JP2009187729A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期にわたって良好な電子伝導性を維持できる集電プレートを備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置されて構成された燃料電池、または複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置された電極・電解質一体化物ユニットが複数積層された燃料電池であって、燃料電池内の隣り合う電極・電解質一体化物同士を電気的に接続するための集電プレート5、6が、良導性金属を有する金属製の基材51と、該基材を被覆する耐食性導電材料層52とで構成されており、正極集電プレートおよび負極集電プレートの少なくとも一方は、前記基材が、電極・電解質一体化物ユニットの電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層51aは耐食性の金属で構成され、他方の層51bは良導性金属で構成されている。
【選択図】図5
【解決手段】複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置されて構成された燃料電池、または複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置された電極・電解質一体化物ユニットが複数積層された燃料電池であって、燃料電池内の隣り合う電極・電解質一体化物同士を電気的に接続するための集電プレート5、6が、良導性金属を有する金属製の基材51と、該基材を被覆する耐食性導電材料層52とで構成されており、正極集電プレートおよび負極集電プレートの少なくとも一方は、前記基材が、電極・電解質一体化物ユニットの電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層51aは耐食性の金属で構成され、他方の層51bは良導性金属で構成されている。
【選択図】図5
Description
本発明は、複数の電極・電解質一体化物を平面的に配置した構成部分を有する燃料電池に関するものである。
近年、パソコン、携帯電話などのコードレス機器の普及に伴い、その電源である電池に対して、更なる小型化、高容量化が要望されている。現在、リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高く、小型軽量化を図り得る電池として実用化されており、ポータブル電源としての需要が増大している。しかし、このリチウムイオン二次電池は、一部のコードレス機器に対して、十分な連続使用時間を保証することができないという問題がある。
前記問題の解決に向けて、例えば固体高分子型燃料電池(PEFC)などの燃料電池の開発が進められている。燃料電池は、燃料および酸素の供給を行なえば、連続的に使用することが可能である。そして、電解質に固体高分子電解質、正極活物質に空気中の酸素、負極活物質に燃料を用いるPEFCは、リチウムイオン二次電池よりもエネルギー密度が高い電池として注目されている。
しかし、従来の燃料電池では、複数の単電池(単セル)を積層して構成しているため、電池全体が嵩高くなってしまう。また、酸素を正極へ、燃料を負極へ、それぞれ流通させて供給しなければならず、そのための補器が必要となる。これらのことから、燃料電池はリチウムイオン電池などの小型二次電池に比べてはるかに大きくなってしまい、小型ポータブル電源として用いるには問題があった。
一方、複数の単セルを平面的に並べ、更に大気の拡散を利用して空気極(正極)への空気の供給を行う構成の平面型燃料電池であれば、ブロアなどの補器による強制的な空気の供給を行わずに済み、電池全体のコンパクト化を図ることができる。
ところで、前記のように単セルを複数備えた燃料電池において、各単セルにより発生した電気は、各単セルを電気的に接続する集電プレート(正極集電プレートおよび負極集電プレート)を通じて燃料電池外部に取り出すことが通常行われている。
例えば、燃料電池が、単セルを積層した構成である場合には、集電プレートにおける各単セル間の電子の流れは集電プレートの厚み方向に生じるが、前記のように、単セルを平面的に並べた構成の燃料電池の場合には、集電プレートにおける各単セル間の電子の流れは、その面方向に生じる。そのため、単セルを平面的に並べた構成の燃料電池においては、集電プレートにおける電子伝導性を高めるには、その厚みを大きくする必要があるが、その結果、燃料電池のコンパクト化が阻害されてしまう。
よって、単セルを平面的に並べた構成の燃料電池において、集電プレートの厚みを小さくしつつ、良好な電子伝導性を確保するには、集電プレートを、電子伝導性の高いAu、Pt、Cu、Niなどを含む金属により構成することが好ましい。しかしながら、Au、Ptなどの貴金属により集電プレートを構成すると、燃料電池の材料コストが増大し、その生産性が損なわれてしまう。一方、燃料電池の集電プレートには高い耐食性が要求されるため、CuやNiなどで構成した集電プレートは使用できない。
前記のような集電プレートの電子伝導性に関する問題を解決する技術として、例えば、特許文献1には、単セル同士の電気的接続を、CuにAuメッキを施した構成のものにより行った燃料電池が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術によっても、燃料電池を長期にわたって使用する場合には、Cuの腐食を抑制することが困難であり、特に電極に接する面の腐食が顕著に生じて、燃料電池の寿命が損なわれてしまう。その理由は明らかではないが、AuメッキのピンホールからのCuの溶出などが原因であると推察され、特に水との接触や酸性雰囲気に曝される電極側の面において、こうした問題が顕著に発生するものと考えられる。
よって、例えば、Auメッキの厚みを極めて大きくすることで、前記のCuの腐食を抑制できる可能性も考えられるが、その場合には、やはりAuによる燃料電池のコスト増大が避けられない。このようなことから、長期にわたって良好な電子伝導性を維持できる集電プレートを備えることで長寿命とした燃料電池を、コストの増大を抑えつつ提供できる技術の開発が求められる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、寿命の長い燃料電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の燃料電池は、酸素を還元する正極、燃料を酸化する負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質膜を有する電極・電解質一体化物を複数備え、それぞれの同一極が同じ向きになるように前記複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置されており、前記複数の電極・電解質一体化物の負極側に配置された負極集電プレート、および正極側に配置された正極集電プレートによって、隣り合う電極・電解質一体化物同士が電気的に直列に接続している燃料電池であって、前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートは、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されており、かつ前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートの少なくとも一方は、その金属製の基材が、電極・電解質一体化物の電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層は耐食性の金属で構成され、他方の層は前記良導性金属で構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の燃料電池の別の態様は、酸素を還元する正極、燃料を酸化する負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質膜を有する電極・電解質一体化物を複数備え、それぞれの同一極が同じ向きになるように前記複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置された電極・電解質一体化物ユニットが複数積層されており、前記複数の電極・電解質一体化物ユニットのそれぞれの負極側に配置された負極集電プレート、および前記複数の電極・電解質一体化物ユニットのそれぞれの正極側に配置された正極集電プレートによって、前記電極・電解質一体化物ユニット内の隣り合う電極・電解質一体化物同士、および前記複数の電極・電解質一体化ユニットの積層により前記積層方向に隣り合う電極・電解質一体化物同士が電気的に直列に接続している燃料電池であって、前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートは、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されており、かつ前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートの少なくとも一方は、その金属製の基材が、前記電極・電解質一体化物ユニットの負極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、負極側の層は耐食性の金属で構成され、負極とは反対側の層は前記良導性金属で構成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、長寿命の燃料電池を提供できる。
以下、図面を用いつつ本発明の燃料電池の詳細を説明する。図1は、本発明の燃料電池の一例を示す断面模式図である。なお、図1は断面図であるが、各構成要素の理解を容易にするために、一部の構成要素については、断面であることを示す斜線を付していない。
図1の燃料電池では、正極拡散層13および正極触媒層14からなる正極と、固体電解質膜15と、負極拡散層17および負極触媒層16からなる負極とが、順次積層されてなる電極・電解質一体化物(MEA)100を3個有しており、これらのMEAが平面的に配置されている。
それぞれのMEA100の正極側には、正極集電プレート5、6、正極絶縁プレート3、および正極パネルプレート1が順次配置されている。また、それぞれのMEA100の負極側には、負極集電プレート7、8、負極絶縁プレート4、および負極パネルプレート2が順次配置されている。
そして、全てのMEA100が、正極パネルプレート1と負極パネルプレート2とに挟持されて一体化している。また、図1では明らかにしていないが、隣り合うMEA100同士は、正極集電プレート5、6と負極集電プレート7、8との電気的接続によって、直列に接続されている。
正極集電プレート5、6、正極絶縁プレート3および正極パネルプレート1には、燃料電池外の酸素を空気として正極に導入するための酸素導入孔が複数設けられている。そして、正極集電プレート5、6の酸素導入孔、正極絶縁プレート3の酸素導入孔、および正極パネルプレート1の酸素導入孔により、正極パネルプレート1の外表面からMEA100の正極拡散層13にまで到達する開口部11が複数形成されており、これら開口部11から、燃料電池外の酸素(空気)が拡散により正極拡散層13に供給される構造となっている。
また、図1の燃料電池では、負極集電プレート7、8、負極絶縁プレート4および負極パネルプレート2には、燃料タンク部10内の燃料を負極に導入するための燃料導入孔が複数設けられている。そして、負極集電プレート7、8の燃料導入孔、負極絶縁プレート4の燃料導入孔、および負極パネルプレート2の燃料導入孔により、負極パネルプレート2の燃料タンク部10側表面からMEA100の負極拡散層17にまで到達する開口部12が複数形成されており、これら開口部12から、燃料タンク部10内の燃料が負極拡散層17に供給される構造となっている。
図1の燃料電池では、正極パネルプレート1と負極パネルプレート2(更には燃料タンク部10)は、間隔を持って配置された固定部により固定されており、前記固定部では、ボルト18とナット19による固定がなされている。図1中、9aおよび9bはシールである。
図1では、MEA100を3個平面的に配置した燃料電池を示しているが、MEAの数は複数、すなわち2以上であればよい。また、平面的に配置するMEAの数は、通常は20程度までである。
図2に、正極パネルプレート1の平面模式図を示す。正極パネルプレート1には、各MEAの正極拡散層の位置に合わせて酸素導入孔11aが設けられており、該酸素導入孔11aは、正極絶縁プレートの酸素導入孔および正極集電プレートの酸素導入孔と共に、前記開口部を形成する。20、20a、20b、20c、20d、20eは正極パネルプレート1と負極パネルプレートとを固定するためのボルトを通すネジ穴であり、正極パネルプレート1と負極パネルプレートとを固定するための固定部となる。
正極パネルプレート1は、MEAの抑え込みの際に、たわみの発生を抑制する観点から、金属製であることが好ましい。また、MEAの抑え込みの際のたわみをより少なくする観点から、正極パネルプレート1を構成する金属は、曲げ試験により求められるヤング率が50000MPa以上であることが好ましい。具体的な金属としては、例えば、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、超合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、ニッケル合金などが挙げられる。なお、本明細書でいう曲げ試験により求められるヤング率とは、両端を支持した板状の試料の中央部に荷重をかけた特に生じたたわみ量を測定して求められる値である。
また、正極パネルプレート1の厚みは、0.5〜3.5mmであることが好ましい。正極パネルプレート1が薄すぎると、MEAの抑え込み時のたわみが大きくなって、MEAの抑え込みの均一性が損なわれることがある。また、正極パネルプレート1が厚すぎると、正極パネルプレート1、正極絶縁プレートおよび正極集電プレートの総厚みが大きくなってしまい、正極への酸素の供給量が低下することがある。
なお、負極パネルプレートには、前記の正極パネルプレートと同じ構成(形状および材質)のものを用いることができる。
図3には、正極集電プレート5、6の平面模式図を示している。図3中、(a)の正極集電プレート5は、図1の燃料電池の左端のMEA100の正極側に配置するための集電プレート(正極端部集電プレート)であり、燃料電池外部と電気的に接続するための正極集電端子部21が設けられている。また、図3中、(b)の正極集電プレート6は、図1の燃料電池の中央および右側のMEA100の正極側に配置するための集電プレートであり、燃料電池の外周部に相当する位置に正極直列接続タブ22が設けられている。この正極直列接続タブ22を、隣に位置するMEAの負極側に配置された負極集電プレートと接触させる(例えば、負極集電プレートに設けられた負極直列接続タブと接触させる)などして電気的に接続することで、各MEAを直列に接続する。
また、図3の正極集電プレート5、6には、MEAの正極拡散層の位置に合わせ、かつ正極パネルプレートの酸素導入孔の位置に合わせて酸素導入孔11bが設けられており、該酸素導入孔11bは、正極パネルプレートの酸素導入孔および正極絶縁プレートの酸素導入孔と共に、前記開口部を形成する。更に、図3の正極集電プレート5、6には、正極パネルプレートの固定部(ネジ穴)の位置に合わせて、固定部20(ネジ穴)が設けられている。
正極集電プレート5における正極集電端子部21としては、特に制限はないが、例えば、図3に示すように、燃料電池と接続する装置などから引き出された外部端子を接続するための孔などが挙げられる。
正極集電プレート6における正極直列接続タブ22は、燃料電池の外周部に相当する位置に1つ設けるだけでもよいが、図3に示すように燃料電池の外周部に相当する位置に2つ設けることが好ましい。1つの正極直列接続タブから接続するよりも、2つのタブから接続する方が、集電プレート間の抵抗が低減されるため、電池の出力をより向上させることができる。
正極集電プレート5、6の厚みは0.2〜3.2mmであることが好ましい。正極集電プレート5、6が薄すぎると、その電子抵抗が大きくなって、電池の出力が低下することがある。また、正極集電プレート5、6が厚すぎると、正極パネルプレート、正極絶縁プレートおよび正極集電プレートの総厚みが大きくなってしまい、正極への酸素の供給量が低下することがある。
図4には、負極集電プレート7、8の平面模式図を示している。図4中、(a)の負極集電プレート7は、図1の燃料電池の左端のMEA100の負極側に配置するための集電プレート(負極端部集電プレート)であり、燃料電池外部と電気的に接続するための負極集電端子部21が設けられている。また、図4中、(b)の負極集電プレート8は、図1の燃料電池の中央および右側のMEA100の負極側に配置するための集電プレートであり、燃料電池の外周部に相当する位置に負極直列接続タブ22が設けられている。
また、図4の負極集電プレート7、8には、MEAの負極拡散層の位置に合わせ、かつ負極パネルプレートの燃料導入孔の位置に合わせて燃料導入孔12bが設けられており、該燃料導入孔12bは、負極パネルプレートの燃料導入孔および負極絶縁プレートの燃料導入孔と共に、MEAの負極拡散層に燃料を供給するための前記開口部を形成する。また、図3の負極集電プレート7、8には、負極パネルプレートの固定部(ネジ穴)の位置に合わせて、固定部20(ネジ穴)が設けられている。
すなわち、図3および図4から明らかなように、負極集電プレートには、正極集電プレートと同じ形状のものを使用することができる。また、負極集電プレートの厚みは、正極集電プレートと同様に、0.2〜3.2mmであることが好ましい。負極集電プレート7、8が薄すぎると、その電子抵抗が大きくなって、電池の出力が低下することがある。また、負極集電プレート7、8が厚すぎると、負極パネルプレート、負極絶縁プレートおよび負極集電プレートの総厚みが大きくなってしまい、負極への燃料の供給量が低下することがある。
本発明の燃料電池では、負極集電プレートおよび正極集電プレートに、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されたものを使用し、更に、負極集電プレートおよび正極集電プレートの少なくとも一方に、その金属製の基材が、MEAの電極面と平行または略平行な2層により構成され、かつ前記2層のうち、電極側の層が耐食性の金属で構成されており、他方の層(電極とは反対側の層)が前記良導性金属で構成されているものを使用する。
前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された正極集電プレート5、6の厚み方向の断面の一部を図5に示す。正極集電プレート5、6は、金属製の基材51と、基材51を被覆する耐食性導電材料層52とで構成されている。そして、金属製の基材51は、MEAの電極面(正極集電プレートの場合、正極面)と平行または略平行な2層51a、51bにより構成されており、このうち、電極側(正極側)の層51aは耐食性の金属で構成され、他方の層51bは良導性金属で構成されている。前記の素材で構成された正極集電プレートを使用することで、隣接するMEA間の電気的接続を良好にしつつ、正極との接触による正極集電プレートの腐食を抑制して、燃料電池の良好な出力特性の確保と長寿命化とを両立できる。また、前記の素材で構成された正極集電プレートであれば、集電プレート本来の役割を主に担う正極側とは反対の層51bを構成する良導性金属に、安価である一方で耐食性が劣るCuなどを使用しても、その腐食を抑制することができるため、燃料電池のコストダウンを図り、その生産性を高めることもできる。
なお、本発明の燃料電池では、正極集電プレートおよび負極集電プレートの一方のみが、図5に示すような前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された集電プレートであってもよく、このような場合でも一定の効果を得ることができるが、正極集電プレートは、負極集電プレートに比べてより高い耐食性が要求されることから、少なくとも正極集電プレートが前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された集電プレートであることが好ましく、正極集電プレートおよび負極集電プレートの両者が、前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された集電プレートであることがより好ましく、この場合には、かかる構成の集電プレートを使用することによる前記の効果がより良好に奏される。
すなわち、負極集電プレートに、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されており、その金属製の基材が、MEAの電極面と平行または略平行な2層により構成され、かつ前記2層のうち、電極(負極)側の層が耐食性の金属で構成されており、他方の層が前記良導性金属で構成されているものを使用した場合にも、隣接するMEA間の電気的接続を良好にしつつ、電極との接触による負極集電プレートの腐食を抑制して、燃料電池の良好な出力特性の確保と長寿命化とを両立できる。また、前記の素材で構成された負極集電プレートであれば、集電プレート本来の役割を主に担う正極とは反対側の層を構成する良導性金属に、安価である一方で耐食性が劣るCuなどを使用しても、その腐食を抑制することができるため、燃料電池のコストダウンを図り、その生産性を高めることもできる。
なお、正極集電プレートおよび負極集電プレートは、良好な電子伝導性を有し、かつ耐酸性の高い素材で構成することが好ましいため、正極集電プレートまたは負極集電プレートを、前記の2層構造の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されたものを使用しない場合には、良導性金属を有する金属製の基材(例えば良導性金属で構成された単層構造の基材)と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されたものを使用する。例えば、図3に示す負極集電プレートに、かかる構成のプレートを使用してもよい。
正極集電プレートおよび負極集電プレートに係る金属製の基材を被覆する層を構成する耐食性導電材料としては、例えば、Au、Pt、Pdおよびそれらの元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属;カーボンと熱硬化性樹脂との混合物;などが挙げられる。なお、耐食性導電材料が前記合金の場合、合金中のAu、PtまたはPdの含有量は、例えば、80質量%以上であることが好ましい。また、前記合金における合金成分としては、例えば、イリジウムなどが挙げられる(すなわち、合金としては、例えば、Pt:80質量%−Ir:20質量%の合金などが挙げられる)。更に、耐食性導電材料がカーボンと熱硬化性樹脂との混合物における熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリアミドイミドなどが挙げられる。
耐食性導電材料層の厚みは、0.1〜50μmであることが好ましく、耐食性導電材料層の厚みをこのようにしつつ、集電プレートの厚みを前記好適値にすることが推奨される。耐食性導電材料層が薄すぎると、耐食性導電材料層を形成することによる集電プレートの腐食抑制効果が小さくなることがある。また、耐食性導電材料層が厚すぎると、良導性金属を有する金属製の基材が薄くなり、耐食性導電材料の選択によっては、電子抵抗が大きくなったり、集電プレートのコストが増大したりすることがある。
また、正極集電プレートおよび負極集電プレートに係る金属製の基材における良導性金属としては、例えば、Ni、Ni合金、CuまたはCu合金が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、Ni合金やCu合金の場合、合金中のNiまたはCuの含有量は、例えば、95質量%以上であることが好ましい。また、Ni合金やCu合金における合金成分としては、例えば、ベリリウムなどが挙げられる(すなわち、合金としては、Cu:98質量%−Be:2質量%の合金や、Ni:98質量%−Be:2質量%の合金などが挙げられる)。負極集電プレートや正極集電プレートが、前記2層構造の基材を有する場合には、電極とは反対側の層を前記例示の良導性金属で構成することができる。
正極集電プレートや負極集電プレートが、前記2層構造の基材を有する場合、電極側の層を構成する耐食性の金属としては、例えば、ステンレス鋼、Ti、またはTiを主体とする合金が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記合金の場合、合金中のTiの含有量は、例えば、90質量%以上であることが好ましい。また、前記合金における合金成分としては、例えば、Pd、Taなどが挙げられる(すなわち、合金としては、Ti:99.85質量%−Pd:0.15質量%の合金や、Ti:95質量%−Ta:5質量%の合金などが挙げられる)。
正極集電プレートおよび負極集電プレートに係る良導性金属を有する金属製の基材の厚みは、正極集電プレートおよび負極集電プレートの前記好適厚み、および耐食性導電材料層の前記好適厚みを満足させつつ、設定することが好ましい。
また、正極集電プレートや負極集電プレートが、前記2層構造の基材を有する場合には、前記基材における電極側の層と、他の層との厚みの比率は、電極側の層の厚みを1としたときに、他の層の厚みが0.2〜3であることが好ましい。電極側の層の厚みに対して他の層が薄すぎると、集電プレートの電子抵抗が大きくなる虞があり、電極側の層の厚みに対して他の層が厚すぎると、電極側の層が薄くなって、これを設けることによる集電プレートの腐食抑制効果が小さくなることがある。
図6に、正極絶縁プレート3の模式図を示す。図6中、(a)は平面図である。また、(b)は(a)のA−A線断面図であるが、固定部20(ネジ穴)の配置を点線で示しており、この配置の理解を容易にするために、断面であることを示す斜線を省略している。正極絶縁プレート3は、金属製の正極パネルプレートと、正極集電プレートとの間に配置され、これらのプレート間を絶縁する役割を担っている。
正極絶縁プレート3には、各MEAの正極拡散層の位置に合わせ、かつ正極パネルプレートの酸素導入孔および正極集電プレートの酸素導入孔の位置に合わせて酸素導入孔11cが設けられており、該酸素導入孔11cは、正極パネルプレートの酸素導入孔および正極集電プレートの酸素導入孔と共に、前記開口部を形成している。また、正極絶縁プレート3には、正極パネルプレートおよび正極集電プレートの固定部(ネジ穴)の位置に合わせて、固定部20(ネジ穴)が設けられている。
正極絶縁プレート3には、正極集電プレートを収めるための凹部23が設けられていることが好ましい。凹部23によって正極絶縁プレート3と正極集電プレートとを積層したときに段差をなくすことができるため、かかる段差によるガス漏れやMEAの抑え込みの不均一さの発生を抑えることができる。
正極絶縁プレート3の材質は、電子絶縁性のものならば特に制限されないが、例えば、ガラスエポキシ樹脂や、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂[ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など]などのプラスティックが好適である。
正極絶縁プレート3のうち、正極集電プレートが収まる凹部23の厚みは、0.3〜3.3mmであることが好ましい。凹部23が薄すぎると、強度の不足による割れなどがおこる虞がある。また、凹部23が厚すぎると、正極パネルプレート、正極絶縁プレートおよび正極集電プレートの総厚みが大きくなってしまい、正極への酸素の供給量が低下することがある。
なお、負極絶縁プレートには、前記の正極絶縁プレートと同じ構成(形状および材質)のものを用いることができる。
本発明の燃料電池においては、正極パネルプレート、正極絶縁プレートおよび正極集電プレートの総厚みは1mm以上であることが好ましい。燃料電池の内部抵抗を低くするには、正極パネルプレートと負極パネルプレートとによって、MEAをある程度の均一性を持って抑え込むことが好ましい。例えば、図1に示すように、正極パネルプレート1と負極パネルプレート2とを、間隔を持った配置された固定部において、ボルト18とナット19を用いるなどして固定する場合、正極パネルプレート1、正極絶縁プレート3および正極集電プレート5、6の総厚みが小さすぎると、MEA100の抑え込みの際にこれらのプレートにたわみが生じて、MEA100の抑え込みの均一性が損なわれることがある。
他方、正極パネルプレート1、正極絶縁プレート3および正極集電プレート5、6の総厚みが大きすぎると、開口部11から正極拡散層13への酸素の供給量が低下する傾向にあるため、前記総厚みは4mm以下であることが好ましい。
また、負極パネルプレート2、負極絶縁プレート4および負極集電プレート7、8の総厚みについても、正極パネルプレート1、正極絶縁プレート3および正極集電プレート5、6の総厚みと同様に、MEA100の抑え込みの均一性を高めて電池の内部抵抗を下げる観点から、1mm以上であることが好ましく、更に、開口部12から負極拡散層17への燃料の供給量を高める観点から、4mm以下であることが好ましい。
図7に、図1の燃料電池に係る燃料タンク部10の模式図を示す。図7中、(a)は平面図である。また、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(a)のB−B線断面図であるが、これらの断面図では固定部20(ネジ穴)の配置を点線で示していることから、この配置の理解を容易にするために、断面であることを示す斜線を省略している。
燃料タンク部10は、燃料をMEAの負極へ供給したり、燃料を保持するために設けられている。燃料タンク部10には、燃料の供給、排出を行なうため、燃料を供給するための燃料供給口24と、燃料を排出するための燃料排出口25が設けられている。また、燃料の供給が各MEAに均一に行なわれるように、燃料流通ガイド部26が設けられている。27は、燃料を保持するためのタンク内部である。図7に示す燃料タンク部10(図1の燃料電池に係る燃料タンク部10)は独立のものであるが、例えば、燃料タンク部を負極パネルプレートと一体化した構造にしてもよい。
燃料タンク部10の材質は、燃料による腐食や形態変化がなければよい。具体的には、例えば、ガラスエポキシ樹脂;ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂(PTFEなど)のプラスティック;ステンレス鋼、ニッケル、銅、グラファイト、チタンなどの金属;が好適である。
図8に、MEA100の模式図を示す。図8中、(a)は平面図であり、(b)は(a)の断面図であるが、(b)では各構成要素の理解を容易にするために、断面であることを示す斜線を省略している。
MEA100は、酸素を還元する正極触媒層14と、水素を酸化する負極触媒層16とを有しており、更に、正極触媒層14と負極触媒層16との間に固体電解質膜15を備えている。また、正極触媒層14の固体電解質膜15側の面の反対面には、正極拡散層13が積層されており、負極触媒層16の固体電解質膜15側の面の反対面には、負極拡散層17が積層されている。
固体電解質膜15は、平面視で、電極(正極および負極)よりも大きい面積を有していることが好ましい。これは、電極からはみ出る部分を利用してシールを行なうためである。シールを行われなければ燃料と空気中の酸素とが混合されてしまうため、燃料電池の機能が果たせないことがある。固体電解質膜15における電極よりも大きくなる部分の幅は、シールを行なうために十分な幅を確保する観点から、1mm以上であることが好ましい。なお、固体電解質膜15における電極よりも大きくなる部分の幅をあまり大きくすると、固体電解質膜15の限られた面積の中でシールを行なう面積の比率が大きくなってしまうため、電極の面積が犠牲になってしまうことから、前記の幅は5mm以下であることが好ましい。
電極の幅は、3〜35mmであることが好ましい。これは、前記の固体電解質膜15の好適な大きさと、後述する固定部間の好適距離との関係から導かれるものである。電極の長さには特に制限はなく、燃料電池に要求される出力に鑑みて設定することが可能である。
また、MEA100は、図9に示すように、複数のMEA100で固体電解質膜15を共有する構造としてもよい。図9の(a)は平面図で、(b)は(a)の断面図であるが、この(b)においても、各構成要素の理解を容易にするために、断面であることを示す斜線を省略している。
図9中、28は直列接続タブ接触エリアであり、この部分で正極集電プレートの正極直列接続タブと負極集電プレートの負極直列接続タブとを電気的に接触させ、MEAユニット内の各MEAを直列に接続することができる。また図9のMEA100には、固定部20(ネジ穴)も設けられている。
正極拡散層13および負極拡散層17は、多孔性の電子伝導性材料などから構成され、例えば、撥水処理を施した多孔質炭素シートなどが用いられる。なお、正極拡散層13や負極拡散層17の触媒層側には、更なる撥水性向上および触媒層との接触向上を目的として、フッ素樹脂粒子(PTFE樹脂粒子など)を含む炭素粉末のペーストが塗布されている場合もある。
正極触媒層14は、正極拡散層13を介して拡散してきた酸素を還元する機能を有している。正極触媒層14は、例えば、触媒を担持した炭素粉末(触媒担持炭素粉末)と、プロトン伝導性材料とを含有している。また、必要に応じて、樹脂バインダを更に含有していてもよい。
正極触媒層14の含有する触媒としては、酸素を還元できるものであれば特に制限はないが、例えば、白金微粒子が挙げられる。また、前記触媒は、鉄、ニッケル、コバルト、錫、ルテニウムおよび金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素と白金との合金で構成される微粒子などであってもよい。
触媒の担体である炭素粉末としては、例えば、BET比表面積が10〜2000m2/gであり、平均粒子径が20〜100nmのカーボンブラックなどが用いられる。炭素粉末への前記触媒の担持は、例えば、コロイド法などで行なうことができる。
前記炭素粉末と前記触媒との含有比率としては、例えば、炭素粉末100質量部に対して、触媒が5〜400質量部であることが好ましい。このような含有比率であれば、十分な触媒活性を有する正極触媒層が構成できるからである。また、例えば、炭素粉末上に触媒を析出させる方法(例えば、コロイド法)で触媒担持炭素粉末が作製される場合には、炭素粉末と触媒とが前記の含有比率であれば、触媒の径が大きくなりすぎず、十分な触媒活性が得られるからである。
正極触媒層14に含まれるプロトン伝導性材料としては、特に制限はないが、例えば、ポリパーフルオロスルホン酸樹脂、スルホン化ポリエーテルスルホン酸樹脂、スルホン化ポリイミド樹脂などのスルホン酸基を有する樹脂を用いることができる。ポリパーフルオロスルホン酸樹脂としては、具体的には、デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子社製の「フレミオン(登録商標)」、旭化成工業社製の「アシプレックス(商品名)」などが挙げられる。
正極触媒層14におけるプロトン伝導性材料の含有量は、触媒担持炭素粉末100質量部に対して、2〜200質量部であることが好ましい。プロトン伝導性材料が前記の量で含有されていれば、正極触媒層において十分なプロトン伝導性が得られ、電気抵抗値が大きくなりすぎず、電池性能の良好な燃料電池を得ることができるからである。
正極触媒層14に係るバインダとしては、特に制限はないが、例えば、PTFE、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E/TFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)およびポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチレン、ポリエステル、アイオノマー、ブチルゴム、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体およびエチレン・アクリル酸共重合体などの非フッ素樹脂などを用いることができる。
正極触媒層14におけるバインダの含有量は、触媒担持炭素粉末100質量部に対して、0.01〜100質量部であることが好ましい。バインダが前記の量で含有されていれば、正極触媒層について十分な結着性が得られ、電気抵抗値が大きくなりすぎず、電池性能の良好な燃料電池を得ることができるからである。
負極触媒層16は、負極拡散層を介して拡散してきた水素やメタノールなどの燃料を酸化する機能を有している。負極触媒層は、例えば、触媒を担持した炭素粉末(触媒担持炭素粉末)と、プロトン伝導性材料とを含有している。必要に応じて、樹脂などのバインダを更に含有していてもよい。
負極触媒層16に係る触媒は、水素やメタノールなどの燃料を酸化できれば特に制限はなく、例えば、正極触媒層に係る触媒として例示した前記の各触媒を用いることができる。負極触媒層に係る前記炭素粉末、プロトン伝導性材料、およびバインダについても、正極触媒層に係る炭素粉末、プロトン伝導性材料、およびバインダとして例示した前記の各材料を用いることができる。
固体電解質膜15は、プロトンを輸送可能であり、かつ電子伝導性は示さない材料で構成された膜であれば、特に制限はない。固体電解質膜15を構成し得る材料としては、例えば、ポリパーフルオロスルホン酸樹脂、具体的には、デュポン社製の「ナフィオン(登録商標)」、旭硝子社製の「フレミオン(登録商標)」、旭化成工業社製の「アシプレックス(商品名)」などが挙げられる。その他、スルホン化ポリエーテルスルホン酸樹脂、スルホン化ポリイミド樹脂、硫酸ドープポリベンズイミダゾールなども、固体電解質膜15の材料として用いることができる。
図10に、シール9a、9bの平面模式図を示す。このシール9a、9bは、MEAの上下に配置される。その際、MEAの電極はシールに設けた孔29に収まり、固体電解質膜のうち電極部分からはみ出た部分は、シール9a、9bに挟まれる。このような構成とすることで、燃料と空気中の酸素とを隔離して、燃料電池を良好に機能させることが可能となる。図10に示すシール9a、9bには直列接続タブ接触エリア28が設けられており、この部分で正極集電プレートの正極直列接続タブと負極集電プレートの負極直列接続タブとを電気的に接触させ、各MEAを直列に接続することができる。また図10のシール9a、9bには、固定部20(ネジ穴)も設けられている。
シールの材質としては、燃料電池分野などにおいてシール材として公知の各種材料、例えば、シリコンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、PTFEフィルム、ポリイミドフィルムなどを用いることができる。
MEAユニット内の全てのMEAを一体化するための正極パネルプレートと負極パネルプレートとの固定は、各MEAをある程度の均一性を持って抑え込むことができれば、その手段については特に制限はない。例えば、正極パネルプレート、正極絶縁プレート、正極集電プレート、シール、負極集電プレート、負極絶縁プレートおよび負極パネルプレートにおけるMEAの電極部分以外に相当する部分、並びにMEAの固体電解質膜のうち電極部分からはみ出した部分の全体を、接着するなどして固定してもよい。
しかし、MEAをより抑え込み易いことから、図1に示すように、間隔を持って配置された固定部において、機械的挟持手段により正極パネルプレートと負極パネルプレートとを固定することが好ましい。この場合、固定部における機械的挟持手段としては、例えば、図1に示すボルトとナットとを用いたネジ止めや、リベット止めなどが好ましく採用できる。
また、前記のように、正極パネルプレートと負極パネルプレートとを、間隔を持っては位置された固定部により固定する場合には、MEAを挟んで隣り合う固定部間のうち、より短い固定部間の距離を10mm以上40mm以下とすることが好ましい。前記の固定部間が前記のような距離となるように固定部を配置することで、電池特性をより良好にすることができる。
前記の固定部間の距離を、図2を用いて説明すると、固定部20aとMEAを挟んで隣り合う固定部としては、20b、20c、20dがあるが、このうち、固定部20aとの間の距離がより短くなるのは20cである。「MEAを挟んで隣り合う固定部間のうち、より短い固定部間の距離が10mm以上40mm以下」とは、固定部20aと固定部20cとの間の距離が10mm以上40mm以下であることを意味している。
前記の固定部間距離が短すぎると、MEAの電極部分の面積が小さくなってしまい、長すぎると、機械的挟持手段により締め付けたときのパネルプレートのたわみが大きくなってMEAを均一に抑え込むことが困難となり、電池の内部抵抗が高くなったり、相対的に抑えの効いた部分で電流集中が生じて、電極の劣化を引き起こすことがある。前記の固定部間距離は、15mm以上であることがより好ましく、また、30mm以下であることがより好ましい。
また、MEAを挟まずに隣り合う固定部間の距離(例えば、図2では、固定部20aと固定部20eとの間の距離)も、前記の「MEAを挟んで隣り合う固定部間のうち、より短い固定部間の距離」と同じ理由から、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上であって、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下である。
本発明の燃料電池では、例えば図1に示す正極側の開口部11の、平面視における総面積を、平面視における正極の面積で割り、それを百分率で表して示される開口率(A)が、10%以上60%以下であることが好ましい。正極側の開口率を前記のようにすることで、正極への酸素の供給とMEAから生じる電流の集電をより良好にすることができる。すなわち、前記開口率(A)が小さすぎると、正極への酸素の供給が低下することがある。また、前記開口率(A)が大きすぎると、MEA100から生じる電流の集電性が低下し、また、燃料がガスの場合には乾燥が促進されてしまうため、電池の出力が低下することがある。前記開口率(A)は、15%以上であることがより好ましく、また、50%以下であることがより好ましい。
正極側の開口部11および負極側の開口部12は、方形(長方形、正方形など)、円形(真円形、楕円形など)などの各種の形状とすることができる。なお、正極側の開口部11は、正極側の平面視において、開口部11に接し、かつ線間の最短距離が最も短くなる平行な2本の線を引いたときに、前記最短距離(B)が0.2mm以上3mm以下であることが好ましい。
図11に、正極側の開口部11の1つを拡大した図を示す。図11の(a)は、開口部11が長方形の場合を示している。開口部11が長方形の場合、該開口部11に接する平行な2本の線としては、図中のIとII、およびiとiiの2つを引くことができる。このうち、2線間の最短距離が最も短くなるのは、図中Iの線とIIの線との間であり、このIの線とIIの線との間の最短距離が0.2mm以上3mm以下であることが好ましい。
また、図2の(b)は、開口部11が真円形の場合を示しているが、開口部11が真円形であれば、該開口部11に接する平行な2本の線としては、図中のIとIIのように、開口部11の直径を挟む2本の線を引くことができ、開口部11のいずれの位置に前記2本の線を引いても、それらの線間の距離は開口部11の直径と等しくなる。よって、開口部11が真円形の場合には、Iの線とIIの線との間の最短距離、すなわち開口部11の直径が0.2mm以上3mm以下であることが好ましい。
正極側の開口部における前記2線間の最短距離(B)を前記のようにすることで、正極への酸素の供給とMEAから生じる電流の集電をより良好にすることができる。すなわち、前記2線間の最短距離(B)が小さすぎると、燃料電池外の大気の酸素を取り込み難くなることがある。また、前記2線間の最短距離(B)が大きすぎると、開口部11が位置する部分での集電が不十分となって、電池の出力が低下することがある。前記2線間の最短距離(B)は、0.5mm以上であることがより好ましく、また、2mm以下であることがより好ましい。
更に、本発明の燃料電池では、正極側の平面視において、開口部11以外の箇所(すなわち、正極拡散層13に到達する開口部11が形成されておらず、正極パネルプレート1などが存在している箇所)における任意の点から、該任意の点に最も近く位置している開口部11までの最短距離(C)が、2mm以下であることが好ましい。前記の最短距離(C)を前記上限値以下とすることで、MEA100への酸素の供給の均一性をより高めて、電池の出力をより向上させることができる。
すなわち、前記の最短距離(C)が短すぎると、正極パネルプレート1などの存在によって、正極拡散層13の上部が開口していない箇所が部分的に大きくなり、当該箇所には燃料電池外の酸素が供給され難くなる。そのため、MEA100に酸素の供給が不十分な箇所が生じて、電池の出力が低下することがある。前記の最短距離(C)は、1.5mm以下であることがより好ましい。なお、前記の最短距離(C)の下限値については特に制限はなく、前記開口率(A)との兼ね合いで適宜決定される。
また、負極側の開口部12についても、平面視における負極側の開口部12の総面積を、平面視における負極の面積で割り、それを百分率で表して示される開口率は、負極への燃料の供給を良好にする観点から、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、また、集電をより良好にしたりMEA100の乾燥を抑制する観点から、60%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
更に、負極側の開口部12においても、負極側の平面視において、開口部12に接し、かつ線間の最短距離が最も短くなる平行な2本の線を引いたときに、前記最短距離が、負極への燃料の供給を良好にする観点から、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、また、集電をより良好にする観点から、3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
加えて、MEA100への燃料の供給の均一性をより高める観点から、負極側の平面視において、開口部12以外の箇所(すなわち、負極拡散層17に到達する開口部12が形成されておらず、負極パネルプレート2などが存在している箇所)における任意の点から、該任意の点に最も近く位置している開口部12までの最短距離が、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。
正極側の開口部11の個々の面積は、燃料電池外の酸素をより良好に取り込む観点から、好ましくは0.1mm2以上、より好ましくは0.2mm2以上である。他方、開口部11の個々の面積が大きすぎると、正極パネルプレート1などの強度が低下することがあるため、その面積は、40mm2以下であることが好ましく、30mm2以下であることがより好ましい。
なお、負極側の開口部の個々の面積も、燃料をより良好に取り込む観点から、0.1mm2以上であることが好ましく、0.2mm2以上であることがより好ましく、また、負極パネルプレート2などの強度低下を抑制する観点から、40mm2以下であることが好ましく、30mm2以下であることがより好ましい。
これまで、複数のMEAを平面的に配置して構成した燃料電池について説明したが、本発明の燃料電池には、複数のMEAを平面的に配置したMEAユニットを複数積層して構成した燃料電池も含まれる。
図12に、複数のMEAユニットを積層して構成した燃料電池の一例を模式的に示す。図12は燃料電池200の断面図であるが、各構成要素の理解を容易にするため、断面であることを示す斜線は付していない。
図12中、201はMEAユニットで、2つのMEA100a、100bが平面的に配置されている。そして、燃料電池200は、MEAユニット201が6組積層されて構成されている。隣接するMEAユニット201、201同士は、負極同士または正極同士が対向しており、負極同士が対向する箇所では負極セパレータ202が隣接するMEAユニット201、201同士の間に配置され、正極同士が対向する箇所では、正極セパレータ203が隣接するMEAユニット201、201同士の間に配置されている。204は燃料電池200の外装を構成するエンドプレート(パネルプレート)であり、両最外層に位置するMEAユニット201のエンドプレート204、204側にも、負極セパレータ202が配置されている。
MEAユニット201に係るMEA100a、100bには、複数のMEAを平面的に配置して構成した前記の燃料電池に係るMEAと同様のものが使用できる。
負極セパレータ202には、燃料(水素)を流し、MEAユニット201の負極に燃料を供給するための燃料流路が設けられており、図中の矢印は、燃料流路における燃料(水素)の流れる方向を示している。また、205は燃料電池1の内部に燃料(水素)を導入するための燃料入口、206は発電に関与しなかった燃料やその他のガスなどの余剰のガスを、燃料電池200の外部に排出するための燃料出口である。更に、正極セパレータ203には、空気を流し、MEAユニット201の正極に空気を供給するための空気流路が設けられている(図示しない)。
MEAユニットを複数積層して構成される燃料電池の一例の一部分解図を図13に示す。図13に示す燃料電池に係るMEAユニット201は、1枚の固体電解質膜に2組の電極(正極および負極)が配置されることで、2つのMEAが平面的に配置された構造をとっている。MEAユニット201の上下には、シール207が配置されており、これにより水素および空気の漏れを抑制している。
隣接する2つのMEAユニットの負極同士の間に配置される負極セパレータ202は、負極集電プレート202a、202bが、負極絶縁プレート202cの両面にそれぞれ配置されて構成されている。また、隣接する2つのMEAユニットの正極同士の間に配置される正極セパレータ203は、正極集電プレート203a、203bが、正極絶縁プレート203cの両面にそれぞれ配置されて構成されている。
図14に、負極セパレータの一例の斜視図を示す。負極セパレータ202は、負極集電プレート202a、202bが、負極絶縁プレート202cの両面にそれぞれ配置されて構成されている。208はマニホールドまたはガス導入口(空気流路用もしくは燃料流路用のマニホールドまたは空気導入口もしくは水素導入口)であり、209は各構成要素を固定するためのボルト穴(固定部)である。
図15に、図14の負極セパレータに係る負極集電プレートの平面図を示す。図14の負極セパレータ202では2種類の負極集電プレート202a、202bが使用されている。210は、MEA同士を電気的に接続するための集電タブであり、燃料電池の外周部に相当する位置に2つ形成されている。また、211は燃料供給孔であり、負極セパレータ202が重ねられるMEAユニットにおける負極に相当する位置に設けられている。負極絶縁プレートに設けられた燃料流路を通過してきた水素は、燃料供給孔211から、MEAユニットに係るMEAの負極へ供給される。
そして、負極集電プレート202a、202bは、図4に示す負極集電プレート7、8と同様に、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されている。そして、良導性金属を有する金属製の基材は、MEAユニット(MEA)の負極面と平行または略平行な2層により構成されており、このうち、負極側の層は耐食性の金属で構成され、他方の層は良導性金属で構成されている。
図16に、図14の負極セパレータに係る負極絶縁プレートの平面図を示す。負極絶縁プレート202cには、負極セパレータが重ねられるMEAユニットにおける負極に相当する位置に燃料流路212が形成されている。208はマニホールドまたはガス導入口(燃料流路用のマニホールドまたは水素導入口)であり、209は各構成要素を固定するためのボルト穴(固定部)である。
負極絶縁プレート202cは、図6に示す正極絶縁プレートと同様に、ガラスエポキシ樹脂や、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂[ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など]などのプラスティックなどで構成することができる。
正極セパレータに係る正極集電プレートについては、負極集電プレートと同様の構成とすることができる。ただし、正極集電プレートの材質については、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されており、かつ前記基材が前記の2層構造を有するもの(すなわち、前記負極集電プレートと同じもの)の他、前記基材が前記の2層構造を有しないもの(例えば良導性金属で構成された単層構造のもの)が使用できる。また、正極集電プレートを、前記2層構造の基材と該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されたものとし、負極集電プレートを、良導性金属を有し、かつ前記2層構造を有しない基材(例えば良導性金属で構成された単層構造の基材)と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されたものとすることもできる。
また、正極セパレータに係る正極絶縁プレートについては、例えば負極集電プレートとミラー対称形の構造を有するものが使用できる。正極絶縁プレートの材質は、負極絶縁プレートと同様のものが使用できる。
図12に示すような、複数のMEAを有するMEAユニットを複数積層して構成した燃料電池において、各MEAユニットは、MEAを複数、すなわち2以上有していればよく、通常は20程度までである。また、MEAユニットの積層数も、複数、すなわち2組以上であればよく、通常は100組程度までである。
複数のMEAユニットを積層して構成した燃料電池における正負極の開口部の好適面積率、好適形状(開口部に接し、かつ線間の最短距離が最も短くなる平行な2本の線を引いたときの最短距離、個々の好適面積)、および好適配置(開口部以外の箇所における任意の点から、該任意の点に最も近く位置している開口部までの最短距離)、並びに固定部の好適配置(固定部間の好適距離)は、前記の、複数のMEAを平面的に配置して構成した燃料電池の場合と同様である。
なお、これまで本発明の燃料電池を図1〜図16を用いて説明したが、これらの図面に示したものは本発明の一例に過ぎず、本発明の燃料電池はこれらの図面に示された構造のものに限定される訳ではない。
以上の通り、本発明の燃料電池は、複数のMEAが平面状に配置されたMEAユニットを有する平面型の燃料電池、または前記MEAユニットが複数積層された構造の燃料電池における集電プレートについて、最も腐食されやすい電極に接する面に耐食性の金属で構成された層を配置し、腐食されにくい電極に接する面の反対側の面に良導性金属で構成された層を配置した上で、全体の耐食性を確保するために、耐食性導電材料で被覆した構造とすることにより、長寿命であり、かつ低コストで生産性の良好な燃料電池の提供を可能にしている。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1
図1に示す構造の燃料電池を作製した。MEA100には、図9に示す構成のものを用いた。MEA100の正極および負極には、カーボンクロス上にPt担持カーボンを塗布した電極(E−TEK社製「LT140E−W」、Pt量:0.5mg/cm2)を用いた。また、固体電解質膜15には、デュポン社製「ナフィオン112」を用いた。各電極は25mm×92mm、固体電解質膜は105mm×100mmとした。
図1に示す構造の燃料電池を作製した。MEA100には、図9に示す構成のものを用いた。MEA100の正極および負極には、カーボンクロス上にPt担持カーボンを塗布した電極(E−TEK社製「LT140E−W」、Pt量:0.5mg/cm2)を用いた。また、固体電解質膜15には、デュポン社製「ナフィオン112」を用いた。各電極は25mm×92mm、固体電解質膜は105mm×100mmとした。
正極パネルプレート1には、図2に示す構造で、ステンレス304で構成された厚みが2mmのものを用いた。開口部を形成するための酸素導入孔11aは、1mm×13mmの長方形の孔を、各MEAの正極拡散層上部に当たる部分全域にわたり、各々上下に6個、左右に12個、合計72個配置した。また、酸素導入孔11aは、左右に1mm、上下に2mmの距離を空けて配置している。正極側の開口部の電極面積に対する割合(開口率)は42%である。固定部20には、φ3mmの穴を、図2に示すように、MEAの外周部に相当する位置に設けた。MEAを挟んで隣り合う固定部間のうち、より短い固定部間の距離は31mmであり、MEAを挟まずに隣り合う固定部間の距離は15mmである。
また、負極パネルプレート2には、正極パネルプレート1と同じ材質・形状のものを用意した。
正極集電プレート5、6には、図3の(a)(正極端部集電プレート)および(b)(正極集電プレート)に示す構造で、図5に示す断面構造のものを用いた。正極集電プレートの電極側の層(厚み0.23mm)はSUS304で、電極の反対側の層(厚み0.07mm)はCuで構成し、全面を厚み0.2μmでAuを蒸着して被覆した。正極集電プレート5、6の酸素導入孔11bおよび固定部20の形状・配置は、正極パネルプレートと同様である。また、正極端部集電プレート5には、正極集電端子部21を設けた。更に、正極集電プレート6には、燃料電池の外周部に相当する位置に、正極直列接続タブ22を1つ設けた。
また、負極端部集電プレート7および負極集電プレート8には、正極端部集電プレート5および正極集電プレート6と同じ材質・形状のものを用意した。
正極絶縁プレート3には、図6示す構造で、ガラスエポキシ樹脂で構成された厚みが0.5mmのものを用いた。正極絶縁プレート3の酸素導入孔11cおよび固定部20の形状・配置は、正極パネルプレートと同様である。また、負極絶縁プレート4には、正極絶縁プレート3と同じ材質・形状のものを用意した。
燃料タンク部10には、図7に示す構造で、ガラスエポキシ樹脂で構成された厚み3mmのものを用いた。中央のタンク内部27の深さは2mmである。
シール9a、9bには、図10に示す構造で、シリコンゴムで構成された厚み0.2mmのものを用いた。電極を収めるための孔29のサイズは26m×93mmとした。
以上の各部材を図1に示す順序で積層し、ボルト18とナット19を用いて締め込んで、燃料電池を作製した。
実施例2
正極集電プレート5、6に、Niに10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
正極集電プレート5、6に、Niに10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
実施例3
負極集電プレート7、8に、Niに10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
負極集電プレート7、8に、Niに10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
比較例1
正極集電プレート5、6および負極集電プレート7、8に、Niに10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
正極集電プレート5、6および負極集電プレート7、8に、Niに10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
比較例2
正極集電プレート5、6に、SUS304に10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
正極集電プレート5、6に、SUS304に10μmのAuメッキを施した厚み0.3mmのものを用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。
実施例1〜2および比較例1〜2の燃料電池に、燃料として水素を燃料供給口24より供給し、2Vの定電圧で発電試験を1日8時間行い、合計1000時間の運転を行った。これにより、初期および1000時間後の燃料電池の出力を求めた。試験は室温25℃で行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、正極集電プレートおよび負極集電プレートのいずれも、前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された集電プレートとした実施例1の燃料電池では、初期出力が高く1000時間後においても出力がほとんど低下していない。また、正極集電プレートおよび負極集電プレートのいずれか一方を前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された集電プレートとした実施例2および実施例3の燃料電池では、初期出力が高く、1000時間後では、出力が多少低下するものの、比較例の燃料電池に比べると高い出力を維持できている。なお、実施例2および実施例3の結果より、集電プレートを前記2層構造の基材と耐食性導電材料層とで構成された集電プレートとする方が、より高い効果が得られることが分かる。
これに対し、比較例1の燃料電池では、初期出力は実施例1と同等であるものの、1000時間後の出力が大きく低下している。比較例1の電池では、正極集電プレートおよび負極集電プレートの耐食性が不十分で、長期運転の間にこれら集電プレートの基材のNiが溶解により劣化し、そのために出力低下が生じたと推察される。また、比較例2の電池では、初期出力が低い。比較例2の電池では、正極集電プレートの基材が良導性金属を有しておらず、その電子伝導性が不十分なために、抵抗が高くなり出力が低かったものと推察される。
1 正極パネルプレート
2 負極パネルプレート
3、203c 正極絶縁プレート
4、202c 負極絶縁プレート
5、6、203a、203b 正極集電プレート
7、8、202a、202b 負極集電プレート
100 電極・電解質一体化物
2 負極パネルプレート
3、203c 正極絶縁プレート
4、202c 負極絶縁プレート
5、6、203a、203b 正極集電プレート
7、8、202a、202b 負極集電プレート
100 電極・電解質一体化物
Claims (8)
- 酸素を還元する正極、燃料を酸化する負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質膜を有する電極・電解質一体化物を複数備え、それぞれの同一極が同じ向きになるように前記複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置されており、前記複数の電極・電解質一体化物の負極側に配置された負極集電プレート、および正極側に配置された正極集電プレートによって、隣り合う電極・電解質一体化物同士が電気的に直列に接続している燃料電池であって、
前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートは、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されており、かつ
前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートの少なくとも一方は、その金属製の基材が、電極・電解質一体化物の電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層は耐食性の金属で構成され、他方の層は前記良導性金属で構成されていることを特徴とする燃料電池。 - 酸素を還元する正極、燃料を酸化する負極、および前記正極と前記負極との間に配置された固体電解質膜を有する電極・電解質一体化物を複数備え、それぞれの同一極が同じ向きになるように前記複数の電極・電解質一体化物が平面的に配置された電極・電解質一体化物ユニットが複数積層されており、前記複数の電極・電解質一体化物ユニットのそれぞれの負極側に配置された負極集電プレート、および前記複数の電極・電解質一体化物ユニットのそれぞれの正極側に配置された正極集電プレートによって、前記電極・電解質一体化物ユニット内の隣り合う電極・電解質一体化物同士、および前記複数の電極・電解質一体化ユニットの積層により前記積層方向に隣り合う電極・電解質一体化物同士が電気的に直列に接続している燃料電池であって、
前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートは、良導性金属を有する金属製の基材と、該基材を被覆する耐食性導電材料層とで構成されており、かつ
前記負極集電プレートおよび前記正極集電プレートの少なくとも一方は、その金属製の基材が、電極・電解質一体化物ユニットの電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層は耐食性の金属で構成され、電極とは反対側の層は前記良導性金属で構成されていることを特徴とする燃料電池。 - 少なくとも正極集電プレートの金属製の基材が、電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層は耐食性の金属で構成され、電極とは反対側の層は前記良導性金属で構成されている請求項1または2に記載の燃料電池。
- 負極集電プレートの金属製の基材および正極集電プレートの金属製の基材が、電極面と平行または略平行な2層により構成されており、前記2層のうち、電極側の層は耐食性の金属で構成され、電極とは反対側の層は前記良導性金属で構成されている請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記耐食性導電材料層が、Au、Pt、Pdおよびそれらの元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属により構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記耐食性導電材料層が、カーボンと熱硬化性樹脂との混合物により構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記金属製の基材における電極側の層が、ステンレス鋼、TiおよびTiを主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属により構成されている請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池。
- 前記金属製の基材における電極とは反対側の層が、Ni、Cuおよびそれらの元素を主体とする合金よりなる群から選択される少なくとも1種の金属により構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の燃料電池。
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-
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- 2008-02-05 JP JP2008024947A patent/JP2009187729A/ja not_active Withdrawn
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