JP2009169211A - 偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法 - Google Patents

偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】位相差板を偏光分離素子の光射出面上に格子状に配列して、接着剤を用いて貼り合わせる際に、接着剤が光の有効エリア内にはみ出して偏光変換効率が低下する、あるいは接着剤が偏光変換素子の光射出面を汚染するなどを防止した偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子2と、偏光分離素子2の光射出面2bに貼着された支持基板3と、支持基板3の光射出面3bに選択的に配置され、偏光分離素子2を透過した二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための複数の位相差板4とを備えた偏光変換素子1は、支持基板3の光射出面3bに位相差板4が偏光分離素子2の複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜2dまたは反射膜2eに対応した格子状に接着剤5を介して貼着され、その位相差板4の外形形状に沿う溝3cを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ランダムな偏光方向を有する光を、一方向の偏光方向を有する光に変換する偏光変換素子および偏光変換素子の製造方法に関する。
液晶プロジェクタなどの光学機器において、ランダムな偏光方向を有する光を、一方向の偏光方向を有する光に変換する光学素子として偏光変換素子が知られている。図9は、従来の一般的な偏光変換素子を説明するための模式図であり、(a)は偏光変換素子の斜視図、(b)は(a)を+Z軸方向から矢視した偏光変換素子の断面図である。
図9(a)および図9(b)において、偏光変換素子50は、入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子51と、偏光分離素子51の光射出面側に選択的に配置され、二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための1/2λ位相差板52とを有している。なお、偏光変換素子50に入射する光は、その主光線(中心軸)が、システム光軸AL(図9(b)中に一点鎖線で示す)に略平行に入射する。
偏光分離素子51は、システム光軸ALに略直交する光入射面と、光入射面に略平行な光射出面と、光入射面および光射出面と所定の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた複数のガラス材51aと、複数の界面に交互に設けられた複数の偏光分離膜51b(図中に実線で示す)および反射膜51c(図中に破線で示す)とを備えている。
複数の界面の光入射面(光射出面)との所定の角度は、一般的に45°であり、ガラス材51aは、X−Y軸方向において略平行四辺形の断面形状を有しz軸方向に延伸する柱状を成している。
偏光分離膜51bは誘電体多層膜で形成され、入射した光線束(s偏光光+p偏光光)を、s偏光の部分光線束(s偏光光)とp偏光の部分光線束(p偏光光)とに分離して、s偏光光を反射し、p偏光光を透過する機能を有する。一方、反射膜51cは誘電体多層膜または金属膜で形成され、反射膜51cに入射したs偏光光を反射する機能を有する。
1/2λ位相差板52は、偏光分離膜51bを透過したp偏光光が通過するガラス材51aの光射出面に、格子状に配列して設けられている。この1/2λ位相差板52は、入射するp偏光光を、偏光方向が直交するs偏光光に変換する機能を有している。
なお、偏光変換素子50は、一般的に偏光変換素子50に入射する光が偏光分離膜51bのみに入射し、反射膜51cには入射しないように配列された遮光板55(図9(b)中に二点鎖線で示す)が、光入射面側に配設されて用いられる。遮光板55としては、アルミニウム板などの遮光性を有する金属板に開口部55aと遮光部55bとを形成したものが例示される。
このように構成された偏光変換素子50は、図9(b)に示すように、柱状のガラス材51aが延伸する方向をz軸方向に配置して用いられる。そして、遮光板55の開口部55aより偏光分離素子51のガラス材51aに入射した光(s偏光光+p偏光光)が、偏光分離膜51bにおいてs偏光光とp偏光光の2つの部分光線束に分離される。偏光分離膜51bで分離された一方のs偏光光が、反射膜51cにおいて反射されると共に、分離された他方のp偏光光が偏光分離膜51bを透過して1/2λ位相差板52においてs偏光光に変換される。すなわち、偏光変換素子50において一種類の偏光光に変換されたs偏光光が、偏光変換素子50からシステム光軸ALと略平行方向に射出される。
こうした偏光変換素子50の1/2λ位相差板52には、一般的に有機材料系の位相差フィルムが広く用いられている。位相差フィルムより成る1/2λ位相差板52は、p偏光光が通過するガラス材51aの光射出面に、圧力を加えることで被接合物同士を接合することができる感圧型接着剤(粘着剤)を用いて貼着される。したがって、接着剤を用いた場合の製造工程の煩雑さや、接着剤の溢れるなどの不具合はないが、光源から射出された光が位相差フィルムを通過することによって、黄変したり発熱したりして、位相差フィルムの光学特性の劣化を招き、偏光変換素子50の偏光変換効率が低下するという問題を有している。
こうした問題に対応するために、1/2λ位相差板を水晶を用いて構成した偏光変換素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−302523号公報
特許文献1に示されるような1/2λ位相差板に無機物質より成る透明性光学基板(水晶板)を用いた偏光変換素子は、短冊状に加工された多数の1/2λ位相差板を、偏光分離素子の偏光分離膜または反射膜に対応した光射出面上に格子状に配列して、一枚ずつ紫外線硬化型接着剤を用いて貼り合わせるのが最も一般的である。しかしながら1/2λ位相差板を接着剤を用いて貼り合わせる際に、接着剤が光の有効エリア内にはみ出して光の散乱を発生させることにより偏光変換効率が低下する、あるいは接着剤が硬化せずにゲル状化して偏光変換素子の光射出面を汚染するなどの課題を有する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る偏光変換素子は、光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた透光性基材を有し、前記界面に入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と入射する偏光光を反射する反射膜とが交互に設けられた偏光分離素子と、該偏光分離素子の光射出面に貼着された透光性基板より成る支持基板と、該支持基板の光射出面に前記偏光分離素子の前記偏光分離膜または前記反射膜に対応して格子状に貼着された位相差板とを備えた偏光変換素子であって、前記位相差板は接着剤を介して前記支持基板に貼着され、前記支持基板は前記位相差板の外形形状に沿って前記接着剤を収容する凹部を備えたことを特徴とする。
これによれば、光入射面および光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた複数の透光性基材を有し、界面に入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と入射する偏光光を反射する反射膜とが交互に設けられた偏光分離素子の光射出面に、透光性基板より成る支持基板が貼着され、支持基板の光射出面に、位相差板が偏光分離素子の偏光分離膜または反射膜に対応して格子状に接着剤を介して貼着され、その位相差板の外形形状に沿って接着剤を収容する凹部を備えることにより、位相差板を貼着する際に接着面からはみ出した接着剤を凹部内に収容し、接着剤が光の有効エリアに流れ出すのを阻止して有効エリアが狭まるのを防ぐと共に、光射出面が汚染するのを防ぐことができる。したがって、入射光(s偏光光+p偏光光)を一種類のs偏光光またはp偏光光に変換して射出する偏光変換効率の低減を抑制した偏光変換素子が得られる。
[適用例2]
上記適用例に係る偏光変換素子は、前記支持基板の屈折率と前記位相差板を貼着する前記接着剤の硬化後の屈折率とが、前記透光性基材の屈折率に実用上近接していることが好ましい。
これによれば、透光性基材、支持基板および支持基板の光射出面に位相差板を貼着する接着剤の屈折率が、互いに近接していることにより、接着面における表面反射の発生を抑制し、表面反射率を0.5%程度以下に抑えることができる。
[適用例3]
本適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた透光性基材を有し、前記界面に入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と入射する偏光光を反射する反射膜とが交互に設けられた偏光分離素子と、該偏光分離素子の光射出面に貼着された無機透光性基板より成る支持基板と、該支持基板の光射出面に接着剤を介して前記偏光分離素子の前記偏光分離膜または前記反射膜に対応して格子状に貼着された位相差板とを備えた偏光変換素子の製造方法であって、前記無機透光性基板の一方の面上に前記位相差板の外形形状に沿って前記接着剤を収容する凹部を形成する凹部形成工程と、前記支持基板の光射出面に、該支持基板と互いに近接する屈折率を有する前記接着剤を介して前記位相差板を貼着する位相差板貼着工程と、前記位相差板が貼着された前記支持基板を、前記偏光分離素子の光射出面に貼着する支持基板貼着工程と、を備えたことを特徴とする。
この製造方法によれば、無機透光性基板の一方の面上に位相差板の外形形状に沿って接着剤を収容する凹部を形成する凹部形成工程と、支持基板の光射出面に支持基板と互いに近接する屈折率を有する接着剤を介して位相差板を貼着する位相差板貼着工程と、位相差板が貼着された支持基板を偏光分離素子の光射出面に貼着する支持基板貼着工程とを備えることにより、位相差板を貼着する際に接着面からはみ出した接着剤を凹部内に収容し、接着剤が光の有効エリアに流れ出すのを阻止して有効エリアが狭まるのを防ぐと共に、光射出面が汚染するの防ぐことができる。したがって、接着剤を拭き取る作業工数や、接着剤が残存することによる外観不良などが増加することもない。
[適用例4]
上記適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、前記位相差板貼着工程と前記支持基板貼着工程との間に、前記位相差板貼着工程において貼り合わされた前記位相差板を所定の厚さに研磨する研磨工程を、さらに備えるのが好ましい。
この製造方法によれば、位相差板貼着工程と支持基板貼着工程との間に、支持基板上に貼着された位相差板を所定の厚さに研磨する研磨工程を、さらに備えることにより、位相差板貼着工程において貼り合わされる位相差板を所定の厚さよりも厚い平板を用いることができる。それは、所定の厚さよりも厚い位相差板を貼着した後に、研磨工程において所定の厚さに研磨するので、予め所定の厚さに加工された薄い位相差板を取り扱うのに比べて、取り扱い性が向上し、位相差板を破損するなどの不具合を排除すると共に、より作業性に優れた偏光変換素子の製造方法が得られる。
[適用例5]
上記適用例に係る偏光変換素子の製造方法は、前記凹部形成工程において、少なくともダイシング法、エッチング法またはフェムト秒パルスレーザを照射した後にエッチング処理するレーザ加工法の内のいずれかの加工法を用いて、前記凹部を形成することが好ましい。
この製造方法によれば、凹部形成工程において、接着剤を収容する凹部を形成するのに、少なくともダイシング法、エッチング法またはフェムト秒パルスレーザを照射した後にエッチング処理するレーザ加工法の内のいずれかの加工法を用いることにより、所望の断面形状を備えた凹部を容易に形成することができる。特に、レーザ加工法用いた場合には、滑らかな平滑面の形成面を有する断面形状がV字形状の凹部を、所望する正確な位置および寸法に、しかも安定的に形成することができる。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示した偏光変換素子の部分拡大断面図である。なお、これらの図1,2は、説明の便宜のために各構成要素の寸法や比率を実際のものとは異ならせてある。このことは、以後に示す全ての図面においても同様である。
図1および図2において、偏光変換素子1は、入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子(PBS)2と、偏光分離素子2の一方の面に貼着された支持基板3と、支持基板3の一方の面に選択的に配置され、偏光分離素子2を透過した二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための複数の1/2λ位相差板4とを備え、矩形状の外形形状を成している。
偏光分離素子2は、光入射面2aと光入射面2aに略平行な光射出面2bとを有し、光入射面2aおよび光射出面2bに所定の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた柱状のガラス材2c(但し、両側最端部は三角柱形状を成している)と、複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜2d(図1中に実線で示す)と反射膜2e(図1中に破線で示す)とを含み構成されている。
複数の界面が光入射面2aおよび光射出面2bと成す所定の角度は、例えば、45°であり、ガラス材2cはX軸−Y軸方向において略平行四辺形の断面形状を有し、Z軸方向に延伸する柱状を成して、互いに隣り合うガラス材2c同士が接着剤(図示せず)により貼り合わされている。
本実施形態におけるガラス材2cは、例えば、白板ガラス(B270)よりなる。
偏光分離膜2dは、誘電体多層膜で形成される。誘電体多層膜は、例えば、SiO2よりなる低屈折率層と、例えば、Al23よりなる高屈折率層とが、所定の順序および光学膜厚で形成されている。この偏光分離膜2dは、入射する光線束(s偏光光+p偏光光)を、s偏光の部分光線束(s偏光光)とp偏光の部分光線束(p偏光光)とに分離して、s偏光光を反射し、p偏光光を透過する機能を有する。
反射膜2eは誘電体多層膜または金属膜で形成され、偏光分離膜2dにおいて分離されて反射膜2eに入射するs偏光光を反射する機能を有する。
支持基板3は、偏光分離素子2を構成するガラス材2cと同様に、無機透光性基板としての白板ガラス(B270)より成り、偏光分離素子2の外形形状に沿う矩形状を成している。
支持基板3は、光射出面3bとなる一方の面上に複数の1/2λ位相差板4が選択的に配置され、支持基板3の光入射面3aとなる他方の面を、偏光分離素子2の光射出面2b側にして、接着剤6(図2のみ示す)により偏光分離素子2の光射出面2bに接着固定(貼着)されている。
支持基板3の板厚は、適宜設定することができるが、透過する光の低波長側における吸収を考慮すると、少なくとも偏光分離素子2の光透過方向の厚さ以下であるのが望ましく、加工面やコスト面を考慮すると1mm程度が好ましい。なお、白板ガラスの屈折率は1.52程度である。
1/2λ位相差板4(以後、位相差板4と表す)は、1/2λ位相差機能を有する水晶(水晶板)より成り、支持基板3の光射出面3bに接着剤5を用いて貼着されている。
この位相差板4は、偏光分離素子2の偏光分離膜2dを透過した光(p偏光光)が通過する領域、すなわち偏光分離素子2の偏光分離膜2dを透過した光が射出されるガラス材2cの光射出面2bに対応した領域だけに配置されている。したがって位相差板4は、短冊状の長方形を成して、支持基板3の光射出面3b上に格子状に配置されている。この位相差板4は、入射するp偏光光を、偏光方向が直交するs偏光光に変換する機能を有している。
なお、水晶板を構成する水晶は、SiO2の単結晶であり、人工水晶または天然水晶のどちらであってもよい。また、位相差板4の板厚は、光の波長領域および位相差値によって適宜設定され、10μm〜1mm程度である。
本実施形態の位相差板4の板厚は、例えば20μm程度であり、可視光波長領域の全域に対応することができる位相差板として機能する。
また、支持基板3の光射出面3bには、光射出面3bに格子状に貼着された位相差板4の外形形状(長方形)の両長辺に沿って(図1参照)、例えば、断面形状が光射出面3bを一辺とする矩形状の凹部としての溝3cが形成されている。
この溝3cは、図2中に示すように、支持基板3の光射出面3bにそれぞれの位相差板4を接着剤5を用いて貼着する際に、接着面からはみ出した接着剤5を溝3c内に収容し、接着剤5が光射出面3bに流れ出すのを阻止する機能を有する。
接着剤5は、接着面における表面反射の発生を抑制するために、接着剤5の屈折率n1が、支持基板3の屈折率n2に近接しているのが望ましく、「n1=n2±0.01」程度であれば、表面反射率を0.5%程度以下に抑えることができる。
また、接着剤5としては、接着加工が容易で比較的高温度に耐えうる一液性エポキシまたは一液性アクリル系の紫外線硬化型接着剤を用いるのが好ましい。紫外線硬化型接着剤は、接着部に塗布した後、ケミカルランプや高圧水銀灯などの光(エネルギー線)を照射して硬化される。
本実施形態における接着剤5は、例えば、サンライズMSI(株)製の紫外線硬化接着剤PHOTOボンド(登録商標)300を用いた。この接着剤の硬化後における屈折率(n1)は、1.52程度であり、白板ガラス(B270)より成る支持基板3の屈折率1.52と略同じである。
なお、位相差板4が貼着された支持基板3を偏光分離素子2の光射出面2bに貼着する接着剤6および偏光分離素子2における隣り合うガラス材2c同士を貼り合わせる接着剤も、紫外線硬化型接着剤を用いるのが好ましい。
次に、接着剤5が光射出面3bに流れ出すのを阻止する溝3cについて具体的に説明する。
図3は、支持基板に形成された溝の構成を説明するための部分拡大断面図である。
なお、断面形状が光射出面3bを一辺とする矩形状の溝3cは、本来溝3cの位相差板4側の辺の端面位置を、偏光分離素子2の偏光分離膜2dを透過した光が通過するガラス材2cの光入射面2aに対応した領域の幅Aに沿った位置に配置されるのが好ましいが、図3には、溝3cの位相差板4側の辺の端面位置が幅A(位相差板4)に掛かった場合と、溝3cの端面位置が幅A(位相差板4)から離間した場合とで示す。
この幅Aで示す部分は、支持基板3の光射出面3bに貼着された位相差板4形状の長方形における短辺に対応する。また、溝3cと幅A(位相差板4)との位置関係は、溝3cの加工バラツキおよび位相差板4を貼着する際のバラツキなどに対応することができる範囲に相当する。この位置関係の具体的な説明については後述する。
図3において、溝3cは、支持基板3に貼着されたそれぞれの位相差板4の長方形形状の両長辺に沿って形成されている。
溝3cの幅αは、偏光分離素子2の反射膜2eにおいて反射されて、支持基板3を透過する光(s偏光光)の有効エリアを狭めるのを防ぐために、できるだけ狭い(小さい寸法値)のが望ましく、0.5mm程度が好ましい。
溝3cの深さεは、位相差板4を貼着する接着剤5の塗布量を考慮して適宜設定することができるが、支持基板3の加工性や強度を考慮すると、支持基板3の板厚tに対する溝部の残り厚さδとの比ε:δが2:1程度、すなわち板厚tの2/3程度までの範囲内に設定するのが好ましい。
一般的に、支持基板3に位相差板4が貼着された両者間における接着剤5の硬化後の厚さは、10μm〜50μm程度であり、板厚が1mmの支持基板3に、例えば、深さεが0.1mm程度の溝3cを設けた場合であっても、接着面からはみ出した接着剤5を溝3c内に留め、接着剤5が光射出面3bに流れ出すのを阻止することができる。但し、位相差板4を貼着する際に、溝3cを位相差板4の貼着位置の基準として用いる場合には、深さεを許容範囲内のできる限り大きな値に設定するのがよく、本実施形態の支持基板3における深さεは、例えば、0.5mmである。
また、溝3cと位相差板4との位置関係は、位相差板4が溝3c上に掛かった場合の位相差板4の長辺端面と溝3cの位相差板4側の端面(側壁)との距離βは、0.2mm程度であるのが好ましい。一方、位相差板4の長辺端面が溝3cから離間した場合の位相差板4の長辺端面と溝3cの位相差板4側の端面(側壁)との距離γは、同様に0.2mm程度であるのが好ましい。
図4は、比較例としての偏光変換素子の部分拡大断面図である。
図4に示す偏光変換素子11は、位相差板4が接着剤5により偏光分離素子20の光射出面20bに直接貼着されている。したがって、接着剤5が互いに隣り合うガラス材20cの光射出面20bに流れ出すのを阻止する凹部としての溝20fは、ガラス材20c同士が順次貼り合わされた界面に形成されている。この構成の偏光変換素子11は、接着剤5が光射出面20bに流れ出すのを阻止することはできるが、溝20fが強度の弱いガラス材20c同士が接着剤などにより貼り合わされた界面に位置するために、溝20fを形成する際に、ガラス材20cのカケや界面の剥がれなどの不具合が発生し易く、外観を損ねると共に、製造歩留まりの低下を招く。また、複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜20dおよび反射膜20eに入射する光の有効エリアを狭めることとなる。
以上のように構成された偏光変換素子1は、入射する光(s偏光光+p偏光光)を一種類のs偏光光に変換して射出する光学素子として機能する。
偏光分離素子2の光入射面2aに直交する方向(以後システム光軸と表す)から光入射面2aに入射した光(s偏光光+p偏光光)は、ガラス材2cが順次貼り合わされた界面に形成された偏光分離膜2dにおいて、s偏光光とp偏光光との2つの部分光線束に分離される。
そして、偏光分離膜2dで分離された一方のs偏光光は、反射膜2eに対して略45°の角度で反射膜2eに入射して、反射される。そして反射膜2eで反射されたs偏光光は、光射出面2b側に向かう。そして、支持基板3の光入射面3aから支持基板3に入射して、支持基板3を通過した後、支持基板3の光射出面3bからシステム光軸に略平行方向に射出される。
一方、偏光分離膜2dで分離された他方のp偏光光は、偏光分離膜2dを透過して、光入射面3aから支持基板3に入射する。そして、支持基板3および接着剤5を通過した後、位相差板4に入射する。位相差板4に入射したp偏光光は、位相差板4中で等しい振幅を有する常光線と異常光線とに分かれ、異なる位相速度で位相差板4中を進み、入射するp偏光光の電界ベクトルの振動方向と直交する振動方向を有するs偏光光に変換される。そして、位相差板4からシステム光軸に略平行方向に射出される。
すなわち、偏光変換素子1は、偏光分離素子2の光入射面2aに入射した光(s偏光光+p偏光光)を一種類のs偏光光に変換して射出することができる。
次に、偏光変換素子1の製造方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る偏光変換素子を製造する主要工程における工程断面図であり、(a)〜(d)に示す。
偏光変換素子1は、準備工程と、凹部形成工程と、位相差板貼着工程と、支持基板貼着工程との加工工程によって製造される。
先ず、図5(a)に示す工程では、別の加工工程において予め加工された偏光分離素子2と、同様にさらに別の加工工程において予め加工された位相差板4と、加工されて支持基板3となるガラス板30とを準備する(準備工程)。
ガラス板30は、後の支持基板貼着工程(図5(d)参照)において位相差ブロック35を貼着する偏光分離素子2と略同じ平面サイズの矩形状を成している(図1参照)。このガラス板30の一方の面30aは、後に支持基板3の光入射面3aを形成し、他方の面30bは支持基板3の光射出面3bを形成する。したがって、ガラス板30は、厚さが1mm程度の白板ガラス(B270)より成る。
そして、図5(b)に示す工程では、ガラス板30の一方の面30b上に、後の位相差板貼着工程(図5(c)参照)において接着剤5が流れ出すのを阻止する凹部としての溝3cが形成される(凹部形成工程)。
溝3cは、図中に二点鎖線で示す偏光分離素子2の偏光分離膜2dを透過した光が通過するそれぞれのガラス材2cの光射出面2bに対応した領域の幅Aに沿った位置に形成される(図3参照)。この幅Aに沿って形成された2つの溝3c間の光射出面3bのそれぞれの領域に、後の位相差板貼着工程において外形形状が長方形の位相差板4が貼着される。
この溝3cの形成(溝加工)は、例えば、ダイシング法を用いて行われる。
ダイシングブレードをガラス板30の面30bに対して垂直にセットして、ガラス板30の面30b上の偏光分離素子2の偏光分離膜2dを透過した光が通過するそれぞれのガラス材2cの光入射面2aに対応した領域の幅Aに沿った位置を移動させて、幅αが0.5mm、深さεが0.5mmよりなる溝3cを形成する(図3および図1参照)。
これにより、ガラス板30の面30b上に、矩形状の外形形状の一辺方向に沿って所定の間隔に形成された多数の溝3c(本実施形態においては7本)が形成される。すなわち、支持基板3が得られる。
そして、図5(c)に示す工程では、得られら支持基板3の光射出面3b上に、別の加工工程において予め加工された位相差板4が接着剤5を用いて貼着される(位相差板貼着工程)。
位相差板4は、凹部形成工程において完成した支持基板3の光射出面3b上に形成された隣り合う溝3cの内、偏光分離素子2の偏光分離膜2dを透過した光が通過するそれぞれのガラス材2cの光射出面2bに対応した幅Aを含み形成された長方形形状の光射出面3bのそれぞれの領域に、接着剤5(サンライズMSI(株)製の紫外線硬化接着剤PHOTOボンド(登録商標)300)を塗布した後、位相差板4の一方の端面を一方の溝3cの端面に沿うように位置決めして載置する。
そして、位相差板4の上面に平滑面を備えた定盤を載置する。この載置された定盤の自重により、接着面に軽い加圧力が印加される。この加圧力が印加されることにより、接着面からはみ出した接着剤5が、両側の溝3c内に流れ落ちて溝3c内に溜まって留まる。
そして、定盤を取り除いた後に、位相差板4の上面方向から、ケミカルランプまたは高圧水銀灯を用いて、算光量600mj/cm2(照度2mW/cm2)程度の紫外線光を照射して、接着剤5を硬化する。
これにより、2つの溝3c間の光射出面3b上に、溝3c沿って貼着された位相差板4が、格子状に配列された位相差ブロック35が得られる(図1参照)。
そして、図5(d)に示す工程では、位相差板貼着工程において位相差板が貼着された支持基板(位相差ブロック35)が、別の加工工程において予め加工された偏光分離素子2の光射出面2b上に接着剤(図示せず)を用いて貼着される(支持基板貼着工程)。
位相差ブロック35の貼着は、偏光分離素子2(ガラス材2c)の光射出面2bに紫外線硬化型接着剤より成る接着剤6を塗布した後、支持基板3の周縁が偏光分離素子2の周縁に沿うようにしながら、支持基板3の光射出面3b上に貼着された長方形形状の位相差板4の長辺を、偏光分離素子2のガラス材2cの光射出面2bに対応した領域の幅Aに略一致するように位置決めして載置し、位相差ブロック35の上面方向から軽く加圧する。そして、接合面に向けてケミカルランプまたは高圧水銀灯より紫外線光を照射して、接着剤6を硬化する。
これにより、入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子2と、偏光分離素子2の光射出面2bに貼着された支持基板3と、支持基板3の光射出面3b上に格子状に配置され、偏光分離素子2を透過した二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための複数の位相差板4とを備えた偏光変換素子1が完成する(図1参照)。
以上の偏光変換素子1の製造方法において、図5(b)に示す凹部形成工程において、凹部としての溝3cの形成方法にダイシング法を用いた場合で説明したが、公知のウエットエッチング法を用いて形成してもよい。
また、図5(c)に示す位相差板貼着工程における支持基板3の光射出面3b上に貼着される位相差板として、予め20μm程度の厚さに加工された位相差板4を用いた場合で説明したが、貼着時の取り扱い性などを考慮して、予め所定の厚さ(20μm)に加工されたものに代えて、所定の厚さよりも厚い、例えば100μm程度の厚さに加工された1/2λ位相差機能を有する水晶板(位相差板)を用いることができる。
その場合には、位相差板貼着工程と支持基板貼着工程との間に、水晶板を所定の厚さに研磨加工する研磨工程が設けられる。
その製造方法は、位相差板貼着工程において、準備した水晶板を位相差板4の場合と同様の方法で、支持基板3の光射出面3bのそれぞれの所定位置に貼着した後に、研磨工程に移行する。
研磨工程では、研磨装置を用いて、支持基板3の光射出面3b上に貼着されたそれぞれの水晶板を所定の厚さ(20μm)に研磨する。これにより、支持基板3の光射出面3b上に形成された2つの溝3c間に、溝3c沿って貼着された位相差板4が、格子状に配列される。
そして、図5(d)に示す支持基板貼着工程に移行して、偏光変換素子1が完成する。
以上のように構成および製造された偏光変換素子1は、入射する光(s偏光光+p偏光光)を一種類のs偏光光に変換して射出する光学素子として、液晶プロジェクタなどの照明光学系に好ましく用いることができる。
以上の実施形態によれば、入射した光を二種類の偏光光に分離するための偏光分離素子2と、偏光分離素子2の一方の面に貼着された支持基板3と、支持基板3の一方の面に選択的に配置され、偏光分離素子2を透過した二種類の偏光光の一方を他方の偏光光に変換するための複数の位相差板4とを備えた偏光変換素子1は、支持基板3の光射出面3bに位相差板4が接着剤5を介して偏光分離素子2の複数の界面に交互に設けられた偏光分離膜2dまたは反射膜2eに対応した格子状に貼着され、その位相差板4の外形形状に沿う溝3cを備えることにより、位相差板4を貼着する際に接着面からはみ出した接着剤5を溝3c内に収容し、接着剤5が光の有効エリアに流れ出すのを阻止して有効エリアが狭まるのを防ぐと共に、光射出面3bが汚染するの防ぐことができる。したがって、入射光(s偏光光+p偏光光)を一種類のs偏光光またはp偏光光に変換して射出する偏光変換効率の低減を抑制した偏光変換素子1が得られる。また、支持基板3および位相差板4を貼着する接着剤5の屈折率が、互いに近接していることにより、接着面における表面反射の発生を抑制し、表面反射率を0.5%程度以下に抑えた偏光変換素子1を得ることができる。
以上の偏光変換素子1の製造方法によれば、支持基板3の光射出面3b上に位相差板4の外形形状に沿って接着剤5を収容する溝3cを形成する凹部形成工程と、支持基板3の光射出面3bに支持基板3と互いに近接する屈折率を有する接着剤5を介して位相差板4を貼着する位相差板貼着工程と、位相差板4が貼着された支持基板3を偏光分離素子2の光射出面2bに貼着する支持基板貼着工程とを備えることにより、位相差板4を貼着する際に、接着面からはみ出した接着剤5を溝3c内に収容し、接着剤5が光の有効エリアに流れ出すのを阻止して有効エリアが狭まるのを防ぐと共に、光射出面3bが汚染するの防ぐことができる。したがって、接着剤5を拭き取る作業工数や、接着剤5が残存することによる外観不良などの発生を防ぐことができる。
また、位相差板貼着工程と支持基板貼着工程との間に、支持基板3の光射出面3b上に貼着された位相差板(水晶板)を所定の厚さに研磨する研磨工程を、さらに備えることにより、位相差板貼着工程において貼り合わされる位相差板を所定の厚さよりも厚い平板を用いることができる。それは、所定の厚さよりも厚い位相差板を貼着した後に、研磨工程において所定の厚さに研磨するので、予め所定の厚さに加工された薄い位相差板4を取り扱うのに比べて、取り扱い性が向上し、位相差板4を破損するなどの不具合を排除すると共に、より作業性に優れた偏光変換素子1の製造方法が得られる。
さらに、凹部形成工程において、接着剤5を収容する凹部としての溝を形成するのに、少なくともダイシング法、エッチング法、または後述する変形例2に示すフェムト秒パルスレーザを照射した後にエッチング処理するレーザ加工法の内のいずれかの加工法を用いることにより、所望の断面形状を備えた溝を容易に形成することができる。
なお、以上の本実施形態において、以下の変形例として挙げられているような形態であっても、本実施形態と同様な効果を得ることが可能である。
(変形例1)
偏光変換素子1を構成する互いの屈折率が近接している支持基板3および接着剤5として、白板ガラス(B270)およびサンライズMSI(株)製の紫外線硬化接着剤PHOTOボンド(登録商標)300を用いた場合で説明したが、互いの屈折率が近接している他の組み合わせとして、支持基板3にSCHOTT AG社(ショット社)製のN−SK5(屈折率1.59)、接着剤5としてNTTアドバンストテクノロジ社製のUV硬化型エポキシ接着剤AT3279(屈折率1.58)が挙げられる。
(変形例2)
支持基板3の光射出面3bに形成された凹部としての溝3cの断面形状が、矩形状の場合で説明したが、これに限定されない。また、溝3cの溝加工方法として、ダイシング法の他に、レーザ加工法やエッチング法を利用することができる。但し、レーザ加工法の場合には、用いる装置および形成する溝形状が限定される。一方、エッチング法の場合には、比較的幅が狭く、しかも浅い溝を形成するのに適している。
図6(a)は、溝の断面形状の別の例(変形例)を示す支持基板の部分断面図である。
図6(a)において、溝31cは、後に位相差板4が貼着される支持基板31の光射出面31bに形成されている(図2参照)。溝31cは、支持基板31内に断面形状が光射出面31bを底辺とする略V字形状(三角形)の凹部としての溝31cが形成されている。溝31cは、例えば中心線31d上の光射出面31bに位置する三角形の底辺の長さが0.5mm程度、高さが0.5mm程度のV字形状を成している。このV字形状を形成する三角形の各寸法は、位相差板4を貼着する際の接着剤5の塗布量を考慮して適宜設定することができる。
なお、V字形状の溝31cは、溝加工される際に、三角形の一方の斜辺の端面が長方形形状の位相差板4が貼着される長方形の両長辺に略一致する位置に形成される。また、中心線31dは、溝加工線として機能する。
また、支持基板31の光射出面31bに形成されたV字形状の溝31cは、レーザ加工装置を用いてレーザ加工した後、エッチング処理を施して形成することができる。この溝加工方法については、後述する図7および図8に基づいて説明する。
図6(b)は、溝の断面形状のさらに別の例(変形例)を示す支持基板の部分断面図である。
図6(b)において、支持基板32は、支持基板32内に断面形状が光射出面32bを直径とする半円形のU字形状の凹部としての溝32cが形成されている。溝32cは、上記実施形態における支持基板3と同様に、長方形形状の位相差板4が貼着される長方形の両長辺に沿った位置に、例えば光射出面32bに位置する半円形の直径が0.3mm程度のU字形状を成している。このU字形状の溝32cは、エッチング液としてフッ化水素酸の溶液を用いて、一般的なエッチング法(ウエットエッチング)を用いて形成することができる。
次に、図6(a)に示した、支持基板31の面31bに形成されたV字形状の溝31cの形成方法(溝加工方法)を説明する。
V字形状の溝31cは、レーザ加工装置を用いてレーザ照射した後、エッチング処理を施して形成する。なお、本変形例において、レーザ照射した後、エッチング処理を施してV字形状の溝31cを形成する加工方法を、レーザ加工法と呼称する。
先ず、レーザ照射を行うレーザ加工装置について説明する。図7は、レーザ加工装置の概略構成を示すブロック図である。
図7において、レーザ加工装置60は、加工対象物の支持基板31へ向かってレーザ光LBを照射する照射機構部70と、照射機構部70を制御する制御部80とを備えている。
照射機構部70は、レーザ光源71、ダイクロイックミラー72、集光レンズ73、ステージ移動機構部74、ステージ駆動部75、撮像部76を備えている。
レーザ光源71は、チタンサファイアの固体光源から成り、フェムト秒(10-15秒)のパルス幅のパルスレーザ光LB(以後レーザ光LBと表す)を射出するフェムト秒レーザであり、例えば波長800nm、パルス幅100fs(フェムト秒)、繰り返し率1KHzのQスイッチパルス発振する。
ダイクロイックミラー72は、レーザ光源71から射出されたレーザ光LBを角度90°折り曲げて、集光レンズ73に向かって反射する機能を有する。
集光レンズ73は、開口数(NA:Numerical Aperture)0.8程度の対物レンズから成り、ダイクロイックミラー72で反射されたレーザ光LBを集光する。
ステージ移動機構部74は、支持基板31を載置する載置台、載置台を集光レンズ73を通過するレーザ光LBの光軸と直交する平面内でX軸方向およびY軸方向へ相対移動したり、X軸およびY軸方向に直交するZ軸方向へ移動したりする機能を有する。また、ステージ移動機構部74には、載置台に載置された支持基板31の面31bのZ軸方向における位置を検出する光学センサおよび支持基板31を載置台に吸着して位置決め固定する吸着装置が配設されている。このステージ移動機構部74は、ステージ駆動部75のサーボモータによってミクロン(μm)単位のステップで移動することができる。
撮像部76は、いずれも図示しない可視光を射出する光源と、CCD(Charge Coupled Device:固体撮像素子)を備え、ダイクロイックミラー72を挟んで集光レンズ73と相対する側に配置されている。撮像部76は、光源から集光レンズ73に向かって可視光を出射する機能を有する。
このように構成された照射機構部70は、制御部80に制御される。
制御部80は、レーザ光源71の出力やパルス幅、パルス周期などの制御信号をレーザ光源71に出力するレーザ制御部81と、ステージ駆動部75を制御すると共にステージ移動機構部74に配設された光学センサからの位置検出値に基づいてステージ駆動部75を制御するステージ制御部82と、撮像部76を制御すると共に撮像部76が撮像した画像情報を処理する画像処理部83とを備えている。
さらに制御部80には、いずれも図示しない各種加工条件などのデータを入力する入力部、加工状態などの情報を表示する表示部、入力部から入力されたデータなどを一時的に保存するRAM、制御用プログラムなどを格納するROM、ROMに格納された制御プログラムを実行するCPUなど備えている。これらを含み、レーザ制御部81、ステージ制御部82、画像処理部83などは、バス84を介して相互に接続されている。
次に、支持基板31の面31bにV字形状の溝31cを形成する凹部加工(溝加工)方法を説明する。
図8(a)〜(c)は、溝加工における改質領域の形成の態様を示す支持基板の部分断面図である。なお、図8においては、溝加工前のガラス板の状態とV字形状の溝31cが形成されて得られた支持基板31とを共に、支持基板31と表す。
レーザ加工装置60を用いた改質領域の形成について、図7および図8を参照しながら説明する。
先ず、V字形状の溝31cを形成する支持基板31がステージ移動機構部74の載置台に載置され、吸着装置にて載置台上に固定される。
そして、載置台に載置された支持基板31は、位置決め工程に移行する。
位置決め工程では、形成される溝31cの中心線31dを形成予定線(以後溝加工線と表す)として、ステージ移動機構部74の載置台に載置された支持基板31と集光レンズ73とが相対的に位置決めされる。
ステージ制御部82の制御信号に基づいてステージ駆動部75のサーボモータが駆動され、支持基板31がステージ移動機構部74のY軸移動方向およびX軸移動方向に平行に、且つレーザ光LBの光軸が溝加工線31dと一致する位置に位置決めされる。溝加工線31dの位置は、載置台に形成された位置決め用アライメントマークなどを撮像部76が集光レンズ73を介して認識し、制御部80の画像処理部83に取り込まれた画像データに基づいて、ステージ制御部82において演算された移動量によって設定される。
そして、位置決めされた支持基板31は、位置検出工程に移行する。
位置検出工程は、支持基板31の面31aの厚み方向(Z軸方向)の位置が検出される。
ステージ制御部82の制御信号に基づいてステージ駆動部75のサーボモータが駆動され、載置台が集光レンズ73の方向(Z軸方向)に移動して、撮像部76の光源から出射され集光レンズ73を透過した可視光が、支持基板31の面31aに焦点を合わせることにより、ステージ移動機構部74に配設された位置センサが、面31aの位置を検出する。検出された面31aの位置情報の信号は、画像処理部83に出力される。
そして、面31aのZ軸方向における位置が検出された支持基板31は、集光点位置調節工程に移行する。
集光点位置調節工程は、レーザ光LBの集光点40の位置を溝加工線31d上の支持基板31内部に調節する。
位置検出工程において位置センサから入力された面31aの位置情報に基づいたステージ制御部82の制御信号により、載置台が所定のデフォーカス距離、Z軸方向に移動して、集光レンズ73を透過したレーザ光LBの集光点40の位置が、支持基板31の内部に調節される。レーザ光LBの集光点40の位置は、面31bにできる限り近い位置に設定される。面31bと集光点40との距離λは100μm程度である(図8(a)参照)。
そして、集光点位置調節が行われた支持基板31は、レーザ照射・走査工程に移行する。
レーザ照射・走査工程では、溝加工線31dに沿ってレーザ光LBを照射しながら、支持基板31がレーザ光LB(集光レンズ73)に対して相対移動し、支持基板31の内部に多数の改質領域41が形成される。
図8(a)において、レーザ光源71から照射されたレーザ光LBは、支持基板31の面31aで屈折して支持基板31の内部へ入射し、支持基板31の内部の集光点40に集光する。集光点40では、多光子吸収によって改質領域41が形成される。改質領域41は、集光点40における性質(屈折率、透過率、光吸収率、結晶性など)が母材と異なる状態に変態した変質領域であり、集光点40のZ軸方向に沿って長手方向を有する針状に形成される。
なお、レーザ光LBとして可視領域波長のレーザ光を用いた場合には、レーザ光が支持基板31の母材である白板ガラスに吸収されずに透過してしまうため、支持基板31内部に改質領域41を形成するのが困難である。また、ピコ秒(10-12秒)以上のパルス幅の長いレーザ光を用いた場合には、レーザ光が白板ガラスに吸収されて熱エネルギーに変換され、支持基板31を溶融、飛散させることがある。
一方、パルス幅が極めて小さいフェムト秒(10-15秒)のレーザ光LBを、支持基板31の内部に集光させることにより、極短時間にレーザ光LBのエネルギーが白板ガラスに集中し、集光されたレーザ光LBの多数の光子が、白板ガラスの電子との相互作用で吸収される。いわゆる多光子吸収の現象が生じる。多光子吸収は、レーザ光LBのエネルギーが熱に変換される前に、極短時間の間に行われ、熱の発生をほとんど伴わない。また、多光子吸収は、レーザ光LBを集光させた支持基板31の内部のみに作用させることができ、支持基板31の面31a,31bには、影響を及ぼさない。
支持基板31(ステージ移動機構部74の載置台)のレーザ光LB(集光レンズ73)に対する相対移動は、溝加工線31dのY軸方向に沿って移動して、支持基板31の内部に溝加工線31dのY軸方向に沿う多数の改質領域41が形成される。
そして、支持基板31が支持基板31の厚み方向(+Z軸方向)に繰り返し相対移動されて、支持基板31の溝加工線31dに沿う厚み方向の内部に、多層に並設された改質領域41が連続的に形成される(図示せず)。支持基板31と集光レンズ73とのZ軸方向における相対移動回数は、形成する溝31cの深さに対応して設定される。
なお、支持基板31が集光レンズ73に対してZ軸方向に相対移動する所定ピッチは、50μm〜100μm程度に設定される。また、支持基板31がZ軸方向に相対移動する所定ピッチおよびZ軸方向における相対移動回数などは、位置検出工程において検出されて、画像処理部83に格納された面31aの位置データに基づいて制御される。
これにより、支持基板31の溝加工線31dに沿って、支持基板31の面31b上に溝31cを形成するための改質領域41が形成される。
引き続き、全ての溝加工線31dに沿って同様にレーザ照射・走査が行われて、支持基板31の面31b上に溝31cを形成するための改質領域41が、ストライブ状に並設して形成される。
その後、溝31cを形成するための多数の改質領域41が形成された支持基板31は、レーザ加工装置60のステージ移動機構部74(載置台)から取り外されて、改質領域41のエッチングを行うエッチング処理が行われる。
エッチング処理は、支持基板31をエッチング液に浸漬するウエットエッチングが行われる。
エッチング液は、フッ化水素(HF)10%濃度のフッ化水素酸の溶液中にグリセリンを14wt%程度添加した、温度が30℃程度の溶液である。なお、フッ化水素酸中に添加したグリセリンは、エッチング領域を平滑面にすると共に、エッチング液の劣化を防止する効果が得られる。
エッチング処理は、支持基板31をエッチング液中に2時間程度浸漬する。この浸漬の際に、エッチング液を超音波で攪拌するのが好ましい。
改質領域41のエッチングは、支持基板31の母材(白板ガラス)のエッチングレートと、改質領域41のエッチングレートとは異なる。具体的には、改質領域41のエッチングレートは、母材の白板ガラスのエッチングレートよりも高い状態となる。この状態で白板ガラスをエッチング処理すると、改質領域41を除く他の領域では、エッチングは遅く進行する。これに対して改質領域41では、図8(b)に示すように、X軸方向に白板ガラスが除去される速度よりもZ軸方向に除去される速度の方が速い。
この結果、図8(c)に示すように、支持基板31内に面31bを底辺とする略V字形状(三角形)の断面形状を有する凹部としての溝31cが形成される。形成されたV字形状(三角形)の溝31cは、滑らかな平滑面の形成面が得られると共に、所望する正確な位置および寸法に、しかも安定的に形成することができる。
(変形例3)
偏光変換素子1は、入射する光(s偏光光+p偏光光)が一種類のs偏光光に変換されて射出することができる構成の場合で説明したが、入射する光が一種類のp偏光光に変換されて射出することができる構成であってもよい。この場合には、1/2λ位相差機能を有する位相差板4を、偏光分離素子2の反射膜2eにおいて反射された光が通過する支持基板3の光射出面3b上に配置すればよい。
本実施形態に係る偏光変換素子の構成を模式的に示す斜視図。 本実施形態に係る偏光変換素子の部分拡大断面図。 支持基板に形成された溝の構成を説明するための部分拡大断面図。 比較例としての偏光変換素子の部分拡大断面図。 本実施形態に係る偏光分離素子を製造する主要な工程を示す工程断面図。 (a),(b)は、溝の断面形状の変形例を示す支持基板の部分断面図。 断面形状がV字形状の溝を加工する加工装置の概略構成を示すブロック図。 断面形状がV字形状の溝形成過程を説明する支持基板の部分断面図。 (a)は従来の偏光変換素子の斜視図、(b)は(a)を+Z軸方向から矢視した偏光変換素子の断面図。
符号の説明
1…偏光変換素子、2…偏光分離素子、2a…光入射面、2b…光射出面、2c…ガラス材、2d…偏光分離膜、2e…反射膜、3,31,32…支持基板、3a,31a,32a…光入射面、3b,31b,32b…光射出面、3c,31c,32c…凹部としての溝、4…位相差板、5,6…接着剤、35…位相差ブロック、40…集光点、41…改質領域、60…レーザ加工装置、70…照射機構部、71…レーザ光源、72…ダイクロイックミラー、73…集光レンズ、74…ステージ移動機構部、75…ステージ駆動部、76…撮像部、80…制御部。

Claims (5)

  1. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた透光性基材を有し、前記界面に入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と入射する偏光光を反射する反射膜とが交互に設けられた偏光分離素子と、該偏光分離素子の光射出面に貼着された透光性基板より成る支持基板と、該支持基板の光射出面に前記偏光分離素子の前記偏光分離膜または前記反射膜に対応して格子状に貼着された位相差板とを備えた偏光変換素子であって、
    前記位相差板は接着剤を介して前記支持基板に貼着され、
    前記支持基板は前記位相差板の外形形状に沿って前記接着剤を収容する凹部を備えたことを特徴とする偏光変換素子。
  2. 請求項1に記載の偏光変換素子であって、
    前記支持基板の屈折率と前記位相差板を貼着する前記接着剤の硬化後の屈折率とが、前記透光性基材の屈折率に実用上近接していることを特徴とする偏光変換素子。
  3. 光入射面および前記光入射面に略平行な光射出面に略45°の角度を成す複数の界面で順次貼り合わされた透光性基材を有し、前記界面に入射光を二種類の偏光光に分離する偏光分離膜と入射する偏光光を反射する反射膜とが交互に設けられた偏光分離素子と、該偏光分離素子の光射出面に貼着された無機透光性基板より成る支持基板と、該支持基板の光射出面に接着剤を介して前記偏光分離素子の前記偏光分離膜または前記反射膜に対応して格子状に貼着された位相差板とを備えた偏光変換素子の製造方法であって、
    前記無機透光性基板の一方の面上に前記位相差板の外形形状に沿って前記接着剤を収容する凹部を形成する凹部形成工程と、
    前記支持基板の光射出面に、該支持基板と互いに近接する屈折率を有する前記接着剤を介して前記位相差板を貼着する位相差板貼着工程と、
    前記位相差板が貼着された前記支持基板を、前記偏光分離素子の光射出面に貼着する支持基板貼着工程と、
    を備えたことを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の偏光変換素子の製造方法であって、
    前記位相差板貼着工程と前記支持基板貼着工程との間に、前記位相差板貼着工程において貼り合わされた前記位相差板を所定の厚さに研磨する研磨工程を、さらに備えたことを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
  5. 請求項3または4に記載の偏光変換素子の製造方法であって、
    前記凹部形成工程は、少なくともダイシング法、エッチング法またはフェムト秒パルスレーザを照射した後にエッチング処理するレーザ加工法の内のいずれかの加工法を用いて、前記凹部を形成することを特徴とする偏光変換素子の製造方法。
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WO2011007583A1 (ja) 2009-07-17 2011-01-20 パナソニック株式会社 無線通信端末装置及び無線通信方法
WO2018110548A1 (ja) * 2016-12-13 2018-06-21 株式会社村田製作所 コネクタセット及び光伝送モジュール

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