JP2009193935A - 放電ランプ駆動装置とその方法、光源装置、プロジェクタ - Google Patents

放電ランプ駆動装置とその方法、光源装置、プロジェクタ Download PDF

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Abstract

【課題】明るさの安定性と温度とを考慮して電力を放電ランプに供給することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】第1電極が陽極として動作する第1半周期において、第1半周期における放電ランプを流れる電流の最大ピークが、第1半周期の内の後半に形成されるように、電流を変動させる。そして、第2電極が陽極として動作する第2半周期において、第2半周期における電流の変動幅が、第1半周期における電流の変動幅よりも小さくなるように、電流を制御する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、放電ランプ駆動装置とその方法、光源装置、プロジェクタに関するものである。
従来より、放電ランプを利用した光源装置が利用されている。また、放電ランプに設けられた2つの電極の間で放電を行うために、交流電力を放電ランプに供給する技術が知られている。
特開2006−4919号公報 特開2003−338394号公報 特開2006−93008号公報 特開2006−120654号公報
放電ランプは種々の条件下において利用される。例えば、放電ランプが冷却風によって冷却される。ここで、反射鏡やランプ固定部材等の種々の部材に冷却風が遮られ、放電ランプの一部の冷却が弱くなる場合がある。また、反射鏡からの反射光が放電ランプの一部に照射されて、その部分の温度が高くなる場合がある。このような種々の要因によって、2つの電極の間の温度差が大きくなる場合があった。また、このような温度差に起因して、種々の不具合が生じる場合があった。例えば、温度が上昇し難い一方の電極において、放電位置(アーク位置)が安定せずに移動する場合がある。ところで、放電ランプを点灯させる場合には、明るさが安定していることが好ましい。ところが、明るさの安定性と温度とを考慮して電力を放電ランプに供給する点については、十分な工夫がなされていないのが実情であった。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、明るさの安定性と温度とを考慮して電力を放電ランプに供給することができる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]第1電極と第2電極とを有する放電ランプの駆動装置であって、前記第1電極と前記第2電極との間に交流電力を供給する電力供給部を備え、前記電力供給部は、(A)前記第1電極が陽極として動作する第1半周期において、前記第1半周期における前記放電ランプを流れる電流の最大ピークが、前記第1半周期の内の後半に形成されるように、前記電流を変動させ、(B)前記第2電極が陽極として動作する第2半周期において、前記第2半周期における前記電流の変動幅が、前記第1半周期における前記電流の変動幅よりも小さくなるように、前記電流を制御する、放電ランプ駆動装置。
この構成によれば、電流の最大ピークが、第1半周期の内の後半に形成されるので、第1電極の温度を適切に高めることができる。また、第2半周期における電流の変動幅が、第1半周期における電流の変動幅よりも小さいので、第1および第2半周期において、同じ変動幅を設けた場合と比較して、放電ランプの明るさの変動を抑制できる。これらの結果、明るさの安定性と温度とを考慮して電力を放電ランプに供給することができる。
[適用例2]適用例1に記載の放電ランプ駆動装置であって、前記電力供給部は、前記第2半周期において、前記電流を一定値に維持する、放電ランプ駆動装置。
この構成によれば、放電ランプの明るさが変動する時間の割合を小さくすることができる。
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の放電ランプ駆動装置であって、前記電力供給部は、前記第1半周期から前記第2半周期に切り替わる直前に、前記最大ピークを形成する、放電ランプ駆動装置。
この構成によれば、より適切に、第1電極の温度を高めることができる。
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の放電ランプ駆動装置であって、前記電力供給部は、前記第1電極が陽極として動作する第1状態の累積時間よりも、前記第2電極が陽極として動作する第2状態の累積時間が短くなるように前記交流電力の極性を切り替える、放電ランプ駆動装置。
この構成によれば、極性の切替によって、容易に、第1状態での電力量を第2状態での電力量よりも大きくすることができる。従って、第1電極の温度が低く第2電極の温度が高いことを示す温度差が過剰に大きくなることを抑制できる。
[適用例5]光源装置であって、適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の放電ランプ駆動装置と、前記放電ランプと、前記放電ランプの前記第1電極側に配置されるとともに、前記放電ランプからの光を所定方向に向かって反射する主反射鏡と、前記放電ランプの前記第2電極側に配置されるとともに、前記放電ランプからの光を前記主反射鏡に向かって反射する副反射鏡と、を備える、光源装置。
[適用例6]プロジェクタであって、適用例1ないし適用例4のいずれかに記載の放電ランプ駆動装置と、前記放電ランプと、前記放電ランプによって発せられた光を、画像を投写するための投写光に変調する空間光変調部と、前記投写光を投写する投写光学系と、を備える、プロジェクタ。
[適用例7]第1電極と第2電極とを有する放電ランプの駆動方法であって、前記第1電極と前記第2電極との間に交流電力を供給する電力供給工程を備え、前記電力供給工程は、(A)前記第1電極が陽極として動作する第1半周期において、前記第1半周期における前記放電ランプを流れる電流の最大ピークが、前記第1半周期の内の後半に形成されるように、前記電流を変動させる工程と、(B)前記第2電極が陽極として動作する第2半周期において、前記第2半周期における前記電流の変動幅が、前記第1半周期における前記電流の変動幅よりも小さくなるように、前記電流を制御する工程と、を含む、駆動方法。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、放電ランプ駆動方法および駆動装置、その駆動装置と光源ランプとを有する光源装置およびその制御方法、その光源装置を有するプロジェクタおよびその制御方法、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.第7実施例:
H.第8実施例
I.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としてのプロジェクタ1000を示す説明図である。プロジェクタ1000は、光源装置100と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ330R、330G、330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とを有している。
光源装置100は、光源ユニット110と、電力供給部200と、を有している。光源ユニット110は、主反射鏡112と放電灯500とを有している。電力供給部200は、放電灯500に電力を供給して、放電灯500を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯500から放出された光を、照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、光軸AXと平行である。光源ユニット110からの光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。この平行化レンズ305は、光源ユニット110からの光を、平行化する。
照明光学系310は、光源装置100からの光の照度を均一化する。また、照明光学系310は、光源装置100からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源装置100からの光を有効に利用するためである。照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色に対応付けられた液晶ライトバルブ330R、330G、330Bによって、それぞれ変調される。変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340によって合成される。合成光は、投写光学系350に入射する。投写光学系350は、入射光を、図示しないスクリーンに投写する。これにより、スクリーン上には画像が表示される。
なお、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とのそれぞれの構成としては、周知の種々の構成を採用可能である。
図2は、光源装置100の構成を示す説明図である。光源装置100は、光源ユニット110と電力供給部200とを有している。図中には、光源ユニット110の断面図が示されている。光源ユニット110は、主反射鏡112と放電灯500とを有している。放電灯500は、放電灯本体510と副反射鏡520とを有している。放電灯本体510は、特許請求の範囲における「放電ランプ」に相当する。
放電灯本体510の形状は、第1端部510e1から第2端部510e2まで、照射方向Dに沿って延びる棒形状である。放電灯本体510の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯本体510の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間512が形成されている。放電空間512内には、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
また、放電空間512内には、2つの電極532、542が、放電灯本体510から突出している。第1電極532は、放電空間512の第1端部510e1側に配置され、第2電極542は、放電空間512の第2端部510e2側に配置されている。これらの電極532、542の形状は、光軸AXに沿って延びる棒形状である。放電空間512内では、各電極532、542の先端(「放電端」とも呼ぶ)が、所定距離だけ離れて向かい合っている。なお、これらの電極532、542の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
放電灯本体510の第1端部510e1には、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極532とは、放電灯本体510の内部を通る導電性部材534によって電気的に接続されている。同様に、放電灯本体510の第2端部510e2には、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極542とは、放電灯本体510の内部を通る導電性部材544によって電気的に接続されている。各端子536、546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。また、各導電性部材534、544としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
これらの端子536、546は、電力供給部200に接続されている。電力供給部200は、これらの端子536、546に、交流電流を供給する。その結果、2つの電極532、542の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
放電灯本体510の第1端部510e1には、固定部材114によって、主反射鏡112が固定されている。主反射鏡112の反射面(放電灯本体510側の面)の形状は、回転楕円形状である。主反射鏡112は、放電光を照射方向Dに向かって反射する。なお、主反射鏡112の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、回転放物線形状を採用してもよい。この場合は、主反射鏡112は、放電光を、光軸AXにほぼ平行な光に変換することができる。従って、平行化レンズ305(図1)を省略することができる。
放電灯本体510の第2端部510e2側には、固定部材522によって、副反射鏡520が固定されている。副反射鏡520の反射面(放電灯本体510側の面)の形状は、放電空間512の第2端部510e2側を囲む球面形状である。副反射鏡520は、放電光を、主反射鏡112に向かって反射する。これにより、放電空間512から放射される光の利用効率を高めることができる。
なお、固定部材114、522の材料としては、放電灯本体510の発熱に耐える任意の耐熱材料(例えば、無機接着剤)を採用可能である。また、鏡112、520と放電灯本体510との配置を固定する方法としては、鏡112、520を放電灯本体510に固定する方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、放電灯本体510と主反射鏡112とを、独立に、プロジェクタの筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡520についても同様である。
図3は、電力供給部200の構成を示す説明図である。電力供給部200は、ダウンチョッパ回路C1と、インバータブリッジ回路C2と、イグナイタ回路C3と、回路C1〜C2を制御する制御回路C4と、を有している。
ダウンチョッパ回路C1は、図示しない直流電源から電力供給を受け、そして、出力電力を制御する。このような回路としては、周知の種々の回路を採用可能である。例えば、図3に示すような、スイッチ素子(トランジスタ)Trcと、ダイオードD1と、コイルL1と、コンデンサCd1とを組み合わせた回路を採用可能である。スイッチ素子Trcには、制御回路C4から制御信号CScが入力される。制御信号CScは、例えば、HレベルとLレベルとが周期的に繰り返す信号である。制御回路C4は、制御信号CScのデューティ比を制御することによって、出力電圧を制御する。
インバータブリッジ回路C2は、ダウンチョッパ回路C1から電力供給を受け、そして、出力電力の波形を制御する。本実施例では、インバータブリッジ回路C2は、直流電力を交流電力に変換する。このような回路としては、周知の種々の回路を採用可能である。本実施例では、インバータブリッジ回路C2は、いわゆるH型ブリッジ回路である。このインバータブリッジ回路C2は、4つのトランジスタTr1〜Tr4を有している。2つのトランジスタTr1、Tr2が、第1出力ラインOL1を制御し、他の2つのトランジスタTr3、Tr4が、第2出力ラインOL2を制御する。トランジスタTr1〜Tr4には、制御回路C4から、制御信号CS1〜CS4が、それぞれ入力される。制御回路C4は、これらの制御信号CS1〜CS4によって、出力ラインOL1、OL2から出力される電力(駆動信号)の波形を制御する。
イグナイタ回路C3は、図示しない昇圧回路を含んでいる。イグナイタ回路C3は、点灯開始時に、高電圧パルスを電極532、542(図2)間に印加する。これにより、電極間の絶縁が破壊されて、放電経路が作られる。その後の定常的な点灯状態においては、インバータブリッジ回路C2は、イグナイタ回路C3を介して、交流電力(駆動信号)を放電灯500に供給する。なお、このようなイグナイタ回路C3としては、周知の種々の回路を採用可能である。
次に、電力の極性と電極の温度との関係と、交流電力とについて説明し、続けて、本実施例における交流電力(駆動信号)について説明する。
図4(A)〜4(D)は、電力の極性と電極の温度との関係を示す説明図である。図4(A)、4(B)は、2つの電極532、542の動作状態を示している。図中には、2つの電極532、542の先端部分が示されている。電極532、542の先端には突起532p、542pがそれぞれ設けられている。放電は、これらの突起532p、542pの間で生じる。本実施例では、突起が無い場合と比べて、各電極532、542における放電位置(アーク位置)の移動を抑えることができる。ただし、このような突起を省略してもよい。
図4(A)は、第1電極532が陽極として動作し、第2電極542が陰極として動作する第1状態S1を示している。第1状態S1では、放電によって、第2電極542(陰極)から第1電極532(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極542)からは、電子が放出される。陰極(第2電極542)から放出された電子は、陽極(第1電極532)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、そして、陽極(第1電極532)の先端(突起532p)の温度が上昇する。
図4(B)は、第1電極532が陰極として動作し、第2電極542が陽極として動作する第2状態S2を示している。第2状態S2では、第1状態S1とは逆に、第1電極532から第2電極542へ電子が移動する。その結果、第2電極542の先端(突起542p)の温度が上昇する。
このように、陽極の温度は、陰極と比べて高くなりやすい。ここで、一方の電極の温度が他方の電極と比べて高い状態が続くことは、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、高温電極の先端が過剰に溶けた場合には、意図しない電極変形が生じ得る。その結果、アーク長が適正値からずれる場合がある。また、低温電極の先端の溶融が不十分な場合には、先端に生じた微少な凹凸が溶けずに残り得る。その結果、いわゆるアークジャンプが生じる場合がある(アーク位置が安定せずに移動する)。
このような不具合を抑制する技術として、各電極の極性を繰り返し交替させる交流駆動を利用可能である。図4(C)は、放電灯500(図2)に供給される交流電力(駆動信号)を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は電流Iを示している。電流Iは、放電灯500を流れる電流を示す。正値は、第1状態S1を示し、負値は、第2状態S2を示す。図4(C)の例では、矩形波交流電流が利用されている。そして、第1状態S1と第2状態S2とが交互に繰り返される。ここで、第1時間T1は、第1状態S1が続く時間を示し、第2時間T2は、第2状態S2が続く時間を示す。また、第1電流値Im1は、第1状態S1での電流値I(絶対値)を示し、第2電流値Im2は、第2状態S2での電流値I(絶対値)を示す。なお、駆動周波数は、放電灯500(放電灯本体510)の特性に合わせて、実験的に決定可能である(例えば、30Hz〜1kHzの範囲の値が採用される)。他の値Im1、Im2、T1、T2も、同様に実験的に決定可能である。
図4(D)は、第1電極532の温度変化を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は温度TPを示している。第1状態S1では、第1電極532の温度TPが上昇し、第2状態S2では、第1電極532の温度TPが降下する。また、第1状態S1と第2状態S2状態が繰り返されるので、温度TPは、最小値TPminと最大値TPmaxとの間で周期的に変化する。なお、図示は省略するが、第2電極542の温度は、第1電極532の温度TPとは逆位相で変化する。すなわち、第1状態S1では、第2電極542の温度が降下し、第2状態S2では、第2電極542の温度が上昇する。
第1状態S1では、第1電極532(突起532p)の先端が溶融するので、第1電極532(突起532p)の先端が滑らかになる。これにより、第1電極532での放電位置の移動を抑制できる。また、第2電極542(突起542p)の先端の温度が降下するので、第2電極542(突起542p)の過剰な溶融が抑制される。これにより、意図しない電極変形を抑制できる。第2状態S2では、第1電極532と第2電極542の立場が逆である。従って、2つの状態S1、S2を繰り返すことによって、2つの電極532、542のそれぞれにおける不具合を抑制できる。
ここで、電流Iの波形が対称である場合、すなわち、電流Iの波形が「Im1=Im2、T1=T2」という条件を満たす場合には、2つの電極532、542の間で、供給される電力の条件が同じである。従って、2つの電極532、542の間の温度の差が小さくなると推定される。ところが、電力に加えて他の要因が、2つの電極532、542の間の温度差を引き起こす場合がある。例えば、図2に示すような副反射鏡520を利用する場合がある。この場合には、副反射鏡520からの反射光は、第1電極532よりも第2電極542を強く照らす。また、放電灯本体510の第2電極542側の空冷が、副反射鏡520によって抑制される。このような種々の条件に起因して、電流Iの波形が対称である場合に、第1電極532の温度が低く第2電極542の温度が高いことを示す温度差が大きくなり得る。
特に、本実施例では、第1電極532の温度上昇が不十分な場合がある。この場合には、第1電極532の先端に生じた凹凸が溶けずに残る可能性がある。その結果、アークジャンプが生じる可能性がある。
そこで、本実施例では、交流電流(交流電力)の半周期の後半に、電流の最大ピークを設けている。図5は、本実施例の電流Iの波形を示している。横軸は時間Tを示し、縦軸は電流Iを示している。本実施例では、第1状態S1に対応する半周期において、電流I(絶対値)が、ゼロより大きな最小値Im1aから、最大値Im1bまで、時間Tとともに直線的に増大している(以下、この半周期を「第1半周期HC1」とも呼ぶ)。その結果、第1半周期HC1の最後に電流Iの最大ピークPkが形成されている。この最大ピークPkは、電流I(絶対値)が第1半周期HC1内で最大であるピークを意味している。また、第2状態S2に対応する半周期では、電流Iは一定値(−Im2)に維持されている(以下、この半周期を「第2半周期HC2)とも呼ぶ)。
また、図中の第1変動幅d1は、第1半周期HC1における電流Iの変動幅を示している。この第1変動幅d1は、第1半周期HC1内の電流Iの最大値から最小値を引いた差分である(本実施例では、d1=Im1b−Im1a)。図中の第2変動幅d2は、第2半周期HC2における電流Iの変動幅を示している。本実施例では、d2=0である。d2=0である理由については、後述する。
なお、本実施例の駆動信号は、「T1=T2、Im1=Im2」という条件を満たしている(図5)。ここで、第1電流値Im1は、2つの値Im1a、Im1bの平均値である。以上により、本実施例では、第1半周期HC1の電力量は、第2半周期HC2の電力量と、ほぼ同じである。すなわち、第1状態S1と第2状態S2との間の放電灯500の明るさの差が過剰に大きくなることを抑制できる。
図6(A)、6(B)は、駆動信号と電極温度との説明図である。図6(A)は、図4(C)と同様の交流電力(駆動信号)のタイミングチャートを示し、図6(B)は、図4(D)と同様の温度TPの変化を示している。破線のグラフIC、TCは、図4(C)、4(D)の例と同じである(以下、第1比較例と呼ぶ)。実線のグラフIE、TEは、本実施例を示している。
第1半周期HC1の前半FHでは、電流IEは、第1比較例ICよりも小さい。従って、温度TEは、第1比較例TCよりも低い。半周期の後半LHでは、電流IEは、第1比較例ICよりも大きい。従って、温度TEは、第1比較例TCよりも高い。特に、電流Iが最大ピークPkである時に、温度TEは最高TPmaxEになる。そして、温度TPが高い状態で第1状態S1が終了し、第2状態S2が始まる。第2状態S2では、温度TEは、第1比較例TCと同様に降下する。なお、図6(B)の例では、2つの温度TC、TEのそれぞれの最低値が同じ値TPminであるが、これらの最低値は、条件によっては互いに異なる場合もある。
以上のように、本実施例(IE、TE)では、第1比較例(IC、TC)と比べて、温度TPを高くすることができるので、第1電極532(図4(A))の先端(突起532p)に生じた凹凸を溶かすことができる。また、第1状態S1の半周期の後半LHで温度TPが高いので、第1電極532の先端が滑らかな状態で、第1電極532の極性を陽極から陰極に切り替えることができる。その結果、第1電極532が陰極として動作する第2状態S2において、第1電極532上におけるアークジャンプを抑制できる。この効果は、最大ピークPkのタイミングが遅いほど、すなわち、最大ピークPkのタイミングが第1状態S1から第2状態S2への切替タイミングに近いほど、顕著である。また、半周期の前半FHでは、電流IEが、第1比較例ICよりも小さいので、消費電力が過剰に大きくなることを抑制できる。従って、第1電極532の温度が過剰に高くなることを抑制できる。その結果、第1電極532に意図しない変形が生じることを抑制できる。
次に、電極の先端部分における温度分布について説明する。電極の先端部分では、以下のように温度が分布すると推定される。図7は、第1電極532の先端(突起532p)における温度分布を示す説明図である。図中の左部分には、第1電極532の中心線CLを通る断面図が示されている。本実施例では、中心線CLは、突起532pの頂点PPを通る。また、図7の右部分には、第1電極532の表面の温度TPfの分布が示されている。横軸は温度TPfを示し、縦軸は、中心線CLと垂直な方向の位置PSを示している。破線のグラフTDCは、上述の第1比較例を示し、実線のグラフTDEは、本実施例を示している。これらの温度分布は、状態が、第1状態S1から第2状態S2へ切り替わる直前の分布を示している。図示するように、頂点PP(中心線CL)での温度TPfが最も高く、頂点PPから遠いほど、温度TPfが低くなる、と推定される。この理由は、頂点PPで放電が起きているからである。なお、図6(B)に示す温度TPは、この温度TPf分布を総合した平均的な温度に相当する。
本実施例では、第1比較例と比べて、第1半周期HC1の前半FHで頂点PP付近の温度がより低く、そして、後半LHで頂点PP付近の温度がより高い(この特徴は、図6(B)に示す第1比較例TCと本実施例TEとが示す特徴と同じである)。従って、本実施例に関しては、前半FHでは、第1電極532の先端(突起532p)の温度は低い。後半LHでは、頂点PP付近の温度が高くなる。しかし、頂点PP付近からその周辺部分に熱が伝達する前に、第1電極532の極性が、陽極から陰極に切り替わる。その結果、第1比較例TDCと比べて、本実施例TDEはシャープである(分布の幅が狭い)、と推定される。
このような、幅の狭い温度分布は、アークジャンプを抑制可能である。この理由は、陰極においては、温度の高い部分が、電子を放出し易いからである。温度分布の幅が狭い場合には、電子を放出し易い部分が狭いので、アークジャンプを抑制できる。この効果は、最大ピークPkのタイミングが遅いほど、すなわち、最大ピークPkのタイミングが第1状態S1から第2状態S2への切替タイミングに近いほど、顕著である。
以上のように、第1半周期HC1の後半に電流の最大ピークを設けることによって、第1電極532の温度を適切に高めることができる。その結果、第1電極532に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。なお、本実施例では、図5に示すように、第2半周期HC2では、電流Iが一定値に維持される。次に、この理由について説明する。
図8は、電流I(駆動信号)と、放電灯500から放出される光の明るさLBとの経時変化を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示している。図8(A)は、第2比較例を示し、図8(B)は第1実施例を示している。第2比較例の駆動信号は、第1実施例の駆動信号において、第2半周期HC2の電流Iを、第1半周期HC1と同様に変化させたものである。ここで、明るさLBは、電流I(絶対値)が大きいほど明るい。従って、図8(A)に示すように、第2比較例では、明るさLBは、駆動信号の半周期毎に変動する。
一方、本実施例では、図8(B)に示すように、第2半周期HC2では電流Iが変化しない。従って、明るさLBも、第2半周期HC2内では変化しない。このように、第2比較例と比べて、本実施例では、点灯中における明るさLBが変動する時間の割合が小さい。換言すれば、明るさLBが安定していると言うこともできる。
ところで、明るさLBが変動することは、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、本実施例では、液晶ライトバルブ330R、330G、330B(図1)が、周期的に駆動される(液晶ライトバルブは、液晶パネルとも呼ばれる。また、パネルの駆動周波数は、リフレッシュレートとも呼ばれる)。このような周期的な駆動は、液晶ライトバルブ330R、330G、330Bの各画素の透過率(開口率とも呼ばれる)の周期的な変動を、引き起こす場合がある。例えば、液晶ライトバルブの駆動回路(図示せず)は、液晶ライトバルブの各画素に、水平同期信号と垂直同期信号とに従って、水平方向および垂直方向に順番に、駆動電圧(「画素駆動電圧」と呼ぶ)を印加する。画素駆動電圧は、画素の透過率を決定する。ここで、駆動回路における漏れ電流が、時間の経過とともに、画素駆動電圧を低下させる場合がある。この場合には、同じ透過率を画素が維持すべき場合であっても、その画素の駆動電圧がパネル駆動周波数に従って変動する。これらの結果、各画素の透過率が、水平方向および垂直方向に順番に、パネル駆動周波数に従って変動する。ここで、放電灯500の駆動周波数(すなわち、明るさLBの変動周波数)が、パネル駆動周波数と同期していない場合には、表示画像上を移動する明るさのムラが観察され得る(スクロールノイズとも呼ばれる)。なお、放電灯500の駆動周波数が、パネル駆動周波数の整数倍である場合には、このようなスクロールノイズは目立ちにくい。
このようなスクロールノイズは、明るさLBの変動が、透過率の変動と干渉することによって生じる。従って、明るさLBの変動幅が大きいほどスクロールノイズは目立ちやすい。また、明るさLBの変動する時間の割合が大きいほどスクロールノイズは目立ちやすい。本実施例では、上述したように、明るさLBが変動する時間の割合が小さい。従って、スクロールノイズが目立つことを抑制できる。
以上のように、本実施例では、第1半周期HC1においては、後半に電流の最大ピークを設けている(図5、図6(A))。その結果、第1電極532の温度が上昇し難い場合であっても、第1電極532の温度を適切に高めることができる。そして、第1電極532に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。さらに、第2半周期HC2では、電流Iを一定値に維持している。従って、明るさLBの変動が抑制される。その結果、明るさLBの変動に起因する種々の不具合を抑制できる。
B.第2実施例:
図9は、駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。図5に示す第1実施例との差違は、第1半周期HC1中に、電流Iがステップ状に増大している点だけである。他の構成は、第1実施例と同じである。本実施例では、後半LHの最後の一部分で電流Iが最大値Im1bに設定され、第1半周期HC1の他の部分で電流Iが最小値Im1aに設定されている。このように、第2実施例においても、第1半周期HC1の後半LHに電流の最大ピークが設けられている。その結果、第1実施例と同様に、第1電極532の温度を適切に高めることができる。なお、第2実施例においても、図5に示す第1実施例と同様に、第1状態S1から第2状態S2に切り替わる直前に最大ピークPkが設けられているということができる。
C.第3実施例:
図10は、駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。図5に示す第1実施例との差違は、第2半周期HC2において、電流I(絶対値)が、時間Tとともに、最小値Im2aから最大値Im2bまで直線的に増大している点だけである。他の構成は、第1実施例と同じである。このように、第3実施例では、第2半周期HC2の後半に電流の最大ピークが設けられている。その結果、第1電極532に加えて、第2電極542の温度を適切に高めることができる。そして、第2電極542に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。
また、第3実施例では、第2変動幅d2がゼロよりも大きい(Im2b−Im2a)。ただし、第2変動幅d2は、第1変動幅d1よりも小さい。その結果、第2半周期HC2において放電灯500の明るさが過剰に変動することを抑制できる。その結果、明るさ変動に起因する種々の不具合(例えば、スクロールノイズ)を抑制できる。
なお、本実施例の駆動信号は「T1=T2、Im1=Im2」という条件を満たしている。ここで、第2電流値Im2は、2つの値Im2a、Im2bの平均値である。これらにより、第1状態S1と第2状態S2との間の電力量の差、すなわち、放電灯500の明るさの差が、過剰に大きくなることを抑制できる。ただし、Im1>Im2であってもよく、Im1<Im2であってもよい。
D.第4実施例:
図11は、駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。図5に示す第1実施例との差違は、第1時間T1が第2時間T2よりも長い点だけである。すなわち、電力供給部200(図3)は、第1状態S1の時間の割合よりも第2状態S2の時間の割合が小さくなるように、デューティ比を制御する。従って、第1状態S1での電力量を、第2状態S2での電力量よりも大きくすることができる。その結果、第1電極532の温度が過剰に降下することを抑制できる。また、第2電極542の温度が過剰に上昇することを抑制できる。そして、第1電極532と第2電極542との間の温度差を小さくすることができる。なお、第1状態S1のデューティ比は、1周期の時間(T1+T2)に対する第1時間T1の割合によって表される。また、第2状態S2のデューティ比は、1周期の時間に対する第2時間T2の割合によって表される。なお、第1時間T1と第2時間T2とは、予め実験的に決定すればよい。
E.第5実施例:
図12は、駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。図10に示す第3実施例との差違は、第1時間T1が第2時間T2よりも長い点だけである。これにより、第1電極532の温度が過剰に降下することを抑制できる。また、第2電極542の温度が過剰に上昇することを抑制できる。そして、第1電極532と第2電極542との間の温度差を小さくすることができる。
F.第6実施例:
図13は、駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。図5に示す第1実施例との差違は、最大ピークPkが、後半LHの最後の代わりに、後半LHの途中に設けられている点である。第1半周期HC1が始まると、電流I(絶対値)は、最小値Im1aから最大値Im1bまで増大する。電流Iが最大値Im1bとなるタイミングは、後半LHの途中である。その後、電流Iは、最小値Im1aまで低減する。このように、最大ピークPkは、後半LHの途中に設けられても良い。この場合も、最大ピークPkが前半FHに設けられた場合と比べて、第1電極532が陽極から陰極に切り替わる時点での第1電極532の温度を適切に高めることができる。また、第1電極532の先端での温度分布が過剰に広くなることを抑制できる。これらの結果、第1電極532に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。なお、本実施例において、第1半周期HC1の開始時の電流Iが、第1半周期HC1の終了時の電流Iと異なっていても良い。
G.第7実施例:
図14は、第7実施例における光源装置100A(光源ユニット110A)の構成を示す説明図である。図2に示す光源装置100(光源ユニット110)との差違は、副反射鏡520と固定部材522とが省略されている点だけである。他の構成は、図2の光源装置100と同じである。なお、本実施例の光源装置100Aは、上述の各実施例において、光源装置100の代わりに利用可能である。
図2に示す実施例と同様に、放電灯本体510(放電灯500A)の第1端部510e1には、主反射鏡112が固定されている。放電灯本体510の温度が上昇すると、熱が、放電灯本体510から固定部材114を介して主反射鏡112に伝導する。このように、主反射鏡112は、放電灯本体510の放熱器として機能する。特に、主反射鏡112は、第2端部510e2側よりも、第1端部510e1側を強く冷却する。すなわち、第1電極532の温度が、第2電極542の温度と比べて、低温となり得る。このように、副反射鏡520が無い場合であっても、第1電極532の温度は、第2電極542の温度と比べて、低温になり易い。そこで、上述の各実施例のように、第1半周期HC1の後半に最大ピークが設けられた駆動信号を利用することが好ましい。こうすれば、第1電極532に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。
H.第8実施例:
図15は、第8実施例における光源装置100B(光源ユニット110B)の構成を示す説明図である。図14に示す光源装置100A(光源ユニット110A)との差違は、主反射鏡112Bの向きが90度だけ回転している点だけである。他の構成は、図14の光源装置100Aと同じである。なお、本実施例の光源装置100Bは、上述の各実施例において、光源装置100の代わりに利用可能である。
本実施例では、主反射鏡112Bは、2つの電極532、542を通るラインEDとは垂直な照射方向DBを向いている(放電灯本体510からみて、ラインEDは図8の光軸AXと同じである)。そして、光軸AXBは、ラインEDと垂直で、2つの電極532、542の間を通る。このように、2つの電極532、542を通るラインEDが、光軸AXBと平行でなくてもよい。
このような光源ユニット110Bを利用する場合にも、種々の要因が、2つの電極532、542の間の温度差を引き起こし得る。例えば、図中の破線の矢印は、図示しない冷却ファンからの冷却風CWの流れを示している。図示するように、冷却風CWは、主反射鏡112Bの反射面に沿って流れる。本実施例では、冷却風CWは、第1端部510e1側を流れた後、第2端部510e2側を流れる。その結果、冷却風CWは、第2端部510e2側よりも、第1端部510e1側を強く冷却する。すなわち、第1電極532の温度が、第2電極542の温度と比べて、低温となり得る。そこで、上述の各実施例のように、第1半周期HC1の後半に最大ピークが設けられた駆動信号を利用することが好ましい。こうすれば、第1電極532に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。
I.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
変形例1:
上述の各実施例において、2つの電極532、542に供給される駆動信号としては、図5、図9〜図13に示す駆動信号に限らず、種々の駆動信号を採用可能である。例えば、電流Iが複数の段階に分けてステップ状に変化してもよい。また、電流Iの変化が曲線状であってもよい。これらは、第1状態S1での電流Iに限らず、第2状態S2での電流Iについても同様である。
一般には、以下のような2つの条件A、Bを満たす駆動信号を採用することが好ましい。
(条件A)第1電極が陽極として動作する第1半周期において、第1半周期における電流の最大ピークが、第1半周期の内の後半に形成される。
(条件B)第2電極が陽極として動作する第2半周期において、第2半周期における電流の変動幅が、第1半周期における電流の変動幅よりも小さい。
なお、駆動信号の具体的な値(例えば、電流値と周波数)は、予め実験的に決定すればよい。
駆動信号が条件Aを満たすことによって、第1電極の温度を適切に高めることができる。その結果、第1電極に関する種々の不具合(例えば、先端の凹凸、アークジャンプ)を抑制できる。また、駆動信号が条件Bを満たすことによって、明るさ変動に起因する種々の不具合を抑制できる。このような不具合としては、例えば、スクロールノイズや、画面のちらつき等の種々の不具合がある。なお、第1電極としては、2つの電極の内の比較的低温になりやすい電極を選択することが好ましい。
上述の条件A、Bを満たす場合には、以下のような駆動信号の変形も可能である。例えば、図5、図9、図10に示す実施例において、第2時間T2が第1時間T1よりも長くても良い。また、Im1>Im2であってもよく、Im1<Im2であってもよい。
いずれの場合も、第2半周期HC2において、電流Iが一定値に維持されることが好ましい。こうすれば、放電ランプの明るさが変動する時間の割合を小さくすることができる。その結果、明るさ変動に起因する種々の不具合を抑制できる。また、第1半周期HC1から、第2半周期HC2に切り替わる直前に、電流Iの最大ピークが形成されることが好ましい。こうすれば、より適切に、第1電極の温度を高めることができる。また、第1状態S1の累積時間よりも第2状態S2の累積時間が短くなるように、交流電力の極性を切り替えることが好ましい。こうすれば、極性の切替によって、容易に、第1状態S1での電力量を第2状態S2での電力量よりも大きくすることができる。従って、第1電極の温度が低く第2電極の温度が高いことを示す温度差が過剰に大きくなることを抑制できる。ここで、累積時間としては、1周期と比べて十分に長い時間(例えば、数時間といった100万サイクルより長い時間)の間、放電ランプを点灯させた場合の、各状態S1、S2のそれぞれの累積時間を利用すればよい。いずれの場合も、デューティ比が、時間とともに変化してもよい。
変形例2:
上述の各実施例において、放電灯本体510の構成、材料等は一例であり、他の構成、材料等を採用可能である。例えば、2つの電極532、542が同じ軸上で向かい合う代わりに、2つの電極532、542が同じ方向に向かって突出してもよい。一般には、2つの放電電極を含む任意の構成を採用可能である。また、ランプの種類としては、例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の種々の種類を採用可能である。また、光源ユニットの構成としては、図2、図14、図15に示す構成に限らず、放電ランプを含む任意の構成を採用可能である。例えば、反射鏡112、520が省略されてもよい。
変形例3:
上述の各実施例では、液晶ライトバルブ330R、330G、330Bは透過型であるが、この代わりに、反射型の液晶ライトバルブを採用してもよい。また、上述の各実施例において、放電ランプによって発せられた光を、画像を投写するための投写光に変調する空間光変調部としては、液晶ライトバルブに限らず、任意の空間光変調装置を採用可能である。例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:TI社の商標)などのマイクロミラー型光変調装置を用いることもできる。また、空間光変調部の総数は、3に限らず、任意である。例えば、1つや2つや4以上を採用可能である。
変形例4:
上述の各実施例において、光源装置100、100A、100Bは、プロジェクタに限らず、他の任意の装置に組み込んでもよい。例えば、車両のヘッドライトや、照明機器を採用可能である。いずれの場合も、上述の各実施例のように、第2変動幅d2が第1変動幅d1よりも小さいことが好ましい(図5、9、10、11、12、13)。こうすれば、光線装置(放電ランプ)の明るさの望まれない変動を抑制できる。
変形例5:
上述の各実施例において、電力供給部200の構成としては、図3に示す構成に限らず、上述したような交流電力を出力可能な任意の構成を採用可能である。例えば、ダウンチョッパ回路C1が省略されてもよい。また、イグナイタ回路C3の代わりに、他の点灯開始装置を利用してもよい。また、交流電力の波形を制御する回路としては、インバータブリッジ回路C2に限らず、他の種々の回路を採用可能である。
また、放電ランプの駆動装置としては、電力供給部200を有する種々の構成を採用可能である。例えば、電力供給部200と電源とを含む構成を採用可能である。この代わりに、駆動装置から電源を省略してもよい。この場合、外部電源を利用すればよい。
変形例6:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図3の制御回路C4の機能を、CPUとメモリとを有するコンピュータによって実現してもよい。
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
本発明の一実施例としてのプロジェクタ1000を示す説明図である。 光源装置100の構成を示す説明図である。 電力供給部200の構成を示す説明図である。 電力の極性と電極の温度との関係を示す説明図である。 本実施例の電流Iの波形を示す説明図である。 駆動信号と電極温度との説明図である。 第1電極532の先端(突起532p)における温度分布を示す説明図である。 電流I(駆動信号)と放電灯500から放出される光の明るさLBとの経時変化を示すタイミングチャートである。 駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。 駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。 駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。 駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。 駆動信号(電流I)の波形の別の実施例を示す説明図である。 第7実施例における光源装置100A(光源ユニット110A)の構成を示す説明図である。 第8実施例における光源装置100B(光源ユニット110B)の構成を示す説明図である。
符号の説明
100、100A、100B...光源装置
110、110A、110B...光源ユニット
112、112B...主反射鏡
114...固定部材
200...電力供給部
305...平行化レンズ
310...照明光学系
320...色分離光学系
330R、330G、330B...液晶ライトバルブ
340...クロスダイクロイックプリズム
350...投写光学系
500、500A...放電灯
510...放電灯本体
512...放電空間
520...副反射鏡
522...固定部材
532...第1電極
532p...突起
534...導電性部材
536...第1端子
542...第2電極
542p...突起
544...導電性部材
546...第2端子
1000...プロジェクタ
510e1...第1端部
510e2...第2端部
C1...ダウンチョッパ回路
D1...ダイオード
L1...コイル
Cd1...コンデンサ
C2...インバータブリッジ回路
C3...イグナイタ回路
C4...制御回路
DB...照射方向
ED...ライン
CW...冷却風
AX、AXB...光軸
OL1...第1出力ライン
OL2...第2出力ライン
CSc、CS1、CS2、CS3、CS4...制御信号
Tr1、Tr2、Tr3、Tr4...トランジスタ
Trc...スイッチ素子

Claims (7)

  1. 第1電極と第2電極とを有する放電ランプの駆動装置であって、
    前記第1電極と前記第2電極との間に交流電力を供給する電力供給部を備え、
    前記電力供給部は、
    (A)前記第1電極が陽極として動作する第1半周期において、前記第1半周期における前記放電ランプを流れる電流の最大ピークが、前記第1半周期の内の後半に形成されるように、前記電流を変動させ、
    (B)前記第2電極が陽極として動作する第2半周期において、前記第2半周期における前記電流の変動幅が、前記第1半周期における前記電流の変動幅よりも小さくなるように、前記電流を制御する、
    放電ランプ駆動装置。
  2. 請求項1に記載の放電ランプ駆動装置であって、
    前記電力供給部は、前記第2半周期において、前記電流を一定値に維持する、
    放電ランプ駆動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の放電ランプ駆動装置であって、
    前記電力供給部は、前記第1半周期から前記第2半周期に切り替わる直前に、前記最大ピークを形成する、
    放電ランプ駆動装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の放電ランプ駆動装置であって、
    前記電力供給部は、前記第1電極が陽極として動作する第1状態の累積時間よりも、前記第2電極が陽極として動作する第2状態の累積時間が短くなるように前記交流電力の極性を切り替える、
    放電ランプ駆動装置。
  5. 光源装置であって、
    請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放電ランプ駆動装置と、
    前記放電ランプと、
    前記放電ランプの前記第1電極側に配置されるとともに、前記放電ランプからの光を所定方向に向かって反射する主反射鏡と、
    前記放電ランプの前記第2電極側に配置されるとともに、前記放電ランプからの光を前記主反射鏡に向かって反射する副反射鏡と、
    を備える、光源装置。
  6. プロジェクタであって、
    請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の放電ランプ駆動装置と、
    前記放電ランプと、
    前記放電ランプによって発せられた光を、画像を投写するための投写光に変調する空間光変調部と、
    前記投写光を投写する投写光学系と、
    を備える、プロジェクタ。
  7. 第1電極と第2電極とを有する放電ランプの駆動方法であって、
    前記第1電極と前記第2電極との間に交流電力を供給する電力供給工程を備え、
    前記電力供給工程は、
    (A)前記第1電極が陽極として動作する第1半周期において、前記第1半周期における前記放電ランプを流れる電流の最大ピークが、前記第1半周期の内の後半に形成されるように、前記電流を変動させる工程と、
    (B)前記第2電極が陽極として動作する第2半周期において、前記第2半周期における前記電流の変動幅が、前記第1半周期における前記電流の変動幅よりも小さくなるように、前記電流を制御する工程と、
    を含む、駆動方法。
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JP2008036352A Pending JP2009193935A (ja) 2008-02-18 2008-02-18 放電ランプ駆動装置とその方法、光源装置、プロジェクタ

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010055840A (ja) * 2008-08-26 2010-03-11 Panasonic Electric Works Co Ltd 放電灯点灯装置、前照灯点灯装置、車両

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