JP2009189072A - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】登坂時にモータからアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときにモータから出力されるトルクを減増する制御が行なわれている場合に、当該車両の運転者や後方車両の乗員などに違和感を与えるのを抑制する。
【解決手段】停止時制御実行フラグFが値1でありモータから出力されるトルクを減増するトルク減増制御の実行が継続されて車両が後退した後に後退が抑制されて車両が停止する動作が繰り返されているときに(ステップS300)、こうしたトルク減増制御の継続時間tcが所定時間tref1以上となったときにはトルク減増制御を実行中であることをモニタ62に表示する(ステップS330,S340)。これにより、運転者にトルク減増制御を実行中であることを認識させることができるから、運転者に違和感を与えるを抑制することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、モータからの動力で走行可能な車両において、モータが高温のときにモータ出力を制限するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、登坂時にモータの温度がモータ出力を制限する直前の温度に至ったときには、モータへの電力供給を停止してモータの駆動を停止することによりモータの保護を図っている。
特開2006−335216号公報
上述の車両では、モータの駆動を停止することによりモータの温度上昇を抑制してモータの保護を図っているが、モータへの電力供給を停止せずに可能な限りモータを駆動させながらモータの温度上昇を抑制したい場合がある。例えば、登坂時にモータから運転者のアクセル操作量に基づくトルクを出力しても停止しているときには、モータの回転数が値0でありモータの一相に電流が集中するため、モータからのトルクを減少させて意図的に車両を後退させて電流が集中している状態を解消させた後にモータからのトルクを増加させて車両の後退を抑制して車両を前進させようとするトルク減増制御が実行される。こうしたトルク減増制御は、モータからのトルクを増加させても車両が前進しない場合には継続して実行されるが、トルク減増制御が継続されると車両が後退した後に後退が抑制されて前進しようとする動作を繰り返すことになる。こうした車両の挙動は、車両の運転者に違和感を与えてしまうし、登坂路における通常の車両の挙動と異なるため後方車両の乗員にも違和感を与えてしまう。
本発明の車両およびその制御方法は、登坂時に電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときには電動機から出力されるトルクが減少するよう電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は電動機から出力されるトルクが増加するよう電動機を制御する停止時トルク減増制御が行なわれているときに当該車両の運転者や後方車両の乗員などに違和感を与えるのを抑制することを主目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
車軸に動力を出力可能な電動機と、登坂時に前記電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときには前記電動機から出力されるトルクが減少するよう前記電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は前記電動機から出力されるトルクが増加するよう前記電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行する電動機制御手段と、を備える車両であって、
前記停止時トルク減増制御の実行を報知可能な報知手段と、
前記電動機制御手段による前記トルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに、前記停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう前記報知手段を制御する報知制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、登坂時に電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときには電動機から出力されるトルクが減少するよう電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は電動機から出力されるトルクが増加するよう電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行し、停止時トルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう報知手段を制御する。これにより、停止時トルク減増制御の実行を報知することができ、当該車両の運転者や後方車両の乗員などに違和感を与えるのを抑制することができる。ここで、「所定の後退」には、電動機の回転数が電動機の各相コイルのうちの特定の相に電流が集中している状態が解消される程度の後退などが含まれる。
こうした本発明の車両において、前記報知手段は、登坂できない旨も報知可能な手段であり、前記報知制御手段は、前記停止時トルク減増制御が第1の所定時間継続して実行されたときに前記停止時トルク減増制御が実行中である旨が報知されるよう前記報知手段を制御し、前記停止時トルク減増制御が前記第1の所定時間より長い第2の所定時間継続して実行されたときには登坂できない旨が報知されるよう前記報知手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、停止時トルク減増制御の実行についてより詳細に報知することができ、当該車両の運転者や後方車両の乗員などに違和感を与えるのをより抑制することができる。
また、本発明の車両において、前記報知手段は、前記停止時トルク減増制御の実行を表示出力および/または音声出力により報知する手段であるものとすることもできる。こうすれば、より適正に停止時トルク減増制御の実行を報知することができる。
本発明の車両の制御方法は、
車軸に動力を出力可能な電動機と、所定の情報を報知可能な報知手段と、を備える車両において、登坂時に前記電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても前記車両が略停止しているときには前記電動機から出力されるトルクが減少するよう前記電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は前記電動機から出力されるトルクが増加するよう前記電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行する車両の制御方法であって、
前記停止時トルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに前記停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう前記報知手段を制御する、
ことを特徴とすることを要旨とする。
この本発明の車両の制御方法では、登坂時に電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときには電動機から出力されるトルクが減少するよう電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は電動機から出力されるトルクが増加するよう電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行し、停止時トルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう報知手段を制御する。これにより、停止時トルク減増制御の実行を報知することができ、当該車両の運転者や後方車両の乗員などに違和感を与えるのを抑制することができる。ここで、「所定の後退」には、電動機の回転数が電動機の各相コイルのうちの特定の相に電流が集中している状態が解消される程度の後退などが含まれる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、駆動輪30a,30bにデファレンシャルギヤ31を介して連結された駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22と、モータ22を駆動するインバータ24を介してモータ22と電力のやりとりを行なうバッテリ26と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット40とを備える。
モータ22は、外周面に永久磁石が貼り付けられたロータと、三相コイルが巻回されたステータとを備えるPM型の同期発電電動機として構成されている。インバータ24は、6つのスイッチング素子により構成されており、バッテリ26から供給される直流電力を擬似的な三相交流電力に変換してモータ22に供給する。
電子制御ユニット40は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU42の他に処理プログラムを記憶するROM44と、データを一時的に記憶するRAM46と、図示しない入出力ポートを備える。電子制御ユニット40には、モータ22の回転位置を検出する回転位置検出センサ23からの回転位置θmやバッテリ26の温度を検出する図示しない温度センサからのバッテリ温度,イグニッションスイッチ50からのイグニッション信号,シフトレバー51の操作位置を検出するシフトポジションセンサ52からのシフトポジションSP,アクセルペダル53の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ54からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル55の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ56からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ58からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。電子制御ユニット40からは、モータ22を駆動制御するためのインバータ24のスイッチング素子へのスイッチング制御信号や乗員室内に設置され乗員室内に音声を出力するためのスピーカ60への音声信号,運転席近傍に設置され車両に関する情報を視認可能に表示するモニタ62への表示信号,車体の前面および後面の車外から視認可能な位置に設置され点滅灯として構成されたハザードランプ64への点灯信号などが出力ポートを介して出力されている。
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に、登坂路で車両から出力される前進用の駆動力と車両に作用する登坂路をずり下がる力とが釣り合ったときや路面の穴に駆動輪30a,30bがはまっているときなど登坂時にモータ22からトルクを出力しているにも拘わらず車両が略停止している際の動作について説明する。最初に、登坂時に車両が略停止している際のモータ22の駆動制御について図2の登坂停止時モータ制御ルーチンを用いて説明し、続いて、登坂停止時モータ制御ルーチンと並行して実行される車両に関する情報を報知する報知制御について図4の報知制御ルーチンを用いて説明する。図2は、電子制御ユニット40により実行される登坂停止時モータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、登坂時にモータ22からアクセル開度Accと車速Vとに基づくトルクを出力しているにも拘わらず車両が略停止しており、且つ、モータ22の各相コイルのうち特定の相に所定値以上の電流が所定時間以上流れていてモータ22やインバータ24が高温に至る可能性が高いときに実行されるものとする。ここで、「車両が略停止している」とは、車速センサ58からの車速Vの絶対値が車両がほぼ停止していると判断可能な所定車速(例えば、2km/時)以下である状態をいうものとした。
登坂停止時モータ制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、本ルーチンが実行されていることを示す停止時制御実行フラグFに値1を設定する処理を実行し(ステップS100)、続いて、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速Vを入力し(ステップS110)、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動軸32に出力すべき要求トルクTd*を設定する処理を実行する(ステップS120)。要求トルクTd*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTd*を導出して設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。
要求トルクTd*を設定したら、続いて、既に設定されているモータ22のトルク指令Tm*(前回Tm*)からトルク変化量Rを減じたものと要求トルクTd*から所定トルクT1を減じたものとのうち大きいものをトルク指令Tm*として設定する(ステップS130)。ここで、トルク変化量Rや所定トルクT1は、トルクの変化によって運転者が違和感を感じ過ぎない変化量やトルクとして経験的に設定するものとした。また、本ルーチンの実行が開始されてステップS130の処理が最初に実行されたときには、前回Tm*として要求トルクTd*が設定されているものとした。こうしてトルク指令Tm*を設定すると、設定したトルク指令Tm*でモータ22が駆動されるようインバータ24のスイッチング素子のスイッチング制御を実行し(ステップS140)、モータ22の回転数Nmを入力して(ステップS150)、モータ22の回転数Nmの絶対値がモータ22の各相コイルのうちの特定の相に電流が集中している状態ではないと判断可能な回転数の下限値としての所定回転数Nref以上となるか(ステップS160)、トルク指令Tm*が要求トルクTd*から所定トルクT1を減じたトルクに至るまで(ステップS170)、ステップS130〜S170の処理を繰り返す。ステップS150の処理で、モータ22の回転数Nmは、モータ22の回転位置を検出する回転位置検出センサ23からの回転位置θmに基づいて演算したものを用いるものとした。こうした制御により、モータ22から出力されるトルクが要求トルクTd*から所定トルクT1を減じたトルクに向かって徐々に減少するから、車両が坂路を後退することになる。このように車両を後退させるのは、以下の理由に基づく。登坂時にモータ22からアクセル開度Accに基づくトルクを出力しているにも拘わらず車両が略停止しているときには、モータ22の各相コイルの特定の相に電流が集中する場合が考えられ、こうした電流の集中が継続するとインバータ24やモータ22が高温に至る可能性があり、車両を後退させてモータ22の回転数を所定回転数Nref以上としてモータ22の特定の相に電流が集中する状態を解消することにより、モータ22やインバータ24が高温に至るのを抑制するためである。
モータMG2からのトルクが徐々に減少して、モータ22の回転数Nmの絶対値が所定回転数Nref以上となったり(ステップS160)、トルク指令Tm*が要求トルクTd*から所定トルクT1を減じたトルクになったときには(ステップS170)、モータ22の特定の相に電流が集中する状態が解消されたり、モータ22から出力されるトルクをこれ以上減少させるべきではないと判断して、続いて、既に設定されているモータ22のトルク指令Tm*(前回Tm*)にトルク変化量Rを加えたものと要求トルクTd*に所定トルクT1を加えたものとのうち小さいものをトルク指令Tm*として設定して(ステップS180)、ステップS140,S150の処理と同様に設定したトルク指令Tm*でモータ22を駆動すると共にモータ22の回転数Nmを入力し(ステップS190,S200)、モータ22の回転数Nmの絶対値が所定回転数Nref以上となるか、トルク指令Tm*が要求トルクTd*に所定トルクT1を加えたトルクに至るまで(ステップS210,S200)、ステップS180〜S220の処理を繰り返す。こうした制御により、モータ22から出力されるトルクが徐々に増加するから、車両の後退が抑制されることになる。
モータMG2からのトルクが徐々に増加して、モータ22の回転数の絶対値が所定回転数Nref以上となったときには、モータ22の特定の相に電流が集中する状態が解消されて車両が坂路を前進し始めたと判断して、停止時制御実行フラグFに値0を設定して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。こうした制御により、モータ22が特定の相に電流が集中する状態に至ってもこうした状態を解消して、車両を発進させることができる。なお、本ルーチンを終了した後は、他の制御、例えば、アクセル開度Accや車速Vに基づく要求トルクTd*をモータ22から出力しながら走行する制御に移行する。
モータMG2からのトルクが徐々に増加してもモータ22の回転数の絶対値が所定回転数Nref未満であり,且つ、トルク指令Tm*が要求トルクTd*に所定トルクT1を加えた値に至っているときには(ステップS210,S220)、再びモータ22の特定の相に電流が集中する電流集中状態になっているがこれ以上モータ22から出力するトルクTm*を増加させるべきではないと判断して、ステップS130の処理に戻り、ステップS130〜S220の処理を実行する。これにより、車両を後退させて一旦モータ22が電流集中状態となっているのが解消されたものの坂路を前進できずに再び電流集中状態となったときには、モータ22から出力されるトルクを要求トルクTd*を中心として所定トルクT1の範囲内で減増させるトルク減増制御を継続して実行する。
続いて、登坂停止時モータ制御ルーチンと並行して実行される車両に関する情報を報知する報知制御について説明する。図4は、電子制御ユニット40により実行される報知制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行されているものとする。
報知制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット40のCPU42は、停止時制御実行フラグFの値を調べる処理を実行する(ステップS300)。停止時制御実行フラグFは、図2に例示した登坂停止時モータ制御ルーチンで設定されたものを用いるものとした。停止時制御実行フラグFの値が0のとき、すなわち、図2に例示した停止時制御ルーチンが実行されていないときには、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が継続されている時間(継続時間)tcが計測されていれば継続時間tcをリセットして(ステップS310)、本ルーチンを終了する。これにより、登坂停止時モータ制御ルーチンが実行されていないときには、継続時間tcがリセットされて、スピーカ60やモニタ62,ハザードランプ64から後述する情報を報知しないことになる。
停止時制御実行フラグFが値1であるとき、すなわち、図2に例示した登坂停止時モータ制御ルーチンが実行されているときには継続時間tcの計測が開始されていない場合には継続時間tcの計測を開始して(ステップS320)、継続時間tcを所定時間tref1や所定時間tref1より長い所定時間tref2と比較する(ステップS330)。ここで、所定時間tref1は、運転者が登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が継続されることにより違和感を覚える否かを判断するための時間であり、例えば、3秒や4秒,5秒などに設定することができる。また、所定時間tref2は、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行により車両が登坂できない状態であるか否かを判断するための時間であり、例えば、30秒,40秒,50秒などに設定することができる。
継続時間tcが所定時間tref1未満であるときには(ステップS330)、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が継続されているが継続時間tcが比較的短いためスピーカ60やモニタ62,ハザードランプ64で情報を報知する必要がないと判断して、本ルーチンを終了する。これにより、スピーカ60やモニタ62,ハザードランプ64から頻繁に情報が報知されることを抑制することができる。
継続時間tcが所定時間tref1以上で所定時間tref2未満であるときには(ステップS330)、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が継続されて継続時間tcが比較的長くなり運転者に違和感を与え始めたと判断して、モニタ62に「モータロックのためトルク減増中です」と表示されるようモニタ62に表示信号を出力する表示制御を実行して(ステップS340)、本ルーチンを終了する。登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が継続されると車両が後退した後に後退が抑制されて停止する動作を繰り返すため、こうした車両の挙動に対して運転者が違和感を覚えることがあるが、モニタ62に上述したメッセージを表示して、登坂停止時モータ制御を実行中であることを表示することにより、こうした車両の挙動が何故おきているかを運転者に認識させることができるから、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。
継続時間tcが所定時間tref2以上であるときには(ステップS330)、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行の継続が長くなり車両が登坂できない可能性が高いことを報知すべきと判断して、スピーカ60から「モータロックのため登坂路を発進できません」と音声が出力されるようスピーカ60に音声信号を出力する音声出力制御を実行すると共に(ステップS350)ハザードランプ64が点滅するようハザードランプ64へ点灯信号を出力する点灯制御を実行して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。登坂停止時モータ制御ルーチンが長く継続して実行されたときには、車両が登坂できない可能性が高い。こうした場合に、車両が登坂できない旨をスピーカ60から音声出力するから、運転者に車両が登坂できないことを認識させることができ、運転者に違和感を与えるのを抑制することができる。また、ハザードランプ64を点灯させるから、後方車両の運転者に車両が走行できな旨を報知することができ、後方車両の乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が所定時間tref1以上継続して実行されると、登坂停止時モータ制御を実行中であることをモニタ62に表示するから、運転者に違和感を与えるを抑制することができる。さらに、登坂停止時モータ制御ルーチンの実行が継続されて、継続時間tcが所定時間tref2以上になったときには車両が登坂できない旨をスピーカ60から音声出力したり、ハザードランプ64を点灯させるから、電気自動車20の運転者や後方車両の乗員に違和感を与えるのを抑制することができる。
実施例の電気自動車20では、所定時間tref1以上で所定時間tref2未満であるときにモニタ62に登坂停止時モータ制御を実行中であることを表示するものとしたが、運転者や後続車両の乗員に登坂停止時モータ制御を実行中であることを報知できれば如何なる方法を用いてもよく、モニタ62への表示に代えてスピーカ60から登坂停止時モータ制御を実行中であることを音声で出力したり、ハザードランプ64を点灯させるものとしてもよい。また、継続時間tcが所定時間tref2以上になったときには車両が走行できない旨をスピーカ60から音声出力したり、ハザードランプ64を点灯させるものとしたが、モニタ62に登坂停止時モータ制御を実行中であることを表示するものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、継続時間tcが所定時間tref2以上になったときには車両が走行できない旨をスピーカ60から音声出力したり、ハザードランプ64を点灯させるものとしたが、こうした制御を行なわないものとしてもよい。
実施例の電気自動車20では、継続時間tcを計測するものとしたが、継続時間tcの計測に代えて、図2の登坂停止時モータ制御ルーチンでトルクを増減した回数を計測するものとしてもよい。この場合において、こうした回数が所定回数N1以上となったときにステップS330の処理を実行し、こうした回転数が所定回数N1より大きい所定回数N2以上となったときにステップS350,S360の処理を実行するのが望ましい。
実施例の電気自動車20では、図2に例示した登坂停止時モータ制御ルーチンは登坂時にモータ22からアクセル開度Accと車速Vとに基づくトルクを出力しているにも拘わらず車両が略停止しており、且つ、モータ22の各相コイルのうち特定の相に所定値以上の電流が所定時間以上流れているときに実行されるものとしたが、登坂停止時モータ制御ルーチンは登坂時にモータ22からアクセル開度Accに基づくトルクを出力しているにも拘わらず車両が略停止しているときに実行されるものであればよく、モータ22の各相コイルのうち特定の相に所定値以上の電流が所定時間以上流れているときに代えて/または加えてモータ22の温度やインバータ24の温度がモータ22やインバータ24が高温に至ると判断可能な所定温度以上のときに登坂停止時モータ制御ルーチンを実行されるものとしたり、こうしたモータ22やインバータ24の温度や電流を考慮せずに登坂時にモータ22からアクセル開度Accと車速Vとに基づくトルクを出力しているにも拘わらず車両が略停止しているときに実行されるものとしたり、車両が停止しているときに実行されるものとしてもよい。
実施例では、駆動軸32に動力を入出力可能なモータ22と、モータ22と電力をやりとりするバッテリ26とを備える電気自動車20について説明したが、モータ22やバッテリ26に加えて、図5の変形例の電気自動車120に例示するように、駆動軸32に遊星歯車機構126を介してエンジン122とモータ124とを接続した電気自動車120に適用するものとしてもよい。また、こうした車両の制御方法の形態であるものとしてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ22が「電動機」に相当し、登坂時にモータ22からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても電気自動車20が略停止しているときには徐々に減少するトルクをモータ22のトルク指令Tm*として設定して設定してトルク指令Tm*でモータ22を制御する図2の登坂停止時モータ制御ルーチンのステップS100〜S170の処理を実行したり、所定の後退が生じた後は要求トルクTd*に向かって徐々に増加するトルクをモータ22のトルク指令Tm*として設定して設定してトルク指令Tm*でモータ22を制御する図2の登坂停止時モータ制御ルーチンのステップS180〜S230の処理を実行する電子制御ユニット40が「電動機制御手段」に相当し、モニタ62が「報知手段」に相当し、継続時間tcが所定時間tref1以上であるときに登坂停止時モータ制御を実行中であることをモニタ62に表示する処理を実行する図4の報知制御ルーチンのステップS300,S320〜S340の処理を実行する電子制御ユニット40が「報知制御手段」に相当する。ここで、「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータ22に限定されるものではなく、誘導電動機など、車軸に動力を出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「電動機制御手段」としては、登坂時にモータ22からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても電気自動車20が略停止しているときには徐々に減少するトルクをモータ22のトルク指令Tm*として設定して設定してトルク指令Tm*でモータ22を制御すると共に所定の後退が生じた後は要求トルクTd*に向かって徐々に増加するトルクをモータ22のトルク指令Tm*として設定して設定してトルク指令Tm*でモータ22を制御するものに限定されるものではなく、登坂時に電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときには電動機から出力されるトルクが減少するよう電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は電動機から出力されるトルクが増加するよう電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行するものであれば如何なるものとしても構わない。「報知手段」としては、モニタ62に限定されるものではなく、スピーカ60やハザードランプ64など、停止時トルク減増制御の実行を報知可能なものであれば如何なるものとしても構わない。「報知制御手段」としては、継続時間tcが所定時間tref1以上であるときに登坂停止時モータ制御を実行中であることをモニタ62に表示する処理を実行するものに限定されるものではなく、電動機制御手段によるトルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに、停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう報知手段を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例の電子制御ユニット40により実行される登坂停止時モータ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 実施例の電子制御ユニット40により実行される報知制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 電気自動車、22 モータ、23 回転位置検出センサ、24 インバータ、26 バッテリ、30a,30b 駆動輪、31 デファレンシャルギヤ、32 駆動軸、40 電子制御ユニット、42 CPU、44 ROM、46 RAM、50 イグニッションスイッチ、51 シフトレバー、52 シフトポジションセンサ、53 アクセルペダル、54 アクセルペダルポジションセンサ、55 ブレーキペダル、56 ブレーキペダルポジションセンサ、58 車速センサ、60 スピーカ、62 モニタ、64 ハザードランプ、122 エンジン、124 モータ、126 遊星歯車機構。

Claims (4)

  1. 車軸に動力を出力可能な電動機と、登坂時に前記電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても車両が略停止しているときには前記電動機から出力されるトルクが減少するよう前記電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は前記電動機から出力されるトルクが増加するよう前記電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行する電動機制御手段と、を備える車両であって、
    前記停止時トルク減増制御の実行を報知可能な報知手段と、
    前記電動機制御手段による前記トルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに、前記停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう前記報知手段を制御する報知制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記報知手段は、登坂できない旨も報知可能な手段であり、
    前記報知制御手段は、前記停止時トルク減増制御が第1の所定時間継続して実行されたときに前記停止時トルク減増制御が実行中である旨が報知されるよう前記報知手段を制御し、前記停止時トルク減増制御が前記第1の所定時間より長い第2の所定時間継続して実行されたときには登坂できない旨が報知されるよう前記報知手段を制御する手段である請求項1記載の車両。
  3. 前記報知手段は、前記停止時トルク減増制御の実行を表示出力および/または音声出力により報知する手段である請求項1または2記載の車両。
  4. 車軸に動力を出力可能な電動機と、所定の情報を報知可能な報知手段と、を備える車両において、登坂時に前記電動機からアクセル操作量に基づくトルクを出力しても前記車両が略停止しているときには前記電動機から出力されるトルクが減少するよう前記電動機を制御すると共に所定の後退が生じた後は前記電動機から出力されるトルクが増加するよう前記電動機を制御する停止時トルク減増制御を実行する車両の制御方法であって、
    前記停止時トルク減増制御が所定時間継続して実行されたときに前記停止時トルク減増制御の実行が報知されるよう前記報知手段を制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
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