JP2009176941A - 撮像装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接着剤で接着される部材の位置ずれを抑制する。
【解決手段】撮像装置1は、電子回路基板2と、電子回路基板2上に設けられた光電変換素子4と、光電変換素子4を取り囲むように電子回路基板2上に設けられ、電子回路基板2に接着剤10で接着された筐体枠8と、筐体枠8の開放部を覆うように筐体枠8上に設けられ、筐体枠8に接着剤で接着された光学ガラス14と、を備える。電子回路基板2、筐体枠8及び光学ガラス14で囲まれた密閉空間18の少なくとも一部に樹脂20が充填されている。
【選択図】図1

Description

本発明は撮像装置及びその製造方法に関し、特に高温環境に対応可能な撮像装置及びその製造方法に関する。
小型電子機器の発展に伴い半導体デバイスへの需要が急激に高まっている。半導体デバイスは非常に微細な回路が作り込まれたシリコンチップであり、そのシリコンチップを中心として種々の技術が展開されている。例えば、特許文献1ではそのような半導体デバイスを基板に実装する際の技術が開示されており、特に半導体デバイスと基板との電気的接合を担うバンプ電極や端子電極を封止する特殊な封止材が開示されている。また近年では、半導体デバイス(光電変換素子)と光学素子とを組み合わせ、光学素子を用いて光を光電変換素子に集束させるいわゆる光学デバイス(撮像装置)も開発されている。特許文献2にはそのような撮像装置に用いられる特殊な封止用樹脂が開示されている。
しかしながら、撮像装置においては、光電変換素子自体を封止材で封止すると、光電変換素子に導入されるべき光線の光路を妨げることとなる為、封止材により光電変換素子を直接封止する構造は困難であった。しかし、光電変換素子は特に外気の湿気やゴミの付着によるノイズの発生という問題が発生しやすい為、何らかの対応が求められていた。
そこで、外気を遮断し気密性を高めた撮像装置の一例を図8に示す。当該撮像装置では、略矩形状の電子回路基板2に光電変換素子4が実装されており、電子回路基板2と光電変換素子4とがワイヤボンディング6で接続されている。電子回路基板2上には光電変換素子4を取り囲むように金属製の筐体枠8が設けられており、筐体枠8の突出部12上に光学ガラス14が支持されている。このような撮像装置においては、主に電子回路基板2,筐体枠8,光学ガラス14により密閉空間18(中空部)が形成されており、電子回路基板2と筐体枠8との間の隙間や筐体枠8と光学ガラス14との間の隙間が接着剤10,16で封止され、光電変換素子4への湿気による影響やゴミなどの付着が防止されている。
一方、近年では、撮像装置を搭載した携帯電話やデジタルカメラ等の撮像機器の製造コスト削減への要望が更に高まっている。そこで、撮像機器の基板上に撮像装置を実装する際に、基板上に予め半田をポッティングした状態で撮像装置やその他の電子部品を載置し、それらを載置したまま半田が溶融する温度条件下で加熱処理(リフロー処理ともいう)することで、撮像装置やその他の電子部品を基板上に同時実装するという技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。その場合、加熱処理に供される撮像装置は、通常の使用環境ではさらされることのない高温環境にさらされることとなり、更なる温度耐性が求められることとなる。
上述の撮像装置の構成の場合、図9上段に示す通り、密閉空間18の中空部分には通常は空気が充填されることとなる。空気は気体の状態方程式(PV=nRT)からわかるように、高温時に外側へ広がる方向へ高圧化し(図9中段)、そのとき最も剥離しやすい接着剤10,16部分へ応力が集中する。そのような理由から、特にリフロー処理のような高温環境に晒された場合は、内部の圧力の上昇により光学ガラス14が正規の位置から浮き上がったり(図9下段左側)、筐体枠8自体が正規の位置からずれたり(図9下段右側)し、透湿やゴミの混入という問題が発生することがわかった。
また、このような撮像装置を製造するときには、始めに電子回路基板2の側縁部に接着剤10を塗布して筐体枠8を載置し、その後筐体枠8の突出部12に光学ガラス14を内挿し、突出部12と光学ガラス14との間に接着剤16を塗布する。そして当該電子回路基板2を高温で焼成し、接着剤10,16を硬化させ、光電変換素子4を密閉空間18中に閉じ込める。
この場合、接着剤10,16としての熱硬化接着剤を、通常90℃を超える高温焼成にて数秒〜数分の間急激に温度上昇させる必要があり、上記と同様に、密閉空間18中の空気が高圧化して、光学ガラス14を押し上げたり(図9下段左側)筐体枠8全体を動かしたり(図9下段右側)してしまう問題が発生する場合があることが判明した。特に、焼成前においては、接着剤10,16は未硬化の状態であって液体に近い状態にあるので、この現象が発生しやすい。そして接着剤10,16は光学ガラス14や筐体枠8が正規の位置からずれた後のそのままの状態で硬化してしまうため、これを焼成後において修正したりすることは通常不可能であり、製造後の撮像装置が不良品となってしまう場合が考えられる。
このような現象は封止性が高いとき、すなわち車載カメラ用や屋外設置カメラ、一眼レフカメラなど高湿環境下での使用が想定されるものや、高信頼性が求められるパッケージの場合ほど起こりやすい。より水分の浸入を防ぐために高封止であるほど気密性が高く、空気が外部へ逃げるための経路がないためである。また、大型のセンサ、すなわち高画素数や多機能のセンサほど体積が大きく、充填される空気量が多いため、空気の変化現象もより顕著になるためである。
特許第3319741号公報 特許第3574740号公報 特開2001−24320号公報
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、本発明の主な目的は、耐湿性に優れ、ほこりやゴミ等の進入を抑止できるとともに、高温環境下においても変形や破損を抑制することができる撮像装置及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
基板と、
前記基板上に設けられた、入射光束を電気信号へ変換する光電変換素子と、
前記光電変換素子を取り囲むように前記基板上に設けられた筐体枠と、
前記入射光束の光路上に設けられ、前記筐体枠の開放部を封止する光透過部材と、
を備え、
前記基板、前記筐体枠及び前記光透過部材で囲まれた密閉空間の少なくとも一部に硬化性樹脂が充填されおり、前記硬化性樹脂の前記密閉空間に占める体積が30%以上であることを特徴とする撮像装置が提供される。
本発明の他の態様によれば、
入射光束を電気信号に変換する光電変換素子が設けられた基板に対し、前記光電変換素子を取り囲むように筐体枠を立設する工程と、
前記筐体枠の内側に硬化性樹脂を充填する工程と、
前記入射光束の光路上に、前記筐体枠の開放部を封止するように光透過部材を設置する工程と、
前記硬化性樹脂を硬化する工程と、
を備えることを特徴とする撮像装置の製造方法が提供される。
本発明者らは検討の結果、上述の態様のように、基板、筐体枠及び光透過部材とで構成された密閉空間の少なくとも30%の体積にあたる硬化性樹脂を充填させることにより、高温環境下におかれた場合においても、部材の位置ズレ、変形及び破損のない撮像素子を提供することができることを見出した。
上述のように、光透過性部材を筐体枠に接着する際には通常90℃を超える高温焼成が行われる。この際には、接着剤が硬化されていないため、前記光透過性部材が密閉空間内の空気により押し上げられることとなるが、空間の一部に硬化性樹脂が充填されることで加熱により膨張される空気の体積を減少させることができるため、空気の膨張による気圧の増加が抑えることができると考えられる。更に、リフロー工程が行われる場合は、接着剤は既に硬化されているものの、更に高い温度に晒されることとなる。しかし、密閉空間の一部に硬化性樹脂が充填されることで加熱により膨張される空気の体積を減少させることができるため、筐体枠の変形や光透過性部材の位置ズレを抑制することができる。
また、本発明においては、密閉空間に硬化性樹脂を充填するため、充填後に加熱や光照射により硬化することが可能であり、容易に製造することが可能である。また、熱可塑性樹脂が充填された場合、接着剤硬化の為の加熱やリフロー処理の際に充填材料が溶解して性能に影響を与えることが懸念されるが、硬化性樹脂であれば加熱により溶解することがないという利点も得られる。
本発明によれば、耐湿性に優れ、ほこりやゴミ等の進入を抑止できるとともに、高温環境下においても変形や破損を抑制することができる撮像装置及びその製造方法を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1上段に示す通り、本実施形態に係る撮像装置1は略矩形状の電子回路基板2を有している。電子回路基板2上には光電変換素子4が実装されている。光電変換素子4としては、特に限定はなく、一般的に用いられているCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサー等を用いることができる。
電子回路基板2と光電変換素子4とがワイヤボンディング6で接続されており、これらが互いに導通している。電子回路基板2上にはさらに光電変換素子4を取り囲むように筐体枠8が設けられており、電子回路基板2と筐体枠8とが接着剤10によって接着されている。
筐体枠8を構成する材料としては特に限定はなく、金属、樹脂、ガラス等を用いることができるが、不要光を遮蔽することができる素材であることが望ましい。また、リフロー処理を行う場合は、耐熱性が求められるため、金属やガラス製であることが更に好ましい。遮蔽性、剛性、耐熱性を考慮すると金属性であることが特に好ましい。
筐体枠8を電子回路基板2に固定する方法として、ここでは接着剤10が用いられているが、気密性が保たれる限り特に限定はなく、筐体枠8端部と電子回路基板2を係合により固定させることも可能である。構成の簡略化の観点では、接着剤10により固定されることが好ましい。
用いられる接着剤10としては特に限定はなく、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、二液混合型硬化性樹脂、酸化硬化性樹脂、活性光線硬化性樹脂等、従来公知の接着剤を用いることができるが、耐熱性の観点で、熱硬化性樹脂が特に好ましく用いられる。
筐体枠8は略矩形枠状を呈しており(図2参照)、その内側には突出部12が筐体枠8と一体に形成されている。突出部12上には光透過部材として、透明の光学ガラス14が支持されている。光学ガラス14は、光電変換素子4に向かう光の透過を許容する光透過部材の一例であり、筐体枠8の上方(開放部)を覆うように設けられている。
ここで、筐体枠8は略矩形枠状の形状とされているが、形状は特に限定なく、略矩形枠状の他に、円筒形状でもよい。
光透過部材としては、光学ガラス14に限定されず、入射光を透過する材料であればよいが、リフロー処理を行う場合、高い耐熱性が求められるため、ガラス製または高耐熱性の硬化性樹脂等が好ましく用いられ、特にガラス製であることが好ましい。
筐体枠8の上部側壁や突出部12と光学ガラス14との間には接着剤16が塗布されており、接着剤16により筐体枠8と光学ガラス14とが接着されている。
光学ガラス14を筐体枠8に固定するための接着剤16の材料としては、上記接着剤10で挙げた接着剤が同様に好ましく用いられる。本実施形態では、接着剤16は接着剤10と同様の熱硬化性樹脂で構成されているが、接着剤10,16は互いに異なる種類の樹脂で構成されていてもよい。
撮像装置1では、主に電子回路基板2、筐体枠8及び光学ガラス14で略直方体状の密閉空間18が形成されている。密閉空間18の一部には、筐体枠8の内壁に沿って光電変換素子4を取り囲むように、硬化性樹脂20が充填されており、密閉空間18中における内部空気の占める体積が低減されている。
硬化性樹脂20の密閉空間18中に占める体積(充填率)は、密閉空間18の体積に対し30%以上の体積を占める必要があるが、光電変換素子4の面積や形状等の事情に応じて調整可能であり、好ましくは30〜90%である。30%以上であれば、硬化性樹脂20の充填による密閉空間18内の空気量の低減効果を十分に得ることが可能であり、光学ガラス14の位置ズレや破損を抑制できる。硬化性樹脂20を充填する際、光学ガラス14と充填された硬化性樹脂20の界面が全面で接触する形態とすると、硬化性樹脂20の収縮により光学ガラス14が変形する要因となり得るため、光学ガラス14と充填された硬化性樹脂20は少なくとも一部が非接触とされることが好ましく、充填率を90%以下とすることで、このような問題を容易に回避できる。
充填用の硬化性樹脂20は、本実施の形態のように光電変換部19(光電変換素子4が設けられた部位)以外の領域にのみ設けられる構成であってもよいし、光電変換部19上に設けられていてもよい。硬化性樹脂20が光電変換部19以外の領域にのみ設けられる場合は、硬化性樹脂20は光透過性である必要がない為、比較的自由に材料を選択することができる。光電変換部19上にも硬化性樹脂20を設ける場合は、光電変換部19への入射光を遮蔽しないように光透過性の硬化性樹脂が用いられることが好ましい。光電変換部19上にも硬化性樹脂20を設ける場合、硬化性樹脂20による入射光への影響を考慮すると、硬化性樹脂20は層状に設けられる構成が好ましく、層状に設けられる場合は、単層構造であってもよいし、2以上の層を積み重ねた(層状に積み重ねた)積層構造としてもよい。
撮像装置1では、上方から光が入射してその入射光が光学ガラス14を透過し、その透過光が光電変換素子4で光電変換され、その電気信号が電子回路基板2に送信されることにより、画像の取込みが可能となっている。
なお、撮像装置1では、図1下段に示す通り、光学ガラス14に加えてその上方にレンズ14aを配置してもよいし、光学ガラス14に代えてレンズ14bを配置してもよい。レンズ14a,14bはガラス製であっても、樹脂製であってもよいが、リフロー処理を行う場合は高耐熱性を有する必要がある為、ガラス製であることが好ましい。
充填用の硬化性樹脂20は、一般的に用いられる硬化性樹脂を用いることができる。本発明における「硬化性樹脂」とは、不可逆的な硬化反応により硬化する樹脂を表し、例えば、熱硬化性樹脂、活性光線硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、酸素硬化性樹脂、二液混合型硬化性樹脂等が一般的に知られている。このうち、耐熱性に優れ、硬化方法が容易である観点から、本発明においては、熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
また、上述のように充填用の硬化性樹脂20を光電変換部19以外の領域にのみ設ける場合は、光透過性樹脂である必要はないが、光電変換部19上に硬化性樹脂20を設ける場合は、光透過性を有する硬化性樹脂であることが好ましく、リフロー処理等の加熱処理時においても、着色等の劣化が生じにくい耐熱性に優れた硬化性樹脂を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる硬化性樹脂20としては、例えば下記(1)〜(4)に列記したような種類の樹脂を好ましく使用することができる。
(1)シリコーン樹脂
Si−O−Siを主鎖としたシロキサン結合を有するシリコーン樹脂を使用することができる。当該シリコーン樹脂として、所定量のポリオルガノシロキサン樹脂よりなるシリコーン系樹脂が使用可能である(例えば特開平6−9937号公報参照)。
熱硬化性のポリオルガノシロキサン樹脂は、加熱による連続的加水分解−脱水縮合反応によって、シロキサン結合骨格による三次元網状構造となるものであれば、特に制限はなく、一般に高温、長時間の加熱で硬化性を示し、一度硬化すると加熱により再軟化し難い性質を有する。
このようなポリオルガノシロキサン樹脂は、下記一般式(A)が構成単位として含まれ、その形状は鎖状、環状、網状形状のいずれであってもよい。
((R)(R)SiO) … (A)
上記一般式(A)中、「R」及び「R」は同種又は異種の置換もしくは非置換の一価炭化水素基を示す。具体的には、「R」及び「R」として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子をハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換した基、例えばクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基、γ−アミノプロピル基、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピル基などが例示される。「R」及び「R」は水酸基およびアルコキシ基から選択される基であってもよい。また、上記一般式(A)中、「n」は50以上の整数を示す。
ポリオルガノシロキサン樹脂は、通常、トルエン、キシレン、石油系溶剤のような炭化水素系溶剤、またはこれらと極性溶剤との混合物に溶解して用いられる。また、相互に溶解しあう範囲で、組成の異なるものを配合して用いても良い。
ポリオルガノシロキサン樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のいずれの方法も用いることができる。例えば、オルガノハロゲノシランの一種または二種以上の混合物を加水分解ないしアルコリシスすることによって得ることができ、ポリオルガノシロキサン樹脂は、一般にシラノール基またはアルコキシ基等の加水分解性基を含有し、これらの基をシラノール基に換算して1〜10重量%含有する。
これらの反応は、オルガノハロゲノシランを溶融しうる溶媒の存在下に行うのが一般的である。また、分子鎖末端に水酸基、アルコキシ基またはハロゲン原子を有する直鎖状のポリオルガノシロキサンを、オルガノトリクロロシランと共加水分解して、ブロック共重合体を合成する方法によっても得ることができる。このようにして得られるポリオルガノシロキサン樹脂は一般に残存するHClを含むが、本実施形態の組成物においては、保存安定性が良好なことから、10ppm以下、好ましくは1ppm以下のものを使用するのが良い。
(2)アダマンタン骨格を有する硬化性樹脂
2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート(特開2002−193883号公報参照)、3,3’−ジアルコキシカルボニル-1,1’ビアダマンタン(特開2001−253835号公報参照)、1,1’−ビアダマンタン化合物(米国特許第3342880号明細書参照)、テトラアダマンタン(特開2006−169177号公報参照)、2−アルキル−2−ヒドロキシアダマンタン、2−アルキレンアダマンタン、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−tert−ブチル等の芳香環を有しないアダマンタン骨格を有する硬化性樹脂(特開2001−322950号公報参照)、ビス(ヒドロキシフェニル)アダマンタン類やビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン(特開平11−35522号公報、特開平10−130371号公報参照)等を使用することができる。
(3)アクリレート化合物、アリルエステル化合物を含有する樹脂
芳香環を含まない臭素含有(メタ)アリルエステル(特開2003−66201号公報参照)、アリル(メタ)アクリレート(特開平5−286896号公報参照)、アリルエステル樹脂(特開平5−286896号公報、特開2003−66201号公報参照)、アクリル酸エステルとエポキシ基含有不飽和化合物の共重合化合物(特開2003−128725号公報参照)、アクリレート化合物(特開2003−147072号公報参照)、アクリルエステル化合物(特開2005−2064号公報参照)等を好ましく用いることができる。
(4)エポキシ樹脂
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
硬化剤としては、酸無水物硬化剤やフェノール硬化剤等を好ましく使用することができる。酸無水物硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等を挙げることができる。また、必要に応じて硬化促進剤が含有される。硬化促進剤としては、硬化性が良好で、着色がなく、熱硬化性樹脂の透明性を損なわないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)等のイミダゾール類、3級アミン、4級アンモニウム塩、ジアザビシクロウンデセン等の双環式アミジン類とその誘導体、ホスフィン、ホスホニウム塩等を用いることができ、これらを1種、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。
続いて、図2〜図4を参照しながら、撮像装置1の製造方法について説明する。
光電変換素子4が実装された電子回路基板2を準備し(図2上段)、接着剤用ディスペンサ30を用いて、電子回路基板2の側縁部に沿って接着剤10(ここでは熱硬化性樹脂を用いる)を塗布し(図2中段)、電子回路基板2に対し筐体枠8を載置する(図2下段)。
筐体枠8を電子回路基板2上の接着剤10が塗布された部位に載置したら(図3上段)、電子回路基板2を恒温槽に移送して一定の温度で加熱し、接着剤10を硬化させ、筐体枠8を電子回路基板2上に固定する。
次に、光電変換素子4を取り囲むように、電子回路基板2上の領域であって筐体枠8で囲まれた内側の領域に対し、充填樹脂用ディスペンサ40を用いて硬化性樹脂20(ここでは熱硬化性樹脂を用いる)を充填する(図3中段〜図3下段)。
その後、光学ガラス14を準備し(図4上段)、光学ガラス14を突出部12に支持させるように筐体枠8の内側に内挿し(図4中段)、接着剤用ディスペンサ30を用いて、筐体枠8と光学ガラス14との間の隙間に接着剤16(ここでは熱硬化性樹脂を用いる)を塗布する(図4下段)。この状態で、電子回路基板2を恒温槽に移送して60〜200℃で加熱(焼成)し、硬化性樹脂20、接着剤16を硬化させる。その結果、本実施形態に係る撮像装置1を製造することができる。
以上の本実施形態によれば、密閉空間18に硬化性樹脂20が充填され、硬化性樹脂20が密閉された状態で硬化されるため、密閉空間18中に存在する空気量(空気部分の体積)が低減する。そのため、硬化の為に加熱された場合であっても、光学ガラス14の位置ズレが発生しにくい。また、リフロー処理等の高温環境下に晒された場合であっても、光学ガラス14が正規の位置から浮き上がったり、筐体枠8自体が正規の位置からずれたりせず、接着剤10,16で接着される部材の破損や位置ずれを抑制することができ、高耐湿性を保ち、埃やゴミ等の進入を効果的に抑制することができる。また、光学ガラス14を筐体枠8に固定するための接着剤16と充填される硬化性樹脂20を同じ熱硬化性樹脂としたことにより、硬化性樹脂20と接着剤16を同時に硬化させることができ、硬化工程を増やさずに撮像装置1を製造することができる。
なお、密閉空間18の空気量を低減させる1つの方法として、図3下段以降の工程を真空下で実行することが考えられるが、この場合、光学ガラス14の設置や、硬化工程も真空環境下で行う必要があり、非常に大型の真空装置が必要となり、コストの増大を招くため好ましくない。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は下記の点で第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様である。
図1では、充填用の硬化性樹脂20を、光電変換部19以外の領域に充填したのに対し、本実施形態では、図5に示す通りに硬化性樹脂21が密閉空間18に設けられている。硬化性樹脂21は筐体枠8の内に光電変換素子4上を覆うように層状に全面に充填されている。すなわち、硬化性樹脂21は光学ガラス14から光電変換素子4に向かう光路上に充填されている。充填用の硬化性樹脂21は硬化性樹脂20と同じ種類の樹脂で構成されてもよいが、入射光の光電変換素子4に向かう光路上に配置されているため、光透過を有する硬化性樹脂である必要がある。このような硬化性樹脂としても、上述された硬化性樹脂を好ましく用いることができる。当該撮像装置1を製造する場合には、図3中段に示す工程において、筐体枠8内に層状に硬化性樹脂21を充填すればよい。
以上の実施形態によれば、光電変換素子4の上部を含む領域まで層状に硬化性樹脂21が設けられるため、硬化性樹脂21を多量に充填することが可能となり、空間における空気量(体積)の低減効果及び硬化収縮による気圧の減少硬化をより得ることができる。また、筐体枠8内に液状の硬化性樹脂21を充填し、硬化することで容易に平面状に充填することが可能であり、入射光に対する影響を低減することができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は下記の点で第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様である。
図1の充填用の硬化性樹脂20に代えて、図6に示す通りに硬化性樹脂22,24が密閉空間18に設けられている。硬化性樹脂22は第1の実施形態に係る硬化性樹脂20と同様のものであってよい。硬化性樹脂24は光電変換素子4を覆うように密閉空間18に充填されている。充填用の樹脂24は単層構造でもよいし、2以上の層を均一に積み重ねた(層状に積み重ねた)積層構造としてもよい。充填用の樹脂24は、光学ガラス14から光電変換素子4に向かう入射光の光路上に充填されているため、第2の実施形態に係る硬化性樹脂21のように光透過を考慮した特殊な樹脂とする必要があり、好ましくは硬化性樹脂21と同じ種類の樹脂で構成することができる。当該撮像装置1を製造する場合には、図3中段・下段に示す工程において、始めに筐体枠8の内壁に沿ってのみ樹脂22を塗布・硬化させ、その後光電変換素子4を覆うように樹脂24を塗布・硬化させればよい。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は下記の点で第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様である。
図1の充填用の樹脂20に代えて、図7に示す通りに接着剤16が密閉空間18に設けられている。すなわち、接着剤16が筐体8と光学ガラス14との接着に加えて、密閉空間18の空気量を低減する機能を有している。この場合においても接着剤16は第1の実施形態に係る硬化性樹脂20と同様のものであってよい。この場合において、接着剤16の密閉空間18中に占める体積(充填率)は樹脂20と同様に、10%以上であり、好ましくは30〜90%である。当該撮像装置1を製造する場合には、図3中段から図4下段にかけての工程において、筐体8の突出部12上からその内壁に沿ってのみ接着剤16を垂れ流すように塗布し、その後光学ガラス14を筐体枠8の内側に内挿する。この状態で、電子回路基板2を恒温槽に移送して60〜200℃で加熱(焼成)し、接着剤16を硬化させればよい。
以上の本実施形態によれば、筐体8と光学ガラス14との接着と、密閉空間18の空気量の低減とを、接着剤16で併用することができるから、第1の実施形態における充填用の硬化性樹脂20やその硬化工程などが不要であり、製造工程を簡略化することができる。
図5の撮像装置1と同様の撮像装置を複数台準備した。このとき、各撮像装置の密閉空間に対しては下記の樹脂A,B,Cを充填した(充填率は表1参照)。
[樹脂A]
新中村化学製 NKエステル DCP (トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)に重合開始剤として日本油脂製 パーブチルOを1wt%添加し、これを「樹脂A」とした。
[樹脂B]
特開2002−193883号に従って作製した2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを「樹脂B」とした。
[樹脂C]
ダイセル株式会社製芳香族含有エポキシ樹脂と硬化剤として大日本インキ化学工業株式会社製 酸無水物EPICLON B-650を各当量で混合し、これを「樹脂C」とした。
その後、各撮像装置を200℃で加熱して樹脂A,B,Cを硬化させ、その際の筐体枠の電子回路基板に対する位置ずれや、光学ガラスの筐体枠に対する位置ずれを観測した。その観測結果を表1に示す。表1中、「◎」,「○」,「×」の各基準は下記の通りである。
◎…全く又はほとんどずれが生じなかった
○…実害性のないずれが生じた
×…実害性のあるずれが生じた
Figure 2009176941
表1に示す通り、樹脂の充填率が30%以上である場合に良好な結果が得られ、特に樹脂の充填率が30〜90%である場合に筐体枠や光学レンズの位置ずれが抑制された。
実施例1において、密閉空間に樹脂A,B,Cを50%充填して硬化させた3台の撮像装置を、リフロー処理(260℃,1時間)に供し、筐体枠の電子回路基板に対する位置ずれや、光学レンズの筐体枠に対する位置ずれを更に観測した。その観測結果を表2に示す。表2中、「◎」,「○」の各基準は実施例1と同じである。
Figure 2009176941
表2に示す通り、密閉空間を樹脂A,B,Cいずれで充填した撮像装置においても、実害性のあるようなずれは生じなかったが、樹脂A,B,Cのなかでも樹脂Aで充填した場合に、筐体枠の電子回路基板に対するずれや、光学ガラスの筐体に対するずれが全く又はほとんど生じず、樹脂Aがリフロー処理には好適であった。
本発明の好ましい実施形態(第1の実施形態)で使用される撮像装置の概略構成を示す断面図である。 第1の実施形態に係る撮像装置の製造方法を概略的に示す図面である。 図2の後続の処理を概略的に示す図面である。 図3の後続の処理を概略的に示す図面である。 本発明の好ましい実施形態(第2の実施形態)で使用される撮像装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態(第3の実施形態)で使用される撮像装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の好ましい実施形態(第4の実施形態)で使用される撮像装置の概略構成を示す断面図である。 従来の撮像装置の概略的な構成とその問題点とを説明するための図面である。 従来の撮像装置の問題点を説明するための図面である。
符号の説明
1 撮像装置
2 電子回路基板
4 光電変換素子
6 ワイヤボンディング
8 筐体枠
10,16 接着剤
12 突出部
14 光学ガラス
14a,14b レンズ
18 密閉空間
19 光電変換部
20,21,22,24 (充填用の)硬化性樹脂

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた、入射光束を電気信号に変換する光電変換素子と、
    前記光電変換素子を取り囲むように前記基板上に設けられた筐体枠と、
    前記入射光束の光路上に設けられ、前記筐体枠の開放部を封止する光透過部材と、
    を備え、
    前記基板、前記筐体枠及び前記光透過部材で囲まれた密閉空間に硬化性樹脂が充填されており、前記硬化性樹脂の前記密閉空間に占める体積が30%以上であることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記硬化性樹脂が前記入射光束の光路以外の部分に充填されていることを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項1または2に記載の撮像装置において、
    前記光電変換素子を覆うように前記硬化性樹脂が充填されていることを特徴とする撮像装置。
  4. 請求項3に記載の撮像装置において、
    前記硬化性樹脂が層状に充填されていることを特徴とする撮像装置。
  5. 請求項3または4に記載の撮像装置において、
    前記硬化性樹脂のうち、少なくとも前記光透過部材から前記光電変換素子に向かう光路上に充填された前記硬化性樹脂が、熱硬化性樹脂であって、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はアダマンチルメタクリレート樹脂であることを特徴とする撮像装置。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の撮像装置において、
    前記光透過部材と前記筐体枠とが接着剤により封止されており、前記接着剤と前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする撮像装置。
  7. 請求項6に記載の撮像装置において、
    前記接着剤と前記硬化性樹脂とが同じ熱硬化性樹脂であることを特徴とする撮像装置。
  8. 入射光束を電気信号に変換する光電変換素子が設けられた基板に対し、前記光電変換素子を取り囲むように筐体枠を立設する工程と、
    前記筐体枠の内側に硬化性樹脂を充填する工程と、
    前記入射光束の光路上に、前記筐体枠の開放部を封止するように光透過部材を設置する工程と、
    前記硬化性樹脂を硬化する工程と、
    を備えることを特徴とする撮像装置の製造方法。
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