JP2009189447A - 歯型・歯茎モデルの製造方法、歯型・歯茎モデル、二次印象採取用トレー - Google Patents

歯型・歯茎モデルの製造方法、歯型・歯茎モデル、二次印象採取用トレー Download PDF

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Abstract

【課題】 美的外観を高め、歯型だけではなく歯茎の形状まで再現した歯型・歯茎モデルを提供する
【解決手段】
依頼者の歯型と歯茎の形状の一次印象を採取し、この一次印象を基に、前記歯と歯茎の部分を一体形成する。さらに具体的には、一次印象から石膏模型を作製し、石膏模型から歯茎部分も採取する二次印象用トレー(50)を用いて二次印象を採取し、前記二次印象を基にレジンで一体形成する。このレジンは歯科用の透明レジンであり、さらに着色料やラメを混入することができるため、義歯のように緻密であるものの、生々しさを抑えて常時に飾ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、歯型・歯茎モデルの製造方法、歯型・歯茎モデル、二次印象採取用トレー、特に美的外観に優れた歯型・歯茎モデルの製造方法、歯型・歯茎モデル、二次印象採取用トレーに関する。
近年、高齢化の進行によって、歯や歯茎の健康について関心が高まっている。健康な歯や歯茎を維持することは、QOL(クォリティー・オヴ・ライフ)の観点から重要であるためである。
しかしながら、歯と歯茎の全体像は、顔や全身像と違って、鏡等で自分の歯を見ても直接確認できないという問題がある。
このため、歯の健康についての意識を高めるためには、歯型モデル(又は、歯型模型)といったものを学習・啓蒙用の教材として用いることが、老若男女を問わず効果的である。
歯型モデルにより、歯の全体像を確認することができ、自らの歯についてより知識を得たいという意欲を惹起することができる。
このような歯型モデルの1例として、例えば、特許文献1を参照すると、実際に抜けた乳歯を用いて作成する歯型モデルが記載されている(以下、従来技術1とする。)。
この従来技術1の歯型モデルは、乳歯を用いているため高齢者向けではないものの、実際の歯に歯茎色の石膏又は合成樹脂と実際の歯を用いているために、本物感に優れ、その乳歯の歯並び模型が依頼者(ユーザ)のものであれば親近感がわくと共に、興味深いものとして観察することができるという効果が得られる。
特開平8−123319号公報
しかしながら、従来技術1の歯型モデルは、実際の乳歯を用いているため歯の部分は丈夫なものの、歯茎台部分を石膏又は加圧・加熱しない室温硬化型の合成樹脂を用いて製造しており、一体形成でないために、耐久性に劣るという問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、歯と歯茎の形状の一次印象を採取し、前記一次印象を基に、前記歯と歯茎の部分についてレジンで一体形成することを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記一次印象から更に一次印象模型を作製し、前記一次印象模型から二次印象を採取し、前記二次印象を用いて、前記歯と歯茎の部分について前記レジンで一体形成することを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記レジンは、歯科用レジンであり、透明であることを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記レジンに着色料を混入し、前記着色料は、顔料の場合は前記レジンの固体に、染料の場合は前記レジンの液体に混入することを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記レジンにラメを混入し、前記ラメは、前記レジンの固体に混入することを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記二次印象にワックスを流し込んでワックス模型を作製し、金属フラスコに、一次石膏を流し込んで前記ワックス模型が沈み込まない程度に硬化させ、前記ワックス模型を前記一次石膏の上に置き、二次石膏を流し込んで前記ワックス模型を埋没することを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記ワックス模型を埋没して硬化させた後に流蝋して作製した前記二次石膏の石膏模型に前記レジンを充填し、35kg/cm2で、最低5分加圧し、湿式加圧により65℃〜85℃で36〜56時間重合し、水浴中で12時間程度放置して自然放冷することを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法は、前記着色料は、夜光性及び/又は蓄光性であることを特徴とする。
本発明の歯型・歯茎モデルは、本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法により製造されることを特徴とする。
本発明の二次印象採取用トレーは、本発明の歯型・歯茎モデルの製造方法で用いる、一次印象模型の基底面の全てを覆う二次印象採取用トレーであることを特徴とする。
本発明によれば、一体形成して製造することにより、耐久性の高い歯型・歯茎モデルを提供することできる。
<実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルである。歯型・歯茎モデル1a〜1dは、従来技術1のような従来の歯型の製造方法では不可能であった歯科用の透明なアクリルレジンのみを用いて製造しており、従来の一般的な歯型モデルに比べて美的造形に優れる。
また、歯型・歯茎モデル1a〜1dは、造形は緻密でしっかりしているものの、それぞれ、異なる色の着色料を混入して薄い青やピンク等の色に着色しており、生々しさが軽減されている。
歯型・歯茎モデル1aと、歯型・歯茎モデル1bと、歯型・歯茎モデル1cと、歯型・歯茎モデル1dとは、それぞれ異なる色、例えば、青、赤、ピンク、紫に着色されている。
加えて、歯型・歯茎モデル1dのように、ラメ(金属箔等の金属光沢をもつ粉末)を加えた歯型・歯茎モデルも作製が可能である。
さらに、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、歯茎の部分まで一体形成されており、歯茎の形状(歯茎の厚みや、歯周ポケット等)も観察することが可能となっている。
以下で、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの製造方法について、各ステップを詳細に説明する。この各ステップとしては、主に、1.石膏模型の作製、2.二次印象の採取、3.ワックス模型の作製、4.ワックス模型の埋没、5.上下開盆、6.ワックス模型洗浄、7.レジン充填、8.レジン取り出し、9.研磨・コーティングのステップがある。
(ステップS101)
まず、ステップS101において、石膏模型の作製を行う。
図3を参照して説明すると、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、従来の歯型モデルの作成方法と同様に、モデル作製の依頼者の口腔内の印象(一次印象)を採取し、石膏を注入し石膏模型(一次印象模型)を作製する。
印象(impression)を採取するとは、当業者においては歯型をとる事を意味する。具体的には、アルジネート(アルギン酸)、寒天、シリコン等の印象剤を用いて圧着し、歯型を採取する依頼者の歯の形状を採取することをいう。
本発明の発明者が鋭意実験と検討を行ったところ、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、シリコンの印象剤を用いると、歯茎部分まで正確な印象を採取することができる。よって、このシリコンの印象材を用いるのが好適である。
ここで、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルでは、歯型に加えて歯茎の形状についても正確に採取することが必要であるため、歯型と歯茎の形状を採取する依頼者の口腔の大きさに適した一次印象用トレー30を選択する。
図3(a)は、印象を採取する前に、パテ状の印象剤を一次印象用トレー30に載せて印象材35とした状態を示す。これを、依頼者が口腔内に入れて噛み、歯と歯茎に圧接する。その後、印象剤が固化した後で、一次印象用トレー30を取り出す。
図3(b)は、取り出された一次印象用トレー30と印象材35の状態を示す図であり、歯と歯茎の形状が写し取られている状態を示す。
この一次印象の採取においては、口腔内で圧接する方向により、上歯と下歯についての石膏模型を製造することができる。
ここで、この写し取られた印象剤に、歯科用の石膏を注入する。この石膏の注入時には、気泡が入らないようにバイブレーターで微振動を加えながら慎重に注入する。
この石膏模型には基底面、すなわち端面を付与する。また、この基底面は平坦にし、規定面の周囲は丸みのある形状に仕上げる。また、石膏模型表面の気泡及びバリを全て除去し、石鹸水でソーピング処理を施し、石膏模型表面を滑択にする。これらの処理により、後述する二次印象採取を容易にすることができる。
図4は、このようにしてできあがった歯型・歯茎の石膏模型の例を示す。石膏模型45は、それぞれ、上下の歯について石膏模型を作成した例である。
なお、この石膏模型作製のステップにおいては、歯科用の石膏を用いて石膏模型を作製したが、石膏と同様の働きをする各種の合成樹脂や粘土・レジン等の硬化性の物質を用いることも可能である。
(ステップS102)
次に、ステップS102において、二次印象の採取を行う。
具体的には、上述の石膏模型について、もう一度、基底面を含めた印象の採取を行う。このステップを、二次の印象採取、又は二次印象採取という。
ここで、従来の歯型モデル作製に用いられる二次の印象採取用のトレーは、トレーの辺縁からはみ出た印象材(印象剤が硬化したもの)の部分は抑えがなく、硬化後に石膏模型を取り出す際、印象材の変形を招くので、基底面の全てを覆って印象を採取することができないという問題があった。
図5を参照して説明すると、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、専用の二次印象用トレー50(二次印象採取用トレー)を用いて二次印象の採取を行うことで、基底面の全てを覆った二次の印象採取が可能となった。
この二次印象用トレー50を、図5(a)に示す。この図では、上歯用と下歯用の2つの二次印象用トレーが描かれている。
二次印象を採取する際には、図5(b)に示すように、石膏模型45に二次印象用トレー50を重ねる。
図5(c)に示すように、実際にこの二次印象用トレー50を重ねた場合、石膏模型45を完全に基底面まで覆うことができる。これにより、石膏模型45の基底面までしっかり覆うために、歯茎のモデルを作成することができるという特徴がある。
このように重ねた状態で、印象剤を注入し、十分な時間をかけて硬化させる。
ここで、印象剤が硬化したのを待って、この印象剤が硬化した印象材である印象材55を取り出す。この取り出された印象材55を、図5(d)に示す。取り出す際には、石膏模型細部に入り込んだ印象材55が破損しないように、大きな動きを与えず、できるだけ静かに取り出すのが好適である。
さらに、この取り出された印象材55の反対側から見た図を、図5(e)に示す。この状態で、次のステップでパラフィンワックスを注入する。
なお、本発明の実施の形態に係る「ワックス」は、一時的に形状を写し取り、その後、形状を崩して取り去ることができるものであれば、何でも構わない。たとえば、パラフィンワックスの他に、低温で融解する金属(ガリウム合金)等を用いることができる。
(ステップS103)
次に、ステップS103において、ワックス模型の作製を行う。
具体的には、印象材55を基にしてワックス模型60を作製する。以下で、図6を参照して詳しく説明する。
図6(a)は、上述の二次の印象採取により採取された印象材55に、溶融したパラフィンワックスを流し込んでいる図である。
このように溶融したパラフィンワックスを流し込む際は、バイブレーター(振動器)を使用して、気泡が混入しないよう、又、印象材55の隅々までパラフィンワックスが行きわたるように流し込む。
ここで、従来のワックス模型作製においては、後述するように基底面を含む基底部が石膏で製造され、この上にワックス模型を作製していた。このため、基底面までのワックス模型を作製することはできなかった。
しかし、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、上述したように二次印象用トレーにて基底面まで歯・歯茎の印象を取得する。これにより、基底面までワックスで作製したワックス模型を作製することができる。これにより、歯と歯茎の全体を合成樹脂のレジンにて一体形成した歯型・歯茎モデルを作製することができる。
また、本発明の実施の形態に係るワックス模型60は、基底面までのワックス模型なので、硬化後に、印象材55からワックス模型を取り出す際、爪や器具を用いて取り出すと、周辺部のワックスが傷つくことがある。
よって、圧縮エアーを印象材55とワックス模型60との間に、静かに送風して、この送風力にて取り出すのが好適である。
この取り出されたワックス模型60を、図6(b)に示す。取りだした後で、ワックス模型60に傷等がないか十分確認する必要がある。
(ステップS104)
次に、ステップS104にて、ワックス模型の埋没を行う。
具体的には、上述の作製されたワックス模型60を、義歯作製で使用される金属フラスコに石膏で埋没する。
ここで、上述したように、従来の義歯作製では、ワックス模型の義歯が石膏模型の上に作製される。すなわち、基底面を含む基底部が石膏になる。このため、ワックス模型と石膏模型を合わせた模型の底部が金属フラスコの底面に置かれるのが通常である。
しかしながら、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルのワックス模型60は、基底面も全てワックスのため直接フラスコ底面に置くのは好ましくない。
よって、図7を参照して説明すると、まずフラスコ下盆に少し軟らかめに練った石膏(一次石膏)を注入し、乗せたワックス模型が沈み込まない程度に少し硬化後、ワックス模型を置く。この状態を、図7(a)と(b)に示す。
また、この状態で更にある程度硬化後、上盆を乗せ、少し軟らかめに練った石膏を、二次石膏70として流し込む。この状態を、図7(c)に示す。
この際、先に下盆に流して硬化している一次石膏の上面に、石膏が硬化した後に上下盆を分離しやすくするために、毛筆で均一に石膏分離材を塗布するのが好適である。
なお、フラスコ内のワックス模型の下部と上部の石膏の厚みは、できるだけ均一であるのが好適である。
このため、下盆に石膏を流し込んでワックス模型を置く際に、金属フラスコ内のワックス模型がフラスコ中央にくるように、上下及び左右の位置を調整する。
さらに、一次石膏及び二次石膏70を流し込む際には、バイブレーターを使用し一方からゆっくりフラスコ内に流し込むのが好適である。
また、二次石膏70は少し多めに流し込むのが好適である。すなわち、次の油圧プレスの操作時にフラスコから少量はみ出る程度、流し込んでおくのがよい。これにより、フラスコ内部の石膏の緊密性を確保することができる。
ここで、上盆を重ねた状態で、石膏の硬化膨張を防止するため、油圧プレスで約20kgに加圧したまま二次石膏70の硬化を待つ。この状態を、図7(d)に示す。加圧して硬化をする際に、フラスコ外にはみ出した石膏はすべて除去する。
なお、上述の石膏で埋没するステップでは、義歯作製で使用される金属フラスコに石膏で埋没する例について示したが、同様にワックス模型60を型どりする素材と容器を用いることは可能である。
(ステップS105)
次に、ステップS105にて、上下開盆を行う。
図8を参照して説明すると、具体的には、上述のステップにおいて金属フラスコ内の二次石膏70が十分硬化した後、約60℃の温湯中に10分程度浸漬して、金属フラスコ内のワックス模型60を軟化させる。この状態を、図8(a)に示す。
次に、ワックス模型60が軟化した後、フラスコを上下開盆する。この状態を、図8(b)に示す。
(ステップS106)
次に、ステップS106にて、ワックス模型の洗浄を行う。
図9を参照して説明すると、このステップでは、上述の上下開盆の後、上下盆内に残留しているワックスを、熱湯で完全に洗い流す(流蝋)。この洗い流す際の様子を、図9(a)に示す。
また、フラスコ内の二次石膏70がまだ熱いうちに、レジン分離材を厚くならないよう均一に2〜3回塗布する。この塗布の様子を、図9(b)に示す。
(ステップS107)
次に、ステップS107にて、レジン充填処理を行う。
図10を参照して説明すると、ワックスの流蝋、レジン分離剤塗布が終了した後、常温下でレジン(樹脂、合成樹脂)の粉末と液体を正確に計量する。この計量して混合用の皿に入れた図を図10(a)に示す。
さらに、この混合用の皿にいれたレジンをよく混ぜて混合する。この混合したレジンであるレジン80の様子を、図10(b)に示す。
ここで、混合されてペースト状になったレジン80を取り出す際の様子を、図10(c)に示す。
次に、混合されたレジン80を上盆、下盆のワックス模型の流蝋によりできた空間に充填(填入)する。この充填する際の様子を、図10(d)に示す。
この上で、加圧・加熱処理を行って、レジン80を重合させることで、歯型・歯茎モデルを作製する。この加熱・加圧処理について、図10(e)に示す。
以下で、本発明の実施の形態に係る、日常的な鑑賞に堪えうる歯型・歯茎モデルを作製するために必要な材質や製造工程上の特徴について詳細に説明する。
〔歯型・歯茎モデルの材質の選択〕
本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの材質は、歯型を採取する者に固有(オリジナル)の模型であり、正確な再現性があることが必要である。
また、軽量であり、変形・変色等の材質変化が少なく、長期間あるいは半永久的な保存が可能であることが望ましい。
このため、プラスチックに代表される高分子化合物の合成樹脂を使用することが好適である。
そこで、多くのレジンの中でも義歯作製用レジンを用いることで、この特性を充足することができる。
一般的に使用されている義歯作製用の加熱重合レジンは、硬化後の物理的性質に優れ、色調調整が容易で、取り扱いも比較的簡単である。
本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの義歯作製用の加熱重合レジンとしては、アクリルレジンが用いるのが好適である。この義歯作製用のアクリルレジンは、粉末成分と液体成分を混合させることで硬化させるタイプのものを用いるのが好適である。
粉末組成はポリマーとしてポリメチルメタクリレート(PMMA)、重合開始剤は過酸化ベンゾイル、液体組成としてメチルメタクリレート(MMA)、架橋剤としてエチレングリコール・ジメタクリレート、そして重合禁止剤ハイドロキノンを用いることが好適である。たとえば、株式会社ジーシー社製、義歯床用アクリリック樹脂「アクロン」(登録商標)透明色を使用するのがよい。
この義歯作成用のレジンを用いることで、人体・環境へ悪影響がない材質を選択することができる。また、大掛かりな設備、機器類の必要がなく、容易に製造することができる。さらに、歯型・歯茎モデルの外観の点からも、仕上がりがよいために好ましい。
なお、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、人体に装着せず、耐久性を考慮しなければ、透明な樹脂であれば、例えば、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系の樹脂等の、他のレジンも用いることが可能である。
〔歯型・歯茎モデルの外観〕
さらに、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、常時展示しておいて、これを見た者が時々注目することで、口腔の健康維持、増進効果を発揮するという目的のために開発を行った。
しかしながら、従来の歯型の石膏モデルのように白色一色では、単なるデッサン用の模型のごとく存在感が希薄である。また、従来技術1の歯型モデルのように、白色の歯に肌の色等を模した色で歯茎を着色すると、特に本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは歯茎の正確な描写が可能であるために、生々しさがあり、常時展示するための意欲を減退させるという問題があった。
このため、本発明の発明者が鋭意検討と実験を重ねたところ、上述のアクリルレジンに透明なレジンを用いることが好適であることを発見した。
透明なレジンを用いることで、従来の歯型模型ではありえない造形により、存在感があり、興味を惹くために、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルを見た者に対して、よく手にとって見てみたいという意欲を起こさせることができる。さらに、肌色を模した歯茎のような色感覚がないため、生々しさを減少させ、いつも飾っておいても不快感を感じさせることも少ない。
さらに、歯型・歯茎モデル作製の依頼者の希望により、この透明なレジンに着色したり、ラメ等を混入したりすることで、さらに美的外観を高めることができる。
そこで、本発明の発明者は、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの着色方法についても、鋭意検討と実験を行った。
この結果、義歯作製用のアクリルレジンの粉末と液体を混和(混合)した後では、レジンが餅状になるため、均一に着色するのが困難であることが分かった。
実際に本発明の実施の形態に係る透明な歯型・歯茎モデルを着色料で着色するためには、レジンの粉末と液体を混和する前に、粉末に指定色の顔料の着色料を混入するか、又は液体に染料の着色料を混合して着色することが好ましいことが分かった。
このように、粉末に混入するのではなく、液体に着色料を混合して攪拌すると、レジンの重合前に、色調、色彩等の色具合がある程度確認でき、最終的に完成した模型の参考になるという効果が得られるため、好適である。
図11を参照して説明すると、図11(a)は、混合用の皿にアクリルレジンの液体を入れる際の写真である。図11(b)は、この液体に、着色料を入れて着色した際の写真である。このように均一に着色することが可能である。
また、この着色料としては、夜光性・蓄光性をもった着色料を使用することができる。たとえば、ネイルアート等で使用される株式会社クラチ製のピカエース(登録商標)、蓄光性トワイライト&ホワイトマジック等の長残光性の蓄光顔料を用いることができる。この顔料のように、放射線物質および有害物質を含んでいない着色料を用いることで、身体に安全であり、長期に使用することができる歯型・歯茎モデルを提供することができる。
さらに、このような夜光性・蓄光性のある着色料を使用すると、太陽光・電灯光の照射により、光の吸収−蓄積−発光を何回も繰り返すことができ、暗闇でも視認しやすい歯型・歯茎モデルを製造することができる。
また、この夜光性・蓄光性のある着色料としては様々な色のものがあるが、夜光ピンクと黄色の着色料を用いると、視認性を高めるために特に好適である。
さらに、ラメ等の装飾物混入の希望がある場合、ラメをレジンの液体に混合するのは好ましくないことが分かった。
実際に、爪の装飾で用いられる既存のマニキュアをレジンの液体に混合したところ、マニキュアの着色溶剤はきれいに混合されるが、ラメは沈殿する結果となった。
すなわち、本発明の実施の形態に係る透明な歯型・歯茎モデルにおいては、ラメ等の固形物は事前に粉末に均一に混入するのが好適である。
この粉末の仕方としては、ボウルに粉末を注いで、その後にラメを混入する方法と、袋に粉末を入れた後にラメを入れて混合する方法がある。どちらの方法を用いてもラメを均等に混合できる。
図12と図13を参照してこのラメの混入について説明する。
図12は、ボウルでアクリルレジンの粉末とラメを混合する際の図である。図12(a)は、ボウルに無色の粉末を計量して入れた際の写真である。図12(b)は、このボウルにラメを入れた際の写真である。これをよく振り混ぜてラメを均等に混合する。図12(c)は、混合した状態を示す写真である。さらに、図12(d)は、これを着色された液体の入った混合用の皿に注ぎ入れた際の写真である。
図13は、袋によりアクリルレジンとラメを混合する際の図である。図13(a)は、ジップロック(登録商標)のような一時的に閉じられる袋(透明なチャック付きの合成樹脂製の袋)に、アクリルレジンの粉末を入れた際の写真である。図13(b)は、この袋にさらにラメを入れた際の写真である。図13(c)は、よく振り混ぜてラメが均等に混合された際の写真である。図13(d)は、これを着色された液体の入った混合用の皿に入れた際の写真である。
なお、この透明なレジンは、半透明又は透明度にグラデーションのあるものを用いることもできる。さらに、複数の色のレジンの粒を混合したり、一部不透明なレジンを混入させたり、複数の色でマーブル状にする等、様々な美的外観を高める工夫を行うこともできる。
〔気泡の防止方法の開発〕
義歯作製時に、アクリルレジンは、充填されたフラスコを加熱して加圧することで重合する。
重合した後に、レジン内部あるいは表面に気泡があると、外観や強度に大きく影響を与える。そのため、レジンの混和時と重合時に、気泡の発生を防ぐことが非常に重要である。
この気泡の発生を防ぐため、近年、各メーカーから水を使用しない乾式加圧装置、マイクウエーブ波を用いた装置等、重合方法の異なる機器類が開発され、販売されている。これらの装置や機器を使用することで、内部気泡を少なくすることが可能である。
しかしながら、これらの装置や機器は高価なため、現在でも、お湯で煮て加熱・加圧する湿式加圧法が広く用いられている。
ここで、従来の歯型モデルや義歯は、平坦な形状であり、不透明であった。このため、気泡が「抜け」やすかった。また不透明であるため、多少の気泡が内部に生じても外観的には、それほど問題は生じなかった。
しかしながら、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、透明であるため、内部に気泡が生じると外観を大きく損なう。
さらに、歯型・歯茎モデルは、義歯のように平坦な形態ではなく、歯茎の部分まで含めて一塊となっているため、気泡が内部に残りやすい(「抜け」にくい)という問題があった。
すなわち、レジンの硬化は表面より開始されるため、レジンの量が多い場合に、中心部の最肉厚部で内部気泡を生じていた。
このため、義歯用のレジンを用いて気泡の生じにくい一塊の歯型・歯茎モデルを作製するという目的を、本発明の発明者は鋭意研究と実験を行い、気泡の発生防止方法を開発するに至った。
この、本発明の気泡の発生防止方法により、高価な装置や機器を用いない湿式加圧方で、一塊の歯型・歯茎モデルを製造することが可能となる。
以下で、本発明の発明者が検討した、内部気泡発生原因毎の対応策を含む気泡の発生防止方法について詳しく説明する。
〔気泡の発生原因と防止方法〕
(1)レジンの粉末と液体の混合時の空気の混入
レジンの液体にレジンの粉末を混入させる際には、密閉できる容器を使用し、バイブレーターで振動させながら少量ずつ加える。混入終了後、さらに軽く振動を与えて十分な脱泡を行い、餅状になるまで空気が入らないようにしっかり蓋をしておく。
図14を参照して説明すると、図14(a)は、着色したアクリルレジンの液体と、ラメを混合した粉末とを混入して混合した際のレジン80の写真である。図14(b)は、十分な脱泡を行ったレジン80に、蓋を被せる際の写真である。ここで空気が入り込まないように、そっと蓋を被せる必要がある。図14(c)は、実際に空気が入らないように蓋をした際の写真である。この状態で室温で放置すると、レジン80の液体と粉末がなじんで餅状の硬さになってくる。
ここで、餅状になったレジン80を透明なチャック付きのビニール袋に入れ替え、チャックの端に掃除機の細いノズルを入れ真空パックのような要領で3分間、吸引する。
図15を参照して説明すると、図15(a)は、上述の餅状になったレジン80を取りだした際の写真である。図15(b)は、透明なチャック付きのビニール袋にレジン80を入れた際の図である。図15(c)は、実際にチャックの端に掃除機のノズルを入れた際の写真である。
吸引中は、餅状のレジン80に対して、力をかけずに指等でゆっくり圧力をかける必要がある。図15(d)は、圧力をかけている様子の写真である。
このようにすることにより、レジン80の粉末と液体の混合時に、空気の混入を防ぐことができる。
なお、餅状のレジン80を透明なビニール袋に入れ替える際や、フラスコにレジン80を充填する際に、絶対に、素手でレジン80に触れないように気をつけなければならない。これは、手嘗、手指の油分の混入は、硬化後のレジン80の透明度に大きく影響を及ぼすためである。
(2)フラスコへのレジン充填時の空気の混入
上述のように充填に当たってはビニール手袋を装着したり、ポリエチレンフィルムを介して直接触れずに餅状のレジン80を充填する。
ここで、従来の義歯の場合、歯のところはレジン製の人工歯が使用されており、歯の部分への充填はない。すなわち、レジンを充填するのは、顎あての床の部分だけである。
この顎あての床の部分は、多少、曲線形態はしているが平坦な形状の約2〜3ミリの厚さである。よって、慎重に充填し、加圧することで気泡の混入は防止できる。
従来技術1の歯型モデルの場合は、歯については乳歯そのものを用いるため、餅状のレジンを歯の部分に充填する必要ない。
しかしながら、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの場合は、歯と歯茎の部分を一体形成するために、一塊のレジンの塊となる。すなわち、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、従来の義歯と比べて、レジンの量が約10倍ある。
このため、従来の充填方法では、気泡の混入を防止することは非常に難しかった。
そこで、本発明の発明者は鋭意工夫を凝らし実験を行ったところ、以下のような方法を開発するに至った。
まず、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの場合は、歯の部分はかなり複雑な形態なため、多量の餅状のレジン80を一度に充填すると、気泡の原因となる。
このため、餅状のレジン80を小分けにして、よく圧接しながら、少量ずつ押し込むという操作を行う。
図16を参照して、この押し込む操作について説明する。
図16(a)は、実際に餅状のレジン80を小さな塊として取り出した際の写真である。この塊の大きさは、歯を数本充填できる程度であることが好適である。図16(b)は、実際に、歯の部分に押し込んで充填している際の写真である。図16(c)は、さらに別の塊を、歯の部分に押し込んでいる際の写真である。図16(d)は、このようにして、歯の部分のすべての充填が終わった際の写真である。この後、歯茎の部分を充填する際には、より大きな餅状のレジン80の塊を用いて充填することも可能である。
この押し込んで充填してゆくことで、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、歯の部分と歯茎の部分を同じ樹脂で一体形成できるという効果が得られる。
次に、全て充填した後に、油圧プレス機で充分に加圧する。
ここで、従来の義歯では、通常、35kg/cm2で60秒、加圧する。
しかし本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、35kg/cm2で、最低5分、加圧する。なお、加圧力35kg/cm2以上はフラスコ内の石膏の破壊の原因になるため、加圧力は35kg/cm2を維持する。
このように、加圧する際の時間を長くすることで、フラスコへのレジン80の充填時の空気の混入を防止することができる。
(3)重合時の気泡発生
レジンの重合方法については、従来から行われてきた湿式加圧法では、気泡混入防止や義歯の生体への適合等について、様々な手法がある程度、確立されている。
従来の義歯の重合は、65〜70℃の熱水中に金属フラスコを直接入れ、60〜90分係留し、続いて100℃の沸騰水中で60分間、加熱する方法が、重合時間が比較的短いため、一般的に利用されている。
また、必ずしも沸騰水中に入れなくても、低温で長時間温成すれば重合させることができる。よって、重合時間はかなりかかるが、70℃の熱水中に24時間、あるいは75度の熱水中に9時間係留させる、低温長時間重合を行う方法もある。この方法の場合でも、沸騰水中で加熱するのと仕上がりは変化ない。
なお、室温で重合させる特殊な歯科用レジンも販売されているが、加圧・加熱重合するレジンよりも耐久性が劣り、さらに取り扱いが難しいため、一般的ではない。
しかしながら、上述したように、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、レジン80の量がかなり多いため、従来のように、沸騰水に入れたり、従来の低温長時間重合を行ったりしても、充分重合しないという問題があった。
そこで、本発明の発明者は鋭意実験と研究を行ったところ、以下のような方法を開発した。
本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、100℃での加熱は、気泡の発生することがあるため、行わない。
このため、従来の低温長時間重合よりも長く、65〜75℃で最低48〜56時間程度は重合する必要がある。70℃で48時間重合する方法が好適である。
なお、温度を65℃程度まで下げた場合は、56時間程度重合する必要がある。逆に75℃にした場合は、48時間程度の重合で十分である。
〔冷却方法の開発〕
重合後、従来の義歯では、温水から出して30分室温に放置し、その後流水中に15分入れることで冷却するという冷却方法を行っていた。
しかしながら、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルにおいては、上述のように歯科用レジンの量が多いため、急激に冷却すると、レジン80に歪みがかかってクラック等を生じる。このために、ゆっくりと冷却する必要がある。
本発明者が鋭意実験と研究を重ねたところ、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルでは、70℃で48時間重合した後、そのまま水浴中で一晩放置して自然放冷させるのが好適であることを見いだした。
以上のように材質や製造工程上の構成することで、気泡の混入を防ぎ、耐久性と美的外観を備えた歯型・歯茎モデルを作製することができる。
また、歯科用のアクリルレジンを用いて、水を使用しない乾式加圧装置、マイクウエーブ波を用いた装置等の高価な装置・機器類を用いずに、歯科医や歯科技工士が、手慣れた湿式加熱装置でも、気泡の生成を少なくした歯型・歯茎モデルを作製することが可能になった。
(ステップS108)
次に、ステップS108にて、レジン80の取り出し処理を行う。
図17を参照して説明すると、このレジン80の取り出し処理は、重合後に冷却されたレジン80を金属フラスコから石膏ごと取り出し、次に石膏を割って取り出す処理である。
レジン80を重合、放冷し、フラスコを外し、石膏内から重合されたレジンを取り出すときは、レジン80を損傷させないように慎重に行う。
この金属フラスコから二次石膏70を取り出す際の様子を、図17(a)に示す。次に、二次石膏70に、のこぎりで切り目を入れている際の様子を、図17(b)に示す。さらに、切り目に沿って石膏を割って取り出す際の様子を図17(c)で示す。
(ステップS109)
次に、ステップS109において、研磨・コーティング処理を行う。
図18を参照して説明すると、まず、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、上述のレジン80の取り出し処理の後、従来の義歯と同様に研磨をして磨き上げることができる。すなわち、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、歯科用のレジンを用いているために、歯科用に目の粗さ等を調整した研磨器具を用い、歯科医や歯科技工士が特に経験を必要とせずに研磨できる。このレジン80の研磨について、図18(a)に示す。
最後に、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、表面硬化剤でコーティング処理を施し、完成する。歯型・歯茎モデルは、義歯のように口の中に入れるわけではないが、素手で触るため、皮膚炎等の可能性もある未重合モノマーが100%残留していないとはいい切れないので、コーティング処理を行うのが好適なためである。このコーティング処理で加熱する様子を、図18(b)に示す。
これにより、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルが完成する。
以上のように構成することで、以下のような特徴を得ることが可能になる。
まず、従来技術1の歯型モデルは、一次印象の印象材に乳歯を固定し、さらに歯茎台の石膏または合成樹脂(室内硬化型の樹脂)を流し込むだけという、という一体形成ではない構成をとっている。
すなわち、一次印象から石膏模型を製造するものと変わらない構成のため、歯の部分は丈夫なものの、それ以外の石膏や室内硬化型の樹脂の歯茎台の部分は耐久性が劣るという問題点があった。
加えて、従来技術1の歯型モデルの歯茎台に樹脂を用いる場合も、一次印象にそのまま室温で硬化する樹脂を流し込むと、義歯のような歯科用レジンを用いて加圧・加熱して重合させる場合に比べて耐久性が劣り、さらに内部に気泡が発生しやすいという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、歯科用レジンを使っており、義歯と同様の耐久性があり、さらに緻密に歯型と歯茎の形状を再現することができる。
さらに、圧力と熱の加え方に工夫をしているために、気泡が入りにくい歯型・歯茎モデルを提供することができる。
従来技術1の歯型モデルは、実際にモデル作製の依頼者の実際の乳歯を用いているために、見た目が本物とあまり変わらず、しかも精密であるため、医師が使用する人体模型のような生々しさがあるという問題があった。この生々しさは、一般的には忌避される性質のものであり、よって、常に居間、自室、寝室、洗面所、浴室等に継続的に飾っておいて、歯の健康についての考える機会を提供するという目的に用いることは難しかった。
このため、従来技術1の歯型モデルは、抜けた乳歯の記念として箱にしまっておいて、特別な日に開けて眺めるといった用途にしか用いられなかったと考えられる。しかも、従来技術1の歯型モデルは、乳歯を失った大人では製造することができないという問題がある。
これに対して、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、単に、モデル作製の依頼者固有の歯と歯茎の本来の色調を再現したオリジナル模型ではなく、実際の歯とは違う色合いの透明樹脂を用いて、美的外観を高めた歯型・歯茎モデルである。
この歯型・歯茎モデルは、透明であるため、従来の歯型のように「生々しさ」が軽減されるだけでなく、視覚的な面白さがあり、さらに、依頼者の希望により、染色し、ラメ等を入れることが可能である。これにより、より心理的な親和性である「ファッション性」を高めることができる。すなわち、プリティ(親しみがわく)歯型・歯茎モデル、すなわち「プリティモデル」として用いることができる。
よって、常に居間、自室、寝室、洗面所、浴室等に飾っておくことができる。
また、従来技術1の歯型モデルは、特に、石膏モデルの場合は、耐久性がなく壊れやすいという問題があり、また、湿気を吸い込むために、浴室や洗面所に飾ることは難しかった。さらに、通常の室内硬化型の樹脂は、水分に常に曝される環境では脆くなるという問題があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルで使用している歯科用レジンは、常に湿度に曝されている口腔内で使用されることを想定しているため、浴室や洗面所といった、歯磨き時に常に視線に曝される場所に置くことができる。
よって、鏡に映して自らの歯や歯茎の状態をモデルと比較することで、虫歯や歯茎の腫れのような異常を早期に発見することができる。
これらの特徴により、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、依頼者自身の歯や歯茎に対する健康意識をより高め、健康維持・増進させることが可能になるという効果が得られる。
また、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、透明であるため、夜光性・蓄光性の染色剤を使用した場合に内部まで光らせることができる。
このため、複雑な造形をしている歯茎と歯の接合部位等についても、視認性が高くなるという効果が得られる。これは、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、義歯に準じた緻密な造形を写し取ることができるため、特に歯周ポケット等の微細な箇所を視認する際に有効である。
また、夜光性・蓄光性により、浴室等の直接光が差し込まない箇所や暗い場所においても、はっきりと歯型・歯茎モデルを視認することができるという効果が得られる。
また、この夜光性・蓄光性により、歯型・歯茎モデルを鑑賞するための注意を惹くという効果が得られる。これにより、歯型・歯茎モデルを見て、歯と歯茎の健康を考える頻度を上げることが可能になる。
また、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、歯科用のレジンを使っており、義歯と同様な精度で歯型・歯茎モデルを製造できるだけでなく、このレジンに慣れ親しんだ歯科医や歯科技工士が容易に製造可能であるという効果が得られる。たとえば、義歯と加工後に同様のステップで研磨することができる。
加えて、歯科用のレジンを用いているため、耐久性・安全性にも優れる。
また、近年、高齢化の進展とともに、歯周病が増えているという問題がある。この歯周病は、40代では80%以上の人が罹患しており、いわば「国民病」という状態になっている。この歯周病は、中高年者が歯を失う最大の原因になっている。また、歯周病は、糖尿病、心臓関係の疾患に関わっていることが分かっている。
このため、歯茎の健康意識を高めることが、ますます重要になっている。
しかしながら、従来の義歯の作製では、歯茎の形態が完全に再現されるようにしていない。
このため、歯科用レジンを用いて、歯と歯茎を一体形成するような歯型・歯茎モデルを作成することはできなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルでは、一次印象モデルを覆うトレーを用いて二次印象を採取し、加熱・加圧方法を工夫することにより、従来の義歯の10倍もの歯科用レジンを用いて、歯茎まで再現する歯型・歯茎モデルを製造することが可能となった。
よって、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの製造方法により、従来の義歯のように歯(と歯茎の一部)だけではなく、歯茎の形状まで再現した歯型・歯茎モデルを提供することができる。
これにより、歯周病に対する意識を高める、耐久性の高い歯型・歯茎モデルを提供することができる。
また、この歯型・歯茎モデルは緻密であるため、モデルを作製した時点の歯茎の状態と、現在の歯茎の状態を比較することができる。たとえば、歯周病で歯茎が腫れていたり、歯茎が後退して歯周ポケットができていること等について、日頃から眺めていると気づきやすいという効果が得られる。
よって、歯茎の健康増進に役立つ歯型・歯茎モデルを提供することができる。
なお、本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルは、義歯と同程度の緻密な造形が得られる場合、上述したものとは異なる製造方法を用いて製造することもできる。例えば、一次印象採取後、この一次印象の凹凸と3次元形状をレーザ等で測定して、3Dプリンタや光造形装置等で製造することも可能である。同様に二次印象を採取した後に、この二次印象から石膏模型を製造せずに、3次元形状を測定して製造することもできる。この場合でも、歯型・歯茎モデルは数十年に渡って使用する可能性があるため、義歯と同程度の耐久性があることが望ましい。
また、上述の印象や印象剤は、直接型を取るだけではなく、レントゲン、CTスキャン、MRI、超音波撮像等により、緻密な3次元画像を作成して作製することも可能である。この場合、歯だけではなく歯茎の部分についても画像を作成する必要がある。
また、レジンについても、歯科用のレジンと同程度の安全性・耐久性・耐水性のあるレジンや、透明なセラミックスを用いることもできる。
また、アモルファス金属やジルコニア等の透明な金属、水晶、強化ガラス等を用いることも可能である。この場合は、これらの素材に準じた製造方法(NC工作機による加工、レーザによる削りだし)等を用いることができる。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの写真である。 本発明の実施の形態に係る歯型・歯茎モデルの製造方法のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る一次印象採取を示す図である。 本発明の実施の形態に係る一次印象採取の石膏模型を示す図である。 本発明の実施の形態に係る二次印象採取を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワックス模型作製を示す図である。 本発明の実施の形態に係る石膏埋没を示す図である。 本発明の実施の形態に係る上下階盆を示す図である。 本発明の実施の形態に係るワックス模型洗浄を示す図である。 本発明の実施の形態に係るレジン充填を示す図である。 本発明の実施の形態に係るレジン液体に染色剤を混入する際の写真である。 本発明の実施の形態に係るレジン粉末とラメをボウルで混合する際の写真である。 本発明の実施の形態に係るレジン粉末とラメを袋で混合する際の写真である。 本発明の実施の形態に係る混合したレジン液体と粉末に蓋をする際の写真である。 本発明の実施の形態に係るレジンの粉末と液体の混合時の空気混入を防ぐ際の吸引の写真である。 本発明の実施の形態に係る餅状レジンを充填する際の写真である。 本発明の実施の形態に係るレジン取り出しを示す図である。 本発明の実施の形態に係る研磨・コーティングを示す図である。
符号の説明
1a、1b、1c、1d 歯型・歯茎モデル
30 一次印象用トレー
35、55 印象材
45 石膏模型
50 二次印象用トレー
60 ワックス模型
70 二次石膏
80 レジン

Claims (10)

  1. 歯と歯茎の形状の一次印象を採取し、
    前記一次印象を基に、前記歯と歯茎の部分についてレジンで一体形成する
    ことを特徴とする歯型・歯茎モデルの製造方法。
  2. 前記一次印象から更に一次印象模型を作製し、
    前記一次印象模型から二次印象を採取し、
    前記二次印象を用いて、前記歯と歯茎の部分について前記レジンで一体形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  3. 前記レジンは、歯科用レジンであり、透明である
    ことを特徴とする請求項2に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  4. 前記レジンに着色料を混入し、
    前記着色料は、顔料の場合は前記レジンの固体に、染料の場合は前記レジンの液体に混入する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  5. 前記レジンにラメを混入し、
    前記ラメは、前記レジンの固体に混入する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  6. 前記二次印象にワックスを流し込んでワックス模型を作製し、
    金属フラスコに、一次石膏を流し込んで前記ワックス模型が沈み込まない程度に硬化させ、
    前記ワックス模型を前記一次石膏の上に置き、
    二次石膏を流し込んで前記ワックス模型を埋没する
    ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  7. 前記ワックス模型を埋没して硬化させた後に流蝋して作製した前記二次石膏の石膏模型に前記レジンを充填し、
    35kg/cm2で、最低5分加圧し、
    湿式加圧により65℃〜85℃で36〜56時間重合し、
    水浴中で12時間程度放置して自然放冷する
    ことを特徴とする請求項6に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  8. 前記着色料は、夜行性及び/又は蓄光性であることを特徴とする請求項4に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法により製造される
    ことを特徴とする歯型・歯茎モデル。
  10. 請求項2乃至8のいずれか1項に記載の歯型・歯茎モデルの製造方法で用いる、一次印象模型の基底面の全てを覆う二次印象採取用トレー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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