JP2009169393A - 偏光板およびそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】適用される液晶パネルの薄肉化に対応しつつこれを補強できるものであり、さらにこれを用いた液晶パネルとバックライトシステムとの接触を防止できる偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方側に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側に、延伸され、20〜50μmの厚みを有し、ヘイズが3〜40%の範囲内にあるポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置。
【選択図】なし
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方側に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側に、延伸され、20〜50μmの厚みを有し、ヘイズが3〜40%の範囲内にあるポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方の面にセルロース系樹脂フィルムが積層されており、他方の面にポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている偏光板、およびそれを用いた液晶表示装置に関する。
偏光板は、通常、二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方側または両側に接着剤層を介して、保護フィルム(たとえば、トリアセチルセルロースに代表される酢酸セルロース系の保護フィルム)を積層した構造を備える。このような積層構造を備える偏光板は、必要により他の光学フィルムを介して液晶セルに粘着剤で貼り合わせられ、液晶表示装置の構成部品とされる。
液晶表示装置は、液晶テレビ、液晶モニタ、パーソナルコンピュータなど、薄型の表示装置として、用途が急拡大している。特に液晶テレビの市場拡大は著しく、また、低コスト化の要求も非常に高い。液晶テレビ用の偏光板は、通常、二色性色素を吸着配向させたポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両側にトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を水系接着剤で積層してなり、その偏光板の一方側の外面に粘着剤を介して位相差フィルムが積層されている。
偏光板に積層される位相差フィルムとしては、ポリカーボネート系樹脂フィルムの延伸加工品やシクロオレフィン系樹脂フィルムの延伸加工品などが使用されているが、液晶テレビ用には、高温における位相差ムラの非常に少ないシクロオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムが多用されている。このような偏光板とシクロオレフィン系樹脂フィルムからなる位相差フィルムとの貼合品は、生産性の向上、製品コストの低減のため、構成する部品点数を減らしたり、製造プロセスを簡略化したりすることが考えられており、たとえば特開平8−43812号公報(特許文献1)には、位相差機能を有するシクロオレフィン系(ノルボルネン系)樹脂フィルム/偏光フィルム/TACフィルムの積層構造が開示されている。
また、特開2005−70140号公報(特許文献2)、特開2005−181817号公報(特許文献3)および特開2005−208456号公報(特許文献4)には、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムとシクロオレフィン系保護フィルムとを、ウレタン系の水系接着剤で接合することが記載されている。
特開平8−43812号公報
特開2005−70140号公報
特開2005−181817号公報
特開2005−208456号公報
大画面液晶テレビ用途においては、薄型化して壁掛けテレビとしてのニーズが顕在化しているが、この場合、液晶パネルに使用する部品として以下の点が課題となる。
(1)液晶パネルの薄型大画面化に対応して、パネルの強度を補強する必要がある。
(2)液晶テレビの薄肉化に対応して使用する部材の薄肉化が必要となる。
(3)液晶パネルと背面のバックライトシステムの隙間が狭くなり、液晶パネルとバックライトシステムとの接触が原因で起こる、円形状のムラや、ニュートンリングを防止する必要がある。
(2)液晶テレビの薄肉化に対応して使用する部材の薄肉化が必要となる。
(3)液晶パネルと背面のバックライトシステムの隙間が狭くなり、液晶パネルとバックライトシステムとの接触が原因で起こる、円形状のムラや、ニュートンリングを防止する必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、適用される液晶パネルの薄肉化に対応しつつこれを補強できるものであり、さらにこれを用いた液晶パネルとバックライトシステムとの接触を防止できる偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの片面に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムが積層されており、該偏光フィルムの反対側の面にはポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている偏光板であって、該ポリエチレンテレフタレートフィルムが延伸され、20〜50μmの厚みを有し、ヘイズが3〜40%の範囲にある偏光板とすることで、薄くても機械的強度に優れ、かつ、視認性に優れた偏光板が得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の偏光板は、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方側に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側に、一軸延伸され、20〜50μmの厚みを有し、ヘイズが3〜40%の範囲内にあるポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されていることを特徴とする。
本発明の偏光板におけるセルロース系樹脂フィルムは光学補償能を有するものであることが好ましい。
また本発明の偏光板は、セルロース系樹脂フィルムの外面に粘着剤層を有することが好ましい。
また本発明は、上述した粘着剤層を有する本発明の偏光板が、粘着剤層を介して液晶セルの背面側に貼合されている液晶パネルを備える液晶表示装置についても提供する。
本発明の偏光板は、適用される液晶パネルの機械的強度の向上および薄肉化を達成でき、さらにこれを用いた液晶パネルとバックライトシステムとの接触を防止することができる。またこのような本発明の偏光板を用いた本発明の液晶表示装置は、大画面液晶テレビ用液晶表示装置、特には壁掛け可能な液晶テレビ用液晶表示装置に好適に適用することができる。
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルムは、具体的には、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素を吸着配向させたものである。ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニル酢酸系樹脂をケン化することにより得られる。ポリビニル酢酸系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体としては、たとえば不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%、好ましくは98モル%以上である。これらのポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、たとえばアルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000の範囲内、好ましくは1500〜5000の範囲内である。
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の適宜の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されるものではないが、たとえば10〜150μm程度である。
偏光フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色して二色性色素を吸着させる工程(染色処理工程)、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程(ホウ酸処理工程)、ならびに、このホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程(水洗処理工程)を経て、製造される。
また、偏光フィルムの製造に際し、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは一軸延伸されるが、この一軸延伸は、染色処理工程の前に行ってもよいし、染色処理工程中に行ってもよいし、染色処理工程の後に行ってもよい。一軸延伸を染色処理工程の後に行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理工程の前に行ってもよいし、ホウ酸処理工程中に行ってもよい。勿論、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸は、周速の異なるロール間で一軸に延伸するようにしてもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸するようにしてもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤にて膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
染色処理工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、二色性色素を含有する水溶液に浸漬することによって行われる。二色性色素としては、たとえばヨウ素、二色性染料などが用いられる。二色性染料には、たとえば、C.I.DIRECT RED 39などのジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾなどの化合物からなる二色性直接染料が包含される。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は通常、水100重量部あたり0.01〜1重量部であり、ヨウ化カリウムの含有量は通常、水100重量部あたり0.5〜20重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1800秒である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶液二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4〜10重量部、好ましくは1×10-3〜1重量部であり、特に好ましくは1×10-3〜1×10-2重量部である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有していてもよい。二色性色素として二色性染料を用いる場合、染色に用いる染料水溶液の温度は、通常20〜80℃であり、また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1800秒である。
ホウ酸処理工程は、二色性色素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。上述した染色処理工程における二色性色素としてヨウ素を用いた場合には、このホウ酸処理工程に用いるホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。この場合、ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常0.1〜15重量部、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60〜1200秒、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、より好ましくは60〜80℃である。
続く水洗処理工程では、上述したホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、たとえば水に浸漬することによって水洗処理する。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃であり、浸漬時間は、通常1〜120秒である。水洗処理後は、通常乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、たとえば熱風乾燥機、遠赤外線ヒータなどを好適に用いて行われる。乾燥処理の温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒、好ましくは120〜600秒である。
こうしてポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理および水洗処理を施して、偏光フィルムが得られる。この偏光フィルムの厚みは、通常、5〜40μmの範囲内である。本発明の偏光板は、このような偏光フィルムの一方側にセルロース系樹脂フィルムが接着剤層を介して積層され、他方側に特定のポリエチレンテレフタレートフィルムが接着剤層を介して積層された構造を備える。
本発明の偏光板に用いられるセルロース系樹脂フィルムは、セルロースの部分または完全エステル化物のフィルムであって、たとえば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどからなるフィルムを挙げることができる。より具体的には、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルムなどが挙げられる。このようなセルロースエステル系フィルムとしては、適宜の市販品、たとえばフジタックTD80(富士フイルム(株)製)、フジタックTD80UF(富士フイルム(株)製)、フジタックTD80UZ(富士フイルム(株)製)、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株)製)、KC8UY(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。なお、セルロース系樹脂を製膜してフィルムとする場合には、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の方法を適宜用いることができる。
本発明の偏光板は、このようなセルロース系樹脂フィルムとして光学補償能を有するものを用いるようにしてもよい。セルロース系樹脂フィルムからなる光学補償フィルムとしては、たとえばセルロース系フィルムに位相差調整機能を有する化合物を含有させたフィルム、セルロース系フィルム表面に位相差調整機能を有する化合物を塗布したフィルム、セルロース系フィルムを一軸延伸または二軸延伸して得られるフィルムなどが挙げられる。また、本発明の偏光板においては、位相差特性を付与した酢酸セルロース系樹脂フィルムも好適に用いられ、かかる位相差特性が付与された酢酸セルロース系樹脂フィルムの市販品としては、WV BZ 438(富士フイルム(株)製)、WV EA(富士フイルム(株)製)、KC4FR−1(コニカミノルタオプト(株)製)、KC4HR−1(コニカミノルタオプト(株)製)などが挙げられる。
光学補償能を有するセルロース系樹脂フィルムを用いることで、液晶の光学補償が行え、液晶表示装置の視野角拡大に寄与することができるという利点がある。本発明に用いられる光学補償能を有するセルロース系樹脂フィルムは、面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内でそれと直交する方向(進相軸方向)の屈折率をny、および厚み方向の屈折率をnz、フィルムの厚みをdとする場合において、以下の式(1)、(2)でそれぞれ表わされるフィルムの面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthは、面内位相差値R0が30〜100nm(より好適には40〜80nm)の範囲内であり、かつ、厚み方向位相差値Rthが80〜300nm(より好適には100〜250nm)の範囲内であることが好ましい。
R0 =(nx−ny)×d (1)
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
面内位相差値R0が40nm未満である場合、または100nmを超える場合には、パネルの視野角補償能が低下する傾向にある。また、厚み方向位相差値Rthが80nm未満である場合、または250nmを超える場合には、やはりパネルの視野角補償能が低下する傾向にある。なお、上述した面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthは、たとえばKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定することができる。
Rth=〔(nx+ny)/2−nz〕×d (2)
面内位相差値R0が40nm未満である場合、または100nmを超える場合には、パネルの視野角補償能が低下する傾向にある。また、厚み方向位相差値Rthが80nm未満である場合、または250nmを超える場合には、やはりパネルの視野角補償能が低下する傾向にある。なお、上述した面内位相差値R0および厚み方向位相差値Rthは、たとえばKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定することができる。
本発明に用いられるセルロース系樹脂フィルムは、その厚みについては特に制限されないが、20〜90μmの範囲内であることが好ましく、30〜90μmの範囲内であることがより好ましい。セルロース系樹脂フィルムの厚みが20μm未満である場合には、取り扱い性に劣る傾向にあり、一方、90μmを超える場合には、加工性に劣るものとなり、得られた偏光板の重量が大きくなったりするなどの虞があるためである。
本発明の偏光板に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムは、延伸され、20〜50μmの厚みを有し、ヘイズが3〜40%の範囲内にあることを特徴とする。本発明の偏光板においては、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方側に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側にこのようなポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されてなる構造を備えることで、適用される液晶パネルの薄肉化に対応しつつこれを補強できるものであり、さらにこれを用いた液晶パネルとバックライトシステムとの接触を防止できるという効果が奏される。
ここで、ポリエチレンテレフタレートとは、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂である。他の共重合成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサンなどのジカルボン酸成分、たとえばプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やグリコール成分は、必要により2種以上を組み合わせて使用することができる。また上記ジカルボン酸成分やグリコール成分と共に、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸を併用することも可能である。このような他の共重合成分は、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分を含んでいてもよい。
ポリエチレンテレフタレートの製造法としては、テレフタル酸とエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸および/または他のジオール)とを直接反応させるいわゆる直接重合法、テレフタル酸のジメチルエステルとエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸成分のジメチルエステルおよび/または他のジオール)とをエステル交換反応させるいわゆるエステル交換反応などの任意の製造法を適用することができる。
また、ポリエチレンテレフタレートには、必要に応じて公知の添加剤を含有させてもよい。ただし、光学用途においては透明性が必要とされるため、添加剤の添加量は最小限にとどめておくことが好ましい。公知の添加剤としては、たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを挙げることができる。耐光剤としては紫外線吸収剤も含まれ、たとえば、紫外線吸収剤の例としては、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤などが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、また好ましくは2重量%以下である。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムを製造する方法については特に制限されるものではないが、原料樹脂であるポリエチレンテレフタレートを溶融し、シート状に押出し成形された無配向フィルムをガラス転移温度以上の温度においてテンターで横延伸後、熱固定処理を施す方法が挙げられる。延伸温度は80〜130℃、好ましくは90〜120℃であり、延伸倍率は2.5〜6倍、好ましくは3〜5.5倍である。延伸倍率が低くなるとフィルムの透明性が不良となるため好ましくない。
なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムにおける配向主軸の歪み(延伸軸に対するズレ)を低減する観点からは、上述した延伸後であって熱固定処理を行う前に、フィルムを長手方向(フィルムの走行方向)、フィルムの幅方向(フィルムの走行方向に対し垂直な方向)に弛緩処理することが好ましい。弛緩処理する温度は90〜200℃、好ましくは120〜180℃である。弛緩量は横延伸条件によって異なるが、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの150℃における熱収縮率が2%以下になるように弛緩量および温度を設定することが好ましい。
熱固定処理の温度は、通常180〜250℃であり、好ましくは200〜245℃である。熱固定処理は、まず定長で熱固定処理を行った後、配向主軸の歪みが低減され、耐熱性などの強度を向上させるために、さらにフィルム長手方向(フィルム走行方向)またはフィルム幅方向の弛緩処理を行なうことが好ましい。この場合の弛緩量は、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの、150℃における熱収縮率が1〜10%となるように調整されることが好ましく、より好ましくは2〜5%である。
本発明において用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムは、配向主軸の歪み(延伸方向に対するズレ角度)が30度以下(さらには10度以下、とりわけ5度以下)であることが好ましい。配向主軸の歪みが30度より大きいと、液晶表示装置の画面に貼合したときに十分な色ムラ抑制効果が得られない。またポリエチレンテレフタレートフィルムの配向主軸の歪みの下限値は0度である。なお、上述したポリエチレンテレフタレートフィルムの配向主軸の歪みは、たとえば位相差フィルム検査装置RETSシステム(大塚電子(株)製)を用いることで測定できる。
上記原料樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施すことにより、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを作製することができる。延伸は、MD方向(流れ方向)またはTD方向(流れ方向と垂直の方向)に延伸する一軸延伸、MD方向とTD方向双方に延伸する二軸延伸、MD方向でもTD方向でもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行なってもよい。かかる延伸操作を施すことにより、機械的強度の高いポリエチレンテレフタレートフィルムを得ることができる。中でも一軸延伸フィルムは、本発明の偏光板を液晶パネルに設置したときに、干渉ムラが見え難い傾向にあるため、好ましい。
一軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの作製方法は任意であり、特に限定されるものではないが、上記原料樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向フィルムを、ガラス転移温度以上の温度においてテンターで横延伸(TD方向に延伸)した後、熱固定処理を施す方法を挙げることができる。延伸温度は、好ましくは80〜130℃、より好ましくは90〜120℃であり、延伸倍率は、好ましくは2.5〜6倍、より好ましくは3〜5.5倍である。延伸倍率が低いと、ポリエチレンテレフタレートフィルムが十分な透明性を示さない傾向にある。二軸延伸の場合は、たとえば、シート状に押出し成形された無配向フィルムを、ガラス転移温度以上の温度において縦延伸(MD方向に延伸)し、次いで横延伸(TD方向に延伸)する方法や、縦横同時に延伸する方法等が挙げられる。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みdPETは、20〜60μmの範囲内であることが好ましく、30〜50μmの範囲内であることがより好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みdPETが20μm未満である場合には、ハンドリングしにくい(取り扱い性に劣る)傾向にあり、また厚みが60μmを超える場合には、薄肉化のメリットが薄れる傾向にある。
また本発明の偏光板には、ヘイズが3〜40%の範囲内のポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられる。ヘイズが3%未満のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、表面の凹凸も少なくなるので、バックライトシステムとの接触によるムラ発生を防止する効果が小さく、また、ヘイズが40%を超えるポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合には、光拡散が強すぎて正面輝度や視認性が低下する傾向にある。なお、上述したポリエチレンテレフタレートフィルムのヘイズは、JIS K 7136に規定されるとおり、全光線透過率に対する拡散透過率の比として定義され、市販のヘイズメータで測定することができる。
ポリエチレンテレフタレートフィルムにヘイズを付与する方法としては、原料樹脂であるポリエチレンテレフタレート中に無機微粒子または有機微粒子を混合する方法、上記フィルム表面に無機微粒子または有機微粒子を樹脂バインダーに混合した塗布液をコートする方法などが挙げられるが、これらに限定されることはない。上記無機微粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、アルミノシリケート、アルミナ−シリカ複合酸化物、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどを代表的なものとして用いることができる。また上記有機微粒子としては架橋ポリアクリル酸粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリイミド粒子などの耐熱性樹脂粒子を用いることができる。
また本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差値RPETは、1000nm以上であることが好ましく、3000nm以上であることがより好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差値RPETが1000nm未満であると、正面からの色つきが目立つ傾向にある。また、本発明に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差値RPETの上限は、10000nm程度までで十分である。
なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの面内位相差値RPETは、下記式(3)で表される。
RPET=(na−nb)×dPET (3)
(上記式(3)中、naはポリエチレンテレフタレートフィルムの面内遅相軸方向の屈折率、nbは面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率、dPETはポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みである。)
上述したような特性を兼ね備えるポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなど総合的に優れるものであり、本発明の偏光板に特に好適に用いられ得る。
(上記式(3)中、naはポリエチレンテレフタレートフィルムの面内遅相軸方向の屈折率、nbは面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率、dPETはポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みである。)
上述したような特性を兼ね備えるポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなど総合的に優れるものであり、本発明の偏光板に特に好適に用いられ得る。
また、ポリエチレンテレフタレートフィルムの偏光フィルムを積層する側とは反対の面に、防眩処理、ハードコート処理、帯電防止処理などの表面処理が施されていてもよい。また、液晶性化合物やその高分子量化合物などからなるコート層が形成されていてもよい。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンナフタレートフィルムを用いても、ほぼ同様の効果が得られる。
本発明の偏光板は、上述した偏光フィルムの一方側に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムを貼合し、また、当該偏光フィルムの他方側に接着剤層を介して特定のポリエチレンテレフタレートフィルムを貼合する。本発明の偏光板は、偏光フィルムの両側に同種の接着剤を用いてもよく、また、それぞれ異種の接着剤を用いてもよい。接着剤としては、接着剤層を薄くする観点からは、水系のもの、すなわち、接着剤成分を水に溶解したものまたは水に分散させたものが挙げられる。たとえば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を用いた組成物が、好ましい接着剤として挙げられる。
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、当該ポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコーなどの変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。この場合、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液が接着剤として用いられる。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤には、接着性を上げるために、グリオキザール、水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分、架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、たとえばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸などのジカルボン酸との反応で得られるポリアミドアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を好適に用いることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、スミレーズレジン650(住化ケムテックス(株)製)、スミレーズレジン675(住化ケムテックス(株)製)、WS−525(日本PMC(株)製)などが挙げられる。これら硬化性成分、架橋剤の添加量(共に添加する場合にはその合計量)は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。上記硬化性成分、架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、接着性向上の効果が小さくなる傾向にあり、また、上記硬化性成分、架橋剤の添加量がポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して100重量部を超える場合には、接着剤層が脆くなる傾向にあるためである。
また接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とは、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。かかるアイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂それ自体は公知であり、たとえば特開平7−97504号公報には、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるための高分子分散剤の例として記載されており、また上述した特開2005−70140号公報(特許文献2)、特開2005−208456号公報(特許文献4)には、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムにシクロオレフィン系樹脂フィルムを接合する形態が示されている。
偏光フィルムに上述したセルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムを貼合する方法としては、通常一般に知られているものでもよく、たとえば、流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコーター法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法、噴霧法などによって偏光フィルムおよび/またはそこに貼合されるフィルムの接着面に接着剤を塗布し、両者を重ね合わせる方法が挙げられる。流延法とは、被塗布物であるフィルムを、概ね垂直方向、概ね水平方向、または両者の間の斜め方向に移動させながら、その表面に接着剤を流下して拡布させる方法である。
上述した方法にて接着剤を塗布した後、偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムをニップロールなどにより挟んで、貼り合わせる。また、偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールなどで加圧して均一に押し広げる方法も好適に使用することができる。この場合、ロールの材質としては金属やゴムなどを用いることが可能である。さらに、偏光フィルムとそれに貼合されるフィルムとの間に接着剤を滴下した後、この積層体をロールとロールとの間に通し、加圧して押し広げる方法も好ましく採用される。この場合、これらロールは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
また、接着剤層の表面には、接着性を上げるため、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理を適宜施してもよい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリの水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
偏光フィルムにセルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムをそれぞれ接着剤層を介して積層させた後、乾燥して接着剤層を硬化させる。この乾燥処理は、たとえば熱風を吹き付けることにより行われ、その温度は、通常40〜100℃の範囲内であり、好ましくは60〜100℃の範囲内である。また、乾燥時間は通常、20〜1200秒である。
乾燥後の接着剤層の厚みは、通常0.001〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μm、さらに好ましくは0.01〜1μmである。接着剤層の厚みが0.001μm未満である場合には、接着が不十分である虞があり、また、接着剤層の厚みが5μmを超えると、偏光板の外観不良が生じる虞がある。
貼合後、室温以下の温度で少なくとも半日、通常は数日間以上の養生を施して十分な接着強度を得てもよい。好ましい養生温度は30〜50℃の範囲であり、さらに好ましくは35〜45℃である。養生温度が50℃を超えると、ロール巻き状態において、いわゆる「巻き締まり」が起こりやすくなる。なお、養生時の湿度は適度にあっても構わず、相対湿度が0〜70%RHの範囲にあればよい。養生時間は、通常1〜10日、好ましくは2〜7日である。
また本発明の偏光板における接着剤には、光硬化性接着剤を用いることもできる。光硬化性接着剤としては、たとえば光硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤などの混合物が挙げられる。この場合には、活性エネルギー線を照射することによって光硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどが好ましい。
光硬化性接着剤への光照射強度は、該光硬化性接着剤の組成によって適宜決定され、特に限定されないが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1〜6000mW/cm2であることが好ましい。該照射強度が0.1mW/cm2以上であることで、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm2以下であることで、光源から輻射される熱および光硬化性接着剤の硬化時の発熱によるエポキシ樹脂の黄変や偏光子の劣化を生じる虞が少ない。光硬化性接着剤への光照射時間は、硬化させると光硬化性接着剤ごとに制御されるものであって特に制限されないが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10〜10000mJ/m2となるように設定されることが好ましい。光硬化性接着剤への積算光量が10mJ/m2以上であることで、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、また、10000mJ/m2以下であることで、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
活性エネルギー線の照射によって光硬化性接着剤を硬化させる場合、偏光フィルムの偏光度、透過率および色相、ならびにセルロース系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムの透明性といった偏光板の諸機能が低下しない条件で硬化を行うことが好ましい。
本発明の偏光板において、セルロース系樹脂フィルムは、その外面(偏光フィルムに貼合された側とは反対側の面)に粘着剤層を有することが好ましい。このような粘着剤層に用いられる粘着剤としては、従来公知の適宜の粘着剤を特に制限なく用いることができ、たとえばアクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層は、このような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液のかたちで用い、それを基材フィルム上にダイコータやグラビアコータなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を基材フィルムに転写する方法によっても設けることができる。粘着剤層の厚みについても特に制限はないが、一般に2〜40μmの範囲内であることが好ましい。
セルロース系樹脂フィルムの外面に上述した粘着剤層が形成される場合、当該粘着剤層を介して光学機能性フィルムが貼着されてなることが好ましい。光学機能性フィルムとしては、たとえば、基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルム、ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルム、ポリカーボネート系樹脂からなる位相差フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルム、表面に凹凸形状を有する防眩機能付きフィルム、表面反射防止機能付きフィルム、表面に反射機能を有する反射フィルム、反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルムなどが挙げられる。基材表面に液晶性化合物が塗布され、配向されている光学補償フィルムに相当する市販品としては、WVフィルム(富士フイルム(株)製)、NHフィルム(新日本石油(株)製)、NRフィルム(新日本石油(株)製)などが挙げられる。ある種の偏光光を透過し、それと逆の性質を示す偏光光を反射する反射型偏光フィルムに相当する市販品としては、たとえばDBEF(3M社製、日本では住友スリーエム(株)から入手できる)などが挙げられる。また、環状ポリオレフィン系樹脂からなる位相差フィルムに相当する市販品としては、たとえばアートンフィルム(JSR(株)製)、エスシーナ(積水化学工業(株)製)、ゼオノアフィルム((株)オプテス製)などが挙げられる。
本発明はまた、上述した本発明の偏光板を、セルロース系樹脂フィルムの外面の粘着剤層側を液晶セルの背面に配置させて、液晶セルに貼合させた液晶パネルを備える液晶表示装置についても提供する。このような本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板が液晶セルの背面に貼合された液晶パネルを備えることで、薄肉化に対応しつつ十分な機械的強度を有し、さらには、液晶パネルの背面側に本発明の偏光板のポリエチレンテレフタレートフィルム側を配置させることで、液晶パネルとバックライトシステムとの接触を防止できる液晶表示装置が提供される。本発明の液晶表示装置において、上述した特徴以外の部分については、従来公知の液晶表示装置の適宜の構成を採用することができ、液晶表示装置が液晶パネル以外に通常備える構成要件(光拡散板、バックライトなど)特に制限されるものではない。また液晶パネルは、通常、液晶セルの前面側にも偏光板を設けるが、この液晶セルの前面側に設ける偏光板については特に制限されず、従来公知の適宜の偏光板を用いることができる。なお、上述した液晶セル、液晶パネルの「背面側」とは、液晶パネルを液晶表示装置に搭載した際のバックライト側を意味し、液晶セル、液晶パネルの「前面側」とは、液晶パネルを液晶表示装置に搭載した際の視認側を意味する。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り、重量基準である。以下の例において、延伸フィルムの面内位相差値、厚み方向位相差値は、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定した値を指す。また、ヘイズは、JIS K 7136に準拠したヘイズメータHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した値を指す。
<実施例1>
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上で厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向された偏光フィルムを得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行い、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
厚み40μmの延伸セルロース系樹脂フィルム(KC4FR−1(コニカミノルタオプト社製)、面内位相差値R0:45nm、厚み方向位相差値Rth:125nm)を用意し、その接着面にコロナ処理を施した。別途、厚み37μm、ヘイズ17%の一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(配向主軸の歪み(延伸軸に対するズレ角度)の最大値:2度、面内位相差値RPET:3800nm)を用意し、その接着面にコロナ処理を施した。
上述のようにして得られた偏光フィルムの一方側に、延伸セルロース系樹脂フィルムのコロナ処理面を、他方側には一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面を、光硬化型接着剤を介して貼合・接着して偏光板を得た。この偏光板は通常の偏光板と比較しても軽量化されている。この偏光板の延伸セルロース系樹脂フィルムの外面に、厚み25μmのアクリル系粘着剤の層を設けた。偏光板を、この粘着剤層を形成した延伸セルロース系樹脂フィルムの外面側を液晶セルの背面に配置し、液晶セルの前面には市販の偏光板を配置して液晶パネルを組み立て、これを市販の光拡散板、バックライトと組み合わせて液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の表示を目視にて観察したところ、バックライトとの接触によるムラは見られなかった。
<比較例1>
実施例1において一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに表面ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を得た。実施例1と同様に、粘着剤層を形成後、液晶セルに背面に配置して液晶パネルを組み立て、液晶表示装置を作製し、表示を観察したところ、バックライトとの接触によるムラが見られた。
実施例1において一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに表面ケン化処理されたトリアセチルセルロースフィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして偏光板を得た。実施例1と同様に、粘着剤層を形成後、液晶セルに背面に配置して液晶パネルを組み立て、液晶表示装置を作製し、表示を観察したところ、バックライトとの接触によるムラが見られた。
今回開示された実施の形態および実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
Claims (4)
- ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの一方側に接着剤層を介してセルロース系樹脂フィルムが積層され、偏光フィルムの他方側に、延伸され、20〜50μmの厚みを有し、ヘイズが3〜40%の範囲内にあるポリエチレンテレフタレートフィルムが積層されている、偏光板。
- セルロース系樹脂フィルムが光学補償能を有する、請求項1に記載の偏光板。
- セルロース系樹脂フィルムの外面に粘着剤層を有する、請求項1または2に記載の偏光板。
- 請求項3に記載の偏光板が粘着剤層を介して液晶セルの背面側に貼合されている液晶パネルを備える液晶表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008265443A JP2009169393A (ja) | 2007-12-18 | 2008-10-14 | 偏光板およびそれを用いた液晶表示装置 |
Applications Claiming Priority (2)
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ID=40970560
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011145642A (ja) * | 2009-12-16 | 2011-07-28 | Mitsui Chemicals Inc | 偏光性拡散フィルム、偏光性拡散フィルムの製造方法、および偏光性拡散フィルムを含む液晶表示装置 |
-
2008
- 2008-10-14 JP JP2008265443A patent/JP2009169393A/ja not_active Withdrawn
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