時の長さが対角線の長さより長くなるようにしてもよい。この構成にあっては、形状記憶部材45E,45Fは通電時に直線上に変形しようとするが、図4に示したように端部が静電型スピーカ1Aの頂点部分に固定されており対角線の長さより長いため、形状記憶部材45E,45Fは直線状にならずに反りが生じる。ここで、形状記憶部材45E,45Fが、直線状になろうとする力により静電型スピーカ1Aの頂点部分が対角線方向へ広げられ、所定の矩形に広げられて使用することができる。
上述した実施形態においては、Y方向に沿った2辺に沿って形状記憶部材45A,45Cが位置するようにしつつ、収縮した状態の金属製のコイルバネ47(収縮部材)をY方向に沿わせてコイルバネ47の端部を静電型スピーカ1のY方向の両端部に固定するようにしてもよい。
この構成の静電型スピーカ1Bにおいては、形状記憶部材45A,45Cに電流が流れている状態では、図5に示したように形状記憶部材45A,45Cがコイルバネ47の収縮力に抗して直線状に変形し、Y方向に広げられる。
一方、この状態から形状記憶部材45A,45Cに電流が流れなくなると、形状記憶部材45A,45Cが柔らかくなって自在に変形可能となる。形状記憶部材45A,45Cが柔らかく変形可能になると、形状記憶部材45A,45Cに電流が流れていた時に伸張していたコイルバネ47が収縮し、人の手によらずコイルバネ47の力で静電型スピーカ1Y方向に縮められる。
また、図6に示したように、形状記憶部材48の一端を床面に固定しつつ、形状記憶部材48のもう一方の端部を静電型スピーカ1Cの一辺に固定し、静電型スピーカ1Cにおいて形状記憶部材48が固定された側と反対側の一辺を天井に固定するようにしてもよい。
なお、本変形例において静電型スピーカ1Cは、静電型スピーカ1Bと同様にコイルバネ47を有しているものの、形状記憶部材45A〜45Dを備えていない構成となっている。また、形状記憶部材48は、例えば、特開2002−20848号公報に開示されている形状記憶合金で形成されたコイル状の部材である。
この構成においては、形状記憶部材48に電流が流れると形状記憶部材48の温度が上昇し、コイルバネ47の収縮力に抗して形状記憶部材48は記憶している長さに収縮する。形状記憶部材48が収縮すると、図6に示したように静電型スピーカ1Cが天井から床方向へ広げられ、平面となって発音が可能となる。
一方、形状記憶部材48に電流が流れなくなると形状記憶部材48は温度が下降して柔らかくなる。ここで、形状記憶部材48に電流が流れていた時に伸張されていたコイルバネ47が収縮し、人の手によらず形状記憶部材48が引き延ばされて静電型スピーカ1Cが縮められる。
上述した構成では、静電型スピーカ1の未使用時にコイルバネ47で静電型スピーカを縮めているが、例えばゴムバンドなど、弾性を有して伸張・収縮する部材をコイルバネ47に替えて縮めるようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る静電型スピーカ1の模式図である。 静電型スピーカ1の断面図である。 静電型スピーカ1の分解斜視図である。 本発明の変形例に係る静電型スピーカ1Aの模式図である。 本発明の変形例に係る静電型スピーカ1Bの模式図である。 本発明の変形例に係る静電型スピーカ1Cの側面と配置例を示した図である。
符号の説明
1,1A〜1C・・・静電型スピーカ、10・・・振動体、20U,20L・・・導電布(第1電極、第2電極)、30U,30L・・・弾性部材(第1弾性部材、第2弾性部材)、40・・・糸(拘束部材)、45A〜45F・・・形状記憶部材、46・・・導線、47・・・コイルバネ、48・・・形状記憶部材、50・・・変圧器、60・・・入力部、70・・・バイアス電源、80・・・電源、81・・・スイッチ。

Claims (3)

  1. 導電性を有する布状の第1電極と、
    導電性を有し、前記第1電極に対向して離間配置された布状の第2電極と、
    導電性を有し、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する振動体と、
    前記振動体と前記第1電極との間に位置し、絶縁性と、弾性および音響透過性を有する第1弾性部材と、
    前記振動体と前記第2電極との間に位置し、絶縁性と、弾性および音響透過性を有する第2弾性部材と、
    前記第1電極、前記第1弾性部材、前記振動体、前記第2弾性部材、および前記第2電極が互いにずれないように拘束する拘束部材と、
    導電性を有して通電時の発熱で所定の記憶形状に変形し、未通電時には自在に変形可能な形状記憶部材と
    を有し、
    前記形状記憶部材が発熱して所定の記憶形状に変形するときに該変形に伴って前記第1電極、前記第1弾性部材、前記振動体、前記第2弾性部材、および前記第2電極が変形すること
    を特徴とする静電型スピーカ。
  2. 前記形状記憶部材が変形した時には伸張し、前記形状記憶部材が自在に変形可能となった時には収縮して前記第1電極、前記第1弾性部材、前記振動体、前記第2弾性部材、および前記第2電極を縮める収縮部材をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の静電型スピーカ。
  3. 前記振動体にバイアス電流が流れているときには前記形状記憶部材にも電流が流れ、前記振動体にバイアス電流が流れていないときには前記形状記憶部材にも電流が流れないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電型スピーカ。
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