JP2009162426A - 熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部流体側の伝熱性能を一層向上する。
【解決手段】内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ11を備え、チューブ11の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部20、30と、基板部20、30からチューブ11の外方に突き出す複数個の打ち出し部22、32とを有し、打ち出し部22、32同士の間に、外部流体が流れる外部流体通路部25、34が形成され、他方の扁平面は、平坦な形状に形成されている。これにより、外部流体通路部25、34をチューブ11の両扁平面に形成した場合に比べて外部流体通路部25、34の深さDを深くすることができるので、外部流体通路部25、34を流れる外部流体の流量を増加させることができ、ひいてはチューブ11から外部流体への放熱量を増加させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、外面に外部流体が流れる外部流体通路部が形成されたチューブを備える熱交換器に関する。
従来、この種の熱交換器が特許文献1に記載されている。この従来技術では、チューブが空気(外部流体)の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有しており、このチューブの両扁平面に空気通路部を形成することによって、空気側の熱伝達率を向上して伝熱性能を向上している。
また、この従来技術では、ロール成形等により凸凹を付けた1枚の板材を中央部で折り曲げて貼り合わせることによってチューブを成形している。または、この従来技術では、ロール成形等により凸凹を付けた2枚の板材を貼り合わせることによってチューブを成形してもよい旨の記載がある。
特開2004−3787号公報
ところで、本発明者の詳細な検討によると、空気通路部の表面近傍には空気流れの境界層が形成されることから、空気通路部の深さが深いほど空気通路部を流れる空気の流量を増加させることができ、ひいては空気側の伝熱性能を向上させることができることがわかった。
しかしながら、上記従来技術によると、チューブの両扁平面に空気通路部を形成しているので、空気通路部の深さはチューブ全体の厚さの略半分になる。このため、空気通路部の深さが比較的浅くなってしまい、空気通路部において空気流れの境界層の影響が大きくなってしまうので、空気側の伝熱性能を十分に向上できていないことがわかった。
また、本発明者は、板材同士の接合強度の向上や、熱交換器を車両に搭載する場合に要求される耐チッピング(走行時の飛び石)性の向上等のために、チューブの幅方向一端部または両端部において、一方の扁平面を構成する板材の幅方向端部を他方の扁平面を構成する板材の幅方向端部に被さるように折り曲げたカシメ部を形成することを検討した。
しかしながら、チューブの幅方向一端部または両端部にカシメ部を設けると、一方の板材が他方の板材の端部に被さるように折り曲げられることで空気通路部の入口および出口の少なくとも一方の一部が塞がれてしまうので、空気通路部を流れる空気の流量が減少し、ひいては空気側の伝熱性能が低減してしまうことがわかった。
なお、上記の問題は、冷媒以外の内部流体と空気以外の外部流体とを熱交換させるチューブを備えた熱交換機においても同様に発生する。
本発明は、上記点に鑑み、外部流体側の伝熱性能を一層向上することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ(11)を備え、
チューブ(11)の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部(20、30)と、基板部(20、30)からチューブ(11)の外方に突き出す複数個の打ち出し部(22、32)とを有し、
打ち出し部(22、32)同士の間に、外部流体が流れる外部流体通路部(25、34)が形成され、
他方の扁平面は、平坦な形状に形成されていることを特徴とする。
これによると、外部流体通路部(25、34)をチューブ(11)の一方の扁平面のみに形成しているので、外部流体通路部(25、34)をチューブ(11)の両扁平面に形成した場合に比べて外部流体通路部(25、34)の深さ(D)を深くすることができる。
このため、外部流体通路部(25、34)において、外部流体流れの境界層の影響が相対的に小さくなるので、外部流体通路部(25、34)を流れる外部流体の流量を増加させることができる。その結果、チューブ(11)から外部流体への放熱量を増加させることができるので、外部流体側の伝熱性能を一層向上できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の熱交換器において、チューブ(11)の外面のうち少なくとも他方の扁平面に接合されて、外部流体との伝熱面積を増大させるフィン(12)を備えることを特徴とする。
これによると、チューブ(11)の他方の扁平面を平坦な形状にしているので、他方の扁平面に外部流体通路部(25、34)を形成した場合に比べてチューブ(11)とフィン(12)との接触面積を増大できる。
このため、チューブ(11)とフィン(12)との間の熱抵抗を低減できるので、チューブ(11)からフィン(12)へより多くの熱を伝達することができ、ひいては外部流体への放熱量をより増加させることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の熱交換器において、チューブ(11)は、一方の扁平面を構成する一方の板材(11a)と、一方の板材(11a)と向かい合って他方の扁平面を構成する他方の板材(11b)とで形成され、
チューブ(11)の幅方向端部には、他方の板材(11b)の端部が一方の板材(11a)の端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
カシメ部(24)は、チューブ(11)の厚さ方向において、チューブ(11)の中心よりも他方の扁平面側に位置していることを特徴とする。
これによると、カシメ部(24)が、チューブ(11)の厚さ方向において、チューブ(11)の中心よりも他方の扁平面側に位置しているので、カシメ部(24)がチューブ(11)の中心よりも一方の扁平面側に位置している場合に比べて、カシメ部(24)が外部流体通路部(25、34)の入口または出口の一部を塞いでしまうことを抑制できる。
このため、外部流体通路部(25、34)を流れる外部流体の流量が減少して外部流体側の伝熱性能が低下してしまうことを抑制できる。
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の熱交換器において、チューブ(11)は、略中央部で折り曲げられた1枚の板材(11c)で形成され、
チューブ(11)の幅方向端部には、板材(11c)のうち他方の扁平面側の端部が板材(11c)のうち一方の扁平面側の端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
カシメ部(24)は、チューブ(11)の厚さ方向において、チューブ(11)の中心よりも他方の扁平面側に位置していることを特徴とする。
これによると、カシメ部(24)が、チューブ(11)の厚さ方向において、チューブ(11)の中心よりも他方の扁平面側に位置しているので、カシメ部(24)がチューブ(11)の中心よりも一方の扁平面側に位置している場合に比べて、カシメ部(24)が外部流体通路部(25、34)の入口または出口の一部を塞いでしまうことを抑制できる。
このため、外部流体通路部(25、34)を流れる外部流体の流量が減少して外部流体側の伝熱性能が低下してしまうことを抑制できる。
請求項5に記載の発明では、内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ(11)を備え、
チューブ(11)の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部(20、30)と、基板部(20、30)からチューブ(11)の外方に突き出す複数個の打ち出し部(22、32)とを有し、
打ち出し部(22、32)同士の間に、外部流体が流れる外部流体通路部(25、34)が形成され、
チューブ(11)は、一方の扁平面を構成する一方の板材(11a)と、一方の板材(11a)と向かい合って他方の扁平面を構成する他方の板材(11b)とで形成され、
チューブ(11)の幅方向端部には、他方の板材(11b)の端部が一方の板材(11a)の端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
カシメ部(24)は、チューブ(11)の厚さ方向において、チューブ(11)の中心よりも他方の扁平面側に位置していることを特徴とする。
これにより、上記した請求項3に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明では、内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ(11)を備え、
チューブ(11)の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部(20、30)と、基板部(20、30)からチューブ(11)の外方に突き出す複数個の打ち出し部(22、32)とを有し、
打ち出し部(22、32)同士の間には、外部流体が流れる外部流体通路部(25、34)が形成され、
チューブ(11)は、略中央部で折り曲げられた1枚の板材(11c)で形成され、
チューブ(11)の幅方向端部には、板材(11c)の一端部が板材(11c)の他端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
カシメ部(24)は、チューブ(11)の厚さ方向において、チューブ(11)の中心よりも他方の扁平面側に位置していることを特徴とする。
これにより、上記した請求項4に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1は本発明による熱交換器10の全体構造を示す斜視図である。
熱交換器10は、冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)から吐出された高温高圧の冷媒(内部流体)と空気(外部流体)とを熱交換させて冷媒を凝縮させるものである。具体的には、冷媒が流れる冷媒通路を構成する複数の扁平状チューブ11と、複数のコルゲートフィン(以下フィンと略す)12との組み合わせからなる熱交換部13を有し、この熱交換部13のチューブ長手方向両端部にタンク部14、15を配置する構成になっている。
タンク部14、15は、チューブ11に対する冷媒の分配と集合とを行うものである。両タンク部14、15の長手方向両端部には、両タンク部14、15を結合して熱交換器10の矩形状の外形を保持するサイドプレート16、17がチューブ11と平行にそれぞれ配置される。これらの複数のチューブ11、複数のフィン12および両タンク部14、15は一体ろう付けにより接合されている。
両タンク部14、15はろう材(溶加材)がクラッド(被覆)されたアルミニウム系材料からなる円筒状容器である。両タンク部14、15には、両タンク部14、15の長手方向に並んで形成された複数の挿入穴(図示せず)から複数のチューブ11の両端部が挿入されている。
一方のタンク部14のうち長手方向一端側(図1の下端側)部位には、冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)から吐出された高温高圧の冷媒をタンク内部に導入するための入口配管(図示せず)が接続される接続ブロック14aがろう付けにより接合されている。一方のタンク部14の長手方向一端部(図1の下端部)には、熱交換器10を車体に取り付けるための係合突起14bが設けられている。
他方のタンク部15のうち長手方向一端側(図1の上端側)部位には、タンク内部から冷凍サイクルの膨張弁(図示せず)側へ液相冷媒を流出させるための出口配管(図示せず)が接続される接続ブロック15aがろう付けにより接合されている。他方のタンク部15の長手方向他端部(図1の下端部)には、熱交換器10を車体に取り付けるための係合突起15bが設けられている。
図2は熱交換部13の要部斜視図であり、図3はチューブ11の平面図である。図4は図3のA−A断面図であり、図5は図3のB−B断面図であり、図6は図3のC−C断面図である。
チューブ11は、互いに向かい合う一方の板材11aおよび他方の板材11bにより構成されている。本例では、両板材11a、11bは、アルミニウム板材の両面にろう材がクラッドされたクラッド材である。
チューブ11の一方の扁平面を構成する一方の板材11aは、平坦な基板部20と、基板部20から突出する打ち出し部21とを有している。打ち出し部21は、基板部20から大きく突出する複数個の第1打ち出し部22と、基板部20からわずかに突出する複数個の第2打ち出し部23とで構成されている。なお、第1打ち出し部22は、本発明における打ち出し部に該当するものである。
チューブ11の他方の扁平面を構成する他方の板材11bは、全体として単純な平板形状を有している。一方の板材11aは、第1、第2打ち出し部22、23が外側を向くように他方の板材11bに向かい合い、基板部20が他方の板材11bに面接触してろう付け接合されている。そして、第1、第2打ち出し部22、23と他方の板材11bとの間に形成される空間によって、冷媒が流れる冷媒通路が構成される。
他方の板材11bのチューブ幅方向における寸法は、一方の板材11aのチューブ幅方向における寸法よりも所定寸法だけ大きく設定されており、他方の板材11bの両端部を一方の板材11aの両端部に被さるように折り曲げることで、チューブ11の幅方向両端部にカシメ部24が形成されている。
このカシメ部24により、板材11a、11b同士の接合強度を向上している。熱交換器10を車両に搭載する場合には、このカシメ部24によりチッピング(走行時の飛び石)に対する耐性を向上することができる。なお、図1では、図示の都合上、カシメ部24を省略している。
複数個の第1打ち出し部22は、一方の板材11aのチューブ幅方向中央部にて基板部20から突出し、チューブ長手方向に所定間隔で配置されている。第1打ち出し部22の突出頂部は平坦面を形成しており、第1打ち出し部22のチューブ長手方向における両端部22a、22bは、蛇行しながら空気流れ方向に延びる曲面形状を有している。
隣接する第1打ち出し部22同士の間には、基板部20と第2打ち出し部23とが形成されており、第1打ち出し部22同士の間に形成された第2打ち出し部23と基板部20は、蛇行しながら空気流れ方向(チューブ幅方向)に延びる空気通路部25を構成している。なお、空気通路部25は、本発明における外部流体通路部に該当するものである。
この空気通路部25のうち、蛇行形状の頂点部分である頂点部25aおよび空気流れ方向における両端部25bが基板部20によって構成され、空気通路部25のうち頂点部25aおよび両端部25bを除く残余の部位が第2打ち出し部23によって構成されている。したがって、空気通路部25の頂点部25aおよび両端部25bは、他方の板材11bに当接してろう付け接合されることとなる。
チューブ11内部の冷媒通路は図2の矢印aに示すように複雑に蛇行している。より具体的には、基板部20から大きく突出する第1打ち出し部22と、基板部20からわずかに突出する第2打ち出し部23とがチューブ長手方向に交互に配置されているので、冷媒通路がチューブ11の高さ方向(図2の上下方向)に蛇行しながらチューブ長手方向に延びている。
さらに、一方の板材11aが蛇行する空気通路部25の頂点部25aで他方の板材11bに接合されていることから、冷媒通路が頂点部25aで分岐する。そして、分岐した冷媒通路は頂点部25aよりも下流側で再び合流する。この分岐と合流との繰り返しによって冷媒通路がチューブ幅方向に蛇行しながらチューブ長手方向に延びている。
複数のフィン12は、ろう材がクラッドされていない裸のアルミニウム系材料(ベア材)からなる薄板材を矩形波状に曲げ成形したコルゲートフィンで構成されている。したがって、フィン12のうちチューブ11の一方の扁平面(一方の板材11a側の面)と接合する接合部12a、およびチューブ11の他方の扁平面(他方の板材11b側の面)と接合する接合部12bは平坦形状を有している。
フィン12のうちチューブ11の積層方向(図2の上下方向)に延びる平坦面12c、12dには、切り起こし形状のルーバ26が多数個形成されている。なお、図示の都合上、図2ではルーバ26を省略しており、図4、図5ではルーバ26を模式的に示している。
次に、上記構成における作動を簡単に説明する。冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)から吐出された高温高圧の冷媒は、接続ブロック14aより熱交換器10内部に流入し一方のタンク部14で各チューブ11に分配されて各チューブ11内に流入する。
各チューブ11内を流れる冷媒はチューブ11に熱を伝え、冷媒からチューブ11に伝えられた熱の一部はチューブ11に接合されたフィン12に伝わる。この熱がチューブ11の外面側を流れる空気に伝達されて冷媒が凝縮液化する。凝縮液化した液相冷媒は、各チューブ11から他方のタンク部15に流入して集合され、接続ブロック15aより熱交換器10外部へと流出し膨張弁(図示せず)側へと流れる。
次に、熱交換器10の熱交換部13における冷媒と空気との間の熱交換作用を説明する。図2の矢印aに示すように、チューブ11内部を流れる冷媒は複雑に蛇行しながら流れるので冷媒流れが撹乱される。このため、冷媒側の熱伝達率が向上する。
一方、チューブ11外部を流れる空気のうちチューブ11から離れた領域を流れる空気は矢印bのようにフィン12に沿って流れ、フィン12の熱を奪ってフィン12を冷却した後にフィン12の空気流れ下流側へ流出する。
チューブ11外部を流れる空気のうちチューブ11近傍を流れる空気はチューブ11の熱を奪ってチューブ11を冷却した後にチューブ11の空気流れ下流側へ流出する。このとき、矢印dのように空気が空気通路部25を蛇行して流れることにより空気流れが撹乱されるので、空気側の熱伝達率が向上する。
また、空気通路部25によってチューブ11の伝熱面積を拡大できるので、チューブ11から空気への放熱量が増加する。
さらに、本実施形態では、空気通路部25をチューブ11の一方の扁平面(一方の板材11a側の面)のみに形成しているので、空気通路部25をチューブ11の両扁平面に形成した場合に比べて空気通路部25の深さD(図4、図5)を深くすることができる。ここで、空気通路部25の深さDとは、第1打ち出し部22の上面から第2打ち出し部23の上面までの寸法のことをいう。
すなわち、空気通路部25をチューブ11の両扁平面に形成した場合には、空気通路部25の深さDはチューブ11全体の厚さの半分程度にしかならないが、空気通路部25をチューブ11の一方の扁平面のみに形成することで、空気通路部25の深さDをチューブ11全体の厚さの半分以上にすることができる。
このため、空気流れの境界層の影響が相対的に小さくなって、空気通路部25を流れる空気の流量を増加させることができるので、チューブ11から空気への放熱量をより増加させることができる。
しかも、空気通路部25をチューブ11の一方の扁平面のみに形成することによって、カシメ部24が、チューブ11の厚さ方向において、チューブ11の中心よりも他方の扁平面(他方の板材11b側の面)側に位置することとなる。このため、カシメ部24が空気通路部25の入口および出口の一部を塞いでしまうことを抑制できるので、空気通路部25を流れる空気の流量が減少してしまうことを抑制できる。
また、本実施形態では、図2からわかるように、チューブ11の一方の扁平面に空気通路部25を形成していることから、チューブ11の一方の扁平面においては、フィン12の接合部12aを全面的にチューブ11に接触させることができない。
これにに対し、チューブ11の他方の扁平面には空気通路部25を形成せず、チューブ11の他方の扁平面を平坦な形状にしているので、チューブ11の他方の扁平面において、フィン12の接合部12bを全面的にチューブ11に接触させることができる。
このため、空気通路部25をチューブ11の両扁平面に形成した場合に比べてチューブ11とフィン12との接触面積を増大できるので、チューブ11とフィン12との間の熱抵抗を低減できる。その結果、チューブ11からフィン12へより多くの熱を伝達することができるので、空気への放熱量を増加させることができる。
以上のことから、空気通路部25をチューブ11の両面に形成した場合に比べて、空気側の伝熱性能を一層向上することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、ろう付け接合およびカシメ部24による接合の両方によって板材11a、11b同士を接合してチューブ11を形成しているが、本第2実施形態では、図7に示すように、カシメ部24を設けることなく、ろう付け接合のみによって板材11a、11b同士を接合してチューブ11を形成している。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、チューブ11の幅方向両端部にカシメ部24を設けていないので、空気通路部25の入口および出口がカシメ部24によって塞がれない。このため、上記第1実施形態に比べて空気通路部25を流れる空気の流量を増加させることができ、ひいては空気側の伝熱性能をより一層向上することができる。
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、2枚の板材11a、11bを接合することによってチューブ11を形成しているが、本第3実施形態では、図8に示すように、1枚の板材11cを中央部で折り曲げて半分の大きさ重ね合わせて互いに接合することによってチューブ11を形成している。
また、本実施形態では、1枚の板材11cのうち他方の扁平面側の端部を1枚の板材11cのうち一方の扁平面側の端部に被さるように折り曲げることで、チューブ11の幅方向一端部にカシメ部24を形成している。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、本実施形態では、チューブ11の幅方向一端部にカシメ部24を設けていないので、空気通路部25の入口および出口のいずれか一方はカシメ部24によって塞がれない。このため、上記第1実施形態に比べて空気通路部25を流れる空気の流量を増加させることができ、ひいては空気側の伝熱性能をより一層向上することができる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、チューブ11の幅方向一端部にカシメ部24が設けられているが、本第4実施形態では、図9に示すように、チューブ11の幅方向一端部にカシメ部24を設けることなく、ろう付けのみによって板材11a、11bを接合している。
本実施形態では、チューブ11の幅方向一端部にカシメ部24を設けていないので、カシメ部24によって空気通路部25の入口および出口が塞がれることがない。このため、上記第3実施形態に比べて空気通路部25を流れる空気の流量を増加させることができ、ひいては空気側の伝熱性能をより一層向上することができる。
(第5実施形態)
図10〜図13に示す第5実施形態は、上記第3実施形態に対して、打ち出し部の形状を変更したものである。図10は本実施形態によるチューブ11を示す平面図であり、図11は図10のE−E断面図であり、図12は図10のF−F断面図であり、図13は図10のG−G断面図である。
本実施形態のチューブ11は、一方の扁平面が、平坦な基板部30と、基板部30から突出する複数個の打ち出し部31とで構成されており、複数個の打ち出し部31がチューブ長手方向に延びる筋状に形成されることで、基板部30と打ち出し部31とがチューブ幅方向に交互に配置されている。
打ち出し部31は、基板部30から大きく突出する第1打ち出し部32と、基板部30からわずかに突出する第2打ち出し部33とで構成され、この第1打ち出し部32および第2打ち出し部33は、チューブ長手方向において交互に配置され、チューブ幅方向において千鳥状に配置されている。
この第1、第2打ち出し部32、33と他方の扁平面との間に形成される空間によって冷媒通路が構成される。この冷媒通路を冷媒が矢印eのように蛇行しながらチューブ長手方向に流れるので冷媒流れが撹乱され、冷媒側の熱伝達率が向上する。
チューブ11の幅方向において千鳥状に配置された第2打ち出し部33と、基板部30のうち第2打ち出し部33同士の間に位置する部位とによって空気通路部34が構成される。なお、空気通路部34は、本発明における外部流体通路部に該当するものである。
この空気通路部34を空気が矢印fのように蛇行しながらチューブ幅方向に流れるので空気流れが撹乱され、空気側の熱伝達率が向上する。また、空気通路部34によってチューブ11の伝熱面積を拡大できるので、チューブ11から空気への放熱量が増加する。
以上のことから、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態による空気通路部25、34の形状は一例であり、これに限定されることなく空気通路部25、34の形状を種々変形可能である。例えば、空気通路部25の形状を上記特許文献1に記載された種々の形状にしてもよい。
また、上記各実施形態では本発明による熱交換器を冷媒凝縮器に適用した例を示しているが、これに限定されることなく、本発明は種々な用途の流体間の熱交換を行う熱交換器一般に広く適用可能であることはもちろんである。
本発明の第1実施形態による熱交換器の全体構造を示す斜視図である。 熱交換器の熱交換部を示す要部斜視図である。 チューブの平面図である。 図3のA−A断面図である。 図3のB−B断面図である。 図3のC−C断面図である。 第2実施形態によるチューブの断面図である。 第3実施形態によるチューブの断面図である。 第4実施形態によるチューブの断面図である。 第5実施形態によるチューブの平面図である。 図10のE−E断面図である。 図10のF−F断面図である。 図10のG−G断面図である。
符号の説明
11…チューブ、11a…一方の板材、11b…他方の板材、12…フィン、
20…基板部、22…第1打ち出し部(打ち出し部)、24…カシメ部、
25…空気通路部(外部流体通路部)。

Claims (6)

  1. 内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ(11)を備え、
    前記チューブ(11)の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部(20、30)と、前記基板部(20、30)から前記チューブ(11)の外方に突き出す複数個の打ち出し部(22、32)とを有し、
    前記打ち出し部(22、32)同士の間に、前記外部流体が流れる外部流体通路部(25、34)が形成され、
    前記他方の扁平面は、平坦な形状に形成されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記チューブ(11)の外面のうち少なくとも前記他方の扁平面に接合されて、前記外部流体との伝熱面積を増大させるフィン(12)を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記チューブ(11)は、前記一方の扁平面を構成する一方の板材(11a)と、前記一方の板材(11a)と向かい合って前記他方の扁平面を構成する他方の板材(11b)とで形成され、
    前記チューブ(11)の幅方向端部には、前記他方の板材(11b)の端部が前記一方の板材(11a)の端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
    前記カシメ部(24)は、前記チューブ(11)の厚さ方向において、前記チューブ(11)の中心よりも前記他方の扁平面側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
  4. 前記チューブ(11)は、略中央部で折り曲げられた1枚の板材(11c)で形成され、
    前記チューブ(11)の幅方向端部には、前記板材(11c)のうち前記他方の扁平面側の端部が前記板材(11c)のうち前記一方の扁平面側の端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
    前記カシメ部(24)は、前記チューブ(11)の厚さ方向において、前記チューブ(11)の中心よりも前記他方の扁平面側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
  5. 内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ(11)を備え、
    前記チューブ(11)の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部(20、30)と、前記基板部(20、30)から前記チューブ(11)の外方に突き出す複数個の打ち出し部(22、32)とを有し、
    前記打ち出し部(22、32)同士の間に、前記外部流体が流れる外部流体通路部(25、34)が形成され、
    前記チューブ(11)は、前記一方の扁平面を構成する一方の板材(11a)と、前記一方の板材(11a)と向かい合って前記他方の扁平面を構成する他方の板材(11b)とで形成され、
    前記チューブ(11)の幅方向端部には、前記他方の板材(11b)の端部が前記一方の板材(11a)の端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
    前記カシメ部(24)は、前記チューブ(11)の厚さ方向において、前記チューブ(11)の中心よりも前記他方の扁平面側に位置していることを特徴とする熱交換器。
  6. 内部流体と外部流体とを熱交換させ、外部流体の流れ方向に沿って扁平な断面形状を有するチューブ(11)を備え、
    前記チューブ(11)の一方の扁平面は、他方の扁平面に当接する基板部(20、30)と、前記基板部(20、30)から前記チューブ(11)の外方に突き出す複数個の打ち出し部(22、32)とを有し、
    前記打ち出し部(22、32)同士の間には、前記外部流体が流れる外部流体通路部(25、34)が形成され、
    前記チューブ(11)は、略中央部で折り曲げられた1枚の板材(11c)で形成され、
    前記チューブ(11)の幅方向端部には、前記板材(11c)の一端部が前記板材(11c)の他端部に被さるように折り曲げられたカシメ部(24)が形成され、
    前記カシメ部(24)は、前記チューブ(11)の厚さ方向において、前記チューブ(11)の中心よりも前記他方の扁平面側に位置していることを特徴とする熱交換器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020537103A (ja) * 2017-09-22 2020-12-17 浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd マイクロチャネル熱交換器の扁平管及びマイクロチャネル熱交換器

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