JP2009183238A - 花芽分化促進栽培法 - Google Patents
花芽分化促進栽培法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009183238A JP2009183238A JP2008028201A JP2008028201A JP2009183238A JP 2009183238 A JP2009183238 A JP 2009183238A JP 2008028201 A JP2008028201 A JP 2008028201A JP 2008028201 A JP2008028201 A JP 2008028201A JP 2009183238 A JP2009183238 A JP 2009183238A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- water supply
- pot
- seedlings
- flower bud
- seedling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Cultivation Of Plants (AREA)
Abstract
【課題】大きな夜冷装置や冷却装置を設備しなくても、給水の蒸散によって発生した蒸発熱で冷却し、イチゴ等個別の植物に花芽分化促進効果を起こさせることを可能とする。
【解決手段】上下の培地がむき出しになったアースストレートポット1は、頭上からの潅水に頼ることなく底面から容易に給水でき、前記ポットと育苗マットを組み合わせることで底面給水による蒸散を盛んにするので気化熱によりハウス内の個別の植物を均一に冷却可能で、炭素病を回避すると共に、大きな設備を導入することなく、前記アースストレートポット1で底面給水により育苗したアースストレートポット苗を培地を包んだ不織布バッグ2に定植して栽培する花芽分化促進栽培法である。点滴チューブ3が配置された不織布バッグ2に組み合わせてア−スストレートポット苗を少し上に上げて傾けて定植し相乗効果により花芽分化を促進して早期出荷を実現する。
【選択図】図5
【解決手段】上下の培地がむき出しになったアースストレートポット1は、頭上からの潅水に頼ることなく底面から容易に給水でき、前記ポットと育苗マットを組み合わせることで底面給水による蒸散を盛んにするので気化熱によりハウス内の個別の植物を均一に冷却可能で、炭素病を回避すると共に、大きな設備を導入することなく、前記アースストレートポット1で底面給水により育苗したアースストレートポット苗を培地を包んだ不織布バッグ2に定植して栽培する花芽分化促進栽培法である。点滴チューブ3が配置された不織布バッグ2に組み合わせてア−スストレートポット苗を少し上に上げて傾けて定植し相乗効果により花芽分化を促進して早期出荷を実現する。
【選択図】図5
Description
本発明は、0.01mm以下の不織布で培地の周囲を包み、上下は培地がむき出しになっているポット(以下「アースストレートポット」という。)で苗を直接受け又は挿し苗育苗し、アースストレートポットで育苗する苗をそのまま不織布バッグに定植するため、ポットの下に敷いた給水マットからの給水が容易な底面給水用アースストレートポットを用いて底面給水することにより、又アースストレートポットと点滴チューブを配置する不織布バッグとを組み合わせることにより、気化熱でハウス内の個別の植物の根部が冷却されることにより花芽分化を起こす花芽分化促進栽培法に関するものである。例えばイチゴ、シクラメン、デルフィニウムのような低温で花芽分化が促進される野菜や花の花芽分化促進効果があり、夜冷処理や暗黒処理をすることなく早期の出荷が可能になる栽培法である。
従来の花芽分化促進のための機械的な処理は、イチゴの場合には紙ポットに植えて育苗期に、夜冷装置を用いている。デルフィニウムの育苗期にはクーラー育苗が行なわれている。いずれの苗も定植後には、冷却方法としてトンネル状態にしたハウス内へ冷気を通す方法が行なわれており、その方法で花芽分化促進効果がある。従来の処理方法で花芽分化促進効果を得るためには、冷却装置を設置して、冷気或いは冷水を作って、冷気或いは冷水をハウス内へ送る装置が必要になる。
これらの装置は大型になり、設置するには大きな設備投資が必要になる。冷却水を流す場合には小型の装置があったが、小型であるために効果が不安定である。このために広い面積を安定的に冷却することが難しいという問題がある。
従来の育苗ポットの問題は、イチゴの育苗の例を説明すれば、イチゴの育苗に使用するプラスチックポットやビニールポットは、連年使用するため病気等の除去を確実に行う必要があるが、ポットに土等が残り完全に殺菌されず、病気の罹病を引き起こすことである。従来のポットは、農家が土入れを行うため、土入れに時間を要すると共に、病気が土と共に混入する可能性がある。更にこれら従来の育苗に使用されてきたポットは、通気性が悪く、育苗期間中高温になるため、根痛みを起こし、花芽分化の促進効果も乏しい等の問題がある。
従来の育苗で実用されているポットは、従来のポットを用いて頭上潅水を行うため、炭素病を誘発し、株の枯死が問題となっている。従って、育苗中に潅水の問題が、充分解決されているとはいえない状況にある。μチューブ等による固体別潅水が行われている場合もあるが、高価な設備であり容易に導入できない。
底面給水の方法は、前記ポットそれぞれの規格設備を用い、桶等の水受けに直接ポットの底面を浸け給水する方法等(例えば、特許文献1〜2)も提案されているが、簡易な方法はない。
これらの装置は大型になり、設置するには大きな設備投資が必要になる。冷却水を流す場合には小型の装置があったが、小型であるために効果が不安定である。このために広い面積を安定的に冷却することが難しいという問題がある。
従来の育苗ポットの問題は、イチゴの育苗の例を説明すれば、イチゴの育苗に使用するプラスチックポットやビニールポットは、連年使用するため病気等の除去を確実に行う必要があるが、ポットに土等が残り完全に殺菌されず、病気の罹病を引き起こすことである。従来のポットは、農家が土入れを行うため、土入れに時間を要すると共に、病気が土と共に混入する可能性がある。更にこれら従来の育苗に使用されてきたポットは、通気性が悪く、育苗期間中高温になるため、根痛みを起こし、花芽分化の促進効果も乏しい等の問題がある。
従来の育苗で実用されているポットは、従来のポットを用いて頭上潅水を行うため、炭素病を誘発し、株の枯死が問題となっている。従って、育苗中に潅水の問題が、充分解決されているとはいえない状況にある。μチューブ等による固体別潅水が行われている場合もあるが、高価な設備であり容易に導入できない。
底面給水の方法は、前記ポットそれぞれの規格設備を用い、桶等の水受けに直接ポットの底面を浸け給水する方法等(例えば、特許文献1〜2)も提案されているが、簡易な方法はない。
ポットでの底面給水法の問題は、特許文献3〜4の例のようにポットの大きさや形によりそれぞれの規格設備を用い、水受けに直接ポットの底面を浸け給水する等の方法が提案されているが、底面給水用ポットと小型底面給水用トレイを組み合わせて育苗用と育苗苗の移動用にも使用できるようにした簡易な育苗システムは無いといって過言ではない。なぜなら、直接ポットを水に浸けると夏場の高温で水が湯になったり、根を痛めるからである。
給水方法としては大型ベンチに給水マットを敷き底面給水により給水する育苗法が提案されているが、給排水は大型の施設となり(例えば、特許文献5)、導入が難しい。
給水方法としては大型ベンチに給水マットを敷き底面給水により給水する育苗法が提案されているが、給排水は大型の施設となり(例えば、特許文献5)、導入が難しい。
イチゴの鉢受け苗や挿し苗にポット若しくはトレイを用いて底面給水する用途において、この欠点は施設の導入に関して大きな障害である。具体的には、桶等の水受けが夏場の高温で根腐りの原因となったり、施設の大型化、あるいは、連年使用によって炭素病が発生するなどの問題があった。
この改善策として、雨よけハウスによるイチゴ苗の底面給水法が検討されている。特許文献6〜7、14に示されるように、イチゴの花芽分化は、低温と短日条件下で起こる。
特開2005−198636号公報
特開2003−204722号公報
特開平8−205699号公報
特開平10−84785号公報
特開平10−262477号公報
特開2007−289125号公報
特開2006−296202号公報
特開2004−208550号公報
特開2004−121045号公報
特開2003−92931号公報
特開2001−95380号公報
特開2001−45866号公報
特開平11−239417号公報
特開平10−178944号公報
特開平8−266157号公報
特開平5−184245号公報
イチゴは育苗中、炭素病に罹病することが大きな問題であり、その回避方法の開発は急務である。炭素病は雨による土面からの跳ね返りで広がるが、雨と強風で植物体が傷め付けられた時は、更にその被害は拡大する。又育苗中の頭上潅水でも罹病株から被害が拡大する。そのため、イチゴの育苗中は、風雨に育苗苗を当てず、頭上潅水によらない潅水法で育苗することが望ましい。そこで、育苗中は雨よけハウス(台風等にも耐える強度のもの)で育苗し、底面給水を行う。又、育苗方法は、鉢受け育苗とするが、親株は病気に罹病していない無病苗を親株に用いることを前提とし、さらに2段階育描法で採取した若苗を親株に用いる。このようにして育苗した親株から発生したランナーを底面給水用ポットで鉢受けし、育苗する。これを要約すると炭素病にかからない育苗法は、台風に耐える小面積のハウス内で、簡易で安価な底面育苗施設で育苗することである。
これを可能にする底面育苗法がアースストレートポットと給水マットを併せた底面給水育苗法である。
本発明の花芽分化促進栽培法の実施のために必要なものは、前記アースストレートポットと、給水マット(根切りシート+不織布+トレイ)及び不織布バッグの三点である。アースストレートポットで底面給水育苗法により育苗した苗(以下、アースストレートポット苗という。)を不織布バッグに定植して栽培する。
本発明は、気化熱によりポット培地の温度を下げること、アースストレートポットへの給水とマット自体が気化熱により温度を下げること、不織布バッグ自体が気化熱で冷えることとにより、不織布バッグにアースストレートポット苗を定植することでアースストレートポット苗に給水マットと同じ働きをする不織布バッグで花芽分化促進させることを目的とする。
これを可能にする底面育苗法がアースストレートポットと給水マットを併せた底面給水育苗法である。
本発明の花芽分化促進栽培法の実施のために必要なものは、前記アースストレートポットと、給水マット(根切りシート+不織布+トレイ)及び不織布バッグの三点である。アースストレートポットで底面給水育苗法により育苗した苗(以下、アースストレートポット苗という。)を不織布バッグに定植して栽培する。
本発明は、気化熱によりポット培地の温度を下げること、アースストレートポットへの給水とマット自体が気化熱により温度を下げること、不織布バッグ自体が気化熱で冷えることとにより、不織布バッグにアースストレートポット苗を定植することでアースストレートポット苗に給水マットと同じ働きをする不織布バッグで花芽分化促進させることを目的とする。
本発明の花芽分化促進栽培法は、ピートモス、籾殻くん炭、パーライトを主要な材料としてなる培地を不織布で包み、上下を開放した培地がむき出しになったアースストレートポットを、底面給水用トレイの育苗マット上に置いて底面給水をすることにより育苗し、前記培地を不織布で包む不織布バッグに組み合わせて育苗苗を不織布バッグに定植することにより、気化熱を利用することでハウス内の個別の植物を均一に冷却できるようにすることを最も主要な特徴とする。
底面給水による花芽分化促進効果について説明すると底面給水育苗苗は、頭上潅水をせずに底面から給水するため、炭素病を回避できる。その簡便な育苗方法として、底面給水シート(不織布+根きりマット)と外周を不織布で覆い底面すべてから給水可能にしたアースストレートポットの利用法を提案する。しかし、底面給水マットとアースストレートポットを利用した底面給水法が花芽分化促進効果を劇的に生むことが判明した。
本発明の花芽分化促進栽培法は、育苗期に0.01mm以下の不織布で前記培地を包むアースストレートポットを使用するため、培地は不織布で包まれていることから、通気性に優れ、底面に敷かれた給水マットから容易に給水できる。アースストレートポットと培地を入れた不織布バッグとを組み合わせて、アースストレートポットで底面給水法により育苗した苗を不織布バッグに定植することによって、通気性に優れた不織布は根痛みを起こしにくく、気化熱で培地温低下が図られるため、冷却のために高価な装置や設備を設置する育苗栽培装置を使用しないでも、気化熱を利用してハウス内の個別の植物を均一に冷却できる利点がある。
本発明の花芽分化促進栽培法は、育苗期に0.01mm以下の不織布で前記培地を包むアースストレートポットを使用するため、培地は不織布で包まれていることから、通気性に優れ、底面に敷かれた給水マットから容易に給水できる。アースストレートポットと培地を入れた不織布バッグとを組み合わせて、アースストレートポットで底面給水法により育苗した苗を不織布バッグに定植することによって、通気性に優れた不織布は根痛みを起こしにくく、気化熱で培地温低下が図られるため、冷却のために高価な装置や設備を設置する育苗栽培装置を使用しないでも、気化熱を利用してハウス内の個別の植物を均一に冷却できる利点がある。
上下の培地がむき出しになったアースストレートポットは、頭上からの潅水に頼ることなく底面から容易に給水でき、前記ポットと育苗マットを組み合わせることで底面給水による蒸散を盛んにするので気化熱によりハウス内の個別の植物を均一に冷却可能で、炭素病を回避すると共に、大きな設備を導入することなく、育苗期には不織布で培地の周囲を包んで上下開放のアースストレートポットを用いて育苗した苗をそのままで点滴チューブを配置している不織布バッグに定植し、定植後の栽培期にはアースストレートパックを不織布バッグに組み合わせて摘果期まで栽培することで花芽分化促進を実現した。
前記のようにアースストレートポットは、底面給水による蒸散が盛んに行なわれる。このため、アースストレートポットを培地を包む不織布バッグに組み合わせてもよく、ア−スストレートポットを点滴チューブが配置されている不織布バッグに組み合わせることで更に育苗期から定植栽培期に至るまで効果的に花芽分化促進を実現することができた。
図1〜6は、イチゴについて本発明の花芽分化促進栽培法を適用した1実施例の実施方法を示す説明図(写真及び図面)である。図1は、アースストレートポット苗を定植した不織布バッグ、図2は、アースストレートポット苗を定植した初期の不織布バッグ、図3は、点滴チューブを配置した不織布バッグ、図4は、緩効性肥料を置いた不織布バッグ、図5は、実施例のアースストレートポット苗を不織布バッグに定植する方法を示す側断面図、図6は同平面図である。符号1は、アースストレートポット、2は、不織布バッグ、3は、点滴チューブ、4は、定植株、5は、緩効性肥料、6は、不織布シート、7は、寒冷紗である。
本発明の花芽分化促進栽培法をイチゴ栽培に適用した実施例について説明する。
栽培用苗を育てる育苗期段階ではピートモス、籾殻くん炭、パーライトを主要な材料としてなる培地を不織布で包み、上下を開放した培地がむき出しになった底面給水用アースストレートポット1と小型底面給水用トレイを用いて、育苗マットを組み合わせて底面給水をすることより花芽分化促進させて育苗する。栽培期段階で育苗したアースストレートポット苗を定植して摘果期まで栽培する。
栽培用苗を育てる育苗期段階ではピートモス、籾殻くん炭、パーライトを主要な材料としてなる培地を不織布で包み、上下を開放した培地がむき出しになった底面給水用アースストレートポット1と小型底面給水用トレイを用いて、育苗マットを組み合わせて底面給水をすることより花芽分化促進させて育苗する。栽培期段階で育苗したアースストレートポット苗を定植して摘果期まで栽培する。
そのアースストレートポット苗を栽培期段階では前記培地の周囲を不織布で包む不織布バッグ2にそのままで定植し、点滴チューブ3を配置している不織布バッグ2に給水をすることにより、気化熱で植物の根部を冷却して低温で第1腋果房の花芽分化を促進させることを特徴とする。
イチゴ苗の育苗期には、0.01mm以下の不織布で培地の周囲を包む底面給水用アースストレートポット1を用いて育苗し、栽培期には、培地を不織布で包む不織布バッグ2に育苗苗を定植して栽培する。アースストレートポット1の不織布は0.01mm以下のものが通気性もよく、給水の蒸散が盛んで気化熱で栽培苗の根部を冷却する効果が顕著に現れる。
イチゴの花芽分化促進処理について説明すれば、イチゴの花芽分化は、低温と短日条件下で起こる。自然条件下で愛媛県では8月下旬からの気候条件をイチゴが感知し始め、9月20日頃分化が始まる。イチゴは成長点の肥大を確認後直ちに定植する。品種によりその分化始期は異なるが、9月17〜26日頃ほとんどの品種が花芽分化する。
イチゴの花芽分化時期が早いと当然収穫時期が早まることから、人工的に花芽分化を促進させることで、価格が高い早い時期に収穫を始める技術が開発された。
従来の花芽分化を早める技術は、低温と短日条件を同時に与える夜冷育苗と低温だけを低温庫内で与える低温暗黒処理の二つの育苗法がある。
夜冷育苗は二つの条件を同時に与えるため、苗の分化率はかなり高く80%以上となるが、処理のための機器に多額の投資が必要となる。それに比べ低温暗黒処理は低温庫内で処理できるため、投資額は少ないが品種間で分化率が異なり、不安定な欠点を持つ。
イチゴの1品種である「さちのか」の夜冷処理は、8月25日頃から開始し、3週間程度処理した後、9月17日頃定植するが、その花芽分化率は80%程度が最高値となる。又低温暗黒処理は9月に入ってから開始するものの、処理後の栄養状態やその年の気候に大きく左右され、処理しない方が花芽分化が早まることも多く、その効果は不安定なのが実情である。
イチゴの花芽分化時期が早いと当然収穫時期が早まることから、人工的に花芽分化を促進させることで、価格が高い早い時期に収穫を始める技術が開発された。
従来の花芽分化を早める技術は、低温と短日条件を同時に与える夜冷育苗と低温だけを低温庫内で与える低温暗黒処理の二つの育苗法がある。
夜冷育苗は二つの条件を同時に与えるため、苗の分化率はかなり高く80%以上となるが、処理のための機器に多額の投資が必要となる。それに比べ低温暗黒処理は低温庫内で処理できるため、投資額は少ないが品種間で分化率が異なり、不安定な欠点を持つ。
イチゴの1品種である「さちのか」の夜冷処理は、8月25日頃から開始し、3週間程度処理した後、9月17日頃定植するが、その花芽分化率は80%程度が最高値となる。又低温暗黒処理は9月に入ってから開始するものの、処理後の栄養状態やその年の気候に大きく左右され、処理しない方が花芽分化が早まることも多く、その効果は不安定なのが実情である。
夜冷処理について説明すれば、夜冷処理を行なうためには低温装置と日長処理を同時に行なえる装置が必要で一般農家が取り入れることは難しいことから、促進効果がそれほど高くなく、品種によっては不安定ではあるものの、安価に行なえる低温暗黒処理が花芽分化促進技術の主流となっている。
しかし、アースストレートポット自体に気化熱による花芽促進効果があるものの、アースストレートポットと底面給水マットの併用処理は、高価な夜冷処理機器や不安定な低温暗黒処理を行なうことなく、安定して夜冷処理並みの花芽分化促進効果を得ることができる。
アースストレートポットと給水マットの併用されると相乗作用で、気化熱による頂果房(第1果房)の花芽促進効果がある。
アースストレートポットと給水マットの併用されると相乗作用で、気化熱による頂果房(第1果房)の花芽促進効果がある。
ポットの花芽分化促進効果は、紙ポットで報告されている。しかし、その効果は実施された県で異なり、効果があった報告とあまり見られなかったという報告に別れている。紙ポットで見られる花芽分化促進効果は、プラスチック等で作られた小型ポットでは見られない。紙ポットで起こる花芽分化の促進は、根部が気化熱で冷やされることに起因すると考えられる。
本発明の実施例で用いたアースストレートポット1は、外周が不織布で覆われていること、底部が底面給水マットとむき出しに接していることから、紙ポットと同様に気化熱で根部が冷やされ、花芽が促進されると考えられる。
紙ポットとアースストレートポットを頭上潅水し育苗した時、花芽分化促進程度は合成樹脂製アイポットより2日程度で、アイポットを底面給水した時、花芽分化促進効果は見られなかった。
しかし、底面給水マットとアースストレートポットを併用した時、さちのか(定植適期:9月17日)、紅ほっぺ(定植適期:9月14〜15日)は夜冷育苗並みに花芽分化が促進した。これほどの花芽分化促進効果は機械処理では見られるものの、ポットとマットを用いた簡易処理での報告例はない。
本発明の実施例により得られた大幅な花芽分化促進効果は、アースストレートポットと底面給水マットの併用で気化熱を最大限に利用できた結果、根部の温度が大幅に低下したことによると考えられる。実際に、夜間、花芽分化促進効果がある25℃以下の温度をアイポット(合成樹脂製ポット)では得られないが、アースストレートポットと底面給水マットの併用では、送風しない場合には23℃程度まで低下し、送風した場合には20℃程度まで低下している。
次に示す表1は、給水方法とポットとの組み合わせにより起きる花芽分化促進効果について表したものである。表1中のアイポットは、合成樹脂製ポットである。
紙ポットとアースストレートポットを頭上潅水し育苗した時、花芽分化促進程度は合成樹脂製アイポットより2日程度で、アイポットを底面給水した時、花芽分化促進効果は見られなかった。
しかし、底面給水マットとアースストレートポットを併用した時、さちのか(定植適期:9月17日)、紅ほっぺ(定植適期:9月14〜15日)は夜冷育苗並みに花芽分化が促進した。これほどの花芽分化促進効果は機械処理では見られるものの、ポットとマットを用いた簡易処理での報告例はない。
本発明の実施例により得られた大幅な花芽分化促進効果は、アースストレートポットと底面給水マットの併用で気化熱を最大限に利用できた結果、根部の温度が大幅に低下したことによると考えられる。実際に、夜間、花芽分化促進効果がある25℃以下の温度をアイポット(合成樹脂製ポット)では得られないが、アースストレートポットと底面給水マットの併用では、送風しない場合には23℃程度まで低下し、送風した場合には20℃程度まで低下している。
次に示す表1は、給水方法とポットとの組み合わせにより起きる花芽分化促進効果について表したものである。表1中のアイポットは、合成樹脂製ポットである。
育苗中の潅水は、マイクロチューブ等による固体別潅水は高価な施設であるから、容易に導入できないが、本発明のアースストレートポットは上下の培地がむき出しになっているものであって、頭上からの潅水に頼ることなく底面から容易に吸水でき、育苗マットと組み合わせることで底面給水が容易であるから炭素病の回避が可能である。
プラスチックポットやビニールポットでの底面給水法は、それぞれの規格設備を用い、底面給水するため、汎用性がない。大型のベンチでの底面給水による育苗は大型の施設となり、導入が難しい。
本発明の底面給水用アースストレートポットと小型底面給水用トレイに給水用マットと根きりマットを併用した給水トレイで鉢受け及び挿し苗育苗し、底面からの給水のみで育苗できる本発明の実施例では、アースストレートポットと小型底面給水用トレイを使用することで特に大きな施設を要することなくあらゆる場所での育苗が容易になり、花芽分化を促進できる。
本発明の底面給水用アースストレートポットと小型底面給水用トレイに給水用マットと根きりマットを併用した給水トレイで鉢受け及び挿し苗育苗し、底面からの給水のみで育苗できる本発明の実施例では、アースストレートポットと小型底面給水用トレイを使用することで特に大きな施設を要することなくあらゆる場所での育苗が容易になり、花芽分化を促進できる。
従来のように土入れ前のポットの洗浄や、土入れ等の作業の必要がなく、殺菌された培地を使用するアースストレートポットを用いて底面給水を行う場合に、小型底面給水用トレイを用いて底面給水を行う。その小型底面給水用トレイは、親株からランナーを鉢受けする場合のランナー切り離し後にまた挿し苗育苗でも、小型底面給水用トレイであるからイチゴ30固体程度の育苗が可能なものであればそのまま移動できる。
本発明の実施方法で使用された0.01mm以下の不織布で培地の周囲を包囲したアースストレートポットは、育苗中、アースストレートポットに風を当てることによって気化熱を奪うことで容易に花芽分化促進育苗することができる簡易な育苗システムを提供できる。
不織布バッグ2を利用した頂果房(第1果房)と第1腋果房(第2果房)の花芽促進効果について説明する。
花芽分化していないアースストレートポット苗を不織布バッグ2に緩効性肥料5を施して定植することでも、頂果房(第1果房)の花芽が促進される。これは時期的に花芽分化した苗を植える必要がないことを意味し、定植期間を広げる効果を生み出す。
アースストレートポットで花芽分化したアースストレートポット苗を不織布バッグ2に定植することで第1腋果房(第2果房)の花芽分化が促進され、続けて花が出蕾する。
イチゴの促成栽培では夜冷処理や低温暗黒処理により頂果房の花芽分化を自然条件下での花芽分化より早めることができるため、花芽分化した苗を9月上・中旬に定植することで収穫時期を早めることができる。しかし、第1腋果房の花芽分化は定植後のハウス内の条件に左右されるため、通常、無処理で定植する無冷促成栽培の第1腋果房出蕾時期とほとんど変わらなくなる。第1腋果房の花芽分化時期を早めるためには、定植後、株を冷蔵する方法が考案されているが、設備費が高いことが導入を妨げている要因になっている。
花芽分化していないアースストレートポット苗を不織布バッグ2に緩効性肥料5を施して定植することでも、頂果房(第1果房)の花芽が促進される。これは時期的に花芽分化した苗を植える必要がないことを意味し、定植期間を広げる効果を生み出す。
アースストレートポットで花芽分化したアースストレートポット苗を不織布バッグ2に定植することで第1腋果房(第2果房)の花芽分化が促進され、続けて花が出蕾する。
イチゴの促成栽培では夜冷処理や低温暗黒処理により頂果房の花芽分化を自然条件下での花芽分化より早めることができるため、花芽分化した苗を9月上・中旬に定植することで収穫時期を早めることができる。しかし、第1腋果房の花芽分化は定植後のハウス内の条件に左右されるため、通常、無処理で定植する無冷促成栽培の第1腋果房出蕾時期とほとんど変わらなくなる。第1腋果房の花芽分化時期を早めるためには、定植後、株を冷蔵する方法が考案されているが、設備費が高いことが導入を妨げている要因になっている。
不織布バッグ2は、気化熱で定植後の株を相当冷すことが可能と考えられるものである。それは、アースストレートポットと底面給水用マットとの併用で夜冷育苗並みに花芽分化促進ができたことに起因する。育苗苗を定植する不織布バッグは底面給水マットと同じ働きがあり、定植する苗はアースストレートポットで育苗しそのまま定植する。定植後も気化熱で定職株4が冷えると考えられる。
イチゴの生育適温と不織布バッグについて説明すると、イチゴの生育適温は17〜20℃であり、不織布バッグを利用した株冷却はイチゴ定植時の9月上・中旬、この温度以下に下がることはなく、生育遅延や生育障害を受けることはない。従って、定植後新たな処理をする必要がない本発明の方法は、イチゴの花芽分化を連続的に起こすことができる安価な方法と考えられる。その後の第2腋果房以降の発生と花芽分化はハウス内の条件が、短日・低温になることから連続して分化すると考えられる。
不織布バッグ2へ緩効性肥料5を施してアースストレートポット苗の定植方法について、次に示す(1)〜(4)の注意が必要である。
(1) 図5に示すように不織布バッグ2への定植は、アースストレートポット1を不織布バッグ2よりやや上げて定植する(図5参照)。
(2) 図6に示すように定植後に定植株4から次根がスムーズに発生し、バッグ2内に進入するよう株4は傾けて植えつける(図6参照)。
(3) 点滴チューブ3は不織布バッグ2の上に直接置くこととするが、乾くようであれば、点滴回数を多くしたり、不織布バッグ2の上に更に不織布シート6を敷き、その上に点滴チューブ3を置き、給水する(図5〜6参照)。
(4) 図5に示すように定植後2週間程度は20%遮光の寒冷紗7等で被覆し、蒸散と遮光に勤める(図5参照)。こうすることで、花芽分化が更に安定すると考えられる。なお、イチゴの光飽和点が3万ルクス程度であり、9月上・中旬は光量が5万ルクス以上あると考えられるため、遮光による徒長等の生育障害は生じないと考えられる。
(1) 図5に示すように不織布バッグ2への定植は、アースストレートポット1を不織布バッグ2よりやや上げて定植する(図5参照)。
(2) 図6に示すように定植後に定植株4から次根がスムーズに発生し、バッグ2内に進入するよう株4は傾けて植えつける(図6参照)。
(3) 点滴チューブ3は不織布バッグ2の上に直接置くこととするが、乾くようであれば、点滴回数を多くしたり、不織布バッグ2の上に更に不織布シート6を敷き、その上に点滴チューブ3を置き、給水する(図5〜6参照)。
(4) 図5に示すように定植後2週間程度は20%遮光の寒冷紗7等で被覆し、蒸散と遮光に勤める(図5参照)。こうすることで、花芽分化が更に安定すると考えられる。なお、イチゴの光飽和点が3万ルクス程度であり、9月上・中旬は光量が5万ルクス以上あると考えられるため、遮光による徒長等の生育障害は生じないと考えられる。
小型底面給水用ポットの改良は、培地の種類、培地の施肥量、気化熱の効率的な奪い方に改良の余地があり、本発明は不織布で培地を包囲することによりかつ底面給水に適した吸水性、通気性、作業の容易性にも優れて培地の交換の必要がない底面給水用アースストレートポットをマットを敷いた低面給水給水用トレイに置いて底面給水することにより炭素病を予防し、育苗したアースストレートポット苗を不織布バッグに定植することにより花芽分化促進効果を得ることができた。本発明は、イチゴの栽培に限らず、例えば、シクラメン、デルフィニウムのような低温で花芽が促進される野菜や花の花芽分化促進効果があり、早期の出荷が可能になる栽培法である。
1 アースストレートポット
2 不織布バッグ
3 点滴チューブ
4 定植株
5 緩効性肥料
6 不織布シート
7 寒冷紗
2 不織布バッグ
3 点滴チューブ
4 定植株
5 緩効性肥料
6 不織布シート
7 寒冷紗
Claims (3)
- イチゴ、シクラメン、デルフィニウム等の低温で花芽が促進される植物の栽培用苗を育てる育苗期段階ではピートモス、籾殻くん炭、パーライトを主要な材料としてなる培地を不織布で包み、上下を開放した培地がむき出しになった底面給水用アースストレートポットと小型底面給水用トレイを用いて、育苗マットを組み合わせて底面給水をすることより気化熱で植物の根部を冷却して低温で花芽分化促進させて育苗したアースストレートポット苗を定植することを特徴とする花芽分化促進栽培法。
- 請求項1に記載の育苗期段階で育苗したアースストレートポット苗を、ピートモス、籾殻くん炭、パーライトを主要な材料としてなる培地の周囲を不織布で包む不織布バッグの上に点滴チューブを配置し定植して、定植した不織布バッグに点滴チューブを用いて給水することにより、気化熱で植物の根部を冷却して低温で第1腋果房の花芽分化を促進させることを特徴とする花芽分化促進栽培法。
- 請求項1に記載の育苗期には、厚みが0.01mm以下の不織布で培地の周囲を包む底面給水用アースストレートポットを用いて育苗したアースストレートポット苗を、栽培期には、不織布バッグは培地を適宜な厚みの不織布で包む不織布バッグに定植して栽培することを特徴とする花芽分化促進栽培法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008028201A JP2009183238A (ja) | 2008-02-07 | 2008-02-07 | 花芽分化促進栽培法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008028201A JP2009183238A (ja) | 2008-02-07 | 2008-02-07 | 花芽分化促進栽培法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009183238A true JP2009183238A (ja) | 2009-08-20 |
Family
ID=41067206
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008028201A Pending JP2009183238A (ja) | 2008-02-07 | 2008-02-07 | 花芽分化促進栽培法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009183238A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106069158A (zh) * | 2016-07-23 | 2016-11-09 | 临汾市广奇农业发展有限公司 | 一种有机草莓种植方法 |
KR102189735B1 (ko) * | 2019-12-19 | 2020-12-11 | 구준영 | 냉각시스템을 이용한 딸기육묘방법 |
WO2022042226A1 (zh) * | 2020-08-24 | 2022-03-03 | 南京林业大学 | 一种青钱柳用育苗容器及提高青钱柳苗木质量的育苗方法 |
-
2008
- 2008-02-07 JP JP2008028201A patent/JP2009183238A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106069158A (zh) * | 2016-07-23 | 2016-11-09 | 临汾市广奇农业发展有限公司 | 一种有机草莓种植方法 |
KR102189735B1 (ko) * | 2019-12-19 | 2020-12-11 | 구준영 | 냉각시스템을 이용한 딸기육묘방법 |
WO2022042226A1 (zh) * | 2020-08-24 | 2022-03-03 | 南京林业大学 | 一种青钱柳用育苗容器及提高青钱柳苗木质量的育苗方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN103039278B (zh) | 油茶绿枝带叶苗砧嫁接方法 | |
JP4754523B2 (ja) | マンゴー通年栽培方法 | |
JP2008173053A (ja) | 葡萄栽培方法 | |
JP6896252B2 (ja) | カラマツ属植物の増殖方法 | |
CN106069141A (zh) | 一种樱花扦插育苗的方法 | |
JP4587083B2 (ja) | トルコギキョウの栽培方法 | |
KR20160128789A (ko) | 사과묘목 재배방법 | |
CN109429853A (zh) | 一种软枣猕猴桃绿枝扦插育苗方法 | |
US10149441B2 (en) | Strawberry growth method and system | |
CN106069569B (zh) | 一种方便采摘运输的葡萄种植方法 | |
JP2006296202A (ja) | イチゴの周年栽培方法 | |
JP2009183238A (ja) | 花芽分化促進栽培法 | |
KR101766591B1 (ko) | 딸기 육묘와 재배를 겸하는 딸기 고설재배장치에 사용되는 개별육묘포트 | |
KR20190124541A (ko) | 단기 접삭목묘의 생산방법 | |
JP2011067172A (ja) | ヒシの栽培装置 | |
KR101210680B1 (ko) | 폐쇄형 육묘 시스템을 이용한 딸기 묘 육묘 방법 | |
JP2017074031A (ja) | 希少対馬産オニユリの栽培方法 | |
Rowley et al. | High tunnel strawberry production | |
JP4129416B2 (ja) | 花卉の育苗方法及び栽培方法 | |
JP2008048655A (ja) | オーニソガラム・シルソイデスの球根生産方法 | |
JP2021087397A (ja) | ブドウ剪定枝の活用方法 | |
JP2011120553A (ja) | マンゴーの栽培方法 | |
CN86100588A (zh) | 腊梅扦插繁殖法 | |
JP4530756B2 (ja) | イチゴの栽培方法 | |
CN107484527A (zh) | 一种甘薯苗的培育方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090703 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20090703 |