以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、本実施形態に係る放射線画像取扱システム10が示されている。放射線画像取扱システム10は、可搬性を有し、画像情報を担持した放射線が照射される毎に前記画像情報を画像データに変換して蓄積記憶可能な電子カセッテ12と、電子カセッテ12に蓄積記憶された画像データを読み出し可能な画像読出装置84から構成されている。なお、電子カセッテ12及び画像読出装置84は本発明に係る電子機器に各々対応している。
図2(A)に示すように、電子カセッテ12は、放射線画像の撮影時に、エックス線(X線)等の放射線を発生する放射線発生部14と間隔を空けて配置される。このときの放射線発生部14と電子カセッテ12との間は被写体16が位置するための撮影位置とされており、放射線画像の撮影が指示されると、放射線発生部14は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。放射線発生部14から射出された放射線は、撮影位置に位置している被写体16を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ12に照射される。
図2(B)に示すように、電子カセッテ12は、放射線Xを透過させる材料から成り厚みを有する平板状のケーシング(筐体)20によって覆われており、ケーシング20の内部には、ケーシング20のうち放射線Xが照射される照射面22側から順に、被写体16を透過することに伴って生ずる放射線Xの散乱線を除去するグリッド24、放射線Xを検出する放射線検出器(放射線検出パネル)26、及び、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板28が配設されている。なお、ケーシング20の照射面22をグリッド24で構成してもよい。また、ケーシング20の内部の一端側には、マイクロコンピュータを含む各種回路(後述)を収容するケース30が配置されている。ケース30内部に収容された各種回路が放射線Xの照射に伴って損傷することを回避するため、ケース30の照射面22側には鉛板等を配設しておくことが望ましい。
電子カセッテ12の放射線検出器26は、図1に示すTFTアクティブマトリクス基板32上に、放射線を吸収し、電荷に変換する光電変換層が積層されて構成されている。光電変換層は例えばセレンを主成分(例えば含有率50%以上)とする非晶質のa−Se(アモルファスセレン)から成り、放射線が照射されると、照射された放射線量に応じた電荷量の電荷(電子−正孔の対)を内部で発生することで、照射された放射線を電荷へ変換する。また、TFTアクティブマトリクス基板32上には、光電変換層で発生された電荷を蓄積する蓄積容量34と、蓄積容量34に蓄積された電荷を読み出すためのTFT36を備えた画素部40(図1では個々の画素部48に対応する光電変換層を光電変換部38として模式的に示している)がマトリクス状に多数個配置されており、電子カセッテ12への放射線の照射に伴って光電変換層で発生された電荷は、個々の画素部40の蓄積容量34に蓄積される。これにより、電子カセッテ12に照射された放射線に担持されていた画像情報は電荷情報へ変換されて放射線検出器26に保持される。
また、TFTアクティブマトリクス基板32には、一定方向(行方向)に延設され個々の画素部40のTFT36をオンオフさせるための複数本のゲート配線42と、ゲート配線42と直交する方向(列方向)に延設されオンされたTFT36を介して蓄積容量34から蓄積電荷を読み出すための複数本のデータ配線44が設けられている。個々のゲート配線42はゲート線ドライバ46に接続されており、個々のデータ配線44は信号処理部48に接続されている。個々の画素部40の蓄積容量34に電荷が蓄積されると、個々の画素部40のTFT36は、ゲート線ドライバ46からゲート配線42を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、TFT36がオンされた画素部40の蓄積容量34に蓄積されている電荷は、電荷信号としてデータ配線44を伝送されて信号処理部48に入力される。従って、個々の画素部40の蓄積容量34に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。
図示は省略するが、信号処理部48は、個々のデータ配線44毎に設けられた増幅器及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線44を伝送された電荷信号は増幅器で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電荷信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。信号処理部48には画像メモリ50が接続されており、信号処理部48のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ50に順に記憶される。画像メモリ50は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ50に順次記憶される。
また、電子カセッテ12は画像読出装置84との間でレーザ光による無線通信を行う機能を有しており、レーザ光源としてのLD(レーザダイオード)52と、外部から入射されたレーザ光を検出するPD(フォトダイオード)56を備えている。なお、電子カセッテ12と画像読出装置84との間の通信の高速化のために、LD52は赤外域の波長のレーザ光を射出するLD、PD56は赤外域の波長に感度を有するPDであることが好ましい。本実施形態では、図3(A)に示すように、電子カセッテ12のケーシング20のうちの特定の側面60(この側面は、画像読出装置84との通信時に画像読出装置84のケーシングと対向するように配置されるので、以下では「対向面60」と称する)に、LD52から射出されたレーザ光が通過するための射出孔62と、外部(例えば画像読出装置84)からのレーザ光が通過するための受光孔64が各々設けられている。なお図3(A)では、射出孔62及び受光孔64が設けられる対向面60として、照射面22の短辺と接する側面を適用しているが、これに限られるものではなく、照射面22の長辺と接する側面であってもよいし、底面(照射面22と反対側の面)等であってもよい。
LD52から射出されたレーザ光は、LD52のレーザ光射出側に配置されたレンズ54(図1参照) を透過し、射出孔62を通過してケーシング20外へ射出され、外部からのレーザ光は、受光孔64を通過し、PD56の光入射側に配置されたレンズ58(図1参照) を透過してPD56で受光される。また、電子カセッテ12のケーシング20の対向面60のうち、受光孔64(及び射出孔62)の周囲を含む一部領域は、照射されたレーザ光を互いに異なる複数の方向へ各々反射することで、照射されたレーザ光の反射光を拡散させることが可能な拡散部材66で覆われている。
なお、上記一部領域は対向面60の受光孔64及び射出孔62を囲むように設けることが好ましい。また、上記一部領域は電子カセッテ12から画像データを読み出すために利用者が電子カセッテ12と画像読出装置84とを向かい合わせる際に、対向面60のレーザ光のズレが発生すると予測される範囲を含むことが好ましい。さらに、拡散部材66によって対向面60全面を覆うようにしてもよい。
上記拡散部材66としては、例えば画像読出装置84から射出されるレーザ光(後述)が照射された際の照射領域以下の面積の微小領域内に、照射された光に対する反射方向が互いに異なる複数の部分が各々存在するように表面が整形された部材を適用することができる。これにより、照射されたレーザ光の反射光を確実に拡散させることができる。また拡散部材66としては、例えば、表面が皮絞や梨地状に形成して表面粗さRaが照射されるレーザ光の波長のおよそ1/10以下の大きさで、半球形状の凸部が表面に一様に分布するように表面が整形された部材が最も望ましい。上記のように、個々の凸部を半球形状とすることで入射角度依存性を低減することができ、個々の凸部の大きさをレーザ光の波長のおよそ1/10以下とすることで、レイリー散乱の領域となり照射されたレーザ光をより顕著に散乱させることができる。
LD52は変調部68を介して通信制御部72に接続されている。通信制御部72はマイクロコンピュータによって実現され、画像読出装置84への情報の送信時に、送信対象の情報を変調部68へ出力すると共に、LD52から射出するレーザ光の強度を変調部68へ指示する。変調部68は、LD52から射出されるレーザ光を入力された送信対象情報に応じて所定の変調方式で変調すると共に、LD52から射出されるレーザ光の強度が指示された強度に一致するようにLD52の駆動を制御する。これにより、LD52からは、送信対象情報に応じて変調されたレーザ光が、通信制御部72から指示された強度で射出される。
またPD56は復調部70を介して通信制御部72に接続されている。復調部70は、外部からのレーザ光がPD56で受光され、レーザ光の受光量に応じた受光量信号がPD56から入力されると、入力された受光量信号に基づいて、受光されたレーザ光が担持している情報(通信相手の装置から送信された情報)を所定の復調方式で復調し、復調した情報を通信制御部72へ出力すると共に、PD56によるレーザ光の受光量も同時に検知し、レーザ光の受光量の検知結果も通信制御部72へ出力する。通信制御部72は後述するデータ転送処理(図5)を行う。
また、電子カセッテ12には距離センサ74が設けられている。本実施形態では、距離センサ74として、発光素子及び受光素子を備え、発光素子で光が射出されてから、射出された光が対象物で反射されて受光素子で受光される迄の時間を計測し、計測した時間に基づいて対象物との距離を検出する構成を適用している。図3(A)に示すように、電子カセッテ12のケーシング20の対向面60には検出孔76が設けられており、距離センサ74の発光素子から射出された光は検出孔76を通過して対向面60の前方に存在する対象物へ照射され、対象物で反射された光は検出孔76を通過して受光素子で受光される。
通信制御部72及び距離センサ74は位置変化監視部78に接続されている。位置変化監視部78もマイクロコンピュータによって実現される。詳細は後述するが、位置変化監視部78は、自装置(電子カセッテ12)と画像読出装置84との通信時に、復調部70によって検知されたレーザ光の受光量や、距離センサ74によって検出された距離の変化等を監視することで、自装置(電子カセッテ12)と画像読出装置84との相対位置の変化を監視する位置変化監視処理(図6)を行う。
また、電子カセッテ12には電源部80が設けられており、上述した各種回路や各素子(ゲート線ドライバ46、信号処理部48、画像メモリ50、通信制御部72や位置変化監視部78として機能するマイクロコンピュータ、変調部68、LD52、PD56、復調部70、距離センサ74等)は、電源部80から供給された電力によって作動する。電源部80としては、電子カセッテ12の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵し、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する構成が好適であるが、バッテリとして一次電池を用いてもよいし、商用電源に常時接続され商用電源から供給された電力を整流、変圧して各種回路・素子へ電力を供給する構成であってもよい。
一方、画像読出装置84も電子カセッテ12との間でレーザ光による無線通信を行う機能を有し、レーザ光源としてのLD86と、外部から入射されたレーザ光を検出するPD90を備えている。なお、電子カセッテ12と画像読出装置84との間の通信の高速化のために、電子カセッテ12と同様、LD86は赤外域の波長のレーザ光を射出するLD、PD90は赤外域の波長に感度を有するPDであることが好ましい。本実施形態では、図3(B)に示すように、画像読出装置84の外部を覆うケーシング94のうちの特定の側面96(この側面は、電子カセッテ12との通信時に電子カセッテ12のケーシングと対向するように配置され、以下「対向面96」と称する)に、LD86から射出されたレーザ光が通過するための射出孔98と、外部(例えば電子カセッテ12)からのレーザ光が通過するための受光孔100が各々設けられている。
なお、対向面96に設けられた射出孔98及び受光孔100は、間隔及びケーシング94の底面からの高さが、電子カセッテ12のケーシング20の対向面60に設けられた射出孔62及び受光孔64の間隔及びケーシング20の底面からの高さとそれぞれ等しくされており、電子カセッテ12の対向面60と画像読出装置84の対向面94を向かい合わせた状態(図3(C)に示す状態)で、受光孔100が射出孔62と対向し、射出孔98が受光孔64と対向するように配置されている。
LD86から射出されたレーザ光は、LD86のレーザ光射出側に配置されたレンズ88(図1参照) を透過し、射出孔98を通過してケーシング94外へ射出され、外部からのレーザ光は、受光孔100を通過し、PD90の光入射側に配置されたレンズ92(図1参照) を透過してPD90で受光される。また、画像読出装置84のケーシング94の対向面96のうち、受光孔100(及び射出孔98)の周囲を含む一部領域は、電子カセッテ12と同様に拡散部材102で覆われている。
LD86は変調部104を介して通信制御部108に接続されている。通信制御部108はマイクロコンピュータによって実現され、電子カセッテ12への情報の送信時に、送信対象の情報を変調部104へ出力すると共に、LD86から射出するレーザ光の強度を変調部104へ指示する。変調部104は、LD86から射出されるレーザ光を入力された送信対象情報に応じて所定の変調方式で変調すると共に、LD86から射出されるレーザ光の強度が指示された強度に一致するようにLD86の駆動を制御する。これにより、LD86からは、送信対象情報に応じて変調されたレーザ光が、通信制御部108から指示された強度で射出される。
また PD90は復調部106を介して通信制御部108に接続されている。復調部106は、外部からのレーザ光がPD90で受光され、レーザ光の受光量に応じた受光量信号がPD90から入力されると、入力された受光量信号に基づいて、受光されたレーザ光が担持している情報(通信相手の装置から送信された情報)を所定の復調方式で復調し、復調した情報を通信制御部108へ出力すると共に、PD90によるレーザ光の受光量も同時に検知し、レーザ光の受光量の検知結果も通信制御部108へ出力する。通信制御部108は後述するデータ読出処理(図4)を行う。
また、画像読出装置84にも距離センサ110が設けられている。本実施形態では、距離センサ110として、前述した距離センサ74と同様に、発光素子から射出された光が対象物で反射されて受光素子で受光される迄の時間に基づいて対象物との距離を検出する構成を適用している。図3(B)に示すように、画像読出装置84のケーシング94の対向面96にも検出孔112が設けられており、距離センサ110の発光素子から射出された光は検出孔112を通過して対向面96の前方に存在する対象物へ照射され、対象物で反射された光は検出孔112を通過して受光素子で受光される。通信制御部108及び距離センサ110は位置変化監視部114に接続されている。位置変化監視部114もマイクロコンピュータによって実現される。詳細は後述するが、位置変化監視部114は、電子カセッテ12の位置変化監視部78と同じく位置変化監視処理(図6)を行う。
通信制御部108には操作部116が接続されている。操作部116は、図2(B)に示すように、ケーシング94に設けられ各種のメッセージを含む任意の情報を表示可能なディスプレイ118と、同じくケーシング94に設けられ複数のキーを備えたキーボード120を含んで構成されている。利用者がキーボード120を操作することで入力された各種の指示や情報は通信制御部108に入力され、ディスプレイ118への情報表示は通信制御部108によって制御される。
また、通信制御部108には画像処理部122を介して画像メモリ124が接続されている。電子カセッテ12と画像読出装置84との通信では、後述のように、電子カセッテ12の画像メモリ50に蓄積記憶されている画像データが画像読出装置84へ転送されるが、画像処理部122は電子カセッテ12から受信されて通信制御部108から順次出力される画像データに対して各種の画像処理(例えば画像データに重畳されたノイズを除去したり、放射線検出器26の各画素部40の特性のばらつきに起因する画像データの画素毎のばらつきを補正する各種の補正処理等)を行い、各種の画像処理を行った画像データを画像メモリ124に記憶させる。
画像メモリ124には出力制御部126が接続されている。出力制御部126は、画像メモリ124に記憶された画像データを外部機器へ出力する際に、画像メモリ124からの画像データの読み出し及び外部機器への画像データの出力を制御する。図1には外部機器の典型例としてのディスプレイ128が示されており、外部機器がディスプレイ128である場合、画像メモリ124に記憶されている画像データが表す画像(放射線画像)が、出力制御部126によってディスプレイ128に表示される。なお、外部機器としては、ディスプレイ128以外に、例えば画像データが表す画像をシート状の印刷媒体に印刷する印刷装置や、画像データをCD−Rや公知の他の情報記録媒体に記録する情報記録装置、通信ネットワークを介して接続された情報処理機器へ画像データを送信する通信装置等が挙げられる。
図1では画像読出装置84の電源部の図示を省略しているが、当該電源部は商用電源に常時接続され、商用電源から供給された電力を整流、変圧して画像読出装置84内の各種回路・素子へ電力を供給する構成とされている。
次に本第1実施形態の作用として、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信について説明する。放射線画像の撮影が行われることで電子カセッテ12の画像メモリ50に記憶されている画像データをディスプレイ128に画像として表示する等の利用を所望している場合、利用者は、前記画像データを画像読出装置84によって電子カセッテ12から読み出させるために、電子カセッテ12を、対向面60が画像読出装置84の対向面94と向かい合うように(図3(C)に示す状態となるように)配置し、それぞれの端面を揃える等の配置位置の微調整を行った後に、画像読出装置84のキーボード120を操作して電子カセッテ12からの画像データの読み出しを指示する。
画像読出装置84の通信制御部108では、利用者によって上記の操作が行われて、電子カセッテ12からの画像データの読み出しが指示されると、図4に示すデータ読出処理を行う。このデータ読出処理では、まずステップ150において、変調部104を介してLD86から微小出力のレーザ光を射出させる。次のステップ152では、PD90でレーザ光が受光されたか否か判定する。判定が否定された場合はステップ154へ移行し、LD86からのレーザ光の射出を開始させてから所定時間が経過したか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ152に戻り、何れかの判定が肯定される迄ステップ152,154を繰り返す。
LD86から射出された微小出力のレーザ光は、射出孔98を通過して画像読出装置84のケーシング94の外へ射出されるが、このレーザ光が受光孔64を通過して電子カセッテ12のケーシング20内へ入射され、PD56によって検出(検知)された場合には、後述するように電子カセッテ12のLD52からも微小出力のレーザ光が射出され、このレーザ光がPD90によって受光されるので、LD86からのレーザ光の射出を開始させてから所定時間が経過してもPD90でレーザ光が受光されずにステップ154の判定が肯定された場合、電子カセッテ12と画像読出装置84の相対位置が通信可能な位置関係(電子カセッテ12及び画像読出装置84が、相手装置から射出されたレーザ光を各々受光できる位置)から外れており、相対位置の調整が必要と判断できる。
このため、ステップ154の判定が肯定された場合はステップ190でLD86からのレーザ光の射出を停止させ、次のステップ192において、相対位置の調整を要請するエラーメッセージをディスプレイ118に表示させる等により、相対位置の調整作業の実行を利用者に促した後にデータ読出処理(図4)を終了する。なお、電子カセッテ12と画像読出装置84の相対位置が通信可能な位置関係から大きく外れている場合、画像読出装置84から射出されたレーザ光は、電子カセッテ12の対向面60と画像読出装置84の対向面96に挟まれた空間から漏出する可能性があるが、このとき画像読出装置84のLD86から射出されているレーザ光は光量(光強度)が微小であるので問題は生じない。
一方、電子カセッテ12と画像読出装置84の相対位置が通信可能な位置関係にあり、画像読出装置84から射出された微小出力のレーザ光が電子カセッテ12のPD56で受光(検知)された場合は、PD56によるレーザ光の検知をトリガとして、電子カセッテ12の通信制御部では図5に示すデータ転送処理を行う。このデータ転送処理では、まずステップ200において、変調部68を介してLD52から微小出力のレーザ光を射出させる。LD52から射出された微小出力のレーザ光は、射出孔62を通過して電子カセッテ12のケーシング20の外へ射出されるが、このレーザ光が受光孔100を通過して画像読出装置84のケーシング94内へ入射され、PD90によって検出(検知)された場合には、データ読出処理(図4)のステップ152の判定が肯定され、ステップ156へ移行する。
このステップ152の判定が肯定された場合、画像読出装置84のLD86から射出された微小出力のレーザ光が電子カセッテ12のPD56で検出(検知)され、かつ、電子カセッテ12のLD52から射出された微小出力のレーザ光が画像読出装置84のPD90で検出(検知)されているので、電子カセッテ12と画像読出装置84の相対位置は、LD86から射出されたレーザ光がPD56の受光面の中央又はその付近に入射され、LD52から射出されたレーザ光もPD90の受光面の中央又はその付近に入射される、通信可能な最適な位置関係にあると判断できる。
続いてデータ読出処理(図4)のステップ156及びデータ転送処理(図5)のステップ202では、自装置からレーザ光によって所定の情報を送信する(自装置のLDから射出されるレーザ光を所定の情報に応じて変調させる)と共に、相手装置からレーザ光によって受信した情報(相手装置のLDから射出されて自装置のPDで受光されたレーザ光を復調することで得られた情報)の内容を確認することで、相手装置が正規の装置か否かを確認する相手装置確認処理を行う。なお、相手装置確認処理で電子カセッテ12が画像読出装置84へ送信する情報としては、個々の電子カセッテ12を識別するためのカセッテID等の情報が挙げられ、画像読出装置84が電子カセッテ12へ送信する情報としては、自装置が画像読出装置であることを表す情報等が挙げられる。
データ読出処理(図4)では、次のステップ158で相手装置が正規の装置か否かを判定しており、この判定が否定された場合は、ステップ190でLD86からのレーザ光の射出を停止させ、次のステップ192において、相手装置が正規の装置でないことを通知するエラーメッセージをディスプレイ118に表示させる等のエラー処理を行い、データ読出処理(図4)を終了する。また、データ転送処理(図5)においても、次のステップ204で相手装置が正規の装置か否かを判定し、この判定が否定された場合は、ステップ236でLD52からのレーザ光の射出を停止させてデータ転送処理(図5)を終了する。
また、データ読出処理(図4)において、相手装置が正規の装置(電子カセッテ12)であると判断した場合には、ステップ158の判定が肯定されてステップ160へ移行し、LD86からのレーザ光出力を通常の通信時の値に設定する。次のステップ162では、相手装置に対してデータ転送を要求する情報をレーザ光によって相手装置へ送信する。またステップ164では、位置変化監視部114に対して位置変化監視処理(図6)の実行開始を指示する。なお、この位置変化監視処理については後述する。ステップ166では相手装置から転送されたデータを受信したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ168へ移行し、データ転送の完了が相手装置から通知されたか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ170へ移行し、相手装置との通信の中止が位置変化監視部114から指示されたか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ166に戻り、何れかの判定が肯定される迄ステップ166〜ステップ170を繰り返す。
一方、データ転送処理(図5)において、相手装置が正規の装置(画像読出装置84)であると判断した場合には、ステップ204の判定が肯定されてステップ206へ移行し、相手装置からデータ転送を要求する情報を受信したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ206を繰り返す。画像読出装置84で図4のステップ162の処理が行われることでデータ転送を要求する情報を受信すると、ステップ206の判定が肯定されてステップ208へ移行し、LD52からのレーザ光出力を通常の通信時の値に設定する。またステップ210では、位置変化監視部78に対して位置変化監視処理(図6)の実行開始を指示する。次のステップ212では、画像読出装置84へ転送すべき転送対象の画像データの画像メモリ50からの読み出しを試行する。
次のステップ214では、転送対象の画像データ(画像読出装置84へ未転送の画像データ)が画像メモリ50に記憶されているか否か判定する。判定が肯定された場合はステップ216へ移行し、画像メモリ50からの読み出しに成功した転送対象の画像データをレーザ光によって相手装置(画像読出装置84)へ送信する。ステップ218では画像読出装置84から応答を受信したか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ220へ移行し、相手装置との通信の中止が位置変化監視部78から指示されたか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ218に戻り、何れかの判定が肯定される迄ステップ218,220を繰り返す。
上記のように電子カセッテ12からレーザ光によって画像データが送信され、この画像データが画像読出装置84によって受信されると、データ読出処理(図4)のステップ166の判定が肯定されてステップ172へ移行し、相手装置(電子カセッテ12)から受信した画像データを後段(本実施形態では画像処理部122)へ出力する。これにより、画像読出装置84で受信された画像データは、画像処理部122によって各種の画像処理が行われた後に画像メモリ124に記憶される。次のステップ174では、相手装置(電子カセッテ12)のデータ送信に対する応答をレーザ光によって送信し、ステップ166へ戻る。この応答が相手装置(電子カセッテ12)で受信されることで、データ転送処理(図5)のステップ218の判定が肯定され、ステップ212に戻る。このように、電子カセッテ12の画像メモリ50に転送対象の画像データが記憶されている間は、データ読出処理(図4)ではステップ166〜ステップ174が繰り返され、データ転送処理(図5)ではステップ212〜ステップ220が繰り返されることで、画像読出装置84への画像データの転送が継続される。
また、画像メモリ50に記憶されている画像データを全て画像読出装置84へ送信すると、データ転送処理(図5)のステップ214の判定が否定されてステップ230へ移行し、データ転送の完了をレーザ光によって相手装置(画像読出装置84)へ通知する。またステップ232ではLD52からのレーザ光の射出を停止させる。そしてステップ234では、位置変化監視部78に対して位置変化監視処理(図6)の終了を指示し、データ転送処理(図5)を終了する。また、電子カセッテ12からデータ転送の完了が通知されると、データ読出処理(図4)では、ステップ168の判定が肯定されてステップ176へ移行し、LD86からのレーザ光の射出を停止させる。そしてステップ178では、位置変化監視部114に対して位置変化監視処理(図6)の終了を指示し、データ読出処理(図4)を終了する。
続いて、電子カセッテ12の位置変化監視部78及び画像読出装置84の位置変化監視部114によって各々実行される位置変化監視処理について説明する。電子カセッテ12と画像読出装置84との通信は、先にも説明したように、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された状態(図3(A)に示す状態)で開始されるが、例えば電子カセッテ12のケーシング20及び画像読出装置84のケーシング94の少なくとも一方に押圧力や振動等が加わった等の場合、通信の途中で前記相対位置が通信可能な位置関係から外れる可能性がある。そしてこの場合、電子カセッテ12や画像読出装置84から射出されたレーザ光が、電子カセッテ12の対向面60と画像読出装置84の対向面96に挟まれた空間から漏出する可能性があるので望ましくない。このため、位置変化監視部78、84は、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信が開始されると、自装置の通信制御部からの指示により位置変化監視処理の実行を開始し、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信が行われている間位置変化監視処理の実行を継続することで、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を監視する。
すなわち図6に示すように、位置変化監視処理では、まずステップ250において、自装置に設けられた距離センサによって検出された相手装置との現在の距離(距離検出値L)を距離センサから取得する。このときは電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された直後のタイミングであるので、ステップ250で取得した距離検出値Lは、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された状態での、距離センサの配設位置における相手装置のケーシングとの距離を表している。次のステップ252では、ステップ250で取得した距離検出値Lを相手装置との距離の基準値Lrefとして内蔵メモリ等に記憶させる(図7(A)も参照)。
またステップ254では、データ転送開始直後かつPDがレーザ光を受光しているタイミングで自装置の復調部によって検出されたPDのレーザ受光量(レーザ受光量検出値P1)を自装置の通信制御部経由で取得する。このレーザ受光量検出値P1についても、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された状態でのPDのレーザ光受光量を表している。なお、レーザ受光量検出値P1としては、PDがレーザ光を受光している期間におけるレーザ受光量の最大値、平均値、レーザ受光量のヒストグラム上で最大値又は最小値からの累積頻度が所定値に達するときの受光量値の何れを適用してもよく、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された状態でのPDのレーザ受光量を代表する値であれば他の値を用いることも可能である。次のステップ256では、ステップ254で取得した受光量検出値P1をPDのレーザ受光量の基準値P1refとして内蔵メモリ等に記憶させる(図8(A)も参照)。
次のステップ258では、自装置の距離センサによって検出された相手装置との現在の距離(距離検出値L)を距離センサから再度取得し、次のステップ260では、ステップ258で取得した距離検出値Lが、相手装置との距離の基準値Lrefに所定値αを加算した値以上(L≧Lref+α)か否か判定する。この判定が否定された場合、距離センサに配設位置における相手装置との距離の変化は許容範囲内と判断できるので、ステップ262へ移行し、自装置の復調部によって検出されたPDの最新のレーザ受光量(レーザ受光量検出値P1)を自装置の通信制御部経由で再度取得する。次のステップ264では、ステップ262で取得したレーザ受光量検出値P1が、レーザ受光量の基準値P1refから所定値βを減算した値以下(P1≦P1ref−β)か否か判定する。なお、所定値βの大きさは、レーザ受光量検出値P1として先に列挙した各値(最大値や最小値等)の何れを用いるかに応じて切り替えることができる。ステップ264の判定が否定された場合は、PDのレーザ受光量の低下は許容範囲内と判断できるので、ステップ266へ移行し、自装置の通信制御部から位置監視処理の終了が指示されたか否か判定する。この判定も否定された場合はステップ258へ戻る。
これにより、ステップ260,264,266の何れかの判定が肯定される迄、ステップ258〜ステップ266が繰り返され、距離検出値Lの変化及びレーザ受光量検出値P1の変化が監視される。電子カセッテ12と画像読出装置84との通信が行われている間、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が変化しないか、又は、相対位置の変化量が微小であった場合には、ステップ260,264の判定が肯定されることなく自装置の通信制御部から位置監視処理の終了が指示されることで、ステップ266の判定が肯定され、位置変化監視処理を終了する。
一方、電子カセッテ12のケーシング20及び画像読出装置84のケーシング94の少なくとも一方に押圧力や振動等が加わった等により、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信が行われている間に、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が、図7(A)に示す状態から図7(B)に示す状態へ変化した場合(比較的大きな相対位置の変化が生じた場合)には、図7(B)に示すように、電子カセッテ12や画像読出装置84から射出されたレーザ光が相手装置のPDの受光面の中央から大きく外れることで、電子カセッテ12の対向面60と画像読出装置84の対向面96に挟まれた空間からレーザ光が漏出する可能性が生ずる。
これに対し、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が比較的大きく変化すると、それに伴い距離センサ配設位置における相手装置のケーシングとの距離(図7(B)に示す実線の矢印の長さ)も変化し、図7(B)の例では2本の実線矢印のうち図上で上方に位置している側の実線矢印に対応する距離検出値Lが大幅に増大することで、先のステップ260の判定が肯定される。従って、距離検出値Lを監視することで、レーザ光の漏出に繋がる可能性がある電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検知することができる。
また、PDのレーザ受光量は、PDに入射されるレーザ光の光軸位置の変化に対して図8(C)に示すように変化し、受光領域の中央位置に対するレーザ光の光軸位置の偏倚量が大きくなるに従って、PDのレーザ受光量は大きく減衰する。電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が比較的大きく変化すると、図8(B)に示すように、電子カセッテ12及び画像読出装置84のPDへのレーザ光の入射位置が受光領域の中心から大きく外れ、レーザ受光量検出値P1が大幅に減少することで先のステップ264の判定が肯定される。従って、レーザ受光量検出値P1を監視することによっても、レーザ光の漏出に繋がる可能性がある電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検知することができる。そしてステップ260又はステップ264の判定が肯定された場合はステップ268へ移行し、自装置の通信制御部へ通信中止を指示した後に位置変化監視処理を終了する。
ここで、画像読出装置84の位置変化監視部114が通信制御部108へ通信中止を指示した場合、データ読出処理(図4)のステップ170の判定が肯定されてステップ180へ移行し、通信中止が相手装置からの指示か否か判定する。この例では通信中止の指示元が自装置の位置変化監視部114であるので、判定が否定されてステップ182へ移行し、レーザ光によって相手装置(電子カセッテ12)へ通信中止を指示する。またステップ186では、LD86からのレーザ光の射出を停止させ、次のステップ188において、通信中止をその理由(ケーシングが大きく動いたこと)と共に通知するエラーメッセージをディスプレイ118に表示させる等のエラー処理を行い、データ読出処理(図4)を終了する。また、画像読出装置84から通信中止が指示された電子カセッテ12では、データ転送処理(図5)のステップ220の判定が肯定されてステップ222へ移行し、通信中止が相手装置からの指示か否か判定する。この例では判定が肯定されてステップ226へ移行し、位置変化監視部78に対して位置変化監視処理(図6)の終了を指示する。そしてステップ228でLD52からのレーザ光の射出を停止させ、データ転送処理(図5)を終了する。
また、電子カセッテ12の位置変化監視部78が通信制御部72へ通信中止を指示した場合には、データ転送処理(図5)のステップ220の判定が肯定されると共に、ステップ222の判定が否定されてステップ224へ移行し、レーザ光によって相手装置(画像読出装置84)へ通信中止を指示する。そしてステップ228でLD52からのレーザ光の射出を停止させ、データ転送処理(図5)を終了する。また、電子カセッテ12から通信中止が指示された画像読出装置84では、ステップ184で位置変化監視部114に対して位置変化監視処理(図6)の終了を指示する。そして、ステップ186でLD86からのレーザ光の射出を停止させ、ステップ188で前述のエラー処理を行ってデータ読出処理(図4)を終了する。
上記処理により、レーザ光の漏出に繋がる可能性がある電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を、電子カセッテ12の位置変化監視部78及び画像読出装置84の位置変化監視部114の何れが検知した場合にも、電子カセッテ12からのレーザ光の射出及び画像読出装置84からのレーザ光の射出が各々停止されることになる。
また本第1実施形態では、電子カセッテ12のケーシング20の対向面60のうち受光孔64(及び射出孔62)の周囲を含む一部領域が拡散部材66で覆われていると共に、画像読出装置84のケーシング94の対向面96のうち受光孔100(及び射出孔98)の周囲を含む一部領域も拡散部材102で覆われているので、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信中に比較的大きな相対位置の変化が生じ、上述した処理によってレーザ光の射出が停止される迄の間に、電子カセッテ12や画像読出装置84から射出されるレーザ光が相手装置の対向面のうち受光孔から逸脱した位置に照射される状態が一時的に生じたとしても、相手装置の対向面に照射されたレーザ光は、当該レーザ光の照射位置に配設された拡散部材によって互いに異なる複数の方向へ各々反射されることで反射光が拡散されるので、反射されたレーザ光が電子カセッテ12の対向面60と画像読出装置84の対向面96に挟まれた空間から漏出した場合にも、空間外の特定の部位に照射されるレーザ光の光量を非常に微弱にすることができる。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。本第2実施形態は、図9に示すように電子カセッテ12に周囲光センサ130が、画像読出装置84に周囲光センサ132が各々設けられている点で第1実施形態と相違している。
図10(A)に示すように、電子カセッテ12に設けられた周囲光センサ130は、電子カセッテ12のケーシング20の対向面60のうち受光孔64の周囲の円環状の領域が検出領域130Aとされており、検出領域130A内におよそ均等に分布されたPD等から成る複数個の光電変換素子を備えている。なお、周囲光センサ130を構成する光電変換素子としては、画像読出装置84のLD86から射出されるレーザ光に感度を有する分光感度特性の光電変換素子が用いられている。周囲光センサ130は位置変化監視部78に接続されており、例えば複数個の光電変換素子による総受光量、或いは個々の光電変換素子による受光量の最大値に相当する信号を位置変化監視部78へ出力する。なお、本第2実施形態において、対向面60に設けられた拡散部材66は、第1実施形態で説明した対向面60上の配設範囲のうち、検出領域130Aを除外した範囲に配設されている。
また図10(B)に示すように、画像読出装置84に設けられた周囲光センサ132は、画像読出装置84のケーシング94の対向面96のうち受光孔100の周囲の円環状の領域が検出領域132Aとされており、検出領域132A内におよそ均等に分布されたPD等から成る複数個の光電変換素子を備えている。なお、周囲光センサ132を構成する光電変換素子としては、電子カセッテ12のLD52から射出されるレーザ光に感度を有する分光感度特性の光電変換素子が用いられている。周囲光センサ132は位置変化監視部114に接続されており、例えば複数個の光電変換素子による総受光量、或いは個々の光電変換素子による受光量の最大値に相当する信号を位置変化監視部114へ出力する。なお、対向面96に設けられた拡散部材66についても、第1実施形態で説明した対向面96上の配設範囲のうち、検出領域132Aを除外した範囲に配設されている。
次に、本第2実施形態に係る位置変化監視部78,114によって行われる位置変化監視処理について、図11を参照して第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。本第2実施形態に係る位置変化監視処理では、PDのレーザ受光量に基づいて電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検知することに代えて、周囲光センサ130,132の受光量に基づいて電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検知している。
すなわち、本第2実施形態に係る位置変化監視処理では、距離センサから距離検出値Lを取得し(ステップ250)、取得した距離検出値Lを相手装置との距離の基準値Lrefとして記憶させ(ステップ252)た後に、次のステップ255において、データ転送開始直後かつPDがレーザ光を受光しているタイミングで、自装置に設けられた周囲光センサによって検出されたレーザ受光量(レーザ受光量検出値P2)を周囲光センサから取得する。このときは電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された直後のタイミングであるので、ステップ255で取得したレーザ受光量検出値P2は、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された状態での、周囲光センサによるレーザ光の受光量を表している。
なお、レーザ受光量検出値P2としては、PDがレーザ光を受光している期間における周囲光センサによるレーザ受光量の最大値、平均値、レーザ受光量のヒストグラム上で最大値又は最小値からの累積頻度が所定値に達するときの受光量値の何れを適用してもよく、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が通信可能な位置関係に調整された状態での周囲光センサによるレーザ光の受光量を代表する値であれば他の値を用いることも可能である。次のステップ257では、ステップ255で取得した受光量検出値P2を周囲光センサのレーザ受光量の基準値P2refとして内蔵メモリ等に記憶させる(図12(A)も参照)。
また、本第2実施形態に係る位置変化監視処理では、距離検出値Lを距離センサから再度取得し(ステップ258)、取得した距離検出値Lが「L≧Lref+α」を満足しない場合(ステップ260の判定が否定された場合)に、ステップ263において、自装置の周囲光センサにおける最新のレーザ受光量(レーザ受光量検出値P2)を再度取得する。次のステップ265では、ステップ263で取得したレーザ受光量検出値P2が、レーザ受光量の基準値P2refに所定値γを加算した値以上(P2≧P2ref+γ)か否か判定する。なお、所定値γの大きさについても、レーザ受光量検出値P2として先に列挙した各値(最大値や最小値等)の何れを用いるかに応じて切り替えることができる。ステップ265の判定が否定された場合は、周囲光センサによるレーザ受光量が増大していたとしても、その増大量が許容範囲内と判断できるので、ステップ266へ移行する。
このように、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信が行われている間はステップ258〜ステップ266が繰り返され、距離検出値Lの変化及びレーザ受光量検出値P2の変化が監視されるが、この間、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が変化しないか、又は、相対位置の変化量が微小であった場合には、距離検出値L及びレーザ受光量検出値P2も変化しないか、又は、変化量が微小であるので、ステップ265(及びステップ260)の判定が肯定されることなく自装置の通信制御部から位置監視処理の終了が指示されることで、位置変化監視処理を終了する。
一方、周囲光センサによるレーザ受光量は、PDに入射されるレーザ光の光軸位置が変化した場合、図12(C)に示すように、PDの受光領域の中央位置に対するレーザ光の光軸位置の偏倚量が大きくなるに従って、一旦は増大して極大値を示し、前記偏倚量が更に大きくなると減少していく変化を示す。電子カセッテ12のケーシング20及び画像読出装置84のケーシング94の少なくとも一方に押圧力や振動等が加わった等により、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信が行われている間に、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が、図12(A)に示す状態から図12(B)に示す状態へ変化すると(比較的大きな相対位置の変化が生じると)、図12(B)に示すように、電子カセッテ12及び画像読出装置84のPDへのレーザ光の入射位置が受光領域の中心から大きく外れ、レーザ受光量検出値P2が大幅に増大することで先のステップ265の判定が肯定される。
なお、電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が更に大きく変化すると、図12(C)からも明らかなように、レーザ受光量検出値P2の変化は極大値まで増大した後減少に転ずることになるが、位置変化監視処理が開始されるときには電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置が図12(A)に示す位置関係に調整されており、位置変化監視処理の実行中はレーザ受光量検出値P2の変化が常に監視されているので、レーザ光の光軸位置の偏倚に伴ってレーザ受光量検出値P2が極大値まで増大するまでの期間に、レーザ受光量検出値P2の増大が検知されてステップ265の判定が肯定されることになる。従って、レーザ受光量検出値P2を監視することによっても、レーザ光の漏出に繋がる可能性がある電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検知することができる。
また本第2実施形態においても、電子カセッテ12のケーシング20の対向面60のうち受光孔64(及び射出孔62)と周囲光センサ130が設けられた検出領域130Aの周囲を含む一部領域が拡散部材66で覆われていると共に、画像読出装置84のケーシング94の対向面96のうち受光孔100(及び射出孔98)と周囲光センサ132が設けられた検出領域132Aの周囲を含む一部領域も拡散部材102で覆われているので、電子カセッテ12と画像読出装置84との通信中に比較的大きな相対位置の変化が生じ、上述した処理によってレーザ光の射出が停止される迄の間に、電子カセッテ12や画像読出装置84から射出されるレーザ光が相手装置の対向面のうち受光孔から逸脱した位置に照射される状態が一時的に生じたとしても、相手装置の対向面に照射されたレーザ光は、当該レーザ光の照射位置に配設された拡散部材によって互いに異なる複数の方向へ各々反射されることで反射光が拡散されるので、反射されたレーザ光が電子カセッテ12の対向面60と画像読出装置84の対向面96に挟まれた空間から漏出した場合にも、空間外の特定の部位に照射されるレーザ光の光量を非常に微弱にすることができる。
また、上記では距離センサ74,110(距離検知手段)として、発光素子で光が射出されてから、射出された光が対象物で反射されて受光素子で受光される迄の時間に基づいて対象物との距離を検出する構成を説明したが、これに限定されるものではなく、発光素子から射出された光が対象物で反射されて受光素子で受光されたときの受光位置を検出し、検出した受光位置に基づき三角測量の原理により対象物との距離を検出する構成であってもよい。また、一定強度の電界を発生する電界発生部又は一定強度の磁界を発生する磁界発生部を相手装置側に設けておき、相手装置側の電界発生部又は磁界発生部で発生された電界又は磁界の強度を検出し、検出した強度に基づいて対象物との距離を検出する構成であってもよい。
更に、距離検知手段は相手装置との距離を検知する構成に限られるものではなく、相手装置との距離が閾値以下か否かを検出又は推定する構成であってもよい。例えばレーザ光による通信を行う装置同士が、相手装置と接触しているか、又は、相手装置と非常に接近した状態でレーザ光による通信を行うように構成した等の場合には、例えば距離検知手段として、可動部材と、当該可動部材の変位を検出する変位検出部を備えた構成(例えばリミットスイッチ等)を用い、レーザ光による通信を行う装置同士を接触又は非常に接近させた状態で、前記可動部材が相手装置のケーシング(筐体)と接触されて変位されるように距離検知手段(リミットスイッチ等)を配置し、変位検出部によって可動部材の変位が検出されているか否か、すなわち相手装置との距離が閾値以下か否かを検出するように構成してもよい。
また、レーザ光による通信を行う装置同士が、レーザ光以外の電磁波を用いて無線通信を行う無線通信部も備えており、この無線通信部による無線通信が、通信可能な装置間距離や装置同士の位置関係が限られていたり、装置間距離や装置同士の位置関係によって通信品質が大幅に変化する通信方式(例えば赤外線等を用いた無線通信)である場合は、距離検知手段を、前記無線通信において無線通信部によって検出された相手装置からの電磁波の強度や無線通信のエラー率(例えば相手装置へ情報の再送信を要求した頻度や、受信した情報に対して誤り訂正を行った頻度等)等の情報を取得し、取得した情報を所定値と比較した比較結果に基づいて、相手装置との距離が閾値以下か否か(或いは相手装置との位置関係が適正か否か)を推定するように構成することも可能である。
また、距離検知手段はレーザ光による通信を行う自装置及び相手装置のうちの一方にのみ設けてもよい。これは、自装置及び相手装置の一方がレーザ光を射出して情報の送信を行い、他方が別の通信手段(例えば赤外線等)で情報送信を行う場合も同様である。この場合、自装置及び相手装置のうちの一方にのみ設けた距離検知手段により、装置間の距離が所定値よりも大きくなったことが検出又は推定された場合、距離検出手段が設けられている側の装置が、距離検出手段が設けられていない側の装置へ通信中止(レーザ光の射出停止)を指示する処理を行う(距離検出手段が設けられていない側の装置がレーザ光を射出しない構成であればこの処理は不要)と共に、自装置からのレーザ光の射出も停止させる処理を行う(距離検出手段が設けられている側の装置がレーザ光を射出しない構成であればこの処理は不要)ようにすればよい。
また、第1実施形態では距離検出値L及びPDのレーザ受光量検出値P1を用いて電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検出し、第2実施形態では距離検出値L及び周囲光センサによるレーザ受光量検出値P2を用いて電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の変化を検出していたが、距離検出値L、PDのレーザ受光量検出値P1及び周囲光センサによるレーザ受光量検出値P2を全て用いて相対位置の変化を検出するようにしてもよいし、距離検出値L、PDのレーザ受光量検出値P1及び周囲光センサによるレーザ受光量検出値P2のうちの何れか1つを用いて相対位置の変化を検出するようにしてもよい。
また、上記では自装置の位置変化監視部による位置変化監視処理により、レーザ光の漏出に繋がる可能性がある電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の比較的大きな変化が検知された場合に、相手装置に対して通信中止を指示することで、相手装置からレーザ光の射出を停止させる態様を説明したが、これに限定されるものではなく、特に異常が無い間、自装置は定期的に所定の情報(この情報は、相手装置から送信された情報に対する正常応答で代用可能である)を相手装置へ送信し、所定の情報を受信している間はレーザ光による情報送信を行うように相手装置を構成しておき、相対位置の比較的大きな変化が検知された場合に、相手装置への所定の情報の送信を停止させることで、相手装置からのレーザ光の射出を停止させるように構成することも可能である。この場合、相対位置の比較的大きな変化が検知されてから相手装置のレーザ光の射出が停止される迄の時間は所定の情報の送信時間間隔に依存するので、所定の情報はなるべく短い時間間隔で送信するように構成することが望ましい。
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、位置変化監視部による位置変化監視処理により、レーザ光の漏出に繋がる可能性がある電子カセッテ12と画像読出装置84との相対位置の比較的大きな変化が検知された場合に、電子カセッテ12及び画像読出装置84からのレーザ光の射出を各々停止させる態様を説明したが、これに限定されるものではなく、例えばランプを点灯させる、ブザーを鳴らす、ディスプレイ118に警報メッセージを表示させる、の少なくとも1つを行うことで利用者に警報を発し、利用者の注意を促すようにしてもよいし、レーザ光の射出停止と警報出力を各々行うようにしてもよい。
また、上記では本発明に係る電子機器としての電子カセッテ12及び画像読出装置84が、各々レーザ光を射出して通信を行う態様を説明したが、通信を行う装置のうちの一方はレーザ光を射出して情報の送信を行い、他方は別の通信手段(例えば赤外線等)で情報送信を行うように構成してもよい。この場合、赤外レーザ光を用いた無線通信では非常に高い伝送速度が実現されていることを考慮すると、レーザ光を射出して情報の送信を行う装置としては、より多量の情報を送信する装置(例えば電子カセッテと画像読出装置であれば、画像データの送信を行う電子カセッテ)を選択することが望ましい。
なお、上記では本発明に係る電子機器の好例として電子カセッテ12及び画像読出装置84を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は他の装置と無線通信を行う任意の電子機器に適用可能である。特に、赤外レーザ光を用いた無線通信では非常に高い伝送速度が実現されていることを考慮すると、少なくとも一方が可搬性を有し、かつ、無線通信によって大量のデータを送受するか、又は、大量データの送受に対するニーズの高い電子機器が好適であり、例えば本発明に係る電子機器として、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置と、これらの撮像装置から静止画像データや動画像データを受け取るPCやプリンタ等の機器を適用し、これらの間の無線通信をレーザ光によって行うようにしてもよいし、本発明に係る電子機器として、可搬性を有するスキャナと、スキャナから静止画像データを受け取るPCやプリンタ等の機器を適用し、これらの間の無線通信をレーザ光によって行うようにしてもよいし、本発明に係る電子機器として、静止画像や動画像の撮影機能及び音楽再生機能の少なくとも一方を備えた携帯可能な情報機器(例えば携帯電話機やPDA等)を適用し、これらの情報機器同士の画像データや音楽データの交換のための無線通信をレーザ光によって行うようにしてもよい。