JP2009172499A - 転写ベルトの製造方法およびそれに用いられる転写ベルト表面層硬化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無端基材の外周面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させ表面層を形成するに際し、平滑な表面粗度を含む、所望の表面粗度を容易に得ることのできる転写ベルトの製造方法、および、それに用いられる転写ベルト表面層硬化装置を提供する。
【解決手段】塗料を塗布して塗膜13を形成したあと、所定表面粗度を有する透明板4を、塗膜13に押圧しながら無端基材12を長さ方向に移動させ、透明板4の背後から塗布表面に紫外線を照射して表面層を硬化させる。
【選択図】図6
【解決手段】塗料を塗布して塗膜13を形成したあと、所定表面粗度を有する透明板4を、塗膜13に押圧しながら無端基材12を長さ方向に移動させ、透明板4の背後から塗布表面に紫外線を照射して表面層を硬化させる。
【選択図】図6
Description
本発明は、無端基材の外周面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させ表面層を形成する転写ベルトの製造方法、および、それに用いられる転写ベルト表面層硬化装置に関する。
従来から、複写機、プリンタ等における静電記録プロセスでは、まず、感光体(潜像保持体)の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して光の当たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナーの静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙、OHP、印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリントする方法が採られている。
この場合、カラープリンターやカラー複写機においても、基本的には前記プロセスに従ってプリントが行われるが、カラー印刷の場合には、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを用いて色調を再現するもので、これらのトナーを所定割合で重ね合わせて必要な色調を得るための工程が必要であり、この工程を行うためにいくつかの方式が提案されている。
これらの方式を、どの段階でトナーを重ね合わせかにより大別することができ、まず、第1の方式は、感光ドラム上で、異なる色のトナーを重ねるものであり、この方式は、モノクロ印刷を行う場合と同様に、感光体上にトナーを供給して静電潜像を可視化する際に、前記マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの4色のトナーを順次重ねていくことにより現像を行うものであり、多重現像方式と呼ばれている。この方式によれば、比較的コンパクトに装置を構成することが可能であるが、階調の制御が非常に難しく、高画質が得られないという問題点がある。
第2の方式は、記録媒体上で、異なる色のトナーを重ねるものである。このうちの一つの方式として、4つの感光ドラムを設け、各ドラムの潜像を夫々マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのトナーで現像することにより、マゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像の4つのトナー像を形成し、これらトナー像が形成された感光ドラムを1列に並べて各トナー像を紙等の記録媒体に順次転写して記録媒体上に重ねることにより、カラー画像を再現する直接タンデム方式がある。この方式は、良好な画像が得られるものの、4つの感光ドラムと、感光ドラムごとに設けられた帯電機構および現像機構が1列に並べられた状態となり、装置が大型化するとともに高価なものとなる。
図1に、直接タンデム方式の画像形成装置の印字部構成例を示す。感光ドラム61、帯電ロール62、現像ロール63、現像ブレード64、トナー供給ロール65およびクリーニングブレード66で構成する印字ユニットをイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBの各トナーに対応して4個並べており、駆動ローラ68により循環駆動されて転写搬送ベルト60で搬送した用紙上に、トナーを順次転写しカラー画像を形成する。転写搬送ベルトの帯電および除電は夫々帯電ロール67aおよび除電ロール67bで行う。また、用紙をベルトへ吸着させるための用紙帯電には吸着ローラ(図示せず)が使用される。これらの対応により、オゾンの発生を抑えることができる。吸着ローラでは、用紙を搬送路から転写搬送ベルトに乗せるとともに、転写搬送ベルトへの静電吸着を行う。また、転写後の用紙分離は、転写電圧を低くすることにより用紙と転写搬送ベルトの吸着力を弱くして、曲率分離のみで行うことができる。
転写搬送ベルト60の材料としては抵抗体と誘電体があり、夫々に長所、短所を持っている。抵抗体ベルトは電荷の保持が短時間であるため、直接タンデム方式の転写に用いた場合、転写での電荷注入が少なく4色の連続する転写でも比較的電圧の上昇が少ない。また、次の用紙の転写に繰り返して使用されるときも電荷が放出されており、電気的なリセットは必要としない。しかし、環境変動により抵抗値が変化するため、転写効率に影響すること、用紙の厚さや幅の影響を受けやすいことなどが短所となっている。
一方、誘電体ベルトの場合は注入された電荷の自然放出はなく、電荷の注入、放出とも電気的にコントロールしなければならない。しかし、安定に電荷が保持されるので、用紙の吸着が確実で高精度な紙搬送が行える。誘電率は温湿度への依存性も低いため、環境に対しても比較的安定な転写プロセスとなる。欠点は、転写が繰り返されるごとにベルトに電荷が蓄積されるため、転写電圧が高くなることである。
第2の方式のうち、直接タンデム方式とは異なる方式として、紙等の記録媒体を転写ドラムに巻き付けてこれを4回転させ、周回ごとに感光体上のマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックを順次記録媒体に転写してカラー画像を再現する転写ドラム方式もある。この方式によれば比較的高画質が得られるが、記録媒体が葉書等の厚紙である場合には、これを前記転写ドラムに巻き付けることが困難であり、記録媒体種が制限されるという問題点がある。
第3の方式として、感光ドラム上の各色のトナーを中間転写部材上で重ね合わせ、重ねあわせたトナー像をそのまま記録媒体に転写する中間転写方式が提案されていて、この方式は、前記多重現像方式、直接タンデム方式および転写ドラム方式に対して、良好な画質が得られ、しかも記録媒体種が特に制限されることもないという特長をもつ。
即ち、この中間転写方式は、感光体上のトナー像を一旦転写保持するドラムやベルトからなる中間転写部材を設け、感光ドラム上のマゼンタによるトナー像、イエローによるトナー像、シアンによるトナー像およびブラックによるトナー像を中間転写部材上に順次転写することにより、この中間転写部材上にカラー画像を形成し、このカラー画像を紙等の記録媒体上に転写するものである。従って、4色のトナー像を重ね合わせて階調を調整するものであるから、高画質を得ることが可能であり、しかも、記録媒体をドラムに巻き付ける必要もないので記録媒体種が制限されることもないものである。
第3の方式である中間転写方式の代表例として、一の感光ドラムと一の中間転写ベルトとを組み合わせた中間転写ベルト方式と、タンデムに並べられた複数の感光ドラムと一の中間転写ベルトとを組み合わせたタンデム中間転写ベルト方式とがあり、これらについて以下に説明する。
図2は、中間転写ベルト方式の構成を示す図であり、図中、71は感光ドラム感光体であり、図中矢印方向に回転するようになっている。この感光ドラム71は、一次帯電器72によって帯電され、次いで画像露光73により露光部分の帯電が消去され、第1の色成分に対応した静電潜像がこの感光ドラム61上に形成され、更に静電潜像が現像器75aにより第1色のマゼンタトナーMで現像され、第1色のマゼンタトナー画像が感光ドラム71上に形成される。次いで、このトナー画像が、駆動ローラ76により循環駆動されて感光ドラム71と接触しながら循環回転する中間転写ベルト70に転写される。この場合、感光体61から中間転写ベルト70への転写は、感光ドラム71と中間転写ベルト70とのニップ部において、中間転写ベルト70に電源77から印加される一次転写バイアスにより行われる。この中間転写ベルト70に第1色のマゼンタトナー画像が転写された後、前記感光ドラム71はその表面がクリーニング装置74により清掃され、感光ドラム71の1回転目の現像転写操作が完了する。以降、感光ドラム71が3回転し、周回ごとに現像器75a〜75dを順次用いて第2色のシアントナー画像、第3色のイエロートナー画像、第4色のブラックトナー画像が順次感光ドラム71上に形成され、これが周回ごとに中間転写ベルト70に重畳転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が中間転写ベルト70上に形成される。なお、図2の装置にあっては、感光ドラム71の周回ごとに現像器75a〜75dが順次入れ替わってマゼンタトナーM、シアントナーC、イエロートナーY、ブラックトナーBによる現像が順次行われるようになっている。
次に、前記合成カラートナー画像が形成された中間転写ベルト70に転写ローラ81が当接し、そのニップ部に給紙カセット82から紙等の記録媒体83が給送される。これと同時に二次転写バイアスが電源84から転写ローラ81に印加され、中間転写ベルト70から記録媒体83上に合成カラートナー画像が転写されて加熱定着され、最終画像となる。合成カラートナー画像を記録媒体83へと転写した後の中間転写ベルト70は、表面の転写残留トナーがクリーニング装置78により除去され、初期状態に戻り次の画像形成に備えるようになっている。
図3は、タンデム中間転写ベルト方式の構成例を示す図であり、感光ドラム92a上の静電潜像をイエローにより現像する第1現像装置94aと、感光ドラム92b上の静電潜像をマゼンタにより現像する第2現像装置94bと、感光ドラム92c上の静電潜像をシアンにより現像する第3現像装置94cと、感光ドラム92d上の静電潜像をブラックにより現像する第4現像装置94dとを、中間転写ベルト90に沿って配置し、この中間転写ベルト90を図中矢印方向に循環駆動させて各現像装置94a〜94dの感光ドラム92a〜92d上に形成された4色のトナー像を中間転写ベルト90上に順次転写することにより、この中間転写ベルト90上にカラーのトナー像を形成し、このトナー像を紙等の記録媒体93上に転写してプリントするものである。
なお、図中、95は、中間転写ベルト90を循環駆動するための駆動ローラもしくはテンションローラであり、96は記録媒体送りローラ、97は記録媒体送り装置、98は記憶媒体上の画像を加熱等により定着する定着装置である。また、図中99は中間転写ベルト90に電圧を印加する電源装置(電圧印加手段)であり、この電源装置99は感光ドラム92a〜92dからトナー像を上記中間転写ベルト90に転写する際と、中間転写ベルト90から記録媒体93にトナー像を転写する際とで、印加する電圧の正負を反転させることができるようになっている。
そして、上述の、転写搬送ベルト60、および、中間転写ベルト70、90をまとめて、本明細書では転写ベルトと呼ぶものとすると。これらの転写ベルトは、一層もしくは二層以上の構造よりなり、そして、二層以上の構造よりなる導電性ベルトにおいては、外側にの表面層や中間層は、金型等を用いて形成されたバンド状の無端基体に、スプレー塗装もしくはディップ塗装にてこれを形成することが行われている。
このうち、スプレー塗装による方法は、導電性ベルトをその長さ方向に走行させながら、導電性ベルト幅方向にスプレーガンを変位させ、その基体部の外面に塗料をスプレーして表面層を形成するものであり、他の方法に対比して、薄膜の層を高精度に形成することができ、また、大量の塗料を貯蔵する槽もしくは塗料タンクを必要とせず、そのため大ロットの生産を余儀なくされることもなく、他品種少量の生産形態に適するという特長をもっている。
この方法を用いて導電性ベルトの表面層を形成しようとする場合、塗料を霧化するために塗料の粘度を下げておく必要があり、そのため、塗料として、通常表面層形成材料を溶剤で希釈して低粘度化したものが用いられ、表面層形成材料の粘度が高くなると溶剤の量を増やして調整することが行われている。一方、このように溶剤で希釈した塗料は、これを塗布したあと、溶剤を気化させるための乾燥工程を必要とし、このための乾燥ライン、このラインを設置するスペース、さらには、乾燥のための熱源が必要となり、特に、大量の溶剤で希釈された塗料を用いた場合には、そのためのコストとスペースとが膨大なものとなってしまうという問題があった。さらに、乾燥工程の長大化は、乾燥途中での塗膜の流動による表面層の厚さの不均一化をもたらすという問題もあった。
このような問題点を対策するため、溶剤を必要としない紫外線硬化型樹脂を含有した塗料を無端基材の外周面に塗布して塗膜を形成し、これに紫外線を照射することにより塗膜を硬化させて表面層を形成することが提案されている(例えば、特許公報1参照。)。
特開2006−263586号公報
しかしながら、このような塗料は粘度が高いため、その表面を平滑に仕上げようとしても、十分に平滑にならず、特に、粒子を含有する塗料の場合、粒子が塗膜表面から突出した状態で紫外線を照射することになり、凹凸を残したまま硬化させることになってしまう。
また、表面層の表面粗度を制御したいという要求もあるが、この場合、塗料に粒子を含有させその粒子の粒度や含有度を調整する必要があった。
また、表面層の表面粗度を制御したいという要求もあるが、この場合、塗料に粒子を含有させその粒子の粒度や含有度を調整する必要があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、無端基材の外周面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させ表面層を形成するに際し、平滑な表面粗度を含む、所望の表面粗度を容易に得ることのできる転写ベルトの製造方法、および、それに用いられる転写ベルト表面層硬化装置を提供することを目的とする。
<1>は、無端基材の外周面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させ表面層を形成する転写ベルトの製造方法において、
前記塗料を塗布して塗膜を形成したあと、所定表面粗度を有する透明板を、前記塗膜に押圧しながら前記無端基材を長さ方向に移動させ、前記透明板の背後から前記塗膜に紫外線を照射して表面層を硬化させる転写ベルトの製造方法である。
前記塗料を塗布して塗膜を形成したあと、所定表面粗度を有する透明板を、前記塗膜に押圧しながら前記無端基材を長さ方向に移動させ、前記透明板の背後から前記塗膜に紫外線を照射して表面層を硬化させる転写ベルトの製造方法である。
<2>は、<1>において、前記塗膜に透明板を押圧するに際し、透明板を、その押圧面における表面速度が前記無端基材と同期するように移動させる転写ベルトの製造方法である。
<3>は、<1>もしくは<2>において、紫外線を、塗布表面の押圧済みの部分にだけに照射する転写ベルトの製造方法である。
<4>は、<1>〜<3>のいずれかに用いられる転写ベルト表面層硬化装置であって、
前記無端基材をその長さ方向に移動させる基材駆動手段と、前記塗膜を押圧する透明板と、透明板の背後から紫外線を照射するUVランプとを具え、前記透明板の押圧面に所定の表面粗度を形成してなる転写ベルト表面層硬化装置である。
前記無端基材をその長さ方向に移動させる基材駆動手段と、前記塗膜を押圧する透明板と、透明板の背後から紫外線を照射するUVランプとを具え、前記透明板の押圧面に所定の表面粗度を形成してなる転写ベルト表面層硬化装置である。
<5>は、<4>において、前記透明板を、その押圧面における表面速度が無端基材と同期するように移動させる透明板駆動手段を具える転写ベルト表面層硬化装置である。
<6>は、<4>もしくは<5>において、紫外線を、それが塗膜の押圧済みの部分にだけに照射されるよう照射範囲を制限する遮蔽手段を設けてなる転写ベルト表面層硬化装置である。
<7>は、<4>〜<6>のいずれかにおいて、前記透明板を、無端状にしたガラス管で構成し、透明板駆動手段を、このガラス管をその中心軸線の周りに回転させるよう構成してなる転写ベルト表面層硬化装置である。
<8>は、<7>において、前記UVランプを、ガラス管の内側に配置してなる転写ベルト表面層硬化装置である。
<9>は、<4>〜<8>のいずれかにおいて、前記基材駆動手段を、相互間に張り渡した無端基材を長さ方向に移動させる駆動ローラと従動ローラとで構成するとともに、前記透明板の押圧面の、無端基材を挟んだ反対側に押圧荷重を支持する受圧ローラを配置してなる転写ベルト表面層硬化装置である。
<10>は、<4>〜<8>のいずれかにおいて、前記基材駆動手段を、外周面上に張り渡した無端基材を回転させる駆動ドラムで構成してなる転写ベルト表面層硬化装置である。
<1>によれば、前記塗料を塗布して塗膜を形成したあと、所定表面粗度を有する透明板を、前記塗膜に押圧しながら前記無端基材を長さ方向に移動させ、前記透明板の背後から前記塗膜に紫外線を照射して表面層を硬化させるので、塗料に粒子等凹凸を形成するようなものを含有している場合でも平滑な鏡面を形成することができる。
<2>によれば、前記塗膜に透明板を押圧するに際し、透明板を、その押圧面における表面速度が前記無端基材と同期するように移動させるので、透明板の押圧面における表面粗度を塗膜に転写することができ所望の表面粗度を表面層に付与することができる。
<3>によれば、紫外線を、塗布表面の押圧済みの部分だけに照射するので、塗膜が押圧前に硬化してしまうのを防止することができ、このことによって、確実に、所望の表面粗度を表面層に付与することができる。
<4>によれば、前記無端基材をその長さ方向に移動させる基材駆動手段と、前記塗膜を押圧する透明板と、透明板の背後から紫外線を照射するUVランプとを具え、前記透明板の押圧面に所定の表面粗度を形成したので、塗料に粒子等凹凸を形成するようなものを含有している場合でも平滑な面を形成することができる。
<5>によれば、前記透明板を、その押圧面における表面速度が無端基材と同期するように移動させる透明板駆動手段を具えるので、透明板の押圧面における表面粗度を塗膜に転写することができ所望の表面粗度を表面層に付与することができる。
<6>によれば、紫外線を、それが塗膜の押圧済みの部分にだけに照射されるよう照射範囲を制限する遮蔽手段を設けたので、塗膜が押圧前に硬化してしまうのを防止し、確実に、所望の表面粗度を表面層に付与することができる。
<7>によれば、前記透明板を、無端状にしたガラス管で構成し、透明板駆動手段を、このガラス管をその中心軸線の周りに回転させるようにしたので、装置をコンパクトにすることができる。
<8>によれば、前記UVランプを、ガラス管の内側に配置したので装置を一層コンパクトにすることができる。
<9>によれば、前記基材駆動手段を、相互間に張り渡した無端基材を長さ方向に移動させる駆動ローラと従動ローラとで構成するとともに、前記透明板の押圧面の、無端基材を挟んだ反対側に押圧荷重を支持する受圧ローラを配置したので、駆動装置を安価なものにすることができる。
<10>によれば、前記基材駆動手段を、外周面上に張り渡した無端基材を回転させる駆動ドラムで構成したので、一層高精度な転写ベルトを得ることができる。
図4(a)は、本発明に係る転写ベルトを示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)におけるb部の詳細を示す側面図であり、転写ベルト11は、無端基体12の厚さ方向外側に表面層13を配置して構成されていて、通常、無端基体12の厚さは30〜200μmとされ、また、表面層13の厚さは、0.1〜200μmとされる。なお、図4において、Lを、転写ベルト11および無端基体12の長さ方向といい、Wを、転写ベルト11および無端基体12の幅方向という。
図5は、このようなと転写ベルト11の製造工程を示す工程図であり、転写ベルト11を製造するには、まず、無端基体成型工程21で、例えば、基体材料を断面円形あるいは楕円形の筒状に押し出し、これを所定長さごとに裁断して無端基体12を成型する。裁断面は無端基体12の幅方向端面となるが、この工程における裁断を、最終の仕上げ裁断を必要としない精密裁断とし、もしくは、最終の仕上げ裁断を必要とする粗裁断とすることができる。
無端基体成型工程21と平行して、UV塗料配合工程22で、次のUV塗装工程23で塗装する塗料の準備をし、UV塗装工程23で無端基体に塗料を塗布して塗膜を形成し、次いで、表面層硬化工程24でこの塗膜に紫外線を照射して硬化させ表面層13を形成すし、最後に検査工程26でこれを検査して製品としての転写ベルト11を得る。
なお、無端基体成型工程21における裁断を粗裁断とした場合には、表面層硬化工程24のあと、精密裁断工程25で仕上がった転写ベルト全体の幅方向端部を精密裁断して、所定の幅に仕上げることが行われ、また、塗料中に溶剤を含有する場合には、UV塗装工程23のあと、表面層硬化工程24で表面層を紫外線硬化させるのに先だって、溶剤乾燥工程27で塗料を乾燥させる。
本発明は、その特徴として、表面層硬化工程24において、UV塗料を硬化させる際、所定表面粗度を有する透明板を、前記塗膜に押圧しながら前記無端基材を長さ方向に移動させ、前記透明板の背後から前記塗布表面に紫外線を照射するものであり、このことによって、所望の表面粗度を有する転写ベルトを得ることができるとするものであり、以下、表面層硬化工程24について詳細を説明する。
図6は、無端基材12の外周面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させる転写ベルト表面層硬化装置を示す模式図、そして、図7は、その主要部を拡大して示す模式図であり、転写ベルト表面層硬化装置10は、無端基材12をその長さ方向に移動させる、駆動ローラ1および従動ローラ2よりなる基材駆動手段と、塗膜を押圧するカラス管4と、カラス管4の背後から紫外線を照射するUVランプ5とを具える。
そして、カラス管4の、塗膜を押圧する押圧面4aには、転写ベルト表面に形成したい所望の表面粗度(例えば、平滑性や表面粗度など)に合わせて設定された性状の表面が形成されていて、このことによって、例えば、カラス管4の押圧面4aを平滑に仕上げることにより、汚染性や離型性の改良のために紫外線硬化型樹脂塗料にフッ素系粒子が含有されていてもこの粒子が塗料の表面から突出して平滑度が損なわれるのを防止することができる。
塗膜を押圧する透明板として作用するガラス管4を回転駆動する透明板駆動手段(図示せず)を設け、その押圧面4aの表面速度が、駆動ローラ1によって駆動されて長さ方向に移動する無端基体12の移動速度と同じになるようにするのが好ましく、このことによって、ガラス管4を塗膜とのスリップをなくし、ガラス管4の表面粗度を忠実に塗膜に転写することができ、転写ベルト11に所望の表面粗度を形成することができる。
ここで、透明板としてガラス管4の代わりに透明なプラスチックよりる管を用いることのでき、透明板としては、紫外線を十分透過させる透明度と押圧力に耐える強度を具えていればよい。また、透明板としては、断面円形ではなく、ベルトのような無端状のもので構成してこれを無端基体12と同期させて走行させていいし、また、透明板として有端のものを用い、往路は無端基体12と同期させて変位させるとともに、復路は、無端基体12と接触させることなく原点位置に復帰させてもよい。
さらに、紫外線を、それが塗膜の押圧済みの部分にだけに照射されるよう照射範囲を制限する遮蔽手段6を設けることにより、塗膜が透明板によって平滑化もしくは所望の表面粗度にされる前に硬化してしまうのを防止することができる。遮蔽手段としては、図示のようにガラス管のほとんど全方位を覆うように構成したチャンバ式のものにして、拡散する紫外線を押圧面4aの集めると効果的であるが、単に、塗膜近傍だけに配置することもできる。
また、UVランプ5はガラス管4の内側に収納するとスペース的に効率がよい。
図6に示した例の場合、基材駆動手段を、前述の通り、駆動ローラ1と従動ローラ2とで構成しこれらの相互間に無端基材12を張り渡して長さ方向に移動させるように構成していて、この場合、ガラス管4を無端基体12に押圧する際、無端基体12が逃げないよう受圧ローラ3を設ける必要があり、この場合、受圧ローラ3も、無端基材12と接触面の表面速度が同期するよう駆動もしくは従動させるのが好ましい。
ここで、図7は、変形例として、他の構成の基材駆動手段を用いた転写ベルト表面層硬化装置を示す模式図であり、転写ベルト表面層硬化装置10Aにおいて、基材駆動手段は、外周面上に張り渡した無端基材12を回転させる駆動ドラム8で構成され、駆動ドラム8自体がガラス管4を無端基体12に押圧する際の押圧力を受ける機能を有する。
このような、転写ベルト表面層硬化装置を用いて、塗膜を硬化させて表面層を形成するには、例えば、図6に示した転写ベルト表面層硬化装置10の場合、駆動ローラ1および従動ローラ2に無端基体12を張り渡し、駆動ローラ1を駆動させて無端基体12を長さ方向に移動させながら無端基体12の厚さ方向外側にUV塗料をスプレーガンあるいはローラダイ等を用いて塗布し、続いて、UVランプ5を内蔵したガラス管4および遮蔽手段6と受圧ロール3とを相互に接近させて塗膜付の無端基体12を挟みこみ、この状態で無端基体12を駆動ローラ1で長さ方向に移動させるとともにこれと同期させてガラス管4を回転させながらUVランプ5から紫外線を連続的に照射して塗膜を硬化させる。
このとき、硬化された表面層の表面は、ガラス管4の転写面4aに形成された表面粗度を忠実に転写したものとすることができるので、目的とする転写ローラ11に合わせて表面粗度を転写面4aに形成することにより、所望の表面粗度を転写ローラ11上に得ることができる。
ここで、UVランプ5からの紫外線照射で行う硬化は、表面が変化しない程度に硬化していれば十分であり、この場合、後段に別途の紫外線硬化装置を設けそれを用いて完全硬化させればよい。
ここで、本発明が対象とする転写ベルト11についてその材料を例示する。無端基体12としては、樹脂材料に導電剤を添加して導電性を付与したものが用いられ、この樹脂材料としては、特に限定されず市販のものを使用すればよく、例えば、ポリアミド12、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレン−スチレン共重合体、ポリアミド6・12、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビリニデン、ポリフッ化ビニル、ポリ六フッ化エチレンプロピレン、ポリ三フッ化エチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル(PET、PBT等)ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、及び、液晶ポリエステル等を用いて高い機械的性能を担持させることができる。
また、無端基体12に含有させる導電剤としては、特に限定されるものではなく、カーボン系のものであってもイオン系のものであっても問題はない。
表面層13を構成する材料として紫外線硬化型樹脂を用いるが、紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。
さらに、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもできる。また、樹脂層4の力学的強度、耐環境特性を改善するため、架橋構造を有するものを導入することが好ましい。
上記の紫外線硬化型樹脂のうち、特に、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂より形成された組成物が好適である。
このような(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系の(メタ)アクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得ることができる。
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
紫外線硬化型の樹脂組成物には、必要に応じて粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応及びアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常10〜200重量部用いることが好ましい。
表面層13を構成する樹脂にも、その導電性を制御する目的で導電剤が配合され、この導電材としては、先に述べたような、無端基体12に含有させる導電剤と同じものを用いることができる。
無端基体12の外周面上に2種類の配合の塗料をそれぞれ塗布し、図6に示した転写ベルト表面層硬化装置10を用いてその塗膜を硬化させて実施例1、2の転写ベルトを形成し、これらについて表面粗さおよび光沢度を測定した。また、図6において、ガラス管が設けられていないことだけが転写ベルト表面層硬化装置10と異なる装置を用いて、前記2種類の配合の塗料よりなる塗膜を硬化させた転写ベルトを比較例1,2とし、これらについても表面粗さおよび光沢度を測定した。
塗料の配合を表1に、実施例1、2、比較例1、2のそれぞれについて、用いた塗料の種類およびガラス管の有無、評価結果としての表面粗さおよび光沢度を表2に示す。
実施例1、2において用いたガラス管4の押圧面4aの表面粗さRzは0.5μmであった。また、これらの転写ベルトのサイズは、周長800mm、ベルト幅250mm、基体部の厚さ0.2mm、表面層の厚さ0.01〜0.02mmであった。なお、光沢度はHORIBA製グロスチェッカーIG-320を用いて測定した。
実施例1、2において用いたガラス管4の押圧面4aの表面粗さRzは0.5μmであった。また、これらの転写ベルトのサイズは、周長800mm、ベルト幅250mm、基体部の厚さ0.2mm、表面層の厚さ0.01〜0.02mmであった。なお、光沢度はHORIBA製グロスチェッカーIG-320を用いて測定した。
1 駆動ローラ
2 従動ローラ
3 受圧ローラ
4 カラス管
4a カラス管の押圧面
5 UVランプ
6 遮蔽手段
8 駆動ドラム
10、10A 転写ベルト表面層硬化装置
11 転写ベルト
12 無端基体
13 表面層
21 無端基体成型工程
22 UV塗料配合工程
23 UV塗装工程
24 表面層硬化工程
25 精密裁断工程
26 検査工程
27 溶剤乾燥工程
2 従動ローラ
3 受圧ローラ
4 カラス管
4a カラス管の押圧面
5 UVランプ
6 遮蔽手段
8 駆動ドラム
10、10A 転写ベルト表面層硬化装置
11 転写ベルト
12 無端基体
13 表面層
21 無端基体成型工程
22 UV塗料配合工程
23 UV塗装工程
24 表面層硬化工程
25 精密裁断工程
26 検査工程
27 溶剤乾燥工程
Claims (10)
- 無端基材の外周面に塗布された紫外線硬化型樹脂塗料に紫外線を照射して硬化させ表面層を形成する転写ベルトの製造方法において、
前記塗料を塗布して塗膜を形成したあと、所定表面粗度を有する透明板を、前記塗膜に押圧しながら前記無端基材を長さ方向に移動させ、前記透明板の背後から前記塗膜に紫外線を照射して表面層を硬化させる転写ベルトの製造方法。 - 前記塗膜に透明板を押圧するに際し、透明板を、その押圧面における表面速度が前記無端基材と同期するように移動させる請求項1に記載の転写ベルトの製造方法。
- 紫外線を、塗布表面の押圧済みの部分だけに照射する請求項1もしくは2に記載の転写ベルトの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに用いられる転写ベルト表面層硬化装置であって、
前記無端基材をその長さ方向に移動させる基材駆動手段と、前記塗膜を押圧する透明板と、透明板の背後から紫外線を照射するUVランプとを具え、前記透明板の押圧面に所定の表面粗度を形成してなる転写ベルト表面層硬化装置。 - 前記透明板を、その押圧面における表面速度が無端基材と同期するように移動させる透明板駆動手段を具える請求項4に記載の転写ベルト表面層硬化装置。
- 紫外線を、それが塗膜の押圧済みの部分にだけに照射されるよう照射範囲を制限する遮蔽手段を設けてなる請求項4もしくは5に記載の転写ベルト表面層硬化装置。
- 前記透明板を、無端状にしたガラス管で構成し、透明板駆動手段を、このガラス管をその中心軸線の周りに回転させるよう構成してなる請求項4〜6のいずれかに記載の転写ベルト表面層硬化装置。
- 前記UVランプを、ガラス管の内側に配置してなる請求項7に記載の転写ベルト表面層硬化装置。
- 前記基材駆動手段を、相互間に張り渡した無端基材を長さ方向に移動させる駆動ローラと従動ローラとで構成するとともに、前記透明板の押圧面の、無端基材を挟んだ反対側に押圧荷重を支持する受圧ローラを配置してなる請求項4〜8のいずれかに記載の転写ベルト表面層硬化装置。
- 前記基材駆動手段を、外周面上に張り渡した無端基材を回転させる駆動ドラムで構成してなる請求項4〜8のいずれかに記載の転写ベルト表面層硬化装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008012616A JP2009172499A (ja) | 2008-01-23 | 2008-01-23 | 転写ベルトの製造方法およびそれに用いられる転写ベルト表面層硬化装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011123378A (ja) * | 2009-12-11 | 2011-06-23 | Oki Data Corp | ベルト装置、転写ユニット、及び画像形成装置 |
JP2012163815A (ja) * | 2011-02-08 | 2012-08-30 | Ricoh Co Ltd | 中間転写ベルト、画像形成装置、及び、中間転写ベルトの製造方法 |
-
2008
- 2008-01-23 JP JP2008012616A patent/JP2009172499A/ja not_active Withdrawn
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