JP2009171764A - モータ用ロータの生産方法及び着磁装置 - Google Patents

モータ用ロータの生産方法及び着磁装置 Download PDF

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直紀 友野
Sadahito Kondo
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浩一 杉浦
Tetsuya Sugimoto
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Abstract

【課題】外周径の大きさが異なる複数種のモータ用ロータを、着磁効率を低下させることなく、1つの着磁ヨークで対応して着磁できるモータ用ロータの生産方法、及び、そのような生産方法に用いる着磁装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法は、挿入したモータ用ロータ40の磁石50と着磁ヨーク10のN極側コイル組(またはS極側コイル組20S)とが、径方向に対し、所定値k以上の間隔で離間するときに、磁石50とN極側コイル組との間、及び、磁石5とS極側コイル組20Sとの間に、鉄からなる筒状の着磁スペーサ70を介在させてモータ用ロータ40の磁石50を着磁するモータ用ロータ着磁工程を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークに、モータ用ロータを挿入して着磁するモータ用ロータの生産方法、及び、磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークに、被着磁部材を挿入して着磁する着磁装置に関する。
従来、磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークに、モータ用ロータを挿入してモータ用ロータの磁石を着磁する着磁装置が知られている(特許文献1参照)。
このような着磁装置では、着磁ヨークは、着磁効率を高めるため、当該着磁ヨークの内周面とモータ用ロータの外周面との隙間ができるだけ小さくなるように、モータ用ロータの外周径に基づいた内周径で形成されている。
特開2005−137050号公報
しかしながら、モータ用ロータを着磁ヨークで着磁するにあたり、以下(1)及び(2)の問題があった。
(1)モータ用ロータの着磁では、着磁させるモータ用ロータと着磁ヨークとの間に、隙間が径方向に大きく空いていると、モータ用ロータと着磁ヨークとの空隙部分で、磁束密度が小さくなり、モータ用ロータを効率良く着磁することができない。
このことから、モータ用ロータと着磁ヨークとの空隙部分をできるだけ小さく抑えるため、従来、モータ用ロータの外周径に対応した内周径で形成された専用の着磁ヨークが用いられている。
しかしながら、製品であるモータの定格出力が異なると、モータ用ロータの外周径の大きさも異なることがあり、異なるモータ用ロータの外周径毎に対応した専用の着磁ヨークを多種類準備する必要がある。このため、専用の着磁ヨークを個々に設備するのにコストがかかる問題がある。
(2)外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種のモータ用ロータを、同じ着磁装置で着磁させる場合、着磁しようとするモータ用ロータの外周径が、それまで着磁していたモータ用ロータの外周径と異なると、モータ用ロータの外周径に適した着磁ヨークに交換する。このとき、使用していた着磁ヨークを着磁装置から取り外し、新たに選択した着磁ヨークを着磁装置に取付ける着磁ヨークの交換作業には、段取りに時間がかかる問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、外周径の大きさが異なる複数種のモータ用ロータを、着磁効率を低下させることなく、1つの着磁ヨークで対応して着磁できるモータ用ロータの生産方法、及び、そのような生産方法に用いる着磁装置を提供することを目的とする。
その解決手段である本発明のモータ用ロータの生産方法は、以下の特徴を有して構成されている。
(1)磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークに、モータ用ロータを挿入して着磁するモータ用ロータの生産方法において、挿入した前記モータ用ロータと前記着磁ヨークとが、径方向に対し、所定値以上の間隔で離間するときに、前記着磁ヨークと前記モータ用ロータとの間に、透磁率が高い材質からなる筒状の着磁スペーサを介在させてモータ用ロータを着磁するモータ用ロータ着磁工程を備えること。
(2)(1)に記載のモータ用ロータの生産方法において、前記着磁スペーサは、前記モータ用ロータに配置された磁石の位置に対応して、周方向に空隙と交互に所定間隔で複数箇所に形成された着磁部を有し、前記着磁スペーサの着磁部は、前記モータ用ロータに、周方向にわたって複数箇所に配置された磁石のうち、1箇所における磁石の幅、または、前記1箇所における磁石と対向する前記着磁ヨークの前記コイルに対し、磁極方向が同じ方向で隣接する前記コイル同士を結ぶコイル間幅のいずれかに対応する大きさで形成されていること。
(3)(2)に記載のモータ用ロータの生産方法において、前記着磁スペーサの着磁部は、その周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚く形成されていること。
他の解決手段である本発明の着磁装置は、以下の特徴を有して構成されている。
(4)磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークを備え、被着磁部材を該着磁ヨークに挿入して着磁する着磁装置において、透磁率が高い材質からなる筒状の着磁スペーサを備え、挿入した前記被着磁部材と前記着磁ヨークとが、径方向に対し、所定値以上の間隔で離間するときに、前記着磁スペーサを、前記着磁ヨークと前記被着磁部材との間に介在させて前記被着磁部材を着磁すること。
(5)(4)に記載の着磁装置において、前記着磁スペーサは、前記被着磁部材に配置された磁石の位置に対応して、周方向に空隙と交互に所定間隔で複数箇所に形成された着磁部と、前記各着磁部を環状に繋ぐ連結部と、からなること。
本発明の作用及び効果を説明する前に、まずモータ用ロータの着磁の問題点について簡単に説明する。
製品であるモータの定格出力が異なると、モータ用ロータの外周径の大きさも異なることがあるため、モータ用ロータの外周径に対応した内周径で形成された専用の着磁ヨークを、異なるモータ用ロータの外周径毎に準備する必要がある。このため、専用の着磁ヨークを個々に設備するのにコストがかかる問題がある。
これに対し、本発明は、その構成により以下の作用及び効果を有している。
すなわち、本発明のモータ用ロータの生産方法は、磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークに、モータ用ロータを挿入して着磁するモータ用ロータの生産方法であって、挿入したモータ用ロータと着磁ヨークとが、径方向に対し、所定値以上の間隔で離間するときに、着磁ヨークとモータ用ロータとの間に、透磁率が高い材質からなる筒状の着磁スペーサを介在させてモータ用ロータを着磁するモータ用ロータ着磁工程を備えているので、着磁させるモータ用ロータと着磁ヨークとが径方向に所定値以上の間隔で離間するときでも、モータ用ロータ着磁工程において、モータ用ロータと着磁ヨークとの空隙部分に着磁スペーサを介在させることにより、モータ用ロータを効率良く着磁することができる。
その理由について説明する。
本発明のモータ用ロータの生産方法では、着磁させるモータ用ロータと着磁ヨークとが径方向に所定値以上の間隔で離間するときに、モータ用ロータ着磁工程において、モータ用ロータと着磁ヨークとの間に着磁スペーサを介在させてモータ用ロータを着磁する。着磁スペーサは、透磁率が高い材質からなる。
このため、着磁ヨークが、着磁させるモータ用ロータの外周径に基づいた内周径で形成されていなくても、モータ用ロータと着磁ヨークとの空隙部分に着磁スペーサを介在させることにより、着磁スペーサが介在した部分における磁束密度は、空隙状態における磁束密度よりも大きくなる。
着磁時には、着磁ヨークのN極側のコイルで発生した磁束線は、N極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石に向けて、空隙状態よりも磁束密度が大きい着磁スペーサを通じて通る。この磁束線は、この磁石を通じた後、折り返して、この磁石と隣り合う、S極側のコイルに対向する別の磁石から、この着磁スペーサを通じて、着磁ヨークのS極側のコイルに向けて通ることで、モータ用ロータの磁石が着磁する。
したがって、着磁ヨークが、着磁させるモータ用ロータの外周径に基づいた内周径で形成されていなくても、モータ用ロータと着磁ヨークとの空隙部分に着磁スペーサを介在させることにより、着磁効率を低下させることなく、外周径の大きさが異なる複数種のモータ用ロータを、1つの着磁ヨークで対応して着磁することができる。ひいては、異なるモータ用ロータの外周径毎に対応した専用の着磁ヨークを個々に設備する必要もないため、従来、このような専用の着磁ヨークを設備するのに必要としていたコストが節約できる。
また、外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種のモータ用ロータを、同じ着磁装置で着磁させる場合において、使用していた着磁ヨークを着磁装置から取り外し、着磁させる着磁ヨークの外周径に対応した内周径で形成された着磁ヨークを新たに選択して着磁装置に取付ける着磁ヨークの交換作業が不要になる。
したがって、外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種のモータ用ロータを、同じ着磁装置で着磁させるときでも、着磁ヨークの交換に伴う段取り時間を省いて、効率良く複数種のモータ用ロータを着磁することができるようになる。
なお、透磁率が高い材質としては、例えば、鋳鉄等の鉄のほか、パーマアロイやMu−Metal等のニッケル鉄系等、高透磁率の材質が挙げられる。また、径方向における着磁スペーサの厚みとしては、当該着磁スペーサをモータ用ロータと着磁ヨークとの間に介在させたとき、径方向におけるモータ用ロータと着磁ヨークとの間隔が所定値未満となるような厚さとしておく。
また、本発明のモータ用ロータの生産方法は、(1)に記載のモータ用ロータの生産方法において、着磁スペーサは、モータ用ロータに配置された磁石の位置に対応して、周方向に空隙と交互に所定間隔で複数箇所に形成された着磁部を有し、着磁スペーサの着磁部は、モータ用ロータに、周方向にわたって複数箇所に配置された磁石のうち、1箇所における磁石の幅、または、1箇所における磁石と対向する着磁ヨークのコイルに対し、磁極方向が同じ方向で隣接するコイル同士を結ぶコイル間幅のいずれかに対応する大きさで形成されているので、周方向に隣接する着磁部同士の間にある空隙では、磁束密度は着磁部よりも小さくなる。着磁中、N極側のコイルで発生した磁束線が、この空隙の存在により、モータ用ロータの磁石を通らず、着磁スペーサの周方向に沿ってS極側のコイルに向けて作用することが、空隙を設けず着磁部を環状に形成した着磁スペーサを用いた場合に比べて抑制できている。
すなわち、着磁部を、1箇所における磁石の幅に対応する大きさに形成することにより、磁束線が着磁ヨークとモータ用ロータとの間を通るとき、磁束密度を高く維持した状態で、着磁スペーサの着磁部を通じて、N極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石に向けて通る。または、着磁部をコイル間幅に対応する大きさに形成することにより、磁束線が着磁ヨークとモータ用ロータとの間を通るとき、磁束密度を高く維持した状態で、着磁スペーサの着磁部を通じて、N極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石に向けて通る。
そして、この磁束線は、モータ用ロータの磁石を通過した後、折り返して、この磁石と隣り合う、S極側のコイルに対向する別の磁石から、先に通過した着磁部と隣接する、磁束密度が高い着磁部を通じてS極側のコイルに向かい、モータ用ロータの磁石を着磁するようになる。
その一方、着磁時に、磁束線が着磁ヨークとモータ用ロータとの間を通るとき、空隙の存在により、通過するはずの着磁部を通じず、この着磁部と隣接する別の着磁部に向けて通る磁束線の磁束密度を小さく抑制している。このため、N極側のコイルで発生した磁束線が、モータ用ロータの磁石を通らず、着磁スペーサの周方向に沿ってS極側のコイルに向けて作用することが抑制できている。
したがって、モータ用ロータと着磁ヨークとの空隙部分に着磁スペーサを介在させても、磁束線がN極側のコイル側からS極側のコイル側にモータ用ロータの磁石を通らず作用することを抑制しているため、磁束密度をより高く維持したままモータ用ロータの磁石を着磁することができる。
また、本発明のモータ用ロータの生産方法は、(2)に記載のモータ用ロータの生産方法において、着磁スペーサの着磁部は、その周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚く形成されているので、モータ用ロータと着磁ヨークとの間に当該着磁スペーサを介在させてモータ用ロータの磁石を着磁すると、着磁したモータ用ロータの磁石では、その幅方向端部をより積極的に磁化することができる。
その理由について説明する。
モータ用ロータの磁石を着磁すると、この磁石において、その幅方向端部が幅方向中央よりも磁化され難い傾向が生じる。このような傾向は、着磁中、磁石の幅方向中央における磁束密度が幅方向端部よりも高く、磁化され易いことから生じるものと考えられる。
すなわち、磁石を着磁させるまでの間、着磁ヨークのN極側のコイルで発生した磁束線は、N極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石に向けて生じ、S極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石からS極側のコイルに向けて通る。このとき、磁石の幅方向中央における磁束密度は幅方向端部よりも大きくなっている。
このような傾向を踏まえ、本発明のモータ用ロータの生産方法では、モータ用ロータと着磁ヨークとの間に着磁スペーサが介在した状態では、着磁スペーサの着磁部を、その周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚くして形成することにより、モータ用ロータと着磁ヨークとの間で着磁部の周方向中央付近に、径方向に周方向中央よりも厚さが厚くなっている分、空隙(隙間部分)を生じさせている。着磁スペーサの周方向端部において、周方向中央よりもその厚さが厚くなっている部分では、着磁スペーサは高透磁率の材質からなっているので、厚みが厚くなっている部分における磁束密度は、隙間部分における磁束密度よりも大きい。
着磁では、モータ用ロータの磁石に対し、その幅方向中央を通る磁束線が、磁石の幅方向端部を通る磁束線より高密度であっても、着磁スペーサを通じるときに、着磁スペーサの周方向端部側には存在しない隙間部分を通過することで、この隙間部分を通過する磁束線は減少し、磁石の幅方向中央を通る磁束線の磁束密度を低下させている。
その反対に、幅方向端部を通る磁束線は、モータ用ロータと着磁ヨークとの間を、厚みを厚くした周方向端部を通じるため、このような隙間部分を通過しない。このため、磁石を着磁させるまでの間、この磁束線は、隙間部分の通過による磁束密度の低下を生じることなく、S極側のコイルに向けて通る。
この結果、隙間部分における磁束密度の低下により、磁石の幅方向端部を通じる磁束線の磁束密度と、磁石の幅方向中央を通じる磁束線の磁束密度との間で、その大きさの差が縮まる。すなわち、モータ用ロータの磁石において、その幅方向中央では元々磁化され易い一方で、幅方向端部が積極的に磁化されて、幅方向端部での磁化と磁石の幅方向中央での磁化との差が小さくなる。
したがって、着磁部が周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚く形成された着磁スペーサを、モータ用ロータと着磁ヨークとの間に介在させて着磁することにより、着磁したモータ用ロータの磁石では、その幅方向端部をより積極的に磁化することができる。
特に、モータにおいて、モータ用ロータの磁石が、その幅方向端部をステータに最も近付けた配置で配設されることがある。このような場合、モータ用ロータとステータとが相対的に回転するとき、回転力として、磁石とステータとの間で生じる磁力は、磁石のうち、この幅方向端部に大きくかかった状態で発生させている。このようなモータでは、前述したように、モータ用ロータの磁石において、その幅方向端部が幅方向中央よりも磁化され難い傾向が生じるていると、モータの回転には好ましくない。
本発明のモータ用ロータの生産方法を用いてこのようなモータを製造すれば、幅方向端部がより積極的に磁化されることから、モータが良好な状態で回転させることができるようになる。
また、本発明の着磁装置は、磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークを備え、被着磁部材を該着磁ヨークに挿入して着磁する着磁装置であって、透磁率が高い材質からなる筒状の着磁スペーサを備え、挿入した被着磁部材と着磁ヨークとが、径方向に対し、所定値以上の間隔で離間するときに、着磁スペーサを、着磁ヨークと被着磁部材との間に介在させて被着磁部材を着磁するので、着磁ヨークが、着磁させる被着磁部材の外周径に基づいた内周径で形成されていなくても、被着磁部材と着磁ヨークとの空隙部分に着磁スペーサを介在させることにより、1つの着磁ヨークで複数種の被着磁部材を着磁することができる。
このため、外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種の被着磁部材を、同じ着磁装置で着磁させる場合において、使用していた着磁ヨークを着磁装置から取り外し、着磁させる着磁ヨークの外周径に対応した内周径で形成された着磁ヨークを新たに選択して着磁装置に取付ける着磁ヨークの交換作業が不要になる。
したがって、外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種の被着磁部材を、同じ着磁装置で着磁させるときでも、着磁ヨークの交換に伴う段取りの時間を省いて効率良く複数種の被着磁部材を着磁することができるようになる。
また、本発明の着磁装置は、(4)に記載の着磁装置において、着磁スペーサは、被着磁部材に配置された磁石の位置に対応して、周方向に空隙と交互に所定間隔で複数箇所に形成された着磁部と、各着磁部を環状に繋ぐ連結部と、からなるので、着磁スペーサが、被着磁部材と着磁ヨークとの間に介在した状態では、着磁スペーサにおいて周方向に隣接する着磁部同士の間にある空隙の磁束密度を、着磁部よりも小さくできる。
このため、着磁中、N極側のコイルで発生した磁束線が、モータ用ロータの磁石を通らず、着磁スペーサの周方向に沿ってS極側のコイルに向けて作用することが、この空隙の存在により、このような空隙を設けず着磁部を環状に形成した着磁スペーサを用いた場合に比べて抑制できるようになる。
その一方で、被着磁部材の磁石とこの磁石に対向する着磁ヨークのコイルとの間に着磁部が介在することにより、この間での磁束密度をより大きく維持した状態で、磁束線が、被着磁部材と着磁ヨークとの間を通過することができるようになる。
また、本発明の着磁装置において、着磁スペーサの連結部を、被着磁部材を着磁スペーサに挿入する方向に平行な着磁スペーサの軸方向に対し、移動可能な昇降部に取付ければ、昇降部を軸方向に移動させるだけで、各着磁部を、着磁させる被着磁部材と着磁ヨークの間に同時に、しかも簡単に介在させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る着磁装置の要部を概略的に示した説明図であり、モータ用ロータ及び着磁スペーサを着磁ヨークに挿入する前の状態を示す。図3は、本実施形態に係る着磁装置において、モータ用ロータ及び着磁スペーサを着磁ヨークに挿入した状態を示す。図4は、図3のA−A矢視断面を模式的に示した図であり、本実施形態における着磁装置の要部を説明する説明図である。図5は、着磁部を説明するための説明図であり、図4中、B部の拡大図である。
本実施形態に係る着磁装置1は、被着磁部材をモータ用ロータ40とし、モータ用ロータ40を着磁ヨーク10に挿入して、モータ用ロータ40の周方向に沿って8箇所等分に配置された磁石50を着磁する装置である。モータ用ロータ40は、ハイブリッド自動車に搭載されるモータのロータ部分である。磁石50は、本実施形態では、ハの字形状とされ、その幅方向中央部51をモータ用ロータ40の径内側に、幅方向端部52を幅方向中央部51よりも径外側に配置した形態となっている(図5参照)。
着磁装置1は、図1に示すように、磁力を発生させるコイル20が公知の構造で構成された円筒状の着磁ヨーク10、この着磁ヨーク10内に配置された受け具2、及び着磁スペーサ70等から構成されている。また、この着磁装置1は、図示しないが、モータ用ロータ40を下降(図1中、下方)させて着磁ヨーク10内に搬送して受け具2に載置する昇降可能な第1昇降部、及び、着磁スペーサ70を上昇させて着磁ヨーク10内に挿入し、所定位置で停止したまま保持する昇降可能な第2昇降部を備えている。
着磁ヨーク10には、コイル20が、2ヶを1組として、着磁ヨーク10の周方向に等分した8箇所に計16ヶ配設され、コイル20に印加する着磁電源(例えば、1200V/5000μF、4000V/5000μF等)と電気的に接続している。1組のコイル20は、磁極がN極側となるN極側コイル組20Nと、S極側となるS極側コイル組20Sとに分かれており、N極側コイル組20NとS極側コイル組20Sとが交互に配置されている。また、N極側コイル組20N及びS極側コイル組20Sは、モータ用ロータ40を着磁ヨーク10に挿入したとき、モータ用ロータ40の磁石50と対向する位置になっている。
着磁スペーサ70は、モータ用ロータ40を着磁ヨークに挿入した状態において、モータ用ロータ40の磁石50と着磁ヨーク10のN極側コイル組20N、S極側コイル組20Sとが、径方向に対し、所定値k以上の間隔で離間するときに、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間に介在させる部材である。
この着磁スペーサ70は、本実施形態では、鉄からなり、筒状に形成されている。図6は、本実施形態に係る着磁装置に構成された着磁スペーサを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。具体的には、着磁スペーサ70は、図4及び図6に示すように、モータ用ロータ40の磁石50の位置に対応して、周方向に空隙83と交互に所定間隔で8箇所に形成された着磁部80、及び、各着磁部80を環状に繋ぐ連結部90からなる。
着磁部80は、図5に示すように、その周方向両端を繋ぐ着磁部幅Lを、本実施形態では、モータ用ロータ40の磁石50の幅L1よりやや大きくして形成されている。その一方、この着磁部幅Lは、1箇所の磁石50と対向する着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(またはS極側コイル組20S)に対し、磁極方向が同じ方向で隣接するコイル20、20同士を結ぶコイル間幅L2とほぼ同じ大きさとなっている。
着磁スペーサ70は、その外周径を着磁ヨーク10の内周径より小さく、径方向の厚みが所定値k未満となる厚さで形成され、着磁ヨーク10内を挿入可能な大きさになっている。着磁スペーサ70は、連結部90で、着磁装置1のうち、図示しない第2昇降部に取付けられており、第2昇降部の昇降により、着磁ヨーク10内外を移動できるようになっている。
次に、着磁装置1で着磁スペーサ70を用いた、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る着磁装置において、モータ用ロータを着磁ヨークに挿入した後、着磁スペーサを着磁ヨークに挿入する前の状態を示す図である。
本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法は、挿入したモータ用ロータ40の磁石50と着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)とが、径方向に対し、所定値k以上の間隔で離間するときに、磁石50とN極側コイル組20Nとの間、及び、磁石5とS極側コイル組20Sとの間に、鉄からなる筒状の着磁スペーサ70を介在させてモータ用ロータ40の磁石50を着磁するモータ用ロータ着磁工程を備えている。
モータ用ロータ40の磁石50の着磁にあたり、はじめに、モータ用ロータ40の軸心を着磁ヨーク10の軸線上に合わせた状態にして、着磁装置1の第1昇降部よりモータ用ロータ40を下降させる(図1参照)。モータ用ロータ40が受け具2に載置されると、図2に示すように、着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)とモータ用ロータ40の磁石50との間に、空隙部分70Sが円筒状に形成される。
次いで、モータ用ロータ着磁工程を行う。すなわち、連結部90を上方にして、着磁装置1の第2昇降部より着磁スペーサ70を上昇させ、この空隙部分70Sに着磁スペーサ70の着磁部80を挿入して、図3に示すように、磁石50とN極側コイル組20Nとの間、及び、磁石50とS極側コイル組20Sとの間に介在させる。
かくして、この状態で、前もって充電した着磁電源を各コイル20に放電し、N極側コイル組20NからS極側コイル組20Sに向けた磁界を瞬時に発生させて磁石50を着磁する。着磁後、着磁装置1の第2昇降部を下降させて、着磁スペーサ70を空隙部分70Sから取り出し、第1昇降部を上昇させて、モータ用ロータ40を着磁ヨーク10から取り出す。
次に、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法の作用及び効果について説明する。
本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法の作用及び効果を説明する前に、まずモータ用ロータの着磁の問題点について簡単に説明する。
製品であるモータの定格出力が異なると、モータ用ロータの外周径の大きさも異なることがあるため、モータ用ロータの外周径に対応した内周径で形成された専用の着磁ヨークを、異なるモータ用ロータの外周径毎に準備する必要がある。このため、専用の着磁ヨークを個々に設備するのにコストがかかる問題がある。
これに対し、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法は、その構成により以下の作用及び効果を有している。
すなわち、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法は、磁力を発生させるコイル20、2ヶを1組として、N極側コイル組20NとS極側コイル組20Sとが交互に配設された着磁ヨーク10に、モータ用ロータ40を挿入してその磁石50を着磁するモータ用ロータの生産方法であって、挿入したモータ用ロータ40の磁石50と着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)とが、径方向に対し、所定値k以上の間隔で離間するときに、着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)とモータ用ロータ40の磁石50との間の空隙部分70Sに、鉄からなる筒状の着磁スペーサ70を介在させてモータ用ロータ40の磁石50を着磁するモータ用ロータ着磁工程を備えているので、着磁させるモータ用ロータ40の磁石50と着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)とが径方向に所定値k以上の間隔で離間するときでも、モータ用ロータ着磁工程において、磁石50とN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)との空隙部分70Sに着磁スペーサ70を介在させることにより、モータ用ロータ40の磁石50を効率良く着磁することができる。
その理由について、図7を用いて説明する。
本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法では、着磁させるモータ用ロータ40の磁石50と着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)とが、径方向に所定値k以上の間隔で離間するときに、モータ用ロータ着磁工程において、磁石50とN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)との空隙部分70Sに、着磁スペーサ70を介在させて磁石50を着磁する。この着磁スペーサ70は、透磁率が高い鉄からなる。
このため、着磁ヨーク10が、着磁させるモータ用ロータ40の外周径に基づいた内周径で形成されていなくても、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との空隙部分70Sに着磁スペーサ70を介在させることにより、着磁スペーサ70が介在した部分における磁束密度は、空隙状態における磁束密度よりも大きくなる。
図7は、着磁スペーサを用いて磁石を着磁させる様子を模式的に示した説明図である。着磁時には、図7に示すように、着磁ヨーク10のN極側コイル組20Nで発生した磁束線は、このN極側コイル組20Nに対向するモータ用ロータ40の磁石50に向けて、空隙状態よりも磁束密度が大きい着磁スペーサ70の着磁部80を通じて通る。この磁束線は、この磁石50を通じた後、折り返して、この磁石50と隣り合う、S極側コイル組20Sに対向する別の磁石50から、先に通過した着磁部80と隣り合う着磁部80を通じて、着磁ヨーク10のS極側コイル組20Sに向けて通ることで、モータ用ロータ40の各磁石50が着磁する。
したがって、着磁ヨーク10が、着磁させるモータ用ロータ40の外周径に基づいた内周径で形成されていなくても、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との空隙部分70Sに着磁スペーサ70を介在させることにより、着磁効率を低下させることなく、外周径の大きさが異なる複数種のモータ用ロータ40を、1つの着磁ヨーク10で対応して着磁することができる。ひいては、異なるモータ用ロータ40の外周径毎に対応した専用の着磁ヨークを個々に設備する必要もないため、従来、このような専用の着磁ヨークを設備するのに必要としていたコストが節約できる。
また、外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種のモータ用ロータ40を、同じ着磁装置1で着磁させる場合において、使用していた着磁ヨークを着磁装置1から取り外し、着磁させる着磁ヨークの外周径に対応した内周径で形成された着磁ヨークを新たに選択して着磁装置1に取付ける着磁ヨークの交換作業が不要になる。
したがって、外周径の大きさがそれぞれ異なる複数種のモータ用ロータ40を、同じ着磁装置1で着磁させるときでも、着磁ヨークの交換に伴う段取り時間を省いて、効率良く複数種のモータ用ロータ40を着磁することができるようになる。
また、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法は、着磁スペーサ70は、モータ用ロータ40に配置された磁石50の位置に対応して、周方向に空隙83と交互に所定間隔で8箇所に形成された着磁部80を有し、この着磁部80は、モータ用ロータ40に、その周方向に沿って8箇所等分に配置された磁石50、1箇所における磁石50の幅L1、または、1箇所における磁石50と対向する着磁ヨーク10のN極側コイル組20N、S極側コイル組20Sに対し、磁極方向が同じ方向で隣接するコイル20,20同士を結ぶコイル間幅L2のいずれかに対応する大きさで形成されているので、周方向に隣接する着磁部80,80同士の間にある空隙83では、磁束密度は着磁部80よりも小さくなる。着磁中、N極側コイル組20Nで発生した磁束線が、この空隙83の存在により、モータ用ロータ40の磁石50を通らず、着磁スペーサ70の周方向に沿ってS極側コイル組20Sに向けて作用することが、参照する図8に示すように、空隙を設けず着磁部180を環状に形成した着磁スペーサ170を用いた場合に比べて抑制できている。
なお、図8は、着磁部を環状に形成した着磁スペーサを用いて磁石を着磁させる様子を模式的に示した説明図である。
すなわち、着磁部80を、1箇所における磁石の幅L1に対応する大きさに形成することにより、磁束線が着磁ヨーク10とモータ用ロータ40との間を通るとき、磁束密度を高く維持した状態で、着磁スペーサ70の着磁部80を通じて、N極側コイル組20Nに対向するモータ用ロータ40の磁石50に向けて通る。または、着磁部80をコイル間幅L2に対応する大きさに形成することにより、磁束線が着磁ヨーク10とモータ用ロータ40との間を通るとき、磁束密度を高く維持した状態で、着磁スペーサ70の着磁部80を通じて、N極側コイル組20Nに対向するモータ用ロータ40の磁石50に向けて通る。
そして、この磁束線は、この磁石50を通過した後、折り返して、この磁石50と隣り合う、S極側コイル組20Sに対向する別の磁石50から、先に通過した着磁部80と隣接する、磁束密度が高い着磁部80を通じてS極側コイル組20Sに向かい、モータ用ロータ40の磁石50を着磁するようになる。
その一方、着磁時に、磁束線が着磁ヨーク10とモータ用ロータ40との間を通るとき、着磁スペーサ70の空隙83の存在により、通過するはずの着磁部80を通じず、この着磁部80と隣接する別の着磁部80に向けて通る磁束線の磁束密度を小さく抑制している。このため、N極側コイル組20Nで発生した磁束線が、モータ用ロータ40の磁石50を通らず、着磁スペーサ70の周方向に沿ってS極側コイル組20Sに向けて作用することが抑制できている。
したがって、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との空隙部分70Sに着磁スペーサ70を介在させても、磁束線がN極側コイル組20N側からS極側コイル組20S側にモータ用ロータ40の磁石50を通らず作用することを抑制しているため、磁束密度をより高く維持したままモータ用ロータ40の磁石50を着磁することができる。
また、本実施形態の着磁装置1は、着磁スペーサ70は、モータ用ロータ40に配置された磁石50の位置に対応して、周方向に空隙83と交互に所定間隔で8箇所に形成された着磁部80と、各着磁部80を環状に繋ぐ連結部90とからなるので、着磁スペーサ70が、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間の空隙部分70Sに介在した状態では、着磁スペーサ70において周方向に隣接する着磁部80,80同士の間にある空隙83の磁束密度を、着磁部80よりも小さくできる。
このため、着磁中、N極側コイル組20Nで発生した磁束線が、モータ用ロータ40の磁石50を通らず、着磁スペーサ70の周方向に沿ってS極側コイル組20Sに向けて作用することが、この空隙83の存在により、参照する図8に示すように、このような空隙を設けず着磁部180を環状に形成した着磁スペーサ170を用いた場合に比べて抑制できるようになる。
その一方で、モータ用ロータ40の磁石50とこの磁石50に対向する着磁ヨーク10のN極側コイル組20N(S極側コイル組20S)との間に着磁部80が介在することにより、この間での磁束密度をより大きく維持した状態で、磁束線が、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間を通過することができるようになる。
本実施形態の着磁装置1において、着磁スペーサ70の連結部90を、モータ用ロータ40を着磁スペーサ10に挿入する方向に平行な着磁スペーサ70の軸方向に対し、移動可能に構成した着磁装置1の第2昇降部に取付けているので、第2昇降部を軸方向に昇降させるだけで、各着磁部80を、着磁させるモータ用ロータ40の各磁石50と着磁ヨーク10の間の空隙部分70Sに同時に、しかも簡単に介在させることができる。
ここで、モータ用ロータ40の磁石50を着磁するにあたり、着磁スペーサ70を用いて行ったときの着磁効果について、シュミレーションによる確認の調査を行った。
調査は以下3つの場合で、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法による着磁方法と、従来の着磁方法とを比較した。
(1)隣接する着磁部80,80同士の間に空隙83を設けた着磁スペーサ70を使用した場合
(2)空隙を設けず着磁部180を環状に形成した着磁スペーサ170を使用した場合
(3)従来の着磁方法で、専用の着磁ヨークを使用した場合
調査の条件は、いずれの場合も同じ内周径のモータ用ロータ40を用いた。(1)及び(2)の場合では、モータ用ロータ40の外周径及び着磁スペーサ70,170の内周径における寸法公差等を考慮して、モータ用ロータ40と着磁スペーサ70,170との間に0.3mmのクリアランスを径方向に設けた。同様に、(3)の場合では、専用の着磁ヨークの内周径を、モータ用ロータ40の外周径よりも0.3mm大きくした。
着磁電源の条件は、(1)及び(2)の場合でそれぞれ2000V/5000μF、(3)の場合で1200V/5000μFとした。
その他の条件については、いずれの場合も共通とした。
調査の結果を図9に示す。なお、図9は、1箇所に磁石50に対し、N極側コイル組20NからS極側コイル組20Sに向けて発生する磁界の大きさと、モータ用ロータ40の周方向に対し、磁界を計測する位置(モータ用ロータ40の軸心を基準にして角度で表示)との関係について示したグラフである。
調査結果では、角度17°から角度27°の間で、着磁スペーサ70,170を使用した場合の発生磁界が、専用の着磁ヨークを使用した場合よりも若干低くなっているが、磁石50への着磁に悪影響を及ぼすのに至らない程度に留まっていることが判った。このことから、専用の着磁ヨークを使用しなくても、着磁スペーサ70を用いて十分着磁できることが確認された。
一方、着磁スペーサ70を使用した(1)の場合と、着磁スペーサ170を使用した(2)の場合とを比較すると、着磁スペーサ70を使用した場合の発生磁界は、着磁スペーサ170を使用した場合よりも若干大きくなっているものの、いずれの場合もほぼ同程度となっている。
しかしながら、着磁スペーサ170を使用した場合では、前述したように、磁束線がN極側コイル組20N側からS極側コイル組20S側にモータ用ロータ40の磁石50を通らず作用している分も大きいため、着磁スペーサ70を使用した場合の発生磁界を得ようとすると、着磁電源を大きくする等して、余分にエネルギがかかってしまう。
こうしたことから、(1)〜(3)の場合のうち、着磁スペーサ70を使用した(1)の場合が、モータ用ロータ40の磁石50を着磁する方法として、最も有意性があることが確認できた。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、本実施形態では、鉄からなる着磁スペーサ70を例示した。しかしながら、着磁スペーサの材質は、例えば、鋳鉄等の鉄類のほか、パーマアロイやMu−Metal等のニッケル鉄系等の材質でも良く、透磁率が高い材質であれば、適宜変更可能である。
また、本実施形態では、ハイブリッド自動車に搭載されるモータのロータ部分であるモータ用ロータ40を挙げて、磁石50への着磁について説明した。しかしながら、モータ用ロータは、ハイブリッド自動車に搭載されるモータのロータ部分に限定されるものではなく、適宜適用可能である。
また、本実施例では、着磁スペーサ70の着磁部80の厚みを一定としているが、その周方向端部における径方向の厚みを、周方向中央の厚みよりも厚く形成しても良い。それにより、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間の空隙部分70Sに当該着磁スペーサ70を介在させてモータ用ロータ40の磁石50を着磁すると、着磁した磁石50では、その幅方向端部52をより積極的に磁化することができる。
その理由について説明する。
モータ用ロータの磁石を着磁すると、この磁石において、その幅方向端部が幅方向中央よりも磁化され難い傾向が生じる。このような傾向は、着磁中、磁石の幅方向中央における磁束密度が幅方向端部よりも高く、磁化され易いことから生じるものと考えられる。
すなわち、磁石を着磁させるまでの間、着磁ヨークのN極側のコイルで発生した磁束線は、N極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石に向けて生じ、S極側のコイルに対向するモータ用ロータの磁石からS極側のコイルに向けて通る。このとき、磁石の幅方向中央における磁束密度は幅方向端部よりも大きくなるからである。
このような傾向を踏まえ、本実施形態に係るモータ用ロータの生産方法では、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間の空隙部分70Sに着磁スペーサ70が介在した状態では、着磁スペーサ70の着磁部80を、その周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚くして形成することにより、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間で着磁部80の周方向中央付近に、径方向に周方向中央よりも厚さが厚くなっている分、空隙を生じさせる。着磁部80の周方向端部において、周方向中央よりもその厚さが厚くなっている部分では、着磁スペーサ70は高透磁率の材質である鉄からなっているので、厚みが厚くなっている部分における磁束密度は、着磁スペーサ隙間部80Sにおける磁束密度よりも大きい。
着磁では、モータ用ロータ40の磁石50に対し、その幅方向中央部51を通る磁束線が、磁石50の幅方向端部52を通る磁束線より高密度であっても、着磁スペーサ70を通じるときに、着磁部80の周方向端部側には存在しない着磁スペーサ隙間部80Sを通過することで、この着磁スペーサ隙間部80Sを通過する磁束線は減少し、磁石50の幅方向中央部51を通る磁束線の磁束密度を低下させている。
その反対に、幅方向端部52を通る磁束線は、モータ用ロータ40と着磁ヨーク10との間を、厚みを厚くした周方向端部を通じるため、このような着磁スペーサ隙間部80Sを通過しない。このため、磁石50を着磁させるまでの間、この磁束線は、着磁スペーサ隙間部80Sの通過による磁束密度の低下を生じることなく、S極側コイル組20Sに向けて通る。
この結果、着磁スペーサ隙間部80Sにおける磁束密度の低下により、磁石50の幅方向端部52を通じる磁束線の磁束密度と、磁石50の幅方向中央部51を通じる磁束線の磁束密度との間で、その大きさの差が縮まる。すなわち、モータ用ロータ40の磁石50において、その幅方向中央部51では元々磁化され易い一方で、幅方向端部52が積極的に磁化されて、幅方向端部52での磁化と幅方向中央部51での磁化との差が小さくなる。
したがって、着磁部80が周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚く形成された着磁スペーサ70を、モータ用ロータ40と着磁ヨーク01との間の空隙部分70Sに介在させて着磁することにより、着磁したモータ用ロータ40の磁石50では、その幅方向端部52をより積極的に磁化することができる。
本実施形態に係る着磁装置の要部を概略的に示した説明図であり、モータ用ロータ及び着磁スペーサを着磁ヨークに挿入する前の状態を示す。 本実施形態に係る着磁装置において、モータ用ロータを着磁ヨークに挿入した後、着磁スペーサを着磁ヨークに挿入する前の状態を示す図である。 本実施形態に係る着磁装置において、モータ用ロータ及び着磁スペーサを着磁ヨークに挿入した状態を示す。 図3のA−A矢視断面を模式的に示した図であり、本実施形態における着磁装置の要部を説明する説明図である。 着磁部を説明するための説明図であり、図4中、B部の拡大図である。 本実施形態に係る着磁装置に構成された着磁スペーサを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。 本実施形態の着磁スペーサを用いて磁石を着磁させる様子を模式的に示した説明図である。 比較例として、着磁部を環状に形成した着磁スペーサを用いて磁石を着磁させる様子を模式的に示した説明図である。 調査の結果を示したグラフである。
符号の説明
1 着磁装置
2 受け具
10 着磁ヨーク
20 コイル
20N N極側コイル組
20S S極側コイル組
L2 コイル間幅
40 モータ用ロータ
50 磁石
L1 磁石幅
k 間隔
70,170 着磁スペーサ
70S 空隙部分
80,180 着磁部
80S 着磁スペーサ隙間部
L 周方向幅
83 空隙
90 連結部

Claims (5)

  1. 磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークに、モータ用ロータを挿入して着磁するモータ用ロータの生産方法において、
    挿入した前記モータ用ロータと前記着磁ヨークとが、径方向に対し、所定値以上の間隔で離間するときに、前記着磁ヨークと前記モータ用ロータとの間に、透磁率が高い材質からなる筒状の着磁スペーサを介在させてモータ用ロータを着磁するモータ用ロータ着磁工程を備えることを特徴とするモータ用ロータの生産方法。
  2. 請求項1に記載のモータ用ロータの生産方法において、
    前記着磁スペーサは、前記モータ用ロータに配置された磁石の位置に対応して、周方向に空隙と交互に所定間隔で複数箇所に形成された着磁部を有し、
    前記着磁スペーサの着磁部は、
    前記モータ用ロータに、周方向にわたって複数箇所に配置された磁石のうち、1箇所における磁石の幅、または、
    前記1箇所における磁石と対向する前記着磁ヨークの前記コイルに対し、磁極方向が同じ方向で隣接する前記コイル同士を結ぶコイル間幅のいずれかに対応する大きさで形成されていることを特徴とするモータ用ロータの生産方法。
  3. 請求項2に記載のモータ用ロータの生産方法において、
    前記着磁スペーサの着磁部は、その周方向端部における径方向の厚みが周方向中央よりも厚く形成されていることを特徴とするモータ用ロータの生産方法。
  4. 磁力を発生させるコイルが複数配設された着磁ヨークを備え、被着磁部材を該着磁ヨークに挿入して着磁する着磁装置において、
    透磁率が高い材質からなる筒状の着磁スペーサを備え、
    挿入した前記被着磁部材と前記着磁ヨークとが、径方向に対し、所定値以上の間隔で離間するときに、
    前記着磁スペーサを、前記着磁ヨークと前記被着磁部材との間に介在させて前記被着磁部材を着磁することを特徴とする着磁装置。
  5. 請求項4に記載の着磁装置において、
    前記着磁スペーサは、前記被着磁部材に配置された磁石の位置に対応して、周方向に空隙と交互に所定間隔で複数箇所に形成された着磁部と、前記各着磁部を環状に繋ぐ連結部と、からなることを特徴とする着磁装置。
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