JP2009171487A - ミリ波帯無線送信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】P1dBと連携した適正なバックオフを確保し、送信部の特性確保及び適正なP1dB設計を可能にする。
【解決手段】ミリ波帯無線送信装置は、OFDM変調方式により変調されたOFDM信号からPAPR値を求め、許容値以下のPAPR値を持つOFDM信号を出力するPAPR設定部25と、前記PAPR設定部25から出力されたOFDM信号からミリ波帯の送信信号を生成するRF送信部30と、前記許容値以下のPAPR値の大きさに対応した制御信号S27を出力する総合系認識部27とを備えている。RF送信部30内には、最終段のパワーアンプ部36が設けられている。パワーアンプ部36は、パラレル接続された複数段のアンプ36−1〜36−Kを有し、制御信号S27に基づき各段のアンプ36−1〜36−Kのオン/オフ状態が制御され、オン状態のアンプによりミリ波帯の送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する。
【選択図】図1

Description

本発明は、30GHz以上の高周波(以下「RF」という。)帯であるミリ波帯の送信信号を増幅する最終段の電力増幅器(以下「パワーアンプ」という。)の特性劣化を補償できるミリ波帯無線送信装置、特に、パワーアンプにおける送信電力の飽和点制御技術に関するものである。
無線通信システムにおいて信頼性の高い高速信号伝送を実現する伝送方式として、直交周波数分割多重(以下「OFDM」という。)変調方式が注目されている。OFDM変調方式は、周波数利用率が高く、マルチパスに強い等の特徴を有しており、地上デジタル放送、無線ローカル・エリア・ネットワーク(無線LAN)等に採用されている。
従来、OFDM変調方式を採用したミリ波帯無線送受信装置に関する技術として、例えば、次のような文献等に記載されるものがあった。
特開2003−163601号公報 特開2007−195129号公報
特許文献1には、OFDM変調方式を採用したミリ波帯無線送受信装置の一般的な技術が記載されている。又、特許文献2には、OFDM変調方式を用いたRF送信部において生じる高い最大電力(以下「ピーク電力」という。)をパワーアンプで増幅する際に、バックオフを大きく取る必要が有り、電力効率が著しく低下するという問題を解決するために、送信時のピーク電力を抑圧するマルチインプット・マルチアウトプット(MIMO)−OFDM送受信機の技術が記載されている。
OFDM変調方式では、ピーク電力の問題がある。OFDM信号は、多数のサブキャリア(搬送波)信号を合成することで生成されるため、複数のサブキャリアの位相が一致すると、合成波に高いピーク電力が生じる。このピーク電力が送信側の最終段パワーアンプの線形増幅領域の上限を超えると、送信信号の波形が歪み、帯域外に不要な輻射を生じ、受信側での誤り率が劣化する上に、周辺帯域に対して大きな影響を及ぼす。これを解決するために、ピーク電力を抑圧する方法(例えば、歪み法、符号化法、位相回転法等)が種々提案されている。この中で、位相回転法は、ピーク電力抑圧手法として有効な方法であり、各サブキャリア信号に位相回転処理を施してピーク電力を抑圧する手法であり、送信信号を歪ませることなくピーク電力を抑圧することが可能である。
特許文献2の技術では、位相回転法(例えば、SLM法)を採用し、ミリ波帯無線送信側のベースバンド部(以下「BB部」という。)において、ピーク電力の大きさを評価するためのピーク対平均電力比(Peak-to-Average Power Ratio、以下「PAPR」という。)値を求め、このPAPR値をデジタル/アナログ(以下「D/A」という。)変換器で中間周波数(以下「IF」という。)のアナログ信号に変換した後、RF送信部において、そのアナログ信号をミリ波帯の送信信号に変換し、最終段のパワーアンプで電力増幅してアンテナから送信する際に、前記PAPR値が所定値よりも大きい時には、前記D/A変換器を制御してこのD/A変換器の出力信号を小さくすることにより、ピーク電力を抑圧している。
しかしながら、従来の特許文献2等に記載されたミリ波帯無線送信装置では、次のような課題があった。
図3は、従来の課題を説明するためのパワーアンプの入出力特性を示す図である。
この図3において、横軸は入力電力Pin(dB)、縦軸は出力電力Pout(dB)である。利得G(dB)は小信号(線形)領域での利得である。入力電力Pinが大きなレベルになると、パワーアンプの利得が低下してくるが、小信号利得(GdB)より利得が1dB低下したときの出力電力Pout(=G−1dB)を、1dB利得圧縮時出力電力(P1dB)として定義される。
OFDM信号は、多数のサブキャリア信号を合成することで生成されるために、複数のサブキャリアの位相が一致すると合成波に高いピーク電力が生じるので、PAPR値が大きな値になる。大きなPAPR値を有する信号を歪みなく増幅するためには、パワーアンプを最大出力電力(=P1dB)よりもかなり低い小信号(線形)領域の出力電力Poutで動作させる必要がある。パワーアンプにおいて、信号を歪みなく増幅するためには、利得は一定であることが理想的であるが、パワーアンプから出力できる出力電力Poutには上限があるため(P1dBで飽和電力になる)、飽和電力付近では入力電力Pinを増やしても出力電力Poutの増加が頭打ちになる。この頭打ちは、入力電力Pinの増大に伴ってパワーアンプの利得が低下することを意味しており、利得圧縮と呼ばれる。
パワーアンプの低歪み動作のためには、瞬時信号電力に対するパワーアンプの利得圧縮を抑制する必要があるため、パワーアンプを飽和状態で動作させることはできず、飽和出力電力(=P1dB)よりも低い出力電力Poutで動作させざるを得ない。飽和出力電力と実際の動作出力電力の差をバックオフと呼ぶ。
パワーアンプでは、送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する必要がある。しかし、PAPR値が大きいほどパワーアンプの動作効率(=出力電力Pout/入力電力Pin)が悪くなる。従来の特許文献2のようなピーク電力抑圧方法では、D/A変換器を制御しすぎると、このD/A変換器の出力レベルが小さくなるため、パワーアンプへの負担が大きくなる。特に、現在のパワーアンプにおいては、P1dBの上限が限定されている上、ピークの出力電力値も制限される。更に、P1dBが高いパワーアンプは、構造や製造プロセス等が複雑なため、高価である。
このように、従来のミリ波帯無線送信装置においては、パワーアンプのP1dB制約により、送信出力レベルに制限が出て、特性に制約が出てくるという課題があった。
この課題を解決するために、例えば、入力電力Pinの大きさに応じて、パワーアンプのバイアス電流を制御することにより利得を可変させることも考えられる。しかし、周波数の低いマイクロ波帯等では、バイアス電流の制御により利得を可変させることも可能であるが、ミリ波帯のように周波数の高い入力電力Pinを増幅するためのパワーアンプでは、バイアス電流による特性の変動が激しいため、所望の特性が得られない等、扱い難いという問題が生じ、未だ技術的に十分満足のゆくミリ波帯無線送信装置を実現することが困難であった。
本発明のミリ波帯無線送信装置では、OFDM変調方式により変調されたOFDM信号から求められるPAPR値の大きさに対応した制御信号を出力する制御手段と、前記変調されたOFDM信号からミリ波帯の送信信号を生成する送信手段と、並列接続(以下「パラレル接続」という。)された複数段のアンプを有し、前記制御信号に基づき前記各段のアンプのオン/オフ状態が制御され、前記オン状態のアンプにより前記ミリ波帯の送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する最終段の電力増幅部(以下「パワーアンプ部」という。)とを備えている。
本発明のミリ波帯無線送信装置によれば、PAPR値をトリガにして最終段パワーアンプ部のアンプ数を変化させる構成にしたので、P1dBと連携した適正なバックオフを確保することができ、これにより、送信部の特性確保及び適正なP1dB設計を行うことができる。従って、最終段パワーアンプ部のバックオフを気にすることなく、容易に送信装置の設計を行うことが可能になる。
ミリ波帯無線送信装置は、OFDM変調方式により変調されたOFDM信号からPAPR値を求め、許容値以下の前記PAPR値を持つ前記OFDM信号を出力するPAPR生成手段と、前記PAPR生成手段から出力された前記OFDM信号からミリ波帯の送信信号を生成する送信手段と、前記許容値以下のPAPR値の大きさに対応した制御信号を出力する制御手段と、パラレル接続された複数段のアンプを有し、前記制御信号に基づき前記各段のアンプのオン/オフ状態が制御され、前記オン状態のアンプにより前記ミリ波帯の送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する最終段のパワーアンプ部とを備えている。
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1を示すミリ波帯無線送信装置を有するミリ波帯無線送受信装置の概略の構成図である。
このミリ波帯無線送受信装置は、例えば、広帯域ミリ波RF部モジュールに設けられる装置であり、無線フレームの送受信を制御する図示しない媒体アクセス制御(MAC;Media Access Control)回路部に接続されたBB部10、及びこのBB部10に接続された送信手段(例えば、RF送信部)30により構成されるミリ波帯無線送信装置と、前記BB部10、及びRF受信部50により構成されるミリ波帯無線受信装置等とを備えている。
BB部10は、無線フレームの組立・解除、誤り訂正符号の符号化・復号化、RF送信部30の制御、RF受信部50の制御等を行う図示しない機能ブロック部の他に、デジタル変調処理を行ってシリアル信号からなるOFDM信号Y (μ)(但し、添え字「V」付きの「Y (μ)」はベクトル表示を表す。)出力する変調部20と、そのOFDM信号Y (μ)からピーク電力の大きさを評価するためのPAPR値を求め、許容値以下のOFDM信号Y(μ)を設定等して出力するPAPR生成手段(例えば、PAPR設定部)25と、その許容値以下のOFDM信号Y(μ)をIF帯のアナログ信号に変換するD/A変換器26と、そのPAPR値を認識して使用するパワーアンプ数を制御するための制御信号S27を出力する制御手段(例えば、総合系認識部)27と、アナログ信号からなるIF帯の受信信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル(以下「A/D」という。)28と、その変換されたデジタル信号に対してデジタル復調処理を行う復調部29等とを有している。
RF送信部30は、D/A変換器26から出力されるIF帯のアナログ信号を増幅するIFアンプ31を有し、この出力側に、自動利得制御(以下「AGC」という。)回路32が接続されている。AGC回路32は、IFアンプ31の出力信号の利得を制御する回路であり、この出力側に、アンプ33を介して周波数変換器34が接続されている。周波数変換器34は、アンプ33のIF帯出力信号をミリ波帯に周波数アップコンバートする回路である。周波数変換器34の出力側と、総合系認識部27の制御信号S27により制御されるドライバ35の出力側とには、最終段のパワーアンプ部36を介して、送信アンテナ37が接続されている。
パワーアンプ部36は、ミリ波帯の送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する素子(以下「デバイス」という。)であり、ドライバ35によりオン/オフ状態がそれぞれ切り替えられる複数(K)個のアンプ36−1〜36−Kを有し、これらのアンプ36−1〜36−Kが、周波数変換器34と送信アンテナ37との間にパラレル接続されている。各アンプ36−1〜36−Kとしては、P1dBの低いデバイスを使用することが可能なので、低コスト化を図ることができる。パワーアンプ部36の出力側には、送信信号強度指示器(Transmit Signal Strength Indicator、以下「TSSI」という。)の認識部(以下「TSSI認識部」という。)38が接続され、この出力側に、周波数逓倍器駆動用のドライバ39が接続されている。
更に、RF送受信部共用の局部信号発生部40が設けられている。局部信号発生部40は、数十GHzの局部信号S40を発生する回路であり、電圧制御型発振器(VCO)等で構成され、この出力側に、RF送信部側の切替器41とRF受信部側の切替器42とが接続されている。送信側の切替器41は、局部信号発生部40から出力される局部信号S40の出力先を、周波数変換器34又は周波数逓倍器43のいずれか一方に切り替える回路である。
周波数逓倍器43は、ドライバ39により駆動され、切替器41から与えられる数十GHzの局部信号S40の周波数を数倍にして周波数変換器34へ与える回路であり、位相同期(Phase Locked Loop、以下「PLL」という。)回路等により構成されている。周波数変換器34は、切替器41又は周波数逓倍器43から与えられる数十GHzの局部信号に基づき、アンプ33から出力されるIF帯の出力信号の周波数をミリ波帯の周波数へ変換する機能を有している。
受信側の切替器42も、局部信号発生部40から出力される局部信号S40の出力先を、RF受信部50側の周波数逓倍器44又は周波数変換器55のいずれか一方に切り替える回路である。
RF受信部50は、受信アンテナ51を有し、これには受信信号強度指示器(Receive Signal Strength Indicator、以下「RSSI」という。)の認識部(以下「RSSI認識部」という。)52を介してドライバ53が接続されると共に、低雑音アンプ54を介して周波数変換器55が接続されている。ドライバ53は、RSSI認識部52の出力信号により制御され、周波数逓倍器44を駆動する回路である。周波数逓倍器44は、切替器42から与えられる数十GHzの局部信号S40の周波数を数倍にして周波数変換器55へ与える回路であり、PLL回路等により構成されている。周波数変換器55は、切替器42又は周波数逓倍器44から与えられる数十GHzの局部信号に基づき、低雑音アンプ54から出力されるミリ波帯の受信信号の周波数をIF帯に周波数ダウンコンバートする回路である。
周波数変換器55の出力側には、この周波数変換器55の出力信号を増幅するアンプ56と、このアンプ56の出力信号の利得を制御するAGC回路57と、このAGC回路57の出力信号を増幅してIF帯のアナログ信号をBB部10内のA/D変換器28へ与えるIFアンプ58とが、縦続接続されている。
図2は、図1中の変調部20の一例を示す概略の構成図である。
この変調部20は、位相回転法(例えば、SLM法)によるOFDM変調を行うものであり、送信するシリアル信号のデータXをパラレル信号に変換してN個のデータシンボルX(=X,X,・・・,XN−1)に変換するシリアル/パラレル(以下「S/P」という。)変換部21を有している。S/P変換部21の出力側には、N個の乗算器22−0〜22−(N−1)を介して、逆離散フーリエ変換(以下「IDFT」という。)部23が接続されている。
N個の乗算器22−0〜22−(N−1)は、N個のデータシンボルX(=X,X,・・・,XN−1)と、位相回転量を表すM通りの要素p (μ)(=p (μ),p (μ),・・・,pN−1 (μ)、但し、0≦μ<M)とを、それぞれ乗算してデータX (μ)をIDFT部23へ与える回路である。IDFT部23は、データX (μ)に対してIDFT処理を行い、この処理結果であるOFDM信号Y(=Y,Y,・・・,YN−1)を生成するものであり、この出力側に、パラレル/シリアル(以下「P/S」という。)変換部24が接続されている。
P/S変換部24は、パラレル信号であるOFDM信号Y(=Y,Y,・・・,YN−1)をシリアル信号であるOFDM信号Y (μ)に変換するものであり、この出力側に、PAPR設定部25が接続されている。PAPR部25は、OFDM信号Y (μ)をデジタルミキサー(混合器)等で合成した後、演算によってピーク電力と平均電力の比率であるPAPR値を求め、許容値以下のOFDM信号Y(μ)をD/A変換器26側へ出力すると共に、そのPAPR値を総合系認識部27等へ出力する機能を有している。出力されたPAPR値から、図示しないマルチプレクサ等により、位相回転量を表すM通りの要素p (μ)が生成されて乗算器22−0〜22−(N−1)へ与えられる。
(実施例1の送信動作)
シリアル信号のデータXを送信する場合には、図1のBB部10内に設けられた図2の変調部20において、以下のような処理が行われる。
OFDM変調方式において、送信するN個のデータシンボルX
=(X,X,・・・,XN−1
とすると、OFDM信号
=(Y,Y,・・・,YN−1
は、NポイントのIDFTを用いることで、次式(1)のように生成される。
Figure 2009171487



IDFT処理により多数のサブキャリア信号を合成しているため、複数のサブキャリアの位相が一致するところでは高いピーク電力が生じる。このピーク電力の大きさを評価するために、次式(2)で示されるPAPR(1つのOFDM信号におけるピーク電力と平均電力の比率)が定義されている。
Figure 2009171487





そこで、図2に示す位相回転法(例えば、SLM法)による変調部20では、位相回転量を表すベクトル
Figure 2009171487






位相回転処理を終えたデータX (μ)に対してIDFT部23でIDFT処理を行い、この処理結果をP/S変換部24でパラレルデータに変換すれば、次式(4)のようなOFDM信号Y (μ)=Yn (μ)が生成される。
Figure 2009171487



以上の処理を全てのμについて行い、生成されたM個のOFDM信号の中で、許容値以下のPAPR値を持つOFDM信号Y(μ)をPAPR設定部25で設定し、D/A変換器26及び総合系認識部27へ与える。D/A変換器26では、許容値以下のPAPR値を持つOFDM信号Y(μ)をIF帯のアナログ信号に変換し、図1のRF送信部30へ送る。
RF送信部30において、送られてきたIF帯のアナログ信号は、IFアンプ31で増幅され、AGC回路32で利得が制御された後、アンプ33で増幅される。アンプ33で増幅されたIF帯の送信信号は、周波数変換器34でミリ波帯の送信信号に変換され、最終段のパワーアンプ部36で増幅されて送信アンテナ37から送信される。この送信信号の強度は、TSSI認識部38で検出されて認識され、この認識結果に基づき、ドライバ39により周波数逓倍器43の逓倍数が制御され、周波数変換器34で送信信号の周波数が所定値になるように制御される。
この際、PAPR設定部25において、許容値よりも大きなPAPR値を持つOFDM信号Y(μ)が除去されているので、最終段のパワーアンプ部36へ供給されるピーク電力が抑圧される。これにより、送信信号波形の歪み等を防止できる。
更に、本実施例1では、総合系認識部27、ドライバ35、及びパワーアンプ部36により、以下のような処理が行われる。
OFDM信号Y (μ)のようなサブキャリアを持った信号においては、そもそもOFDM信号自体各サブキャリアの出力変動が大きいので、送信系全体のPAPR変動を少なくするため、PAPR設定部25において許容値よりも大きなPAPR値を持つOFDM信号Y(μ)を除去し、許容値以下のPAPR値を持つOFDM信号Y(μ)をD/A変換器26でIF帯のアナログ信号に変換し、RF送信部30へ送る。しかし、許容値を小さくしすぎると、D/A変換器26の出力信号が小さくなるため、最終段のパワーアンプ部36への負担が大きくなる。
そこで本実施例1では、PAPR値が最終段のパワーアンプ部36のP1dBと関係があることから、PAPR設定部25で設定されたPAPR値に基づき、総合系認識部27の制御信号S27により、ドライバ35を介してパワーアンプ部36のオン/オフ状態を制御している。例えば、PAPR値=AdB(但し、A;任意の正数)の時は1段のアンプ36−1を使用、PAPR値=BdB(但し、B;任意の正数、B>A)の時は2段のアンプ36−1,36−2をパラレルに使用、PAPR値=CdB(但し、C;任意の正数、C>B)の時は3段のアンプ36−1〜36−3をパラレルに使用するため、ドライバ35によりアンプ36−1〜36−Kのオン/オフ状態が制御される。
この際、PAPR値の急激な変動に即応してアンプ数を頻繁に切り替えると、送信信号波形の歪み等の不具合が生じる虞がある。そのため、総合系認識部27に積分機能を持たせ、PAPR値の変動に対する追従速度として、PAPR値の急激な変動値を積分機能で積分し、ヒステリシスを持たせることによって、アンプ切替速度をなだらかにすることが好ましい。
(実施例1の受信動作)
ミリ波帯の信号が到来すると、この信号が受信アンテナ51で受信され、低雑音アンプ54で増幅された後、周波数変換器55でIF帯の受信信号に変換される。この際、受信アンテナ51で受信された信号の強度が、RSSI認識部52で検出されて認識され、この認識結果に基づき、ドライバ53により周波数逓倍器44の逓倍数が制御され、周波数変換器55で受信信号のIF帯周波数が所定値になるように制御される。周波数変換器55で変換されたIF帯の受信信号は、アンプ56で増幅され、AGC回路57で利得が制御された後、IFアンプ58で増幅されてIF帯のアナログ受信信号がBB部10へ送られる。IF帯のアナログ受信信号は、BB部10内のA/D変換器28でデジタル信号に変換された後、復調部29で元の信号に復調される。
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、次の(a)、(b)のような効果がある。
(a) 最終段のパワーアンプ部36を、K段パラレルに接続したアンプ36−1〜36−Kにより構成し、PAPR設定部25で設定されるPAPR値をトリガとして、総合系認識部27の制御信号S27によって動作させるアンプ数を変化させる構成にしたので、P1dB負荷(例えば、送信電力10mW)を、パラレル接続のアンプに割り振る(例えば、アンプ36−1に5mW、アンプ36−2に5mWを割り振る)ことができる。つまり、1段毎のアンプ36−1〜36−Kに出力電力を配分すればよいので、P1dBを改善でき、送信系の特性を確保し易い。
即ち、PAPR値をトリガにして最終段パワーアンプ部36のアンプ数を変化させる構成にしたので、P1dBと連携した適正なバックオフを確保することができ、これにより、RF送信部30の特性確保及び適正なP1dB設計を行うことができる。
(b) 現存のミリ波帯のパワーアンプにおいては、P1dBの上限が限定されている上、最大の出力値も制限され、更に、P1dBが高いパワーアンプは高価である。そのため、本実施例1のパワーアンプ部36のように、P1dBが低いアンプ36−1〜36−Kを複数使用した方が、コストの低減を図ることができる。しかも、複数段アンプ効果により、装置合計の送信出力電力も高く設定できる上、必要以上のアンプはドライバ35によりオフ状態にするので、省電力効果も得られる。
(変形例)
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(1)〜(3)のようなものがある。
(1) ピーク電力を抑圧するために、位相回転法(例えば、SLM法)を用いているが、歪み法、符号化法等の他の抑圧法を使用することも可能である。
(2) BB部10、RF送信部30、及びRF受信部50は、図示以外の回路構成に変更してもよい。例えば、送信アンテナ37及び受信アンテナ51に代えて、共用の送受信アンテナ及び送受信アンテナ切替用のスイッチを設けた構成に変更してもよい。
(3) 本発明のミリ波帯無線送信装置は、広帯域ミリ波RF部モジュール以外に、ミリ波レーダ用RF部モジュール等の種々の装置や機器等に搭載できる。
本発明の実施例1を示すミリ波帯無線送信装置を有するミリ波帯無線送受信装置の概略の構成図である。 図1中の変調部20の一例を示す概略の構成図である。 従来の課題を説明するためのパワーアンプの入出力特性を示す図である。
符号の説明
10 BB部
20 変調部
25 PAPR設定部
26 D/A変換器
27 総合系認識部
29 復調部
30 RF送信部
36 パワーアンプ部
36−1〜36−K アンプ
50 RF受信部

Claims (3)

  1. 周波数分割多重変調方式により変調された信号から求められるピーク対平均電力比値の大きさに対応した制御信号を出力する制御手段と、
    前記変調された信号からミリ波帯の送信信号を生成する送信手段と、
    並列接続された複数段の増幅器を有し、前記制御信号に基づき前記各段の増幅器のオン/オフ状態が制御され、前記オン状態の増幅器により前記ミリ波帯の送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する最終段の電力増幅部と、
    を備えたことを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  2. 周波数分割多重変調方式により変調された周波数分割多重信号からピーク対平均電力比値を求め、許容値以下の前記ピーク対平均電力比値を持つ前記周波数分割多重信号を出力するピーク対平均電力比生成手段と、
    前記ピーク対平均電力比生成手段から出力された前記周波数分割多重信号からミリ波帯の送信信号を生成する送信手段と、
    前記許容値以下のピーク対平均電力比値の大きさに対応した制御信号を出力する制御手段と、
    並列接続された複数段の増幅器を有し、前記制御信号に基づき前記各段の増幅器のオン/オフ状態が制御され、前記オン状態の増幅器により前記ミリ波帯の送信信号を所定のアンテナ出力電力まで増幅する最終段の電力増幅部と、
    を備えたことを特徴とするミリ波帯無線送信装置。
  3. 前記送信手段は、前記周波数分割多重信号から変換された中間周波数帯のアナログ信号を増幅した後、周波数変換により前記ミリ波帯の送信信号を生成することを特徴とする請求項2記載のミリ波帯無線送信装置。
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JP2013514739A (ja) * 2009-12-17 2013-04-25 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 周波数ダイバーシティ及び位相回転

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