JP2009178970A - ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた包装体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の包装体は、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃以上であるプロピレン系樹脂(A)と、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃未満であるか、または示差走査熱量計で融点ピークが観測されない、プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)とを含む樹脂組成物からなるヒートシール層を有するフィルムを製袋してなる袋状容器の開口部より、被充填物である液体および/または粉体を充填し、開口部をヒートシールして得られるとするものである。
【選択図】なし
Description
本発明の包装体は、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃以上であるプロピレン系樹脂(A)と、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃未満であるか、または示差走査熱量計で融点ピークが観測されない、プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)とを含む樹脂組成物からなるヒートシール層を有するフィルムを製袋してなる袋状容器の開口部より、被充填物である液体および/または粉体を充填し、開口部をヒートシールして得られる。
上記プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)は、(1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%の量で、1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%の量で含有し、(2)ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分であり、(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、(4)示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が110℃以下であることが好ましい。さらに、(5)示差走査型熱量計で測定される融点(Tm)が50〜110℃であり、該融点(Tm)〔℃〕と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)〔モル%〕とが
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155
で表される関係式を満たすことが好ましい。
また、本発明の包装体の製造方法は、上記袋状容器の開口部より被充填物である液体および/または粉体を充填する工程、および開口部をヒートシールする工程を含む。
〔プロピレン系樹脂(A)〕
本発明に係るプロピレン系樹脂(A)は、示差走査熱量計で測定される融点が120℃以上、好ましくは120〜170℃、より好ましくは120〜160℃、特に好ましくは130〜150℃を有するとするものである。本発明に係るプロピレン系樹脂(A)は、結晶性を有し、アイソタクック・インデックスI.I.(沸騰n−ヘプタン不溶成分)が、好ましくは75重量%以上、より好ましくは75〜99重量%のポリプロピレンを用いることが望ましい。また、プロピレン系樹脂(A)の密度は、890〜920kg/m3、メルトフローレート(ASTM D1238、温度230℃)が、0.1〜20g/10分、好ましくは1〜10g/10分である。メルトフローレートが1〜10g/10分の範囲内であると、フィルム成形の際に押出機のダイスからのドローダウンが発生することなく、適切な樹脂圧力で成形できるため好ましい。
〔プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)〕
本発明に係るプロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)は、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃未満、好ましくは110℃以下、より好ましくは50〜110℃、さらに好ましくは60〜100℃を有するか、または示差走査熱量計で融解ピークが観測されない、とするものである。ここで、示差走査熱量計で融点ピークが観測されないとは、示差走査熱量計で鋭い融点ピークが観測されず、X線回折法により測定される結晶化度(C)が10%以下を有するとするものである。
(2)ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるMFRが0.01〜1000g/10分である。
(4)示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が110℃以下である。
要件(1)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)が、プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%、好ましくは55〜93モル%、より好ましくは60〜90モル%の量で、1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%、好ましくは7〜45モル%、より好ましくは10〜40モル%の量で含有するとするものである。プロピレンから導かれる構成単位および1−ブテンから導かれる構成単位が上記範囲内であると、ヒートシール温度が低く、さらに、ポリプロピレンおよびプロピレン・1−ブテン共重合体からなる袋状容器の開口部より、被充填物である液体および/または粉体を充填し、開口部の少なくとも一部に被充填物が挟持されたままヒートシールしても、ヒートシール強度の低下が少なく、その機械強度に優れ、かつ耐フィルムブロッキング性に優れる。
要件(2)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分、より好ましくは1〜20g/10分であるとするものである。MFRが0.01g/10分以上であると、ヒートシール層として好ましい厚み、より具体的には50μm以下の薄層を形成することができ、一方、MFRが1000g/10分以下であると、良好なヒートシール強度を得ることができることから好ましい。
要件(3)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)により求められる、分子量分布(Mw/Mn)が3以下であり、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5であるとするものである。ポリプロピレン換算のMw/Mnが上記範囲内であると、分子量が低い、ヒートシール性に悪影響を及ぼす低分子量成分の含有量を少なくできる。
要件(4)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が110℃以下であり、好ましくは50〜110℃、より好ましくは60〜100℃、さらに好ましくは65〜90℃であるとするものである。
[要件(5)]
要件(5)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)が、示差走査型熱量計で測定される融点(Tm)が50〜110℃であり、該融点(Tm)[℃]と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)[モル%]とが
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155
で表される関係式を満たすとするものである。該融点(Tm)と該1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)とが上記式を満たすと、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)のブロッキング性を損なうことなく、低融点を有することができるため、ヒートシーラブルフィルム用途にて好適である。
要件(6)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の、共重合モノマ−連鎖分布のランダム性を示すパラメータB値が1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3、より好ましくは1.0〜1.2であるとするものである。B値が上記範囲内であると、プロピレンと1−ブテンとが、より均一に共重合しており、プロピレン系樹脂(A)とともに樹脂組成物を構成した場合、該樹脂組成物からなるヒートシール層は、低温ヒートシール性、シール面に被充填物が存在した場合のヒートシール強度保持性に優れる。
B=P12/(2P1・P2)
式中、P1およびP2は、それぞれ第1モノマ−、第2モノマ−含量分率であり、P12は全二分子中連鎖中の(第1モノマー)−(第2モノマー)連鎖の割合である。なお、このB値は、1のときベルヌ−イ統計に従い、B<1のとき共重合体はブロック的であり、B>1のとき交互的である。
要件(7)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の、X線回折法により測定される結晶化度(C)[%]と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)[モル%]との関係が、C≧−1.5M+75を満たすとするものである。プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の結晶化度(C)は、65%以下、好ましくは15〜65%、より好ましくは20〜60%である。結晶化度(C)が15%以上であると、耐スクラッチ性が良好で、ブロッキングおよびベタつきのないフィルムを得ることができ、一方、結晶化度が65%以下であると、良好な低温ヒートシール温度を得ることができる。
要件(8)は、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)が、(i)頭−尾結合したプロピレンから導かれる構成単位3連鎖、または(ii)頭−尾結合したプロピレンから導かれる構成単位とブテンから導かれる構成単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレンから導かれる構成単位を含むプロピレン・ブテン3連鎖を、3連鎖中の第2単位目のプロピレンから導かれる構成単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを基準)で測定したとき、19.5〜21.9ppmに表れるピ−クの全面積を100%とした場合に、21.0〜21.9ppmに表れるピ−クの面積が90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは94%以上であるとするものである。このようなピ−ク面積が上記範囲内であると、立体規則性が低い、すなわちヒートシール性に悪影響を及ぼす低融点成分の含有量を少なくできる。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の13C−NMRスペクトルは、サンプル管中でプロピレン・1−ブテン共重合体(BB)をロック溶媒として少量の重水素化ベンゼンを含むヘキサクロロブタジエンに完全に溶解させた後、120℃においてプロトン完全デカップリング法により測定される。測定条件は、フリップアングルを45゜とし、パルス間隔を3.4T1以上(T1はメチル基のスピン格子緩和時間のうち最長の値)とする。メチレン基およびメチン基のT1は、メチル基より短いので、この条件では試料中のすべての炭素の磁化の回復は99%以上である。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準として頭−尾結合したプロピレン単位5連鎖(mmmm)の第3単位目のメチル基炭素ピークを21.593ppmとして、他の炭素ピークはこれを基準とした。
したがって、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)のトリアドタクティシティ(mm分率)は、(i)頭−尾結合したプロピレン単位3連鎖、または(ii)頭−尾結合したプロピレン単位とブテン単位とからなり、かつ第2単位目にプロピレン単位を含むプロピレン・ブテン3連鎖を、3連鎖中の第2単位目のプロピレン単位の側鎖メチル基について、13C−NMRスペクトル(ヘキサクロロブタジエン溶液、テトラメチルシランを基準)で測定したとき、19.5〜21.9ppm(メチル炭素領域)に表れるピークの全面積を100%とした場合に、21.0〜21.9ppm(第1領域)に表れるピークの面積の割合(百分率)として、下記式から求められる。
上記炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、アリル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基などの直鎖状炭化水素基;イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基などの分岐状炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基などの環状不飽和炭化水素基の置換した飽和炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−フェニルアミノ基、ピリル基、チエニル基などのヘテロ原子含有炭化水素基等を挙げることができる。
(2a−1)一般式:Ra mAl(ORb)nHpXq
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。このような化合物の具体例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどを例示することができる。
(式中、M2は、Li、NaまたはKを表し、Raは、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を表す。)で表される第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。このような化合物としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4などを例示することができる。
(式中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を表し、M3は、Mg、ZnまたはCdを表す。)で表される第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)は、好適には、上記触媒の存在下に、プロピレンと炭素原子数2または4〜20のα−オレフィンと、特に好ましくは1−ブテンと、必要に応じて少量のその他のオレフィンとを共重合して得られる。共重合に際し、各モノマーは、製造するプロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)中の各構成単位量が所望の比率となる量で用いられればよく、具体的には、プロピレン/炭素原子数2または4〜20のα−オレフィンのモル比で50/50〜95/5、好ましくは60/40〜93/7、より好ましくは70/30〜90/10の割合で用いる。
本発明に係る樹脂組成物は、少なくともプロピレン系樹脂(A)とプロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)とを含む。より好ましくは、少なくともプロピレン系樹脂(A)およびプロピレン・1−ブテン共重合体(BB)を含む樹脂組成物である。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の含有量が5重量%以上であると、フィルムに柔軟性を付与することができ、また融点(Tm)が下がり、したがってヒートシール温度も低くなるため、成形サイクルを短縮することができる。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の含有量が上記範囲内であると、従来のポリエチレン系の袋状容器と比べて耐熱性に優れるため、上記樹脂組成物から得られる袋状容器に被充填物を充填した後の加熱滅菌に好適である。
本発明で用いられる被充填物は、液体および/または粉体であって、具体的には、水、油、または砂糖、塩、小麦粉等の調味料および食品などであってもよく、特に限定されない。
本発明で用いられる袋状容器は、上記樹脂組成物からなるヒートシール層を有するフィルムを製袋してなるものであって、上記被充填物を充填するための開口部を有する。該開口部はヒートシール部を有し、ヒートシールすることができる。ヒートシールする際の温度は、80〜220℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃である。上記樹脂組成物は、プロピレン系樹脂(A)の有する耐熱性を大きく損なうことなく、ヒートシール温度を低くできることから、成形サイクル時間が短縮できる。また、ヒートシールする際の圧力は、0.05〜1.0MPa、好ましくは0.1〜0.3MPaである。さらに、ヒートシールする際の時間は、0.1〜3秒間、好ましくは0.2〜1秒間である。
また、充填物の種類によっては、密封された袋状容器は、必要に応じて、オートクレーブ処理(120℃、2気圧、4分間)により滅菌されることがある。本発明の包装体は、耐熱性に優れることから、加熱滅菌処理を行うことが必要な用途にも、好適に使用することができる。
<積層体>
上記フィルムは、上記ヒートシール層と少なくとも1種の基材層とを有する積層体であることが好ましい。積層体の厚みは、内容物の種類、使用する基材層の種類にもよるが、経済性を考慮しつつ、かつ内容物の重量を支えるためには、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜500μmの厚みを有する。
積層体を構成する基材層に用いられる素材としては、例えば、樹脂、紙、バリアフィルム(アルミ箔、蒸着フィルム、コーティングフィルムなど)等が用いられる。
上記樹脂の例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと1−ブテン、1−ペンテン等の長鎖オレフィンモノマーとの共重合体等のポリエチレン系樹脂;プロピレンホモポリマー、高結晶化度プロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂;エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・n−ブチルアクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。さらに従来公知の素材を用いることもできる。
積層体の成形方法は、フィルム成形、ブロー成形、インジェクション成形、インジェクションブロー成形、押出成形、延伸(一軸延伸、チューブラー同時二軸延伸、テンター法逐次二軸延伸、テンター法同時二軸延伸など)等の成形法における共押出法が挙げられる。一方、押出ラミネート成形およびドライラミネート法のような貼合ラミネート成形法によって、共押出が困難な紙およびバリアフィルム(アルミ箔、蒸着フィルム、コーティングフィルムなど)との積層が可能である。ブロー成形、インジェクション成形、押出成形での共押出法による積層体の成形については、フィルム成形と同様に可能である。
本発明の包装体の製造方法は、少なくとも下記工程(1)および(2)を含むものである。
工程(2):上記袋状容器の被充填物を充填した開口部をヒートシールする工程。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の各物性値の測定方法を以下に列挙する。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)に含まれる1−ブテンから導かれる構成単位の量である1−ブテン含有量(M)[モル%]を、13C−NMRにより求めた。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)のメルトフローレート(MFR)[g/10分]を、ASTM D1238に準拠し、温度230℃、2.16kg荷重にて測定した。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の分子量分布(Mw/Mn)を、ミリポア社製GPC−150Cを用い、以下のようにして測定した。
プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の融点(Tm)を、パーキンエルマー(株)製DSC−7型装置(示差走査型熱量計(DSC))を用いて測定した。
〔ヒートシール強度〕
表面にコロナ処理を行ったフィルムのコロナ処理面の一部にハケを用いて幅30mm×長さ250mmの部分に被充填物としてサラダ油(J−オイルミルズ(株)製「キャノーラ油」)0.130gを、刷毛を用いて幅30mm×長さ20mmの部分に塗布した。同じくコロナ処理したフィルムをコロナ処理面同士が重なるようにフィルムを重ね、重ねたフィルムの両面を厚さ50μmのテフロンシートで挟んだ試験体を作製した。次いで、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製TB−701B型)のヒートシールバーを幅15mm×長さ300mmに設置し、シールバー下側を70℃に設定した。ヒートシールバー部分に、該試験体(テフロンシート/フィルム(サラダ油塗布)/フィルム/テフロンシート)を挟み、0.2MPaの圧力で1.0秒間ヒートシールを行った。テフロンシートを外し、ヒートシールされたフィルム部分を約23℃の室温下で2日間放置した。フィルムのヒートシール部分を含むように15mm幅のスリットを入れ、シールされていない部分を引張試験機(「INTESCO社製 IM−20ST」)にチャックした。300mm/分の速度でフィルムの180°剥離強度を測定した。上記操作を5回行い、その平均値をヒートシール強度とした。
次の式から保持率を求めた。
保持率(%)=HS2/HS1×100(%)
HS1:コロナ処理面に被充填物を介在させない場合のヒートシール強度(g/15mm)を表す。
チーグラー触媒およびメタロセン触媒の合成例を以下に示す。
無水塩化マグネシウム200g、安息香酸エチル46mlおよびメチルポリシロキサン30mlを、ボールミルに投入して、窒素雰囲気中で混練処理した後、四塩化チタン中に加えて懸濁液を調製した。この懸濁液を濾過、乾燥することで、塩化マグネシクムに担持された固体状チタン触媒を得た。
(1)1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエンの調製
窒素雰囲気下でtert−ブチルマグネシウムクロライド/ジエチルエーテル溶液(450ml、0.90mol、2.0mol/l溶液)に脱水ジエチルエーテル(350ml)を加えた溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら3−メチルシクロペンテノン(43.7g、0.45mmol)の脱水ジエチルエーテル(150ml)溶液を滴下し、さらに室温で15時間攪拌した。反応溶液に塩化アンモニウム(80.0g、1.50mol)の水(350ml)溶液を、氷冷下で0℃を保ちながら滴下した。この溶液に水(2500ml)を加え攪拌した後、有機層を分離して水で洗浄した。この有機層に、氷冷下で0℃を保ちながら10%塩酸水溶液(82ml)を加えた後、室温で6時間攪拌した。この反応液の有機層を分離し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(45−47℃/10mmHg)することにより14.6gの淡黄色の液体を得た。分析値を以下に示す。
3+5.94+5.87(s+s+t+d、2H)、3.04+2.95(s+s、2H)、2.17+2.09(s+s、3H)、1.27(d、9H)
(2)3−tert−ブチル−1,6,6−トリメチルフルベンの調製
窒素雰囲気下で1−tert−ブチル−3−メチルシクロペンタジエン(13.0g、95.6mmol)の脱水メタノール(130ml)溶液に、氷冷下で0℃を保ちながら脱水アセトン(55.2g、950.4mmol)を滴下し、さらにピロリジン(68.0g、956.1mmol)を滴下した後、室温で4日間攪拌した。反応液をジエチルエーテル(400ml)で希釈後、水(400ml)を加えた。有機層を分離し、0.5Nの塩酸水溶液(150ml×4)、水(200ml×3)飽和食塩水(150ml)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾過し、濾液から溶媒を留去して液体を得た。この液体を減圧蒸留(70〜80℃/0.1mmHg)することにより10.5gの黄色の液体を得た。分析値を以下に示す。
(3)2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−フルオレニルプロパンの調製
フルオレン(10.1g、60.8mmol)のTHF(300ml)溶液に、氷冷下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(40ml、61.6mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で5時間攪拌した(濃褐色溶液)。この溶液を再度氷冷し、3−tert−ブチル−1,6,6−トリメチルフルベン(11.7g、66.5mmol)のTHF(300ml)溶液を窒素雰囲気下で滴下した。室温で14時間攪拌した後に得られた褐色溶液を氷冷し、水(200ml)を加えた。ジエチルエーテルで抽出、分離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去して橙褐色オイルを得た。このオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)で精製して3.8gの黄色オイルを得た。分析値を以下に示す。
(4)ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドの調製
氷冷下で2−(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)−2−フルオレニルプロパン(1.14g、3.3mmol)のジエチルエーテル(25ml)溶液にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(5.0ml、7.7mmol)を窒素雰囲気下で滴下し、さらに室温で14時間攪拌して桃色スラリーを得た。このスラリーに−78℃でジルコニウムテトラクロライド(0.77g、3.3mmol)を加え、−78℃で数時間攪拌し、室温で65時間撹拌した。得られた黒褐色スラリーを濾過し、濾物をジエチルエーテル10mlで洗浄した後、ジクロロメタンで抽出して赤色溶液を得た。この溶液の溶媒を減圧留去して0.53gの赤橙色の固体状のメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロリドを得た。分析値を以下に示す。
〔製造例1:重合ポリマー1(チーグラー触媒によるプロピレン・1−ブテン共重合体(BB)の調製)〕
充分に窒素置換した2000mlのオートクレーブに、ヘキサンを830ml、1−ブテンを100g仕込み、トリイソブチルアルミニウムを1mmol加え、70℃に昇温した後、プロピレンを供給して全圧0.7MPaにし、トリエチルアルミニウム1mmol、および合成例1で得られた、塩化マグネシウムに担持された固体状チタン触媒をTi原子に換算して0.005mmol加え、プロピレンを連続的に供給して全圧を0.7MPaに保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、875mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン75gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を65℃に昇温し、プロピレンで0.7MPaに加圧した。次いで、合成例2で得られたメタロセン触媒であるジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライド0.002mmolと、アルミニウム換算で0.6mmolのメチルアルミノキサン(東ソー・ファインケム社製)とを接触させたトルエン溶液を重合器内に添加し、内温65℃、プロピレン圧0.7MPaを保ちながら30分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。
ヘキサンの仕込みを850ml、1−ブテンを90gにした以外は製造例2と同様の方法で重合を行った。
プロピレン系樹脂(A)として、MFR:7g/10分および融点:138℃を有するプロピレンランダム共重合体である「プライムポリプロ F327」(プライムポリマー(株)製)と、重合ポリマー1とを85/15の重量比によりブレンドし、押出機のシリンダー部の温度を190〜230℃に設定した住友重機械モダン(株)製キャスト成形機へ投入し、10m/分の速度でフィルム厚み50μmとなるように押出機スクリュー回転数を調整してキャスト成形機のTダイよりフィルム状に溶融樹脂を押出し、設定温度25℃としたチルロールに溶融樹脂を接触させて、連続的にフィルムを冷却固化させた。次いで、フィルムの表面に濡れ指数で40〜45mN/mとなるようにコロナ放電を行い、フィルムを巻き取った。
「プライムポリプロ F327」と重合ポリマー1との重量比を70/30に変更した以外は実施例1と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
重合ポリマー1の代わりに重合ポリマー2を用いた以外は実施例1と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
「プライムポリプロ F327」と重合ポリマー2との重量比を70/30に変更した以外は実施例3と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
重合ポリマー1の代わりに重合ポリマー3を用い、「プライムポリプロ F327」と重合ポリマー3との重量比を95/5に変更した以外は実施例1と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
重合ポリマー1の代わりに重合ポリマー3を用いた以外は実施例1と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
「プライムポリプロ F327」と重合ポリマー3との重量比を70/30に変更した以外は実施例5と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
重合ポリマー1を用いない以外は実施例1と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
重合ポリマー1の代わりに、MFR:8.5g/10分、密度:916kg/m3、融点:120℃を有する直鎖状低密度ポリエチレンである「ウルトゼックス 20100J」(プライムポリマー(株)製)を用いた以外は実施例1と同様に調製して物性評価を行った。表2に各物性値を示す。
Claims (7)
- 示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃以上であるプロピレン系樹脂(A)と、示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃未満である、または示差走査熱量計で融点ピークが観測されない、プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)とを含む樹脂組成物からなるヒートシール層
を有するフィルムを製袋してなる袋状容器の開口部より、被充填物である液体および/または粉体を充填し、開口部をヒートシールして得られる包装体。 - 上記プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)が、プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)である、請求項1に記載の包装体。
- 上記プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)が、
(1)プロピレンから導かれる構成単位を50〜95モル%の量で1−ブテンから導かれる構成単位を5〜50モル%の量で含有し、
(2)ASTM D1238に準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定して得られるメルトフローレートが0.01〜1000g/10分であり、
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる分子量分布(Mw/Mn)が3.0以下であり、
(4)示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が110℃以下である、
請求項2に記載の包装体。 - 上記プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)が、さらに
(5)示差走査型熱量計で測定される融点(Tm)が50〜110℃であり、該融点(Tm)[℃]と1−ブテンから導かれる構成単位含量(M)[モル%]とが
−2.6M+130≦Tm≦−2.3M+155
で表される関係式を満たす、
請求項2または3に記載の包装体。 - 上記プロピレン系樹脂(A)および上記プロピレン・1−ブテン共重合体(BB)が、上記樹脂組成物100重量%中、それぞれ50〜95重量%および5〜50重量%含まれる請求項2〜4のいずれかに記載の包装体。
- 上記フィルムが、上記ヒートシール層と基材層との積層体である請求項1〜5のいずれかに記載の包装体。
- 示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃以上であるプロピレン系樹脂(A)と示差走査熱量計で測定される融点(Tm)が120℃未満である、または示差走査熱量計で融点ピークが観測されない、プロピレン・炭素原子数2または4〜20のα−オレフィン共重合体(B)とを含む樹脂組成物からなるヒートシール層を有するフィルムを製袋してなる袋状容器の開口部より被充填物である液体および/または粉体を充填する工程、および開口部をヒートシールする工程を含む包装体の製造方法。
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