JP2009183418A - 発汗量測定器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 持ち運び自在な携帯型に構成して設置工事が不要な発汗量測定器を提供する。
【解決手段】 空洞にコントローラが内蔵された扁平な球状の半割外装ケース2の上面に、表示部3、電源SW4、設定SW5、測定SW6、選択SW7a,7bを配設し、下面に浴槽水の電気伝導率を測定する一対の電極、浴槽水の温度を測定する温度センサ、水深を測定する水位センサを配設し、上面が浴槽水の水面上に浮くようにする。入浴者が入力設定した体重・身長から体脂肪率を演算し、これを体比重に変換し、体比重と水深検出値とから入浴者の水中体積を演算し、これと入浴前後の水深とから浴槽内の水量を演算し、浴槽水の電気伝導率を温度検出値で補正した上で塩分濃度を演算し、入浴前と入浴中の塩分濃度の差に基づいて入浴に伴う発汗量を演算して表示部に表示する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、入浴中の入浴者の発汗量を測定するために用いられる発汗量測定器に関する。
従来、この種の発汗量測定器として、浴槽の内壁面に複数の電極を設置し、入浴者が入浴中の浴槽水の電気伝導率を測定することで、発汗量を推定するものが知られている(例えば特許文献1又は特許文献2参照)。発汗量が所定量を超えると警報を発するようにして、入浴者に対し健康悪化の可能性を警告したり、入浴を切り上げるタイミングを報知したりし得るようにしている。
特許第3862562号公報 特開2003−225275号公報
ところが、上記従来の発汗量測定器においては、それを浴槽に付設するにはかなり面倒な作業を必要とする上に、浴槽自体にも種々の加工を加える必要が生じる。すなわち、少なくとも一対の電極を設置するために、浴槽壁に貫通孔を空けるか、浴槽の内壁面にそれらの電極を設置するかした上で、本体装置まで配線を延長させるなどの、かなり面倒な作業を必要とする。その上に、浴槽自体に対する比較的大掛かりな工事が必要になるため、既設の浴室に対し後に付設するには困難が伴うものとなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、持ち運び自在なハンドヘルドタイプのものを実現させることにより、設置工事等を全く不要にし得る発汗量測定器を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、入浴者の入浴中の発汗量を測定する発汗量測定器を対象にして、浴槽内の浴槽水に浮かぶように構成された外装ケースと、上記浴槽水の電気伝導率を測定する一対の電極と、上記浴槽水の水量特定に係る情報を取得する水量情報取得手段と、発汗量測定に係る演算処理を実行するコントローラと、このコントローラでの演算処理により得られた上記発汗量を入浴者に報知する報知手段とを備え、上記一対の電極と、水量情報取得手段と、コントローラと、報知手段とは、上記外装ケースに一体に配設する。そして、上記コントローラとして、上記一対の電極により入浴前の浴槽水の電気伝導率と、入浴中の浴槽水の電気伝導率との測定を実行し、測定された2つの電気伝導率の差から入浴前及び入浴中の両者間の塩分濃度の差を演算する一方、上記水量情報取得手段により取得された情報に基づき上記浴槽水の水量の特定を実行して、上記塩分濃度の差と浴槽水の水量とに基づいて入浴者の入浴中の発汗量を演算する構成とした(請求項1)。
この発明の場合、外装ケースに対し一対の電極、水量情報取得手段、コントローラ及び報知手段が一体に配設されているため、入浴者による持ち運び可能な携帯型の発汗量測定器となり、発汗量測定器設置のための工事を一切不要にし得ることになる。しかも、浴槽水の水量と塩分濃度の差とに基づくコントローラによる発汗量の演算によって入浴中の入浴者の発汗量を確実に測定し得ることになる。
本発明においては、上記浴槽水の温度を検出する温度センサを上記外装ケースに配設し、上記コントローラとして、上記温度センサにより検出された浴槽水の温度に基づき電気伝導率の温度補正を加える構成することができる(請求項2)。塩分濃度を得るための電気伝導率は温度上昇により若干増大する傾向にあるため、温度センサにより検出した浴槽水の温度に基づき補正を加えることで、より正確な発汗量の測定が可能となる。
本発明における水量情報取得手段としては、上記入浴者に関する固有の身長及び体重に関するデータを入力設定する入力手段と、上記浴槽水の水深を検出する水位センサとを備えて構成し、上記コントローラとして、上記入力手段により入力設定された身長及び体重に基づく入浴者の体脂肪率の演算と、演算された体脂肪率を用いた入浴者の体比重の演算と、演算された体比重、上記水位センサにより検出させた入浴中の水深、及び、上記入力設定された身長・体重に基づく入浴中の入浴者の水中体積の演算とを行った上で、演算された水中体積と、上記水位センサにより検出された入浴前及び入浴中の水深差とに基づき浴槽水の水量を演算する構成することができる(請求項3)。入浴者に関する固有データとして身長及び体重の2種類だけのデータの入力設定で、浴槽水の水量を特定して発汗量を導くことが可能となる。
あるいは、本発明における水量情報取得手段としては、上記入浴者に関する固有の身長、体重及び体脂肪率に関するデータを入力設定する入力手段と、上記浴槽水の水深を検出する水位センサとを備えて構成し、上記コントローラとして、上記入力手段により入力設定された体脂肪率を用いた入浴者の体比重の演算と、演算された体比重、上記水位センサにより検出させた入浴中の水深、及び、上記入力設定された身長・体重に基づく入浴中の入浴者の水中体積の演算とを行った上で、その水中体積と、上記水位センサにより検出された入浴前及び入浴中の水深差とに基づき浴槽水の水量を演算する構成とすることができる(請求項4)。体脂肪率が入浴者において既知のデータであれば、その体脂肪率のデータを入浴者に関する固有データとして身長及び体重に加えて入力設定することで、コントローラでの演算量を低減させることが可能となる。
又、上記発明において、上記入力手段により入力設定された固有データを記憶更新させる記憶手段を備えることとし、上記コントローラとして、入浴者の選択によって、上記入力手段による固有データの入力設定に代えて、上記記憶手段に前回記憶更新された前回データを読み出して演算に用いる構成とすることができる(請求項5)。このようにすることにより、入浴者の選択によって毎回の入力設定を省略することが可能になり、入浴者にとって便宜となる。
さらに、上記発明において、入力手段を上記外装ケースの上面に配設する一方、一対の電極と、温度センサと、水位センサとを上記外装ケースの下面であって浴槽水に浮かべた場合に水面下に水没する下向き面に配設するようにすることができる(請求項6)。このようにすることにより、入浴者は発汗量測定器を基本的には浴槽の浴槽水に浮かべた状態で使用し得るようになって便宜となる。
以上、説明したように、請求項1〜請求項6のいずれかの発汗量測定器によれば、外装ケースに対し一対の電極、水量情報取得手段、コントローラ及び報知手段が一体に配設されているため、携帯型にして入浴者により持ち運び自在の発汗量測定器を実現させることができるようになる。これにより、発汗量測定器設置のための工事を一切不要にして如何なる状況の浴室・浴槽にも適用させることができる。しかも、浴槽水の水量と塩分濃度の差とに基づくコントローラによる発汗量の演算によって入浴中の入浴者の発汗量を確実に測定して、その発汗量を報知手段により入浴者に対し報知することができることになる。
特に、請求項2によれば、塩分濃度を得るための電気伝導率は温度上昇により若干増大する傾向にあるため、温度センサにより検出した浴槽水の温度に基づき補正を加えることで、より正確な発汗量の測定を行うことができるようになる。
請求項3によれば、入浴者に関する固有データとして身長及び体重の2種類だけのデータの入力設定で、浴槽水の水量を特定して発汗量を導くことができるようになる。
請求項4によれば、体脂肪率が入浴者において既知のデータであれば、その体脂肪率のデータを入浴者に関する固有データとして身長及び体重に加えて入力設定することで、コントローラでの演算量を低減させることができるようになる。
又、請求項5によれば、入浴者の選択によって固有データの毎回の入力設定を省略することができるようになり、入浴者にとって便宜となる。
さらに、請求項6によれば、発汗量測定器を基本的には浴槽の浴槽水に浮かべた状態で使用することができるようになって入浴者にとって便宜となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は本発明の実施形態に係る発汗量測定器1を示すものである。図1(a)は全体外観を示す斜視図、図1(b)は内部構造を省略した縦断面図、図2(a)は平面図、図2(b)は底面図である。同図において、符号2は外装ケース、3はLCD(液晶ディスプレイ)等により構成された報知手段としての表示部、4は電源スイッチ、5は測定スイッチ、6は設定スイッチ、7a,7bは選択スイッチ、8a,8bは一対の電極、9は浴槽水(浴槽内の湯)の温度を検出する温度センサ、10は例えば圧力検知式の水位センサである。上記の表示部3、選択スイッチ7a,7b、設定スイッチ6によって入浴者の身長などの固有データを入力設定する入力手段が構成されることになる。又、この入力手段や、上記の水位センサ10によって、浴槽水の水量を特定するための水量情報取得手段が構成されることになる。
外装ケース2(図1(a),(b)参照)は、内部が図示省略のコントローラ11(図3参照)や電源(乾電池又はボタン電池等の電池)を収容し得るように空洞とされ、例えば合成樹脂製の上側ケース21と下側ケース22とが間にシール材23を挟んで互いにねじ込まれて全体として扁平球状になるように形成されたものである。上記外装ケース2は水密防水構造とされており、図4に示すように発汗量測定器1を浴槽12内の浴槽水Wに投入した場合には、下面(発汗量測定器1の下向き面)が水没し、上面(発汗量測定器1の上向き面)が浮力により水面上に露出した状態に浮かぶように構成されている。要するに、外装ケース2によってフロート部が構成されているのである。なお、発汗量測定器1の上面が水面上に完全に露出しなくても、表示部3が視認し得る程度であれば水面下に水没してもよい。
上側ケース21の上面(図2(a)参照)には、略中央位置に表示部3が配設され、この表示部3を囲んで電源スイッチ4、測定スイッチ5、設定スイッチ6及び選択スイッチ7a,7bが配設されている。これらの電源スイッチ4、測定スイッチ5、設定スイッチ6及び選択スイッチ7a,7bは、防水タイプのボタンスイッチにより構成され、浴槽水内で入浴者がスイッチ操作をしても内部に水が侵入しないようになっている。下側ケース22の下面(図2(b)参照)には、一対の電極8a,8b、温度センサ9、水位センサ10が配設され、中でも水位センサ10は最も下位となる位置である中央位置に配置され、一対の電極8a,8bは互いに所定間隔を隔てて配置されている。
上記コントローラ11は、図3に示すように演算処理部111と、データ処理部112と、表示処理部113と、記憶部114とを備えて構成され、各種スイッチ4,5,6,7a,7bにより入力された設定データや指令信号、及び、一対の電極8a,8b、温度センサ9や水位センサ10からの出力信号等を受けて、表示処理やデータ処理、そして演算処理を行うことにより、最終的に得られた発汗量を表示するようになっている。具体的には後述の各種処理を実行させるための所定のプログラムが予めインストールされており、このプログラムに基づいて各種処理が実行される。
次に、上記コントローラ11による発汗量測定までの各種処理について、図5及び図6のフローチャートを参照しつつ説明する。発汗量測定のための処理は、実際の発汗量測定のための処理の前に、入浴者(ユーザー)本人に関する固有情報(固有データ)を取得・設定したり、浴槽12内の浴槽水Wの初期状態に関する情報を測定したりして事前に初期設定処理を行い、その後に、入浴者から入力される指令を受けてそのときの発汗量測定処理を行うようになっている。
初期設定処理は図5に示すステップS1〜ステップS8により構成されている。入浴者が電源スイッチ4を押してON操作することにより処理が開始される。まず、表示部3に対し、入浴者自身の固有データに関し記憶部114に前回記憶設定されている前回データを使用するか、前回データを使用しないで固有データを今回新規に入力設定するかのいずれを選択して指令入力を促す旨の表示を行う(ステップS1)。かかる表示処理や以後説明する表示部3に対する表示処理は表示処理部113によって行われる。ここで、入浴者自身の固有データとは、本実施形態の場合、入浴者の身長H・体重W・体脂肪率Fatの3つである。そして、入浴者が前回データの使用を選択する場合には上側選択スイッチ7aを、新規入力を選択する場合には下側選択スイッチ7bをそれぞれ押せば、対応する選択指令が出力される。前回データの使用が選択されれば、身長H・体重W・体脂肪率Fatについての前回データを記憶部114から演算処理部111に読み出してステップS6に移行する一方(ステップS2)、新規入力が選択されれば、ステップS3〜S5にて身長H・体重W・体脂肪率Fatを個別に入力操作を促す表示と、入力されたデータの設定・受付を行った上で、ステップS6に移行する。上記のデータの設定・受付がデータ処理部112により行われる。
具体的には、表示部3に例えば「身長は?」と表示し、入浴者が選択スイッチ7a,7bを用いて数値を入力した上で設定スイッチ6を押すことにより、入力した数値を演算処理部111で用いる身長Hとして設定し、併せて記憶部114の所定記憶領域に更新記録する(ステップS3)。なお、選択スイッチ7a又は7bによる数値入力法を例示すると、選択スイッチ7a又は7bが入浴者により押されると、表示部3に身長値として予め登録された数値列が表示され、この数値列の内から例えば上側選択スイッチ7aを押すと選択対象が数値列の小さい値から大きい値側に移動するというにして自己の身長値を選択し、選択後に設定スイッチ6を押すことにより確定させる。以下、同様に、表示部3に例えば「体重は?」と表示し、入浴者が選択スイッチ7a,7bを用いて数値設定した上で設定スイッチ6を押すことにより、その入力された数値を演算処理部111で用いる体重Wとして設定し、記憶部114の所定記憶領域に更新記録し(ステップS4)、さらに、表示部3に例えば「体脂肪率は?」と表示し、入浴者が選択スイッチ7a,7bを用いて数値設定した上で設定スイッチ6を押すことにより、その入力された数値を演算処理部111で用いる体脂肪率Fatとして設定し、記憶部114の所定記憶領域に更新記録する(ステップS5)。
入浴者の固有データが取得されれば、それらの固有データの内の体脂肪率Fatを用いて入浴者の体比重Dを演算により求めておく(ステップS6)。この体比重Dの演算は、体比重と体脂肪率との関係に関する下記の推定式(1)を、
4.57/{(Fat/100)+4.142}=D …(1)
{(4.57/D)−4.142}=Fat/100 …(2)
用いて行えばよい。この推定式(1)は、体比重Dを用いて体脂肪率Fatを算出するというBrozekらにより考案されて現在用いられている算出式(2)から導いたものである。なお、体脂肪率Fatの単位は%である。
又、浴槽12内に湯張りされた浴槽水の、入浴者が入る前の水深X1と、入浴者が入る前の浴槽水の初期電気伝導率とを測定する(ステップS7)。水深X1の測定は、入浴者による補助操作が必要であるため、表示部3での表示処理を併せて行う。すなわち、まず、表示部3に対し、水深測定のために発汗量測定器1を浴槽12の浴槽水Wに入れて浴槽12の底まで沈めるように指示する内容の文字案内を表示する。これにより、入浴者が発汗量測定器1を図4(a)に示すように浴槽水Wの中を浴槽12の底まで沈めると、水位センサ10から出力される水位検出値を水深X1として一時記憶する。なお、この水位検出は、発汗量測定器1を入浴者が浴槽12の底に沈めれば、水位センサ10からの水位検出値が最大状態になるため、この最大値を水深X1として採用すればよい。又、この際、水位センサ10が発汗量測定器1の最下位の位置に配設されているため、正しい水深X1の検出が可能となる。この水位検出(水深X1の測定)に併せて、一対の電極8a,8bに所定の電圧を印加して入浴前の浴槽水Wの電気伝導率の測定を行う。この電気伝導率の値は、上記の一対の電極8a,8bへの電圧印加により一対の電極8a,8b間の浴槽水の電気抵抗率が得られ、この得られた電気抵抗率の逆数として電気伝導率を得るようにすればよい。
以上で初期設定処理が終了するため、発汗量測定のための準備が完了した旨を表示部3に表示する(ステップS8)。以後、入浴者が浴槽12に入浴した状態で自己の発汗量を知りたいときに、入浴者が測定スイッチ5をON操作することにより、測定開始指令が出力されるのを待つ(ステップS9でNO)。そして、測定スイッチ5がON操作されて測定開始指令が出力されると(ステップS9でYES)、ステップS10〜S16の発汗量測定処理を開始する。
すなわち、まず上記のステップS7の処理と同様処理によって入浴者が入浴中の浴槽水の水深X2の測定を行う(ステップS10)。つまり、表示部3に対し、水深測定のために発汗量測定器1を浴槽12の底まで沈めるように指示する内容の文字案内を表示する。これにより、入浴者が発汗量測定器1を浴槽水Wの中を浴槽12の底まで沈めると、水位センサ10から出力される水位検出値を水深X2として一時記憶する。
次に、入浴者Pの水中体積Yの演算を、ステップS10で得た入浴中の水深X2(図4(b)参照)と、身長Hと、体重Wと、ステップS6の演算で得た体比重Dとを用いて、 [{(X2/H)+0.463}×W]/D=Y …(3)
式(3)により行う(ステップS11)。この式(3)中の常数0.463は、日本人の成人の平均身長に対する平均座高の割合を示す数値である。これは入浴者Pが浴槽内で長座位(浴槽内に尻を底に着けて脚を折り曲げて座った姿勢)で浴槽水Wに浸かっている場合には、入浴者の下半身部分は全て浴槽水Wに浸かっているとして、残る上半身部分(尻から頭まで)の内、浴槽水W内に浸かっている部分の身長に対する割合は「0.463」であることを表している。以上で、浴槽12内の浴槽水W中に長座位で浸かっている入浴者の水中体積Yが演算で得られる。
そして、浴槽12内の浴槽水Wの水量Zを、ステップS11で得られた水中体積Yと、入浴中の浴槽水Wの水深X2と、入浴前の水深X1とを用いて、
{Y/(X2−X1)}×X1=Z …(4)
式(4)により行う(ステップS12)。これは、入浴者P(図4(b)参照)が入浴することにより水深がX1からX2に増大したため、入浴者Pの水中体積Yに相当する体積の水が水深X2とX1との差分に対応するということから導かれるものである。
次に、浴槽水Wの温度を温度センサ9により検出すると共に、入浴中の浴槽水Wの電気伝導率を一対の電極8a,8bに電圧印加することによりステップS7と同様に測定して得る(ステップS13)。
次いで、入浴中の現時点の浴槽水Wの塩分濃度Lnと、初期設定処理での入浴前の浴槽水Wの初期塩分濃度Liとを演算で求める(ステップS14)。これは、入浴者が入浴により発汗すると浴槽水Wの中に塩分(NaCl)が溶け込んで浴槽水Wの電気伝導率が増大することに基づいて、予め電気伝導率と塩分濃度との関係を記憶部114に登録しておき、かかる関係から求めるようにしている。又、電気伝導率は浴槽水Wの温度が高くなると増大する傾向にあるため(例えば、25℃基準とすると1℃の温度上昇で約2%増大)、浴槽水Wの検出温度に基づいて補正をかけるようにしている。
そして、発汗量Svを、この入浴前の初期塩分濃度Liと、入浴中の現時点での塩分濃度Lnとの差と、浴槽水Wの水量Zとに基づいて、
{(Ln−Li)×Z}/0.009=Sv …(5)
式(5)により演算する(ステップS15)。ここで、数値0.009は、熱的環境下(つまり入浴中)に発汗する汗中の塩分濃度(0.9%)を表す。そして、得られた発汗量Svを表示部3に対し表示する(ステップS16)。以後、発汗量Svの表示を継続しつつ、測定スイッチ5が入浴者により再度ON操作されるのを待つために、ステップS9での待機に戻る。
以上の発汗量測定器1によれば、入浴者自身が持ち運びすることができ、設置のための工事等を一切必要とすることなく、入浴中の発汗量を測定することができる。しかも、スイッチ操作するだけで、入浴者は入浴中の任意のタイミングで、入浴に伴う自己の発汗量を把握することができ、健康管理はもとより、入浴によるダイエット効果の目安を簡易に把握することができるようになる。さらに、初期設定処理を予め終了させておくだけで、以後の入浴中には繰り返し発汗量を測定することができ、入浴継続に伴う発汗量の変化を把握することができる。
<第2実施形態>
図7及び図8は第2実施形態に係る発汗量測定処理に係るフローチャートを示す。この第2実施形態は入浴者の体脂肪率を入浴者の身長Hと体重Wとの2つのデータから演算により自動的に求めるようにしている。第2実施形態は、この点においてのみ第1実施形態と異なり、その他の構成は第1実施形態と同じであるため、異なる点についてのみ以下説明する。
初期設定処理(図7参照)はステップS21〜ステップS28により構成されるが、特にこの内のステップS25の体脂肪率Fatの演算処理が第1実施形態の初期設定処理(図5参照)と異なり、ステップS26〜S28の各処理は第1実施形態のステップS6〜S8と同じである。そして、初期設定処理が終了して、入浴者が測定スイッチ5をON操作することにより、測定開始指令が出力されるのを待ち(ステップS29でNO)、測定スイッチ5がON操作されて測定開始指令が出力されると(ステップS29でYES)、第1実施形態のステップS10〜S16(図6参照)と同じ発汗量測定処理(ステップS30〜S36)が開始される。
この第2実施形態では、入浴者が電源スイッチ4を押してON操作することにより処理が開始されて、ステップS21で、入浴者自身の固有データに関し記憶部114に前回記憶設定されている前回データを使用するか、前回データを使用しないで固有データを今回新規に入力設定するかのいずれを選択して指令入力を促す旨の表示を表示部3に対し行うことになるが、ここでの固有データが入浴者の身長Hと体重Wの2種類のデータのみで構成されている点で、これらに体脂肪率Fatも固有データの内の1つのデータとしている第1実施形態と異なる。このため、ステップS21で入浴者が前回データの使用を選択すれば、身長H・体重Wの2種類についての前回データを記憶部114から演算処理部111に読み出してステップS25に移行する(ステップS22)。逆に、入浴者が新規入力を選択すれば、ステップS23にて身長Hを、ステップS24にて体重Wをそれぞれ個別に入力操作を促す表示と、入力されたデータの設定・受付を行う。このステップS23の身長データの設定受付は第1実施形態のステップS3の処理と同様に、ステップS24の体重データの設定受付は第1実施形態のステップS4の処理と同様に行う。その上でステップS15に移行する。
ステップS25では体脂肪率Fatを次の3段階の演算を経て得るようにしている。すなわち、まず、体重Wと身長Hとを用いて体表面積Mの演算を、
0.425×H0.725×72.46=M …(6)
式(6)により行う。次に、この演算で得た体表面積Mを用いて体水分量Tの演算を、
0.0027×M−11.121=T …(7)
式(7)により行う。そして、この演算で得た体水分量Tと、体重Wとを用いて体脂肪率Fat(%)の演算を、
100−(T×100/W)/0.732=Fat …(8)
式(8)により行う。ここで、式(6)は高比良の推定式(冨田明美「日本人青年男女の体表面積に関する研究」日本生気象学会雑誌 36巻1号43頁−51頁)を用い、式(8)は人体に対する体水分量の割合が73.2%でほぼ一定であるという原理から体水分率(T×100/W)を用いて体脂肪率Fat(%)を推定する推定式(小宮秀一「日本人男子の体脂肪率(%Fat)推定式」体力科学 35巻5号259頁−268頁)を用いたものである。
以上の第2実施形態の場合には、入浴者が自己の体脂肪率を予め把握していなくても、身長と体重についてのデータを与えるだけで発汗量測定器1が自動的に演算するようになっているため、その分、第1実施形態よりも簡易に発汗量測定を行うことができる。
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1及び第2実施形態では、発汗量測定器1の全体形状として外装ケース2の形状を示しているが、外装ケース2の形状に特に限定されることなく、いずれの形状であっても適用し得る。要するに、携帯可能で水密構造に構成し得るものであれば、どのような形状でも外装ケースの形状として採用することができる。又、別に専用のフロート部を付設することにより外装ケースを浴槽水の水面上に浮いた状態にするようにしてもよい。表示部3や各種スイッチ4,5,6,7a,7bの配置、あるいは、一対の電極8a,8bや各種センサ9,10の配置も、適宜変更し得るものである。さらに、最終的に得られた発汗量の値を表示部3に表示することに代えて/あるいは加えて人工音声による音声案内により入浴者に報知するようにしてもよい。
本発明の実施形態を示し、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は縦断面説明図である。 図2(a)は図1の実施形態の平面図、図2(b)は図1の実施形態の底面図である。 コントローラの構成を示すブロック図である。 浴槽の断面説明図であり、図4(a)は入浴前であって湯張りされた状態を示し、図4(b)は入浴者が入浴している状態を示す。 発汗量測定処理の前半部のフローチャートである。 発汗量測定処理の後半部のフローチャートである。 第2実施形態における発汗量測定処理の前半部のフローチャートである。 第2実施形態における発汗量測定処理の後半部のフローチャートである。
符号の説明
1 発汗量測定器
2 外装ケース
3 表示部(報知手段,入力手段)
5 測定スイッチ
6 設定スイッチ(入力手段)
7a,7b 選択スイッチ(入力手段,水量情報取得手段)
8a,8b 電極
9 温度センサ
10 水位センサ(水量情報取得手段)
11 コントローラ

Claims (6)

  1. 入浴者の入浴中の発汗量を測定する発汗量測定器であって、
    浴槽内の浴槽水に浮かぶように構成された外装ケースと、
    上記浴槽水の電気伝導率を測定する一対の電極と、
    上記浴槽水の水量特定に係る情報を取得する水量情報取得手段と、
    発汗量測定に係る演算処理を実行するコントローラと、
    このコントローラでの演算処理により得られた上記発汗量を入浴者に報知する報知手段とを備え、
    上記一対の電極と、水量情報取得手段と、コントローラと、報知手段とは、上記外装ケースに一体に配設され、
    上記コントローラは、上記一対の電極により入浴前の浴槽水の電気伝導率と、入浴中の浴槽水の電気伝導率との測定を実行し、測定された2つの電気伝導率の差から入浴前及び入浴中の両者間の塩分濃度の差を演算する一方、上記水量情報取得手段により取得された情報に基づき上記浴槽水の水量の特定を実行して、上記塩分濃度の差と浴槽水の水量とに基づいて入浴者の入浴中の発汗量を演算するように構成されている
    ことを特徴とする発汗量測定器。
  2. 請求項1に記載の発汗量測定器であって、
    上記浴槽水の温度を検出する温度センサが上記外装ケースに配設され、
    上記コントローラは上記温度センサにより検出された浴槽水の温度に基づき電気伝導率の温度補正を加えるように構成されている、発汗量測定器。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の発汗量測定器であって、
    上記水量情報取得手段は、上記入浴者に関する身長及び体重に関する固有データを入力設定する入力手段と、上記浴槽水の水深を検出する水位センサとを備え、
    上記コントローラは、上記入力手段により入力設定された身長及び体重に基づく入浴者の体脂肪率の演算と、演算された体脂肪率を用いた入浴者の体比重の演算と、演算された体比重、上記水位センサにより検出させた入浴中の水深、及び、上記入力設定された身長・体重に基づく入浴中の入浴者の水中体積の演算とを行った上で、演算された水中体積と、上記水位センサにより検出された入浴前及び入浴中の水深差とに基づき浴槽水の水量を演算するように構成されている、発汗量測定器。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の発汗量測定器であって、
    上記水量情報取得手段は、上記入浴者に関する身長、体重及び体脂肪率に関する固有データを入力設定する入力手段と、上記浴槽水の水深を検出する水位センサとを備え、
    上記コントローラは、上記入力手段により入力設定された体脂肪率を用いた入浴者の体比重の演算と、演算された体比重、上記水位センサにより検出させた入浴中の水深、及び、上記入力設定された身長・体重に基づく入浴中の入浴者の水中体積の演算とを行った上で、その水中体積と、上記水位センサにより検出された入浴前及び入浴中の水深差とに基づき浴槽水の水量を演算するように構成されている、発汗量測定器。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の発汗量測定器であって、
    上記入力手段により入力設定された固有データを記憶更新させる記憶手段を備え、
    上記コントローラは、入浴者の選択によって、上記入力手段による固有データの入力設定に代えて、上記記憶手段に前回記憶更新された前回データを読み出して演算に用いるように構成されている、発汗量測定器。
  6. 請求項3〜請求項5のいずれかに記載の発汗量測定器であって、
    入力手段は上記外装ケースの上面に配設される一方、一対の電極と、温度センサと、水位センサとは上記外装ケースの下面であって浴槽水に浮かべた場合に水面下に水没する下向き面に配設されている、発汗量測定器。
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