JP2009163581A - バッファ容量の決定方法及び生産ライン - Google Patents
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Abstract
【課題】生産ラインの生産性を高めることができるバッファ容量の決定方法、及びこの方法によりバッファ容量が決定された生産ラインを提供する。
【解決手段】複数の工程A〜Dからなる生産ライン1において、工程間の仕掛品を保管するバッファの容量を決定するバッファ容量の決定方法であって、複数の工程のうち処理能力が最も低い律速工程Cが単位時間に処理する仕掛品の数を算出し、律速工程C以外の各工程において、この数の仕掛品を処理するための所要時間を算出し、単位時間と所要時間との差時間を算出する。そして、各バッファの容量を、各工程に単位時間から差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定する。
【選択図】図1
【解決手段】複数の工程A〜Dからなる生産ライン1において、工程間の仕掛品を保管するバッファの容量を決定するバッファ容量の決定方法であって、複数の工程のうち処理能力が最も低い律速工程Cが単位時間に処理する仕掛品の数を算出し、律速工程C以外の各工程において、この数の仕掛品を処理するための所要時間を算出し、単位時間と所要時間との差時間を算出する。そして、各バッファの容量を、各工程に単位時間から差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、バッファ容量の決定方法及び生産ラインに関し、特に、複数の工程からなる生産ラインにおいて工程間に設けられたバッファの容量の決定方法及びこの決定方法によりバッファ容量が決定された生産ラインに関する。
複数の工程が直列的に配列されたフロー型の生産ラインにおいては、工程間に仕掛品を保管するバッファが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。バッファを設けることにより、前工程が故障又はメンテナンス等の理由により停止したときに、バッファに蓄えられた仕掛品を後工程に供給することにより、後工程の稼働を保証することができる。また、後工程が停止したときに、前工程によって処理された仕掛品をバッファに蓄積することにより、前工程の稼働を保証することができる。
このようなバッファの機能に鑑みれば、バッファの容量が大きいほど、前工程又は後工程の長時間の停止に対応できる。その一方で、バッファの容量を大きくすると、仕掛品の在庫が増大すると共に、生産のリードタイムが増大する。このため、生産ラインの生産性を向上させるためには、工程間のバッファ容量を適切に決定することが必要である。
本発明の目的は、生産ラインの生産性を高めることができるバッファ容量の決定方法、及びこの方法によりバッファ容量が決定された生産ラインを提供することである。
本発明の一態様によれば、複数の工程からなる生産ラインにおいて、工程間の仕掛品を保管するバッファの容量を決定するバッファ容量の決定方法であって、前記複数の工程のうち処理能力が最も低い律速工程が単位時間に処理する仕掛品の数を算出し、前記律速工程以外の各前記工程において、前記数の仕掛品を処理するための所要時間を算出し、前記単位時間と前記所要時間との差時間を算出し、各前記バッファの容量を、前記各工程に前記単位時間から前記差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定することを特徴とするバッファ容量の決定方法が提供される。
本発明の他の一態様によれば、複数の工程と、前記工程間に配置され前記工程間の仕掛品を保管するバッファと、を備え、前記バッファの容量は、前記複数の工程のうち処理能力が最も低い律速工程が単位時間に処理する仕掛品の数を算出し、前記律速工程以外の各前記工程において、前記数の仕掛品を処理するための所要時間を算出し、前記単位時間と前記所要時間との差時間を算出し、前記各工程に前記単位時間から前記差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定されたことを特徴とする生産ラインが提供される。
本発明によれば、生産ラインの生産性を高めることができるバッファ容量の決定方法、及びこの方法によりバッファ容量が決定された生産ラインを実現することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る生産ラインを例示する図であり、
図2(a)及び(b)は、バッファの機能を例示する図であり、(a)は前工程の停止中に後工程に仕掛品を供給する機能を示し、(b)は後工程の停止中に前工程が処理した仕掛品を吸収する機能を示し、
図3は、横軸に工程をとり、縦軸に仕掛品1個当たりの個別所要時間をとって、図1に示す生産ラインのラインバランスを例示するグラフ図である。
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る生産ラインを例示する図であり、
図2(a)及び(b)は、バッファの機能を例示する図であり、(a)は前工程の停止中に後工程に仕掛品を供給する機能を示し、(b)は後工程の停止中に前工程が処理した仕掛品を吸収する機能を示し、
図3は、横軸に工程をとり、縦軸に仕掛品1個当たりの個別所要時間をとって、図1に示す生産ラインのラインバランスを例示するグラフ図である。
図1に示すように、本実施形態に係る生産ライン1はフロー型のラインであり、工程A、B、C、Dがこの順に連続して直列に配列されている。各工程は、仕掛品に対して所定の処理を施すものであり、1台以上の処理装置又は1人以上の作業者によって構成されている。また、各工程間には、バッファBufが設けられている。すなわち、工程Aと工程Bとの間にはバッファBufABが設けられており、工程Bと工程Cとの間にはバッファBufBCが設けられており、工程Cと工程Dとの間にはバッファBufCDが設けられている。バッファは、工程間の仕掛品を一時的に保管する場所である。各バッファは、例えば、その直後の工程を構成する処理装置に付随して設けられた処理待ち室又は容器等である。
バッファBufABの機能は、図2(a)に示すように、前工程である工程Aが停止したときに、それまでにバッファBufABに蓄えられた仕掛品を後工程である工程Bに供給することにより、工程Bを停止させることなく稼働させること、及び、図2(b)に示すように、工程Bが停止したときに、工程Aによって処理された仕掛品を吸収することにより、工程Aを停止させることなく稼働させることである。バッファBufBC及びBufCDについても同様である。これにより、1つの工程が故障又はメンテナンス等により停止したときに、その前後の工程が停止してしまうことを防ぎ、生産ライン全体でのスループットを維持することができる。
表1に、各工程の処理能力の例を示す。
また、図3は、表1に示す「個別処理時間」及び「個別停止時間」を、工程毎に表した棒グラフである。
また、図3は、表1に示す「個別処理時間」及び「個別停止時間」を、工程毎に表した棒グラフである。
表1における「個別処理時間」とは、仕掛品を1個処理するために必要な時間である。「連続処理可能時間」とは、その工程が稼働を開始してから停止するまでの平均時間、すなわち、その工程が連続して稼働する時間の平均値である。なお、「連続処理可能時間」には、仕掛品がその工程に到着せず、その工程が待ち状態にある時間も含まれる。「連続停止時間」とは、その工程が停止してから稼働を再開するまでの平均時間、すなわち、その工程が連続して停止する時間の平均値である。また、「可動率」とは、連続処理可能時間と連続停止時間の合計に対する連続処理可能時間の比率であり、「停止率」とは、連続処理可能時間と連続停止時間の合計に対する連続停止時間の比率である。可動率と停止率との合計は100%となる。更に、「個別停止時間」とは、仕掛品1個当たりの停止時間であり、上述の連続停止時間を連続処理可能時間内に処理される仕掛品の個数で除した値である。すなわち、個別停止時間は、下記数式(1)によって与えられる。更にまた、「個別所要時間」とは、個別処理時間と個別停止時間との合計である。
個別停止時間=連続停止時間/(連続処理可能時間/個別処理時間) (1)
個別停止時間=連続停止時間/(連続処理可能時間/個別処理時間) (1)
このような生産ラインにおいて、各バッファBufの容量を、単純に上述のバッファの機能を満たすように計算すると、以下のようになる。以下の決定方法を比較例とする。
(a)後工程保証分W1
後工程保証分W1は、工程Aが停止したときに工程Bの稼働を保証するバッファ容量である。後工程保証分W1は、工程Aの停止中に工程Bが処理する仕掛品の数に等しい。従って、後工程保証分W1は、表1に記載した数値例を使用すると、下記数式(2)のように求められる。
W1=(Aの連続停止時間)÷(Bの個別処理時間)=6÷4=1.5(個) (2)
後工程保証分W1は、工程Aが停止したときに工程Bの稼働を保証するバッファ容量である。後工程保証分W1は、工程Aの停止中に工程Bが処理する仕掛品の数に等しい。従って、後工程保証分W1は、表1に記載した数値例を使用すると、下記数式(2)のように求められる。
W1=(Aの連続停止時間)÷(Bの個別処理時間)=6÷4=1.5(個) (2)
(b)前工程保証分W2
前工程保証分W2は、工程Bが停止したときに工程Aの稼働を保証するバッファ容量である。前工程保証分W2は、工程Bの停止中に工程Aが処理する仕掛品の数に等しい。従って、従って、前工程保証分W2は、下記数式(3)によって求められる。
W2=(Bの連続停止時間)÷(Aの個別処理時間)=5÷5=1(個) (3)
前工程保証分W2は、工程Bが停止したときに工程Aの稼働を保証するバッファ容量である。前工程保証分W2は、工程Bの停止中に工程Aが処理する仕掛品の数に等しい。従って、従って、前工程保証分W2は、下記数式(3)によって求められる。
W2=(Bの連続停止時間)÷(Aの個別処理時間)=5÷5=1(個) (3)
(c)バッファ容量W
バッファBufABのバッファ容量Wは、上述の後工程保証分W1及び前工程保証分W2の合計である。従って、下記数式(4)のようになる。
W=W1+W2=1.5+1=2.5(個) (4)
バッファBufABのバッファ容量Wは、上述の後工程保証分W1及び前工程保証分W2の合計である。従って、下記数式(4)のようになる。
W=W1+W2=1.5+1=2.5(個) (4)
バッファBufBC及びBufCDについても、同様な方法によりバッファ容量を求めると、下記表2に示すようになる。このように、比較例の方法によれば、ある工程が停止しても、その前後の工程が停止しないだけのバッファ容量を決定することができる。
しかしながら、この比較例の方法には、以下のような問題点がある。すなわち、フロー型の生産ラインにおいては、ライン全体の処理能力は、生産ラインの中で処理能力が最も低い工程(以下、「律速工程」という)の処理能力を超えることはできず、この律速工程の処理能力によって制約される。すなわち、律速工程以外の工程は、単位時間中に一定の時間だけ停止して、律速工程の処理を待っていなくてはならない。例えば、図1及び図2に示す生産ライン1においては、表1に示すように、個別所要時間は工程Cにおいて最も大きい。従って、工程Cが生産ライン1の律速工程である。この場合、例えば工程Aは、仕掛品1個当たり3.5分間(=9−5.5)、停止する必要がある。
しかし、上述の比較例に係る方法においては、全ての工程が常に稼働できるだけのバッファ容量を算出している。すなわち、律速工程以外の工程が律速工程を待つために停止する時間についても、稼働を保証している。このため、バッファ容量が過剰になり、仕掛品の在庫量及び生産リードタイムが必要以上に増大する。この結果、生産ラインの生産性が不十分になる。
そこで、本実施形態においては、律速工程を考慮して各バッファの容量を決定する。本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法の基本的な考え方は、単位時間(例えば1日)内において、律速工程以外の各工程が律速工程を待つために停止する時間(差時間)を求め、この工程の前後に配置されたバッファの容量を、単位時間からこの差時間を減じた時間の稼働を保証するだけの容量とするものである。すなわち、この工程の前後の工程の連続停止時間から、差時間を単位時間当たりの停止回数で除した値を減じ、その差の稼働を保証するような容量とする。これにより、各バッファの容量は、各工程が律速工程の処理量と同じ処理量を処理することを保証するために必要十分な量となり、生産ライン全体のスループットを低下させずに、仕掛品の在庫量及び生産リードタイムを低減することができる。
以下、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法について説明する。
図4は、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法を例示するフローチャート図である。
図4は、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法を例示するフローチャート図である。
先ず、図4のステップS1に示すように、図1に示す生産ライン1を構成する複数の工程A、B、C、Dのうち、処理能力が最も低い工程を律速工程に指定する。ここで、「処理能力」とは、その工程において単位時間当たりに処理される仕掛品の個数に相当し、停止時間も含む概念である。すなわち、処理能力は、例えば下記数式(5)に示すように、仕掛品1個当たりの所要時間(個別所要時間)の逆数として定義される。図3及び表1に示すように、生産ライン1の律速工程は工程Cである。
(処理能力)=1/(個別所要時間)
=1/{(個別処理時間)+(個別停止時間)} (5)
(処理能力)=1/(個別所要時間)
=1/{(個別処理時間)+(個別停止時間)} (5)
次に、ステップS2に示すように、律速工程が単位時間に処理する仕掛品の数(スループット)を算出する。表1に示す数値例においては、単位時間を1日として、スループットは下記数式(6)のように求められる。なお、1日は1440分(=24時間×60分)であり、律速工程Cにおける個別所要時間は、表1より9分である。
(スループット)=(単位時間)÷(個別所要時間)
=1440÷9=160(個/日) (6)
(スループット)=(単位時間)÷(個別所要時間)
=1440÷9=160(個/日) (6)
次に、ステップS3に示すように、律速工程以外の各工程において、スループットと同数の仕掛品を処理するための所要時間を求める。この所要時間は、下記数式(7)によって算出する。
(所要時間)=(スループット)×(個別所要時間) (7)
例えば、工程Aにおける所要時間は、160(個/日)×5.5(分/個)=880(分)である。
(所要時間)=(スループット)×(個別所要時間) (7)
例えば、工程Aにおける所要時間は、160(個/日)×5.5(分/個)=880(分)である。
次に、ステップS4に示すように、工程ごとに、単位時間と所要時間との差時間を算出する。この差時間は、その工程が単位時間内で律速工程を待つために停止する時間であり、各工程の余裕分となる。差時間の算出方法を下記数式(8)に示す。
(差時間)=(単位時間)−(所要時間) (8)
例えば、工程Aにおける差時間は、1440−880=560(分)である。
(差時間)=(単位時間)−(所要時間) (8)
例えば、工程Aにおける差時間は、1440−880=560(分)である。
次に、ステップS5に示すように、各工程の差時間を、その工程の前後のバッファに配分する。その工程の前後にバッファがある場合は、配分の方法は任意である。例えば、後述するように、2等分して前後のバッファにそれぞれ配分してもよく、工程の能力比に応じて配分してもよく、能力が低い工程から高い工程に向かう方向に配分してもよい。また、その工程の前後のうち一方にしかバッファがない場合は、存在するバッファに全量を配分してもよい。例えば、工程Aの前にはバッファが存在しないため、工程Aの差時間は、工程Aの後にあるバッファBufABに全量(560分)を配分する。
次に、ステップS6に示すように、各バッファの容量を算出する。このとき、各バッファの容量を、各工程に単位時間から差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定する。上述の如く、差時間は、律速工程を待つためにいずれにしろ停止する時間であり、稼働を保証する必要がないからである。
すなわち、仮に、前述の比較例のように、工程Aの差時間がバッファBufABに配分されないとすると、工程Aの連続停止時間に工程Bが処理する仕掛品の数(W1)と、バッファBufABは、工程Bの連続停止時間に工程Aが処理する仕掛品の数(W2)との和となる。これに対して、本実施形態においては、工程AからバッファBufABに配分された差時間を、工程Bの連続停止時間から差し引き、その分、工程Aの稼働を保証するためのバッファ容量(前工程保証分W2)を減少させる。
より一般的に言えば、ある工程Nの差時間をその前後のバッファに配分した場合、前のバッファにおいては、一つ前の工程(N−1)の連続停止時間からこのバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、工程Nの稼働を保証できるようにする。一方、後のバッファにおいては、一つ後の工程(N+1)の連続停止時間からこのバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、工程Nの稼働を保証できるようにする。すなわち、工程Nの差時間は、工程Nの前のバッファに配分されるにしろ後ろのバッファに配分されるにしろ、どちらにしても工程Nの稼働の保証量を適正化するために使われる。
これを、バッファについて見れば、あるバッファの容量は、このバッファの後の工程の連続停止時間から、このバッファの前の工程からこのバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、前の工程の稼働を保証する容量と、前の工程の連続停止時間から、後の工程からこのバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、後の工程の稼働を保証する容量との和とする。
但し、上述の例では、工程AからバッファBufABに配分された配分量(560分)は、単位時間(1日)当たりの量であるため、この配分量(560分)を単位時間当たりの工程Bの停止回数で除した値を、工程Bの連続停止時間から差し引く必要がある。
具体的には、バッファBufABの容量をWABとし、バッファBufABが工程A及び工程Bの稼働を保証するための容量をそれぞれWAB→A及びWAB→Bとし、工程A及び工程BからバッファBufABに配分された差時間の配分量をそれぞれDA→AB及びDB→ABとし、単位時間における工程A及び工程Bの停止回数をそれぞれNA−stop及びNB−stopとし、工程A及び工程Bにおける1回当たりの連続停止時間(表1に示す連続停止時間)をそれぞれTA−stop及びTB−stopとし、工程A及び工程Bにおける仕掛品の1個当たりの処理時間(表1及び表3に示す個別処理時間)をそれぞれTA−process及びTB−processとするとき、バッファBufABの容量WABを下記数式(9)〜数式(13)によって算出する。なお、下記数式(10)及び数式(11)においては、WAB→Aの計算式を場合分けして示している。すなわち、(TB−stop−DA→AB/NB−stop)の値が正になるときは数式(10)に従い、この値が負又は0になるときは数式(11)に従う。これにより、容量WAB→Aの値は常に0以上となる。容量WAB→Bの計算式(12)及び(13)についても同様である。
上述の数値例では、表1より以下のようになる。
TA−stop=6(分)
TB−stop=5(分)
TA−process=5(分)
TB−process=4(分)
TA−stop=6(分)
TB−stop=5(分)
TA−process=5(分)
TB−process=4(分)
また、単位時間における各工程の停止回数は、下記数式(14)により算出される。
(停止回数)=(単位時間)/{(連続処理可能時間)+(連続停止時間)} (14)
上記数式(14)及び表1より、以下のようになる。
NA−stop=1440(分)÷(60(分)+6(分))≒21.8(回/日)
NB−stop=1440(分)÷(40(分)+5(分))=32(回/日)
(停止回数)=(単位時間)/{(連続処理可能時間)+(連続停止時間)} (14)
上記数式(14)及び表1より、以下のようになる。
NA−stop=1440(分)÷(60(分)+6(分))≒21.8(回/日)
NB−stop=1440(分)÷(40(分)+5(分))=32(回/日)
更に、上述の例では、
DA→AB=560(分)
である。
一方、工程Bの差時間はバッファBufABには配分されないものとする。すなわち、
DB→AB=0(分)
とする。
DA→AB=560(分)
である。
一方、工程Bの差時間はバッファBufABには配分されないものとする。すなわち、
DB→AB=0(分)
とする。
従って、数式(9)より、
WAB=WAB→A+WAB→B=0+1.5=1.5(個)
これにより、本実施形態においては、バッファBufABの容量WABを1.5個とする。
WAB=WAB→A+WAB→B=0+1.5=1.5(個)
これにより、本実施形態においては、バッファBufABの容量WABを1.5個とする。
前述の比較例においては、数式(4)及び表2に示すように、バッファBufABのバッファ容量Wは、2.5(個)である。従って、本実施形態によれば、バッファBufABのバッファ容量を低減することができる。また、このようにバッファBufABのバッファ容量を低減しても、工程Aが律速工程Cを待つために停止する時間の分を削減しただけであるから、生産ライン全体のスループットには影響がなく、処理能力は低下しない。すなわち、本実施形態によれば、バッファBufABの容量を、工程Aが律速工程Cの処理量と同じ処理量を処理することを保証するために必要十分な量とし、生産ライン1全体の処理能力を低下させずに、仕掛品の在庫量及び生産リードタイムを低減することができる。この結果、生産ライン1の生産性を高めることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態は、前述の第1の実施形態において、工程B及び工程Dの差時間についても考慮した例である。すなわち、工程Bの差時間を2等分して、バッファBufABとバッファBufBCとにそれぞれ配分する。また、工程Dの差時間を全量バッファBufCDに配分する。
本実施形態は、前述の第1の実施形態において、工程B及び工程Dの差時間についても考慮した例である。すなわち、工程Bの差時間を2等分して、バッファBufABとバッファBufBCとにそれぞれ配分する。また、工程Dの差時間を全量バッファBufCDに配分する。
上記表1及び数式(7)より、工程B及び工程Dの所要時間は、それぞれ以下のように求められる。
(工程Bの所要時間)=(スループット)×(工程Bの個別所要時間)
=160(個)×4.5(分)=720(分)
(工程Dの所要時間)=(スループット)×(工程Dの個別所要時間)
=160(個)×6.8(分)=1088(分)
(工程Bの所要時間)=(スループット)×(工程Bの個別所要時間)
=160(個)×4.5(分)=720(分)
(工程Dの所要時間)=(スループット)×(工程Dの個別所要時間)
=160(個)×6.8(分)=1088(分)
従って、上記数式(8)より、工程B及び工程Dの差時間は、それぞれ以下のようになる。
(工程Bの差時間)=(単位時間)−(工程Bの所要時間)
=1440(分)−720(分)=720(分)
(工程Dの差時間)=(単位時間)−(工程Dの所要時間)
=1440(分)−1088(分)=352(分)
(工程Bの差時間)=(単位時間)−(工程Bの所要時間)
=1440(分)−720(分)=720(分)
(工程Dの差時間)=(単位時間)−(工程Dの所要時間)
=1440(分)−1088(分)=352(分)
よって、各パラメータの値は以下のようになる。各パラメータの定義は、前述の第1の実施形態と同様である。
TA−stop=6(分)
TB−stop=5(分)
TC−stop=6(分)
TD−stop=4(分)
TA−process=5(分)
TB−process=4(分)
TC−process=8(分)
TD−process=6(分)
NA−stop≒21.8(回/日)
NB−stop=32(回/日)
NC−stop≒25.7(回/日)
ND−stop≒42.4(回/日)
DA→AB=560(分)
DB→AB=360(分)
DB→BC=360(分)
DC→BC=0(分)
DC→CD=0(分)
DD→CD=352(分)
TA−stop=6(分)
TB−stop=5(分)
TC−stop=6(分)
TD−stop=4(分)
TA−process=5(分)
TB−process=4(分)
TC−process=8(分)
TD−process=6(分)
NA−stop≒21.8(回/日)
NB−stop=32(回/日)
NC−stop≒25.7(回/日)
ND−stop≒42.4(回/日)
DA→AB=560(分)
DB→AB=360(分)
DB→BC=360(分)
DC→BC=0(分)
DC→CD=0(分)
DD→CD=352(分)
そして、上記各パラメータを上記数式(10)〜数式(13)に代入した後、上記数式(9)に代入し、バッファBufABの容量WAB、バッファBufBCの容量WBC、バッファBufCDの容量WCDを求める。
WAB=WAB→A+WAB→B=0+0=0(個)
WBC=WBC→B+WBC→C=0+0.63=0.63(個)
WCD=WCD→C+WCD→D=0.5+0=0.5(個)
WAB=WAB→A+WAB→B=0+0=0(個)
WBC=WBC→B+WBC→C=0+0.63=0.63(個)
WCD=WCD→C+WCD→D=0.5+0=0.5(個)
また、この結果を表3にまとめる。なお、表3においては、あるバッファが後の工程の稼働を保証する容量(WAB→B、WBC→C、WCD→D)を後工程保証分W1とし、前の工程の稼働を保証する容量(WAB→A、WBC→B、WCD→C)を前工程保証分W2とし、W1とW2の合計(WAB、WBC、WCD)をバッファ容量Wとする。これにより、表3の表記方法が表2の表記方法と同一となり、両者を比較することができる。
表2と表3とを比較すると、本実施形態によって各バッファの容量を削減できることがわかる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図5(a)及び(b)は、横軸に工程をとり、縦軸に個別所要時間をとって、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法を例示するグラフ図である。
本実施形態においては、能力が低い工程から能力が高い工程に向かう方向に、差時間を配分する。すなわち、生産ラインにおいて、隣り合う2つの工程を比較し、能力が相対的に低い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に長い工程を配分元とし、能力が相対的に高い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に短い工程を配分先とするような方向に、差時間を配分する。但し、律速工程は配分元にも配分先にもならないものとする。
図5(a)及び(b)は、横軸に工程をとり、縦軸に個別所要時間をとって、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法を例示するグラフ図である。
本実施形態においては、能力が低い工程から能力が高い工程に向かう方向に、差時間を配分する。すなわち、生産ラインにおいて、隣り合う2つの工程を比較し、能力が相対的に低い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に長い工程を配分元とし、能力が相対的に高い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に短い工程を配分先とするような方向に、差時間を配分する。但し、律速工程は配分元にも配分先にもならないものとする。
具体的には、図5(a)に示すように、工程Zが律速工程であるとした場合、先ず、工程Aと工程Bとを比較する。この場合、工程Bは工程Aよりも個別所要時間が長く、従って能力が低いため、工程Aと工程Bとの関係では、工程Bが配分元となり、工程Aが配分先となる。次に、図5(b)に示すように、工程Bと工程Cとを比較する。この場合、工程Bは工程Cよりも個別所要時間が長く、従って能力が低いため、工程Bと工程Cとの関係では、工程Bが配分元となり、工程Cが配分先となる。以後、同様に、隣り合う2つの工程の能力を比較していき、律速工程以外の全工程について、配分元か配分先かを決定する。
そして、配分元となった工程から配分先となった工程に向かう方向に、差時間を配分する。例えば、上述の工程A、工程B、工程Cについては、工程Bが配分元であり、工程A及び工程Cが配分先であるため、工程Bの差時間を2等分して、バッファBufABとバッファBufBCとにそれぞれ配分する。
より一般的に言えば、ある工程Nの一つ前の工程(N−1)における所要時間(仕掛品1個当たりの個別所要時間でもよく、律速工程のスループットと同数の仕掛品を処理する所要時間であってもよい。以下、本段落において同様である。)及び工程Nの一つ後の工程(N+1)における所要時間の双方が工程Nにおける所要時間よりも短い場合には、工程Nからその前後に配置されたバッファに配分する配分量を、それぞれ、工程Nの差時間の半分とする。また、一つ前の工程(N−1)における所要時間が工程Nにおける所要時間よりも短く、一つ後の工程(N+1)における所要時間が工程Nにおける所要時間と等しいか又はそれより長い場合には、工程Nからその前に配置されたバッファに配分する配分量を工程Nの差時間の全部とし、工程Nからその後に配置されたバッファに配分する配分量を0とする。更に、一つ前の工程(N−1)における所要時間が工程Nにおける所要時間と等しいか又はそれより長く、一つ後の工程(N+1)における所要時間が工程Nにおける所要時間よりも短い場合には、工程Nからその前に配置されたバッファに配分する配分量を0とし、工程Nからその後に配置されたバッファに配分する配分量を工程Nの差時間の全部とする。更にまた、工程Nの一つ前の工程(N−1)における所要時間及び工程Nの一つ後の工程(N+1)における所要時間の双方が工程Nにおける所要時間と等しいか又はそれより長い場合には、工程Nからその前後に配置されたバッファに配分する配分量をそれぞれ0とする、
本実施形態によれば、各工程の差時間の配分先を自動的に決定することができる。この結果、例えば半導体チップの生産ラインのように、工程数が数百〜数千に及ぶ生産ラインにおいても、各バッファの容量を自動的に計算することができる。
また、本実施形態においては、律速工程の一つ前の工程の差時間は、この一つ前の工程と律速工程との間のバッファには配分せず、律速工程の一つ後の工程の差時間は、律速工程とこの一つ後の工程との間のバッファには配分しないこととしている。これにより、律速工程の稼働をより確実に保証することができ、生産ラインのスループットを確実に向上させることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
本実施形態においては、前述の第3の実施形態とは逆に、能力が高い工程から能力が低い工程に向かう方向に、差時間を配分する。すなわち、生産ラインにおいて、隣り合う2つの工程を比較し、能力が相対的に高い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に短い工程を配分元とし、能力が相対的に低い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に長い工程を配分先とするような方向に、差時間を配分する。但し、前述の第3の実施形態と同様に、律速工程は配分元にも配分先にもならないものとする。
本実施形態においては、前述の第3の実施形態とは逆に、能力が高い工程から能力が低い工程に向かう方向に、差時間を配分する。すなわち、生産ラインにおいて、隣り合う2つの工程を比較し、能力が相対的に高い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に短い工程を配分元とし、能力が相対的に低い工程、すなわち、個別所要時間が相対的に長い工程を配分先とするような方向に、差時間を配分する。但し、前述の第3の実施形態と同様に、律速工程は配分元にも配分先にもならないものとする。
本実施形態によっても、前述の第3の実施形態と同様に、各工程の差時間の配分先を自動的に決定し、各バッファの容量を自動的に計算することができる。また、律速工程の稼働をより確実に保証することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第1の実施形態と同様である。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図6は、横軸に工程をとり、縦軸に個別所要時間をとって、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法を例示するグラフ図である。
図6は、横軸に工程をとり、縦軸に個別所要時間をとって、本実施形態に係る工程間バッファ容量の決定方法を例示するグラフ図である。
本実施形態においても、前述の第3の実施形態と同様に、能力が低い工程から能力が高い工程に向かう方向に差時間を配分する。但し、本実施形態においては、ある工程からその前後のバッファに差時間を配分する際に、第3の実施形態のように単純に2等分するのではなく、工程間の能力比に応じて配分する。すなわち、能力がより高い工程との間のバッファに、より少なく配分する。
すなわち、図6に示すように、ある工程Nからその前に配置されたバッファに配分する差時間の配分量を、工程Nの差時間に、工程Nの一つ前の工程(N−1)における個別所要時間及び工程Nの一つ後の工程(N+1)における個別所要時間の和に対する一つ前の工程(N−1)における個別所要時間の比を乗じた値とする。一方、工程Nからその後に配置されたバッファに配分する差時間の配分量を、工程Nの差時間に、工程Nの一つ前の工程(N−1)における個別所要時間及び工程Nの一つ後の工程(N+1)における個別所要時間の和に対する一つ後の工程(N+1)における個別所要時間の比を乗じた値とする。
これを、数式で表現すると、下記数式(15)及び(16)のようになる。
(工程Nからその前のバッファに配分する配分量)
=(工程Nの差時間)×(工程(N−1)の個別所要時間)
÷{(工程(N−1)の個別所要時間)+(工程(N+1)の個別所要時間)}
(15)
(工程Nからその後のバッファに配分する配分量)
=(工程Nの差時間(×(工程(N+1)の個別所要時間)
÷{(工程(N−1)の個別所要時間)+(工程(N+1)の個別所要時間)}
(16)
従って、図6に示す例では、工程(N−1)の個別所要時間は工程(N+1)の工程所要時間よりも短い(能力が高い)ため、工程Nからその前のバッファに配分される配分量は、工程Nの後のバッファに配分される配分量よりも少ない。
(工程Nからその前のバッファに配分する配分量)
=(工程Nの差時間)×(工程(N−1)の個別所要時間)
÷{(工程(N−1)の個別所要時間)+(工程(N+1)の個別所要時間)}
(15)
(工程Nからその後のバッファに配分する配分量)
=(工程Nの差時間(×(工程(N+1)の個別所要時間)
÷{(工程(N−1)の個別所要時間)+(工程(N+1)の個別所要時間)}
(16)
従って、図6に示す例では、工程(N−1)の個別所要時間は工程(N+1)の工程所要時間よりも短い(能力が高い)ため、工程Nからその前のバッファに配分される配分量は、工程Nの後のバッファに配分される配分量よりも少ない。
本実施形態によっても、前述の第3の実施形態と同様に、各工程の差時間の配分先を自動的に決定し、各バッファの容量を自動的に計算することができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第3の実施形態と同様である。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図7は、本実施形態に係る生産ラインを例示する図であり、
図8は、横軸に工程をとり、縦軸に個別所要時間をとって、図7に示す生産ラインのラインバランスを例示するグラフ図であり、
図9は、図8に差時間の配分の方向を追加記載した図であり、
図10は、横軸にバッファをとり、縦軸にバッファ容量をとって、本実施形態及び比較例におけるバッファ容量の算出結果を示すグラフ図である。
図7は、本実施形態に係る生産ラインを例示する図であり、
図8は、横軸に工程をとり、縦軸に個別所要時間をとって、図7に示す生産ラインのラインバランスを例示するグラフ図であり、
図9は、図8に差時間の配分の方向を追加記載した図であり、
図10は、横軸にバッファをとり、縦軸にバッファ容量をとって、本実施形態及び比較例におけるバッファ容量の算出結果を示すグラフ図である。
図7に示すように、本実施形態に係る生産ライン11においては、工程A、B、C、D、F、G、H、I、Jがこの順に連続して直列に配列されている。また、工程Eが工程Dと工程Fとの間に合流している。これにより、工程Dによって処理された仕掛品と工程Eによって処理された仕掛品は、共に工程Fに搬送される。更に、工程A、B、C、D、F、G、H、I、Jの相互間には、それぞれ、バッファBufAB、バッファBufBC、バッファBufCD、バッファBufDF、バッファBufFG、バッファBufGH、バッファBufHI、バッファBufIJが設けられている。また、工程Eと工程Fとの間には、バッファBufEFが設けられている。各工程の能力を表4及び図8に示す。生産ライン11は、例えば、液晶テレビの生産ラインである。
このような生産ライン11について、前述の第1及び第2の実施形態と同様な方法により、バッファ容量を決定する。本実施形態におけるバッファ容量の決定手順は、前述の第1の実施形態と同様に、図4に従う。
以下、本実施形態における差時間の配分方法のルールを設定する。各工程の差時間は、能力が低い工程から高い工程に向かう方向に配分する。但し、律速工程は配分元にも配分先にもならない。従って、ある工程の前後に、その工程よりも能力が高い工程が1つだけある場合には、その工程の差時間は、能力がより高い工程との間のバッファに全量を配分する。また、配分先が2つある場合、すなわち、ある工程の前後双方に、その工程の能力よりも高い能力の工程が存在する場合は、その工程の差時間を2等分して前後のバッファにそれぞれ配分する。更に、配分先がない場合、すなわち、その工程が生産ラインの末端に位置する場合又は律速工程に隣接する場合であって、その隣接する工程の能力がその工程の能力よりも低い場合には、その工程の差時間は配分しないものとする。なお、以下の計算において、単位時間は1日(=86400秒)とする。
先ず、図4のステップS1に示すように、生産ライン11を構成する工程のうち、処理能力が最も低い工程を律速工程に指定する。表4及び図8に示すように、生産ライン11においては、能力が最も低い工程は工程Hであるため、工程Hを律速工程とする。
次に、ステップS2に示すように、律速工程が単位時間に処理する仕掛品の数(スループット)を算出する。スループットは単位時間を個別所要時間で除した値であるため、本実施形態においては、下記数式(17)のように求められる。
(スループット)=86400(秒)÷51.8(秒/個)≒1668(個/日)
(17)
(スループット)=86400(秒)÷51.8(秒/個)≒1668(個/日)
(17)
次に、ステップS3に示すように、律速工程以外の各工程において、律速工程のスループットと同数の仕掛品を処理するための所要時間を求める。この所要時間は、下記数式(18)によって求められる。なお、下記数式(18)は上記数式(7)と同じ数式である。結果を表5に示す。
(所要時間)=(スループット)×(個別所要時間) (18)
(所要時間)=(スループット)×(個別所要時間) (18)
次に、ステップS4に示すように、工程ごとに、単位時間と所要時間との差時間を算出する。差時間は、下記数式(19)によって算出される。算出結果を表5に示す。なお、下記数式(19)は上記数式(8)と同じ数式である。
(差時間)=(単位時間)−(所要時間) (19)
(差時間)=(単位時間)−(所要時間) (19)
次に、ステップS5に示すように、各工程の差時間を、その工程の前後のバッファに配分する。配分の方法は上述のルールに従う。配分の方法を表5及び図8に示す。なお、表5において、工程N(NはA〜J)の差時間のうち、工程Nからその直前のバッファBufN(N−1)に配分する配分量をDN→N(N−1)とし、その直後のバッファBufN(N+1)に配分する配分量をDN→N(N+1)とする。
次に、ステップS6に示すように、各バッファの容量を算出する。容量の算出方法は、前述の第1の実施形態と同様である。すなわち、各バッファの容量を、各工程に単位時間から差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定する。
具体的には、先ず、前述の第1の実施形態と同様に、各パラメータを定義する。すなわち、バッファBufN(N+1)の容量をWN(N+1)とし、バッファBufN(N+1)がその前の工程である工程Nの稼働を保証するための容量(前工程保証分)をWN(N+1)→Nとし、バッファBufN(N+1)がその後の工程である工程(N+1)の稼働を保証するための容量(後工程保証分)をWN(N+1)→(N+1)とし、単位時間における工程Nの停止回数をNN−stopとし、工程Nにおける連続停止時間(表4参照)をTN−stopとし、工程Nにおける仕掛品の1個当たりの処理時間(表4及び表5に示す個別処理時間)をTN−processとする。また、上述の如く、工程N及び工程(N+1)からその間のバッファBufN(N+1)に配分された差時間の配分量をそれぞれDN→N(N+1)及びD(N+1)→N(N+1)とする。各パラメータの値を表6に示す。
次に、表5及び表6に示したパラメータの値を使用して、下記数式(20)〜数式(24)により、各バッファの容量を算出する。なお、下記数式(20)〜数式(24)は上記数式(9)〜数式(13)と同様な数式である。
バッファ容量の算出結果を表7に示す。なお、表7においては、便宜上、バッファBufN(N+1)を単に「N(N+1)」と表記する。例えば、バッファBufABを「AB」と表記する。図10の横軸においても同様である。また、前述の第1の実施形態の比較例に係る方法、すなわち、律速工程を考慮しない算出方法により算出したバッファ容量の値を、表8に示す。更に、表7及び表8に示すバッファ容量の算出結果を図10に示す。
表7、表8、図10に示すように、本実施形態によれば、バッファ容量を大幅に削減することができる。また、この削減は、各工程が律速工程を待つために停止する時間の保証分を削減したものであるから、生産ライン全体の処理能力は低下しない。この結果、生産ライン全体の処理能力を低下させずに、仕掛品の在庫量及び生産リードタイムを低減することができるため、生産ラインの生産性を高めることができる。
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態に係るバッファ容量の算出方法を例示するフローチャート図である。
前述の第6の実施形態においては、図4に示す手順に沿って処理を行い、バッファ容量を算出した。しかし、バッファ容量の算出は、必ずしも図4に示す手順に沿って行う必要はなく、それと異なる手順によっても行うことができる。本実施形態は、前述の第6の実施形態とは異なる手順でバッファ容量を算出した例である。
図11は、本実施形態に係るバッファ容量の算出方法を例示するフローチャート図である。
前述の第6の実施形態においては、図4に示す手順に沿って処理を行い、バッファ容量を算出した。しかし、バッファ容量の算出は、必ずしも図4に示す手順に沿って行う必要はなく、それと異なる手順によっても行うことができる。本実施形態は、前述の第6の実施形態とは異なる手順でバッファ容量を算出した例である。
以下、図7〜図11を参照して説明する。また、以下に示すパラメータの定義は、前述の第6の実施形態と同様とする。本実施形態においても、各工程において、律速工程との能力差の分までは稼働を保証する必要はないものとし、律速工程と該当工程との能力差を、該当工程の前後の工程の停止時間から引き、これを用いてバッファ容量を算出する。
先ず、図11のステップS11に示すように、先頭の工程Aから順に前後の工程との能力差を比較し、配分先とするか、配分元とするかを決定する。ステップS11はステップS12〜S14から構成されている。ひとつの工程は同時に配分元・配分先の双方になりえるが、律速工程は配分元にも配分先にもならない。
先ず、ステップS12に示すように、該当工程Nの処理能力U1と次工程(N+1)の処理能力U2とを比較する。そして、ステップS13に示すように、配分元・配分先工程を決定する。この決定方法には、能力の高い工程を配分元、低い工程を配分先とする場合と、能力の低い工程を配分元、高い工程を配分先とする場合が考えられる。本実施形態においては、能力が低い工程を配分元とし、高い工程を配分先とする。そして、ステップS14に示すように、先頭工程から順次配分元・配分先工程を決定していく。
全ての工程に対して配分元・配分先が決定したら、バッファ容量計算を行う。すなわち、ステップS15に示すように、配分元工程の1日当たりの処理可能数U3と律速工程の1日当たりの処理可能数U4(スループット)との差から、1日当たりの能力差を算出する。この能力差を配分するにあたり、配分先の工程数U5が必要となる。工程数U5の値は、0、1又は2である。
ステップS16に示すように、配分先工程数が1つの場合は能力差を100%配分するが、配分先工程数が2つの場合は配分比率を決定する。そして、ステップS17に示すように、この配分比率に従ってそれぞれ配分時間を算出する。配分比率の決定方法は、単純に2等分する方法と配分先工程の能力比に応じて配分する方法が考えられるが、本実施形態においては、2等分とする。
一方、ステップS18に示すように、配分先工程の連続停止時間U6及び連続処理可能時間U7より、配分先工程の1日当たりの停止回数を算出する。
そして、ステップS19に示すように、この停止回数と配分された時間を用いて、停止1回当たりの配分量を算出する。次に、ステップS20に示すように、この配分量を該当工程の停止時間から差し引くと、バッファをもって保証すべき分の停止時間が求められる。そして、ステップS21に示すように、これを全ての配分元の工程に対して繰り返し、能力差を加味した停止時間を全ての工程について求める。
その後、ステップS22に示すように、各工程間のバッファ容量を算出する。ただし、能力差を加味した停止時間は、その配分元工程と配分先工程間のバッファ容量算出のときにのみ用いる。
本実施形態によっても、前述の第6の実施形態と同様な効果を得ることができる。本実施形態における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の第6の実施形態と同様である。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。また、前述の各実施形態は相互に組み合わせて実施することもできる。更に、前述の各実施形態を生産ラインの一部にのみ適用してもよい。
1、11 生産ライン、A、B、C、D、E、E、G、H、I、N−1、N、N+1、Z 工程、BufAB、BufBC、BufCD、BufDF、BufEF、BufFG、BufGH、BufHI、BufIJ バッファ
Claims (9)
- 複数の工程からなる生産ラインにおいて、工程間の仕掛品を保管するバッファの容量を決定するバッファ容量の決定方法であって、
前記複数の工程のうち処理能力が最も低い律速工程が単位時間に処理する仕掛品の数を算出し、
前記律速工程以外の各前記工程において、前記数の仕掛品を処理するための所要時間を算出し、
前記単位時間と前記所要時間との差時間を算出し、
各前記バッファの容量を、前記各工程に前記単位時間から前記差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定する
ことを特徴とするバッファ容量の決定方法。 - 前記容量の決定において、
少なくとも1の前記工程の差時間をその工程の前後のバッファに配分し、
前記複数の工程のうち連続して配置された第1の工程と第2の工程との間の第1のバッファの容量を、前記第2の工程の連続停止時間から、前記第1の工程から前記第1のバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、前記第1の工程の稼働を保証する容量と、前記第1の工程の連続停止時間から、前記第2の工程から前記第1のバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、前記第2の工程の稼働を保証する容量と、の和とする、
ことを特徴とする請求項1記載のバッファ容量の決定方法。 - 前記差時間をその工程の前後のバッファに配分する際に、前記差時間を2等分して、前記前後のバッファにそれぞれ配分することを特徴とする請求項2記載のバッファ容量の決定方法。
- 前記差時間をその工程の前後のバッファに配分する際に、
前記工程からその前に配置されたバッファに配分する前記差時間の配分量を、前記差時間に、前記工程の一つ前の工程における前記所要時間及び前記工程の一つ後の工程における前記所要時間の和に対する前記一つ前の工程における前記所要時間の比を乗じた値とし、
前記工程からその後に配置されたバッファに配分する前記差時間の配分量を、前記差時間に、前記工程の一つ前の工程における前記所要時間及び前記工程の一つ後の工程における前記所要時間の和に対する前記一つ後の工程における前記所要時間の比を乗じた値とする、
ことを特徴とする請求項2記載のバッファ容量の決定方法。 - 前記差時間をその工程の前後のバッファに配分する際に、
前記工程の一つ前の工程における前記所要時間及び前記工程の一つ後の工程における前記所要時間の双方が前記工程における前記所要時間よりも短い場合には、前記工程からその前後に配置されたバッファに配分する配分量を、それぞれ、前記差時間の半分とし、
前記一つ前の工程における前記所要時間が前記工程における前記所要時間よりも短く、前記一つ後の工程における前記所要時間が前記工程における前記所要時間と等しいか又はそれより長い場合には、前記工程からその前に配置されたバッファに配分する配分量を前記差時間の全部とし、前記工程からその後に配置されたバッファに配分する配分量を0とし、
前記一つ前の工程における前記所要時間が前記工程における前記所要時間と等しいか又はそれより長く、前記一つ後の工程における前記所要時間が前記工程における前記所要時間よりも短い場合には、前記工程からその前に配置されたバッファに配分する配分量を0とし、前記工程からその後に配置されたバッファに配分する配分量を前記差時間の全部とし、
前記工程の一つ前の工程における前記所要時間及び前記工程の一つ後の工程における前記所要時間の双方が前記工程における前記所要時間と等しいか又はそれより長い場合には、前記工程からその前後に配置されたバッファに配分する配分量をそれぞれ0とする、
ことを特徴とする請求項2記載のバッファ容量の決定方法。 - 前記律速工程の一つ前の工程の差時間は、前記一つ前の工程と前記律速工程との間のバッファには配分せず、前記律速工程の一つ後の工程の差時間は、前記律速工程と前記一つ後の工程との間のバッファには配分しないことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のバッファ容量の決定方法。
- 複数の工程と、
前記工程間に配置され前記工程間の仕掛品を保管するバッファと、
を備え、
前記バッファの容量は、
前記複数の工程のうち処理能力が最も低い律速工程が単位時間に処理する仕掛品の数を算出し、
前記律速工程以外の各前記工程において、前記数の仕掛品を処理するための所要時間を算出し、
前記単位時間と前記所要時間との差時間を算出し、
前記各工程に前記単位時間から前記差時間を減じた時間の稼働を保証する容量になるように決定された
ことを特徴とする生産ライン。 - 前記容量の決定において、
少なくとも1の前記工程の差時間がその工程の前後のバッファに配分され、
前記複数の工程のうち連続して配置された第1の工程と第2の工程との間の第1のバッファの容量が、前記第2の工程の連続停止時間から、前記第1の工程から前記第1のバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、前記第1の工程の稼働を保証する容量と、前記第1の工程の連続停止時間から、前記第2の工程から前記第1のバッファに配分された配分量を差し引いた時間だけ、前記第2の工程の稼働を保証する容量と、の和とされた、
ことを特徴とする請求項7記載の生産ライン。 - 前記容量の決定において、前記律速工程の一つ前の工程の差時間は、前記一つ前の工程と前記律速工程との間のバッファには配分されず、前記律速工程の一つ後の工程の差時間は、前記律速工程と前記一つ後の工程との間のバッファには配分されないことを特徴とする請求項8記載の生産ライン。
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