JP2009192516A - 伝搬遅延時間測定装置及びレーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フーリエ変換部6のフーリエ変換結果をフーリエ変換部8のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算部9を設け、2次元高分解能部10がフーリエ変換結果除算部9の除算結果である2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。
【選択図】図1
Description
レーダでは、受信機から送信された送信信号が電波反射源に反射されて、再び受信機で受信された受信信号の遅延時間を測定することで、目標までの距離を推定するようにしている。
また、GPS受信機では、GPS衛星から発信された送信信号とGPS受信端末で受信された受信信号との遅延時間を測定し、この遅延時間の測定を最低限4つのGPS衛星について繰り返すことで、GPS受信端末の位置を推定するようにしている。
また、携帯端末等の電波発信機では、携帯端末から発信された送信信号を複数の受信機で受信し、受信機間の遅延時間差を測定することで、携帯端末の位置を推定するようにしている。
電波送信機と受信機のローカル発振周波数がずれている場合には、ローカル発振周波数のずれの分だけ周波数シフト(以後、ドップラー周波数シフトとローカル発振周波数のずれを纏めて周波数オフセットと称する)が起こる。
周波数オフセットしている受信信号と送信信号との遅延時間を推定するために、送信信号の周波数をシフトさせてCCFを計算する手法(以後、2次元CCFと称する)が存在する。
この手法では、2次元CCFのピーク位置から、遅延時間と周波数オフセットを推定することが可能である。
送信機(あるいは、電波反射源)と受信機を直線で結ぶ伝搬経路を伝搬して、受信機で受信された受信信号の波形は直接波と呼ばれ、他の経路を伝搬して、受信機で受信された受信信号の波形はマルチパス波と呼ばれている。
例えば、GPS受信機において、直接波のみを受信している場合、受信信号と参照信号の2次元CCFのピーク位置から伝搬遅延を求めることにより、その伝搬遅延からGPS衛星とGPS受信機間の距離を正確に推定することができるが、GPS衛星から発信された信号が他の反射源に反射されて、GPS受信機で受信された場合、2次元CCFのピーク位置から求められる伝搬遅延は、GPS衛星とGPS受信機間の距離を示していない。
また、直接波とマルチパス波の周波数オフセットがある程度あれば、2波を分離して推定することができる。
分離推定可能な2波間の遅延時間差は時間分解能と呼ばれ、分離推定可能な2波間の周波数オフセット差は周波数分解能と呼ばれる。
一般に、2次元CCFの時間分解能は、送信信号の帯域幅の逆数で決定され、周波数分解能は、受信信号の観測時間長の逆数で決定される。
したがって、遅延時間が信号帯域幅の逆数以下に近接し、周波数オフセットが観測時間長の逆数以下に近接しているマルチパス波は、分離推定できず、遅延時間の推定精度や、周波数オフセットの推定精度が劣化することになる。
この高分解能アルゴリズムを用いる遅延時間推定方式では、受信機がPN(Pseudo Noise)符号により変調された電波を受信すると、その電波をフーリエ変換した信号を、変調された符号と同じPN符号(ここでは、参照信号と称する)をフーリエ変換した信号で除算し、その除算結果である周波数伝達関数に対して、MUSICアルゴリズムを適用することで高精度に遅延時間を推定することができる。
ただし、上記の高分解能アルゴリズムでは、受信信号の周波数オフセットが考慮されておらず、周波数オフセットが発生している場合には、推定遅延時間の精度が劣化することになる。
ただし、非特許文献3では、受信機を複数用意してアレーアンテナを構成し、そのアレーアンテナで信号を受信することを前提としており、1つの受信機で取得した受信信号の遅延時間と周波数オフセットを同時に高い分解能で推定する手法については開示していない。
図1はこの発明の実施の形態1による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
図1の伝搬遅延時間測定装置は、レーダ装置、GPS測位装置、携帯等の無線端末に使用することが可能なものであり、この実施の形態1では、GPS測位装置に適用する例を説明する。
また、GPS測位装置には、別途サーバーを通して、衛星の概略位置やGPS時刻等の情報を受信する構成のものがあるが(アシスト型GPS受信機)、この実施の形態1では、それらのアシストを必要としない自立型のGPS受信機に適用する例を説明する。
デジタル信号取得部1の受信アンテナ2はGPS衛星から発信された電波(搬送波が既知の参照信号により変調されている電波)であるGPS信号を受信する。
デジタル信号取得部1の受信部3は受信アンテナ2により受信されたGPS信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、そのGPS信号をIF信号に変換する処理を実施する。
デジタル信号取得部1のA/D変換部4は受信部3により変換されたIF信号をデジタル信号に変換する処理を実施する。
フーリエ変換部6はブロック分割部5により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する処理を実施する。なお、フーリエ変換部6は第1のフーリエ変換手段を構成している。
フーリエ変換部8は参照信号生成部7により生成された参照信号をフーリエ変換する処理を実施する。
なお、参照信号生成部7及びフーリエ変換部8から第2のフーリエ変換手段が構成されている。
2次元高分解能部10はフーリエ変換結果除算部9より出力されたアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する処理を実施する。なお、2次元高分解能部10は高分解能処理手段を構成している。
図2はC/Aコードの構成を示す説明図である。
図2において、横軸は時刻を表しており、GPS衛星から発信される電波であるGPS信号は、搬送波周波数L1(LINK1:1575.42MHz)の信号が、BPSK変調(Binary Phase Shift Keying:二値位相変調)された信号であり、その変調の基本となるのが、C/Aコードである。
C/Aコードの継続時間(周期)は1ミリ秒であり、その間に1,023ビット(1.023Mbps)を有する。
したがって、C/Aコードの1ビットは約1μsecであり、一般的にC/Aコードの1ビットは1チップと呼ばれる。
C/Aコードの20回の繰り返しが一つの単位となり、このC/Aコードの20回の繰り返し信号が、航法データの1ビットに対応し、C/Aコードの20回の繰り返し信号、または、その極性反転である信号(変調されたGPS信号でいえば、位相が180°異なる)によって、航法データが表される。したがって、航法データの1ビットは20ミリ秒である。
GPS衛星は、既知の参照信号であるC/Aコードで搬送波を変調することによりGPS信号を生成し、そのGPS信号を発信する。
デジタル信号取得部1は、GPS衛星から発信された電波であるGPS信号を受信すると、そのGPS信号をIF信号に変換して、そのIF信号をデジタル信号に変換する。
以下、デジタル信号取得部1の処理内容を具体的に説明する。
デジタル信号取得部1の受信部3は、受信アンテナ2からGPS信号を受けると、そのGPS信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、そのGPS信号をIF信号に変換する。
受信部3は、例えば、バンドパスフィルタを用いて、GPS信号から搬送波周波数L1(1575.42MHz)の前後約2〜20MHz帯域以外の信号を除去する。その後、搬送波周波数L1より低い周波数(搬送波周波数−IF周波数)の正弦波を乗じて、ローパスフィルタで高調波成分を除去することにより、中心周波数がIF周波数fIFに変換されたIF信号を取得する。
なお、実部のみを取り出して、A/D変換部4がデジタル信号に変換した後に、位相が90度異なる2つの正弦波を用いて、実部と虚部を取り出すという構成も考えられるが、ここでは、A/D変換前に実部および虚部を取り出し、複素信号として扱う構成について説明する。
GPS衛星と図1の伝搬遅延時間測定装置との相対速度に起因して、受信アンテナ2により受信されたGPS信号の搬送波周波数は、GPS衛星が送信した周波数(1575.42MHz)とは一致していない。
また、受信部3が実装している発振器の発振周波数にも誤差があるので、GPS信号に乗じる正弦波も、(1575.42MHz−fIF)とは異なる周波数である。
この周波数の差が周波数オフセットであり、この周波数オフセットの影響で、受信部3で変換した信号の位相は変化する。
即ち、変換した信号の位相は、上記周波数の差を周波数として回転する。受信部3では、このことを考慮し、後で周波数の差を補正することができるようにするため、位相と振幅の情報を持つ複素信号を出力する。
即ち、A/D変換部4は、受信部3から出力される複素信号における実部及び虚部のそれぞれをA/D変換し、実部及び虚部のペアによって表される複素数を出力する。
なお、A/D変換部4は、C/Aコードの一周期が1.023ビットで構成されており、C/Aコードの一周期は1ミリ秒であるから、2.046MHz以上の周波数でサンプリングを行う必要がある。
即ち、参照信号生成部7は、デジタル信号取得部1により受信されたGPS信号に含まれているGPS衛星の番号を参照して、そのGPS衛星が用いているC/Aコードと一致する拡散信号を参照信号として生成する(“1”または“−1”の二値のコード)。
このとき、A/D変換部4のサンプリング周波数と同期するように、参照信号のデータ数を調整する。例えば、サンプリング周波数が2.046MHzであれば、C/Aコードの1ビットに対してデータを2つ生成する。
ここで、tは時間であり、expは自然対数の底、jは虚数単位、πは円周率である。
この操作により、IF信号は周波数オフセットfDを中心周波数とする信号に変換される。
次に、ブロック分割部5は、変換したデジタル信号をブロック周期T毎に分割する。このブロック周期は、GPS信号の場合、C/Aコードの1周期である1msに相当する。
また、参照信号生成部7により生成された参照符号の開始タイミングの差である伝搬遅延時間τだけ時間シフトしている。
実際は、τには伝搬遅延時間だけでなく、GPS衛星と伝搬遅延時間測定装置との間で生じる時刻同期誤差が含まる。
通常のGPS測位装置では、複数の衛星の遅延時間τを計測した後に、GPS測位装置の三次元座標と時刻同期誤差を未知数として、上記時刻誤差を推定するが、ここでは、τには伝搬遅延時間だけが含まれることを考える。
n(n=0,・・・,N−1)はブロック毎にデジタル信号を分割したときのサンプル番号であり、Nは1msに含まれるサンプル数である。また、ブロック周期T=NΔt=1msである。
また、a1は直接波の振幅や位相を表す複素定数、τ1は直接波の伝搬遅延時間、fD1は直接波の参照信号との周波数オフセットである。
下記の式(2)は、式(1)のデジタル信号yp(n)がDFTされた周波数スペクトルYp(k)を示している。ただし、kは周波数スペクトルのインデックスである。
また、Δfは周波数ステップであり、1/Tである。
即ち、a1s(t−τ)exp(j2πfDt)のフーリエ変換は、a~ 1S(f−fD)exp(−j2πτf)であることを用いている。
ここで、S(f)はs(t)の周波数スペクトルである。
しかし、実際には、上記の式(4)は、式(2)(3)に示すように、有限の時間サンプルN(区間T)を用いた離散フーリエ変換で計算される。
したがって、式(4)のスペクトルに対して、区間Tの時間窓w(t)のスペクトルW(f)が畳み込まれることになる。W(f)のスペクトルのメインローブ幅は窓形状にもよるが、おおよそ1/T=Δfである。
したがって、窓の離散周波数スペクトルW(k)のメインローブ幅は、おおよそ1となり、W(k)が畳み込まれることにより、1より小さい幅の変化はつぶされてしまうことになる。よって、fD1/Δf<<1であれば、式(4)は、下記の式(5)のように近似することができる。
式(5)の近似式を用いると、フーリエ変換結果除算部9から出力される2次元アレーデータx(k,p)は、下記の式(6)のように記述することができる。
例えば、受信部3におけるバンドパスフィルタの帯域幅が1MHzである場合、KΔf=1MHzとなるように、周波数スペクトルのインデックスの総数Kを定める。
また、信号受信時の信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise Ratio)によっては、Kを増加あるいは減少させる構成としてもよい。
2次元高分解能法については、上記の非特許文献1で詳細に記述されているので、ここでは、MUSIC法を適用する場合の概略について記述する。ただし、ESPRIT法や最尤推定法、MODE(Method Of Direction Estimation)法等の他の高分解能アルゴリズムを適用することも可能である。
また、vk(τl)vp(fD1)Tはモードベクトル行列と呼ばれるK×Pの行列であり、Tは行列及びベクトルの転置を表している。
A=E[aHa]とおき、σ2は雑音電力を表している。
よって、MUSIC法を用いた推定では、以下の評価関数がピークとなるL個の遅延時間τ及び周波数オフセットfDを求めることで、直接波及びマルチパス波の遅延時間τ及び周波数オフセットfDを高い分解能で推定することができる。
上記実施の形態1では、ブロック周期Tの逆数に対して、推定すべき周波数オフセットfDが小さいという仮定を行っており、周波数オフセットfDがブロック周期Tに対して大きい場合には推定精度が劣化する。
また、参照信号s(n)の周波数スペクトルが拡散変調符号のように周波数軸上で激しく変動している場合、式(6)の除算操作により、低SNR時に雑音成分が増幅されて精度が劣化する。
さらに、参照信号s(n)のブロック周期T内に含まれるサンプル数Nが大きい場合、式(14)の相関行列の次元が大きくなり、演算量が膨大になる問題がある。
そこで、この実施の形態2では、直接波とマルチパス波の遅延時間及び周波数オフセットが近接しているという状況下において、上記の問題を解決する構成について記述する。
アナログのIF信号に対して中間周波数fIFの正弦波信号を乗算した後に、ブロック周期T毎に分割したyp(t)を用いて、この実施の形態2の効果について説明する。
直接波及びマルチパス波における概略の遅延時間及び周波数オフセットを得るために、受信信号yp(t)の周波数オフセットを補償して、以下のように2次元CCFを算出する。
上記の式(16)をτ方向にフーリエ変換を行うことで、次の式(17)を得る。
したがって、yp(t)をA/D変換した離散受信信号yp(n)から式(16)を計算して、fD1−mΔfc<<1/Tとすると、式(17)をm方向に逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse DFT)したものを参照信号のパワースペクトル(S(k)の絶対値の二乗)で除算することにより、式(5)と同様の2次元アレーデータを得ることができる。
これにより、演算量の低減と低SNR環境下の精度向上が可能である。また、ピーク周辺に時間窓を乗算してDFTを行うことで、DFT後の周波数分解能はほぼ1/Twとなり、上記実施の形態1で述べたように、fD1−mΔfcの影響を軽減することができることが考えられる。ここでTwは、ピーク周辺に乗算する時間窓長である。
・非特許文献4
大島、岡村、千葉、‘エンハンスト周波数領域MUSIC法を用いた高精度遅延時間推定’、信学技法、SANE2006−130、2007年
・特許文献1
特開2007−298503号公報
2次元相互相関関数算出部11は参照信号生成部7により生成された参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する処理を実施する。
ピーク近傍抽出部12は2次元相互相関関数算出部11により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出する処理を実施する。
2次元フーリエ変換部13はピーク近傍抽出部12により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、その2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する処理を実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部11、ピーク近傍抽出部12及び2次元フーリエ変換部13から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
ピーク近傍抽出部15は自己相関関数算出部14により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出する処理を実施する。
フーリエ変換部16はピーク近傍抽出部15により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換する処理を実施する。
なお、自己相関関数算出部14、ピーク近傍抽出部15及びフーリエ変換部16から第2のフーリエ変換手段が構成されている。
2次元相互相関関数算出部11は、上記実施の形態1と同様にして、ブロック分割部5がデジタル信号をブロック毎に分割すると、参照信号生成部7により生成された参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する。
即ち、2次元相互相関関数算出部11は、参照信号の周波数オフセットを周波数ステップΔfで変化させて、2次元相互相関関数である2次元CCFを以下のように計算する。
m(=1,・・・,M)は周波数補償のインデックスであり、Δfcは観測時間長1/(PT)以下とするのが望ましい。直接波と近接波の遅延時間τ、周波数オフセットfDがともに近接している場合、式(20)の2次元CCFのピーク近傍に直接波及びマルチパス波が含まれる。
w(i,m)はip、mpがピークであり、それらに対して対称な窓関数とする。ただし、i方向とm方向の形状が異なっても構わない。
また、w(i,m)がピークとなるip、mpはCys(i、m)の絶対値が最大となるi、mとしてもよいし、Cys(i、m)の絶対値に対して、ある閾値(2次元相互相関関数から計算される雑音レベルで定まる閾値)を設けて、その閾値を超えたインデックスi、mにCys(i、m)の絶対値の重みを乗算して重み平均を計算することで、ip、mpを推定してもよい。
仮に、Δf=1/(PT)、かつ、2次元窓関数w(i,m)のm方向の抽出サンプル数2Mw=P、つまり、ブロック数に等しい場合、hとブロックインデックスpは完全に一致する。
ただし、w(i,m)の周波数インデックス方向のピークにおける1次元窓関数w(i,mp)を乗算する必要がある。
2次元高分解能部10は、フーリエ変換結果除算部9から2次元アレーデータを受けると、上記実施の形態1と同様に、式(15)の評価関数のL個のピークを検出することで、2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。
ただし、この実施の形態2では、式(15)の評価関数を探索するτとfDの範囲を、それぞれ−Tw/2+τ~≦τ≦+Tw/2+τ~、−MwΔfc+fD ~≦fD≦+MwΔfc+fD ~、とすればよい。なぜなら、式(21)の窓関数を乗算することにより観測する時間範囲がτ~を中心とするTw内に、周波数範囲がfD ~を中心とする2MwΔfc内に限られているためである。
また、時間窓を乗算して相関ラグ方向にDFTを行うことで、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNRの劣化を防ぐことができると効果を奏する。
上記実施の形態2では、周波数補償方向(m方向)のIDFTの際に周波数補償が十分に実施されていないスペクトルが加算されることにより、性能の劣化が懸念される。
具体的には、式(17)における周波数スペクトルS(f−fD1+mΔfc)がmに依存するために、IDFTの際にそれらが加算される。
そこで、この実施の形態3では、2次元相互相関関数算出部11で得られた直接波、マルチパス波の遅延時間及び周波数オフセットの概略値を用いて、受信信号を補償することで上記の問題を解決するようにする。
2次元相互相関関数算出部11で得られたピーク周辺から遅延時間及び周波数オフセットの概略値であるτ~及びfD ~を推定する。推定した周波数オフセットfD ~を用いて、次の式(24)のように受信信号を補償して、ブロック毎の相互相関関数を計算する。
よって、乗算した時間窓長Twに応じて、中間周波数fD1に対する制約がfD1−fD ~<<1/Twとなり、条件を緩和することができることが考えられる。
相互相関関数算出部51は2次元相互相関関数算出部11により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、その2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間τ~及び周波数オフセットfD ~を推定するとともに、その周波数オフセットfD ~を用いて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の1次元相互相関関数を算出する処理を実施する。
遅延方向フーリエ変換部53はピーク近傍抽出部52により抽出された1次元相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する処理を実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部11、相互相関関数算出部51、ピーク近傍抽出部52及び遅延方向フーリエ変換部53から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
相互相関関数算出部51は、2次元相互相関関数算出部11が式(20)の2次元相互相関関数を算出すると、その2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、その2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間τ~及び周波数オフセットfD ~を推定する。
ここで、遅延時間τ~及び周波数オフセットfD ~は、図3のピーク近傍抽出部12と同様に、Cys(i、m)の絶対値が最大となるi、mから求めてもよい。
また、Cys(i、m)の絶対値に対して、ある閾値(2次元相互相関関数から計算される雑音レベルで定まる閾値)を設けて、その閾値を超えたインデックスi、mにCys(i、m)の絶対値の重みを乗算して重み平均を計算することで、ip、mpを推定してもよい。
上記により推定されたip、mpから、τ~=ipΔt、fD ~=mpΔfcとして、遅延時間及び周波数オフセットの概略値が推定される。
なお、式(24)では、受信信号を連続信号として記述しているが、t→nΔtとすることで離散信号に変換することができる。また、それに伴って、τ→iΔtと変換する。
ここで、w(i)はipにて最大値を取り、ipに対して対称な窓とする。
ブロック毎に受信信号SNRが変化しないのであれば、時間窓w(i)として、ブロック方向に一定な窓を乗算する。ブロック毎に受信信号SNRが変動するようであれば、それに応じてブロック毎に重みを変化させてw(i)を乗算する構成としてもよい。
なお、この動作は、フーリエ変換部16と同様の動作であるので、詳細な記述は省略する。
2次元高分解能部10は、フーリエ変換結果除算部9から2次元アレーデータを受けると、上記実施の形態1,2と同様にして、式(15)の評価関数のL個のピークを検出することで、2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。
ただし、式(15)の評価関数を探索するτとfDの範囲は、それぞれ、−Tw/2+τ~≦τ≦+Tw/2+τ~、−MwΔfc≦fD≦+MwΔfc、とすればよい。遅延時間範囲はTw、周波数範囲は2MwΔfc以内に限定され、かつ、受信信号はfD ~で補償されているためである。
また、時間窓を乗算して相関ラグ方向にDFTを行うことで、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNRの劣化を防ぐことができる効果を奏する。
上記実施の形態3では、ブロック数が多くなるにしたがって2次元高分解能部10に入力される相関行列の次元が増大することになり、演算量が増加する問題がある。
そこで、この実施の形態4では、周波数補償を行った後のブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換し、ピーク周辺を2次元窓関数により抽出することで上記の問題を解決するようにする。
ブロック方向フーリエ変換部54は相互相関関数算出部51により算出されたブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にDFTを実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部11、相互相関関数算出部51、ブロック方向フーリエ変換部54、ピーク近傍抽出部12及び2次元フーリエ変換部13から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
ブロック方向フーリエ変換部54は、上記実施の形態3と同様にして、相互相関関数算出部51がブロック毎の1次元相互相関関数を算出すると、ブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にDFTを行う。
ピーク近傍抽出部12は、ブロック方向フーリエ変換部54がブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にDFTを行うと、ブロック方向にDFTされた1次元相互相関関数のピーク近傍を抽出する。
2次元フーリエ変換部13は、ピーク近傍抽出部12が1次元相互相関関数のピーク近傍を抽出すると、上記実施の形態2と同様に、そのピーク近傍を相関ラグ方向にDFTし、そのピーク近傍を周波数補償のインデックス方向にIDFTする。
上記実施の形態1〜4では、伝搬遅延時間測定装置をGPS測位装置に適用する例を示したが、以降の実施の形態5〜8では、携帯電話等の無線端末の位置測定に適用する例について説明する。
なお、携帯電話等の無線端末だけではなく、電波を放射する電波放射源の位置測定にも適用することができる。
ただし、この発明の実施の形態5では、デジタル信号取得部1は第1のデジタル信号取得手段を構成し、ブロック分割部5は第1のブロック分割手段を構成している。
デジタル信号取得部21の受信アンテナ22は電波放射源から発信された電波(搬送波が未知の参照信号により変調されている電波)である変調信号を受信する。
デジタル信号取得部21の受信部23は受信アンテナ22により受信された変調信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、その変調信号をIF信号に変換する処理を実施する。
デジタル信号取得部21のA/D変換部24は受信部23により変換されたIF信号をデジタル信号に変換する処理を実施する。
フーリエ変換部26はブロック分割部25により分割されたデジタル信号をブロック毎にDFTする処理を実施する。なお、フーリエ変換部26は第2のフーリエ変換手段を構成している。
この実施の形態5では、携帯電話等の電波放射源から送信された電波は搬送波に対して未知のデジタル信号で変調されていることを想定する。
電波放射源から放射された電波は、受信アンテナ2及び受信アンテナ22で受信される。
なお、受信アンテナ22は電波放射源からの見通しが比較的良い場所に設置することを想定して、受信アンテナ22には電波放射源からの直接波のみが到来し、受信アンテナ2には電波放射源からの直接波とマルチパス波が到来することを想定する。
ブロック分割部5は、デジタル信号取得部1からデジタル信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、そのデジタル信号に対して中間周波数fIFの正弦波を乗算した後に、ブロック周期T毎に分割する。
ブロック分割部25は、デジタル信号取得部21からデジタル信号を受けると、そのデジタル信号をブロック周期T毎に分割する。
ブロック分割部25により得られたp(p=1,・・・,P)番目のブロックのデジタル信号をvp(n)とする。
Δτlはブロック周期T内におけるvp(n)に対する遅延時間である。即ち、電波放射源から受信アンテナ2までの伝搬遅延から、電波放射源から受信アンテナ22までの伝搬遅延を引いた遅延時間差(TDOA:Time Difference Of Arrival)である。
また、ΔfDlはvp(n)に対する周波数シフトである。即ち、電波放射源と受信アンテナ2との相対運動に起因して発生するドップラー周波数から、電波放射源と受信アンテナ22との相対運動に起因して発生するドップラー周波数を引いたドップラー周波数差(FDOA:Frequency Of difference Of Arrival)である。したがって、ブロック周期TはΔτlより大きく取る必要がある。
上記実施の形態5では、ブロック周期Tの逆数に対して、推定すべきドップラー周波数差ΔfDlが小さいという仮定を行っており、ドップラー周波数差ΔfDlがブロック周期Tに対して大きい場合には推定精度が劣化する。
また、v(n)の周波数スペクトルが拡散変調符号のように周波数軸上で激しく変動している場合、フーリエ変換結果除算部9の除算操作により、低SNR時に雑音成分が増幅されて精度が劣化する。さらに、v(n)のブロック周期T内に含まれるサンプル数Nが大きい場合、2次元高分解能部10の相関行列の次元が大きくなり、演算量が膨大になる問題がある。
そこで、この実施の形態6では、直接波とマルチパス波の遅延時間差及びドップラー周波数差が近接しているという状況下において、上記の問題を解決する構成について記述する。
2次元相互相関関数算出部31はブロック分割部25により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する処理を実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部31、ピーク近傍抽出部12及び2次元フーリエ変換部13から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
なお、自己相関関数算出部32、ピーク近傍抽出部15及びフーリエ変換部16から第2のフーリエ変換手段が構成されている。
また、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNRの劣化を防ぐことができると効果を奏する。
上記実施の形態6では、2次元フーリエ変換部13における周波数補償インデックス方向のIDFTの際に、周波数補償が十分でないスペクトルが含まれることによる性能劣化が懸念される。
そこで、この実施の形態7では、上記の問題を解決するようにしている。
図8はこの発明の実施の形態7による伝播遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図4及び図7と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
また、時間窓を乗算して相関ラグ方向にDFTを行うことで、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNR劣化を防ぐことができる効果を奏する。
上記実施の形態7では、ブロック数が多くなるにしたがって2次元高分解能部10に入力される2次元アレーデータの次元が増大することになり、演算量が増加する問題がある。
そこで、この実施の形態8では、周波数補償を行った後のブロック毎の相互相関関数をブロック方向にDFTし、ピーク周辺を2次元窓関数により抽出することで、上記の問題を解決するようにしている。
図9はこの発明の実施の形態8による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図5及び図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
図10はこの発明の実施の形態9によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
参照信号生成部41は無変調パルス信号や周波数変調パルス、あるいは、擬似雑音符号パルスを参照信号として生成する処理を実施する。なお、参照信号生成部41は参照信号生成手段を構成している。
結合器42は参照信号生成部41により生成された参照信号を送受信部44に出力する処理を実施する。
送受信部44は結合器42から出力された参照信号により搬送波を変調して変調信号を送受信アンテナ43に出力する一方、送受信アンテナ43より出力された変調信号をIF信号に変換する処理を実施する。
なお、送受信アンテナ43、送受信部44及びA/D変換部4からデジタル信号抽出手段が構成されている。
上記実施の形態1では、GPS衛星から発信された電波を受信して、その電波の伝搬遅延時間を測定する伝搬遅延時間測定装置について示したが、電波を目標に向けて送信し、目標に反射された受信して、その電波の伝搬遅延時間を測定するようにしてもよい。
結合器42は、参照信号生成部41が参照信号を生成すると、その参照信号を送受信部44に出力する。
送受信アンテナ43は、送受信部44から出力された変調信号を電波にして、その電波を空間に放射する。
また、送受信アンテナ43は、目標に反射されて戻ってきた電波を受信し、その電波を電気信号である変調信号に変換し、その変調信号を送受切替器(図示せず)を介して送受信部44に出力する。
送受信部44は、送受信アンテナ43から変調信号を受けると、図1の送受信部3と同様にして、その変調信号をIF信号に変換して、そのIF信号をA/D変換部4に出力する。
以降は、上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
また、図12に示すように、上記実施の形態3の構成をレーダ装置に適用するようにしてもよく、この場合、上記実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
さらに、図13に示すように、上記実施の形態4の構成をレーダ装置に適用するようにしてもよく、この場合、上記実施の形態4と同様の効果を奏することができる。
また、電波の代わりに音波を受信するようにしてもよく、この場合には、同様の効果を有するソナーを得ることができる。
Claims (16)
- 搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換するデジタル信号取得手段と、上記デジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割手段と、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、上記参照信号をフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を上記第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段と、上記フーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する高分解能処理手段とを備えた伝搬遅延時間測定装置。
- 参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数から上記遅延時間の周辺部分の相互相関関数を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する遅延方向フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換するブロック方向フーリエ変換部と、上記ブロック方向フーリエ変換部によりフーリエ変換された相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換する第1のデジタル信号取得手段と、上記第1のデジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割する第1のブロック分割手段と、上記第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、上記変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換する第2のデジタル信号取得手段と、上記第2のデジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割する第2のブロック分割手段と、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を上記第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段と、上記フーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する高分解能処理手段とを備えた伝搬遅延時間測定装置。
- 第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項5記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数から上記遅延時間の周辺部分の相互相関関数を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する遅延方向フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項5記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換するブロック方向フーリエ変換部と、上記ブロック方向フーリエ変換部によりフーリエ変換された相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項5記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 第1のフーリエ変換手段のピーク近傍抽出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍として、上記2次元相互相関関数の絶対値が最大となる遅延時間及び周波数オフセットを中心とする対称な範囲を抽出することを特徴とする請求項2または請求項6記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 第1のフーリエ変換手段のピーク近傍抽出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍として、上記2次元相互相関関数の絶対値のうち、雑音レベルで定まる閾値を超える絶対値となる遅延時間及び周波数オフセットであって、上記2次元相互相関関数の絶対値で重み付け平均された遅延時間及び周波数オフセットを中心とする対称な範囲を抽出することを特徴とする請求項2または請求項6記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 相互相関関数算出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数の絶対値が最大となる周波数オフセットを用いて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償することを特徴とする請求項3、請求項4、請求項7または請求項8記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 相互相関関数算出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数の絶対値のうち、雑音レベルで定まる閾値を超える絶対値となる周波数オフセットであって、上記2次元相互相関関数の絶対値で重み付け平均された周波数オフセットを用いて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償することを特徴とする請求項3、請求項4、請求項7または請求項8記載の伝搬遅延時間測定装置。
- 参照信号を生成する参照信号生成手段と、上記参照信号生成手段により生成された参照信号により搬送波を変調して変調信号を送信する一方、目標に反射された上記変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換するデジタル信号取得手段と、上記デジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割手段と、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、上記参照信号をフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を上記第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段と、上記フーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する高分解能処理手段とを備えたレーダ装置。
- 参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項13記載のレーダ装置。
- 参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数から上記遅延時間の周辺部分の相互相関関数を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する遅延方向フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項13記載のレーダ装置。
- 参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換するブロック方向フーリエ変換部と、上記ブロック方向フーリエ変換部によりフーリエ変換された相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項13記載のレーダ装置。
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