JP2009171165A - 原稿読取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】原稿を読み取ることにより得られた画像データのファイル識別データを、原稿を汚すことなく簡単な操作で原稿上から指定できるようにする。
【解決手段】原稿読取装置1は、原稿読取部より上流側の原稿搬送路中で原稿を加熱するヒータ91,92を備えている。そしてヒータ91,92による加熱を行わずに画像読取部で読み取った画像データと、加熱を行って画像読取部で読み取った画像データとを比較することで、加熱により変性して消色する着色材料により描画された描画画像データを抽出する。そして抽出した描画画像データで囲まれた指定領域を判定し、その指定領域の画像データに対して文字認識処理を行い、文字認識部で認識された文字を原稿画像データのファイル識別データ(ファイル名)とし、原稿画像データと対応づけて記憶するか、もしくは画像データとファイル識別情報とを対応づけて、指定された送信先に送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、原稿読取装置、より詳細には、ユーザが指定した領域内の原稿画像に対する文字認識処理を行うことができるようにした原稿読取装置に関する。
原稿の画像を読み取って画像データを生成する原稿読取装置が周知である。また、読み取った原稿画像に配置された文字列を認識し、その認識した文字列を用いて装置に所定の動作を実行させるようにした技術が知られている。
例えば、特許文献1には、原稿上の特定の領域に記載された文字を文字認識して原稿データのタイトルとして登録する電子ファイル装置が開示されている。この電子ファイル装置は、OCRなどのパターン認識装置を備え、登録すべき画像情報に加えて、タイトリングデータを余白部に印刷もしくは手書きし、これを上記パターン認識装置により取り込んでディスクに登録する。
また、特許文献2には画像データの文字認識処理技術が開示されている。ここでは、入力する原稿を数十枚程度のバッチという概念で仕分けしてイメージスキャナにセットし、入力画像記憶部に画像データとして記憶する。そして記憶した画像データをバッチ分割部でバッチ単位に分割し、入力画像文字認識部で文字認識する。文字認識した画像データは部分画像切り出し部で部分画像として切り出され、切り出した部分画像と文字認識した認識結果とを対比表示させ、部分画像を基に認識結果を項目毎に連続して一括修正する。
また、特許文献3には、特定の温度まで加熱することにより色が消える消色インクが開示されている。
特開昭62−137661公報 特開2001−325561号公報 特開2006−63238号公報
例えば、スキャナにより原稿をスキャンして読み取った画像データを、スキャナ本体に設けられたHDDに記憶したりメール送信する場合、その画像データのデータ名は、通常スキャンした日付や連番が設定されたり、ユーザによるキー入力に従って設定されたりする。
しかしながらスキャンした日付けや連番を設定する場合は、画像データの内容を特定することが困難であるし、ユーザがキー入力する場合には入力作業が必要となって、いずれも場合にも操作性が悪いという問題がある。
このような問題を解決する技術として、特許文献1のように原稿上の特定の領域に記載された文字を文字認識して原稿画像データのタイトルとして登録する装置があるが、文字認識される原稿上の領域位置をユーザが設定する必要があり、設定の手間が必要であるという別の課題が生じる。
このときに読み取った画像データの一部の領域を指定し、その指定領域の画像データに対して文字認識を実行して、その画像データのファイル名(識別データ)とすることができればユーザにとってさらに高い利便性が得られる。
しかしながら、原稿の一部の領域を指定して、その指定領域に対して文字認識処理を行うとき、従来の原稿読取装置では困難が伴う。例えば、原稿自体に書き込みを行って領域を指定すると原稿を汚すことになってしまい、問題となる。
また、原稿画像を一度読み取って、その画像データを表示画面上に表示し、表示画面に対して操作を行うことで領域を指定できるようにする手法が考えられるが、この手法では原稿を汚すことはないものの、読み取った画像データに対する編集作業が必要となり、操作が煩雑になるという問題が生じる。
また、原稿に文字や文字列を直接書き込んで、その文字や文字列を読み取って各種の処理を実行できるようにすればよいが、このような場合にも、原稿自体に書き込みを行ってしまうと、原稿を汚すことになってしまって問題となる。
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、原稿を読み取ることにより得られた画像データのファイル識別データを、原稿を汚すことなく簡単な操作で原稿上から指定できるようにした原稿読取装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、原稿画像を読み取って画像データを生成する画像読取部を備えた原稿読取装置であって、原稿を加熱して加熱により変性して消色する着色材料により描画された原稿上の描画部を消去するヒータと、着色材料により描画された描画画像データを抽出する描画画像データ抽出部と、描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに基づいて、画像読取部で生成した画像データのファイルを識別するためのファイル識別データを設定するファイル識別データ設定部と、原稿読取装置の各部の動作を制御する制御部とを有し、制御部は、ファイル識別データ設定部で設定されたファイル識別データに対応づけて、画像読取部で生成した画像データを所定の記憶手段に記憶し、もしくは指定された送信先に送信する制御を行うことを特徴としたものである。
第2の技術手段は、第1の技術手段において、描画画像データ抽出部は、ヒータによる加熱を行わずに画像読取部で読み取った画像データと、ヒータによる加熱を行って画像読取部で読み取った画像データとを比較することで、描画画像データを抽出することを特徴としたものである。
第3の技術手段は、第2の技術手段において、描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに基づいて、描画画像データで囲まれた指定領域を判定する指定領域判定部と、指定領域判定部が判定した指定領域の画像データに文字認識を行う文字認識部とを有し、制御部は、文字認識部により文字認識された文字をファイル識別データとして、画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴としたものである。
第4の技術手段は、第2の技術手段において、描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに対して文字認識を行う文字認識部を有し、制御部は、文字認識部により文字認識された文字をファイル識別データとして、画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴としたものである。
第5の技術手段は、第2の技術手段において、描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに基づいて、描画画像データで囲まれた指定領域を判定する指定領域判定部を有し、指定領域判定部が判定した指定領域の画像データをファイル識別データとして、画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴としたものである。
第6の技術手段は、第3〜5のいずれかの技術手段において、制御部は、原稿を搬送する搬送部、画像読取部、及びヒータを制御し、1回目の原稿画像の読み取り時はヒータにより原稿を加熱することなく原稿画像を読み取って生成した画像データを記憶部に記憶し、2回目の原稿画像の読み取り時はヒータにより原稿を加熱して原稿画像を読み取って生成した画像データを記憶部に記憶し、描画画像データ抽出部は、1回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データと、2回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データとを比較し、比較結果に基づいて描画画像データを抽出することを特徴としたものである。
第7の技術手段は、第3〜5のいずれかの技術手段において、制御部は、原稿を搬送する搬送部、画像読取部、及びヒータを制御し、1回目の原稿画像の読み取り時に原稿画像を読み取って生成した画像データを記憶部に記憶し、原稿画像を読み取った原稿を排出する前にヒータにより原稿を加熱し、2回目の原稿画像の読み取り時に生成した画像データを記憶部に記憶し、描画画像データ抽出部は、1回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データと、2回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データとを比較し、比較結果に基づいて描画画像データを抽出することを特徴としたものである。
第8の技術手段は、第1〜7のいずれかの技術手段において、ヒータは、原稿の表裏の両方の面を加熱可能に設けられていることを特徴としたものである。
第9の技術手段は、第8の技術手段において、制御部は、ヒータに対する通電を制御して、原稿の表面と裏面とを選択的に加熱することを特徴としたものである。
第10の技術手段は、第8または9の技術手段において、ヒータは、原稿の表面を加熱する第1ヒータと、原稿の裏面を加熱する第2ヒータとからなり、第1及び第2ヒータは、原稿の搬送路を挟んで対向配置していることを特徴としたものである。
第11の技術手段は、第1〜10のいずれかの技術手段において、制御部は、1回目の原稿画像の読み取り時の搬送部の搬送速度よりも、2回目の原稿画像の読み取り時の搬送部の搬送速度を低下させるように制御することを特徴としたものである。
第12の技術手段は、第1〜11のいずれかの技術手段において、制御部は、描画画像データを抽出すべき原稿のページ番号が指定されているときに、指定されたページ番号に応じてヒータによる加熱ページを特定し、特定した加熱ページの原稿を加熱するようにヒータを制御することを特徴としたものである。
第13の技術手段は、第1〜12のいずれかの技術手段において、文字認識部により認識された文字によるファイル識別データを表示する表示手段と、ファイル識別データを修正する操作入力を受け付ける操作入力手段とを有し、制御部は、操作入力に従ってファイル識別データを修正した後に、修正したファイル識別データを画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴としたものである。
第14の技術手段は、第1〜13のいずれかの技術手段において、所定の記憶手段は、原稿読取装置に接続された記憶装置であることを特徴としたものである。
本発明によれば、原稿を読み取ることにより得られた画像データのファイル識別データを、原稿を汚すことなく簡単な操作で原稿上から指定できるようにした原稿読取装置を提供することができる。
本発明では、加熱により変性して消色する消色インクを用いて原稿自体に書き込みを行うことができるため、ユーザは、原稿を参照しながら直接原稿上に任意の領域を指定して
ファイル識別データを指定することができ、もしくは直接原稿上にファイル識別データの書込を行うことができ、煩雑な操作を行う必要がなくなる。また、原稿読取装置にはヒータが備えられ、ヒータにより原稿を加熱することで消色インクが消去されるので、原稿を汚すことなく、原稿への書き込みを容易に行うことが可能となる。
(実施形態1)
図1は、本発明に係る原稿読取装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。本実施形態の原稿読取装置1は、複写機(図示せず)の上部に設けられるもので、主として第2画像読取手段50を収容するADF(Auto Document Feeder;自動原稿送り装置)100と、第1画像読取手段10を収容する主走査部200とから構成されている。
ADF100と主走査部200とはヒンジ(図示せず)によって連結され、ADF100はヒンジの回動によって主走査部200に対して開閉可能となっている。
主走査部200は、主として筐体30と、透明なガラス板からなるプラテン板40と、筐体30内に収容される第1画像読取手段10とから構成されている。
第1画像読取手段10は、光源11及び第1ミラー12aを保持する光源ユニット21と、第2ミラー12b及び第3ミラー12cを保持するミラーユニット22と、レンズ13と、CCD14とから構成された縮小光学系の画像読取手段である。
主走査部200は、プラテン板40上にユーザにより載置された原稿画像の読み取りを行う原稿固定方式による画像読取と、ADF100によって自動的に原稿を搬送しながら原稿画像を読み取る原稿移動方式の両方式に対応している。
原稿固定方式によって原稿画像を読み取る場合、光源ユニット21とミラーユニット22は、原稿固定方式に対応したホームポジションにそれぞれ移動する。図1は、これら光源ユニット21とミラーユニット22とがホームポジションにある状態を示している。
そしてその後、光源ユニット21が原稿に対して光を照射しながら一定の速度で副走査方向(紙面に対して左右方向)に移動して原稿の画像を走査し、それと同時にミラーユニット22が光源ユニット21の移動速度の1/2の移動速度で同じく副走査方向に移動する。
光源ユニット21から照射され原稿から反射した光は、光源ユニット21に設けられた第1ミラー12aで反射した後、ミラーユニット22が備える第2及び第3ミラー12b,12cによって180°光路変換される。そして第3ミラー12cで反射された光はレンズ13を介してCCD14に結像し、電気的な画像データに変換される。
一方、原稿移動方式によって原稿画像を読み取る場合、光源ユニット21及びミラーユニット22は、図1に示される状態のホームポジションに静止したまま、ADF100によってホームポジションの上部を通過するように搬送される原稿に対して光源11からの光を走査する。そして、原稿の表面で反射した光は、上述の原稿固定方式と同様に、第1ミラー12aによって反射した後、ミラーユニット22の第2及び第3ミラー12b,12cによって180°光路変換され、レンズ13を介してCCD14に結像し、電気的な画像データに変換される。
図1に示されるように、ADF100は、主として原稿載置台101に載置された原稿を1枚ずつADF100の内部へ呼び込む呼び込みローラ70と、呼び込まれた原稿を原稿搬送路Fに沿って搬送する複数対の搬送ローラ71a,71bと、給紙タイミングを調節するレジストローラ72と、画像読み取りを終えた原稿を排紙トレイ102へ排出する排紙ローラ73とから構成されている。そしてユニット化された第2画像読取手段50が略U字状に弧を描く原稿搬送路F内に収まるように配設されている。
第2画像読取手段50は、第1ミラー52a、第2ミラー52b、第3ミラー52c、第4ミラー52d、レンズ53及びCCD54から構成された縮小光学系の画像読取手段であり、これらの各要素は1つの集合体をなすようにユニット化されてユニット用筐体60に収容されている。
なお、第2画像読取手段50において、光源51、レンズ53、及びCCD54は、第1画像読取手段10を構成する各要素と同一のものである。
第2画像読取手段50は、ユーザから両面読み取りの要求がなされた際に、原稿搬送路Fを搬送される原稿の裏面側の画像を読み取る。具体的には、第1画像読取手段10によって原稿の表面側の画像が読み取られた後、その原稿は原稿搬送路Fに沿って排紙トレイ102へ向けて搬送される。そしてことのきに、原稿は第2画像読取手段50の光源51の下部を通過する。
その際に第2画像読取手段50の光源51は、原稿の裏面側へ向けて光を照射する。そして原稿の裏面から反射された光は、ガラス等の透明部材で形成された読取窓55を通過し、第1〜第4ミラー52a,52b,52c,52dによって順次光路変換され、レンズ53を介してCCD54に結像し、電気的な画像データに変換される。
また、ADF100の下面は、主走査部200のプラテン板40上に載置された読み取り原稿を上から押さえる押さえ板80となっている。この押さえ板80は、第1画像読取手段10の光源11に対峙する部分が開放可能な蓋体81となっている。
ADF100の搬送路中には、第1ヒータ91及び第2ヒータ92よりなるヒータユニット90が設けられている。これら第1及び第2ヒータ91,92は、原稿に付加された消色インクを消すために設けられているもので、第1ヒータ91により原稿の表(オモテ)面の消色インクを消去し、第2ヒータ92により原稿の裏面の消色インクを消去する。これら第1ヒータ91及び第2ヒータ92は、第1画像読取手段10及び第2画像読取手段50よりも上流側の搬送路に配置され、その搬送路を挟んで互いに対向して配置している。これにより熱が分散することなく、原稿を表裏から効率良く加熱することができるようになっている。
図2は、原稿読取装置の一実施形態における電気的構成の主要部を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の原稿読取装置1は、主として制御部301、スキャナ部302、画像処理部303、記憶部304、通信部305、操作パネル部306、原稿走査部駆動モータ307aを駆動制御するドライバ307、原稿搬送ローラ駆動モータ308aを駆動制御するドライバ308から構成されている。
制御部301は、装置全体の動作制御を管理する部分であり、図示は省略しているがCPU、ROM、RAM等によって構成されている。制御部301によって、本発明の描画画像データ抽出部、ファイル識別設定部、指定領域判定部が実現される。
スキャナ部302は、図1に示す第1及び第2画像読取手段10,50の走査光学系を構成する。第1及び第2画像読取手段10,50の各CCD14,54は、上記説明では光学縮小方式のCCD(Charge Coupled Devices)としているが、等倍光学方式のCIS(Contact Image Sensor)でもよい。本発明の画像読取部は、スキャナ部302により実現される。
画像処理部303は、第1画像読取手段10または第2画像読取手段50で読み取った光学データを、ページ単位で電気的な画像データに変換する。
記憶部304は、例えばRAM、EEPROM、ハードディスク、MOなどで構成され、制御部301によって制御される制御中のデータや、入力された各種指示内容、及びスキャナ部302で読み取った原稿の画像データ等を記憶する。記憶部304は、本発明の記憶手段の1つに該当する。なお、本発明の記憶手段は、原稿読取装置1に内蔵された記憶部304であってもよく、また原稿読取装置1に接続されたHDD等の外部の記憶装置であってもよい。
LAN通信部305は、接続されたコンピュータやプリンタといった外部機器2との間で双方向通信を行う通信部であり、画像処理部303で画像処理したデータを外部機器2に送信する。FAX通信部312は電話回線に接続されFAX通信を行なう。また、FAX通信部312は、外部機器2から送信されてきたデータを本装置が扱えるデータに展開するためのメモリを備えている。また、メール通信部313は、電話回線を通じて電子メールの送受信を行う。LAN通信部305、FAX送信部312,及びメール通信部313により、スキャナ部302で読み取って生成した原稿の画像データを、指定された送信先に送信することができる。
操作パネル部306は、図示は省略しているが、図1に示す原稿読取装置1の手前側に配置される。具体的には、主走査部200をADF100より手前側まで拡張し、その上面部分に配置される。操作パネル部306は、原稿読取時の動作モード(片面読み取りや両面読み取りなどの指定)を入力する場合などに用いられる。
原稿走査部駆動モータ307aは、原稿固定方式によって原稿画像を読み取る場合に、光源ユニット21及びミラーユニット22を適宜の速度で副走査方向に移動させるためのモータであり、制御部301の制御に従って、ドライバ307により適宜駆動制御される。
原稿搬送ローラ駆動モータ308aは、原稿搬送路Fに配置された呼び込みローラ70、搬送ローラ71、レジストローラ72、排紙ローラ73などの各ローラを駆動するモータであり、制御部301の制御に従って、ドライバ308により適宜駆動制御される。
また、第1ヒータ91は、制御部301の制御に従って、ドライバ309によりon/ooffが制御される。同様に第2ヒータ92は、制御部301の制御に従って、ドライバ310によりon/offが制御される。
文字認識部311は、指定された領域の文字認識処理を実行する。文字認識処理は、例えば上記特許文献3(特開2001−325561号公報)に記載された処理にて実行することができる。
本発明に係る実施形態の原稿読取装置を利用して文字認識処理を行うために、ユーザは、消色インクを用いて任意の領域を囲むように描画する。この囲み領域の内部が、任意の文字認識処理を行うための指定領域となる。
消色インクは、加熱により変性して消色するものであり、各種のものが提案されている。本発明では消色インクの組成や特性を限定することはなく、視認できるように着色された状態のインクが加熱によって変性して消色するものを適宜適用することができる。例えば、消色インクの技術が上記特開2006−63238号公報に開示されている。
消色インクにより描画された原稿を本実施形態の原稿読取装置1で読み取ることにより、消色インクの影響を受けずに画像を読み取ることができ、かつ消色インクで描画された指定領域を特定することができる。これにより、指定領域の画像に対して文字認識処理を施すことができるようになる。
原稿読取装置1には、上記のように消色インクを加熱して消色するためのヒータユニット90が設けられている。これを使用して指定領域を検出するために、消色インクで描画された原稿を原稿読取装置1で2回読み取る処理を行う。
ここでは、ユーザがまず原稿に対して消色インクを用いて任意の領域を囲むように描画を行う。例えば、消色インクを収容したマジックペンなどを用いて、ユーザが原稿上に任意の描画を行う。消色インクにより囲まれた領域が指定領域となる。
そして、原稿読取装置1により、指定領域の判定処理を開始する。原稿読取装置では、消色インクによる指定領域の判定処理を開始するための操作が予め設定してある。ユーザは、原稿読取装置1に対してその操作を行うことにより、指定領域の判定処理を開始させることができる。
原稿読取装置1では、指定領域により指定された画像データに対して文字認識処理を行い、認識結果として文字(文字列を含む)を得る。そして得られた文字に応じて予め定められている動作を実行する。
文字認識処理により得られた文字により実行する動作は、文字認識により得られた文字を、原稿読取装置で読み取った画像データのファイル識別情報(ファイル名)として、画像データとファイル識別情報とを対応づけて所定の記憶手段に記憶させる動作、あるいは画像データとファイル識別情報とを対応づけて指定された送信先に送信する動作である。記憶先の記憶手段としては、原稿読取装置1に外部接続されたHDD等の記憶装置を用いることができるが、原稿読取装置1が内蔵するメモリ等の記憶部304を用いてもよい。
図3は、本発明の原稿読取装置における動作の実行処理の一例を説明するためのフローチャートである。
指定領域の判定処理が開始されると、原稿読取装置1は1回目の原稿画像の読み取り指示を待つ(ステップS1)。原稿画像の読み取り指示は、ユーザが原稿トレイに原稿をセットして、原稿読取装置1のスタートボタンをオンすることで実行することができる。
そして原稿読取装置1では、1回目の原稿画像の読み取りが指示された場合には(ステップS1−YES)、通常の搬送速度で原稿を送りながら原稿画像を読み取り、読み取った画像データを記憶する(ステップS2)。
1回目の原稿画像の読み取りが終了した後、2回目の原稿画像の読み取り指示を待つ(ステップS3)。この場合も同様に、ユーザが原稿を原稿トレイに再度セットして、原稿読取装置1のスタートボタンをオンすることより読み取りを指示する。なお本例では、ユーザが原稿トレイに2度原稿をセットして原稿画像を読み取る操作を行っているが、原稿読取装置で自動的に2度の画像読み取りを行うことができるように用紙搬送路と制御系とを構成してもよい。
原稿読取装置1では、2回目の原稿画像の読み取りが指示された場合には(ステップS3−YES)、ヒータをオンにする(ステップS4)。このとき原稿読取装置1が片面読み取りモードに設定されている場合には、第1ヒータ91のみをオンにし、両面読み取りモードに設定されている場合には、第1ヒータ91及び第2ヒータ92をオンにする。
つまり本実施形態に係るヒータは、原稿の表面と裏面とをそれぞれ加熱する2つのヒータからなり、原稿読取装置1の制御部は、ヒータに対する通電を制御して、原稿の表面と裏面との両方を加熱するか、もしくは原稿の表面または裏面を選択的に加熱することができる。
そして原稿読取装置1では、原稿搬送ローラ駆動モータ108aの速度を低下させることで原稿の搬送速度を低下させて原稿画像を読み取り、読み取った画像データを記憶する(ステップS5)。ここでは原稿の搬送速度を低下させることで、ヒータによる加熱時間を確保し、原稿を十分に加熱させる。
また、原稿画像を読み取るページ番号が予め指定されている場合には、原稿読取装置1は、指定されたページ番号を記憶するとともに、原稿を一枚搬送するごとにページ番号をカウントして、予め指定されたページが搬送されるときにヒータをオンにし、指定されたページの画像読み取りが終了した時点でヒータをオフにするような制御を行ってもよい。このような制御は、複数ページを指定してその指定ページについて指定領域の判定処理を行う場合にも適用できる。この制御によって消費電力を節約することができる。
そして、原稿読取装置1では、2回目の原稿画像の読み取りが完了した後、1回目と2回目の画像データを比較し、消色インクによる描画部分の画像データである描画画像データを抽出する(ステップS6)。
ここでは、消色インクによる描画部分を含んだ原稿の画像データを1回目の画像読み取りで読み取ることができ、また2回目の画像読み取りでは、ヒータをオンにすることで消色インクが消去された原稿の画像データを読み取ることができる。そして、これらの画像データを比較することにより、消色インクによる描画部分の画像データ(描画画像データ)を抽出することができる(ステップS7)。描画画像データの抽出は、記憶部304に記憶させた1回目と2回目の画像データを使用して制御部301によって実行することができる。
ユーザは、消色インクによって特定の領域を囲むように描画することで、その囲み領域の内部を指定することができる。原稿読取装置では、特定の領域が消色インクによる描画画像データで囲まれているかどうかを判定し、囲まれた領域の画像データを指定領域として判定する。指定領域の判定処理についても制御部301によって実行される。指定領域の判定処理の具体例については後述する。
そして、原稿読取装置は、指定領域の画像データに対して、文字認識処理を実行する(ステップS8)。文字認識処理は、操作パネル部306に対する操作入力に従って制御部301が実行する。そして原稿読取装置1では、文字認識処理により認識した文字に基づいて、その文字に応じて予め定められている動作を実行する(ステップS9)。
予め定められている動作とは、文字認識により得られた文字を、原稿読取装置で読み取った画像データのファイル識別情報(ファイル名)として、画像データとファイル識別情報とを対応づけて記憶させる動作である。
ここでは、ユーザのキー操作による指定に基づき、原稿読取装置に接続されたHDD等の記憶装置に対して読み取った原稿の画像データを記憶せる処理(ドキュメントファイリング)や、原稿読取装置で読み取った原稿の画像データをEメールなどの手段によって、指定された送信先に送信する処理(スキャン to Eメール)などを実行させることができ、このときに文字認識により得られた文字を原稿画像データのファイル名として対応づけて処理を行う。
ここで、文字認識した結果をファイル識別情報として記録する処理を実施する前に、認識された文字を操作パネル部306に設けられた液晶ディスプレイ等の表示部に表示し、ユーザにその確認を促してもよい。そして原稿読取装置1では、ユーザが操作パネルのキーボード(タッチパネル上のタッチキー)を利用してファイル識別情報の修正を可能とする。そしてファイル識別情報の確認または修正後、ユーザがOKボタンを押下したときにそのファイル識別情報の記録処理を実行する。またここでユーザがキャンセルボタンを押したときには、記憶した画像データをクリアして、フローを再度スタートして一連の処理を再実行するようにしてもよい。
図4は、原稿読取装置における動作の実行処理例を具体的に説明するための図で、図4(A)は1回目の原稿画像の読み取り結果の一例を示す図、図4(B)は2回目の原稿画像の読み取り結果の一例を示す図、図4(C)は抽出した描画画像データの一例を示す図である。以下図2を参照しながら説明する。
1回目の原稿画像の読み取り処理によって、図4(A)に示すような画像データ400を画像処理部303から取得できたものとする。この画像データ400には、消色インクを用いて描画された部分の画像データである描画画像データ401が含まれている。
そして、2回目の原稿画像の読み取り処理では、ヒータ(第1ヒータ91,第2ヒータ92)の加熱により消色インクによる描画部が消去され、図4(B)に示すような画像データ410を取得することができる。これらの画像データは記憶部304に一時的に保持されている。
そして制御部301は、1回目の画像データ400と、2回目の画像データ410とを比較し、1回目と2回目とで異なる部分の画像データを取得する。この異なる部分の画像データとして、図4(C)に示すような描画画像データ401が取得される。また、図4(C)の画像データ範囲420は、1回目及び2回目で取得した画像データの範囲を示している。この画像データ範囲420は、原稿1頁分の画像データの範囲になる。
そして、制御部301は、描画画像データ401に対して後述の探索ルーチンを適用し、その描画画像データ401が、特定の囲み領域を形成するように描画されているかどうかを判別する。そして囲み領域が形成されていれば、その囲み領域の内部の領域を指定領域として判定する。
制御部301は、1回目の画像データ400と2回目の画像データ410とを比較する際、その前処理として、各画像データ400,410を100dpi程度の低解像度の2値データに変換する。図4(A)及び図4(B)は前処理後の画像データを示している。
そして制御部301は、1回目の画像データ400と2回目の画像データ410との間で、1ドットずつ全てのドットについてEX−OR処理(比較処理)を行う。このEX−OR処理によって、2つの画像データ400,410のうち異なるデータの部分、すなわち描画画像データ401のみが比較結果として残ることになる。
上記EX−OR処理の際に注意すべき点は、原稿トレイに原稿をセットして原稿画像を読み取るときに、常に同じ位置で原稿画像が読み取られることはなく、最大で1mm程度のずれが生じることである。
従って1回目の画像データと2回目の画像データとを比較する際には、2つの画像データのうち同じ位置のドットの画像データ同士を比較するのみならず、一方の画像データの1つドットに対して、他方の画像データの同じ位置のドットとそのドットから上下左右に数ドットずらしたドットとをそれぞれ比較して、複数の比較後の画像データを得る。そして複数の比較後の画像データのうち、異なるデータが最小となる画像データを真の描画画像データ401とする。
図5は、描画画像データの囲み領域を判別する処理例を説明するための図である。原稿読取装置1の制御部301では、上記EX−OR処理によって描画画像データ401を抽出した後、この描画画像データ401に対して探索ルーチンを適用して、描画画像データ401により特定の囲み領域が形成されているかどうかを判別する。
探索ルーチンは、描画画像データ401で囲まれた領域があるかどうかを探索するものである。この探索ルーチンでは、探索用ドットを移動させていきながら描画画像データ401の有無を探索していく。ここでは1頁の画像データ範囲420の中の任意のドットからスタートして、探索用ドットをドット単位で移動させていき、描画画像データ401のドットに到達するか否かを探索していく。
このときに、その探索用ドットが描画画像データ401で囲まれていなければ、いずれ探索用ドットは1頁の画像データ範囲420の端部に到着する。また、その探索用ドットが描画画像データ401に囲まれていれば、1頁の画像データ範囲420の端部に到着することはない。従って探索用ドットを移動させながら、描画画像データ401による囲み領域内を埋め尽くすことにより、画像処理対象の指定領域を判定することができる。
また、探索ルーチンでは、1つのスタートドットについて、探索用ドットを移動させる処理を2回行うものとする。1回目の探索は、任意のスタートドットから右または左のいずれかに移動を開始する。2回目の探索では、同じスタートドットから1回目とは逆方向に移動を開始する。移動しているときに描画画像データ401に到達した場合には、移動方向の手前に戻って上下いずれかのドットに移動し、左右の移動方向を変えて探索を続行する。上下の移動方向は、1回目と2回目の探索では逆方向となる。また、移動しているときに、画像データ範囲420の端部に到達したときには、探索を終了する。描画画像データ401による囲み領域の内部に探索用ドットがないものと判断できるからである。
例えば、図5(A)に示すように、スタートドットSから探索用ドットを右方向に順次移動して探索していく。この探索経路をQ1として示す。探索用ドットが右方向に移動していくときに描画画像データ401のドットに到達した場合には、その描画画像データ401のドットの手前で下側のドットに移動する。そして今度は左方向に向かって順次ドットを移動していく。ここで同様に、描画画像データ401のドットに到達した場合には、その手前のドットに戻ってさらに下側のドットに移動し、今度は右方向に順次移動していく。
このとき、描画画像データ401のドットの手前で下側のドットに移動しようとするとき、そこに描画画像データ401があって移動できなければ、さらにその手前のドットに戻ってその下側のドットに移動する。ここでも下側のドットに移動できなければ、さらにその手前のドットに戻る処理を繰り返す。
こうして、描画画像データ401の探索を実行し、最終的に描画画像データ401の存在によって探索用ドットの移動ができなくなれば、その探索領域は描画画像データ401に囲まれていることが解る。ここまでの探索処理を1回目の探索処理とする。
次に、図5(B)に示すように、最初のスタートドットSに戻って2回目の探索処理を行う。探索経路をQ2として示す。今度は1回目の探索処理とは逆方向(ここでは左方向)に探索用ドットを移動させていく。そして、描画画像データ401に到達した場合には、手前のドットに戻って1回目の探索処理とは逆方向の上側のドットに移動する。そして今度は右方向に向かって探索用ドットを移動させていく。ここでも1回目の探索処理と同様に、上側に移動しようとするときに描画画像データ401のドットがあって移動できないときには、さらにその手前のドットに戻る処理を繰り返す。
2回目の探索処理において、最終的に描画画像データ401によって探索用ドットの移動ができなくなれば、その探索領域は描画画像データ401に囲まれていることが解る。
こうして、1回目と2回目の探索処理を行って、その探索領域が描画画像データ401に囲まれていることが解れば、描画画像データ401による囲み領域があることが判定できる。描画画像データ401の囲み領域の内部は、ユーザにより指定された指定領域である。
描画画像データ401のドットの手前で下側に移動したとき、さらに移動前と同方向に探索し、描画画像データ401に到達したときに移動方向を反対方向に転換すればさらに探索精度が上がる。例えば、右方向に移動している探索用ドットが描画画像データ401のドットに到達し、下側のドットに移動したときに、続けて同じ右方向に移動して探索を行う。そして、描画画像データ401のドットに到達したとときに、そのまま方向を左方向に転換して探索を続行すればよい。
一方、図5(C)に示すように、スタートドットSが描画画像データ401の囲みの外側であった場合、探索用ドットを探索経路Q3に沿って移動させていくと、画像データ範囲420の端部に到達してしまう。これによりその探索範囲は、描画画像データ401による囲み領域の内部ではないことが判明するため、ここでこのスタートドットによる探索処理を終了する。
上記のような探索処理によって、描画画像データによる囲み領域を判別することができる。そして上述のように、その囲み領域の内部の領域を指定領域とし、その指定領域の画像データに対して文字認識処理を実行する。そして、文字認識処理により得られた文字を原稿読取装置で読み取った画像データのファイル識別情報(ファイル名)として設定し、画像データとファイル識別情報とを対応づけて記憶させるか、もしくは指定された送信先に画像データとファイル識別情報とを対応づけて送信する。
図6は、原稿に記載したファイル名の記入例を示す図である。上述したように本発明に係る実施形態では、消色インクによって記入した囲み領域の内部の文字を文字認識することによって、その文字認識データを、原稿読取装置で読み取った原稿画像データのファイル名として登録することができる。
ここでは例えば、図6(A)に示すように、ユーザは、原稿500に元々記載されていた文字列の一部として、“秋旅行の案内”という文書タイトルを消色インクの描画部501で囲む。この原稿を原稿読取装置1で読み取ることで原稿読取装置1では、図4に示すような画像データ400と描画画像データ401とが得られる。これを図5の方式で探索し、指定領域であることを判別して、その指定領域内の画像データを文字認識する。文字認識により得られた“秋旅行の案内”という文字データを、原稿500を読み取った画像データのファイル名(ファイル識別情報)として、記憶させることができる。
また、図6(B)に示すように、文書を印刷する際にフッタにファイル名を示す文字が印刷されていればその文字を消色インクで囲むことにより、画像データのタイトルとして利用することができる。
例えば、原稿500のフッタに“第1開発部 新製品開発会議資料”などの文字が印刷されている場合、ユーザはそのフッタを消色インクの描画部501で囲む。この原稿を原稿読取装置1で読み取って指定領域判定と文字認識を行うことで、文字認識により得られた“第1開発部 新製品開発会議資料”という文字データを、原稿500を読み取った画像データのファイル名(ファイル識別情報)として、記憶させることができる
(実施形態2)
図7は、本発明に係る原稿読取装置の他の実施形態を説明するための概略構成図である。本実施形態の画像読取装置は、第1ヒータ91及び第2ヒータ92よりなるヒータユニットを、原稿搬送路Fに沿って備えられた複数対の搬送ローラのうち、画像読取部(第1画像読取手段10,第2画像読取手段50)より下流側の搬送ローラ71bに設けた構成となっている。
これら第1及び第2ヒータ91,92は、上記実施形態1と同様に、原稿に付加された消色インクを消すために設けられているもので、第1ヒータ91により原稿の表(オモテ)面の消色インクを消去し、第2ヒータ92により原稿の裏面の消色インクを消去する。これら第1ヒータ91及び第2ヒータ92は、原稿の搬送路を挟んで互いに対向して配置している。これにより熱が分散することなく、原稿を表裏から効率良く加熱することができるようになっている。
上記実施形態1では、1回目の原稿画像の読み取り時には、ヒータユニット90による加熱を行わずに原稿画像を読み取り、2回目の原稿画像の読み取り時には、ヒータユニット90による加熱を行って原稿画像を読み取るようにしていた。これに対して図7の構成の原稿読取装置では、1回目の原稿読取時には、原稿画像を読み取った後ヒータユニット90による加熱を行って、その排出前に原稿を加熱して消色インクを消去する。これにより2回目の原稿読取時には、消色インクが消去された状態の原稿画像を読み取ることができる。2回目の原稿画像の読み取り時には、原稿画像を読み取った後のヒータユニット90による加熱は必要ない。
そして、実施形態1と同様に、消色インクで描画された指定領域を特定し、指定領域の画像に対して文字認識処理を施し、得られた文字に従うファイル識別情報の設定処理を実行させることができる。
本実施形態では、図7に示すヒータユニット90の配置位置と、上記のようなヒータユニット90の加熱制御を除いては、上記実施形態1と同様であるため、その繰り返しの説明は省略する。
図8は、本発明の原稿読取装置における動作の実行処理の他の例を説明するためのフローチャートである。この例では図7の構成の原稿読取装置1による処理例を説明する。
画像データに基づく動作の実行処理が開始されると、原稿読取装置1は1回目の原稿画像の読み取り指示を待つ(ステップS11)。原稿画像の読み取り指示は、ユーザが原稿トレイに原稿をセットして、原稿読取装置1のスタートボタンをオンすることで実行することができる。
そして、原稿読取装置1では、1回目の原稿画像の読み取りが指示された場合には(ステップS1−YES)、ヒータをオンにする(ステップS12)。このとき原稿読取装置1が片面読み取りモードに設定されている場合には、第1ヒータ91のみをオンにし、両面読み取りモードに設定されている場合には、第1ヒータ91及び第2ヒータ92をオンにする。そして原稿搬送ローラ駆動モータ108aの速度を低下させることで原稿の搬送速度を低下させて原稿を送りながら原稿画像を読み取り、読み取った画像データを記憶する(ステップS13)。ここでは原稿の搬送速度を低下させることで、ヒータによる加熱時間を確保し、原稿を十分に加熱する。
また、原稿画像を読み取るページ番号が予め指定されている場合には、原稿読取装置1は、指定されたページ番号を記憶するとともに、原稿を一枚搬送するごとにページ番号をカウントして、予め指定されたページが搬送されるときにヒータをオンにし、指定されたページの画像読み取りが終了した時点でヒータをオフにするような制御を行ってもよい。このような制御は、複数ページを指定してその指定ページについて指定領域の判定処理を行う場合にも適用できる。この制御によって消費電力を節約することができる。
1回目の原稿画像の読み取りが終了した後、2回目の原稿画像の読み取り指示を待つ(ステップS14)。この場合も同様に、ユーザが原稿を原稿トレイに再度セットして、原稿読取装置1のスタートボタンをオンすることより読み取りを指示する。なお本例においても、ユーザが原稿トレイに2度原稿をセットして原稿画像を読み取る操作を行っているが、原稿読取装置で自動的に2度の画像読み取りを行うことができるように用紙搬送路と制御系とを構成してもよい。
原稿読取装置1では、2回目の原稿画像の読み取りが指示された場合には(ステップS14−YES)、原稿画像を読み取り、読み取った画像データを記憶する(ステップS15)。2回目の原稿画像の読み取り時には、ヒータをオンにする必要はない。
そして、原稿読取装置1では、2回目の原稿画像の読み取りが完了した後、1回目と2回目の画像データを比較し、1回目の画像データから2回目の画像データを除去し、差分データを得る(ステップS16)。この除去処理が、消色インクにより描画された画像データの抽出処理となる。そして、1回目の画像データから2回目の画像データを除去した後の画像データ(差分データ)を文字認識する(ステップS17)。消色インクによる画像データの抽出は、記憶部304に記憶させた1回目と2回目の画像データを使用して制御部301によって実行することができる。また、文字認識処理は、操作パネル部306に対する操作入力に従って制御部301が実行する。
本例においても、文字により指定される処理を実施する前に、認識された文字を操作パネル部306に設けられた液晶ディスプレイ等の表示部に表示し、ユーザにその確認を促してもよい。ここでは表示された文字の修正も可能とする。そして原稿読取装置1では、ユーザが表示部の表示画面を確認してOKボタンを押下したときに処理を実行する。また、ここでユーザがキャンセルボタンを押したときには、記憶した画像データをクリアして、フローを再度スタートして一連の処理を再実行するようにしてもよい。
そして、原稿読取装置1では、文字認識処理により認識した文字または文字列に基づいて、その文字または文字列に応じて予め定められている動作を実行する(ステップS18)。予め定められている動作としては、文字認識処理により得られた文字を原稿読取装置で読み取った画像データのファイル識別情報(ファイル名)として設定し、画像データとファイル識別情報とを対応づけて記憶させる動作、もしくは画像データとファイル識別情報とを対応づけて指定された送信先に送信する動作である。
(実施形態3)
本実施形態では、上記実施形態1,2の処理と異なり、ユーザは消色インクにより任意の領域を指定する書き込みを行う必要がなく、原稿読取装置で各種の処理を実行するための文字(文字列を含む)を消色インクで直接書き込むことができる。
原稿読取装置1では、消色インクにより描画された原稿を読み取り、その原稿を加熱して再度原稿を読み取る。2回目では消色インクが消去された状態となる。そして、2回の読み取り画像を比較することで、消色インクにより描画された画像データを抽出することができ、この画像データに対して文字認識処理を施す。
そして、文字認識処理により得られた文字に応じて予め定められている動作を実行する。文字認識処理により得られた文字または文字列により実行する動作は、上記実施形態1及び2と同様であって、文字認識処理により得られた文字を原稿読取装置で読み取った画像データのファイル識別情報(ファイル名)として設定し、画像データとファイル識別情報とを対応づけて記憶させる動作、もしくは画像データとファイル識別情報とを対応づけて指定された送信先に送信する動作である。
消色インクにより描画された画像データを抽出するために、原稿画像を2度読み取る動作を行う原稿読み取り装置は、上述した図1及び図7のいずれの構成であっても適用することができる。
図1の構成の原稿読取装置1の場合には、第1回目の原稿画像の読み取り時には、ヒータユニット90を加熱しないで消色インクにより描画された原稿を読み取る。そして第2回目の原稿画像の読み取り時に、ヒータユニット90を加熱し、消色インクを消去した状態の原稿画像を読み取る。これにより消色インクの消去前後の原稿画像を読み取ることができる。
一方、図7の構成の原稿読取装置1の場合には、第1回目の原稿画像の読み取り時には、ヒータユニット90を加熱して原稿画像を読み取った直後に消色インクを消去する。そして、消色インクが消去された状態で、第2回目の原稿画像の読み取りを行う。これにより消色インクの消去前後の原稿画像を読み取ることができる。
図9は、原稿読取装置における動作の実行処理例を具体的に説明するための図で、図9(A)は1回目の原稿画像の読み取り結果の一例を示す図、図9(B)は2回目の原稿画像の読み取り結果の一例を示す図、図9(C)は抽出した描画画像データの一例を示す図である。以下図2を参照しながら説明する。
1回目の原稿画像の読み取り処理によって、図9(A)に示すような画像データ600を画像処理部303から取得できたものとする。この画像データ600には、消色インクを用いて描画された部分の画像データである描画画像データ601が含まれている。
そして、2回目の原稿画像の読み取り処理では、すでにヒータ(第1ヒータ91,第2ヒータ92)の加熱により消色インクによる描画部が消去されているため、図9(B)に示すような画像データ610を取得することができる。ヒータの加熱は、図1の構成では2回目の読み取り時に行われ、図7の構成では1回目の読み取り時に行われる。これらの画像データは記憶部304に一時的に保持されている。
2回目の原稿画像の読み取り処理では、ヒータ(第1ヒータ91,第2ヒータ92)の加熱により消色インクによる描画部が消去され、図9(B)に示すような画像データ610を取得することができる。これらの画像データは記憶部304に一時的に保持されている。
そして、制御部301は、1回目の画像データ600と、2回目の画像データ610とを比較し、1回目と2回目とで異なる部分の画像データ(差分データ)を取得する。この異なる部分の画像データとして、図9(C)に示すような描画画像データ501が取得される。また、図9(C)の画像データ範囲620は、1回目及び2回目で取得した画像データの範囲を示している。この画像データ範囲620は、原稿1頁分の画像データの範囲になる。
そして、描画画像データ601に対して文字認識処理を行い、得られた文字を原稿読取装置で読み取った画像データのファイル識別情報(ファイル名)として設定し、画像データとファイル識別情報とを対応づけて記憶させる動作、もしくは画像データとファイル識別情報とを対応づけて指定された送信先に送信する動作を実行する。
(実施形態4)
上記の実施形態では、原稿上で消色インクにより指定した指定領域内の文字認識結果、もしくは消色インクによる描画自体の文字認識結果からファイル識別情報を設定して記憶させるようにしていた。
これに対して本実施形態では、文字認識を行うことなく、消色インクで囲まれた原稿上の指定領域内の画像データ自体をファイル識別データとして設定する。
つまり上記実施形態1,2のように、ユーザは消色インクを用いて原稿上の任意の文字等を消色インクの描画部で囲む。そしてこの原稿を原稿読取装置1で読み取って、描画画像データを取得する。ここでは図1または図7の構成のいずれも適用することができ、2回の原稿読取動作時にヒータを制御することにより、消色インクで描画された描画画像データを取得する。そしてこの描画画像データに対して図5に示すような探索処理を行って指定領域を判定する。ここで本実施形態では、指定領域内の画像データを文字認識することなく、指定領域内の画像データ自体(例えばビットマップデータ)をファイル識別データとして設定し、原稿読取装置で読み取った原稿の画像データを対応づけて記憶部に記憶するか、もしくは原稿の画像データとファイル識別情報とを対応づけて指定された送信先に送信する処理を行う。
この場合、ファイル識別データ(ファイル名)のデータ量としては、通常のファイル名として利用するデータ量(例えば256バイト)よりも大きい容量が必要となるが、文字認識を不要としているので、誤認識によって意味不明なファイル名が付与されたり、文字認識の処理時間が長くかかるといった問題は解消する。
更に他の例として、ファイル識別データ(ファイル名)としては従来のように、スキャンした日付や連番、あるいはユーザ入力によるファイル名等を利用して設定しておき、消色インクで囲まれた原稿上の画像データを、参照用のデータとして原稿の画像データに対応づけて記憶し、表示させるようにしてもよい。
本発明による画像読取装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。 本発明による原稿読取装置の一実施形態における電気的構成の主要部を概略的に示すブロック図である。 本発明の原稿読取装置における動作の実行処理の一例を説明するためのフローチャートである。 原稿読取装置における動作の実行処理例を具体的に説明するための図である。 描画画像データの囲み領域を判別する処理例を説明するための図である。 原稿に記載したファイル名の記入例を示す図である。 本発明に係る原稿読取装置の他の実施形態を説明するための概略構成図である。 本発明の原稿読取装置における動作の実行処理の他の例を説明するためのフローチャートである。 原稿読取装置における動作の実行処理例を具体的に説明するための図である。
符号の説明
1…原稿読取装置、2…外部機器、3…探索経路Q、10…画像読取手段、11…光源、12a,12b,12c…ミラー、13…レンズ、14…CCD、21…光源ユニット、22…ミラーユニット、30…筐体、40…プラテン板、50…画像読取手段、51…光源、52a…第1ミラー、52b…第2ミラー、52c…第3ミラー、52d…第4ミラー、53…レンズ、54…CCD、55…読取窓、60…ユニット用筐体、70…ローラ、71…搬送ローラ、71a,71b…搬送ローラ、71b…搬送ローラ、72…レジストローラ、73…排紙ローラ、80…押さえ板、81…蓋体、90…ヒータユニット、91…第1ヒータ、92…第2ヒータ、100…ADF、101…原稿載置台、102…排紙トレイ、108a…原稿搬送ローラ駆動モータ、200…主走査部、301…制御部、302…スキャナ部、303…画像処理部、304…記憶部、305…LAN通信部、306…操作パネル部、307…ドライバ、307a…原稿走査部駆動モータ、308…ドライバ、308a…原稿搬送ローラ駆動モータ、309…ドライバ、310…ドライバ、311…文字認識部、312…FAX通信部、313…メール通信部、400…画像データ、401…描画画像データ、410…画像データ、420…画像データ範囲、500…原稿、501…描画部、600…画像データ、601…描画画像データ、610…画像データ、620…画像データ範囲。

Claims (14)

  1. 原稿画像を読み取って画像データを生成する画像読取部を備えた原稿読取装置であって、
    原稿を加熱して加熱により変性して消色する着色材料により描画された原稿上の描画部を消去するヒータと、
    前記着色材料により描画された描画画像データを抽出する描画画像データ抽出部と、
    該描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに基づいて、前記画像読取部で生成した画像データのファイルを識別するためのファイル識別データを設定するファイル識別データ設定部と、
    前記原稿読取装置の各部の動作を制御する制御部とを有し、
    該制御部は、前記ファイル識別データ設定部で設定されたファイル識別データに対応づけて、前記画像読取部で生成した画像データを所定の記憶手段に記憶し、もしくは指定された送信先に送信する制御を行うことを特徴とする原稿読取装置。
  2. 請求項1に記載の原稿読取装置において、前記描画画像データ抽出部は、前記ヒータによる加熱を行わずに前記画像読取部で読み取った画像データと、前記ヒータによる加熱を行って前記画像読取部で読み取った画像データとを比較することで、前記描画画像データを抽出することを特徴とする原稿読取装置。
  3. 請求項2に記載の原稿読取装置において、前記描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに基づいて、該描画画像データで囲まれた指定領域を判定する指定領域判定部と、
    該指定領域判定部が判定した前記指定領域の画像データに文字認識を行う文字認識部とを有し、
    前記制御部は、前記文字認識部により文字認識された文字を前記ファイル識別データとして、前記画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴とする原稿読取装置。
  4. 請求項2に記載の原稿読取装置において、前記描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに対して文字認識を行う文字認識部を有し、
    前記制御部は、前記文字認識部により文字認識された文字を前記ファイル識別データとして、前記画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴とする原稿読取装置。
  5. 請求項2に記載の原稿読取装置において、前記描画画像データ抽出部で抽出した描画画像データに基づいて、該描画画像データで囲まれた指定領域を判定する指定領域判定部を有し、該指定領域判定部が判定した前記指定領域の画像データを前記ファイル識別データとして、前記画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴とする原稿読取装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記制御部は、前記原稿を搬送する搬送部、前記画像読取部、及び前記ヒータを制御し、1回目の原稿画像の読み取り時は前記ヒータにより原稿を加熱することなく原稿画像を読み取って生成した画像データを前記記憶部に記憶し、2回目の原稿画像の読み取り時は前記ヒータにより原稿を加熱して原稿画像を読み取って生成した画像データを前記記憶部に記憶し、
    前記描画画像データ抽出部は、前記1回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データと、前記2回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データとを比較し、比較結果に基づいて前記描画画像データを抽出することを特徴とする原稿読取装置。
  7. 請求項3〜5のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記制御部は、前記原稿を搬送する搬送部、前記画像読取部、及び前記ヒータを制御し、1回目の原稿画像の読み取り時に原稿画像を読み取って生成した画像データを前記記憶部に記憶し、該原稿画像を読み取った原稿を排出する前に前記ヒータにより原稿を加熱し、2回目の原稿画像の読み取り時に生成した画像データを前記記憶部に記憶し、
    前記描画画像データ抽出部は、前記1回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データと、前記2回目の原稿画像の読み取り時に記憶した画像データとを比較し、比較結果に基づいて前記描画画像データを抽出することを特徴とする原稿読取装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記ヒータは、原稿の表裏の両方の面を加熱可能に設けられていることを特徴とする原稿読取装置。
  9. 請求項8に記載の原稿読取装置において、前記制御部は、前記ヒータに対する通電を制御して、前記原稿の表面と裏面とを選択的に加熱することを特徴とする原稿読取装置。
  10. 請求項8または9に記載の原稿読取装置において、前記ヒータは、原稿の表面を加熱する第1ヒータと、原稿の裏面を加熱する第2ヒータとからなり、前記第1及び第2ヒータは、原稿の搬送路を挟んで対向配置していることを特徴とする原稿読取装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記制御部は、前記1回目の原稿画像の読み取り時の前記搬送部の搬送速度よりも、前記2回目の原稿画像の読み取り時の前記搬送部の搬送速度を低下させるように制御することを特徴とする原稿読取装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記制御部は、前記描画画像データを抽出すべき原稿のページ番号が指定されているときに、該指定されたページ番号に応じて前記ヒータによる加熱ページを特定し、該特定した加熱ページの原稿を加熱するように前記ヒータを制御することを特徴とする原稿読取装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記文字認識部により認識された文字による前記ファイル識別データを表示する表示手段と、前記ファイル識別データを修正する操作入力を受け付ける操作入力手段とを有し、前記制御部は、前記操作入力に従って前記ファイル識別データを修正した後に、該修正したファイル識別データを前記画像読取部で生成した画像データに対応づける制御を行うことを特徴とする原稿読取装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか1に記載の原稿読取装置において、前記所定の記憶手段は、該原稿読取装置に接続された記憶装置であることを特徴とする原稿読取装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013071325A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Fuji Xerox Co Ltd 画像検査装置及び画像形成装置
JP2016082412A (ja) * 2014-10-17 2016-05-16 シャープ株式会社 原稿読取装置

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