JP2009192803A - 画像表示装置 - Google Patents

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武志 森
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Abstract

【課題】表示パネルを縦置きで使用する場合でも、画面水平方向の動きベクトルの探索範囲を広くして、FRCの効果を損なわないようにする。
【解決手段】液晶表示装置は、縦横比が異なる表示画面を横長画面又は縦長画面に切り換え自在に設けた液晶表示パネル16と、入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に動き補償処理を施した画像信号を内挿することにより入力画像信号のフレーム数あるいはフィールド数を変換して液晶表示パネル16へ出力するFRC部10とを備える。液晶表示装置は、液晶表示パネル16が縦長画面の状態であるか否かを判定する制御部14を備え、FRC部10は、制御部14により液晶表示パネル14が縦長画面の状態であると判定した場合、液晶表示パネル14に対して、動きベクトルの探索範囲を垂直方向に比べて水平方向に広くする。
【選択図】図3

Description

本発明は、画像表示装置、より詳細には、フレームレートあるいはフィールドレートを変換する機能を備えた画像表示装置に関する。
動画像を具現する用途に従来から主として用いられてきた陰極線管(CRT:Cathode Ray Tube)に対して、LCD(Liquid Crystal Display)は、動きのある画像を表示した場合に、観る者には動き部分の輪郭がぼけて知覚されてしまうという、所謂、動きぼけの欠点がある。この動きぼけは、LCDの表示方式そのものに起因することが指摘されている(例えば、特許文献1参照)。
電子ビームを走査して蛍光体を発光させて表示を行うCRTでは、各画素の発光は蛍光体の若干の残光はあるものの概ねインパルス状になる。これをインパルス型表示方式という。一方、LCDでは、液晶に電界を印加することにより蓄えられた電荷が、次に電界が印加されるまで比較的高い割合で保持される。特に、TFT方式の場合、画素を構成するドット毎にTFTスイッチが設けられており、さらに通常は各画素に補助容量が設けられており、蓄えられた電荷の保持能力が極めて高い。このため、画素が次のフレームあるいはフィールド(以下、フレームで代表する)の画像情報に基づく電界印加により書き換えられるまで発光し続ける。これをホールド型表示方式という。
上記のようなホールド型表示方式においては、画像表示光のインパルス応答が時間的な広がりを持つため、時間周波数特性が劣化して、それに伴い空間周波数特性も低下し、動きぼけが生じる。すなわち、人の視線は動くものに対して滑らかに追従するため、ホールド型のように発光時間が長いと、時間積分効果により画像の動きがぎくしゃくして不自然に見えてしまう。
上記のホールド型表示方式における動きぼけを改善するために、フレーム間に画像を内挿することにより、フレームレート(フレーム数)を変換する技術が知られている。この技術は、FRC(Frame Rate Converter)と呼ばれ、液晶表示装置等において実用化されている。
従来、フレームレートを変換する方法には、単に同一フレームの2回繰り返し読み出しや、フレーム間の直線内挿(線形補間)によるフレーム内挿などの各種の手法がある。しかしながら、線形補間によるフレーム内挿処理の場合、フレームレート変換に伴う動きの不自然さ(ジャーキネス、ジャダー)が発生するため、画質的には不十分なものであった。
そこで、上記ジャーキネスの影響等をなくして動画質を改善するために、動きベクトルを用いた動き補償型のフレーム内挿処理が知られている。この動き補償処理によれば、動画像そのものをとらえて補正するため、解像度の劣化がなく、また、ジャーキネスの発生もなく、極めて自然な動画を得ることができる。さらに、内挿画像信号は動き補償して形成されるので、上述したホールド型表示方式に起因する動きぼけ妨害を十分に改善することが可能となる。
前述の特許文献1には、動き適応的に内挿フレームを生成することにより、表示画像のフレーム周波数を上げて、動きぼけの原因となる空間周波数特性の低下を改善するための技術が開示されている。これは、表示画像のフレーム間に内挿する少なくとも1つの内挿画像信号を、前後のフレームから動き適応的に形成し、形成した内挿画像信号をフレーム間に内挿して順次表示するようにしている。
図6は、従来の液晶表示装置におけるFRC駆動表示回路の概略構成を示すブロック図で、図中、FRC駆動表示回路は、入力画像信号のフレーム間に動き補償処理を施した画像信号を内挿することにより入力画像信号のフレーム数を変換するFRC部100と、FRC部100によりフレームレート変換された画像信号に基づいて液晶表示パネル104の走査電極及びデータ電極を駆動するための電極駆動部103と、液晶層と該液晶層に走査信号及びデータ信号を印加するための電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶表示パネル104とを備えて構成される。
さらに、FRC部100は、入力画像信号から動きベクトル情報を検出する動きベクトル検出部101と、動きベクトル検出部101により得られた動きベクトル情報により内挿フレームを生成する内挿フレーム生成部102とを備える。
上記構成において、動きベクトル検出部101は、例えば、後述するブロックマッチング法や勾配法などを用いて動きベクトル情報を求めてもよいし、入力画像信号に何らかの形で動きベクトル情報が含まれている場合、これを利用してもよい。例えば、MPEG方式を用いて圧縮符号化された画像データには、符号化時に算出された動画像の動きベクトル情報が含まれており、この動きベクトル情報を取得する構成としてもよい。
図7は、図6に示した従来のFRC駆動表示回路によるフレームレート変換処理を説明するための図である。FRC部100は、動きベクトル検出部101より出力された動きベクトル情報を用いた動き補償により、フレーム間の内挿フレーム(図中グレーに色付けされた画像)を生成し、この生成された内挿フレーム信号を入力フレーム信号とともに、順次出力することで、入力画像信号のフレームレートを例えば毎秒60フレーム(60Hz)から毎秒120フレーム(120Hz)に変換する処理を行う。
図8は、動きベクトル検出部101及び内挿フレーム生成部102による内挿フレーム生成処理について説明するための図である。動きベクトル検出部101は、図7に示した例えばフレーム#1とフレーム#2から勾配法等により動きベクトル105を検出する。すなわち、動きベクトル検出部101は、フレーム#1とフレーム#2の1/60秒間に、どの方向にどれだけ動いたかを測定することにより動きベクトル105を求める。次に、内挿フレーム生成部102は、求めた動きベクトル105を用いて、フレーム#1とフレーム#2間に内挿ベクトル106を割り付ける。この内挿ベクトル106に基づいてフレーム#1の位置から1/120秒後の位置まで対象(ここでは自動車)を動かすことにより、内挿フレーム107を生成する。
このように、動きベクトル情報を用いて動き補償フレーム内挿処理を行い、表示フレーム周波数を上げることで、LCD(ホールド型表示方式)の表示状態を、CRT(インパルス型表示方式)の表示状態に近づけることができ、動画表示の際に生じる動きぼけによる画質劣化を改善することが可能となる。
上記動き補償フレーム内挿処理においては、動き補償のために動きベクトルの検出が不可欠となる。この動きベクトル検出の代表的な手法として、例えば、ブロックマッチング法、勾配法などが提案されている。勾配法においては、連続した2つのフレーム間で各画素または小さなブロック毎に動きベクトルを検出し、それにより2つのフレーム間の内挿フレームの各画素または各小ブロックを内挿する。すなわち、2つのフレーム間の任意の位置の画像を正しく位置補正して内挿することにより、フレーム数の変換を行う。
通常、動きベクトル検出の際の動きベクトルの探索範囲は、例えば縦(垂直)方向に5ドット、横(水平)方向に10ドットと縦方向より横方向に広い探索範囲を設定している。これは、画面が16(横):9(縦)などの横長サイズであること、映像として横方向の動きのほうが多いこと、人間の目の視覚特性上横方向に対する動的解像度が高いことなどによる。なお、動きベクトルの探索範囲は必ずしも固定ではなく適応的に変化させることも可能である(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2には、動きベクトルの統計量を解析することにより動きベクトルの出現傾向を予測し、適切な動きベクトルの探索範囲(大きさ及び縦横比)を決定する方法が記載されている。
特許第3295437号明細書 特開2005−269164号公報
ところで、表示パネル(ディスプレイ)の構成として、横長画面が一般的であるが、縦長画面のディスプレイが求められる場合もある。製品としても、横長画面、縦長画面を切換可能としたものが、例えば事業向けの形で生産されている。このようなディスプレイを縦長状態で使用する場合、FRCの動きベクトルの探索範囲は図9に示すように変化してしまう。
図9は、ディスプレイを横長画面から縦長画面にした場合におけるFRCの動きベクトルの探索範囲の従来例を説明するための図である。図9(A)はディスプレイを横長画面の状態にしたときのFRCの動きベクトル探索範囲Sを示し、図9(B)はディスプレイを縦長画面の状態にしたときのFRCの動きベクトル探索範囲Sを示す。このように、ディスプレイ横置き時における動きベクトル探索範囲Sが、例えば水平方向に10ドット、垂直方向に5ドットであった場合に、ディスプレイを縦置きにすると、水平方向に5ドット、垂直方向に10ドットの動きベクトル探索範囲Sに変化してしまうため、水平方向の探索範囲が狭くなり、FRCの効果を十分に発揮させることができず、視認性を劣化させていた。
上記特許文献2に記載の方法の場合、動きベクトルの統計量に応じて、動きベクトルの探索範囲(大きさ及び縦横比)を決定することができるが、ディスプレイ縦置き時におけるFRC処理に対応していないため、ディスプレイの縦置き時と横置き時とでは上記と同様に探索範囲が変化してしまい、ディスプレイ縦置き時にFRCの効果を十分に発揮させることはできない。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、表示パネルを縦置きで使用する場合でも、画面水平方向の動きベクトルの探索範囲を広くして、FRCの効果を損なわないようにすること、を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、縦横比が異なる表示画面を横長画面又は縦長画面に切り換え自在に設けた表示パネルと、入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に動き補償処理を施した画像信号を内挿することにより前記入力画像信号のフレーム数あるいはフィールド数を変換して前記表示パネルへ出力するレート変換手段とを備えた画像表示装置であって、前記表示パネルが縦長画面の状態であるか否かを判定する判定手段を備え、前記レート変換手段は、前記判定手段により前記表示パネルが縦長画面の状態であると判定した場合、前記表示パネルに対して、動きベクトルの探索範囲を垂直方向に比べて水平方向に広くすることを特徴としたものである。
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示パネルが縦長画面の状態にあることを検知するための検知手段を備え、前記判定手段は、前記検知手段から検知信号を受信した場合に、前記表示パネルが縦長画面の状態であると判定することを特徴としたものである。
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記入力映像信号の映像コンテンツが縦長コンテンツであるか否かを判定し、縦長コンテンツであると判定した際に、前記表示パネルが横長画面の状態である場合、該表示パネルを縦長画面の状態にするように、ユーザに促すメッセージを表示することを特徴としたものである。
第4の技術手段は、第1の技術手段において、ユーザ操作により前記表示パネルを縦長画面の状態としたときに、前記表示パネルを縦長画面で使用するための縦長画面モードを設定するモード設定手段を備え、前記判定手段は、前記モード設定手段で前記縦長画面モードが設定された場合に、前記表示パネルが縦長画面の状態であると判定することを特徴としたものである。
第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記モード設定手段は、ユーザ操作に従って、前記縦長画面モードをユーザにより選択可能にメニュー表示させ、前記縦長画面モードが選択された場合に、該縦長画面モードを設定することを特徴としたものである。
第6の技術手段は、第1乃至第5のいずれか1の技術手段において、前記レート変換手段は、前記入力画像信号に含まれる連続したフレーム間あるいはフィールド間で動きベクトル情報を検出する動きベクトル検出部と、該検出した動きベクトル情報に基づいて、前記フレーム間あるいは前記フィールド間に内挿ベクトルを割り付ける内挿ベクトル割付部と、該割り付けた内挿ベクトルから内挿画像信号を生成する内挿画像生成部と、該生成した内挿画像信号を前記フレーム間あるいは前記フィールド間に内挿する画像内挿部とを有することを特徴としたものである。
第7の技術手段は、第6の技術手段において、前記動きベクトル検出部は、動きベクトルの探索範囲を、前記表示パネルの横長画面での使用時と縦長画面での使用時とで同じ縦横比としたことを特徴としたものである。
本発明によれば、表示パネルを縦置きで使用する場合でも、画面垂直方向に比べて水平方向の動きベクトルの探索範囲を広くすることにより、画面水平方向の動き検出をスムーズに行なうことができ、FRCの効果を十分に発揮させることができるため、視認性を劣化させることがない。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像表示装置の好適な実施の形態について説明する。なお、本発明は、フィールド信号及び内挿フィールド信号、フレーム信号及び内挿フレーム信号のいずれに対しても適用できるものであるが、両者(フィールドとフレーム)は互いに類似の関係にあるため、フレーム信号及び内挿フレーム信号を代表例として説明するものとする。
図1は、本発明の画像表示装置が備える動き補償型フレームレート変換部の構成例を示すブロック図である。図中、10はフレームレート変換部(以下、FRC部)で、該FRC部10は、本発明のレート変換手段に相当し、入力画像信号に含まれる2つの連続したフレーム間で動きベクトルを検出するベクトル検出部11と、検出した動きベクトルに基づいて内挿フレーム(内挿画像)を生成するフレーム生成部12とから構成される。なお、ベクトル検出部11は、動きベクトル検出に反復勾配法を用いた場合の例について示すが、この反復勾配法に限定されず、ブロックマッチング法などを用いてもよい。
ここで、反復勾配法の特徴は、動きベクトルの検出がブロック単位で可能であるため、数種類の動き量が検出でき、また、小領域の動物体でも動きベクトルを検出することができる。また、回路構成も他の方式(ブロックマッチング法など)と比較して小規模で実現することができる。この反復勾配法では、被検出ブロックに対して、すでに検出された近傍のブロックの動きベクトルを初期偏位ベクトルとして、これを起点として勾配法の演算を繰り返す方法が用いられる。この方法によれば、勾配法の繰り返しは2回程度でほぼ正確な動き量を得ることができる。
図1において、ベクトル検出部11は、入力画像信号(RGB信号)から輝度信号(Y信号)を抽出する輝度信号抽出部11aと、抽出したY信号にLPFを掛けて高域部の帯域を制限するための前処理フィルタ11bと、動き検出用フレームメモリ11cと、初期ベクトル候補を蓄積するための初期ベクトルメモリ11dと、反復勾配法を用いてフレーム間の動きベクトルを検出する動きベクトル検出部11eと、検出した動きベクトルに基づいてフレーム間に内挿ベクトルを割り付ける内挿ベクトル評価部11fと、を備えて構成される。
なお、FRC部10は、本発明のレート変換手段に相当し、動きベクトル検出部11eは、本発明の動きベクトル検出部に相当し、内挿ベクトル評価部11fは、本発明の内挿ベクトル割付部に相当する。
上記反復勾配法の演算は画素の微分成分を用いているため、ノイズの影響を受け易く、また、検出ブロック内の勾配の変化量が多いと演算誤差が大きくなるため、前処理フィルタ11bにおいてLPFをかけて高域部の帯域を制限しておく。初期ベクトルメモリ11dには、初期ベクトル候補として、前々フレームで既に検出されている動きベクトル(初期ベクトル候補)を蓄積しておく。
動きベクトル検出部11eは、初期ベクトルメモリ11dに蓄積されている初期ベクトル候補の中から被検出ブロックの動きベクトルに最も近い動きベクトルを初期ベクトルとして選択する。すなわち、被検出ブロック近傍のブロックにおける既検出動きベクトル(初期ベクトル候補)の中からブロックマッチング法により初期ベクトルを選択する。そして、動きベクトル検出部11eは、選択した初期ベクトルを起点として、勾配法演算によって前フレームと現フレーム間の動きベクトルを検出する。
内挿ベクトル評価部11fは、動きベクトル検出部11eにより検出された動きベクトルを評価し、その評価結果に基づいて最適な内挿ベクトルをフレーム間の内挿ブロックに割り付けて、フレーム生成部12に出力する。
フレーム生成部12は、2つの入力フレーム(前フレーム、現フレーム)を蓄積するための内挿用フレームメモリ12aと、内挿用フレームメモリ12aからの2つの入力フレームと内挿ベクトル評価部11fからの内挿ベクトルとに基づいて内挿フレームを生成する内挿フレーム生成部12bと、入力フレーム(前フレーム、現フレーム)を蓄積するためのタイムベース変換用フレームメモリ12cと、タイムベース変換用フレームメモリ12cからの入力フレームに内挿フレーム生成部12bからの内挿フレームを挿入するタイムベース変換部12dと、を備えて構成される。
なお、内挿フレーム生成部12bは、本発明の内挿画像生成部に相当し、タイムベース変換部12dは、本発明の画像内挿部に相当する。
図2は、フレーム生成部12による内挿フレーム生成処理の一例を説明するための図である。内挿フレーム生成部12bは、内挿ブロックに割り付けられた内挿ベクトルVを前フレーム、現フレームに伸ばして、各フレームとの交点近傍の画素を用いて内挿ブロック内の各画素を補間する。例えば、前フレームでは近傍3点よりA点の輝度を算出する。現フレームでは近傍3点よりB点の輝度を算出する。内挿フレームではP点の輝度をA点とB点の輝度から補間する。P点の輝度は、例えばA点の輝度とB点の輝度の平均としてもよい。
上記のようにして生成された内挿フレームは、タイムベース変換部12dに送られる。タイムベース変換部12dは、前フレーム、現フレームの間に、内挿フレームを挟み込んで、フレームレートを変換する処理を行う。このように、FRC部10により、入力画像信号(60フレーム/秒)を、動き補償された出力画像信号(120フレーム/秒)へ変換でき、これを表示パネルに出力することにより、動きぼけを低減して動画質を改善することが可能となる。なお、ここでは、60フレーム/秒の入力画像信号を、120フレーム/秒の出力画像信号にフレームレート変換する場合について説明するが、例えば90フレーム/秒、180フレーム/秒の出力画像信号を得る場合に適用しても良いことは言うまでもない。
本発明の画像表示装置は、図1に示したFRC部10を備え、表示パネルを縦置きで使用する場合でも、画面水平方向の動きベクトルの探索範囲を広くして、FRCの効果を損なわないようにすることを目的とする。なお、本発明は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電気泳動ディスプレイなどのホールド型の表示特性を有する画像表示装置全般に適用可能であるが、以下の実施形態においては、表示パネルとして液晶表示パネルを用いた液晶表示装置に本発明を適用した場合を代表例として説明する。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。図中、液晶表示装置は、FRC部10、画像処理部13、制御部14、電極駆動部15、及び液晶表示パネル16を備えて構成される。なお、FRC部10、画像処理部13、電極駆動部15、及び液晶表示パネル16は制御部14に接続され、制御部14からの指示に従って動作する。
図3において、FRC部10における動きベクトル検出部11e、内挿ベクトル評価部11f、内挿フレーム生成部12b、及びタイムベース変換部12dのみを要部構成として図示し、FRC部10のその他の構成要素については記載を省略するものとする。
画像処理部13は、FRC部10の前段に設けられ、入力画像信号に対して各種の画像処理を施してFRC部10に出力する。
液晶表示パネル16は、液晶層と該液晶層に走査信号及びデータ信号を印加するための電極とを有するアクティブマトリクス型の液晶ディスプレイであり、縦横比が異なる画面を横長画面又は縦長画面に切り換え自在に設けている。すなわち、この液晶表示パネル16は、通常の横長画面では、例えば16(横):9(縦)の縦横(アスペクト)比を持ち、通常、画面が横方向に長い状態で設置されているが、特定の縦長コンテンツを表示させる際に、この横長画面を90(270)°回転させて縦長画面とすることができる。この縦長画面は、9(横):16(縦)の縦横比を持ち、画面が縦方向に長い状態で設置される。
電極駆動部15は、FRC部10によりフレームレート変換された画像信号に基づいて液晶表示パネル16の走査電極及びデータ電極を駆動するための表示ドライバである。
制御部14は、上記各部を制御するためのCPUを備え、本発明の判定手段に相当する。制御部14は、本発明の検知手段に相当する3次元センサ16aからの検知信号を受信した場合に、液晶表示パネル16が縦長画面の状態であると判定し、FRC部10に対して、動きベクトルの探索範囲切換信号を送出する。FRC部10は、制御部14からの探索範囲切換信号に基づいて、縦置きされた液晶表示パネル16に対して、動きベクトルの探索範囲を画面垂直方向に比べて水平方向に広くして、動きベクトルを探索する。なお、この動きベクトルの探索処理は、FRC部10の動きベクトル検出部11eで実行される。
図4は、液晶表示パネル16を横長画面から縦長画面にした場合におけるFRCの動きベクトルの探索範囲の一例を説明するための図である。図4(A)は液晶表示パネル16を横長画面の状態にしたときのFRCの動きベクトル探索範囲Sを示し、図4(B)は液晶表示パネル16を縦長画面の状態にしたときのFRCの動きベクトル探索範囲S(本発明)を示し、図4(C)は従来の縦長画面におけるFRCの動きベクトル探索範囲Sを示す。
図4(A)において、液晶表示パネル16の横置き時における動きベクトル探索範囲Sが、例えば水平方向に10ドット、垂直方向に5ドットであった場合に、従来、液晶表示パネル16を図4(C)に示すように縦置きにすると、水平方向に5ドット、垂直方向に10ドットの動きベクトル探索範囲Sに変化していたが、本発明では、図4(B)に示すように、この探索範囲Sを水平方向に10ドット、垂直方向に5ドットの探索範囲Sとなるように変更する。すなわち、図4(A)に示す横置き時の動きベクトルの探索範囲Sの縦横比と同じになるように設定する。これにより、液晶表示パネル16を縦置きで使用した場合でも、水平方向の動きベクトル探索範囲が広くなり、FRCの効果を十分に発揮させることができ、視認性を良くすることができる。
本実施形態の液晶表示装置は、液晶表示パネル16が縦長に設置されたことを検知するための検知手段の一例として、3次元センサ16aを備える。ユーザは、例えば縦横比が9(横):16(縦)などの縦長コンテンツを表示させる場合に、横置きの液晶表示パネル16を90°回転させて縦置きに変化させる。3次元センサ16aは、この変化を検知すると、制御部14に検知信号を送出する。制御部14は、この3次元センサ16aから検知信号を受信した場合に、液晶表示パネル16が縦長画面の状態であると判定し、動きベクトル検出部11eに探索範囲切換信号を送出する。そして、動きベクトル検出部11eは、制御部14からの探索範囲切換信号に基づいて、液晶表示パネル16に対して、動きベクトルの探索範囲を画面垂直方向に比べて水平方向に広くして、動きベクトルを探索する。
ここで、動きベクトルの探索範囲(すなわち縦横比)は、パラメータとして、予め図示しないメモリに記憶させておいてもよい。例えば、液晶表示パネル16の横置き時に、動きベクトルの探索範囲を水平方向に10ドット,垂直方向に5ドットとし、縦置き時にも、同様に、動きベクトルの探索範囲を水平方向に10ドット,垂直方向に5ドットとして記憶しておく。なお、この動きベクトルの探索範囲は、これらの例に限らず、適宜変更・設定することができる。
また、上記実施形態では、ユーザが縦長コンテンツを表示させることを前提に、液晶表示パネル16を縦長画面の状態にしていたが、ユーザが液晶表示パネル16を横長画面の状態で使用しているときに、液晶表示装置に縦長コンテンツが入力されるケースも起こり得る。このようなケースにおける実施形態について以下に説明する。
図3において、画像処理部13は、入力画像信号のコンテンツに付加されている、例えば、縦長コンテンツを示すフラグや、コンテンツのアスペクト比(9(横):16(縦))などの付加情報を抽出して制御部14に送出する。この場合、制御部14は、画像処理部13からの付加情報に基づいて、入力映像信号の映像コンテンツが縦長コンテンツであるか否かを判定する。制御部14は、例えば、縦長コンテンツを示すフラグを認識し、縦長コンテンツであると判定した場合、液晶表示パネル16を縦長画面の状態にするように、ユーザに促すためのメッセージを表示させる。例えば、「縦長コンテンツが入力されましたので、表示パネルを縦にして下さい。」などのメッセージを表示させる。これにより、ユーザが手動で液晶表示パネル16を横長画面の状態から縦長画面の状態に変化させる。そして、この状態の変化を3次元センサ16aで検知して、縦置き検知信号を制御部14に送出する。
以下、同様に、制御部14は、この3次元センサ16aから検知信号を受信すると、液晶表示パネル16が縦長画面の状態であると判定し、動きベクトル検出部11eに探索範囲切換信号を送出する。そして、動きベクトル検出部11eは、制御部14からの探索範囲切換信号に基づいて、液晶表示パネル16に対して、動きベクトルの探索範囲を画面垂直方向に比べて水平方向に広くして、動きベクトルを探索する。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。図中、液晶表示装置は、FRC部10、画像処理部13、制御部14、電極駆動部15、液晶表示パネル16、及びモード設定部17を備えて構成される。なお、FRC部10、画像処理部13、電極駆動部15、液晶表示パネル16、及びモード設定部17は制御部14に接続され、制御部14からの指示に従って動作する。
図5において、FRC部10における動きベクトル検出部11e、内挿ベクトル評価部11f、内挿フレーム生成部12b、及びタイムベース変換部12dのみを要部構成として図示し、FRC部10のその他の構成要素については記載を省略するものとする。
本実施形態では、前述の第1の実施形態における3次元センサ16aの代わりに、液晶表示パネル16を縦長画面で使用するための縦長画面モードを設定するモード設定手段に相当するモード設定部17を備えている点が異なる。ここでは、制御部14が、モード設定部17で縦長画面モードが設定された場合に、液晶表示パネル16が縦長画面で使用されていると判定する。
ユーザは、例えば横縦比が9(横):16(縦)などの縦長コンテンツを表示させる場合に、横置きの液晶表示パネル16を90°回転させて縦置きに変化させる。そして、モード設定部17は、ユーザ操作に従って、ユーザ選択可能なモード切換メニューを画面上に表示させ、メニューに含まれる縦長画面モードがユーザにより選択された場合に、縦長画面モードを設定し、制御部14にモード設定信号を送出する。
次に、制御部14は、このモード設定部17から、縦長画面モードを設定したことを示すモード設定信号を受信した場合に、液晶表示パネル16が縦長画面の状態であると判定し、動きベクトル検出部11eに探索範囲切換信号を送出する。そして、動きベクトル検出部11eは、制御部14からの探索範囲切換信号に基づいて、液晶表示パネル16に対して、動きベクトルの探索範囲を画面垂直方向に比べて水平方向に広くして、動きベクトルを探索する。
なお、上記のモード切換メニューは、例えば、横長画面モードと縦長画面モードとを選択可能にメニュー表示したものであり、ユーザ操作(リモコン等)により、いずれかのモードを選択指定することができる。
本実施形態の場合、液晶表示パネル16の縦置き状態への変化を検知する検知手段を持たないため、液晶表示装置側では液晶表示パネル16が縦置き状態なのか横置き状態なのか判断することができない。このため、ユーザが液晶表示パネル16を縦置き状態へ変化させた後に、モード切換メニューを表示させて縦長画面モードを設定するようにしている。
また、液晶表示パネル16の縦置き状態への変化と、モード切換メニューでのモード切換操作とを連動させてもよい。この場合、液晶表示パネル16の状態変化を検知するための検知手段を備える必要がある。例えば、ユーザが液晶表示パネル16を横置き状態から縦置き状態に変化させると、この変化を検知手段が検知する。そして、検知手段の検知信号に連動させて、モード切換メニューを液晶表示パネル16に表示させ、ユーザに対してモード選択を促すようにしてもよい。
本発明の画像表示装置が備える動き補償型フレームレート変換部の構成例を示すブロック図である。 フレーム生成部による内挿フレーム生成処理の一例を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。 液晶表示パネルを横長画面から縦長画面にした場合におけるFRCの動きベクトルの探索範囲の一例を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。 従来の液晶表示装置におけるFRC駆動表示回路の概略構成を示すブロック図である。 図6に示した従来のFRC駆動表示回路によるフレームレート変換処理を説明するための図である。 動きベクトル検出部及び内挿フレーム生成部による内挿フレーム生成処理について説明するための図である。 ディスプレイを横長画面から縦長画面にした場合におけるFRCの動きベクトルの探索範囲の従来例を説明するための図である。
符号の説明
10,100…フレームレート変換(FRC)部、11…ベクトル検出部、11a…輝度信号抽出部、11b…前処理フィルタ、11c…動き検出用フレームメモリ、11d…初期ベクトルメモリ、11e,101…動きベクトル検出部、11f…内挿ベクトル評価部、12…フレーム生成部、12a…内挿用フレームメモリ、12b,102…内挿フレーム生成部、12c…タイムベース変換用フレームメモリ、12d…タイムベース変換部、13…画像処理部、14…制御部、15,103…電極駆動部、16,104…液晶表示パネル、17…モード設定部。

Claims (7)

  1. 縦横比が異なる表示画面を横長画面又は縦長画面に切り換え自在に設けた表示パネルと、入力画像信号のフレーム間あるいはフィールド間に動き補償処理を施した画像信号を内挿することにより前記入力画像信号のフレーム数あるいはフィールド数を変換して前記表示パネルへ出力するレート変換手段とを備えた画像表示装置であって、
    前記表示パネルが縦長画面の状態であるか否かを判定する判定手段を備え、
    前記レート変換手段は、前記判定手段により前記表示パネルが縦長画面の状態であると判定した場合、前記表示パネルに対して、動きベクトルの探索範囲を垂直方向に比べて水平方向に広くすることを特徴とする画像表示装置。
  2. 請求項1に記載の画像表示装置において、前記表示パネルが縦長画面の状態にあることを検知するための検知手段を備え、
    前記判定手段は、前記検知手段から検知信号を受信した場合に、前記表示パネルが縦長画面の状態であると判定することを特徴とする画像表示装置。
  3. 請求項2に記載の画像表示装置において、前記入力映像信号の映像コンテンツが縦長コンテンツであるか否かを判定し、縦長コンテンツであると判定した際に、前記表示パネルが横長画面の状態である場合、該表示パネルを縦長画面の状態にするように、ユーザに促すメッセージを表示することを特徴とする画像表示装置。
  4. 請求項1に記載の画像表示装置において、ユーザ操作により前記表示パネルを縦長画面の状態としたときに、前記表示パネルを縦長画面で使用するための縦長画面モードを設定するモード設定手段を備え、
    前記判定手段は、前記モード設定手段で前記縦長画面モードが設定された場合に、前記表示パネルが縦長画面の状態であると判定することを特徴とする画像表示装置。
  5. 請求項4に記載の画像表示装置において、前記モード設定手段は、ユーザ操作に従って、前記縦長画面モードをユーザにより選択可能にメニュー表示させ、前記縦長画面モードが選択された場合に、該縦長画面モードを設定することを特徴とする画像表示装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示装置において、前記レート変換手段は、前記入力画像信号に含まれる連続したフレーム間あるいはフィールド間で動きベクトル情報を検出する動きベクトル検出部と、該検出した動きベクトル情報に基づいて、前記フレーム間あるいは前記フィールド間に内挿ベクトルを割り付ける内挿ベクトル割付部と、該割り付けた内挿ベクトルから内挿画像信号を生成する内挿画像生成部と、該生成した内挿画像信号を前記フレーム間あるいは前記フィールド間に内挿する画像内挿部とを有することを特徴とする画像表示装置。
  7. 請求項6に記載の画像表示装置において、前記動きベクトル検出部は、動きベクトルの探索範囲を、前記表示パネルの横長画面での使用時と縦長画面での使用時とで同じ縦横比としたことを特徴とする画像表示装置。
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