JP2009189683A - 生体インプラント - Google Patents

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Abstract

【課題】 早期感染症と晩期感染症の両方を予防することにより長期間に亘り微生物感染の予防が可能であり、人体に対する毒性のない生体インプラントを提供すること。
【解決手段】 本発明の生体インプラントは、金属、セラミックス又はプラスチックからなる基体上の少なくとも一部に、等電点が7より小さい1種以上の金属酸化物と、抗菌性無機材料とを含む表面層を有する。表面層から抗菌性無機材料が溶出することにより早期感染症を予防することができる。また、金属酸化物は体液中にはほとんど溶解せず、また負電荷が経時的に減衰することがないので、長期に亘る微生物感染の予防が可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、人工歯根、人工骨、内固定具、そして人工関節等の生体インプラントであって、抗細菌付着性を有する生体インプラントに関する。
整形外科で使用される人工関節は、変形性関節症など対して関節機能を再建できる有効な治療法であるが、人工関節表面に細菌が繁殖し、術後感染を発症することがある。これは人工関節表面に細菌が付着しやすく、また付着した細菌がバイオフィルムと呼ばれる生息域を形成するためである。この場合、抗菌薬(抗生物質)も効きにくく、治療に難渋する。さらに骨髄炎を引き起こした場合には、人工関節を抜去、再手術が必要になり、時には患肢を切断せざるを得なくなることもある。
人工関節に関する感染症には、手術後短期間に発生する早期感染症と術後数ヶ月〜数年して発症する晩期感染症がある。早期感染症の主要因は術中感染と言われ、手術環境の整備が進んだ現在、感染率は1〜3%と低値となったが、撲滅するには到っていない。また、晩期感染症は体内に侵入した細菌が人工関節表面に繁殖して起こるものであり、患者の免疫活性が低下した時などに発症する。
感染症を予防する目的で、人工関節などのインプラント自体に抗菌性を付与する研究開発が近年盛んに行われている。例えば、生体インプラント表面にハイドロキシアパタイトからなるコーティング層を形成し、そのコーティング層に抗菌性薬剤として抗生物質を含有させ、その抗生物質を徐放させる方法が提案されている(特許文献1)。
特表2005−506879号公報
特許文献1の方法は、抗菌性薬剤を徐放するコーティング層を生体インプラントに付与することによって感染を予防するものであり、早期感染症、特に手術直後の感染予防には有効に作用すると考えられる。しかしながら、コーティング層における抗菌性薬剤の含有量には限度があり、年単位の長期の抗菌性を付与することは困難である。そのため、晩期感染症に対しては効果が不十分であるという問題がある。
一方、本発明者らは、特願2006−244479において、コーティング層の負電荷による静電反発を利用して細菌付着を防止する技術を提案している。この方法によれば、細菌の付着に引き続いておこるバイオフィルム形成を阻害し、細菌の繁殖による感染を術後の長期間に渡って予防することができる。そのため、晩期感染症に対しては大変有効な予防技術である。しかしながら、早期感染症に対しては効果が不十分であるという問題がある。
以上のように、早期感染症と晩期感染症のそれぞれについての予防手段は提案されているが、早期感染症と晩期感染症の両方を予防する手段がないのが現状である。また、抗菌性薬剤は、微生物に作用してその生育を阻害したり、微生物を殺したりするが、その作用は酵素反応の阻害、細胞壁の破壊、エネルギー鎖の阻害等である。これらの作用は人体の細胞へも影響するものである。そのため、抗菌性薬剤はできるだけ少量で使用する必要があるが、耐性菌の登場により、より多量の抗菌性薬剤やより効力の高い(毒性の強い)抗菌性薬剤が必要であるという問題もある。
そこで、本発明は、早期感染症と晩期感染症の両方を予防することにより長期間に亘り微生物感染の予防が可能であり、人体に対する毒性のない生体インプラントを提供することを目的とした。
上記課題を解決するため、本発明の生体インプラントは、金属、セラミックス又はプラスチックからなる基体上の少なくとも一部に、等電点が7より小さい1種以上の金属酸化物と、抗菌性無機材料とを含む表面層を有することを特徴とする。
また、上記金属酸化物には、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化クロムから成る群から選択された少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、上記抗菌性無機材料には、酸化銀を用いることが好ましい。
また、上記表面層の厚さは、0.01〜100μmが好ましい。
また、上記基体が金属からなる場合、金属酸化物にはその金属の酸化物を用いることが好ましい。
また、上記生体インプラントが、ステムと、そのステムの上端に形成され骨頭ボールを固定するネック部とを有する人工関節である場合、少なくともネック部の表面の少なくとも一部に上記表面層を有することが好ましい。
また、上記人工関節がチタン又はチタン合金からなることが好ましい。さらに、上記金属酸化物が酸化チタンであることが好ましい。
本発明によれば、生体インプラントの表面層から抗菌性無機材料が溶出することにより早期感染症を予防することができる。さらに、表面層の金属酸化物は負電荷を有しており、負電荷を有する細菌の付着を抑制することができるので、晩期感染症を予防することができる。これにより、体内におけるライフタイム全域に渡る感染予防性能を有する優れた生体インプラントを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の生体インプラントは、金属、セラミックス又はプラスチックからなる基体上の少なくとも一部に、等電点が7より小さい1種以上の金属酸化物と、抗菌性無機材料とを含む表面層を有するものである。
(基体)
本発明の生体インプラントとは、少なくともその一部が骨内に固定されて使用されるものであり、人工歯根、人工骨、内固定具、そして人工関節が含まれる。生体インプラントの基体には、ステンレス合金、コバルト・クロム合金、チタン、チタン合金、アルミナ、そしてジルコニア等を用いることができるが、チタン又はチタン合金が好ましい。チタン合金としては、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、モリブデン、ニッケル、パラジウム、タンタル、ニオブ、バナジウム、白金等の少なくとも1種を添加した合金を用いることができる。好ましくは、Ti−6Al−4V合金である。
(金属酸化物)
細菌等の微生物は、中性条件ではその細胞の表面にカルボキシル基やリン酸基の解離によって生じる負電荷を有することが知られている。一方、金属酸化物は、HとOHが電位決定イオンとなり、系のpHの値によって表面電位が大きく変化し、金属酸化物の種類によって異なる特定のpHで表面電位がゼロとなる等電点を有する。そのため、金属酸化物は、水溶液中においてその等電点に応じた電荷を有する。例えば、中性条件では、等電点が7より小さい金属酸化物は負電荷を有し、等電点が7より大きい金属酸化物は正電荷を有している。本発明の生体インプラントに用いる金属酸化物は、等電点が7より小さいので、中性条件では負電荷を有する。したがって、細菌はその有する負電荷により、本発明に用いる金属酸化物と静電反発するため、本発明の生体インプラントには細菌は吸着することができない。さらに、等電点が7より小さければ小さいほど、負電荷密度が大きくなり、細菌との間の静電反発力が増加して、より細菌が付着しにくくなる。すなわち、本発明の生体インプラントは抗細菌付着性を有する。細菌は足場となる場所に吸着し、そこでバイオフィルムを産生して増殖するが、本発明の生体インプラントには吸着することができないため、バイオフィルムを産生することができず増殖することができない。これにより微生物感染による感染症を予防することが可能となる。
表面層に含まれる金属酸化物には、等電点が7より小さい1種以上の金属酸化物を用いることができる。具体例を挙げると、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化クロムから成る群から選択された少なくとも1種の金属酸化物を用いることができる。ここで、等電点は、例えば、JIS R1638「ファインセラミックス粉末の等電点測定方法」で規定される方法で測定される値を用いることができる。例えば、酸化ケイ素は1.8、酸化チタンはルチル型が6.7、アナターゼ型が6.0、酸化スズは6.6,酸化ニオブは3.4、酸化タンタルは2.7、酸化クロムは6.5である。より好ましくは等電点が6.7より小さい金属酸化物であり、具体的には酸化チタンである。さらに好ましくはアナターゼ型酸化チタンである。また、2種以上用いる場合、好ましい組み合わせは酸化チタンと酸化ケイ素である。
(抗菌性無機材料)
本発明の生体インプラントには、銅及びその化合物、銀及びその化合物、亜鉛及びその化合物からなる群から選択された少なくとも1種の抗菌性無機材料を用いることができる。これらの材料から溶出する金属イオンは抗菌性を有することが知られており、特に銀イオンは抜群の抗菌活性を有することから、銀及びその化合物が好ましい。さらに好ましくは銀及び酸化銀である。
表面層の厚さは特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、溶射を用いて表面層を形成する場合には、1〜50μm、より好ましくは10〜40μmである。また、陽極酸化を用いて表面層を形成する場合には、0.01〜3μm、より好ましくは0.1〜1.5μmである。
また、表面層は、一層でも複数層を積層したものでも良い。積層の場合、生体と接する最外層のみに等電点が7以下の金属酸化物を含有させることができる。その場合、最外層と基体との間の中間層の金属酸化物には、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化タンタル、そして酸化ハフニウム等を用いることができる。
また、基体と金属酸化物の組み合わせとしては、基体が金属の場合には、基体にチタンを用い、金属酸化物に酸化チタンを用いることが好ましい。また、基体がセラミックスの場合には、基体にアルミナセラミックスを用い、金属酸化物に酸化ケイ素を用いることが好ましい。また、基体がプラスチックの場合には、基体に超高分子量ポリエチレンを用い、金属酸化物に酸化ケイ素を用いることが好ましい。
また、金属酸化物と抗菌性無機材料の組み合わせとしては、酸化チタンと銀又はその化合物、より好ましくは酸化チタンと銀又は酸化銀である。
(製造方法)
金属又はセラミックスの基体上に、金属酸化物と抗菌性無機材料とを含む表面層を形成するには、抗菌性無機材料と金属酸化物を含む混合物を、フレーム溶射法、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法、爆発溶射法、そしてレーザー溶射法等の溶射法やコールドスプレー法、エアロゾルデポジション法などの低温コーティング法を用いて溶射する方法を用いることができる。また、金属基体の場合には、陽極酸化法を用いて基体表面に金属酸化物層を形成し、その金属酸化物層に抗菌性金属を蒸着したり、その金属酸化物層に抗菌性金属をイオン注入する方法を用いることができる。
例えば、チタン又はチタン合金を基体に用いる場合、溶射法、より好ましくはフレーム溶射法や高速フレーム溶射法を用いることができる。高温のプラズマ溶射を使用するとルチル型に結晶構造が変化するが、フレーム溶射法や高速フレーム溶射法の様な低温の溶射法を用いることによりルチル型よりも等電点の低いアナターゼ型を多く得ることができるからである。一方、プラスチックを基材とする場合は、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法など比較的溶射温度の低い溶射法やコールドスプレー法、エアロゾルデポジション法などの低温コーティング法を使用することができる。
特に、表面層は、酸化銀と酸化チタンの混合物を用いる溶射法により形成することが好ましい。この方法で得られた溶射膜は、銀イオンの溶出量と溶出期間を制御することが可能であり、手術直後の最も感染リスクの高いときには多量に溶出し、その後序々に溶出量が減少する。それにより、早期感染症を予防することができる。また、銀イオン溶出後の酸化チタンは等電点が低い(アナターゼ型チタニアで6.0)ため、体液中で負電荷を有する。細菌も負電荷を有するため、静電反発により細菌付着を防止することができ、バイオフィルム形成を阻害して晩期感染症を予防することができる。
溶射法に用いる酸化銀と酸化チタンの混合物は、酸化銀の割合が0.03〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。0.03重量%より少ないと、早期感染症を予防する効果が不十分であり、50重量%を超えると酸化チタンの割合が少なくなり、晩期感染症を予防する効果が不十分だからである。
本発明の生体インプラントの一例として、人工関節について説明する。
図1は、人工関節の一例を示す模式図であり人工股関節を示している。人工股関節1は、ステム2と、そのステム2の上端に形成され骨頭ボール(不図示)を固定するネック部3とを有している。ステム2は手術時に大腿骨に作製された穴に挿入固定される。一方、ネック部3は骨頭ボールの固定に用いられる。術後には骨頭ボールは関節包(不図示)により包まれて閉じた空間(関節腔)を形成し、その関節腔の内部は液体や潤滑剤により満たされる。人工股関節手術後、感染リスクの最も高いのは関節腔であり、早期感染症と晩期感染症の予防が最も必要とされる部位である。
本発明の人工関節は、そのネック部が、等電点が7より小さい1種以上の金属酸化物と、抗菌性無機材料とを含む表面層を有しているので、抗菌性金属イオンの溶出による早期感染症を予防する効果と、負電荷を有する金属酸化物による細菌付着抑制効果による晩期感染症を予防する効果を有する。なお、さらに細菌の侵入を防止するため、ネック部のみならず、ステム全面に表面層を形成することもできる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1(銀イオン溶出試験)
(試験片作製)
酸化チタンに酸化銀を1重量%添加し、混合して溶射用粉末を調製した。この溶射用粉末を用いて、直径40mm、厚さ2mmの純チタン板の片面に高速フレーム溶射を行い、
厚さ約20μmの表面層(以下、銀チタニア表面層という。)を形成した。同様にして、酸化銀を3重量%と5重量%含む表面層も形成した。
(溶出試験)
プラスチック製容器中にて、試験片1枚に対して100mlの牛胎児血清を加え、37℃で静置した。所定の時間(4時間、12時間、24時間、48時間)経過後、抽出液から1mlを採取し、1000rpmで15分間遠心分離及び0.22μmのフィルターで濾過後、ICP質量分析装置にて濾液中の銀イオン濃度を測定した。
(結果)
銀イオン濃度の測定結果を表1と図2に示す。各銀チタニア表面層において、銀イオン濃度は浸漬24時間までは経時的に増加し、その後一定値に落ち着く傾向を示した。また、酸化銀の添加量が増えると銀イオン濃度も増加した。ここで、高麗らによれば、銀イオンは0.24ppbという低濃度でも大腸菌に対する抗菌性を示すことが報告されている(例えば、H.Kourai, Y.Manabe, Y.Yamada: "Mode of Bactericidal Action of Zirconium Phosphate Ceramics Coating Silver ions in the Crystal Structure", J.Antibact.Antifung.Agents,22,595-601(1994))。本実施例では、1重量%の添加でも4ppbの溶出が認められており、高い抗菌性を有することがわかった。
表1.銀イオン濃度測定結果 単位(ppb)
Figure 2009189683
実施例2(抗菌試験1)
(試験片作製)
酸化チタンに酸化銀を重量%で3%添加した溶射用粉末を用いて、50mmx50mmx2mmの純チタン板の片面に高速フレーム溶射を行い、厚さ約20μmの銀チタニア表面層を形成した。
(抗菌試験)
JIS Z 2801「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」に準拠して抗菌性評価を行った。ただし、本材料が生体内で使用されることから、生体環境を模擬する目的で培地は1/500普通ブイヨン培地の代わりに牛血清を使用した。また、培養温度も35℃から37℃に変更した。培養は24時間行った。なお、コントロールとして、銀チタニア表面層のないチタン板を用いた。
(結果)
抗菌活性値Rを図3に示す。これにより、銀チタニア表面層を有する試験片は、コントロール試験片に比べ高い抗菌活性値を有することがわかる。これより、本実施例で用いた、銀チタニア表面層を試験片が早期感染症に対しより優れた予防効果を有することがわかった。
実施例3(細菌付着阻害能評価)
(試験片作製)
酸化チタン粉末を用いて、15mmx35mmx2mm及びφ14×1mmの純チタン板の片面に高速フレーム溶射を行い、厚さ約20μmのチタニア表面層を形成した。
(ゼータ電位測定)
15mmx35mmx2mmの試験片をゼータ電位測定装置の平板用セルにセットし、
37℃、0.3%食塩水中で電気泳動光散乱法にてデータ電位を測定した。なおモニター粒子としてはポリスチレンラテックスを使用した。
(細菌付着阻害試験)
φ14×1mmの試験片をポリスチレンプレート上に設置し、前培養を行った「バイオフィルム形成能を有するメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA臨床分離株)」を所定量添加して菌量調整を行った1/500普通ブイヨン培地500μlに浸漬し、37℃の培養器中で、6時間培養した。その後PBS(−)500μlにて試験片表面を2回濯ぎ、次にPBS(−)10mlを入れて5分間超音波洗浄を行った。この洗浄液を分取して付着生菌数を測定した。なお、初期接種菌量は2.2x10CFU/ウェルであった。なお本細菌培養実験のコントロールには同形状の純チタン板を使用した。試験片数は各5枚であった。
(結果)
ゼータ電位の測定結果を表2に示す。
表2.ゼータ電位測定結果 単位(mV)
Figure 2009189683

表2に示すようにチタニア表面層は中性水溶液中で負電荷を有していることから、負電荷を有する細菌との静電反発により、細菌付着を阻害する事ができる。
また、細菌付着阻害試験では、チタニア表面層を形成した試験片では付着菌数は平均
64.8CFUであるのに対し、コントロールの純チタンでは平均19481CFUであり、付着菌数は1000分の1に抑制されていた。これより、チタニア表面層を形成した試験片が優れた細菌付着抑制能力を有することを確認した。
一方、図2の結果から、銀チタニア表面層は、浸漬24時間以内で95%以上の銀イオンを溶出することを確認した。即ち、銀チタニア表面層は短時間で銀イオンの溶出を終えるため、銀イオンの溶出完了後は単なるチタニア表面層となる。X線結晶構造解析からも、銀イオンの溶出完了後の銀チタニア表面層がチタニア表面層であることを確認している。チタニア表面層は、前述のゼータ電位測定及び細菌付着阻害試験の結果から明らかなように、その負電荷により細菌付着を顕著に抑制する効果を有する。このチタニア表面層の効果は、半永久的に持続するものであることから、晩期感染の予防に有効である。
以上説明したように、本発明によれば、体内におけるライフタイム全域に渡る感染予防性能を有する優れた生体インプラントを提供することができる。
本発明の生体インプラントの一例としての人工関節の構造を示す模式図である。 本発明に実施例1における浸漬時間と溶出した銀イオン濃度との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2における抗菌活性値Rを示す図である。
符号の説明
1 人工股関節
2 ステム
3 ネック部

Claims (8)

  1. 金属、セラミックス又はプラスチックからなる基体上の少なくとも一部に、等電点が7より小さい1種以上の金属酸化物と、抗菌性無機材料とを含む表面層を有する生体インプラント。
  2. 上記金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化タンタル及び酸化クロムから成る群から選択された少なくとも1種である請求項1記載の生体インプラント。
  3. 上記抗菌性無機材料が銀又は酸化銀である請求項1記載の生体インプラント。
  4. 上記表面層の厚さが、0.01〜100μmである請求項1記載の生体インプラント。
  5. 上記基体が金属からなり、上記金属酸化物が該金属の酸化物からなる請求項1から4のいずれか一つに記載の生体インプラント。
  6. 上記生体インプラントが、ステムと、該ステムの上端に形成され骨頭ボールを固定するネック部とを有する人工関節であって、少なくとも該ネック部の表面の少なくとも一部に上記表面層を有する請求項1から5のいずれか一つに記載の生体インプラント。
  7. 上記人工関節がチタン又はチタン合金からなる請求項6記載の生体インプラント。
  8. 上記金属酸化物が酸化チタンである請求項6又は7に記載の生体インプラント。
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