JP2009175300A - 複屈折フィルムおよび偏光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】極性の低い溶媒に溶解性の高い芳香族ポリマー(エステル系ポリマー)を含み、さらに厚み方向の複屈折率Δnxz(=n−n)が大きい複屈折フィルムを実現する。
【解決手段】一般式(I)で表わされるエステル系ポリマーを含む複屈折フィルム。RおよびRは独立して炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。
Figure 2009175300

【選択図】なし

Description

本発明は光学フィルムに関し、特に複屈折フィルムおよび偏光素子に関する。
液晶パネルでは液晶を通過する光線の位相差を制御するため複屈折フィルムが用いられる。複屈折フィルムとして、芳香族ポリイミドや芳香族ポリエステルなどの芳香族ポリマーを主成分とするコーティング液を、ガラス板やポリマーフィルムなどの基材ないしは金属ドラムや金属ベルトなどの上に流延して塗膜を成膜し、芳香族ポリマーを配向させたものが知られている(特許文献1)。
このような芳香族ポリマーは耐熱性や機械的強度に優れるという特徴がある一方、有機溶媒に対する溶解性に乏しいという欠点がある。このため芳香族ポリマーを主成分とする複屈折フィルムは、従来は当該芳香族ポリマーを極性の高い溶媒(例えばシクロペンタノン、メチルエチルケトン、ジクロロエタン)に溶解させて溶液状にした後、流延、塗布し、乾燥して成膜されていた。しかし従来の成膜法では当該芳香族ポリマーを溶解できる溶媒の選択肢が限られるため、乾燥条件が制限されたり高価な設備が必要であったりした。そのため例えばトルエンのような極性の低い溶媒に可溶な新規の芳香族ポリマーが求められていた。
特開2004−70329号公報
本発明の目的は、極性の低い溶媒に溶解性の高い芳香族ポリマーを含み、さらに厚み方向の複屈折率Δnxz(=n−n)が大きい複屈折フィルムを実現することである。
本発明者らは、従来背反関係にあった溶解性と厚み方向の複屈折率Δnxzの関係を改善すべく鋭意検討した結果、(1)ポリマー骨格中にチオフェン環を導入することと、(2)一般式(I)または(II)中のR〜R、R〜R12のいずれかに特定の置換基を導入することによりこれが解決できることを見出した。
本発明の要旨は次の通りである。
(1)本発明の複屈折フィルムは下記一般式(I)で表わされるエステル系ポリマーを含むことを特徴とする。
Figure 2009175300
一般式(I)においてRおよびRは独立して炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rの少なくとも一つは水素原子ではなく、nは2以上の整数を表わす。
(2)本発明の複屈折フィルムは前記一般式(I)において、Rがメチル基、Rが炭素数2〜4の直鎖もしくは分枝のアルキル基であることを特徴とする。
(3)本発明の複屈折フィルムは前記一般式(I)において、R〜Rが独立して炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝のアルキル基であることを特徴とする。
(4)本発明の複屈折フィルムは下記一般式(II)で表わされる共重合体エステル系ポリマーを含むことを特徴とする。
Figure 2009175300
一般式(II)においてRおよびRは独立して炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rの少なくとも一つは水素原子ではなく、R、RはそれぞれR、Rと同様であり、R〜R12はそれぞれR〜Rと同様であり、lおよびmは2以上の整数を表わす。
(5)本発明の複屈折フィルムは前記一般式(II)で表わされる共重合体エステル系ポリマーにおいて、l/(l+m)の値が0.3〜0.8であることを特徴とする。
(6)本発明の複屈折フィルムは前記一般式(I)または(II)で表わされるエステル系ポリマーのガラス転移温度が100℃以上、300℃以下であることを特徴とする。
(7)本発明の複屈折フィルムはフィルム厚み方向の屈折率nがフィルム面内の屈折率の最大値nより小さいことを特徴とする。
(8)本発明の偏光素子は上記の複屈折フィルムと偏光子とを含むことを特徴とする。
(9)本発明の偏光素子は、上記の複屈折フィルム/接着層/偏光子/接着層/透明保護フィルムがこの順に積層されたことを特徴とする。
(10)本発明の偏光素子は、(上記の複屈折フィルムと基材との積層体)/接着層/偏光子/接着層/透明保護フィルムがこの順に積層されたことを特徴とする。
本発明の複屈折フィルムは、極性の低い溶媒にも溶解性の高い一般式(I)または(II)で表わされるエステル系ポリマーを含むため、エステル系ポリマーを塗布する基材の自由度が高く、さらに厚み方向の複屈折率Δnxz(=n−n)が大きい複屈折フィルムを実現することができる。
従来の芳香族ポリマーにおいては、ポリマー構造を直線状にして厚み方向の複屈折率Δnxzを大きくすると溶解性が低下し、ポリマー構造を屈曲状にして溶解性を高めると厚み方向の複屈折率Δnxzが小さくなるという問題があった。前者の例としてはテレフタル酸等のパラ置換6員環、後者の例としてはイソフタル酸等のメタ置換6員環が挙げられる。すなわち溶解性を高めることと厚み方向の複屈折率Δnxzを大きくすることは背反関係にあった。
本発明者らは、従来背反関係にあった溶解性と厚み方向の複屈折率Δnxzの関係を改善すべく鋭意検討した結果、(1)ポリマー骨格中にチオフェン環を導入することと、(2)一般式(I)または(II)中のR〜R、R〜R12のいずれかに特定の置換基を導入することによりこれが解決できることを見出した。R〜R、R〜R12に導入される特定の置換基とはハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基のいずれかである。
(1)チオフェン環は5員環であるため、ポリマー鎖を適度に屈曲させて溶解性を高めることができ、またπ電子が豊富であるため芳香族環どうしの相互作用を強めて厚み方向の複屈折率Δnxzを大きくすることができる。
(2)R〜R、R〜R12のいずれかに導入される特定の置換基は、その置換基の大きさに応じて、隣り合う2つのベンゼン環を互いにねじれるように変形させ、溶解性を高めることができる。またポリマー構造の直線性を維持して厚み方向の複屈折率Δnxzの低下を抑えることができる。
[複屈折フィルム]
本発明の複屈折フィルムは一般式(I)または(II)で表わされるエステル系ポリマーを含むことを特徴とする。本明細書において「複屈折フィルム」とは、フィルム面内および厚み方向の一方もしくは両方に屈折率異方性を有する透明フィルムをいう。本発明の複屈折フィルムは、好ましくは、フィルム厚み方向の屈折率nがフィルム面内の屈折率nよりも小さい、すなわちn>nの関係を満たす。
本発明の複屈折フィルムの波長550nmにおける厚み方向の複屈折率Δnxz(=n−n)は好ましくは0.015〜0.030である。本発明の複屈折フィルムはこのような高い厚み方向の複屈折率Δnxzを有することにより、所望の厚み方向の位相差値Rth(=Δnxz×フィルム厚み)を有する複屈折フィルムをより薄く作製することが可能になる。
本発明の複屈折フィルムの厚みは用途や所望の厚み方向の位相差値に応じて適宜設定されるが、好ましくは1μm〜20μm、より好ましくは1μm〜10μmである。
本発明の複屈折フィルムの波長400nmにおける透過率は、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上である。本発明の複屈折フィルムは一般式(I)または(II)で表わされるエステル系ポリマーを用いることによりこのような高い透過率を得ることができた。この理由は、R〜R、R〜R12のいずれかに導入される特定の置換基が、置換基の大きさに応じて隣り合う2つのベンゼン環を互いにねじれるように変形させて溶解性を高め、さらにポリマー構造の直線性を維持して厚み方向の複屈折率Δnxzの低下を抑えることができたからである。
[エステル系ポリマー]
本発明の複屈折フィルムは下記一般式(I)で表わされるエステル系ポリマーを含むことを特徴とする。
Figure 2009175300
一般式(I)においてRおよびRは独立して炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わす。ただしR〜Rの少なくとも一つは水素原子ではない。nは2以上の整数を表わす。
このようにポリマー骨格中にチオフェン環を導入し、かつ、R〜Rのいずれかに特定の置換基を導入することにより、溶解性を高めることと厚み方向の複屈折率Δnxzを大きくすることが両立可能になる。
好ましくは一般式(I)におけるRはメチル基、Rは炭素数2〜4の直鎖もしくは分枝のアルキル基、R〜Rは炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝のアルキル基である。R〜Rのアルキル基の炭素数が多すぎると(例えばRおよびRで11以上、R〜Rで7以上)、厚み方向の複屈折率が小さくなったり、耐熱性(ガラス転移温度)が低下したりするおそれがある。
本発明の複屈折フィルムは一つの実施形態として、下記一般式(II)で表わされるエステル系ポリマー(共重合体)を含む。一般式(II)中、lおよびmは2以上の整数を表わし、R〜Rは一般式(I)と同様である。R、RはそれぞれR、Rと同様であり、R〜R12はそれぞれR〜Rと同様である。
Figure 2009175300
一般式(II)で表わされるポリマーのシーケンスには特に制限はなく、ブロック共重合体でもランダム共重合体でもよい。一般式(II)で表わされるエステル系ポリマーにおいてチオフェン環を含む繰り返し単位の含有率、すなわちl/(l+m)の値は、好ましくは0.3〜0.8である。l/(l+m)の値がこの範囲であれば、特に溶解性に優れ厚み方向の複屈折率の大きな複屈折フィルムが得られる。
上記のエステル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)には特に制限はないが、好ましくは10,000〜500,000である。上記のエステル系ポリマーのガラス転移温度は、耐熱性の観点からは100℃以上が好ましく、成形性や延伸性の観点からは300℃以下が好ましい。
本発明の複屈折フィルムは上記のエステル系ポリマーを複屈折フィルムの総重量の、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは80重量%〜100重量%含む。本発明の複屈折フィルムは一般式(I)または一般式(II)で表わされるエステル系ポリマー以外のポリマー(例えばイミド系ポリマー、エーテルケトン系ポリマー、アミドイミド系ポリマー、スチレン系ポリマーなど)を、複屈折フィルムの総重量の50%未満ならば含んでいてもよい。また本発明の複屈折フィルムは紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの任意の添加剤を含むことができる。
[エステル系ポリマーの重合方法]
上記のエステル系ポリマーは、通常、ビフェノール化合物とジカルボン酸化合物とを重縮合させて得ることができる。重縮合方法に特に制限はないが、相間移動触媒の存在下、ビフェノール化合物とジカルボン酸化合物とをアルカリ水溶液と水非混和性有機溶剤の2相系で反応させる界面重合法が好ましく用いられる。このような重合法によれば透明性に優れた分子量の大きなエステル系ポリマーを得ることができる。
上記のビフェノール化合物としては、例えば2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどが用いられる。
上記のジカルボン酸化合物としては、好ましくは、チオフェン−2,5−ジカルボニルクロライドが用いられる。一般式(II)のように共重合体とする場合は、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸クロライド、フタル酸クロライド、ビフェニルジカルボン酸クロライドなどが併用される。
上記の相間移動触媒に特に制限はないが、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩や、テトラフェニルホスホニウムクロライドなどの第4級ホスニウム塩などが用いられる。上記の水非混和性有機溶剤に特に制限はないが、クロロホルム、ジクロロメタンなどが用いられる。
[複屈折フィルムの製造方法]
本発明の複屈折フィルムは溶液流延法や溶融押し出し法などの任意の方法により成膜することができる。本発明に用いられるエステル系ポリマーは、溶媒の揮発過程で、フィルム厚み方向の屈折率nがフィルム面内の屈折率の最大値nより小さくなるように、ポリマー環が自発的に配向する性質を有する。このため本発明の複屈折フィルムは複屈折性の発現性の観点から溶液流延法が好ましく用いられる。
溶液流延法は上記のエステル系ポリマーを溶媒に溶解して溶液を調製し、この溶液を基材の表面に流延、塗布して、乾燥する方法である。溶媒としては上記のエステル系ポリマーを溶解するものであれば特に制限は無く、例えばトルエン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、酢酸エチルなどが用いられる。上記の溶液の濃度は通常1重量%〜40重量%である。流延、塗布手段としてはスピンコータ、ダイコータ、バーコータなどの任意のコータが用いられる。乾燥手段としては空気循環式乾燥オーブン、熱ドラムなどの任意の乾燥装置が用いられる。乾燥温度は通常40℃〜200℃である。
上記の溶液を塗布するための基材に特に制限はなく、単層のものでもよいし複数層の積層体(例えばアンカーコート層を含む)であってもよい。具体的な基材としてはガラス板やポリマーフィルムが挙げられる。基材がアンカーコート層を含む場合、アンカーコート層に特に制限はないが、エステル系ポリマーとの密着性が良好であるという点で、ビニルアルコール系ポリマーやウレタン系ポリマーが好ましく用いられる。アンカーコート層の厚みは好ましくは0.01μm〜5μmである。
基材としてのガラス板は、例えば無アルカリガラスのように液晶セルに用いられるものが好ましい。基材としてポリマーフィルムを用いると基材に可撓性をもたせることができる。基材に用いるポリマーフィルムの素材としてはフィルム形成性のあるポリマーであれば特に限定されないが、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル酸系ポリマー、エステル系ポリマー、オレフィン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、イミド系ポリマー、セルロース系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、カーボネート系ポリマーが挙げられる。基材の厚みは用途によるほかは特に限定されないが、一般的には1μm〜1000μmの範囲である。
一般式(I)または(II)で表わされるエステル系ポリマーは溶解性に優れるため、ポリマーフィルムの侵食が少ない溶剤、例えばトルエンが使用できる。このため従来のエステル系ポリマーでは侵食が激しくて使用できなかった基材、例えば(メタ)アクリル酸系ポリマー、オレフィン系ポリマーを主成分とするフィルムも使用できる。これにより複屈折フィルムのコストを下げることが可能になる。
[偏光素子]
本発明の偏光素子は本発明の複屈折フィルムと偏光子とを含む。偏光子は光を2つの直交する偏光成分に分離したとき、一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を吸収、散乱ないし反射するものであれば任意のものが用いられる。偏光子は、例えばポリビニルアルコールを二色性色素で染色して延伸したものである。偏光子の厚みには特に制限はないが、例えば10μm〜200μmである。
本発明の偏光素子は一つの実施形態として、(本発明の複屈折フィルム)/接着層/偏光子/接着層/透明保護フィルムがこの順に積層されてなる。この構成によれば、本発明の複屈折フィルムが偏光子の保護フィルムを兼ねるため、偏光素子を薄型化することができる。
本発明の偏光素子は他の実施形態として、(本発明の複屈折フィルムと基材との積層体)/接着層/偏光子/接着層/透明保護フィルムがこの順に積層されてなる。この構成によれば、複屈折フィルムの製造工程において得られた複屈折フィルムと基材との積層体を偏光子の保護フィルムとして利用できるため、複屈折フィルムを基材から剥離する工程が省かれ、偏光素子の生産性が向上する。
上記の構成における透明保護フィルムは透明で複屈折率の小さいフィルムであれば特に制限はなく、例えば上記の(メタ)アクリル酸系ポリマー、オレフィン系ポリマーのほかにセルロース系ポリマー、ノルボルネン系ポリマーを含むフィルムが用いられる。
[複屈折フィルム、偏光素子の用途]
本発明の複屈折フィルム、偏光素子は光学異方性を活かして各種の光学素子に用いられるが、特に各種液晶パネル、例えばパソコンモニター、ノートパソコン、コピー機などのOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機器などの携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジなどの家庭用機器、バックモニター、カーナビゲーション、カーオーディオなどの車載用機器、店舗用モニターなどの展示機器、監視用モニターなどの警備機器、介護用モニター、医療用モニターなどの液晶パネルに好適に用いられる。
[実施例]
攪拌装置を備えた反応容器の中で表1に示すように、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン2.00gとベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.07gを1M水酸化ナトリウム水溶液30mlに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド0.62gとチオフェン−2,5−ジカルボニルクロライド0.64gを25mlのクロロホルムに溶解させた溶液を攪拌しながら一度に加え、室温(23℃)で90分間攪拌した。その後重合溶液を静置分離してポリマーを含んだクロロホルム溶液を分離し、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧乾燥させて白色の下記構造式(III)のポリマー2.57gを得た。
Figure 2009175300
Figure 2009175300
このポリマーのガラス転移温度Tgは200℃、重量平均分子量Mwは52,000であり、各溶媒(シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル)に対する溶解性は、表2に示すように全ての溶媒に20重量%以上溶解した。
Figure 2009175300
得られたポリマーをトルエンに溶解させ、スピンコート法によってガラス基板上に流延、塗布し、70℃で5分間乾燥させた後、さらに110℃で30分間乾燥させて複屈折フィルムを作製した。乾燥後の複屈折フィルムの厚みは5.5μm、透過率は92%、波長550nmにおける厚み方向の複屈折率Δnxz(550)は表2に示すように0.020であった。
[比較例1]
攪拌装置を備えた反応容器の中で表1に示すように、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン1.50gとベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.06gを1M水酸化ナトリウム水溶液30mlに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド0.47gとイソフタル酸クロライド0.47gを15mlのクロロホルムに溶解させた溶液を攪拌しながら一度に加え、室温(23℃)で90分間攪拌した。その後重合溶液を静置分離してポリマーを含んだクロロホルム溶液を分離し、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧乾燥させて白色の下記構造式(IV)のポリマー1.83gを得た。
Figure 2009175300
このポリマーのガラス転移温度Tgは205℃、重量平均分子量Mwは61,000であり、各溶媒(シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル)に対する溶解性は、表2に示すように全ての溶媒に20重量%以上溶解した。
得られたポリマーをトルエンに溶解させ、スピンコート法によってガラス基板上に流延、塗布し、70℃で5分間乾燥させた後、さらに110℃で30分間乾燥させて複屈折フィルムを作製した。乾燥後の複屈折フィルムの厚みは3.2μm、透過率は92%、波長550nmにおける厚み方向の複屈折率Δnxz(550)は表2に示すように0.014であった。
[比較例2]
攪拌装置を備えた反応容器の中で表1に示すように、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)2.28gとベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.07gを1M水酸化ナトリウム水溶液30mlに溶解させた。この溶液に、テレフタル酸クロライド1.02gとイソフタル酸クロライド1.02gを30mlのクロロホルムに溶解させた溶液を攪拌しながら一度に加え、室温(23℃)で90分間攪拌した。その後重合溶液を静置分離してポリマーを含んだクロロホルム溶液を分離し、酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを濾過し、減圧乾燥させて白色の下記構造式(V)のポリマー3.37gを得た。
Figure 2009175300
このポリマーのガラス転移温度Tgは200℃、重量平均分子量Mwは77,000であり、各溶媒(シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル)に対する溶解性は、表2に示すように、シクロペンタノンには20重量%以上溶解したが、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルには不溶であった。
得られたポリマーをシクロペンタノンに溶解させ、スピンコート法によってガラス基板上に流延、塗布し、70℃で5分間乾燥させた後、さらに110℃で30分間乾燥させて複屈折フィルムを作製した。乾燥後の複屈折フィルムの厚みは3.2μm、透過率は92%、波長550nmにおける厚み方向の複屈折率Δnxz(550)は表2に示すように0.020であった。
[評価]
実施例のエステル系ポリマー(構造式(III))は各溶媒(シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル)に対して良好な溶解性を示し、さらにこのエステル系ポリマーから得られた複屈折フィルムは高い複屈折率(Δnxz(550)=0.020)を示した。
比較例1のエステル系ポリマー(構造式(IV))は各溶媒(シクロペンタノン、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル)に対して良好な溶解性を示すが、このエステル系ポリマーから得られた複屈折フィルムは複屈折率が低い(Δnxz(550)=0.014)という問題があった。実施例のエステル系ポリマー(構造式(III))と比較すると、チオフェン環をベンゼン環に代えると、溶解性は変化しないが複屈折率が低くなる。
例えば、厚み方向の位相差値(=厚み方向の複屈折率Δnxz(550)×フィルム厚み)が200nmである複屈折フィルムを作製した場合、比較例1のエステル系ポリマーを用いるとフィルム厚みは約14μmとなるが、実施例のエステル系ポリマーを用いればフィルム厚みは約10μmで済み、約4μm(約30%)の薄型化が実現できる。
比較例2のエステル系ポリマーは実施例のエステル系ポリマーに比べ、厚み方向の複屈折率Δnxz(550)は同等であるが溶解性に劣り、シクロペンタノンには溶解するが、トルエン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチルには溶解しない。比較例2のエステル系ポリマーはシクロペンタノンのような極性の高い溶媒にしか溶解しないので、溶媒に侵食されやすいポリマー基材(例えば(メタ)アクリル酸系ポリマー、オレフィン系ポリマーを主成分とするフィルム)には塗布することができない。そのため塗布できる基材フィルムの選択範囲が狭くなり、コスト的にも不利である。
[測定方法]
[ガラス転移温度]
示差走査熱量計(セイコー社製 製品名「DSC−6200」)を用いて、JIS K 7121(1987 プラスチックの転移温度測定方法)に準じて測定した。具体的には3mgの粉末サンプルを窒素雰囲気下(窒素ガス流量50ml/分)において、昇温速度10℃/分で室温から220℃まで昇温させた後、降温速度10℃/分で30℃まで降温させて1回目の測定を行なった。次に昇温速度10℃/分で350℃まで昇温して2回目の測定を行なった。ガラス転移温度としては2回目の測定データを採用した。なお熱量計は標準物質(インジウム)を用いて温度補正した。
[重量平均分子量]
重量平均分子量は各試料を0.1%テトラヒドロフラン溶液に調整し、0.45μmメンブレンフィルターにて濾過した後、GPC本体としてゲルパーミエーションクロマトグラフ装置(東ソー社製 製品名「HLC−8820GPC」)を用い、検出器としてRI(GPC本体に内蔵)を用いて測定した。具体的にはカラム温度40℃、ポンプ流量0.35ml/分とし、データ処理は予め分子量既知の標準ポリスチレンの検量線を用いて、ポリスチレン換算分子量より分子量を求めた。なお使用カラムはSuperHZM−M(径6.0mm×15cm)、SuperHZM−M(径6.0mm×15cm)およびSuperHZ2000(径6.0mm×15cm)を直列につないだものを用い、移動相としてはテトラヒドロフランを用いた。
[厚み方向の複屈折率]
王子計測機器社製 製品名「KOBRA−WPR」を用いて波長550nmで測定した。厚み方向の複屈折率Δnxz(550)は、正面位相差値およびサンプルを40度傾けた際の位相差値(R40)から、装置に付属のプログラムにより計算して求めた。膜厚はSloan社製 製品名「Dektak」により求めた値を用いた。
[溶解性]
各溶剤を入れたサンプル瓶にポリマーを少しずつ加え、溶解の程度を目視観察した。

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表わされるエステル系ポリマーを含むことを特徴とする複屈折フィルム。
    Figure 2009175300
    (一般式(I)においてRおよびRは独立して炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rの少なくとも一つは水素原子ではなく、nは2以上の整数を表わす。)
  2. 前記一般式(I)において、Rがメチル基、Rが炭素数2〜4の直鎖もしくは分枝のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の複屈折フィルム。
  3. 前記一般式(I)において、R〜Rが独立して炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝のアルキル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の複屈折フィルム。
  4. 下記一般式(II)で表わされる共重合体エステル系ポリマーを含むことを特徴とする複屈折フィルム。
    Figure 2009175300
    (一般式(II)においてRおよびRは独立して炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rは独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の直鎖もしくは分枝のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R〜Rの少なくとも一つは水素原子ではなく、R、RはそれぞれR、Rと同様であり、R〜R12はそれぞれR〜Rと同様であり、lおよびmは2以上の整数を表わす。)
  5. 前記一般式(II)で表わされる共重合体エステル系ポリマーにおいて、l/(l+m)の値が0.3〜0.8であることを特徴とする請求項4に記載の複屈折フィルム。
  6. 前記一般式(I)または(II)で表わされるエステル系ポリマーのガラス転移温度が100℃以上、300℃以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  7. フィルム厚み方向の屈折率nがフィルム面内の屈折率の最大値nより小さいことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の複屈折フィルム。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の複屈折フィルムと偏光子とを含むことを特徴とする偏光素子。
  9. (請求項1から7のいずれかに記載の複屈折フィルム)/接着層/偏光子/接着層/透明保護フィルムがこの順に積層されたことを特徴とする偏光素子。
  10. (請求項1から7のいずれかに記載の複屈折フィルムと基材との積層体)/接着層/偏光子/接着層/透明保護フィルムがこの順に積層されたことを特徴とする偏光素子。
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